評ではまったく使用されなくなっていた。 同書は、写実主義以後、ロマン主義以後の 文学を研究したものであり、ロレンス・ダレ ル、カート・ヴォネガット・ジュニア、ジ ョン・ノく一スらがとり上げられている。端 的に言えは、フアビュレーションとは、 語面や形式面の構造がきわだっているか、 あるいは、前面に押しだされている小説を さし、自意識的な遊びや喜びの効果をしば しば用い、多くは説話文学で架空世界を創 造する過程に固有の典型的な寓話に似た要 素をむき出しにしようとする意図をもって いる。フアビュレーターはモラリストにな りがちで、その作品は諷刺であることが多 い。もっとも、彼らはジョナサン・スウィ フトらのような先達とは根本的に異ってい るはずである。彼らの作品は、イギリスで は第一次大戦まで支配的だった写実主義小 説の大きな伝統そのものと対決し、それを 超えねばならないからである。フアビュレ ーションは、、、現実″を直接描く ( 模写 ) よりも、小説を意識した作品として故意に 自らに注意を魅きつけるため、伝統的な写 実主義の規準から見れば、グロテスクでお そましいと思われる世界を描くことがしば しばある。多くのフアビュレーションは、 〔 J C 〕 不条理 SF の項で論じている。 フェアマン、ポール・ W FAIRMAN, PAUL W. ( 1916 ー 77 ) アメリカの作家・編集者。最初に発表し た S F は "No Teeth for the Tiger ” ( 195 ので、以後の数年間、本名のほかにロ リー、マロリー・ストームといっ た筆名、および E ・ K ・ジャーヴィス、クリ ・ガースン、ポール・ローマンなどのハ ウスネームで、ジフ・ディヴィス社系雑社 、ルじ、 の常連寄稿者となった。彼はイフ誌が 1952 年 3 月に創刊されたとき初代編集長となっ たが、 4 号でその地位を譲り、ジフ・ディ VIII ヴィス社のスタッフに加わった。ジフ・デ イヴィス社を 1954 年にいったん去ったが、 1955 年 12 月には同社に戻り、 1956 年 5 月か らはアメージング誌とファンタスティック 誌の編集長として、 1958 年 9 月号までその 地位に就いていた。 1957 年 2 月にはジフ・ ジョーゲンセン名義の雑誌作品の一篇、 が、その名で何冊かの長篇を出している。 ーゲンセン名義を使った作家の一人だ 出たにとどまった。彼はアイヴァ ルドの編集も行ったが、同誌はわずか 3 冊 ディヴィス社の別の新雑誌ドリーム ・シ・ ・ワー 264 〔 BS 〕 しれない。 ( レスター・デル・レイ ) S 加 ( 1968 ) だが、他に何冊かあるかも Ma れⅣ″んな 4 ~ / の肥り、ぞ 50 e ハ研 ( 1966 ) 、 & g ~ ″ 0 ( 1966 ; 図 The 火 0 み砒 ( 1965 ) 、 Tu れ励 ug ん Time は『逃げたロポット』 The ″ 432J けである。これらのうち、判明しているの ル・レイはただフ。ロット段階に加わっただ れたまぎらわしい作品が何冊かあるが、デ はまたレスター・デル・レイの名で出版さ Go み 2 ど ( 1959 ) も書いている。彼に ミルトン・レッサーとの合作長篇 T ん などがある。アダム・チェイス名義で、 〃尾お 0 ″ 0 襯 / んに & 4 に基いている ) 『原子力潜水艦シービュー号』 g ね と海底都市』 City Under 訪 & ( 1965 ; 召 0 れイの一ェヒ。ソード ) 、『シービュー号 The World Gra ろ” ( 1964 , 0 れに & ゆ ヴェライゼーションであり、それらには れている。作品の何冊かは TV 用脚本の / 研に〃 C 肝ぉ ) として映画化さ 研 S の尾」売 ( 1955 ; 図て豆 0 ” いる ) もまた、『暗闇の悪魔』 va れ Cosmic Frame ” ( 1953 ; 本名で書かれて ( 1954 ) として映画化された。 "The "Deadly City ” ( 1953 ) は Ta だ get Ea れん !
