感じ - みる会図書館


検索対象: SFマガジン 1981年11月号
91件見つかりました。

1. SFマガジン 1981年11月号

興味がある ? 」 るのだ。・ほくはーーー ) 満足感と、そして優越感に似たもの。ぼくは眠りにおちてゆこう「ええと : : : 」 としながら、ラウリは・ほくの思っていたほど、しかつめらしくなど ・ほくは考えた。 ないし、いい人間だと田 5 った。そう、いい人ーー・・よい市民、りつば 「やつばり、セクソロジストについては、とても知りたいと思いま よ : : ・ほくは眠りにおちていった。 すけれど、でも : : : 」 「そう、たぶん、きみの考えているとおり」 2 ラウリはカイハセーション << の実力でなめらかにひきついだ。 「セクソロジーはすべてのメディアの中でもっとも総合的なものだ 翌朝、いつもの時間にラウリから、いつものようにスケジ、ール ね。だから、まっさきにそれについて知るよりもむしろ「より細分 確認のヴィ一ジフォーンがかかってきた。 化された他の分野を見、 ) そのあとではじめてセクソロジーというも 何とはなしに、ラウリの顔をみるのがおもはゆいような、おかし一 " のにふれる方が、きみにとって有益であると思う。これが、きみの な感じがある。これは、奇妙なことだった しいと思うが、どうだろう」 ぼくはまだ、ラウリ考えたことと一致していれば、 に何と答えるかと、決めたわけでもなかったのだから。 ・ほくは、まったくそのとおりだということをあらわすために掌を ラウリの方はいつもとまったくかわらずに、まじめで、きちんと外にむけて手をあげた。 して、いかにも顔を洗いたてといったふうにみえた。」 たしかにラウリの会話のすすめかたは完璧に会話学のあらゆるパ 「このあいだの、見学のことだけどね、イヴ」 ターンをつかいこなしているのだ。 . それにあてはまらない云いかた ラウリはとてもおちついていた。きのうい申し込をした同じ人間をするところを少しも見たことはない 2 おそらく、彼は、、・ほくのよ とは、えないくらいだった。 うに逸脱しやすいイプのスパルタ・・フラザー ( 第一・、 「とりあえず、芸術家ギルドと、セクソロジスト、それに接触主義になってくれるあいてとして、これ以上ないくらいに理想的だろう。 者の集会の見学許可をとったけれど、どうするかね ? 」 ( ばかみたい ! ) 「ありがとうございます、ラウリ」 ほくの耳 ふいに、いつだったか、レダのいっていたことばが、・ に、たったいまそこでレダのいってでもいるかのような強烈さでも ぼくは妙なたかぶりと、不安と、それに気おもさをさえ感じなが ら云った。 ってひびいてきたが、それがどうしてだったのか、ぼくはそのわけ を知りたいとも思わなかった。 「さっそく・ほくのために便宜をはかって下さってすみません。 ( ばかみたい カンセーシ . ョンですって ! イヴ、あんた 4 どれも、とても、興味のあるものばかりです」 「どういう順序で見学するかな ? きみはその中のどれにいちばんはね、あたしとっきあいたいと思うなら、あんなもので話をするの

