宇宙船 - みる会図書館


検索対象: SFマガジン 1980年9月号
63件見つかりました。

1. SFマガジン 1980年9月号

・わがシャーロッキア」ナ 予 \ 九〇〇 中川裕朗 われらが愛すべき名探偵ホー乙ス について、ユーモラスな論理が導 き出すむつの意外な結論。ほガに 痛快ハロテイ「地獄のホー乙ズ」 才創太美長第 0 る平し島 12 り S M 洋い良巻 F 博の人 チ士小間ラ第 ツの島だ訳 1 0 回ヒ . ク異でけ ・常人が ハな工住 ー執人む本ル ド念間楽 ボをを園 予 イ描次を ノレく々 ! 九 ド鬼と く好評発売中〉 ■好評発売中 J ・ G ・パラード / 浅倉久志・他訳 R ・ A ・ノ、インライン 愛に時間を Y 2500 ウアーミリオン・サンス地球帝国・ , , = リングワールド L ・ 何処とも知れぬ砂漠の避暑地ヴァー Y 図 00 ーサンズ。その地に集う人々の様々なドラマを、 R ・ゼラズニイ 光の 王 Y に 00 鬼才が繊細な筆致で描いた連作短篇集 \ Ⅱ 00 N ・スビンラッド 鉄 夢 の Y に 00 ■近刊 亥リ目・エフレーモフ 丑 の パリイ・ N ・マルッパーグ / 黒丸尚訳 絽 00 宇宙のランデヴー A ・ C ・クラーク アポロの彼方 Y 田 00 ム ン 工 Y に 00 所有せざる人々・ K ・ル・グイン 00 他 1 6 点 0 、 海外 SF ノヴェルズ レ くジョン・ w ・キャンベル記念賞受賞作〉第一 次金星探検隊に何が起こったのか ? 船長は消 え、唯一の生存者は狂気に陥っていた ! 予Ⅵ 000

2. SFマガジン 1980年9月号

その点アメリカのほうは金持ちケンカせ むろん総合力では比較にならないが、イである。 マージャンやスタートレックのゲームな ずー・ー・のようなところがあって、実利があギリス人的な行き方というのもまた、ひと どではめったに使わない方法だと思うの るとはっきりしてから腰を上げるようなとつの立派な生き方であろう。 ころがある。 それだけに私は、アメリカの真似は多少で、掲載したのだが、むろん自信はない。 と まあ、こういうこともやりました はやむをえないが、イギリスの真似はあま いう話である。 丁日 りしたくない という個人的感情がつよ イギリス人の先駆性をほこるムードの中 に、その裏がえしとして、自国の真似をす 先月号の星虹と星界の移動について、す る国を軽べっする気持ちがことのほか強い こし説明不足のところがあったかもしれな # 丁ラ ことを知っているからだ。 技術の問題だけでなく、ニューウェーヴ それは、星界が前へ前へと移動するとい の っても、ドップラー効果によって光の波長 などの問題についてもそういうことが き A 」 言えるような気がしている。 がかわるので、星虹の部分以外は人間の眠 し という疑問 には見えないのではないか 2 * 算 5 竹 についてである。 , 21 この疑問は、私の周辺の何人かの知人か ここでとっぜん思いだしたので、もうひ ら出された。 とっゾログラ人をご紹介しておく。付図 4 である。 このことに対する私の推理の一部は八月 5 、 ロ凵 " ー様 これは、先月号の図 4 『太陽の異様な拡号にも記しておいたが、ただこれまでのと ミ 1 7 リ・ 一の大』の計算をしたときのプログラムであころ、星虹より前の部分がどのていど明る 陽 る。 くなるかについての定量的な答は出してい 太 あの計算は、恒星船のスビードが光速に そのため、イラスト担当の宮武さんには くらべて、シックス・ナインとかテン・ナ 汽ロ . ー 4 iX を一 4 っ ~ 1 Z ー / 工図 インとかいったふうに、とてつもなく接近申しわけないことをしてしまっているが、 ーリ = ド、 2 Z 日付 しているときのものだったので、ふつうの現在この問題について言える最低限のこと は、つぎのとおりである。 精度では答が出ず、倍精度というやりかた まず をした。 ら当ららら・ ( こ朝当ご ①宇宙には可視光にビークをもっ星より 記号のあとに # 印がついているのがそれ 1 2 3 4 5 十 7 :