えないよ。ぼくのいるのは新しい分野ーー・視差天文学なんだ。とてなら , ーーそれまでにもまして素敵だった。 も微妙な三角計測法を用いて、ぼくは近い恒星の幾つかへの距離を グリムは、スヴィルが何を見ているのかを知ると、彼の腕に手を 測ったんだよ」 のせた。「こういう絵、どう思う ? オスタ 1 レイ群島で手に入れ 「そうだわ ! わたし、ちょうどその題材の記事を最新号用に買った新しい方式なの。その絵は、題材を見るとその場で絵を″画く″ たのよ」彼女は指を鳴らした。プレイリー・タウンスが鞄の脇に手機械によって作られるのよ、ちょうどディオゲンスの作品の中での をのばして、ターチャに雑誌を手渡す。彼女はそれをスヴィルに渡ようにねーターチャは手を彼の手へと滑らせていった。一瞬、スヴ イルの視野がかすんだ。ほてりが身体にひろがっていく。「わたし した。「ほら」 の絵がいちばん下にあるのは、科学部門が去年できたばかりだから スヴィルは息をのんだ。見なれた〈ファンタシー〉の誌名表示が ある。その下に小さな活字で 「第一六二子午線期巻。通算一で、とうとう老スペクトルも発明小説の人気のたかまりに抗し切れ なかったのよ。 〇、〇三九号」これは、〈タルレ〉船団がすでに到着しているとい しつから〈ファンタシー〉を読ん あなた、ファンなんでしよう。、 う歴然たる証拠だった。長年にわたる熱狂的な愛読からくる歓喜に うち震えながら、彼はよだれを流して、トゴトの表紙を眺め、目次でるの ? 」 はしけ を見た。この雑誌の有名な標語、「物事は見かけどおりのものでは「七つのときから。二十年間。〈タルレ艀〉は、その間に十回、 アーキべラゲート ない」の下に、世界中の作家による、十五の短篇と中篇が示されて〈群島水道〉を抜けた。ぼくは、その度ごとにますます熱心に待ち いた。アイヴァム・アレックの新作短篇、ツミッシュ・カツツの連うけるようになった。前世紀のものも何冊か蒐集したよ」 ターチャは、優しく、親しみをこめてくすっと笑った。男たちの 載 : : : スヴィルはばらばらとめくっていって、あるべージで指が止 まった。それは、いつもの海藻パルプではなく、もっと重い、樹脂ことはスヴィルの意識の奥へと退いていった。「それはやりがいの 加工されたような材質のものだった。そのペ 1 ジの頭には、こう書あることよ。世界中に〈ファンタシー〉の全巻揃いがひとっしかな いって、知ってる ? 」 かれていたー・・・ー「〈ファンタシー〉スタッフ紹介」その下に六つの 「艀にある校正刷りのこと ? 」 肖像が緑の色調で示されている。しかしそれは酸蝕銅版ではなく、 手描きですらなかった。緑色がかった枠の中に示されているそれら「ううん。〈タルレ社〉にも完全な揃いはないのよ。ほら、三百年 に〈旧艀〉で火事があったでしよう、あれで、それまでの号がす の絵は、ターチャ・グリムや、スヴィルのテープルに着いている男 ~ ー つかり失われてしまったわけ。二十年前までは、二十五セットあま たちの寸分違わぬ複写だった。 リッグスは、きまりわるさが顔に出ているのではないかと思りも全巻揃いがあったんだけど、一連の事故で、ひとつを残してみ った。この人たちは、まさしく、自称しているとおりの人物なのんな損われてしまったの」彼女は″事故みという単語をちつびり だ。そして今、ターチャ・グリムはーー・・そんなことが可能であるの強調した。 2 ー 5
