「わたしをなめるなよ、ミスター・スティー・フンス。保安局はそう 白いあごひげをやや前に突き出して、ほほえんだ。 ーの立場で、料金を払う相手ならだれに 「やはりそうか」ワインボウムは体を前に乗り出した。「きみはデ甘くない。きみの社がフリ ー・フンス ? 」 でも見さかいなく最高機密情報を提供したり、ときには″テスト″ イラック通信機を持っているのか、スティ 「もちろんですよ、大佐。でなくて、どうしてわが通信員が、あなの名目でテレビ解説者に無料でそれを提供したりするのを、政府が たもご存じの敏速さで報告をよこせるでしようか ? 」 黙って見過ごすわけにいかんのは、ご承知のはずだ。たとえ、きみ 「では、なぜわれわれの受信装置が、きみの通信員の放送を傍受しの社が独力であの情報をさぐり出したとしてもな。ついでだが、ま なかったんだ ? ウォルド博士によると、その原理に固有の性質とだわたしはその可能性を完全に除外したわけじゃない。もし、きみ して、デイラック放送は、それを受信するように同調された受信機の社が、こんどのプリンディジ事件のような芸当をいつでもやって 一つの例外もなく傍受されるという。しかも、いまの段階でのけられるなら、こっちも専属サービスを要求しなくちゃなるまい は、そういう放送はまだきわめて少数だから、もし保安局員からのな。早くいえば、お雇い民間人として、わが保安局の片腕になって ものでない通信が入っても、それが探知されるだろうことはほ・ほ確もらうのさ」 「もちろ 「なるほど」スティー・ フンスは父親的な徴笑を返した。 実だ」 「その質問には答えたくありませんな、無作法をお許しねがえるなん、それは予想していましたよ。しかし、わが社としては、外星政 ら」スティープンスはかすかに声をふるわせていった。「大佐、わ府との契約も考慮しなくてはなりません。特に、アースキン星との たしは老人である上に、この探偵事務所が唯一の収入源です。もそれをね。もし、地球政府のために専属で働くとなると、当然その し、調査法を打ち明ければ、わが社だけにあって保安局にはないせ料金には、ほかのお得意先を放棄するについての補償が加算される つかくの強味が、すっかり消えてしまう。わが社の秘密性からくわけでして」 る、限られた自由は残るでしようがね。一流の弁護士たちも、こう「どうしてだね ? 地球を愛する公僕は、政府のためには赤字覚悟 請けあってくれましたよ。正当な認可を受けた以上、あんたは自分で働くものだ。もし、ほかのやり方で働けないとすれば」 の好きな規模で私立探偵事務所を経営していく権利があるし、ま「それはよくわかっていますよ。わたしもほかの契約を破棄する用 た、自社のいわゆる″知的資産″として、調査法を秘密にしておく意は充分にあります。しかし、それだけのものは払っていただきま 権利もある、と。もし、保安局がわが社のサービスを利用したいとせんと」 おっしやるなら、それはそれで大いにけっこう。しかるべき料金を「いくらだ ? 」ワインボウムは、自分が両の拳を痛いほど強く握り いただけば、すべての情報を絶対確実の保証つきで提供いたしましめていることに、とっぜん気づいた。 す。しかし、わが社の調査法は、わが社の財産なのです」 ステイしフンスは、老人特有のゆっくりした動作で美しい白髪頭 をうなずかせながら、じっと考えこんでいるようすだった。 ロビン・ワイイホウムは唇をゆがめて笑った。
短い沈黙が下りた。 な選択、とでも呼んでちょうだい。わたしの第一の選択はーーとい 「よろしいーワインボウムはきびしい声でいった。「話したまえ」うことは、この値段で折り合うということだけどーーー二つの部分に 3 「よろしい、ワインボウム大佐。支払ってくださるなら」ダーナは分れているの。⑧は、わたしを責任ある職員として保安局に採用し 穏やかにいった 9 てもらうこと、そして⑤は、ロビン・ワインボウム大佐と結婚する こと」 ワインボウムはフンと鼻を鳴らした。 。しナ「まだあなた ・「でも、これは真剣な話ですよ」ダーナよ、つこ。 