2. SFマガジン 1981年11月号

ッパ的な香りのするファンタジイ。文章は てもかまわない気分になる。結果としては構築している。それが読みおえて、さほど 佳作第一席、第二席と差がついて、異論をオリジナルにも見えず、エキサイティング整っているけれど、孤独な青年の変りばえ うらぶれた、感傷的な幻想が、エ でもないのは、処理のしかたに問題があるしない、 となえることはしなかったが、「ふたご」 からだろう。これは登場人物、構成、描写、ビソ 1 ド風に綴られるばかりで、興味が持 のほうにやや未練を残している。 「放浪者目醒めるとき」は、正攻法のサイ文章のテンボ、すべてにいえることで、数てなかった。主人公の友人のテレフォンと いう男が、ちょっとおもしろい。 カ所をこう直せばよくなるといったもので エンス・フィクション。つまり、長年 を読んできた人間が、「」という言葉はなさそうだ。ことに後半は、見えない相「ス・ヘリオル・サェクルム」は、「放浪者 ーー」と一脈通じる本格ものである。動物 を口にするとき思いうかべる英米型の小説手との対話がガチガチの解説になって、肉 付けの不足をさらに目立つものにしてしまの名前をラテン語の学名でしか記さないな である。日本の作家たちが、いわゆる中間 ど、妙にメリハリのきいたところがあっ 小説タイ。フのものを多く書きだしているい 「ふたご」は、ストーリイの起伏には乏して、これはと思わせたが、論理の怪しげな ま、こうした正攻法は日本人の肌に合わな いが、語り口に創意とリズム感があって、 ″解説風小説″に終始してしまった感じ。 いのではないかと気にしていたが、必ずし もそうではないらしい。雄大なスケールの気楽に楽しめた。未来の巨大コンビュータしかし、ひたむきにアイデアを展開しよう アイデアと、それを補強するいくつかの小 もの、といってしまうと身も蓋もない感じ としているところは好感が持てた。題名は ″優越世代″または″優越の時代という さなアイデアがあり、がっちりした世界をだけれど、それは主眼ではなく、そこから 生じる″ツイン ( 双子 ) 効果というもの意味のラテン語なのか。何の説明もないの に力点がおかれている。惜しいのは、このは不親切。ラテン語だったら「サェクルム アイデアが、ドラマを組み立てるうえに、 ・スペリオル」と、形容詞があとに来るよ うな気もするが、よくわからない さほど力にならなかったことだろう。未来 世界の外挿が不充分なこともあって、作者「かれらの見たもの」は、スペース・オペ 氏の意図した ( らしい ) 軽薄かっ饒舌な文章 ラ時代のアイデアを、カみすぎの文章で書 いて損をしている。「最初のあいさつ」 典が浮きあがっている。ただし、二十歳でこ こまで書けるというのは立派。結末にき は、本来ショート・ショートに仕立てるべ 伊 て、決定的な証明がないまま、いくつかのき作品だろう。「ドラゴン」は、まさに少 仮設を立てて、チョンと物語を終わらせる女漫画のシナリオ。青紫とインスタントラ ところもスマートでいい 1 メンは、八篇の中ではひときわ目立っ怪 7 以上に比べると、残りはかなり見劣りが作だが、内容がひとりよがりで、ユーモア 4 が伝わってこない。 した。「真夜中のカーニバル」は、ヨーロ っこ 0

3. SFマガジン 1981年11月号

ろん、ひとつの赤く着色された輝点としてスクリーンに映されてい るのだ。 じきに、返事があった。 『シオダさん、こりやすごいもんですよ ! 』 ロポットのアールは、錆色の金属製の両手両脚から推進ガスをた「データを ! 」 くみに噴射させ、とてもポンコッとは思えない身の軽さで、その巨『はいはい、まず正面からみた厚さですが、これがなんと、たった 大なスポークへと近づいていった。 の一メートルしかありません ! 』 近づいた部分は、『ホイール』の内円環と外円環とのちょうど中「一メートル : : : ううむ ! 」 間にあたっていた。つまり全長八万キロメートルのスポークの、片さすがのシオダも、うめき声を発した。土星の輪に匹敵する大ぎ 端から四万キロの部分だった。 さをもっ怪物『ホイール』を構成するスポークの厚さがわずか一メ ートレし J よ アールの姿は、じきに、そのスポークの銀色の輝きの中に消え こ 0 『それから奥ゆきですが : : : 』アールはすこし間をおいてから報告 「あのスポーク、なんだか銀色のガスでできているように見えるした。『 : いまわたしのいる場所では七五メートルほどです。し な」 かし外周の円環にちかいところでは一〇〇メートルくらい。内側の ″ヒノシオ号の停船を終了させたヒ / が、丸い眼をほそめた。 と、テー。ハ状に変化している 環の部分では五〇メートルくらい 「固体あるいは固体と同じ強度をもっ″何か″にはちがいないんだ ようですよ』 が、たしかにガスのようにも見えるね」 「なるほど : : : で、断面は長方形なのか ? 」 シオダもスクリーンに眼を細めながら言った。 『そうです。むろん角の部分は若干のがとられていますが、正面 やがて、アールからの元気の良い錆々声が、 からみたとして、幅が一メートル、奥行きが一〇〇メートルから五 てコックビットにひびいてきた。 〇メートルの長方形断面をもつ、長い長いスポークです』 『到着しました。まず、何から検査しますか ? 』 「よし、貴重なデータだ。さて次に、その材質たが : シオダが応答した。 『なんだかアルミ箔みたいな感じなんですがね : : : しかし意外に硬 「まず、スポークの断面形状だ。こちらのスクリーンやレーダでくて、サン。フルをひっかいてとろうとするんですが、わたしの指の 方が曲がってしまいそうでして : : : 』 は、どうもはっきりしないのだ」 『お安いご用で : : : 』 「むりはするな。とにかく直径二四万キロメートルの形状を維持し しばらく、アールが動きまわる気配があった。アールの姿も、むているスポークなんだ。なみたいていの強度であるはずはない」 たのだった。 トランシー・ハを介し