八〇年にイギリスで出版されたが、その時は〇ホラー映画「狼男アメリカン」 ・ヒューゴー賞速報 このほか、主演男優、女優は「レイダー さして話題にもならず、八一年にアメリカで 8 ス」のハリソン・フォードとカレン・アレ 一九八二年のヒ = ーゴー賞が左記のように出てから、にわかに脚光を浴びるようになっ 決定した。とりあえず小説部門のみお知らせた。執筆に五年半を費やしたというこの作品ン、監督はスティ 1 ヴン・ス・ヒを ( ーグらが は、タイムやニューズウィークによって一九受賞しており、海外映画としては「人類創 する。 八一年の小説ベストテンの一つに選定され、世」が特別賞を受賞した。 〈ベスト・ノヴェル〉 Do ミ b ミ 08S 、ミ 全米批評家協会賞や、ネビュラ賞候補となっ ・作家ニュース 〈ベスト・ノヴェラ〉 "The Saturn Game" フリデリック・ポ 1 ルは、『ゲイトウェ ポール・アンダースン ダイジェスト誌休刊 イ』と『ゲイトウェイ 2 』の二作と同じ宇宙 〈ベスト・ノヴェレット〉 "Unicorn Vari- アシモフズ・マガジンのいわば姉妹誌としを舞台にした新作を執筆中で、三分の二ほど ation" ロジャー・ゼラズニイ てディヴィス社が発行していたダイジェ まで進んでいる。また、別の新作長篇をタイ 〈ベスト・ショート・ストーリイ〉 "The Pusher" ・ンヨン・ヴァーリイ スト誌が、五号であえなく休刊となる。長篇ムスケー。フ・・フックスに売った。 のダイジェスト中心の内容で出発した同誌 ビアズ・アンソニイが五部作を二つ売っ ・キャンベル記念賞発表 は、あまり成功したとは言えなかったよう た。一つのシリーズはで、 "Bioofa 第十回ジョン・・キャンベル記念賞の受だ。休刊号は四号と五号の合併号で、二八八 space Tyrant" というシリーズ名が与えら 賞作が、七月十日にアメリカのカンサス州でページの特大号である。 ( インラインの新作れている。「バイオ ( B ぎ ) 」とは、・ ( イオ r ミ。ゼラズニイの E レミ。ト C ミ、スビグラフィ ( 自伝 ) 、パイオロジー ( 生物学 ) 、 / 行なわれた ( 研究者協会 ) の定 ンラッドの←、 0 ~ Ca. 、、 & 、 T 、 e 、マー ・ハイオ。フシ ] ( 生検法 ) などなどを表わして 期会合の席上で発表された。今日栄冠に輝い ティンの、év ミしミミなどのダイジェス ズはエイヴォン・プ しるという。このシリー たのは、ラッセル・ホー・ハンの『リドリー トが掲載される。なお、一たん休刊した後、ツクスから出版される。もう一つは「不死の ウォーカー』 Riddley VW e 、である。 売り上げ部数が検討されて復刊するかどうか呪文」というファンタジイ・シリーズて第 キャンベル記念賞は、各国の審査員からな 一作がすでに完成しており、デル・レイ・・フ る選考委員会によって選ばれる賞で、今回はが決定されるようである。 また、ダイジ = ストの編集を行なってックスから出版される。また、「魔法の国ガ ハリイ・ハリスン ( アイルランド ) 、サム・ ンス」のシリーズは三部作のはずがどんどん h ・ルンドヴァル ( スウ = ーデン ) 、キングいたショーナ・マッカシーは、このほどアシ モフズ・マガジンの編集長に就任した。 と拡がっており、十一月には五作目『鬼よ、 ズリイ・エイミス ( イギリス ) 、ジェイムズ 鬼よ』 0 ゞ 0 が、来年の一月には『悪 ・ガン、ロバ ート・スコールズ ( アメリカ ) ・映画賞発表 夢』 ~ 洋ミ、きが出される予定で、七作目 などといった顔ぶれによって選・はれた。 アメリカの・ファンタジー・ホラー映『台座の上の竜』し rago 0 Pedestal / 毎年渋い、通好みの選択によ 0 て知られて いるキャンベル記念賞だが、今回のラッセル画アカデミーが毎年選定する映画賞の第も引き続いて来年には出版される。このよう に彼のタイ。フライターは休む間もない。彼に ・ホし ( ンというあまりなじみのない名前の九回受賞作が発表された。結果は次の通り。 作家は、どうやらジャンル外作家のようで、〇ファンタジー映画「レイダースーー・・失なわよればファンタジイは書くのも楽でよく売れ るが自分としてはを書くほうが好きだそ 児童小説など他にかなりの小説を過去に発表れた聖櫃」 ( 島田武 ) ーマンⅡ」 うである。 している。『リドリー・ウォーカー』は一九〇 v-k 映画「スー こ 0