ワインボウムは思わず椅子から立ち上がった。両方の耳から三十 は、わたしがデイラック通信機についてなにを知っているかを知らセンチもの銅色の炎が噴き出したような気分だった。 「でたらめもいいかげんに ない。わたしは強制されても口を割らないわ。投獄の脅しや、その 」そこまでいいかけて、あとの言葉 他どんな種類の脅迫にもね。つまり、あなたがこれからわたしを投がつづかなくなってしまった。 獄したり、自白薬を使ったり、そういう種類のことはなにもしない 彼の背後の、ウォルド博士が立っているあたりから、不明瞭に押 のを、わたしはすでに事実として知っているのよ。それどころか、 し殺されてはいるものの、どうやら北欧風の高笑いらしいものが聞 あなたがわたしに支払いをするだろうことも、事実として知ってい こえた。 るーーだから、わたしがよほどのまぬけでないかぎり、あなたが支ダーナ自身もかすかに微笑しているようだった。 払わないうちは、一言もしゃべらないわ。なにしろ、あなたがこれ「わかるでしよう、わたしは出会う男性に片つばしからこの膝こぞ から買うのは、たいへんな秘密なんですからね。いったんわたしが うで必殺の狙いをつけるわけじゃないわ」 その秘密を話せば、あなたを含めて保安局ぜんたいがわたしとおな ワイイホウムは、もう一度ゅづくりと慎重に腰をおろした。 じように未来を占えることになる。そしたら、この情報は、わたし「答えてくれ、ミス・ リエー。きみがーーーっけひげの変装も含めて にとって一文の価値もなくなるわ」 手のこんだイカサマを演じたのは、この無愛想な薄給の役人に ワインボウムは一瞬あきれてロもきけなかったが、ようやく気を対する燃えるような情熱のためだと、そうわたしに信しさせたいの とりなおした。 かね ? 」 「ダーナ、きみの心臓には毛が生えているらしいな。その膝こそう「それだけじゃないわ。いまもいったように、もう一つ、保安局に に透明な照準装置がくつついてるだけじゃない。はっきりさせてお入りたいという理由があるのよ。でも、大佐、あなたにはまったく くが、未来がなんといおうと、わたしはきみに政府の金を払う気は思いもよらないらしい、ある人生の真理を突きつけてあげましよう ない。いまの政府のやり方からすれば、あんな値段は問題外だ。だ か。わたしが未来をくわしく占えること、そして、もしそれが可能 いたい、あの値段は本気なのか ? 」 だとすれば、未来はすでに決定されているということを、あなたは 「ええ、かけ値なしょ : : : でも、あれはいわば代案だわ。第二次的事実として受け入れられます ? 」
「トールがどうやらそれを受け入れている以上、わたしも受け入れこれはなによりも不快な発見だったわ。わたしが完全にそれを受 てもいいと思うーー・・暫定的には」 け入れるようになるまでには、まだ長い年月が掛かりそうだし、あ 9 なたもそうでしよう。ウォルド博士は、もうすこし適応が早いと思 「これには暫定的なところはすこしもないわ」ダーナはきつばりと この仕掛けうけど。とにかく、すべてはそういうことだと、いちおう知的にな いった。「ずいぶん前だけど、はじめてこの を作り上げたとき、わたしが最初に発見したのは、いずれそのう っとくできたとき、わたしは自分の正気を守らなくちゃならなかっ ・スティ ーブンス″との一人二役をやたわ。自分がこれからすることを変えようがないことは、もうわか ち、自分が″・シェルビー っている。でも、自分を発狂から救うために、少なくとも動機だけ ってのけ、むりやりに保安局のスタッフに割りこみ、そして、ロビ ン、あなたと結婚するだろう、ということだったわ。そのとき、わは補充しなければ。それとも、別の言葉でいえば、自分の行動を正 とうやら自由らしいわ。 たしは驚くといっしょに、ものすごい反撥を感したの。わたしは保当化する説明をね。そうすることだけは、・ 安局なんかに入りたくはなかった 9 「「ース解説者としての自由な観察者の意識は時間の進行に乗っかっていて、つぎつぎに起こる出 でも、感想を述べ、説明し、言い 生活が、気に入っていたから。