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検索対象: SFマガジン 1981年7月号
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1. SFマガジン 1981年7月号

Sc ト同 Set 0 ″難波弘之コンサート″のお知らせ 難波弘之 & センス・オプ・ワンダー ーティ・トウナイト」 六月二十三日 ( 火 ) 場所新宿スタジオアルタ 開場午後七時 開演午後七時三十分 料金〈前売〉二千二百円 ーティ・トウナイトジャケッ トシール付 ) 〈当日〉二千五百円 問合せ先 = クスプレスマネージメン茅壁紀子 0 0 ( 4 -0 0 ) ) っ】 8 爲 / 六月一一十五日 ( 木 ) / 場所大阪毎日国際サロン 開場午後六時 開演午後六時三十分 料金〈前売〉二千二百円 ーティ・トウナイトジャケッ トシール付 ) 〈当日〉二千五百円 問合せ先夢番地 ( 00 ュ・ 1 よ ) り -0 っ】 -0 ミき 九鬼典子 佐川典江 坂本浩子文 菊池智恵 ? 関谷光恵 ? 井貝京子 註】表中、理 = 理学部学生 文文学部学生 リスト作成 / 音コン秋沢豊 文 22 恋のべンチ・シートその後 ジューシイ・フルーツ 自由になりたい モンキーズ たたかいの歌 ( > 、レッド・バロン サントラより ) 銀河少年隊のテーマ スティ・ツウ・ロング・ アット・ザ・フェアー ダウンレンジ・ ハーティ ポニー・レイット ラマタム 大橋純子 最後のユニコーン 幻想小説 地球最後の日 ファンタジー 中継ステーション ファンタジー 雨やどり 伝奇小説 百億の昼と千億の夜 指輪物語 ファンタジー 宇宙人ビックスの冒険

2. SFマガジン 1981年7月号

モビル の行動体が砂漠を進撃してきて、黒の隅を攻撃した。しかし、数で、他と同じだったのに・ーー賢く、優しい印象を与えた。オレンジ ではたちまちその奥底から湧いてくる黒のほうが勝っている。戦闘は、いつものように最後で最低だった。戦争は、彼らにとって厳し ものらしく、彼らの城砦は他と比較しても見すぼらしいものだっ が終わったとき、攻撃側は全減していた。死んだものや死にかけのい た。そして、クレスを刻んだ顔は、粗野で戯画化されており、おま ものは、黒の胃をみたすため、連れ去られた。 クレスは、狂喜して、自分の才能を自讃した : けに途中でそのまま放っておかれるらしい。オレンジが顔を彫るの 翌日、容器にエサを入れると、その所有をめぐって三つどもえのをやめてしまったとき、クレスはかなり立腹したものの、手の打ち ようがなかった。 闘いが展開された。白が大勝利をあげた。 その後は、戦闘につぐ戦闘だった。 サンドキングズがそれそれ自分の顔を仕上げたので、クレスは投 影器のスイッチを切り、そろそろパーティの頃あいだと判断した。 ジャラ・ウオウがサンドキングズを持ってきた日から約一月がた友人たちは、びつくりするだろう。客のために戦争を上演してやっ ち、クレスはホログラム投影器のスイッチを入れて、自己の顔を容てもいいな、と彼は思った。楽しげに鼻歌を唱いながら、クレスは 器に映しだした。画像はゆっくりと回転し、その視線を各城砦に等招待状を作成しはじめた。」 しく降り注ぐ。クレスは、ホログラムの顔が自分によく似ているの で満悦だった。いたずらつぼい笑み、大きなロ、丸々とした頬。青 ーティは大成功だった。一 サイドス い眠がきらめき、白いもののまじった髪は、注意ぶかく流行の横流クレスは三十人の人々を招いた。彼と趣味を同じくするひと握り しに整えてある。まゆ毛は薄く、洗練された感じが漂う。 の親友、何人かの以前の恋人、彼の召集を無視できるほどではない、 すぐにサンドキングズは仕事にとりかかった。クレスは自分の像ビジネスでの、あるいは社会でのライ・ハルたち。何人かは、このサ が空から睨んでいるあいだは、気前よくエサを与えておいた。一時ンドキングズに泡をくうだろうし、中には怒り出すものもいるはず 的な休戦状態。全行動は崇拝に向けられている。 だーーそのあたりは計算してあった。そもそも最低一人の客が、か 顔が城壁に現われだした。 ーティは失敗 なり憤慨してその場を立ち去りでもしないかぎり、 最初、四つの彫像はすべて同じように思えた。しかし、作業が続だと、彼はつねづね考えていたのである。 いていくにつれ、その複製をしげしげと見つめていたクレスには、 つい衝動的に、リストの中にジャラ・ウオウの名を加えていた。 技術とできばえの点で微妙な差異のあるのを見つけた。赤がもっと「よろしければ、シェイド氏もどうぞ」招待を口述するとき、彼は も独創的だ。スレートの小さなかけらを使って、髪の中の白いものそうつけ加えた。 5 2 まで表現している。白の偶像は、若くいたずら好きなように見えた。 彼女から出席の返事がきたのには、少し驚かされた。「残念なが 2 その一方、黒の彫った顔はーー・・・・実質的には、しわ一本一本に到るまら、シェイドは出席できないと思います。彼は社交的な集まりには