3. SFマガジン 1980年9月号

「滑稽国滑怪戯事抱腸録」表紙 これが、なんとも腹だたしい。その連中がどの政党を舞台にした、まことにハチャハチャな的 ( ? ) 政治 支持していようと、そんなことは勝手だが、・ほくが支持 ( ? ) 小説 ( ? ) を紹介してしまうのだ。 この「日本こてん古典」、これまでにも、ずいぶ していないからといって、アホだの・ハ力だのといわれる ん、ハチャハチャな作品を紹介してきたが、それは、た 筋合いはない。 どうも、世の中には、この手の連中がいつばいいて困いてい現在から評価してのことだった。 例をあげると、『炭素太功記』の作者は、この作品を ってしまう。自分の意見を主張するのは、いっこうにか まわないのだが、それを認めないと、アホといって怒り理科と歴史の知識を同時に青少年に修得させる目的で書 いたのだし、『人身体内政事記』は、一般大衆の医学知 だす連中。これ、なんとかならんのだろうか。 たとえば、「日本こてん古典」はつまらん、くだ識普及を目的としていたし、『宇宙の統一』は、宗教団 らんというのは、これはしようがない。その人がそう思体の p•-æ目的をもっていた。 いずれも、作者はハチャハチャ小説を書くつもりで書 うのだから。ところが、それをおもしろいといってくれ いたのではない。至極まじめな目的をもって書いた結果 る人を捕まえて、おまえはアホじゃというやつね、こう : 、たまたま現在から見るとハチャハチャのカテゴ いうのは死刑がしし だんだん、話が横道にそれていくが、ふだん、あまリーに含まれるということなのだ。 り、政治に関する発言はしないことにしている・ほくが、 ところが、今回紹介する骨皮道人 ( 表紙には滑波道人 こんなことを書けば、もう、賢明なる読者も、賢明じゃとある ) 作「滑稽国滑怪戯事抱腸録」 ( 明治一一十四年 / ない読者もおわかりだろう。そう今回の一発目は国会を雙枝堂 ) という作品は、このぼくもびつくりの、正真正 銘のハチャハチャだ。作者がハチャハチャを書こうとし て書いたハチャハチャなのだから、なんとも、ハチャハ まずは、その自序なるものを読もう。 か地書を讀で出鱈目と謂ふか、避か此書を讀で出旗 ではうだいだうじん でたらめだうじん与、い 題と謂ふか、出鱈目は道人の得意なり、出放題は道人 じまん ーうじんでたらめよっめしーくではうだい りぐ、「距鱈目出放。を並・〈も レきには非ずして、蟻も避くのしから娯 でたらめではうだいもとたづ せうちはづ 笑痴の筈なれども、併しこの出鱈目出放題の元を尋ぬ しか 僵 : : : ロ 65