わたしはあなたと結婚したくなかっ来事を変えることはできない たとえばひと月かそこら 訳をこしらえることはできる。それだけでも幸運だったわ。わたし た。もっとも、しばらくのあいだ たちが個人的な生きがいと考えているものを、まったく取り去られ あなたと同棲することは、嫌じゃなかったけれど。それに、なによ た物事の運行に身をまかせるなんて、だれにもしん・ほうのできない りも、この一人二役のお芝居が、ばかばかしくてならなかったわ。 ことですものね。 でも、その事実からは、目をそむけることができなかった。わた しはやがてそれらのことをする運命にある。ほかに選択の余地はな そこで、わたしは自分のために明らかな動機をこしらえはじめた つごうのいい″時の枝分れ″とか、そこで未来を変えられるよの 9 自分があなたと結婚する運命で、そこから逃れようはない以 うな決断の時点とか、そんなものはいっさいない。わたしの未来上、わたしはあなたを愛していると、自分になっとくさせる努力に は、あなたの未来、ウォルド博士の未来、そしてほかのみんなの未とりかかった。いまは本当に愛しているわ。自分が保安局のスタッ 来とおなじように、すでに決定されている。わたしがこれから自分フに加わる運命である以上、わたしはその仕事が一一ユース解説より もすぐれている点を片つばしから数え上げ、それがかなりのリスト のすることに対して、ちゃんとした動機を持っていようといまい と、そんなことはなんの関係もない。・ とのみち、わたしはそうするになることを知ったわ。これらがわたしの動機なの。 のだから。わたしが自分自身を見るかぎりにおいて、因果律はまる でも、最初のわたしは、そんな動機を持っていなかった。事実、 で存在しない。ある出来事のあとに別の出来事がつづくのは、すべ行動の背後にはなんの動機もないわ。すべての行動は、あらかじめ ての出来事が、物質とエネルギーがそうであるように、時空間の中決定されている。わたしたちが動機と呼んでいるものが、無力な観 で破壊不能であるからです。 察者である意識が作り出す理屈づけなのは明らかだわ。この意識
「それは社員たちとも相談してみなければなりません。しかし、具 しかし、いずれわれわれの技術はきみに追いつく。もし、きみに 体的な交渉に入るまで、暫定的に、保安局の現在の年間予算と同分別があれば、われわれと良好な関係を結び、政府からの最も確実 額、ということでいかがでしようか」 な収入を保証され、個人的にも充分な尊敬を受けることができただ ワインボウムは目をいからせて、さっと立ち上がった。 ろう。だが、こうなった以上、検閲は免れない それがどれほど 「このごうつくばりめ ! 一民間会社に局の年間予算額を使えるは屈辱的なものかをまだ知らんだろうが、わたしがそれをわからせて ずがないのは、百も承知だろうが ! われわれのために働いているやる。もう、ダーナ・リエーにも、ほかのだれにも、ニュースの提 民間会社の大半が、コストプラス方式で契約しており、民間の管供は許さない。わが保安局以外の依頼人にきみが提出する報告書に 理職たちが、自発的にたった一クレジットの年俸で奉仕しているこ は、一字一句までわたしが目を通す。わたしにとって役に立つ情報 とを考えてみろ。きみは自分の政府から一時間二千ドル近い報酬をはすべて利用し、それに対しては一語一セントの法定料金を払うー 要求し、同時に、その政府から法的保護を受ける権利があると主張ーが匿名の情報に対して支払うのとおなし料金率だ。わたし している。それも、なんのためかといえば、アースキン星の狂信者が役に立たないと認めたものは、・ せんぶ握りつぶして使用許可を与 えない。 : どもの入札価格をつり上げるためだ ! 」 しすれそうするうちに、われわれはきみの使っているよう 「法外な料金ではありませんよ。わが社のサービスには、充分それな改造型のデイラック装置を完成するだろう。そのあかっきには、 だけの価値があります」 きみは一文なしになり、だれからも哀れんでもらえないそ」 「そこがまちがいだ ! 