4. SFマガジン 1981年11月号

メリンがうなずく。 と、その右足に体重をかけて、立ちどまる。鈍痛が、膝から腰にゆ 「その飛行士に、何か起きたの ? 」 つくりと這い上がってくる。 「ああ、それを抜け出たときには、何千キロも離れた地点にいたっ 「ステンの方は ? 」 ていうんだが」 とにか 「ひどいものさ。何ヶ所、骨折しているか、わからない。 「それは、マイダスで起きたことなの ? 」 く、おれにできることは、みんなやってみたが、助かるかどうか、 「たぶんな。あんまり詳しい話は、聞かなかったから、何とも言え わからないな」 無理もない。ロールは、応急処置程度のことしか、知らないのないが」 「どちらにしろ、もしも、あれがそのときの霧と同じ性質のものな だ。ゲイルがいてくれたら、メリンは、考える。どうやら、ロール ら、私たちは、ヴィトグから、相当離れたところにいるってことに も同じことを考えていたらしい なるわね」 「ゲイルたちは、どうなってしまったんだろう ? 」 「そうだな。あの話が、本当なら」 メリンは、軽く、頭を振った。答えようのない問いだった。 「おれたち自身、他人の心配をしてる場合じゃないが、な」 言葉が途切れた。それは笑い飛ばしてもいいような話だった。だ 「そうね。とにかく、ここがどこか、それを知らなきゃならない が、メリンもロールも、それを冗談にできるような精神状態にはな かった。ことに、ロールにしてみれば、あの白い霧も含めて、すべ メリンは、座席の一つに腰をおろす。 ての計器が異常をきたし、飛行艇の操縦が不可能になったことにつ 「あの白い霧は、何だったのかしら」 いて、心の中にかすかな疑惑が残っていた。それは、冗談めいた超 つぶやくように言った。もちろん、その答を期待しているのでは常現象で、すべてを説明してしまうことの危険を、ロールに感じさ せていた。本当に、自分が操縦を放棄していたのかどうか、自信が ない。それどころか、その答を知らない方がいいのではないかとい なかったのだ。 う漠とした不安を感じていた。 あの混乱した状況の中で、自分の手がコンソールの上を動き回 ロールは、頭の中で、過去の記憶をまさぐっていた。そして、一 、機体を制御していたようなかすかな記憶が残っているように思 つ、関係のありそうな事実を思い出した。 えた。まるで、この自分の体を、誰か他の者が乗取り、好きなよう 「そういえば、教官の一人から聞かされた話がある」 メリンが、ロールの顔を見る。ロールは、メリンのその視線が、 に動かしていたのではないかというような気さえ、する。 だが、それをメリンに告げる気にはならなかった。それは、彼女 自分の心に勇気に似たものを注入してくれるのを感じた。 「本当かどうかわからないんだが、あれに似た霧の中に突っ込んでに、これ以上余計な不安を与えることになるのだし、何よりも、自 分たちを好きなように支配できる者がいるということを信じる気に しまった飛行士がいるという話なんだ」 わ」 4 8

