ディーダラス - みる会図書館


検索対象: SFマガジン 1981年11月号
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1. SFマガジン 1981年11月号

なので、磁場によってコントロー吸収されて e と陽子に変わるから、外部へ ( 三〇〇〇〇トンとヘリウム 3 二〇〇〇 ルできる点にある。 出て来る中性子は少ないだろうと計算して〇トン ) の燃料が必要で、。ヘレットの数に して三〇〇億個にもなる。これを一年で生 反応 ( 図⑥一、二番 ) や e 反応いる。 ペレット ( 図⑧ ) はかなり凝った造りだ産するとしたら秒産一〇〇〇個近く、一〇 ( 三番 ) は点火の条件がおだやかなので、 核融合炉の研究というともつばらこれに集が、発想自体がやや古く、これでうまく核年かかっても一秒に一〇〇個を造らねばな 中しているが、どちらもやっかいなことに融合が起こるかどうかわからない。大きさらない。 高速中性子を大量に発生し、まわりの物質は第一段用と第二段用で違えてあって、第しかしもっと大変なのはヘリウム 3 の確 に放射能を帯びさせてしまう問題点があ一段のは直径三・九四ミリメートル、二・八保だ。ヘリウムは地球上では貴重な資源だ が、天然のヘリウムの中でヘリウム 3 の占 る。つまり核融合がクリーンなエネルギー二グラム、第二段のは直径一八・三二ミ だなどと言うのは、とんだつばちなのメートル、質量〇・二八八グラムになる。める割合は〇・一 ( 一 0 八頁に続く ) ペレットの中心にはと e の小球 ( 固 外 しかしとヘリウム 3 を使っても、実際体 ) が置かれ、これが最初に核融合を起こ の には中性子の発生を皆無にすることはできす。そのまわりには固体のハニカムに液 素 水 。燃料中のが核融合を起こし、そ体へリウム 3 を満たした主燃料があり、固 の結果生じたととがまた反応して生ず体水素の外殻がこれを包み、一番外側には る中性子があるからだ。しかしディーダラ薄い超伝導体の膜が張られている。 ディーダラス恒星船には五〇〇〇〇トン ス計画の研究では、中性子はヘリウム 3 に 7 0 0 図⑧核融合べレットの構造 重水素ハニカムと 液体へリウム 重水素の栓 〇 重水素 / トリチウムの核 超伝導体の外皮 ー 3

2. SFマガジン 1981年11月号

' $ C 砿錆儷 を発生する方に賭ける。パチンコ ( チンジ / に加速する。このような高速で動く小 その企ての雄大さからすれば、ディーダ ャラ ) を一度でもや「たことのある人な物体に、電子ビームを集中するのはかなりラス恒星船の消費する = ネルギーは実にさ ら、小さな球体を連続的に小さな口に供給困難だろうと想像される ( 図⑩ ) 。 さやかなものと言えるのではないか。 する難かしさは理解できるだろう。 ( つづく ) << パックのメン・ ( ーから出た代案ペレット一個の発生するエネルギーは、 は、ペレットを弾丸のようにカートリッジ第一段用が二・四九、第二段用が〇・〔参考文献〕 ( 十月号で示した文献を除 に収め、次々にカートリッジを交換して い三九九と計算されている。これが一秒 くものだ。ペレットはあらかじめカートリ 間に二五〇回くり返されるのだから、推進 ッジの中で整列しているから、ジャム ( ひシステムの出力は第一段六一一二・五、 つかかり ) の恐れは少ないが、システムの第二段が九九・七五になる。 質量は確実にかさむ。私自身のアイディア推進システムの作動時間は第一段が約六 では、ペレットを原料あるいは半製品の形・四六 x 十の七乗秒、第二段が五・五五 x で恒星船に搭載し、中で製造を続けながら十の七乗秒だから、それそれの段の発生す 燃焼させて行く。質量はあるいはもっと大る総 = ネルギーは四・〇二 x 十の一九乗 きくなるかも知れないが、いずれにしろジと五・五四 x 十の一八乗になる。すなわ ャムの心配はな、。 ちディーダラス恒星船が光速の一二・二 % ディーダラス恒星船の設計に話を戻すまで加速する間に、実に四・五八 x 十の一 と、取り出されたペレットはコイルの発生九乗のエネルギ 1 が費やされるわけだ。 する進行波に乗せられて、投射機まで運ば 非常に大きなエネルギーを表わすのに、 れる。そのために、ペレットの最外層にはと言う非単位が使われることがあ 超伝導体が使われているのた。ペレット投る。人類は一八五〇年からの百年間に、平 射機も進行波を使ったリニア・モーター 均して一年に〇・〇四 O を消費して来たと あるいはマス・ドライヴァー ( 質量加速される。ディーダラス恒星船の消費 = ネル 機 ) で、第一段の投射機は質量二・八四グギーは〇・〇四三になり、ちょうど二〇 ラムの。〈レットを〇・〇〇〇三五九秒間に世紀初頭の世界の一年分の = ネルギー消費 一三・七五 / まで加速し、第二段のぐらいになる計算だ。しかしディーダラス 投射機は質量〇・二八八グラムのペレット 恒星船が建造される頃には、人類は一年に を〇・〇〇〇〇七六一秒司こ六 ド冫ノ・二五一以上を消費しているだろう。 0 0 0