問題の装置の発明者本人が、われわれのた ワインボウムは自分の激昻ぶりにわれながら驚いて、つかのま言 めに働いているんだそ。きみの要求額の半分以下で、きみが虎の子葉を切った。 にしている応用法を見つけてみせるーーーそれはいまここで断言して スティ ー・フンスのクラリネットに似た声が、窓のない監房の中に ひびきはじめた。 「危険な賭けですよ、大佐」 「大佐、わたしもそれを疑いはしませんよ。あなたはわたしに対し 「かもな。いまにわかるさ ! 」ワインボウムは、相手の穏やかな顔てそういう処置をとれる。少なくとも不完全にはね。しかし、それ をにらみつけた。「ミスター・スティー・フンス、残念だが、きみがは実を結びますまい。ここで、あなたに一つ予言をお教えしましょ 自由の身であることを知らせなくちゃならん。きみがあの情報を非 う。お代はいりません。わが社のすべての予言とおなしく、的中の 合法手段で入手したことは、とうとう証明できなかった。きみが所保証つきでね。その予言とはこうですーーーあなたがたは絶対にその 有しているのは機密情報であって、機密文書ではない。そこからど改造型を完成できない。いずれは、わたしが、こちらの条件に基づ のような専門的推測を引き出そうと、それは市民としてのきみの特いて、それをあなたに渡すことになるでしよう。しかし、あなたが 権だ。 たがそれを完成することは絶対にないし、また、わたしに口を割ら 9 2
つのでは困るからなんだ」 の信用を置くかは、彼女がいうところの、未来を占う方法にかか : しオ「ロビン、そのリークはマ ている。もしそれが疑いの余地なく実証されれば、残りも完全に信「公平なところね」ダーナよ、つこ。 用できるものになるーー・哲学を含めたすべてがだ。もし、実証されガレット・ソームズよ。彼女はアースキン星の秘密情報員で、決し なければ、あとに残るものは、みごとな一人二役の演技と、それにてうすのろじゃないわ。高度の専門教育を受けた技術者です」 エーの独創とはいえない 加えて、首尾一貫してはいるが、ミス・ 「ちくしよう、そうだったのか」ワインボウムは驚きを声に出し こ 0 形而上学だけになるだろう」 きみの正体が判明したこと 「じゃ、もうずらかってるな 「まるでわたしがコーチしたみたいに、すてきな要約ぶりですわ、 を、最初に知らせてきたのはあの女なんだから。しかも、わざと逮 ドクタ ・ウォルド。もう一つだけ指摘させてください。もし、わ捕命令を出すのを遅らせて、逃亡の時間を稼いだ」 たしが未来を占えるなら、・シェルビー ・スティー・フンス″は「そのとおりよ。でも、あなたは彼女を捕まえるわ、あさってに。 一人の現地調査員を雇う必要もなく、また、あなたがたにキャッチこれで、もうあなたは釣針にかかった魚ね、ロビン」 トーレ・ウ - オレ・ト・、、 ノカまたもや押し殺したような笑い声をもらし されるおそれのあるデイラック・メッセージも、一度も送る必要は こ。 なかった。彼としては、絶対に無謬とわかっているデータをもと に、予言をするだけでよかった。民間スパイ組織がそこに関わり合「喜んでその運命を受け入れるよ」ワインボウムは照準器つきの膝 う必要は、まったくないんです」 に目をやりながらいった。「さて、どうやってその占いをやっての 「それはわかる」ワインボウムがいった。「よろしい、ダーナ、こけるのかを、話してくれないか。もし、それできみのこれまでの主 ちらの提案を出そう。わたしはきみの話を信しない。きみのいうこ張がすべて裏づけられるなら、きみを保安局に迎え入れることに との大半はたぶん真実だろうが、全体としては誤りだと思う。だがも、また、きみに対する告訴をすべて取り下げることにも、わたし 一方、もしきみの話がすべて真実だとすれば、きみが保安局のスタが責任を持つ。もし、裏づけができなければ、たぶん鉄格子のすき ッフに加わる価値はたしかにあるーーーかえってきみをスタッフに加まから花嫁にキスをすることになりそうだ」 ダーナはほほえんだ。 