こだ、はっきりした連星がルイテン / 億にとどめておいていただきたい。 生し、そこから擬似子孫クローン人間を誕 さて、二、 三の星をとりあげておこう。 二九一五 / 六しかない点は、ユニークであ生させているというのである。 「大男のほうが過去型の再生クローンで、 パイ三乗星人が足場にしているロス四七る。 小男のほうが未来型の子孫クローンのよう 閃光星もすくないので、これは安定した は、型の準矮星で、弱々しい光の星であ る。 ですな」 単独星が並んでいることを意味している。 三乗星人はここから五・五六光年はなれ 恒星コロニーをつぎつぎに建設してゆく ウルシノの観察結果は、ゲンたちをおど ろかせた。 たウォルフ一四五三も手中にしている。のには、絶好の星域なのである。 1 の赤色矮星である。ロス四七もウォルフ 私 ( 石原 ) が、この星域をパイ三乗星人「両文明の奇妙な不整合の理由がわかるよ うな気がしますね」 一四五三も単独の恒星なので、基地をつくに占領されることを恐れる気持、おわかり りやすかったのだろう。 いただけるだろうか : ゲンのこの言葉にウルシノはうなずきな パイ三乗星人はまた、ウォルフ一四五三 がら言った。 のすぐそばにあるルイテン右ー 一七八八八 「シグマ星人たちは本能的に、再生クロー オリオン腕の夢想家たち ンにだけ接触したがっているようですよ。 にも基地をきずいているらしい。この恒星 わたしは、ごく少数しかいない軍人の再生 は弱い光の白色矮星たが、単独星なので、 《オレーム号》に乗りうつったジェイ・ウクローンのひとりなのですが、仲間が初期 やはり基地の建設が楽なのだろう。 こういう白色矮星の周囲の人工惑星とい ルシノという奇妙な人物は、ゲンたちにむに〈はくちょう座六一番星〉でシグマ星人 かって、シグマ星人は全員が再生クローン うのは、惑星というよりも、地球の周囲の と接触し、依頼されてあなた方の動向を見 と語った。 守っていたんです。これまで、少数派の軍 人工衛星にちかい存在になるだろうと思わらしい れる。 だが、ウルシノの発見はそれだけにとど人クローンの味方は、シグマ星人だけだっ この星域にはもうひとつ、右方にルイテまらなかった。 たのです。われわれは、折衝能力のないふ ー二九一五という白色矮星があるが、 シグマ星人は、過去人の再生クーン つう人にかわって宇宙人とコンタクトし、 こちらのほうは赤色矮星との赤白連星の一と、未来人を模した擬似子孫クローンとの ″光世紀宙域″の緊張緩和に役立とうと思 っています。協力してください」 種である。 ニ種類の人種に大別されているのだとい ・ : ところで、わたしは地 他の恒星たちのほとんどは、図 9 からすう。そのコンセプトをわかりやすく描く「そうでしたか : 球を出てからこれまで、何度か見知らぬ人 ぐに読みとれるように、型の赤色矮星でと、図川のようになる。 ある。 に危機を救われたような気がします。それ 祖先を復活させる再生クローンはゲンた はウルシノ、あなただったのでは : つまり、スペクトル型からみればきわめちと似たようなものだが、かれらはそのほ ゲンの問いに、ウルシノは別の事を答え かに、図川の下半分にあるように、擬似未 てありふれた平均的恒星の並ぶ星域なの 来刺激によって子孫の遺伝子を加速的に創 8
が、また見ようによっては、 ' ・擬人化したクある。これは一七世紀末の著名な天文学者方向に暗くひかっていた。色は黄色にみえ マのようにも見える。 フラムスティ 1 ドによるもので、ひとつのた。 左上部が顔で、右下が脚部、そして左下星座の星に、赤経の順に一・ ナヴィゲイション・フロアでは、十数人 が腕である。 つけてゆく方法である。 のシグマ星人が会議をひらいていた。重要 こうみると、 。ハイ三乗星人に支配される 現在のふつうの星図では、・・ な議題があるらしい。シグマ星人の好む湿 この星域は、太陽系をねらう油断のできな ・ : を中心にして、それを番号星で補ってい った重い空気が、ビンと張りつめている。 