3. SFマガジン 1981年7月号

( 冖一「とすれは、この人と同じ道を歩いてちょ ッと外れて空軍のテスト・ ハ・イロットにで もなっていれば、今頃、ジョン・ヤングの かわりに とは言わすとも ップ・クルーの端くれ位にはなっていたか も : やつはし : : : 日本で、ギャ アギャアさえすってる方がたのしいか どうも、そのようだな : とにかくあのド迫力で一気に離昇してい ったから、みんなはすっかり忘れてしまっ 2 て誰も何も言わないが、実は、あの離昇に ケチがついていたら一体どうなっていた 0 *-Ä川が事実上、アメリカ初の水素ロケッ してその推力も六五ハーセントから一〇ヒ か、この段取りをあらためておツかけてみ ・エンジンである ) セントまでスロットルでコントロール このは 2 よりもすっと大きすることができる。これもはじめての試み の一ると、ひンやりとしてなかなかスリリング ( なのである。今史ながら、よく無事にあが の推カ九一トンに対してこっちはである。しかも燃焼効率を高めるためにエ っこよア . : という感じなのた。 一六五トン。 ( ちなみにサターン 5 型の一 ンジンは二重燃焼方式という形をとってい 信 〈コロンビア〉に三基ついているエンジ段目の 1 六八〇トン ! ) もちろんアメリ て、なにやらよくはわからぬが、えらく複 カ最大の水素ロケット・ ン、通称は、一対六に エンジンだが、そ雑な構造になっている。おまけに燃焼室の 混合された水素と酸素を燃料に使「ているんなことよりも重要なのは、宇宙開発用。圧力は二百数十気圧と、これまでよりもは が、あのもとをたたすと、人間を月へ送り ケットとしてアメリカ初の、使いまわしのるかに高い こういったことがからみあっ て、このエンジンの開発はおくれにおく 、、こんだサターン 5 型の二段目、三段目に使利く = ンジンだという事実である。サター われた、さらにそのもとをたたすと、 ン 5 型のなど、あれたけ巨大なやつをれ、運転試験中には何度か爆発事故をおこ アトラス・セントールの二段目やタイタン五本も束にしてどツー と火を点けて、僅し、高圧による燃料洩れには最後の最後ま っ Ⅲ型の三段目に使われた川エンジンと で悩まされた。 か二分半後にはもう無用の長物と化してい おおごと いうことになる。 ( ロケット燃料として水るのと違い、こっちは一回あたり八分余 そんなわけだから、いつ、どんな大事に 第素がもっとも効率のいいことはすでにツォ り、合計七時間半、都合五五回のくりかえなるやもしれない・ 。そこで << は ルコフスキーが指摘しているのたが、このし使用に耐える構造になっているのた。そどんな対策を講じていたか : 0 2