つ、少しずつ移動した。かれらは反応しなかった。思わず動きが大生き物の姿は消えた。 きくなった。かれらは眠りからさめたように動いた。 リトルバラは広場を囲む建物を見回した。 リトルラは呼吸を止め、不動にもどった。 広場を渡るものの動きをとらえる感受装がどこかにあるはずだ っこ 0 長い時間をかけ、 リトル・ハラは広場を横断した。 天色の雲が低く低く垂れこめ、奇妙な生き物の形も姿も、しだい 頭上の壁面の、二十メートルほど上方に、長方形の板が突き出し に透明になり、背後の街に溶けこんではあらわれ、あらわれては溶ていた。最初、それは窓わくか、とびらがなかばはずれて垂れ下っ けこんでいった。 ているのかと思ったが、そうではなかった。 さらに移動しつづけ、広場にのそんた建物のひとつに身を入れたそれは周囲の建物とは全く異った思考で形造られた形象だった。 時には、寄妙な生き物たちの姿は完全に消えていた。 リトルバラは崩れかけた階段をかけ上った。 分厚く積った砂塵が、リトル・ハラの足もとから滝のようになだれ リトをハラは足元の、石の大きな破片を取り上げた。 広場の向う端めがけて、力いつばい放り投げた。よどんだ空気が落ちた。 裂けた。 錆び、朽ち果てたドアがならんでいた。 広場の石畳が大きくゆれ動いた。それが、投げられた石塊へ向っ何番目かのドアの奥に、何かの巨大な装置がすえられていた。そ て一瞬に集中した。 の一部が室外の空中へ突き出していた。 それはすでに消えたと思った奇妙な生き物のむれだった。 被覆が腐蝕し、ところどころ内部の金属線が露出した太い電線 石は広場の向う端で乾いた音を立ててころがり、静止した。 が、つる草のようにからみ合っていた。 , 、ヤカワ文庫 JA コスモス。ホテル カナへピと心が入れ替った少年の話 スモス・ホテル」他、ファンタスティックな ムードをたたえながら、あくまでそのも 。森下一仁 のを感しさせる傑作短篇集。・定価 440 円 コスをみホテ 早川書房 3
ー : 1 の室 0 たなド氣ごゞ 石原博士の SF 研究室 光年 2500 3.73 引年 約で 20 光年の距離を加速しつづけるとする。 最終到達速度は光速の 99.9 バーセント。 尾部加速終了 頭部 幻倍 ( 長さ 2 刪光年 ) 2000 伸びる恒星船の長さ ( 光年 ) ノ 0 ′ッ 20 倍 】 000 田倍 500 5 倍 出発 0 一倍 ( 長さ光年 ) 尾部 5 年 3.73 刀 4 ( 尾部加速終了 ) 3 尾部人の年齢 ( 年 ) 0 2 幻 02 幻田 に 6 .7 0 3.737 ↑ ( 頭部加速終了 ) 783 尾部人の見た頭部人の年齢 ( 年 ) 47.5 年 20 20.98 3 2 0 尾部人を見る地球人の年齢 ( 年 ) 図 4 細長い恒星船は , くカ , く力しいほど伸びるのです ! ! ( 須賀隆氏のプログラムによって計算しました )