い宇宙獸ーーーということができるだろう。 るようである。 身長三メートル、体重五〇〇キロはあろ さて、著名星には、明るい星の他に、変うかとおもわれる巨嶇の持ち主が、意見を ここで、ある読者からの質問にこたえて、光星がある。 述べた。 星座名を冠した星名の命名法について、記 これには、ローマ字の大文字がつけられ〈右側のスクリーンに太陽文明圏が映って しておくことにしよう。 る。ただしからあとが用いられている。 いる。かれらは一〇光年をこえて勢力をひ 星座名を冠した星名は、かなり明るい恒とかとか >-{ N とかとかいうのが ろげようとしている。この船と太陽文明圏 星につけられる。 それである。 との中間にある星々は、いままさに戦場に つまり、地球からみて最輝星の次ぐらい われわれの『光世紀航宙図』でも、このなろうとしている。あの歴史に名高い《テ》 までの明るさの星につけられるのである。 記号はかなりの数採用している。注意ぶか平原のように : まず、ケンタウルス座アルファ ( 夜 ) 星のく地図を見ていただけばおわかりになると スクリーンの下部の。ハネルに、両文明の ・ : という命名である思う。 拮抗をあらわす銀河地図があり、発言者の がこれは・・ ' ハイエルという一七世 赤い太い指がその一部分をさした。 そこには、地球人流にいえば〈はくちょ 紀初頭のアマチ = ア天文学者が創始したも光世紀船《オレーム号》の冒険 ので、・ハイエル符号と呼ばれている。 う座六一番星〉とそれにつらなる星々が明 ーー第二星域の星々 それは次のような命名法である。 示されていた。 あるひとつの星座の星を、明るいほうか 何人かのシグマ星人がこの発言に応じ さて、物語りにもどることにしよう。 ら順に、ギリシア文字の・・ た。どれも似た巨漢で、全身赤銅色だった。 宇宙人のなかでは比較的地球人に似てい によってあらわす。 ると考えられているのがシグマ星人である やがて、音域のすこしちがった声が喋り それでたりない場合には、ロ 1 マ字の小 だした。 が、その本拠地のシグマ星から、いま、一 〈太陽文明圏の向こうがわに、おそるべき 文字をつかい、さらにその次にはローマ字隻の巨大な紡錘型の宇宙船が、銀河の中心 の大文字をつかう ( ただし O まで ) 。 生命体の徴候が見出された。はやく対策を にちかい方角をめざして、疾駆していた。 もうひとつ、はくちょう座六一番星 こうずる必要がある〉 強引な航行法だった。 のような星座名プラス番号という命名法が 声の主は巨漢ではなかった。よく見る 宇宙船のプリッジからは、太陽系は右手 3 9
三つの連星のうち二番めのが型スペ 太陽からの距離が二四・七一光年と比較 2 ひょっとすると、閃光星のフレアに関係クトルをもっ白色矮星である点がユ = ーク的はなれているので、名が知られていると 9 しているのだろうか : : : ゲンはそう推測し ・こといえよう。 はいえないが、単独の太陽型恒星のひとっ てみたが、解答は得られなかった。 ここからななめ右方へ一〇・八八光年へである。 ると、ルイテン一二五一がある。連星 ( 不可視伴星の記号がついているが、積極 太陽系をねらう宇宙獣 / パイ三乗 だが、一方のスペクトル型ははっきりして的な支持者はすくないので、いまのところ ーー第二三星域の星々 星人の謎 。絶対等級が一一・三たから、たぶ単独星ということにしておいてさしつかえ ん赤色矮星であろう。 ないだろう ) さらに右方に四・六九光年すすむと、う タッが述べた″パイ三乗星人″の本拠地 この恒星に文明をきずいた〈パイ三乗星 であるパイ三乗星は、第二三星域にある。 さぎ座ガンマ星というかなり明るい星があ人〉は、巨大な木ノ葉型をした、対話のし 第二三星域とは、前号図 6 の『光世紀航る。 にくい宇宙人で、前号の勢力分布図 ( 図 5 ) 可視星である。 