4. SFマガジン 1981年7月号

と残っている作業は着陸して直接調査することだけだった。 寄妙なのはその色だった。わずかな青味をおびた白色の樹幹は、 「よし。停船用意」 陶器のように冷たく冴えかえっていた。葉は一枚もなく、球果と思「停船用意。ヨーソロ」 われるものが無数に垂れ下っていた。 「停船」 林は奥深く、その樹木の数も何万本あるのか見当もっかなかった「停船位置。南緯六度三分十五秒。西経三十六度二分七秒。図版 << が、ただ一種類のようだった。 四十八の区画十八。。、 ホイント九」 「どうやら植物であることは間違いないな。エネルギー代謝にとも宙航士のフルイが着陸地点を地図の上に印した。 なう放射熱がある。〇・〇〇三カウント。それから炭素同化作用を「船長。赤外線探知機による地表温度高温地域の近傍西北西三十 検知している」 キロメートルの地点です」 科学調査員のスミがコンソールから顔を上げた。 「宙航士。ついでにその高温地域も調査してみよう」 「こう林を作っているところをみると、やつばり種子でふえるのか イタカが立ち上り、皆もいっせいに装具をつけた。 な ? 」 「テストの結果では大気は危険はないが、一応マスクは着けて出よ 「これで花が咲くのかねえ」 「データー・マン。雨量はどうなんだ ? 」 スミが、気温や重力について、ふたことみこと、皆に注意した。 「ほとんど無えんじゃねえかな。観測メーターの示す大気中の湿度操機士のカナ h が最後に、船の自動警報装置を作動させ、皆はン は〇・二パ ーセントだ」 フトチュー・フに入った。 《アナクレオン幻》は林に沿ってどこまでも飛び続けた。林は左舷《アナクレオン幻》の広大な傘の下の暗がりから出ると、林の樹幹 の視界をおおいし 、つ果てるともなく続いていた。右舷側の風景はの白さが目にしみた。 わずかに変り、地平線の手前に低い丘があらわれていた。 弱い風が林の間を抜け、宇宙船の傘の下を吹き通って黄緑色の平 ナビゲーダー 「宙航士。これはどこまで行っても同じことだろう。着陸して調べ原へ渡っていった。 てみよう」 何の物音も聞えなかった。 船長のイタカの言葉に皆はうなずいた。 林は大理石の造り物のように冷たく、硬く、そびえていた。 この惑星、《銀杏座第三惑星》を調査しはじめてから、すでに最も低い位置にある枝でも、三メートル以上の高さにあった。 九十時間を過ぎていた。それは最初、超高空からはじめられ、赤道スミが折りたたみ梯子を運んでくると垂直に立てた。枝に上って に平行に、あるいは子午線に沿い、しだいに高度を下げながら、く 球実を調べていたが、一個をもぎ取ると下りてきた。 りかえしくりかえし走査し、撮影し、偵察ロケットを発射した。あ 直径三十センチメートルほどの、クルミのような大きな実だっ こ 0 う」 ナピゲーダー 9