えないほうが、恐ろしく危険だろうーーそして、結婚のほうはどち らかといえば小さな問題だ。きみとわたし以外にはね。だから、そ「秘密はごく単純だわ。それはあのビーゾの中にあるのよ」 ワインボウムはあんぐり口をあけた。 っちは付帯条件なしで承知する。きみもそうだと思うが、わたしも 「ビー・フ ? というと、あのやかましい、デイラック・ノイズか ? 」 買収はされたくない。 そこでだーーーもし、きみがリークがどこにあるかを教えれば、そ「ええ、そう。あなたがそれに気づかなかったのは、あのビープを ただのやかましい雑音だと思っていたからよ。あなたはミス・ソー っちの質問は終わったことにしよう。この条件は、売り値のつもり じゃない。婚約する相手が、一カ月以内にスパイとして銃殺されるムズに、テ 1 ゾを届ける前にあの音を・せんふカットするように、と 3 4
ワインボウムは手みじかに物語り、最後にこうしめくくった。 トアをくぐって自分のオフィスへ入ろうとする彼の背後から、マ 「なによりもまずいのは、スティー・フンス自身がこう予言したこと ガレット・、 カ上品ぶった口調でいった。「ええ、なりますとも」 ・こ。デイラック通信機に関する彼の新しい応用法を、われわれは決 しかし、ドアが閉まったとたんに、ワイン・ホウムの気分は、急に また前のように暗いものになった。五十五歳という比較的若い年齢して発見できないだろう。そして、いずれは彼の言い値でそれを買 にひきかえ、この仕事での彼の経歴は長い。一市民がデイラック通う羽目になるだろう、とね。なんとなく、それが信じられるんだー 信機を所有した場合、そこからどんな結果が起こりうるかは、だれーしかし、どうしてそんなことが可能なのか、見当もっかない。か に教えられなくてもよくわかる。もし、いつの日かこの宇宙に人類りにわたしが、保安局の年間予算全額を一民間会社に支払いたいが ・スティー・フンスの能と、議会にいってみろよ、あと三回の会期のうちに、保安局から耳 の連邦が実現するとしても、・シェルビー 力をもってすれば、まだ基盤の固まらないうちにそれを破壊しようをつかんでほうり出されるのは確実だ」 「だいぶ掛け値があるんじゃないかな」ウォルド博士はいった。 と思えばできる。そして、それに対して打つ手はなさそうなのだ。 「先方が・ハータ〕取引をする気なら、当然、本当の希望よりもうん 「やあ、 トール」彼は陰気な声でいった。「酒をこっちへくれ」 と吹っかけた要求からスタートしてくるだろうからね」 「やあ、ロビン。首尾はよくなかったようだね。話してくれない 「ああ、もちろんだ : : : しかし、ぶちまけていうとだな、トール、 0 0 0 2 アンイルアアンフ一夫 書 一ト 一トモ新藤 べヴムムルシ 一ネ ュ ミア星星石カ戈た 早 ル国要星 イイツ・ ニれス O ド & リ 04 0 、にー レ - プ帝ス ! のン ・ンプ帰ク 上ン ( 一議ラオ・ っ密ン 00 ー ス宙一「出命コ 女近モンンよ精ち秘モイ社一 ' 、ヨ戦ト田 5 工エレ 人宇のン脱生ア日ジ " 会ホ 0 作ン不プ町 魔接ナン妖くのトア 大 . ~ のすの多 田京 の大アの化 = 間給クル数殻 のジ、、問 死目 宇黒讐テ黒黒工滞精ラ g 宇忘望ヒア時消超麦ル日王人京 大暗復べ暗暗人停妖プ 最パ十帝五東振・ か」 重版情報 ハヤカワ文庫 3
・スティープ 合、つねに二つの選択があるーー少年か、でなければ高齢の老人ているとしてもーーーそして、彼女が・シェルビー だ。それに、ダーナは女優たしな。べつに驚くことはない」 ンス″である事実からおしても、当然気づいているはずなのだがー 「しかし しかし、な・せ彼女はそんなことをしたんだ、ロビンー彼女はまったく不安を感じていないようだった。あいかわらず落 ちつきはらった態度でワインボウムのデスクの前に腰かけ、タ・ハコ 「まずそれを見つけ出すのが先決だな。われわれが自力でデイラツをふかしながら、えくぼのある膝の片方を彼の鼻すじへまっすぐに クの改造型を完成することは絶対にない、だと ? いや、解答を見向けて待っていた。 