宙図Ⅲ』の下部に描かれていた星域で、太 のように、とび石づたいに太陽系方面への 陽系を含む面よりも一五光年いじよう下部 また三重連星で、三つめの o は絶対等級進出を狙っており、現在 ( 二一世紀末 ) プ で、かっ銀河中心とは逆の側にある星域でが一六ととても暗い。さらに不可視伴星が ロキオンやルイテン星のあたりで、地球人 想像されている。 ある。 と拮抗状態にある。 詳細は図 4 ( 前頁 ) にしめされている。 ここから一〇・二七光年を翔んで最下部 かれらはシグマ星人とちがって、何を考 最上部からクロックワイズにたどってみに航路をのばすと、 Q50 六一二〇という平えているのかさつばり理解できない点が、 ることにしよう。 凡な型の矮星がある。 なにやら不気味である。 トツ。フがルイテン / ここから一〇・一二光年もどると、ラナ ー一一四六という 三乗星から紙面のななめ下方に一五・二 ( エリダスス座デルタ星 ) に達する。 六光年すすむと、この星域のもうひとつの 型の星である。スペクトル型は型とだ けわかっていて、主系列星なのかどうか、 ラナはスペクトル型 XO の準巨星で、絶太陽型恒星 to 三四四九にたどりつく。 のいくつかということははっきりして 対等級は太陽よりも上である。主系列星で スペクトル型が 0 というのは太陽にと はないということで、太陽類似の恒星としてもちかいということであり、地球人とし 紙面のななめ上部方向に一九・二八光年てはリストアツ。フしていないが、じっさい てはパイ三乗星人にとられたくない恒星だ すすむとエリダヌス座オミクロン二乗星が にはとても太陽にちかい星ということがでといえる。 ある。これは三重連星で、エリダヌス座四きるだろう。 さいごのルイテン一〇九二は平凡な明 〇番星とも呼ばれている。 そして、ここから一一・九五光年だけ再るい赤色矮星である。 太陽系からの距離は一五・九一光年で、 度さがったところに、問題の〈オリオン座 この第一一三星域は、太陽系を向く大きな この星域では最近距離星である。 ・ハイ三乗星〉がある。 矢印をすこしくずしたような形をしている
あやつる古代宇宙人が居住しており、今でを漏らした・ーーというのは奇妙なことです「とっさの判断力もすごいのね。思慮ぶか いところもあるし : : : 」 もあちこちの星にその遺跡が残っているはね」 ロウジイが首をひねった。 ロウジイが応じた。 ずだーーーというのである。 「ネザーによると、われわれが採取に成功「そういう理解しにくい連中と協力して第「磁場デザイナーとしての腕も一流だ。と ーダクターは、その古代人の遺四勢力をむかえうとうというのだから、た くに恒星船の土ンジンに関してね」 したスー いへんなことですよ」 タッがあいづちをうった。 物だというのです。そして、星々のいくっ ウルシノがむすんだ。 ウルシノが一一一口った。 かにある遺跡は、今もなおその機能を失っ 「わたしは地球時代からゲンを観察してき というのです」 ていない 《オレ 1 ム号》は順調に航行し、光速の百たが、彼は地球を離れれば離れるほど、能 一同、考えこんだ。 「そういえばーー」と・ハーナード星から乗倍をこえるス。ヒードで、夢想家たちのパラカを発揮している。くわしいことはむろん 「ーーホホホダイスになるであろう O 二 = 三九八に近わからないが、彼の遺伝子はハインリッヒ った隊員のひとりが言った。 らいていった。 ・ケプラーの再生だけでなく、なにか他の の群れが惑星外からの磁場に感応するとい 1 ナ目的による加工がなされているのではなか 隊員たちはその星の輝きを眺め、 う話は前からありました。リリアンやゲン 1 ド星産のワインを楽しみながら、語りあろうか ? あるいは偶然なにかとくべつの があぶなかったとき、とっぜんホホホの群 構成ができたのか : : : 」 れがおとなしくなったのは、宇宙からの磁った。 ロウジイが恋人のタッに甘えながら言っ 「ゲンとリリアンがみえませんな」 場のせいだったのでは : タッが首をかしげた。恋人のロウジイが ゲンもこれまでのいくつかの体験を反稠 ウインクしてみせた。 