5. SFマガジン 1981年7月号

のかと怪しみながら。 盤をひらき、につこりした。クリスはぎごちなく、おそらく意に反 「クリス」ジョーは声をかけた。 してスツールに近づき、腰をおろした。 クリスが顔をあげた。 ー」最後まで残っていた五人の客の一人が叫んだ。 「あんた、なにか歌を知らないかい ? 」 「早じまいかい ? 」 クリスの顔に、なんだか妙な表情がうかんだ。 ジョーは答えなかった。ただじっとクリスが弾きはじめるのを見 「つまり、おれが言 0 てるのは、大昔の歌のことさ、近ごろラジオていた。こんどは予備テストはなか 0 た。音階練習も、キイの確認 でやってる妙ちきりんなケツのねじれるようなやつじゃなく、本物もなかった。あるのはただ圧倒的な迫力、そのビアノはおよそピア の歌さ。《スペインの小さな町で》。昔、母親がよく歌ってくれた ノには似つかわしくない弾きかたで演奏された。狂ったキイ、調子 もんだ」そして、ジョーは歌いだした。「小さなスペインの町で、 のはずれた音が、見事に響きあって音楽となり、十二音音階の拘東 ちょうどこんな夜でした。お星さまたちがいないないばあしてた、 を無視して動くクリスの指は、ジョーにはまったく常執を逸してい ちょうどこんな夜でしたね」 るとしか思えなかった。 ーの弱々しい調子はずれよく オノリトンの声が、歌を追い、やが ひとりも帰っていく客はなく、クリスはそれから一時間半、弾き てクリスは。ヒアノを弾きはじめた。しかし、それは伴奏ではなかっ つづけた。客たちはみな最後の乾杯につきあい、耳にした音にふら た。ともかく、ジョーが伴奏と呼べるようなものではなかった。そふらしながら家に帰っていった。 サウンド れはメロディと競い、ときには敵対した。。ヒアノから発せられる音 つぎの晩、クリスはまたやって来た。そして、つぎの晩も、その は奇妙に不協和で、しかも限りなく美しいものだった。ジョーは歌っぎの晩も。最初に演奏した夜から数日、彼をビアノから遠ざけて うのをやめ、耳をすました。二時間、耳をすましていた。そして、 いた内心の戦いが、どんなものであるにせよ、明らかに彼はもう、 すべてが終わったとき、彼はまったく真剣に男に酒をおごり、自分その戦いに勝ったか、あるいは破れたかしたようだった。むろん、 でも一杯ついで、かちやりとドーナッ配送員クリスとグラスを合せジョーの知ったことではない。ジョーはただ、クリスの弾き鳴らす た。こんな古ぼけた。ヒアノに、あれだけの歌を歌わせた腕前を祝し ビアノが、かってどんな音楽でも味わったことのない衝撃を与える て。 ということしか念頭になく、そして、彼はそれをもとめていた。 三晩して、クリスはまたやって来た。なんとなく落着きのない不客たちもまた、それをもとめているようだった。閉店が近づく 安そうな様子だった。しかしこんどはジョーも、なにが起るか ( 起と、人々は明らかにただクリスの演奏を聴くために、店にやって来 らなくてはならないか ) がわかっていたので、閉店時刻まで待つのた。ジョーはピアノの時間をどんどん早くしたが、演奏のあと無料 をやめ、十分早く有線の音楽を切った。クリスは、哀願するようにで酒をくばるのはやめるしかなかった。人数が多くなりすぎて、商 ジョーの顔をみあげた。ジョーは誤解した ビア / に近づいて鍵売が傾きかねなかった。 ー 02