5. SFマガジン 1981年11月号

星系の諸惑星にみられるリングとは、ちょっと構造がちがうようだ 「いや、ちょっとどころじゃない。・ せんぜんちがうぜ。色も銀色た ホイール 頑丈な肩をいからせ、太い猪首をスクリーンにむかってつきだしし、ありやまるで、自転車の車輪たよ ! 」 た調査員のヒノが、どら声を出した。 「いずれにせよ、もうすこし接近してくれ。ぼくはスクリーンの機 「ううむ、奇妙な形のリングだ。やはりあれは、自然のリングでは能を最大限に調整してみる」 なく、人工物じゃあないのか」 「了解 ! 」 万年若手調査員のヒノだが、その肉づきのいい横顔は、いまだに ヒノは勇んで半手動の操舵装置をあやつった。 さび ニキビの痕をのこしたりして、じつに若々しい。惑星調査員として その背後で、助手口ポットのアールがしぶい錆々声をだした。 の技術はペテランだが、精神と肉体の若さは新入社員とかわらな 『では、わたしはそろそろ艇外活動の準備を : : : 』 い。界でいえば矢野さんみたいなものである。 みなさんおなじみの、ヒノシオ・コンビとアールとを乗せた惑星 このヒノのどら声に応じて、隣のシートのシオダが、小首をかし調査艇″ヒノシオ号″は、その星系をめぐる奇妙な天体にむけて、 げた。 重力場を横切りつつ、接近しはじめた。 シオダは入社当時から落ち着いた研究者的な性格で、ヒノよりは ヒノとシオダが並ぶパイロット席の前方上部にひろがっているメ 大人だと思われていたのだが、その精神の柔軟さという点においてイン・スクリーンに映されている問題の ″リング″は、すこしず はーーそれからむろんすらりとした筋肉質の四肢の柔軟さにおいてつ、その微細構造を拡大してみせはじめた。 その も・ーー・・やはりヒノと同じく、年齢をまったく感じさせない若々しさ ″リング〃を眼にしたとき、ヒノが大声を出し、シオダが小 を保っていた。 首をかしげ、アールが艇外へ出る準備をはじめたのもむりはなかっ まるで作者みたいなものである。 そのシオダは、、 それは、大きさこそ、土星をとりまく巨大な″リング″と同等だ る首をかしげはしたものの、返事はしなかった。 ったが、その構造は、リングというよりもむしろ、ヒノが叫んだよ ヒノが操舵用のコンソールを太い腕でたたいて、くりかえした。 うに、 ) 車輪に近かったのである。 「なあシオダ。ここからではまだ明瞭度がわるいとはいうものの、 リング やつばりあいつは人工物だぜ ! 土星の環とは感じがちがいすぎる車輪といっても、自動車の車輪のような、円盤状のものではな よ。それに第一、中心に惑星がないい」 。放射状の無数の線条をもった、自転車の車輪に似た形状をして いたのだ。 「うむーー・」シオダはようやく、かしげていた小首をもとにもど し、うなすいた。「 たしかに、太陽系内の諸惑星、また他の恒直径は、二四万キロメートルもあった。 こ 0 ス・ホーク

6. SFマガジン 1981年11月号

・読者のつくるべージ 0 リータース。ストーリイ リフに、主人公のことを知っている、などア 今月は応募作が全体的に低調で、これは、 という作品がなかったようです。ただ、アイイデアと結びつきの少ない部分が多すぎま デア的には、決してそれほど低いレベルにあ、す。せつかく入選されたのにいろいろと注文 るとは思えなかったのですが、やはりまとめをつけてしまいましたが、他の応募者の方の 参考にもなると思ったので、あえて言わせて 方に難のある作品が目立ちました。 たとえば兵庫県の青山章二さんの作品「どもらいました。 ちら ? 」などはその典型です。主人公が、デ常連投稿者のひとり、東京の白倉伸一郎さ ンスケを肩に下げた男から「あなたは〇ですんは、初めてといっていいくらいうまく書け か x ですか ? 」と聞かれるところから始まるたので興奮してしまい、規定枚数をオー この作品は、なにについて、ということではしたがせめて評なりと書いて欲しい、と希望 なく、ただ「〇か x か ? 」という質問が全世がありました。問題の作品「生命」は、客観 界をおおってしまうのですが、最後は主人公的な評価をいえば過去の応募作より秀れてい が「全世界が〇か x についての結論を出したるとは思えません。非常に素敵なモチーフで のだから、なんらかの形でその結果が出てくあることはたしかなのですが、途中が冗長な るだろう」と思うところで終ってしまいまのと、ラスト・シーンの伏線がまったくない こうした作品の終り方もありので、それがうまく生きていないのです。こ す。たしかに、 ますが、ショートショートのように短い長さの欄は毎月応募できるのですから、焦らずに で印象的な作品を作るには、結末が弱すぎまじっくりと検討した上で送るようにしたらど す。思いきって、空に大きく x のマークが出うでしよう。私の感じではこの作品の場合、 て、その途端、世界が破減した、というので規定枚数におさめた方が、かえって効果をあ げられそうです。これは何篇も応募してくる もまだ形になったのではないでしようか ? 冒頭の質問など、本当にやる人間が現れて流方にも言えると思うのですが焦らず、精選し ( 今 ) 行するかもしれない、と感じさせるアイデアた作品を送ってください。 ・読者の選ぶ だけに惜しい気がします。 第ニ回 さて、今月の入選作は東京都の″おじんと ベスト・オプ・リーダーズ・ストーリイ 呼ばないで〃がペンネーム希望とあった方の 「ゲーム」です。 ( ところで、べンネ】一ムは官製葉書に八一年八月号から八二年一月号 までの本瀾掲載作のうち、ベストと思う作品 できるかぎり人間の名前をつけたほうが良い のタイトル一点と住所・氏名・年齢・職業を と思います。作品の評価が割引きされたり、 ・リーダーズ・スト 作品につまらぬ先入観をもたれたりしがちで明記の上、「ベスト・オ・フ ーリイ」係宛お送り下さい。 ( 宛先は奥付参照 ) すから ) この作ロ明は、すっきりまとまってい ますが、夫と妻とのこうした話の組み立てと締切は十一一月一一十日。最高得点を得られた方 ~ いかにもアイデアをストーリイにには、本誌に掲載する短篇をお願いします。 いうのよ、 仕立てるための出来合いのパターンという感また投票いただいた方には、抽選のうえ五名 じで、新鮮さに欠けます。また、謎の男のセの方に文庫最新刊一冊を進呈します。 ー 05