「隊長は自分のその才能にほとんど気づい して、うなずいた。 「お二人は展望室で音楽をたのしんでいらていないようなのね」 「そういえば〈ウォルフ三五九〉の磁場も っしゃいますわ」 タッはロウジイの背をやさしくなでた。 内的なものだけではないようだった」 「そこがポスのいいところなのさ。・ホスは 「たいへんけっこうなことですよ」ウルシ ウルシノが意見を述べた。 いまリリアンという恋人を得て、自分の才 「シグマ星人からの情報では、シグマ星人ノが一同を見まわした。「それはそれとし 能をふりかえるひまもないほど幸せなんた の伝説の中にも、。ハイ三乗星人の伝説の中て、わたしがおどろいているのは、ゲン・ テンミョウ隊長の身のこなしの妻さだ。スよ」 にも、″磁場の神″という超古代神がみら ーダクターの採取のときにみせた走り れるそうです。とくにパイ三乗星人は〈へ 一同のいる司令室とはすこしはなれた展 つぶりは、二〇世紀のオリン。ヒック記録を びつかい座七〇番星〉についての伝説をも っており、それがスー 1 ダクターの発見上まわっていたにちがいない。ゲンは退化望室で、ゲン一・テンミウはリリアンの肩 の一途をたどっている地球人の運動能力をを抱きよせて幸せのただなかにいた。 にむすびついたらしいのです : : : 」 1 プで、 リリアンは趣味のテンソル・ハ 「パイ三乗星人が自分が行かずにその情報復活させるかもしれない」 2
以上総括すると、この第六星域は、星座 の軽い黒色矮星 ) を想定し、その表面に幻方にある辺境の恒星である。リンダの背で ーダクター″がある は肩甲骨のすぐ下にある。スペクトル型の名のつく著名星が九星中四星もあるーーーと の超電導物質″スーパ いう点で、昔からの天文ファンにとくにフ ことにしている。 調べはついていないが、絶対等級一三・三一 ュニークなサーマル・ヒストリーをもっ の暗い星なので、たぶん赤色矮星であろう。 アミリアな感じを与える星域であろう。 ここから一四・四四光年という、かなり 黒色矮星なので、軽い惑星にはみられない 特殊な物質が生成されているーーと仮定しの道のりを下ると、こと座一七番星がある。 さて、スーパ たのである。 リンダの身体でいうと、臀部の女らしい ーダクターの謎がずっと秘 いめられたままだったことに対するゲンの疑 この七〇番星から七・七八光年ななめ下ふくらみのはじまったあたりに位置して る。赤色矮星の連星で、星座名が冠せられ 問に、タッはつぎのように答えるのだった。 方にすすむと、ニックネームをもっ数少な 「幻の超電導物質は、地球人が発見したも い輝星のひとつ、アルタイル ( 牽牛星 ) にていることからわかるように、昔から知ら れていた星である。 のではないのです」 たどりつく。 そのすぐ下に、四・一〇光年はなれて存「では : 見かけの等級 0 ・八ほどの準巨星にちか 「ご推察のとおり、宇宙人です。しかしシ い恒星で、地球からみて明るい方から一二在しているのが、アルタイルよりもさらに マグマ星人ではありません″パイ三乗星人 番めにある。ゲンの身体では、臀部の中央明るく、三〇光年内ではシリウス、トリ ンについで三番めの最輝星のヴェガ ( 織女なのです」 にちかい場所にきざまれている。 「あの奇妙な連中が」 上方にすこし・ハックして腰部にもどる星 ) である。 と、ロス六五二という赤色矮星の連星があ さきほどのアルタイル ( 牽牛星 ) と並ん 「かれらは、なにか特殊な手段で有り場所 る。この連星の小さいほうは、という記で、牽牛・織女のタナバタ伝説のヒロインを検出したらしいのです」 「でも、どうしてそれをシュウは知ったの 号でわかるように閃光星であり、研究者のとなっていることは、どなたもご存じのと 名をとってヴァン・ビーズ・フローク星ともおりである。 でしよう ? 」 呼ばれている。 リンダの身体でのヴェガの位置は、まろ 「シュウはプロキオンやルイテン星で仕事 さて、ここから左方へ一〇・五五光年航やかな尻のふくらみの中央よりもすこし下をしていたことがあり、そこで″。