4. SFマガジン 1980年9月号

0 0 0 0 すほど、恒星船の進行方向へと伸張し、そ それが図 ( 一三ページ ) である。 してタテの直線は曲線状になる。 この場合も図と同様に、恒星船の向き また、恒星船の・フリッジから遠方にある は左方であり、ス・ヒードは光速の九〇パ 部分ほど、変化がはげしいらしい セント、九五パーセント、九八。ハーセント うことも観察できる。 の三種である。 ただし、これらの図は、・フリッジにある また、恒星船の・フリッジからの距離は、 け だるスクリーンに投影された図形ではない。 外円の直径を一としたとき、〇・一二五、 一見このような物体がそこにあるかのように〇・二五、〇・五の三種類をとっている。 0 て見えるであろう , ーーという図形である。そ 相対位置も図と同様で、静止時の中心 直がの点は誤解のないようにお願いしておきたである・印が、真横方向に来るようにして 垂曲 ある。 面う もともと視点の定まった人間の物の見方 変形のようすは、やはり恒星船の進行方 紙よ , のをあらわすのは、たとえそれが二次元の図向に片寄り、かっ遠方ほど変化が大きくな き図 っている。 であったとしても、厳密には不可能なので し J るある。 もとの円はすべて横長に伸ばされた形を あ ( 図から、タテの直線が曲線に変化してい しているが、その形を正確に計算すると、 るのがわかるが、これは、どの形も″双曲すべて″楕円であることがわかる。 ナる ナす線″になっている。 つまり、視線と垂直な平面ーー紙面と平 が過 行な面ーーにおける円群は、みな楕円群に 船通さらに一般的に、視線方向に水平な面ー 0 宙をー紙面に垂直な平面ーー・は、ニ葉双曲面に変貌するのである。 = 宇所 い場変化していることが、先月号の付録の式か ( さらに一般的に、原点を中心とする球面 長た は回転楕円面になるが、これはあまり実際 細れら、みちびける。 4 まあ簡単に、タテの直線は双曲線に変化的な話ではない。恒星船が宇宙人の立体ク 図するーー、と覚えておけばよいだろう。 モの巣にとり囲まれたような場合には適用 これが、格子模様に関する、″高速すれされるかもしれないが : : : ) ちがい物体の相対論的変形の定量的作図 クモの巣状円群に関する、″高速すれち である。 がい物体の相対論的変形″の定量的作図結 つぎに、格子模様と同じくらい基本的な果は、以上のとおりである。 図形である円群について作図してみよう。 (a) 静止 ー 03

5. SFマガジン 1980年9月号

恐い恐い夢だったよ。 その頃には最初の抵抗はきれいに失せちまっていた。何せ、この 気がついたのは宿舎の自分のべッドの中だった。たぶん先輩たち原住民たちは、外見こそ人間と似ているが人間とは別種の生きもの が運んでくれたに違いない。 なのだと思いこむことに徹してしまっていたわけだ。だから、この 「まだ、製造工程を全部まわったわけじゃないんだそ」 仕事を遂行していくことが地球の人々の生命を救うことになるはず ペッドの脇で先輩たちがにたにた笑いながら俺を見おろしていた なのだと信じきっていたのさ。 のさ。 そうなると不思議なことに仕事に熱が入ってくる。俺は残業をや 翌日から再び地獄巡りがはじまったわけだ。 ってまで職務に没頭していた・ その日は不思議なことに、もう吐き気もめまいもおこらなかっ 血抜き工程の能率がマンネリのため低下してくると、次に腹裂き 工程にまわされた。ここでも同じく、俺は職業的使命感に燃え、原 原住民を酸で生きたまま溶かす工程や、宇宙開発現場で使用する住民の女の腹を裂いて裂いてクヒヒヒヒヒヒヒヒ裂きまくったの 臓器の生体腑分けやらを見て、それから開発研究部へ行った。そこさ。 では工場に輪をかけてひどい所業・ いや実験をやっていたんだやってみて、こんな楽しい仕事は他にないと考えるほどになって が、その話も聞きたい : たんだなあ。 ふうん。あんまり聞きたくないみたいだな。おまえの眉はそんな えつ、休暇だって。いっ トリマンへ俺が帰るのかっていうのか。 前から八時一一十分になってたかなあ。眉の間にたてじわが寄ってた いや、俺はもうトリマンⅦへは帰らないんだ。 かなあ。なんだ気分が悪いのか。 転勤になったわけじゃない。俺、辞表をだしてきてる。 じゃあ、もうその話はよそう。 天寿製薬を退職したのさ。 仕事に満足して楽しかったらやめる必要はなかっただろうに : どの工程の作業を選んだのかって。 とそう言いたいんだな。 そりゃあ、いろいろやったさ。 そりやそうかもしれない。インフ = ルノンという薬を製造するこ 最初の二ヶ月は血抜き工程でさ。慣れというのは恐ろしいものだとによって人類のために貢献していたことになるんだからな。そん よな。はじめは目をつぶ 0 てメスを振りまわして原住民を苦しませな社会的責任さえある仕事をやめた 0 てのはおかしいのかもしれな ていたのが、どうやれば苦しませずに、かっ能率よく / ルマをこな いさ。でも、そうせずにはいられないできごとが起ったためなの せるかと考えるようになっていたんだな。それがだんだんマンネリ になってくると、今度はどうやれば原住民たちがクックククククク あれはトリマンⅦで勤務について八ヶ月目にかかろうとした頃だ ・ : 苦しむだろうと面白くなってきていてね。 ったと思う。 幻 0