うになったけれども、無知から作り上げら れたステロタイプのイメージにおきかわる までにはいたらなかった。 S F にはまだ、 ェコロジーや進化、共生 ( 寄生と共生 ) といった概念を、せいぜい良く見ても興味 ある隠喩として、最悪の場合にはぼんやり とした抽象論として扱うような傾向があ り、それは最近かえって強まっているのか もしれない。他の星での進化のパターンも ( 宇宙生命 ) 、論理的というより楽園神 話的な方法で述べられることが多く、これ は生物科学にじゅうぶん精通した作家の作 品においてさえも事実なのである。 異星人の生活系の進化的説明には、通常 宇宙植民といったテーマが結びつけられる ことが多く、二足動物優位説その他を説明 するためにありふれた収斂理論が適用され る。遺伝の継承のシステムがちがうため に、われわれのそれとは異なる原理に支配 されているような進化過程を想像しようと いう試みは非常に数少ない。ラマルク説的 な進化をとげた異星の生物界を想像した作 品はいくつかあり、 ・ペイ リーの "Mutation PIanet" ( 1973 ) はそ れに含まれる。しかし、そうしたべつの進 化の過程が可能な遺伝機構を考案しようと した作品は、唯一、フ・ライアン・スティフ・ ルフォードの "The Engineer and the Executioner ( 1975 ) だけと言えるだろ う。根本主義キリスト教徒は、まだアメリ 力の学校でダーウイン説を教えるのに抵抗 しようとしているが、進化論についての議 論は SF では決着がついてしまっている。 そして、自然淘汰説の空想的な道具立て は、主に他の優先事項によって形づくられ る諸解釈を正当化するための補強論理とし て使われている。進化はもはや S F では思 弁を刺激する重要な要素ではなくなり、単 遠未来や宇宙生命の紋切型のイメージを ある程度正当化するための特殊用語と化し 265 〔 B S / P N 〕 ている。 工ーヴェルス、ハンス・ハインツ EWERS, HANS HE INZ ( 1871 ー 1943 ) ドイツの作家。フランク・プラウン という人物の登場する数冊の長篇で名高 い。そのうちの何篇かは SF で、 Der 加″市んれ g 〔魔法使いの弟子〕 ( 1 7 ) などが含まれる。代表的な作品の一つは 『アルラウネ』み I 4 れ e ( 1911 ; 1908 , 19 , , 30 , 52 と 5 度映画化 ) で、プラウンは 女性アンドロイドを造るが、彼女は自分の 有害な影響からフ・ラウンが死ぬのを防ごう として自殺する。他に『吸血鬼』佐襯がだ ( 1922 ) も有名である。彼の作品は基本的 にゴシック小説の伝統を受けついでいる。 〔 J C 〕 地球外生命体 EXTRATERRESTRIAL SF 用語で、地球もしくはテラ以外の非 人類生命体 ( 一般に知性をもつ ) をさす。 しばしば E. T. ( ィーティーと発音 ) と 短縮される。 ( 異星人、宇宙生命 ) 〔 PN 〕 フアビュレーション FABULATION もともとフアビュレーターとは、物語を 寓話もしくは神話風に語る人間のことであ ったが、 19 世紀までにこの語は一般に使わ れることがなくなり、ロ / く一 ト・スコーノレ ズが The おみ 4 ね ( 1967 ) でフアビュ レーションの概念を導人するまで、文芸批 VII
間デ嘛。。なド和ぞ中 石原博士の SF 研究室 と、胴まわりが細くなってゆくだろうでのカー・フは、じっさいの伸びとローレの″膨張推進″そのものではないかー ハリスンはたぶん冗談であれを書いた ( 長さ方向が縮むのではなく直径が縮むンツ短縮効果を分離することがめんどう なので、また別の機会にお眼にかけるこのたろうが、しつは相対論的にも正しか 尾部と頭部がたるんだロー。フでつながとにしたいが、簡単に述べると、尾部でったのである " っているとすると、そのロー。フはピンとまだ半年しかたっていないのに、頭部で 張るようになり、そのあと切れてしまうは一〇年がすぎて目的のアンドロメダ座誤解しないでいたたきたいのたが、地 ガンマ星に到着してしまっているーーと球に住むわれわれが見れば、恒星船の長 32 つ、つ 0 いう恐怖的現象が生するのだ。