6. SFマガジン 1981年7月号

アワード・ア・ラ・カルトも今月で第六回。ったファンばかりなので、もっとも信頼度の高今年からは関係もできたらしく、先が期待 できる。 これで最後というときに、うまくヒーゴー / い賞と最近言われるようになってきた。 〈ライスリング賞〉 ネビラ賞特集とぶつかった。大団円というの「ローカス」の編集長はチャーリー ( チャール は気もちのいいものだ。 ズ ) ・プラウン。ゃぶにらみの巨漢で初対面の別名を〈ポエトリー・アワード〉と書け もっとも、書きたしだけはこれでビッタリな人はギョッとするらしいが、知り合ってみるとば、題名の由来もわかろうというもの。ロく ・ e< ・ハインライン「地球の緑の丘」に登場 ものの、いざタネの方はとなると、いまさらヒこれほど優しくてを愛している人はいない と誰もがいう。・ほく自身、書評家としては、する盲目の詩人の名である。 ューゴー / ネビュラのことを書くわけにもいか ・スカイラ ず、ちょっぴり材料難。 ー・ミラー亡きあと、この人をいち こちらは「エトリー協会」から毎年、 そこで最終回ということもあり、ちょっと変ばん高く評価する。「ローカス」賞は、そうい 「長詩」「短詩」両部門に贈られる。ル・グイ ったアメリカの各賞を思いつく限り並べてみるったプラウンの力量・人柄を如実に表わしたもン、ビショップなど、意外な名が見つかるのも おもしろい 〈。フロメテウス賞〉 ン これは一風変った賞で、「プロメテウス賞委 ウ 員会」というところから、前年の最優秀作に与 ラ プえられるのだが、何の最優秀かというと″リ、、ハ ーテアリアニズム ( 自由意志論 ) の思想をもっ ズ とも典型的に著わしたもの〃だそうである。 1 一わば、テーマ別アワードといえるが、イメージ ヤとしてポール・アンダースンあたりの作品がビ チッタリしているといえよう。 〈ハーログ賞〉 ゴのの円 編第一回に述べた〈世界幻想文学大賞〉が、フ ス アンタジイ界のネビュラ賞 ( 作家・編集者中 カ 心 ) なら、こちらはそのヒューゴー賞版を狙お ュ以大 う ( ファン大会の席での人気投票 ) というも ロ の。歴史は浅いが着々と知名度を増している。 ヒ カンサスで毎年四月に開かれる「フールコ こに 1 しこ。 のといえそうだ。 ン」 ( ェイ。フリル・フールにひっかけている ) 〈映画賞〉 で授与されるが、昨今のファンタジイ・プーム 〈ローカス賞〉 ヴィジアル関係の賞では、意外なことを象徴してか部門の多すぎるのが若干難。しか アメリカでおそらく購読者数一、二を争うとにアメリカで目立つのはこれくらいなもの。し、一応の目安になる作品がいつも選ばれてい る。 思われるファンジン「ローカス」が、読者投票 〈ーー賞映画部門〉というのなら、ヒューゴー で前年の最優秀作を選び出すもの。″ファンジをはじめとして、いくらでもあるのに : : : やは ン″クラスか、などと言ってはいけない。例年り、まだ活字優勢なのでしようか。 他にも、ジュビター賞、・アセリング賞、 一千票前後を集め、ネビュラ賞 ( 三百票前後 ) 、 毎年、七月にハリウッドで、「・ファン 。ヒルグリム賞など、変ったのはいくつかある ヒューゴー候補作投票 ( 五百票前後 ) よりはるタジイ・ホラー ・フィルム協会」が、ベスト co が、そのあたりはまた別の機会に述べさせても 。ら、つこととしょつ。 かに多く、しかも投票する人がかなり年季の入映画など十七部門に与えている。どうやら、 安田坊 ー 20