3. SFマガジン 1981年11月号

として消費されてしまうのだ。図③④の宇 いるように、「恒星船のブループリント を作ることではなく、確立された技術で恒宙船が大きな放熱板を持っているのも、こ 星船の建造が可能であるのを示すところにの熱を発散するためにほかならない。 あるからだ。 一方イオン・ビームは技術的に未確立た それはともかく、ディーダラス計画ではとして採り上げられなかった。 エナジー・ドライヴァーとして電子ビーム が選ばれた。慣性閉じ込め方式ではもつば核融合燃料として、・ポンドと・マ ーティンはとヘリウム 3 を選んだ。図⑥ らレーザーを使うものが注目されている ( 一一頁 ) の四番目に当る。この反応は発 レーザーには効率がきわめて低いとい 、刀 う問題点がある。良く使われるネオデイウ生するエネルギーも高いが、最大の利点は 何故「ファンダム」だかの話になったか ム・ガラス・レーザ 1 の効率は情けなくも生成するのが電荷を持っ陽子 ( エネルギー と言うと、ムックのため指向エネルギー兵 器 ( レーザー、電子ビーム、中性粒子ビー〇・二 % ぐらいで、残りのエネルギ 1 は熱は一四・七 ) とヘリウム 4 ( 三 ムなどの兵器の総称 ) についてちょっと調 べたら、アメリカが本気でこの分野に研究 ハワーを注ぎ込んでいるのが 資金とマン・ 感じられたからだ。慣性閉じ込めで一番難 しいのがエナジード・ライヴァーであり、 兵器の研究は必すこちらにも生かされるだ ろう。あるいはこの分野で画期的な成果 図 式 が、既にあがっているのかもしれない。 それでなくても、レーザー、プラズマ、 の 高エネルギー関係の物理学は流動的な分野 ッ だから、ディーダラス計画の研究もすぐに レ 古びてしまう運命にある。しかし最新の研 合 究がディーダラス計画を乗り越えても 融 核 根本概念が否定されない限りーー計画メン一 ーの不名誉にはまったくならない。ディの ' 図 ーダラス計画の目的は・ポンドが書いて 000 アプレーター フッシャー 核融合燃料 ウラニウム 固体水素 ( 3 ) ウインターバーグの論文にあるべレット 2