尾部はそさは常に一定で一〇〇光年のままであ 地球で見ていると船の長さはいつも一 〇〇光年で変らないのに、そういう切れれからゆっくりと頭部を追いかけるのる。それは、伸びた恒星船が″ローレン ッ短縮″でちちむために、速度ゼロのと たり細くなったり。ヒンと張ったりする様だ。 つまり長さ一〇〇光年の恒星船は、尾きと同じ長さに見えるからである。 子はちゃんと見えるのだ ! 一方加減速して目的の星に到着するま部が太陽からたいして離れないうちに頭また頭部人の時間も尾部人の時間も同 部のみアンドロメじように進む。むろんまったく同時に目 号 ダ座ガンマ星に達的地に到着するように観測される。両者 し ( したがって長に差はないのた。 さが約ニ 00 光年たた、尾部人が頭部人を見ると ( また 。フま 一しにまで伸び ) そのはその逆 ) そこに大変なギャツ。フがあら ロて われるのだ。これは、観測者がかわると にれご尾部がアルゴル の切に達したとき、ま同時が同時でなくなるーーーという相対論 よま 定ロた一 00 光年の長どくとくの効果によるものなのである。 ご カ一 ラドックスそれ自体についてはことさ はいさにもどるのであパ ら隔さ。 ら述べなかったが、結局はこの″同時性 さ司 のり すなわち、″尺の魔術〃によって解決できるのである。 船張 星ととり虫的航行】を 恒ン するのである 大団円をかざるとっておきの恐怖リ これはまさに、 図 、リスン ″伸びる恒星船″の話題、いかがでしたロ 『宇宙兵プルース』か <SF 号 ) 加速前 加速開始 プロダー・ドライプ
になるーー太陽を輝かせているのと同一の ( まだ解明されていな ねりだしたのだった。シェレニートのセラフ信者はこれを冗談だと は受けとらず、それから十五年間、その信仰が衰えるまで、単檣帆い ) メカニズムで動く機械である。スヴィルに判断できるかぎりで 船はシェレニート水域へ入ることを禁じられた。これは大変な苦難は、この作品にはまぎれもなく独創的な発想があったーーーこれを自 だった。当時は、風上への帆船航行の技術が充分に開発されてはい分が最初に思いついていたなら、とへドリッグスは思った。金属の なかったからである。シェレニートを避けると、何か月も航海時間 ″宇宙の船″でまっすぐにセラフへ行くのではなく、カツツは中継 が空費されてしまうのだった。 基地、小さな人工の月を設定していたのである。 最終的にセラフに着陸すると、大変な危難に見舞われゑカツツ はこのもうひとつの惑星に、知能のある細菌の種族を住まわせてい 日毎にヘドリッグスは〈大陸〉の岸へ、べイファストへと近づい ドリッグスは絶句した こいつは生物学者じゃないの ていった。クリルサークにいた頃には、クラウネッセ城砦への侵入たのだ。へ 三ページ先で、作者はちゃんと、この異生物の を思いえがいても、遠い世界での冒険に思えたものだった。しかしか ? しかし、二、 スヴィルにも、これは自分が身をもって立ち向かわなくてはならな存在を、あの宇宙島のアイデアにまさるとも劣らぬ論理的で奇抜な ドリッグスは、人類が、着陸船の帰る際 い現実なのだと、実感されるようになってきた。彼はますます多く方法で正当化していた。へ にもたらされた脅威に対して自衛しようと戦うところでは、いよい の時間を図書館で過ごし、〈ファンタシー〉に安息を求めた。ときに よ夢中になってストーリイを追っていった。この顕微鏡的な侵略者 は、自分のかかえている問題について考えるのを、何時間ものあい だ回避することができた。最近の小説がいちばん楽しめた。