7. SFマガジン 1981年7月号

レヒ三ウ したような気がするだけかはわからない。そ意識に何もなかったのかというとそうでもな いような気がするのである。 ( 『虚人たち』 もそも現実の個人がする思い出し方というの が説明を求められて説明できるようなもので / 著者筒井康隆 / 三四六頁 / \ 九八〇 / 四 六判上製 / 中央公論社 ) はない。ただ単に思い出したと書いてあるだ けという可能性すらある。彼の生存する虚構 世界において結末に至った段階で最も導き出 ジョン・グリビン著 し易い主題は彼の所有していた事物の喪失と いうことになるがそれはもはや大した意味を 持たない。いや。まるで意味を持っていない。 『太陽が死減する日』 そもそも彼の行動してきたことすべてが無意 味なことであった。彼は最後には宇宙論的意 識も量子論的ふるまいも捨てて消滅する。そ 大宮信光えて生き残るには、地球という惑星の表面は ( 乱学者 ) こには最初から何もなかった。ただ虚構の恣 それほど適した場所ではない。生き残るため 意的支配があっただけである。そのことを誰 には、スペース・コロニー、ダイソン球、ニ が何によって認識するのかというと彼が虚構五年ほど前、箱根の山で、フカカイ ーヴン・リング ( そう、ラリイ・ニ 1 ヴン によって認識するような気もするし読者が ファン科学勉強会 ) の合宿をやった時、スペ 『リングワールド』 ! ) のような調節可能な 『虚人たち』を通じて認識するような気もす ース・コロニ 1 批判派の大田原治男氏が 人工の居住空間へ移らなければならない。 るし誰も認識していないような気もしないで 「この箱根の山々を収容してしまえる位の人なにしろ、地球上では陸と海、海と空気、水 はない。今新たに指摘しなければならないこ工環撹を宇宙空間に建設しようって、わけ」と氷との間に、あまりに複雑で不便な相互作 「うん、そんだよ」 とは読者側の虚構であろうか。読者の自我は 用がある カタストロプイ 家庭用金網製品の店主やトラックの運転手の と、答えてはみたものの、現実に、緑につ 宇宙からの激変にそなえて、わざわざ、 ように彼の自我と単に交叉したように見せよ オつまれた山々を目の前に、そう言い切ってし宇宙に出かけていくなんて、コペルニクス的 がら結局のところ彼の虚構の終結とともに完まうのは、内心ためらったことを、よく覚え転回だ。ふつうなら、地表のドーム都市建設 結を余儀なくされるということはない。読了ている。 か、地下都市への退避かを発想するのが関の コズミック・カタストロフィ 前に死亡した場合は別であるが。読みふけっ一一それから、五年。『機動戦士ガンダム』が山。しかし、それでは、宇宙の激変に受身 ているさなかに誕生したりすることはまずなマニアに点火されて、・フームになり、ス。ヘー 一方の地球を介して、多かれ少なかれ間接的 いと思うがしかしかく言う筆者も途中七度別ス・シャトルが無事帰還してみると、むしろに受身に対処することになる。確かに、宇宙 のことを考え十一度字面を追ったまま意識がスペ】ス・セッルメント賛成の方が、想像力の無重力空間に人工環境を作った方が、直接 空白になり三度ほどは眠りこみすらした。彼の飛躍を要しなくなったようだ。それでも、的で能動的な完全制御が可能であろう。 カタストフ・づ ないし作者の虚構は完結してもとりあえず今ジョン・グリビンの本を読んでいて、アッ、 それほどの激変とは ? 本書は、いくっ のところは筆者の意識が完結する気配はなやられたと思う所があった。ーー太陽およびかあげているが、よそでは、あまり見かけな 。しかしだからと言ってはじめから筆者の銀河系の中心での変化を原因とする激変に耐い説を三つ引いてみよう。 第がづる日 ーと 0 置の ' 第 竹内 . 物 : イ表 : オペてを・い・ : れ . い三をれ℃い※・を を :. を : ゼり、 . らい : 引は : 円 4