4. SFマガジン 1981年11月号

言え、やはり驚くべきことだろう。 さて、今回は先月に続いて、英国惑星間 協会 (m — ) のディーダラス ( ダイダロ ス ) 計画の推進システムを紹介する。 どんな宇宙飛行計画でも同じだが、推進 システムの性能がミッションの成否を左右 する。特に恒星間飛行では、画期的性能の 推進システムの見通しがない限り、計画を間推進システムはないと断言したのだ。 ンと飛び上るたろう ( 良い子のみなさん、 立てることすらできない。 パルス推進システムも広義のロケットに本当にやってはいけませんよ ) 。空き罐か ディーダラス計画研究の中心メン・ハーのは違いないが、私達が普通に考えるロケッら爆竹が次々に射ち出されて、その下で破 一人、トニー・ マーティンは核ロケット、 ノズルから紅蓮の炎を噴き出して飛裂したら、ドカン・ビョコン・ドカン・ビ 核電気 ( イオン ) ロケット、光子ロケッんで行くあれとは、形態も原理もまったく ョコンを繰り返しながら空き罐は上昇して 、恒星間ラムジェットなど、考えられる異なっている。 行くだろう。 限りの推進システムを検討した後、核融合爆竹弾でも ) を地面に置いて、そこのドカン・ビョコンがパルス推進シス パルス推進に白羽の矢を立てた。と言うよの上に空き罐を伏せたと考えて見よう。爆テムの原理そのものだ。これを最初に考え りも、これ以外に近未来に実現可能な恒星竹がドカンと破裂すれば、空き罐はビョコたのはドイツのガンシ = ヴィントと言う技 図①オライアン計画の宇宙船 6

5. SFマガジン 1981年11月号

②②・ 0 ・①・ 00 ・ 宙 ギー保存則、運動量保存則などに反してい ないことは言うまでもない。 ここで通常型 の ム ロケットとパルス推進システムに立ち戻っ コ て考えてみよう。 図⑤ ( 一〇頁 ) 上は通常のロケットの概 ポ と ~ 念図だ。タンクに収められた推進剤 ( プロ ペラント ) は、それ自身の化学反応あるい ャ イ は他の熱源 ( 核分裂炉、核融合炉、外部か らのレーザー照射等 ) で加熱され、高速の ①ガスとな 0 てノズルから噴射される。その 反作用で機体は前進する。 ・フラスコン (Blast Containment) と名付ンス・リヴァモア研究所の・ ( イドら一一一推力を、一秒間に噴射される推進剤の けた推進システムを持つ。全体は飛行方向人が、レーザーで核融合を起こし、磁場で質量を E 、噴射速度をとすれば、 を含む平面内で一分間に六回転して人工重爆発力を受けとめる宇宙船の構想を発表し f=mw 力を発生し、推進力 ( 爆発 ) は機軸が飛行た。この宇宙船には、強力なレーザーの冷 方向と一致した瞬間 ( と言うことは毎分六却のため大きな放熱板が付いている ( 図になることは言うまでもない。 回ずつ ) 加えられる ( 七頁図② ) 。 ④ ) 。 パルス推進システムの概念図を示すと図 一九七一年にはネヴァダ大学教授の・ この相次いで発表された三つの論文が、⑤下のようになる。爆発物 ( これも推進剤 ウインター ーグが、電子ビームを使ってディーダラス計画の原点と見て良い。これと呼んでも良いだろう ) は一回分ずつ機体 核融合を起こさせ、爆発力を磁場で受け止らがなければディーダラス計画がそもそもの後ろへ射出され、一定距離で爆発する。 めるパルス推進宇宙船の構想を発表してい生まれなかったか、少なくともまったく違その結果発生するガスや固体粒子などの生 る。 った形を取っていたことだろう。 同じ年カリフォーニア大学ロスアラモス 科学研究所のポイヤーとポールコムが、核 。 ( ルス推進宇宙船が随分変わった形をし 融合パルス推進システムについての、パラていることはイラストレーションを見ても メトリック・スタディを発表している ( 図分かったと思うが、それでも物理学の基本 ③ ) 。 的法則 ニュートンカ学の三法則 ( 慣 一九七二年にはカリフォーニア大学ロレ性、カと加速度、作用・反作用 ) 、エネル シーノレド 推カ室 8