とりわとの闘いは、彼がこれまでに読んだうちでも最大級のサスペンスに コントライヴァンス・フィクショ / ・トリ - ツ・ク 富むものだった。人類にとって事態は絶望的に見えた。へ け、発明 説が面白かった。純然たる幻想小説の主題は、 過去七百年間、考えられるあらゆる方法で扱われてきた。二百年前スはページを繰った。 べら・ほうめ ! へ ドリッグスの心地よい幻影の殻は破れた。カッ に至ってようやく、物質的な進歩の発想が現われたーーー空想的な目 的を達成する機械じかけの方法があるのではないか、という発想でツはなんと、人類を侵略者の前に敗北させてしまったのだ ! へド リッグスは雑誌をずたずたに引き裂いてしまいたい欲求を抑えた。 ある。この十五年間というもの、〈ファンタシー〉に載る作品の半 シュナッフェル . 。、 / イの中に蛇が入っているのを見たようなショッ 数近くが O ( コントライヴァンス・フィクション ) だった。 クだった。地獄など、現実の世界で沢山ではないか ? 近頃はこの へドリッグスはツミッシュ・カツツの新連載を読み進めていっ た。カツツはツアナ ート・アーキペラゲートの生物学者である。科手の作品をあまりにもよく目にする。カツツに裏切られ、現実へと 学的な面がいつもしつかりしていて、この長篇も例外ではなかっ 売り渡されてしまった気分で、若き天文学者は立ちあがり、足音荒 た。他の多くの作者と同様、彼の大陸の大金属鉱床の発見を仮定しく図書館を出た。 ドリッグスは自分の船室の近くのテラス・デッキで足をとめ ていた。そうした鉱床があれば、大きな金属製の機械の建造が可能へ 2 引
SF ヒ。ープレからのメヅレージ 中継一ション ・今月の SF ビープレ・ 深町真理子 1 れからチ = リイし 0 さ、 ~ ~ 、 ozv S 、ミきもや . じつに久しぶりでマガジンからお声がか らなきゃならないし : : : でもせいぜいがんばっ かった。なんと昨年四月号のみティーヴン・キ てやりますから、『ティータ】ン』を読んでく ング以来。 ださったみなさん、もうちょっとご辛抱くださ しかも本業たる翻訳で、ではなく、が今月の ピー。フル第なんて肩書つき、顔写真入りで あとひとつ、九月下旬というから、この号が このような欄に出してくださるという。周知の ごとく ( でもないか ) 、の翻訳者ではなく、 々出るのと前後して、新潮文庫かちスティーヴン・ キング『ファイアスターター』が出る。テーマ ・ハイロキネッス もひきうける翻訳者にすぎない身として、・・日 . 〕〔 は念カ放火という超常現象だけれど、キングは は、まこと忸怩たらざるを得ないのであります 0 ( ・【 0 ・これをいままでの作品 ( 『キャリー 』、『呪われ が、そこはほれ、早川書房の編集者には、若く て、 " 目にやさしい。男性が多いので ( これ、なた町』、『シャイ = ング』 ) とはちが 0 て、オカ ゴすりじゃないよーー最近の編集者がどんど・・ ( の ~ ・ルトふうには扱 0 ていない。主人公の少女が放 火念力をそなえるにいたった過程を、けっこう ん若くなっているということは、某週刊誌上で かの野坂昭如センセイも指摘しておられる。も が科学的当に説明したりして、前に本誌かどこ っともセンセイは、そのことに〃そそろ恐怖感 かで紹介されていたことだけれど、〃自分では を覚えるとおっしやっておいでだが ) 、なん、。として書いたつもり第という作者の言葉 であれ頼まれればほ、ほいとひきうけてしまう 医トは、あんがい本音だったのかも。まあかど のだ。 うかという論議はさておき、おもしろいことは 置 というわけで、マガジンにはご無沙汰だ ・せったいまちがいない。とくに、主人公の超能 ったのだが、そのあいだの翻訳にご無沙汰 の・カが発揮される場面のド迫力、これにはイ , していたわけではない。