7. SFマガジン 1981年11月号

レイしく写真入りで報告しておいた。 さて、レイレイしく述べたてた昨年のが光行差で拡がるときの計算にやたら # すると、おどろいたことに、 Z#.ÄO の九月号以後、恥も外聞もなく というをつけたが、あれは無駄の多いやりかた 9 誌のマイコンクラ・フ・ニュースの人感じで、相対論効果を計算したときの Z で、二、三個所に指定をしてやればよい ということらしい ー O のプログラムを付録につけ が取材に来訪され、『星虹』をプロッタ ーで描いているところを写真に撮られてておいた。 そのほかにもいくつかで教示をうけた しまった。 なぜそんな恥ずかしいことをしたのか が、とにかく勉強になっこ。 九月の末に発売になるマイコンクラブというと、マイコンになれてる若い読者太田俊哉氏はその後、『星虹』の大型 の Q << Z O という雑誌に出るのだ から、いろいろ教えてもらえるたろうー 計算機による計算結果を送ってくださっ そうだ。 ーと思ったからである。あんな幼稚なプた。さらに、球体が高速ですれちがうと ログラム、とても見ちゃおれない まったくお恥ずかしいい ときの、表面のひずみ計算について、プロ いう調子で : でも私が、ゲームと的科学技 グラムの心得みたいなものを一センチぐ 術計算の双方を考慮したとき、一九七九期待にたがわず、教えていただくことらいの厚さのレポートに書いて送ってく ださった。 ができた。 年の時点では (z O のをするつも りはまったくありませんけど ) O ー八 その代表は千葉県の太田俊哉さん。 裏面をデ . イス。フレイから消す消し方な 〇〇〇がいちばん有利だ と判断した太田氏のご注意は ( 大きく二つあったんかについても、くわしく説明していた のは、し ・こ、てしる 、まふりかえってみても正しかっ ように思う。そのひとつは、をも たと思う。 ということ。 っとたくさんつけよ しかし、うーむい システムとしてかなり良くできている たしかに、プログラムをあとでふりか厚さ一センチのレポートを見ながら z からだ。によると、コン。ヒュータの専えってみるとき、いくら機械語よりは人ー n<n—o を組むのは肩がこるなあー 門家の大野万紀氏も同じ機種をそなえら 間語に近いといっても、やつばり記号の球体の表面像の変形については、昨年 れたらしい。ますます自信がついた。 連続だから、内容を読みとるのが非常に一〇月号でプログラム大募集をしたわけ 九月号のときは、まだディスクは買っむずかしい。 で、太田さんの厚さ一センチのレポート ていなかったのだが、近距離星のカタロ したがって、文によっていたるはその間接的な解答ということである。 グをつくるためにはどうしても必要なこ ところに注釈をつけておかないと、あと直接的には、毎度おなじみの須賀隆氏 とがわかってきたので、ごく最近、 AO で再利用するときに何が何だかわからな が、極点が視線方向にある場合につい ー八〇三一を導入した。まだお金は払っくなってしまうのである。 て、そのものズ・ハリ、 O ー八〇〇一に ていないのたが、現在のサイフの中身を勉強になった。 入る。フログラムをカセットに人れて下さ 考えたとき、はたして払えるかどうか、 もう一つ注意されたのは、倍精度計算った。 慄然たる思いである。 のときの # 符号のつかい方である。太陽これはバカチョン式にできるので、そ