ハイ三乗 星人″と接触 ( 前号の図 5 ) したらしいの 行すると、ロス七三〇 / 七三一という連星のところにある。 に到着する。ともに準矮星といわれている。 ヴェガのような明るいスペクトル型の星です。どういうきっかけがあったかは知り この連星を含めて左がわの四つの星系の地球型惑星の様子については、三月号のませんが、じいさんの話では、われわれ再 が、リンダ・シャイラーの背にきざまれて冒頭の宮武さんの r-k 画を参照していただ生クローンというのは宇宙人とのコンタク いたものである。 トが本能的にうまいらしいんです。とくに きたい。小さな鋭い太陽が暗い地表を照ら シュウはイシュ、 ノーリヤ 1 の復活人間でマ 最上部にある二四ー一六は、三〇光年しているはずである。そして紫外線がとて ッドでしたから : : : 」 の″光世紀宙域みにおいては、もっとも遠も強いだろう。
と、身長二メートル以下のしなやかな身体 プリッジの周囲のスクリーンが、とつじており、それを利用してかなりの性能の光 の持ち主だった。肌の色もすこしうすい よとして光りかたを変えた。光速を超える世紀恒星船を建造していた。むろん小型の鷯 〈太陽文明圏の支配者である″地球人のために、宇宙船の周囲の″場を強化しは ものだが、ヘびつかい座七〇番星までなら 一部を、はやく味方につける必要がある。 じめた証左だった。 なんとか到達でぎる性能をもっていた。 戦いながら味方をふやし、戦場を形骸化し プリッジはセ。ヒアで統一されていた。装 エンジンは中古品だが立派な光速伸張航 なければならない : 置類は頑丈きわまりないフレームをもって法用だった。 巨漢がこれに答えた。とぎれとぎれの発おり、金属光沢はどこにも見られなかった。 この仕事に従事するロポットは、ウィー 声だった。 なにもかもが、赤と銅色でうずめられたナーを。フロトタイプとするもので、その源 〈すでに仲間をつくることに成功してい 巨大な宇宙船の内部だった。 流の技術は前号でお話した″黄金の六年間″ る。多面的な作戦が奏功しているのだ。地 超光速にはいってしばらくして、″イ″の にある。特殊な下等生物の細胞を論理回路 球人のなかにもわれわれと類似した遺伝子報告がプリッジのディスプレイに映った。 に組み込むことによって、おどろくほど精 のひそんでいることが明らかとなった〉 介 ( ーナード星からひろい出す太陽系人の密な人工知能を達成したのだ。 〈″博士の理論か : ・・ : 〉 名は、ジェイ・ウルシノという : ゲンはタッたちとともにこの光世紀船の 〈特定の種類とだけ接触してよいかどうか ジェイ・ウルシ / ? エンジン部の調整を担当し、ある回路の改 は疑問だ。だが、しかたがない : それは、ゲン・テンミョウのオフィスと良を提案して、船のス。ヒードを三〇パーセ 〈とにかく、ひとつの方法だ : : : 〉 同じビルに住んでいた奇妙な男の名ではな ントも向上させることに成功する。 さらにしばらくやりとりがあって、議長カったカ : まわりの人たちはゲンの才能に驚き、自 らしい小柄なシグマ星人が総括した。 然のうちにゲンを兄貴ぶんとして慕うよう 〈予定どおり航行する。戦争にはまきこま さて、恒星コロニーは地球政府の管轄下になる。 れないようにしこ、。 途中で地球人をひろにあるとはいえ、それは形式だけであって、 ゲンも自分の意外な力におどろくと同時 うが、それは″イ″の役めだ〉そのシグマ内実はまったく″力と自由″の世界だった。 に自信をもちはじめ、そしてそれが責任感 星人の指示棒の先には〈・ハーナード星〉が 〈ウォルフ三五九〉はもっとも近距離の恒にもつながってくるのだった。 描かれていた。 星コロニーだったが、自由のある点では、 やがて、光世紀船の出航準備はできあが 〈それから、はやく目的地に着いて、。 ( イ他と同じだった。 三乗星人から情報を得た幻の物質を採取し ゲンは感激して、新知識を吸収し、アイ 小型の宇宙船を勝手に入手して、勝手に なければならない〉 ンシュタインじいさんを助けた。 とびだすのは、荒くれ男女たちの多い恒星 会議はおわったようだった。大小二種類 じいさんは、『 / イマン・ロポット社』 コロニーではそう珍しいことではなかっ のシグマ星人は広いフロアをゆっくりと散のこの星の事業所とかなりのコネがあるら っていった。 しく、すぐれたロポットを数十台も入手し しかし、ゲンが到着してから、奇妙な妨
