キュー - みる会図書館


検索対象: SFマガジン 1980年7月号
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1. SFマガジン 1980年7月号

「あそこにフアムプーンの黄金が二袋あるが、あれはまたおれの黄 金といっても通るんだ。なにしろ、おれはこの巨体に不可欠な付属 物だからな。あの中から、おまえのタースとおなじだけの価値のあ る黄金を、出してくるがいい」 ゲームは始まった。パルシファーは最初のゲームに勝って大喜び し、つぎのゲ 1 ムに負けて、さんざん愚痴をこ・ほした。それからの 。ハルシファーは連戦連勝、ついにキ = ーゲルは賭け金が底をついた ことを白状した。 「きみはまったく強い ! こんな好敵手にめぐりあえたとはうれし いよ。しかし、上の廟堂に置いてきたタースの袋がここにあれば、 きっときみをうち負かしてみせるんだがな」 得意満面で、すっかり気が大きくなったパルシファーは、キュー ゲルの負け惜しみを一蹴した。 「おまえがいくらがんばっても、勝ち目はないさ ! ほら、賭け金 を返してやる。もう一度はじめからやろう」 「いや、それでは勝負師の名がすたる。わたしはお情けにすがるつ もりはないよ。この問題の解決法を提案させてくれ。上の廟堂に は、わたしのタースの袋だけでなく、砂糖菓子の包みもある。それ をたいらげながら、ゲームをつづけてはどうだ。こんどは、前のよ うには勝たせないそ ! 」 パルシファーは身を乗り出して、フアムプーンの顔を見上げた。 「気持よさそうなようすではあるな。しかし、内臓はひもじくてご ろごろ鳴ってるぜ」 「だいじようぶだ、ぐっすり眠っているよ」キューゲルは言いはっ た。「急ごう。もし、彼が目をさましたら、このゲームはおしゃん になる」 軽妙なウィット、ノンセンス、 ゴミカル・アワション、ドタバ タなどガ巻き起こす抱腹絶倒、 痛快無比の傑作ューモア CDLL ー ¥っ 040 詳地球人のあ荷物 アンダースン & ディクスン / 稲葉・伊藤訳 ¥っ 0 介 0 0 小鬼の居留地 クリフォード・・シマック / 足立楓訳 CeO ¥っ 0 へ 0 0 ア突撃 / かぶと虫部歡 キース・ローマー / 岡部宏之訳 ¥っ 0 っ 10 モ火星人ゴーホー乙 フレドリック・プラウン / 稲葉明雄訳 宇宙創世紀ロボットの旅¥ 27 。 スタニワフ・レム / 吉上・村手訳 ュ っ 0 00 作宇宙兵プルース リイ・ハリスン / 浅倉久志訳 テ 2 一カラー・タイ乙マシーン¥ 32 。 リスン / 浅倉久志訳 ハヤカワ文庫 LL 279

2. SFマガジン 1980年7月号

・スキャナーアシモフの自叙伝 ・スターシップ・ライフラリイ@ ・ア・ラ・カルト⑥・・クライン他 ・サイエンス・トピック甦るか泉湾 ・レピュウ 鏡明 / 川又千秋 DIMENSION O 世界 c-0LL 情報・ ・田てればーと・ 9 ・ ハロー・ファングループ : I-L マカジン・アンケート・ 第七回「ハヤカワ・コンテスト」応募規定・ ØLL マガジン・バックナンバーのお知らせ 怪男児キューゲルの大冒険ー 十七人の乙女 第六回「ハヤカワ・コンテスト」発表 コンテスト佳作作品 一人で歩いていった猫 題名未定新コラ乙⑩ センス・オプ・ワンターランド〇番外篇 ◇連載◇銀河旅行と特殊相対論 一章 8 インデックス文明への挑戦ーをカード化する話ー リータース・ストーリイ ^ 豊田有恒選・評〉 難波弘之のトラック・ダウン⑤ クリコン娵小別・レポート ◇特集◇ヴィジュアル・ガイド スター・トレッワ・ワールド / 小 林 島 梓 ス タ 池安 安 ネ自 月下見田 ; 田 象ー照ぬ 仁ニ均え均 236 幻 9 238 16 242232 128 14 120 ン ヤ 浅ク 士ア 訳ス 250 0 大原まり子 鏡明 角田純男 石原藤夫 4 難 波 弘 之 241 234 86 イラストレーション 金森達依光隆 岩淵慶造畑田国男 角田純男加藤直之 佐治嘉隆高信太郎 宮武ー貴城ノ内あずま 表紙 加藤直之 目次カット 宮武ー貴 扉・目次レイアウト安藤三香子