6. SFマガジン 1980年9月号

0 恐るべき最終兵器ー ・ハルク / 関口幸男訳三四〇 〈ドクター・フー ーズ〉全宇宙を破壊 可能な最終兵器に関する資料が奪われた : 急遽ドクターはその探索にかりだされたが卩 庫 文 0 トカゲたちの遺産 0 ・ダールトン & ・マール / 松谷健二訳三四〇 〈字宙英雄ローダン・シリーズ〉謎の胞子 ワ のため破滅に瀕したアルコン帝国を救うべく ローダンが企てた異星船の捕獲計画とは ? カ ャ 0 風の十ニ方位 アーシュラ・・ル・グイン / 小尾芙佐・他訳予五六〇 〈ヒューゴー賞 / ネビュラ賞受賞〉魔法の支 配する多島海を舞台にした「解法の呪文」な ど米界の女王が描く珠玉の十七篇を収録 0 中性子星 ラリイ・ニーヴン / 小隅黎訳予五四〇 〈ノウンスペース・シリ ーズ / ヒューゴー賞 受賞〉中性子星探険を依頼された男の、スリ ングな冒険を描く表題作はか七篇を収録ー ニ人の魔法使い ハンコック / 中村妙子訳予 \ 四八〇 〈光の輪①〉魔法使い れ ( プ之、人、幻獣などが徘徊する別 ・世界〈アトラントン地球〉 、》′ゞ・ ) 7 を舞台に、米国期待の新鋭 カ〈光〉と〈闇〉の壮絶な 死闘を描くファンタジィー ・好評発売中 ! e 星を帯びし者 ハトリシア・ < ・マキリップ / 脇明子訳三八〇 〈イルスの竪琴①〉へド国の若 き領主モルゴンの額に浮ぶ三つ 太古の . イの星。その謎をめぐり、 庫 き邪悪な力が蠢きだす ! 米国期 待の新鋭が描くファンタジィー 8 月刊 ワ海と炎の娘 Ⅱ 1 の破壊工作者プラント & フォルツ ハトリシア・ < ・マキリップ / 脇明子訳 \ 三六〇 〈イルスの竪琴②〉すでにモル ・ディックス ダレク族の逆襲ー ゴンは殺害されていた卩この の ・ O ・クラーク 悲報を胸に、モルゴンの婚約者 白鹿亭綺譚 レーデルルは、事の真相を究明 浅倉・伊藤編 空は船でいつばい すべく自ら旅立つのだが : 、当ルスの響・ 星を帯びし者 ・、トリン′・ A ・マキりププ第第・駅 ・、トリレ′・ 4 ・マキリツア第・一を