出す方法は、素粒子物理学以外にもあるさ。マーガレット、あの娘「ダーナ」と、ワインボウムはロを切った。「こんどは洗いざらい の逮捕命令を出したか ? 」 白状してもらうそ。もう手加減はしない。きみがまだ知らずにいる しいえ。このクルミだけは、あなたの手で火中から拾い出してい場合を考えて、念のために教えておくが、保安局員に虚偽の情報を ただこうと思って。あなたから権限を与えられたら、命令を出しま与えるのは法律違反だ。その規定からすると、最低十五年はきみを すーーーそのときはじめて」 監獄にぶちこめる。ほかに、通信装置を利用した詐取罪の規定、男 「いじわるな子だ。じゃ、歯ぎしりして権限を与えるから、命令を装、偽名使用、その他に関するいろいろな地方法を適用すれば、短 出せ。さあ行こう、トール クルミ割り器の用意をしておかなく い刑期を加算して、おそらくきみに本物のあごひげが生えてくる日 ちゃな」 まで、ヤ。フハンクの中に閉じこめておけるだろう。だから、忠告す 二人でコンビューター ・ルームをあとにしかけて、ワインボウムるが、すべてを打ち明けたほうがいい」 は急に立ちどまり、聞きとれないほどの小声でなにかをつぶやい 「こちらも、もちろんそのつもりよ。わたしはこの対談がどんなふ うに進行するかを、文字通り一言一句まで知っています。わたしが ノトカした。「どうしたんだ、ロビン ? 」 どんな情報をあなたに与えるか、いっそれを与えるかーーそして、 「なんでもない。例の予言がひょいと気になっただけさ。きようはあなたがいっそれに対して支払いをよこすかもね。そのすべてが、 何日だ ? 」 何カ月も前からわかっていたことなの。だから、あなたに対して隠 「えーと : ・ : ・六月九日。どうして ? 」 し立てをする理由はまったくないわけ」 「まさにその日なんだよ、あの″スティ ー・フンス″が、もう一度会 トール・ウォルドが諦めのこもった声でいった。 うと予言したのは。くそったれめ ! こいつは見かけほど簡単には「ミス・ 丿エー、あなたがいっているのはこういうことですか。未 すみそうもないぞ ! 」 来は決定されており、あなたはそれを占って、必要なすべてのディ テールを予知できる、と」 もし、ダーナ・リ 「そのとおりですわ、ドクター・ウォルド。どちらも真実です」 こ 0 エーが、いまの自分の立場にすこしでも気づい 7 3
激であることは、すでに実証されていた。しかし、ワインボウムがしょにふたたび現われた。無地のタイ。フ用紙だな、とワインボウム 思うには、実物の魅力も決してそれに劣るものではなかった。 の目は自動的に見てとった。彼女はオリジナルを家に残し、コ。ヒー 「あなたにやられた最新の犠牲者の一人として、あまり歓迎はいた だけを持ってきたのだ。したがって、このコ。ヒーは不完全なものー しかねるよ、ミス・リ エー。わたしが受けた傷のうち、何カ所かは ーおそらく、かんじんな箇所を省略したものだろう。 まだ出血中だし。とにかく、なぜあなたがいまここへやってきたか「文面はこうですーー。『親愛なるミス・ リエー。広範囲の視聴者と は、多分に謎だな。わたしが噛みつき返すのが怖くないのかね ? 」重い責任をもっニ = ース解説者のあなたには、望みうる最高の情報 「わたしは個人攻撃をするつもりはなかったし、また、そうしたと源が必要です。弊社が地球上のどのニ = ース・ソースよりもすぐれ も思いません」テレビ・コラムニストはきまじめに答えた。「たていることを、あなたに知っていただくため、試験的な無料サービ スリ だ、アースキン星の事件で保安局が大きなへまをしたのは明らか。 スを考えました。そこで、つぎにヘルクレス星域と、いわゆる″三 それをありのままに報道することが、わたしの仕事でした。あなた幽霊″星域での来たるべき事件に関して、いくつかの予言を記し それ以下とは申しま が傷つくのはわかっていました。保安局の責任者ですからね。でます。