6. SFマガジン 1981年11月号

・ 30 ・・ 0 ・①・ 00 朝 コ ビン・ 子ョブ 図 的器クアト 念論生ダクッ 概対発ンツルレ場 ム 相ムイビイベ磁 テ ⑦⑧⑨⑩ ス シ の 星 ス ダ ディーダラス恒星船の推進システムを概一 イ 念的に示すと図⑨のようになる。核融合ペ デ 機蔵 ク射貯一 レットは推進剤タンクから一個ずっ取り出 ⑨ン投カタ 図タト出シイイ され、投射機で加速されて反応室へ次々に 剤ッ機バコ室コ 進レ射ャ部応部 ( 一秒間二五〇個すっ ) 送り込まれる。ペ 推ペ投キ前反後 レットが反応室の出口あたりまで達した瞬 ①②③④⑤⑥ 、反応室出口の周囲に配置された相対論 ( 一〇頁 ) のブッシャー・。フレート ( エネル 的電子ビーム発生器が、一斉に電子ビーム分けて考えると、後ろ半分のプラズマはこ の短いパルスを放つ。強力なエネルギーをの磁場を押し広げつつ後方へ噴出する。一ギーを受け止める ) とショック・ア・フソー ( 運動量をなめらかに船体に伝える ) 受けたペレットは圧縮されて核融合を起こ方前半分のプラズマは、磁場を反応室の壁 し、ヘリウム 4 と陽子のプラズマとなって面へ押し付けるように広がるが、次の瞬間の二つの役割を果たしていることになる。 磁場はスプリングのように反発し、。フラズ第一段の反応室は半径二五メートルの半 急速に広がる。 球形で、図⑩のように四つの超伝導コイル 反応室には四つの超伝導コイルが巻いてマを後方に噴出させる。 あって ( 図⑨では前後二つだけ描いてあつまり核融合のエネルギーは。フラズマのが配置されている。全体の磁場の形状は図 る ) 、破線で示したような磁場を形造って運動エネルギーとなり、これが磁場を介し⑩のようになる。 いる。膨張する。フラズマを前後半分ずつにて船体へと伝えられるわけだ。磁場は図⑤第二段の反応室は推進の役割を終えた ( 一三頁より統く ) からせいぜい一〇〇 にすぎないのだ。二〇〇〇〇トンのヘリウ ム 3 を確保するため、ディーダラス計画で はどのような手段が考えられているか、そ れは次回で述べよう。 磁場で プラズマを受け止める。 ① ② ⑦ ⑩ 7

7. SFマガジン 1981年11月号

$ 様 C コイル コイ丿レ 後、通信システムのリフレクターとなるよ う考えられている。そのため形状は回転放 物面に変えられ、出口の半径は二一・七一 状九メートルになっている。コイルの配置や 形磁場の形状は第一段と基本的に変わってい 場 反応室の壁には変動する磁場のため渦電 磁 の流が発生し、熱が生じる。また少量ながら 体 発生する中性子も、壁に吸収されて熱とな 全 る。ディーダラス恒星船では反応室の冷却 には特別のシステムを設けず、自然の放 内 ( 受動的放射冷却 ) に頼っている。壁面の 応温度は一六〇〇まで上昇するので、耐熱 応 合金のモリ・フデンが使われている。 反の 船壁は二重構造で、間に窒素とヘリウムが封 星 じられて剛性を高めている。 ス ペレットに核融合を起こさせる相対論的 ラ タ電子ビームについては、・ホンドとマ 1 ティ ンはあまり大袈裟には考えていないよう イ だ。電子ビーム兵器の話には必ずと言って デ よいほど登場する線形加速機も、マルクス ⑩発電機もディ】ダラス計画には出て来な 図 い。かれらの考えているのはコンデンサ 、伝送線、ダイオードなどの一般的な組 合せで、ただスケールが大きく強力になっ ている。 伝送線には (Conventional Trans ・ 8