、気ぃ 技術的側面での源泉は黄金の六年間に創ら らしいということだった。 れたが、その時点から、主流派の世界企業 両社ともに触れられたくないコロニー内 8 『ノイマン・ロポット社』と、後発のマン部の実情があったために、原因追及がほと モス企業『 hOZ 社』との激しい争いがはんど行われなかったのであろう。 じまった。 ◎さて、七〇番星に接近した《オレーム ″汎太陽教団″は地球と太陽の至上性を主号》は、目的とする暗黒伴星を発見する。 張する狂信者の集りだったが『 h0Z 社』しかし同時にシグマ星人の宇宙船と遭遇 と利害が一致していたため、一種の企業性し、ゲンは話し合いにのそむ。シグマ星人 距までもって thOZ 社』と表裏一体の形では三文明圏の勢力均衡策を説き、東方から bD の発展していたのである。一方『 / イマン・ の謎の飛行物体が共通の外敵であることを ロポット社』は地球政府内部に深くくいこ指摘する。 どうやらシグマ星人は、ゲンを太陽文明 陽んで、『オリオン腕連邦』建設の大義名分 々星 ア 太のもとに″光世紀世界〃の支配をねらって圏の代表として接しているらしい 星年 内いるのだった。 ン光 シグマ星人のその宇宙船に、地球時代の イ 再生クローンのグループは『ノイマン・ 同じビルの住人ジェイ・ウルシノが同乗し タム ロポット社』がプロモートしたプロジェク ていることに、ゲンはおどろく。ウルシノ カ トによって誕生させられたのだが、紆余曲はシグマ星人からパイプ役として期待され ぬぬ範 , 域 お判こ年年星折のすえ、結局はボ , ト社に協力する形ており、《オレーム号》に移ることになる。 一お光ゾ晄 第をとって自分たちの楽園をつくろうと努力 ハ 1 タクタ そのあと、両宇宙船はスー 一スオス紀しはじめていたのである。 1 の採掘をめぐって、激烈な競争を展開す 霍一ウ & キⅡロ 1 世そして元来クローンぎらいの″汎太陽教るが、結局双方実利を得て七〇番星をはな 7 一シプン、・ 団″の狂信者たちは、企業間闘争にあおられる。 予定どおり、 c.-50 二三二九八から燃料補 図れてますます再生クローンたちを目の敵に 米 81 ・ 9 していたのだった。 給のための恒星船が《オレ 1 ム号》を迎 あの二〇五六年のクローン・コロニー大え、一同はぶじ再生クローンの楽園の侯補 年 星光爆発は、『ノイマン・ロポット社』の光世星へと向かう。 & ン 紀進出を妨害しようとする『 h0Z 社』の その希望の船のなかで、陰で何度かゲン 0 策謀がシステム内での雪崩効果をおこしの危機を救ったらしいウルシノが、「シグ て、恒星船製造原料が発火したことが原因マ星人はすべて再生クローンである」とい 4
「皮は高く売れるわよ。それとも、何か食・ヘるものをくれたら、そ . うのか」 0 7 れをあなたの何でもほしいものに変えてみせるわよ。私、体内にあ「あーら『恋人たち』の主人公は節足動物と恋におちるし、ヴィン るていどの物質変換機能があるの。合成食料を新鮮な肉にかえてあス・エ・ヘレットだってトカゲと恋をしてるわよ」 平然としてカワタマ星人は指摘した。 げるわ」 「ゴドーだってロポットのオルガを愛したわ。恋は盲目。愛があれ 「そんなことができるのか」 カふと気づいてきいた。 ば生物学的差異なんて。まずあなたから、いわれない偏見を打破す 俺はちょっと心を動かしかけた。・ : ることよ」 「どうやって、やるんだ」 「ロからたべて、肛門から出すのよ。その間に、味気ない合成食料「いやだ。偏見から解放されたくない。