もし、これらの予言が百パーセント も、悪意はなかったんです」 せんーーー的中すれば、弊社を同星域の通信員としてご契約くださ 「たいして慰めにはならんな」ワインボウムはそっけなくいった。 料金はそのさいご相談いたしましよう。もし、予言がなんらか 「まあ、とにかく、ありがとう」 の点において誤っておりました場合は、弊社に関してそれ以上のご 混血の娘は肩をすくめた。 考慮をなさるには及びません』」 「いずれにせよ、わたしがここへきた用は、そのことじゃありませ 「フム」ワインボウムはゆっくりと答えた。「えらく自信満々の連 んわ。ワイン・ホウム大佐、つかぬことをうかがいますが、あなたは ゴースツは、・こ 中だーーそれにしても、奇妙な対置だね。スリー 〈星間情報社〉という名の会社をご存じ ? 」 く小さな一恒星系にすぎないのに、もう一方のヘルクレス星域は、 ~ ワイン・ホウムはかぶりを振った。 いや、それとも一つの星座ぜんたいを包含す 一星団ぜんたいを 「行方不明人を探す私立探偵社のような感じだな。最近じゃ、あまるともいえる。とてつもなく広い空間だよ。この会社は、何千人も り楽な商売といえないがね」 の現地特派員、おそらく中央政府とおなじぐらいの人数をかかえて いると、あなたに思わせたがっているらしい。もしそうだとすれ 「わたしも、最初受け取った手紙のレターヘッドを見たときは、お なじような印象を受けました。でも、その下の文面は、私立探偵社ば、請け合ってもいいが、これははったりだ」 がよこすようなものじゃなかったんです。その一部を読んでみまし「たぶんそうかもしれません。でも、わたしがこれから二つの予言 よ、つ、か」 のうちの一つを読みますから、判断はそれを聞いてからになさって リエーの手の中で、手紙がカサコソと音を立て ほっそりした指が上着の内ポケットに隠れ、一枚の紙きれといつください」ダーナ・ ・イースッ
利な立場に立てるだろう。むこうは、短距離なら超波、長距離なら 宇宙船による文書輸送にたよるしかないんだから」 「どうかな」ウォルド博士が水をさした。「もし、すでに秘密が洩 れたとすれば」 ワイイホウムはスティープンスの独房に入り、扉を閉めて、鍵を 「どの程度に洩れたかが問題だ」とワインボウム。「原理はかなり 看守に渡した。それから、手近のスツールにどすんと腰をおろし 難解なものだからな。それに装置の名称だけでは、専門の科学者に もたいしたヒントになるとは思えない。ダーナの謎の情報提供者スティー・フンスは高齢の老人特有の弱々しく優しい微笑をうか ・、べッドの上に本を置いた。その本がなんであるかを、ワインポ も、技術的な細部までは書いていないと思うが : : : それとも、言及へ しているかね ? 」 ウムは知っていたーー持ちこみを許可したのは、保安局なのだか ら。それはニムズという新王朝派の詩人の書いた、たのしい無害な しいえ」 「率直にいおう、ダーナ。きみがその手紙の内容の一部を伏せてい抒情詩集だった。 ることぐらい、こっちはお見通しだよ」 「わが社の予言は的中しましたかな、大佐 ? 」スティー・フンスの声 娘は軽い驚きをあらわした。 はかん高く音楽的で、ちょっとポーイ・ソ。フラノに似ていた。 ワインボウムはうなずいた。 「わかったわーーーええ、たしかに伏せています。でも、技術的なこ 「どうしてあんな予言ができたかを、まだわれわれに話さないつも とじゃない。予言の残り半分には、ブリンディジ号の護衛のために りかね ? 」 あなたが派遣する宇宙船の隻数と等級が書いてあるんですーーーっい 「いや、もう話しましたよ」スティー・フンスは抗議した。「わが社 でながら、予言によると、それで目的は果たせるそうよ。詳細は、 予言の前半とおなじようにそれが的中するかどうかを試すため、この情報網は、この宇宙随一なんです、大佐。それは、すでに事実が のまま伏せておきます。もし的中すれば、新しい通信員を雇ったこ証明したように、あなたの卓越した組織と比べても、さらに優秀で とになるわ」 「もし的中すれば」とワインボウムはいった。「きみは囚人を雇っ「結果は優秀だった、それは認める」ワインボウムは不機嫌にいっ た。「もし、ダーナ・リエ 1 がきみの手紙を屑入れへ捨てていた たことになる。その・なんとか・スティー・フンスとやらが、フォ ート・ヤ。フ ( ンクの地下監房からどれぐらいの読心術をやってのけら、われわれはプリンディジ号とデイラック通信機の両方を失って いただろう。ところで、きみの手紙のオリジナルは、われわれが派 るか、お手並み拝見といこう」 遣する宇宙船の数を正確に予言していたかね ? 」 スティー・フンスは愉快そうにうなずき、きちんと刈りととのえた こ 0 7 2