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◇連載◇ス。へ 1 ス・クラフト・ショップ③ 江藤巌 4 ートーっ乙 ディーダラス計画 科学冒険時代第十ニ回那珂良ニ 會津信吾 ラボラトリー 石原藤夫 石原博士の研究室⑨恒星船内部の重力場のふしぎ ビーター・ニコルズ編 安田均訳 野田昌宏のセンス・オフ 野田昌宏 臨時ニュース・第 2 弾 ! ( ワンターランド特月版 エスエフたいかい 難波弘之 サイ・ファイ・セット ( ⑦ ) 大根 3 本私的ルポ 0 リータース・ストーリイ ☆第ニ十回日本大会レポート〈初心者のための大会入門〉 火浦功 8 ◇最終回◇トワイライト・ワールズ 天野嘉孝 ザ・ライダー ・スキャナーホ一フ ! ファンタジイの巨星ーーーーーーーーーーーーー・ - ・・・ー・。 - ・・・・ー・、ーーー泉本和 スタジオぬえ珥 ・スターシップ・ライプラリイ⑩ 荒俣宏 R ・フェアリイ・アナトミイ④妖精たちのプライベート・ルーム ・サイエンス・トピック土星の謎 池見照ニ ・レピュウ 伊沢昭 / 大宮信光 / 高橋良平 / 中島梓 DIMENSION 0 霜月象一祐 世界情報 ( 島田武 ) : : 今月のブックガイド ( 星敬 ) ・ てれほーと・ バックナンバーのお知らせ・ 第八回「ハヤカワ・ cnu- コンテスト」応募規定 : 三省堂ストーリーコンテスト入選発表 特別企画 ◇連載コミック◇ 銀の三角第ニ部因歪んだモサイク 推進 萩尾望都 5 ン造昇 ョ慶 シ淵中 一岩野 レ ト達之貴 ス直一 ラ森藤武 イ金加宮 加藤直之 表紙 宮武ー貴 目次カット 扉・目次レイアウト安藤三香子

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・ 30 ②の 0 ・①・ 00 ② 図⑩推進剤タンクと移送システム ナベレット吸取機 は、核融合そのものだ、すなわち反応室の発射されるから、その進路が曲がるのも心 mission Line) と CBlumlein Trans ・ missionLine) 二種類が使われている。第出口の所にインダクシ , ン・ = イルが配置配た。これについては、ビーム発生器を二 つのコイルの間に置き、磁カ線に沿ってビ 一段では反応室の出口のまわりに五〇個のされ、プラズマのエネルギ 1 を拾ってはコ と二〇個のが等間隔で並べらンデンサーに送っているので、スタート時ームを送ることで防げると考えているよう れ、第二段では二〇個のと一〇個のを除けば推進システムに外部の動力は必要だが、磁場は絶えす変動しているものでも あり、うまくいくか不安がないでもない。 0 i--a が配置されている。 これらのビーム発生機のエネルギー源電子ビーム発生機のエネルギーは、第一 ックが発足して間もない頃、デ ィーダラス計画の最終報告書を前にディス 一—、第二段では全部合せてどちらも〇 ル又 カッションしたことがあった。その時一番 ・二となっている。 電子ビームによる核融合の難点の一つ疑問の集中したのが、核融合ペレットを収 レ は、ビームのペレットへの集中にある。同めているタンクについてだった。 。へ ペレットは第一段では六個、第二段では じ電荷の電子同士が反発して、ともすれば ビームが広がってしまうのだ。またビーム四個のタンクに収められ、一個すっ取り出 自身の電流が磁界を作り、電流と磁界の作されて投射機へ送られる。べレットをタン 用によってビームの伝播が乱れる恐れもあクから取り出すには「真空掃除器」式に吸 る。外の磁場もまた、ビームを曲げる働きい上げるか、まわりに螺旋を刻んだ円錐を 回転させて順繰りに送って行くか、二つの がある。 電子ビームの伝播を確実にするため、デ方法が提案されている ( 図⑩ ) 。 しかし、考えても見るがいい。二五〇へ ィーダラス恒星船では O からペレット までの間に水素プラズマの「橋」を渡すこルツの振動と ( おだやかとは言え ) 変動す 機とを考えている。 ( アルフヴ = ン・ロウソる加速度の中で何億個ものペレットが何年 出 にもわたって一個すっ、きちんと行列して ン電流の関係からにはその必要はな 取 いと見ている ) 。。フラズマ・プリッジを造出て来るなんてことが考えられるだろう レ る機構については説明されていないが、電か。ペレットの破壊、癒着、ひっかかりな 磁的にプラズマを加速するプラズマ推進シど、取り出しシステムが目詰まりを起こす ステムと似たようなものであろう。 原因はたくさん考えられる。私たったら、 電子ビームは反応室の強力な磁場の中でこのシステムが作動期間中に必ずトラブル ギガジュール