おれはあわれな人種差別主 はビフテキにでも、お刺身にでもかわるわ。お刺身なんて、磯のか義者として世間からつまはじきされ、石を投げられた方がいい」 おりがしておいしいわよ」 「そんなこと云わないで、ねえ。ねえ、私、名器なのよ。潮だって 「いや、やめとこう」 吹くわ」 俺は吐き気をおさえて云った。ナマコが食って肛門から出したも「ダメだ」 のが食えるか、という感想は、俺も国際人としての礼節をわきまえ 「イソギンチャクはナマコの親戚よ。とにかく一辺試してみない ているから思うだけにとどめた。 やみつきになること、うけあいよ」 「そう。まあいいわ。それじゃーーー」 「よしてくれ。大体君たちは単性生殖なのだろう。ということは、 カワタマ星人は、しばらく考えこんでいたが、やがて意を決した君はおれに、ナマコのおカマを掘れというのか。おれには獣姦の趣 ように口を開いた。 味はないんだ。第一、仮におれがその気になったところで、君を助 「ねえ。私体を提供してもいいわ」 けてやることはできん。これは、おれの気持で何とかなるという問 「げつ」 題ではなく、冷たい規則によって決められた結論なのだ」 「そう」 俺の顔つきが、よほど驚愕と恐怖にみちていたのにちがいない。 カワタマ星人はまたさっと濃いオレンジ色に染まった。 カワタマ星人のナマコは、しばらく、くちびるをふるわせて黙り こんでいた。 「あら、どうして。私ではおいや ? 」 「おいやもなにも、君はナマコではないか。いや、むろん、ナマコ 「じゃ、どうしても、死ねというのね」 そのものではなくて、なんとか星人なのだが、しかしわれわれテラ 「その通りだ」 系の人間の主観においては、君はあくまでもナマコだ。いくらおれ「じゃ云うけど、あなたはそんなこと、できやしないのよ。前 が女に飢えていても、ナ、ナマコの色仕掛けにフ、ラフラとなると思そう云わなかった」
はくちょう座 61 番星 / dK5 ・ dK7 ( 11.02 光年 ) GC25648 / 9 / dM4 ・ dM5 ( 11.48 光年 ) クリューゲル 60 / dM4 ・ dM4e (B : ケフエウス座 DO 星 ) ( 12.89 光年 ) 6.00 ル年 太陽系 トップにある〈はくちょう座六一番星〉知識が印象的だったのであろう。 は″光世紀宙域″のなかでももっとも名の タルホの近距離星についての知識も、こ 9 知られた恒星であろう。 の一九世紀の発見が大きなウェイトを占め 近距離星のなかではもっとも古くから研ている。 究されており、一 八三八年にドイツの天文 二〇世紀になって、この恒星はふたたび 学者・・ペッセルが年周視差 ( 距離 ) 人々を刺激した。一九四二年にストランド の測定に成功したことから、脚光をあびた。 が巨大惑星の存在を推定したからである 距離の確定した最初の近距離星だと言わ ( 三月号の一〇一ペ 1 ジ参照 ) 。 そのため、の舞台として多用される 距れている。 10 の ( ペッセルは応用数学の分野ではペッセル ようになった。 か関数と呼ばれる三角関数の親分みたいな関 はくちょう座六一番星をめぐる架空の惑 ッ年系 リ光陽数を発見して大きな貢献をしている。天文星としてもっとも有名なのは、ハル・クレ ブ太学の分野での右以外の発見もたくさんあメントの『重力の使命』の " メスクリン。 る ) であろう。 また、連星系であることも、その当時の 日本でも児童ものであるが瀬川昌男の 人たちによって明らかにされた。 『白鳥座礙番星』が黎明期に書かれて しる はくちょう座六一番星についてのこの距 星 離測定の成功は、一九世紀における天文学 さて、ここから六光年くだったところに、 や第の最大の成果のひとつであり、そのニュー やはり巨大惑星が想像される連星系 (..50 二 五六四八 / 九がある。 ' ル、紀スは多くの人たちを刺激した。 