3. SFマガジン 1980年7月号

。ハルシファーはためらった。 「あれは、もうすぐ西に沈もうとしている、年老いた太陽の光だ 「フアムプーンの黄金をどうする ? 不用心で、ここに残しておくよ」 わけにはいかん ! 」 「どうもそっとしないな。いいから、早くおまえの仕事を片づけ 「では、し 、つしょに持っていこう。そうすれば、し 、つときも見張りろ。おれは急に心配になってきた」 を怠らずにすむ」 「ああ、急いで片づけるとも」 「わかった。袋をこの壇の上に置いてくれ」 低く傾いた太陽は、拱門を抜けて、一条の光をまともに祭壇に浴 「さあ、これでよし、と。どうやって上に昇るんだね ? 」 びせかけた。キュ 1 ゲルは巨大な椅子のうしろに回ると、フアム。フ 「椅子の肱掛けの横にある鉛の玉を押すだけで、 ししオカ、よけし ーンの目を守った二つの覆いをとりはずした。乳白色の眼球が日ざ な騒ぎを起こしてくれるなよ。見慣れぬ場所で目を覚ますと、フアしを受けて、きらりと光る。つかのま、フアム。フーンは静かに坐っ ムプーンが大荒れするかもしれんからな」 ていたが、とっぜん筋肉が節くれだち、両足が痙攣し、ロががっと 「これだけぐっすり眠っていれば、だいじようぶだ ! さあ、昇る開かれ、そして爆発にも似た音がほとばしり出た。耳をろうする叫 びといっしょに、パルシファーの体は前に突き出され、烈風の中の旗 キ = ーゲルはボタンを押した。壇が身震いし、軋みを立て、それのように震えた。祭壇から躍り出たフアムプーンは、前につんのめ から彼らの頭上に。ほっかり開いた暗い縦穴に向かって浮きあがっ 、廟堂の床をごろごろと転がったが、天地を揺るがすような怒号 た。まもなく彼らは、キ = ーゲルが斜路を落ちてきたときに出会っは終始やまなかった。ようやく起き上ると、巨大な両足でタイル賭 たのとおなじような、収斂質の弁を突き破った。とたんに、深紅のりの床をどすんどすんと踏みしめ、あっちこっちへ跳びまわったす 微光が縦穴の中にさしこみ、その一瞬後には、すーっと壇がとまっ え、まるで紙でできているかのように、石の壁を突き破った。広場 て、フアム。フーン廟の祭壇とおなじ高さになった。 の親切一族は、その場に立ちすくんだ。 「さてと、タースの袋を取ってこよう」キューゲルはいった。「あ キ、 = 1 ゲルは、二袋の黄金を手にさげて、脇の出口から廟堂を抜 れをどこに置いたつけな ? たぶん、あそこだ。見たまえ ! あのけ出した。つかのま彼は、フアムプーンが太陽にむかって両手をふ 大きな拱門のむこうにあるのが、ルマースの中央広場だよ。ほら、 りまわし、わめきながら、広場を駆けまわるのを見まもった。。ハル 親切一族がいつものように往き来している。どうだね、これを見た シファーは必死で二本の牙につかまり、怒り狂う魔王の舵をとろう 感想は ? 」 としていたが、魔王のほうはそんな制止に耳もかさず、都を横切っ 「なかなか面白い。だが、おれはこういう広い見晴しは苦手なんて東へ突進した。たちまち樹々は踏み倒され、家々は、まるで最初 だ。実をいうと、目まいがしてきた。あのものすごく眩しい、真赤から存在しなかったかのように、はじけ飛んだ。 な光の源はなんだ ? 」 キーゲルは足早やにイスク川の岸辺へとくだり、桟橋の上に出 280