10. SFマガジン 1981年11月号

スペースクラフトショップ 一九五一一年十一月、アメリカは太平洋の 図 0 ェニウェトク環礁において、最初の水素爆 念 概 弾の実験に成功した。人類は核融合のエネ の ルギーを、まず兵器の形で手にしたのだ。 ム テ 核融合とは、二つの原子核が合わさって ス 一つになることとされ、その過程で多くの シ 進 エネルギーを放出すゑ代表的な核融合を 推 図⑥に示したが、エネルギーは ( メ ス レ ガ電子ポルト ) の単位で示されている。 核融合のエネルギーをコントロールされ と た形で取り出し、人類の生活に役立てよう 上 とする試みは兵器の開発よりやや遅れて始 ッ まったが、今だに実現のめどが立ってさえ ケ ロ いない。長い間研究の主流を占めて来たの 型 は、重水素 (Deuterium=D) や三重水素 常 通 ( 日 r 三 um 日日 ) などのプラズマを十の八 ケルヴィン 乗にまで温度を高めて、核融合を起こ させようという方法だった。プラズマを磁 界で作った「容器」に入れて反応させるの式と呼ばれている。 用は基本的には変わらない。それらのエネ で、これを磁界閉じ込め方式と称する。 ディーダラス計画の元になったウインタルギーは最外層のアプレーターに吸収され まったく別の発想による核融合が、十年 ーグやハイドらの構想は、言うまでもて、まずこれが急速に膨張する。その反作 ぐらい前から研究されてきている。これはなくこの慣性閉じ込め核融合を推進に応用用 ( ロケット作用 ) を受けたブッシャー 固体の、などの小球 ( 核融合ペレッしようと考えたものだ。 核融合を起こす物質 ( 燃料と呼ぶ ) を内側 ト ) に周囲から多くのエネルギーを送り込核融合ペレットの構成を模式的に示すとに押し込み、密度が一〇〇〇倍ぐらいにま み、密度を高めることによって核融合させ図⑦ ( 一二頁 ) のようになる。ペレットにで高まると核融合が始まる。圧縮の過程で るものだ。プラズマが慣性で高密度に留ま . エネルギーを送り込む手段 ( エナジー・ド 衝激波が発生すると、その背後では密度が っている短時間内に核融合反応を起こさせライヴァー ) には、レーザー、電子ビー 上らずに温度だけが上ってしまうので、そ ようと言うので、こちらは慣性閉じ込め方ム、イオン・ビームなどがあるが、その作うならないよう中心を真空にしておくこと 燃焼室 ノスル 推進剤 ヘイロード ブッシャー・プレートショック・アプソーバー