7. SFマガジン 1980年9月号

の〈ヴァーミリオン・サンズ〉を書いて ・ (..5 ・ハラード著 いる作家もいるという。さもありなんと 思う。と同時に、どうかな、とも思う。 おそらく私が最初に読んだのは『プリ ュ『ヴァーミリオン・サンズ』 マ・ペラドンナ』だったと思うが、それ 森下一仁以来、ヴァーミリオン・サンズの「風 景」は憧憬の対象であり続けている。 石待望の連作集である。 ラードの他の作品を読む時にも、いっカ第一ー ( 第、′ ( 【 ( 。 ( ~ # この本を手に入れた時、別の小説を読ヴァーミリオン・サンズの面影を探し求的な姿を思い浮かべようとすると、それ みかけていたので、そちらを読み終わっめている自分に気付く。分野は異なるのばかり気になって、目は文字を追いなが てから、と思って置いておいたのだが、 だが、連作の短篇ということでは、これらも、頭は空想の風景をしきりに思い描 どうも気になってしようがない。カ・ハ は私にとっては、ヘミングウェイのニッ いている、というようなことになってし に描かれた「コーラル A の雲の彫刻師』ク・アダムズものと並ぶくらいの、愛すまう。まあこれは、シ、ル・レアリズム の絵が目にはいるたびに心がときめく。べき作品群なのである。 の流れを汲む・ハラードの文体の特徴なの とうとう我慢しきれないで、先に、・ ( ラ読み始めて気付いたのは、自分がかなだろうが、おかげで登場人物たちが何を ード自身の書いた『はじめに』というヴり勝手にヴァーミリオン・サンズのイメ思い、何をやっているのかを読みとるこ アーミリオン・サンズを説明する文章と ージを作り変えていることだった。色彩とがおろそかになりがちで、同じ行に何 解説とを読んでしまった。 は思っていたよりもずっとケ・ハケ・ハしい度も目を走らすこともたびたびであっ このシリーズにほれこんでいる人は多し、地形もかなり凹凸に富んでいるようた。どんどん読み進めるのでなく、一語 いと思う。あの野田宇宙軍大元帥が「絵」だ。その原因はどうやら、印象的であり一語のイメージを確かめながら、頭の中 を感じてしびれていることは有名だし、ながらもかなりそっけない描写にもありに物語を組み立ててゆく作業を強いられ ジ = ディス・メリル女史が地図を広げそうで、「火山の密林の彩られた火口丘るわけだが、そういう点も、好きな理由 て、ヴァ 1 ミリオン・サンズはきっとこのように」そそり立っメサの群、などわのひとつに挙げられそうだ。 のあたりにちがいない、とひとりで思 ~ いかるようでよくわからないし、「白い 読み終わって、特に感じたのは、喜劇 こんでいる図を想像してみるのも、なんゴダに似た瑁瑚塔」や「裏返しの回廊」色が強い作品がかなりある、ということ だかおかしい。解説によると、自分自身のような砂礁脈、といったものも、具体だった。このことには今まであまり気を 権独占・一 狂気の愛、砂漠の海 ! 第と、と意分する砂漢 リゾート、ヴァ・ - ・ミリオン・サンズ 才が技くキゾテックな道物駕 !