を防ぐには手遅れよ。ロビン、その前にもうすこし話をつづけさせ 府の役人だ。その情報は、きみのところへ直接に洩れたのか ? 」 「最初はちがうわ。だから、そういうリークがあるかもしれない て。な。せわたしがこの特別なテイラックの秘密を見つけることがで 4 と、個人的に何度かあなたに警告したし、最後にはわたしの番組でき、あなたがそうできなかったかという質問に対する、もう一つの も、視聴者にそれをほのめかしたりしたわ。最初のごく間接的な接答をね。これまでわたしがあなたに答えてきたのは、因果律に基づ 触が失われる前に、あなたが保安局の内部でそれを封じこんでくれく答だったわ。そのほうが、わたしたちみんなにとって、しつく たら、と思って。でも、あなたを刺激して、自衛手段をとらせよう りくるから。でも、わたしは、見かけの因果関係が実はすべて偶然 という試みが成功しないのを見て、わたしは危険を承知で、そのリ だということを、あなたに印象づけたいの。この世界には、原因と ークと直接のコンタクトをはかったの。そしたら、最初に人手した いうようなものはないし、結果というようなものもない。わたしが 秘密情報が、なんとデイラック通信機を組み立てる上でいちばんかその秘密を見つけたのは、わたしがその秘密を見つけたからなの んじんかなめのものだったわけ。そして、組み立てがすんだとき、 よ。その出来事は決定されていた。なぜわたしがその秘密を見つけ 通信機はたんに交信するだけの装置ではなくなった。予言をはじめ たかを、古い因果律的な意味で説明しているかに思える状況は、実 たのよ。その理由も説明できるわ」 は無関係なの。それとおなじように、これだけの優秀な装置と頭脳 ワインボウムは考え深げにいった。 を揃えながら、あなたがたがそれを見つけられなかった理由も、た だ一つしかないわーーーあなたがたがそれを見つけなかったから。未 「いままでのところは、それほど受け入れにくい話しゃない。哲学 ー、・シェルビ ・スティー・フンス〃事来の歴史がそういっているのーーー・あなたがたはそれを見つけなかっ 的なところをとり除けば、″ 件にもそれである程度説明がつくとさえいえる。あの老人を、このた、と」 「こっちは金を払うだけで、選択の余地もないのか、ええ ? 」ワイ わたしよりもデイラック通信機については詳しい何者か、そして、 金を払おうという相手ならだれとでも取引を拒まなし何者かに仕立ンボウムはわびしげにいった。 「そういうことねーーーわたしもあなたといっしょで、それが気に人 て上げることで、きみはそのリークを自分のために使いつづけたー ーそのデータを非友好的な外星政府へ直送することをせずに」 ってるわけじゃないのよ」 「トール、きみの意見はどうだ ? 「たしかにそういう結果にはなったわ。でも、それはスティープン スに変装した目的の起原じゃないのよ。それがどんなふうに生まれ「いささか驚天動地という感じだね。ウォルドはきましめな口調で た、は、もう・せんぶあなたに説明したけれど」 いった。「しかし、それで理屈は通る。ミス・リ エーが描いてみせ 「よろしい。その漏洩者の名を聞かせてもらおう。その男に逃げらたような決定論的宇宙は、古い相対性理論の共通の特色だったし、 たんなる空想としては、それ以上に長い歴史を持っている。わたし れないうちに」 いいたいね。長い目で見れば、われわれがこの話にどれだけ 「支払いがすんだときにね、それまではだめ。どのみち、もう逃亡はこう