8. SFマガジン 1981年7月号

まにどんなサウンドでもっくれるようになった。最初、甲高い金管気持になった。 の音色がとてもうれしかった。しばらくして、静けさやリズムの楽「でも、あの人たちは歌をもっていないのよ」毎日たべものを運ん 9 しさがわかってきた。やがて、ソフトな音と甲高いのをまぜるのがでくる女は説明した。 面白くなり、 いっぺんに二つの音をたてることを覚え、二つの音を「かれらは聴く人なの。あなたは創る人。あなたは歌をもってい 同時に変化させて新しい一つの音にすること、まえにやった音のシる。だから、かれらは聴く」 ークエンスをもう一度やってみることなども覚えた。 「どうして ? 」クリスチャンは無邪気に尋ねた。 しだいに、家の外の森の音が、彼の演奏する音楽にまじりはじめ女は当惑の表情をうかべた。「だってそれは、あの人たちがいち た。《楽器》のなかを風が歌いながら吹き抜けていった。夏は彼のばんしたがっていることだから。あの人たちもテストを受けたの、 お気に入りの歌の一つとなり、無限に変奏される緑は、彼のもっとそして、聴く人なのがいちばん幸せなの。あなたは創る人で、いち も隹麗なハーモニーとなり、鳥たちはクリスチャンの孤独な魂の情ばん幸せ。あなたは幸せでしよう ? 」 熱のすべてをこめて、《楽器》からさえずりたてた。 「うん」クリスチャンは答えた。それは本当だった。彼の人生は完 スナ そして、噂が免許をもっ聴く人のあいだに広がっていった。「北全で、なに一つ変えたいところはなかった。歌の終わりに背を向け 東の方角に、新しいサウンドがある。クリスチャン ( ラルドスて去っていく聴く人たちの、やさしく悲しげな背中でさえも。 ン、彼の歌はきみのハ ートを引き裂くだろう」 クリスチャンは七歳だった。 聴く人たちはやって来た。最初はほんの二、三人、ものめずらし さがすべてという連中がやってきた。それから、新しい流行を重視 第一主題 する人々が訪れ、最後になにより美と情熱を重んずる人々がやって 来た。かれらはやって来て、クリスチャンの森にいつまでもとどま 三たび、その眼鏡をかけ奇妙に不似合な口ヒゲをはやした小柄な 、屋根の上の完璧なスビーカーから音楽が流れるたびに、耳をか男は、意を決して下ばえのなかに潜み、クリスチャンが出てくるの たむけた。音楽がとだえ、そしてクリスチャンが家から出てくるを待った。聴き終えたばかりの歌の美しさに、その悲しみにみちた と、聴く人たちはいつも家から遠ざかっていった。クリスチャンは交響曲に三たび彼は打ちまかされ、まだ夏のさなかで、落葉までは 去っていくかれらを見て尋ね、そして、かれらがやってきた理由を数カ月もあるというのに、頭上の木々の葉がひしひしと迫ってくる 教えられた。《楽器》への愛のために自分のしていることが、 ほか圧迫感に打たれていた。かならず落葉の季節はやってくるだろう、 の人たちの興味を惹くというのが、彼には奇跡のように思われた。 とクリスチャンの歌は語っていた。木々の葉はその生涯をつうじ 聴く人のために自分は歌えるのに、かれらの歌がけっして自分にて、身内に死の力をひそめ、そしてそのことがかれらの生を色どら は聴けないのだと教えられて、なんとなく、彼はいっそうさびしいずにはいないだろう、と。眼鏡をかけた小柄な男は、むせび泣いて リスナ

9. SFマガジン 1981年7月号

家にとって返すと、隊列を組んだサンドキングズが階下へ行進し招待だってことはわかってる。でも、そこを何とかしてくれない てくるのにぶつかった。それそれが、ヨロヨロの肉片を運んでいる。 か。頼むよ」 ョロヨロの頭が、運ばれながら、非難するように彼を睨んでいた。 ジャド・ラッキスをつぎに呼び、彼は同じことを続けていった。 クレスは、冷蔵庫、調理棚、その他あらゆるところを空にした。終わるまでに、五人が招待を受けた。クレスは、それで〈お袋〉が そして台所の床の中央に、家中の食物を積み上げた。十匹ほどの白満腹になることを祈った。 が待ち構えて、それを持ち去る。彼らは冷凍食品を、ちゃんと解凍 モビル してぐちゃぐちゃの固まりになるまで放置しておき、他の食いもの彼は、外で客に会ったーー行動体は、驚くほど早く庭を片づけて はただちに運んでいった。 しまい、地面は戦闘前とほとんど変らぬ状態となっていたーーそし すべての食物が消えたころ、クレスはようやく飢えの苦痛がちょて、いっしょに玄関のドアまで歩いて行き、客を先に中へ通した。 っぴり和らぐのを感じた。彼自らは何も食べてないのにだ。しか彼は入らない。 四人が中へ入ってしまうと、クレスは何とか胆力をかき集めて、 し、この執行猶予もきっと短命に終わるだろう。すぐに〈お袋〉 は、腹をすかせるに決まっているからだ。またエサをやらないとい最後の客の後ろでドアを閉めた。驚愕の叫びを無視すると、すぐに それがカン高いわけのわからぬ音に変化する。その間に、彼は客の けない クレスよ、・ とうすべきか知った。通話装置のそばへ行く。「マラ乗ってきたエアカーに脱兎のごとく突進した。うまく操縦席にすべ ダ」最初の友人が出ると、彼は気軽にしゃべりはじめた。「今晩、りこみ、発進。 ( ネルを操作する。舌うちがもれた。やはり、所有者 小さなパーティを開こうと思うんだ。こいつがちょっとばかり急なの指紋に合ったときのみ浮き上がるよう。フログラムされている。 、言ワ円光瀬龍と萩尾望都。いま二つの 文光瀬龍画萩尾望都 強烈な個性が出会」、新たな世房 界が生まれる ! ー・・・・・遙かな未来 又価そして過去。永劫の宇宙の虚 巻、のもとで、うたかたの営みをく 由下頁り返す人類の姿を、詩情浴れる早 宙、 宀于上刪文章と華麗な絵で謳」あげる ! ■ 247