8. SFマガジン 1981年11月号

目醒めの初めなわけ。もし、あなたが、目醒める時に何か儀式をす「お目醒めのようだねー る習慣を持っているなら、それをすればいいわ」 男の声で、初めて聞く声だったが、その揶揄するような口調は、 「いや、そんなものはない。ありがとう」 どこかに懐しいものを感じさせた。 ポーは、長い夢から目醒める時と、同じ感覚を覚えていた。夢と「ここは、どこなんだ。俺は今まで夢を見ていたのか。ラヴァの共 現実が交錯するひとときが訪れていた。そう、今までのことは、す同牧場はどうなった。ポークやカシールはどこにいる」 べて夢だったのだ : ・ 所在のわからない声に向って、ポーは矢つぎ早に質問を浴びせ こ 0 すべて : 声は、あわてなかった。 「どうやら、まだ想い出してはいないようだね。無理もないこと だ。長い、長い眠りだったからね」 かすかに笑いを含むような、抑えのきいた声だった。 すべてを覆い尽すような気懶さの中で、ポーは目醒めた。 意識がは「きりとしはじめてすぐ、ポーは、ごく近くで、風が音「質問には、お答えしよう。だがその前に、君も朝の仕度をした方 を立てて、吹いては止み、吹いては止みしているのを聞いた。それがいいだろう。軽い朝食も用意してある」 言い終ると同時に、扉が観音開きに開いた。 が、自分の吐く息の音であることに、気づくまで、数秒かかった。 ポーは、ゆっくりと床に立った。少しふらっくが、大丈夫歩け ポーは体を伸ばして、立ち上ろうとした。ぎしぎしと、体中の骨 が、音を立てるようだった。何度か、平衡感覚が危うくなっているる。ポーは扉をくぐって、次の部屋へ足を踏み入れた。 そこは小さな居間で、一方に暖炉が、もう一方に洗面所があり、 のを、感じたが、べッドの上に身を起こすことは、出来た。 真ん中にテー・フルとソフアがいくつか置かれていた。 そこは、見たこともない、寝室の中だった。真ん中に、今ポーが 坐っている、彫刻をほどこしたべッドがあり、一方に大きな扉があ「まず、シャワーでも浴びたまえ」 ポーは声の指示通りにした。体を洗い、すっきりした気分で居間 る以外、窓ひとつ、椅子ひとつない部屋だった。 「ここは、 : どこだ ? 」 に戻ると、ソフアの上に衣服が一そろい、置かれ、テープルには、 トーストとべ ポーは、小さく声に出して言った。 ーコンエッグズ、それにコーヒーの朝食が用意されて 別に答えのあることを期待したわけではなく、自分に問いかけた わけでもなかった。ただ、疑いを感じている自分がここに在る、と 服はポーの体にびったりと合った。 : 十ーはそれを着て、ソフアに いうことを明確にしておきたかったに過ぎない。 坐り、そして言った。 しかし、答えはあった。 「じゃあ、聞かせてくれ」 4 8 6