8. SFマガジン 1980年9月号

で、工場の作業員たち皆が、すべてを知っていたことに気づいた けた。 それは若い原住民のカップルだった。眠を閉じ、抱き合った男女のさ。でもなきや、素面で原住民狩りなそできるものじゃないんだ。 が浮揚を続けているのだ。数百人の差しだした手に導かれるように あの、空に浮かび宇宙の果てに消えていった原住民のカップルは 少しずつ少しずつ垂直に上空へ昇っていくのだ。 いずれ、どこかの星に漂いついて繁殖をはじめるのだろう。あるカ : でも、あるカツ・フル 他の群に照明を向けた。そこも同じことが起っていたのさ。それップルは恒星に吸いこまれたかもしれない : は宗教的な光景としか言いようがないわけで、俺は思わず跪いてしが地球にたどりつき、地球人の祖先にならなかったと誰に言えるん だ。おまけにインターフェロンってのは種特異性があるんだ。人の まったほどだ。 俺の周囲では天寿製薬の作業員たちが、インフ = ル / ンの材料集インターフェロンは人にしか効かないんだ。 だとすれば、インフェルノンを製造し、それによって生命を永ら めに悪鬼のごとき形相で奮闘している。 いや親殺しじゃな 再び、一番近くの原住民の群の上空にライトをむけてみた。宙空えている地球人というのは、とんだ祖先殺し : いか。というより創造主・ : ・ : 神殺しということになってしまう。 の原住民のカップルは青い透明な球状のものに包まれているかのよ この考えは耐えられなかったね。 うに見えた。それから上昇速度を速めていき数分後には遙か上空の 彼方へと消え去ってしまった。 そう悟ったらいても立ってもおられずに、すぐに辞表を出してし それから、目的を終えた原住民たちはどこかへ最初と同じく消えまってこうして地球に還ってきちまったというわけさ。 これでもやはりインフェルノンを服用する気になるかい。 去ってしまっていたのさ。残ったのは広い広い草原ばかり。 それで、俺は天寿製薬をやめた。 へ工。やはり話さずに黙っといたほうがよかったかも知れないな。 よく意味がわからないって。 えつ、これからの俺の身のふりかたか。心配してくれなくてもい えつ。地球人に虐待され続けて、原住民がトリマンから逃げだす いよ。ちゃんと決めてきた。 方法を考えついたのだろうって。 ちがうんだなあ。 安楽製薬という、やはり製薬会社でな、インフェルノンよりよく 俺も最初はそう思った。しかし、ロを閉ざしていた先輩がようや効くへルキルシンという薬を製造しているそうだ。これが、製造工 く話してくれたんだ。 場がーナードⅡにあってな。そこの原住民というのがまた : トリマンⅦの原住民たちは何億年も昔から、年に一回あの行為をや、心配ない、心配ないって。そこの原住民が地球人の祖先である くりかえしていたのさ。種を他の星系に繁殖させるための儀式を : ・可能性はまったくないんだ。だから、いくら残酷な製造法をとって 。儀式というより、それはその原住民たちの本能であり、存在意いようと、いまの俺にはいひひひひひひひひひひひひひ・ : 義だったんたな。 だから今後はヘルキルシンをよろしく。 2 に

9. SFマガジン 1980年9月号

るのに、塔とはできないというのよ、 。いったいどうしてなのかを説 明してくれ。それが終った頃には、何か新しい知らせがあるかもし れん」 マクシーヌのやや憤然とした映像がスクリーンから消えると、作 業本部の十分に組織された混雑の方へ再び向き直ったモーガンは、 事態のあらゆる側面を、できるだけ先入観を持たずに考えようとし た。中間点ステーションで自分の責任を有能に果している安全責任 者からは丁重に拒絶されたが、自分にも何か有益なアイデアが思い つけるかもしれなかった。何か奇蹟的な解決法があるとは思わなか ったが、自分はこの世の誰よりも塔のことを知っているのだーーウ オーレン・キングスリーは例外かもしれんが。おそらくウォーレン は、細かい点については、もっとよく知っているだろう。だが、全 体のイメージについては、自分の方がずっと明確なのだ。 宇宙工学史に未曾有の状況のもとで、七人の男女が空の上で孤立 している。安全な場所へ連れだす方法があるにちがいないのだ 二酸化炭素にやられたり、気圧が下ったりして、部屋が文字どおり 天地の間でマホメットの柩のようになる前に。 任務を果す男 「できるそ」ウォーレン・キングスリーは、喜色満面の様子でいっ た。「スパイダーは″地階″に到達できる」 「十分な補助電池がついたのか」 「うん。だが、ぎりぎりのところだな。昔のロケットのように、二 段構えにする必要があるだろう。電池を使いきったらすぐに、投棄 して死荷重を減らさにゃならん。四百キロぐらいの高度になるだろ 第高千穂遙サイン会名古屋で開催 高千穂遙氏のサイン会は、東京、福岡、熊本と各地で開かれ、既 報のように大変な盛況でしたが、さる七月五日、三省堂書店名古屋 店でも開かれました。 七日の朝に東京を発ち、三省堂書店へ到着した高千穂氏は、本誌 編集部員を率いて地下街へ。名古屋の地理に高千穂氏が詳しいのも そのはず、高校を卒業するまで、名古屋にお住まいだったのです。 地下街を歩く間も、制服を着た高校生が通りかかると「あれはぼく の後輩」といったあんばい。昼食が終ると、とりあえず「ワー ク・ショップ」の会場へ。五十人を予定していた場会には七十七人 ものファンが集まり、席のない方もかなりいました。 ( 写真 ) 高千穂氏も福岡、熊本と つづいて三回目ということ 、・一・《 " で、す 0 かり手なれたも ~ 第第′・・ ~ 】・ . の。本誌編集長がいちおう 司会役ということで同席さ 一・・せていただきましたが、そ んなものが不必要に感じら れるほどの手際でした。 三省堂書店の売り場の一 角に設けられたサイン会場 には、延々長蛇の列。広い 店内のはじからはじまでつ ながってしまい、予定を一 時間もオー ーしました が、それでもサインしきれ ないという有様でした。 ともあれ、高千穂氏の出 身地でのサイン会も盛況の うちに終わりました。 ー 45