10. SFマガジン 1981年7月号

するよ。おふくろみたいな口はきかないでくれ。わたしの方が年上「ないみたいだね」チャーヴ = イスは・フリッジウ = ルが幹線道路に なんだから」 乗り入れ、下り坂へさし向けたとき、それを考えてみた。 「つむじを曲げないで下さいな」と彼女。「楽しく行ってらっしゃ 「過去を大そう愛してらっしやるのね ? 」 い」 「ノスタルジックなんだよ」とチャーヴェイス。 ・フリッジウ = ルとチャーヴェイスは、古い石造りの家の玄関で立「もっと深いものだと思いますわ」 ち止まった。「わたしの車で行かないんですか ? 」とプリッジウェ 沈黙が、運転手と乗客の双方を包んだ。チャーヴェイスは彼女が ルがいった。「食事の後、お送りしますけど」彼をちらりと見て、 その意見で何をいおうとしていたのか感づいていた。眠っている間 「ねえ、子供とドライ・フしてまわるなんて・ ( カ・ ( 力しいと思ってらにどれだけしやべってしまったのか、そして彼女がどれだけ鋭くあ っしやるんじゃないでしょ ? 」彼は微笑し、うなずいた。「オーケの二重らせん模様に注目したのか、彼はいぶかしく思った。 ・フリッジウエルはをポルシェのレーシングカーのように操っ 二人は百メートル歩いて、彼女の車がアスファルト舗装からはずた。チャーヴェイスは小物入れの蓋にねじ止めされた棒にしがみつ れたモミの立ち木の下に隠されている所まで行った。風雨にさらさ 、た。すり切れかかったラジアルタイヤが、彼女が最後のカー・フを れたフォルクスワーゲンのビートルで、チャーヴェイスが見るにそ切ると悲鳴をあげ、二人はキャスパ ーへと続く下り坂を下りはじめ の運転手よりわずかに年上の年代物だった。 た。東側、街の向う側に、どっしりとした貨物飛行船が、・フロック 彼の心を読んだかのように、・ フリッジウエルがいった。「まるでとドームの集合体へと向かって優雅に着陸しようとしているのが見 腕になじんだ古い腕時計みたいに走るのよ。三度目のエンジンで一 えた。一 - 万と百マイル走ったわ。〈スカーレット〉って呼んでるの」車の色「どうして」と彼女がいった。「核融合試験プラントを国内最大の は乾いた粘土のようなくすんだ赤だった。 石炭鉱床のど真ん中につくったりしたのかしら ? 」 チャーヴェイスは肩をすくめた。「人類は原子力時代に入ったと 「きみは本当に腕時計がないと、不便に思う ? 」チャ 1 ヴェイス が、助手席のドアを開けながらいった。 き、新世界への扉を開いてしまった。その結果として、何をその新 こも予想がっかないのだろう」 「わからないーー本気で考えたことなんてないと思う。計算尺なら世界で見い出すか、誰冫 「ふうん ? 」と・フリッジウエル。それから、「ああ、映画のセリフ なくしても不便に思わないわね」 「わたしは腕時計があってもなくても気がっかないね」チャーヴェね。そのことが気がかりなんじゃありません , ーーーそういう強迫観念 イスはシートベルトがないのに気づいた。「ずっと昔に、一生必要にとりつかれて ? 」 なだけのタイメックスを全部しまい込んでしまったのさ」 「いいやーとチャーヴェイスがしナ 、つこ。道路が市内道路に変り、く 7 「それで本当のところ、違いはあります ? 」 ずれかかった公営住宅の並ぶ区画を曲がって過ぎたとき、・フリッジ