世ポーは『シ = ヘラザーデの千二夜の物語』 六一番星ほど有名にはなっていないが、 のなかでこの星の距離測定を引用して、 指摘しているのが、近距離星のオ 1 ソリテ イであるヴァン・ド・カンプなので、かな 齢「 : : : あるいはこの人たちが生まれる二千 年前に宇宙から消えてしまったものを見た り希望がもてる。 りするのに、何の困難も感じないのでござ さらに六・一五光年さがると、クリュー いました ( 高松雄一訳 ) 」 ゲル六〇がある。赤色矮星の連星で、はケ と書いた。もっとも近い星でも光で一〇フェス座 QO 星と呼ばれる閃光星である。 ここから右へ四・四二光年すすむと単独 年もかかり、一〇年前に消失した物体がい ま見えているのかもしれない という新の赤色矮星ロス二四八があり、そしてその
うおどろくべき発見を物語るが、その話をかに非実視連星がある。ただし確定はされしてはつごうのよい星々だといえよう。 さてここですこし趣きをかえて、白色矮 するまえに、今回準備したあとふたつの星ておらず、光学重星かもしれない。 そのごく近くに、ルイテン博士が研究し星の周囲の地球型惑星について、すこし計 域地図について、ご説明しておくことにし よう。 たルイテン星がある。典型的な赤色矮星で算してみよう。 主系列星の計算データは、三月号にくわ あるが、暗黒伴星を伴っている可能性もあ しく述べたが、主系列星とはまったく性質 白色矮星にコロニーは可能か : る。ヴァン・ド・カンプの研究によると、 のことなる白色矮星についても、三月号の 主星の位置が〇・〇三秒ほど動揺するの ーー第三および九星域の星々 で、そう推測されるのだ。ただし惑星にし知識だけであるていどの計算は可能なの で、その例をお目にかけようというわけな 図 7 は太陽系の右下で一五光年以内にあては巨大すぎると考えられているようだ。 のだ。 ルイテン星から三・七〇光年さがると、 る星々のあつまった第三星域である。 ロス六一四に到着する。この星域の終点で 白色矮星のなかでもっとも有名な、いま このストーリー では、奇妙な宇宙人 述べたばかりのシリウスの伴星をとりあげ イ三乗星人″と太陽系人とが対峙しているある。 よう。 ロス六一四もまた有名な星である。 星域ーーという設定になっている。 この星はスペクトル型が << 5 、光度が 主星は一三・一等の赤色矮星で、平凡 最上部にある型の単独星力。フタイン星 一・二等である。 な恒星だが、一九五五年にはじめて望遠鏡一 は、オランダの天文学者カプタインによっ まず、三月号一〇四ページの式②によっ にとらえられた伴星のほうは、光度も一 て研究された高速度星 ( 固有運動の大きな 六・四等と小さいが、質量が太陽のわずかて、輻射等級を求めると、それは、 1 ナード星などと親類筋にあた 星 ) で、 る。 七パーセントしかなくて、可視星中の最小 ま。Ⅱ十 p Ⅱ 11.2 十 ( ー 0.4 ) Ⅱ 10.8 ここから七・四三光年左へとぶと、明る質量の星といわれている。スペクトル型は 王立天文台やカンプのデータの範囲では不 くュニークな星系として著名なシリウスが となる。これをもとに式③より輻射エネ ある。シリウスの伴星が白色矮星であるこ明である。 以外にもうひとっ非実視伴星があると ルギーの太陽との比を求めると、 とは、軌道図などとともに四月号で詳述し いう説が記されているが、はっきりしない。 たとおりである。 2 5 ス。ー。し もしあったとしたら、とても小さな星で 五・一八光年くだると、プロキオンに達 する。こいぬ座のアルファ星で、シリウスあろう。 以上が第三星域の星々であるが、いずれ ( おおいぬ座アルファ星 ) の前に昇ってく も最近距離にあるので、興味ぶかい性質が るので、″大の前に″の意味のプロキオン よく知られているし、ニックネームもほと なる個有名がつけられている。 んどにつけられているので、 ()n の舞台と これも連星の一方は白色矮星で、そのほ となる。これがわかると母星と地球型惑 ( 4.76 ー 10, 8 ) Ⅱ 2.51 Ⅱ 3.85X 10 ー 3 Ⅱ 2.51 ー 6.04