9. SFマガジン 1981年11月号

第七回「ハヤカワ・コンテスト」 入選作該当作なし 選考委員眉村卓 佳作第一席「放浪者目醒めるとき」 冬川正左 佳作第ニ席「ふたご」 石原藤夫 艸上人 佳作第三席「真夜中のカーニバル」 所与志夫 伊藤典夫 ( 順不同 ) 「スペリオル・サェクルム」萩裕子 一番気になったのは、な・せこういう作品をくも国家事業にこんなオンポロ宇宙船を出 書いたのかという、内部からの衝動がまっすというのは、・ とう考えてもおかしい、と 眉村卓 たく感じられなかったことで、これだけの いう気がした。 長さにするべきではないという気がした。 「ドラゴン」は、設定、構成ともかなり無 ばくは、最終選考に残った作品のうち 「最初のあいさつ」は、ファースト・コン理がある。一つの惑星を舞台に、こうした 「放浪者目醒めるとき」「真夜中のカーニ タクト・テーマなのだが、実際にはファー 個人プレーが成立するというのはおかしい ・ハル」「スペリオル・サェクルム」の三作スト・コンタクト・テーマを取り扱っては のではないか。また、文章自体かなり乱暴 を、いちおうの心づもりとして選考会にの いない。結局、難しいところを避けてしま だ。勢いとかタッチはいいのだけれど、や そんだ。 って、暗号解読の部分に興味がいってしま はり読者がいることを忘れてはいけない。 候補作品についての印象を順に述べてい っている。この暗号解読がよくできている 「ふたご」は、非常に判断のむずかしいと くと、「青紫とインスタントラーメン」は、 かとうか、ということについては、まくに ころで、ぼくの心づもりからは、最初はず 軽いという点ではおもしろいのだけれど、 はなんともいえないが、どちらにしろ、これていた。つまり、モデルとしての人間が 軽すぎるという点が気になる。手先の業に ういう形の話にするにしては、冒頭のもの本当の人間と同じように感情的に動いてし 落ちて、一人でおもしろがっている部分が ものしさが腰くだけになってしまってい まっては、シミュレーションが成りたたな 多すぎるように感じた。また、この作品でる。それから、設定自体にしても、いやし いのではないか、という疑問があったから 2 4

10. SFマガジン 1981年11月号

1 トが一瞬のびきって、マイクは地面に届かずに垂れ下った。 こうして、どの方角もまった同じように世界が変貌してしまった ポークは、すみやかに自制を取り戻したらしい。次に口を開いた以上、もはや、コンパスが正しい方位を指すことは、あるまい。そ 時 ) によ、・ こく普通の口調に戻っていた。 して、太陽が空のどこにもない以上、夜が訪れるとは、思えなかっ 「フローターは動かんし、通信機は役に立たんとなると、誰か、心た。 配して見にくるのを、待っしかあるまいな」 突然、甲高い笑い声が起こった。カシールが笑ったのだ。カシー ポークの頭には、共同牧場のフローターも全部動かなくなってい ルは、今まで、ポークのすることを、面白がるような表情で、見守 る、という可能性は浮かばなかったらしい。ポーは、この可能性っていたが、こらえきれずに笑い出したらしい を、ポークに指摘した。今まで慣れ親しんで来た世界の一切が虚偽「何がおかしい」 であったことが、明白となった以上、その方が自然に感じるのだ。 ボークが、カシールを睨みつけた。 ポークは、そう言われて、少し考えていた。 「何がおかしいって、そりや、あなたの言っていることが、よ」 「まあ、 : もし誰も来なかったとしたら、歩く他はないだろう と、カシールは挑発的に言った。 な。ここは共同牧場から三十キロほどしか離れとらんし、フロータ 「おかしいったら、ありやしないわ。・あなたが、自分の知恵で、こ ーには非常食糧や救急薬品が、万一のために積んであったはすた。 の事態に対処できると思っていることが、ね」 そう、組み込みの = ン。 ( スは、たしか取り外しがきくはすだ。あれ「なぜ、俺が、お前のような、怠け者の小娘に、笑われなきゃなら を持って行けば、方角を見失うこともないたろう。幸い、超小型ん」 と、ポークは怒鳴った。 しかし、出発するのは明日の朝た。大分、日が短くな「ている「お前なら、何が出来るというんだ」 し、もう午後も遅い。今夜はフローターの中で寝た方がいい。 今の「何も出来やしないわ。あなたと同じように。あたしたちは所詮、 季節たと、野宿すれば凍死しかねんからな」 何も出来ないくらい、ちつばけなものなのよ。この世界が、こうし ポークはまだ、これらの異変が一時的かっ部分的なもので、いずて崩壊して行く時にはね。あなただって同じことなのよ」 ポークよ、。 れは世界が、彼が慣れ親しんで来た、元の姿に戻ることを、期待し こつい拳固をふり廻した。 ているらしい。ポークは、だから、こういう事態になっても、頑固「何も出来ないだと。お前には何も出来ないだろうが、俺はやって に日常性にこだわっているのだった。 見せる。この足で共同牧場へ辿りついてやる。俺は昔、もっと厳し だが、ポーは、世界が決定的にその在り方を変えてしまったのたい環境をだって、生き抜いたんだ」 と、思っていた。もはや、明日という日は来るまい。あるのはた カシールはひるまなかった。 だ、この異変の進行ばかりだ、と。 「あなたのその経験そのものが、ここではもう無意味なのよ。やっ ミ」 0 6 6