10. SFマガジン 1980年9月号

した。「そこが爆発で損傷したかどうかは、わかりません」 るだけの酸素があったとしても、夜明けまでに凍え死んでしまうの まあ、他にも三つ入口があるさ、とモーガンは思ったーーそしでは、何の意味もないのだった。 て、彼に関心があるのは下側にある一対だった。これは例のような「セスイ教授と話したいな」 手直しの一つであって、後になってから設計に加えられたものだつ「直接呼びだすことはできません ″地階″の非常電話は中間点 た。実は、″地階自体が手直しの一つだった。はじめのうち、結ステーションにだけ通じていますので。でも、お安い御用です」 局は地球終端駅の一部になる塔の部分に避難所を作るのは不必要だそれはまったくの真実ではなかった。連絡がとれると、電話に出 と考えられていたのである。 たのは運転手 ( 操縦士 ) のチャンだったのである。 「すみませんが」と彼はいった。「教授は手が離せないんです」 「下面をこちらへ向けてくれ」とモーガンが命じた。 一瞬、あきれたような沈黙があってから、モーガンは一語一語を 塔は光の弧を描いて倒れ、その下端をモーガンの方へ向けて、空 中に水平に浮かんだ。これで、二十メ 1 トル平方の床 ( あるいは、切って自分の名前を強調しながら答えた。「ヴァニーヴァ 1 軌道の建造者たちの方から見れば、天井 ) の細部が、すっかり見えガン博士が話をしたい、と伝えたまえ」 るようになった。 「わかりました、博士ーーーでも、何にもならないと思いますよ。教 北と南の縁近くに、それぞれ独立した二つの気閘に下から入るよ授は学生といっしょに何かの装置をいじっています。それ一つだけ うになっているハッチがあった。問題は、六百キロの上空にあるそが助かったんですーー何かの分光器ですがねーー展望窓の一つから こへ、どうやって到達するかだった。 外を向かせているんです : : : 」 「生命維持装置は ? 」 モーガンは、やっと自制した。彼はもう少しで「連中は気でも狂 気閘は、もとのように構造体の中に消えてしまった。光った強調ったのか ? 」というところだったが、チャンが先まわりをしていっ 個所は、部屋の中央にある小さな箱に移った。 「そこが問題なんですよ、博士」と当直責任者が答えた。「圧力保「先生のことをご存じないんですよーー私は先週中いっしょにいま 持装置があるだけです。浄化装置も、もちろん動力もありません。 したからね。教授はーーーそう、一途な人といったらいいでしようか 運搬車が墜落してしまったのでは、朝まで生きのびる方法は考えらね。自分の装置をもっと取ってくるといって船室に戻ろうとするの れませんね。室温はもう下りはじめていますーーー日没時から十度低を、我々三人がかりで止めたんですよ。おまけに、つい今しがた、 くなりました」 どうせ我々がみんな死ぬものなら、たった一つの装置だけは何とし モーガンは、宇宙空間の冷気が魂に忍びこんできたような気がしてもちゃんと動かすんだ、といったばかりなんです」 た。墜落した運搬車の乗員が全員無事であることを知ったときの歓チャンのロぶりは、彼がひどく閉ロしながらも、この高名で手に 喜は、たちまち消えていった。仮に″地階〃に彼らが数日生きられ負えない乗客にひどく傾倒していることを物語っていた。それに、 ー 42