今年にな 0 てからで , 身・タね。 ただ、おなじ時期に、おなじ版元から『・ も、ゼラズ = イの『燃えっきた橋』と、これはー . 他社からだけれど、ジョン・ヴァーリイの『テ 、ー』も出る。あちらは映画というッヨーい味方 ィーターン』が出ている。さいわいどっちも評 もあることだし、長さも手ごろ、ひきかえこち 半力いいようで、ありがたいのだが、ヴァーリ らは上下二巻で、さてこの勝負、どうなります イのように〃三部作と銘打たれていたりする やら。たまたま、『・』の訳者、池央耿氏 とは、幸か不幸かおなじ屋根の下ではないまで / / / と、評判がいいのも訳者にと 0 ては痛し痒し。 つまり、「続篇はいつ出るのか」という読者か も、おなじ団地のなかに住んでいる。そのため らのお問合せ ( 『ティーターン』の場合、発売 、ひところは、担当の編集者があちらの棟とこち 後三日目に版元に電話してこられたアリガター . 者一。らの棟のあいだを東奔西走。いまはそれも一段 とき い読者もあるそうな ) が、いっしかご催促にな【み祝落して、双方鳴りをひそめて対決の秋を待 0 て り、叱咤激励になり、ついには怨差の声巷に満 いるというところ。右や左の読者諸兄姉、『 ちみちて、訳者は身の置きどころがなくなると ・』もいいけれど、どうかこちらもご贔屓 に。買ってネ。 いう毎度おなじみのパターン。あーあ、先が思 いやられるなあ。だけでも、今年はまだこ
トニーはマリアの横顔に語りかけた。 は傾き、衣類があちこちに脱ぎちらかしてある。まるで、目立っと あ ころだけ汚してあるようだった。 「なんか魅かれるものがあるんだな。店にもよく来るよ。 あ、客の入りは上々だ。マリアにも見せてやりたい」 「果物を買ってきた」 つまらないことを言っているなと彼自身も思った。彼は部屋の中 トニーはそう言って、ポリエチレンの袋からビンク色の果実をふ たっ取り出した。 を歩きまわった。 「マリア : いつになるかわからないが、ロスにある店が呼んで 「桃の一種みたいだな。うまいのかどうかわからんが : : : 」 の上に腰をおろした。 彼は女と並んで・ヘッド くれそうなんだ。そうしたら、一緒に行こう」 壁には、四〇センチ四方ぐらいの小さな窓がある。が、そこから 語尾がふるえた。どうしてかわからないが、自分の言っているこ は直接太陽の光は入ってこない。灰色に曲がりくねった長い通路をとのどこかに欺瞞が忍びこんだような気がしたのだ。 通して、ほの白い、萎えたような薄明かりが届くだけだ。 マリアは壁を見つめている。 それでも、一日に何十分か、夕暮れ時に西の空が晴れていれば、 窓のタ焼けは消えていた。磨りガラスよりなめらかで、冷たい感 その光もぼうっと赤みを帯びる。その赤は、わびしい赤だ。でも、 じのする樹脂製の窓は、今は深い湖の底のような、黒々とした青さ そんな変質した、出がらしのようなタ焼けでも、見つめていると、 に変わりつつある。マリアのうるおいのある黒い肌が、ひたひたと 押し寄せる闇の中に沈んでゆく。 いくらか心が和んだ。 女の無造作にのばした髪が、徴かに光を受けている。トニーは、 トニーは、マリアの前にかがみこみ、彼女を抱きしめた。彼の胸 彼女の横顔を見つめた。彼女の褐色の額が、きれいなカープを描いに、重く苦いものがこみあげてきた。彼は、マリアの頬に自分の頬 ていた。 を押しつけ、しばらく自分たちの心臓の鼓動を聞いていた。 「マリア、今うちに居候がひとりいるんだ。白人だぜ」 マリアが細い細い声を出した。 トニーは、自分の顔の前で細く長い指を左右合わせて呟いた : それは少しずつ音程とテンポを変え、繭から糸を紡ぐように長く 「おれが出演している店で飲み逃げをやらかそうとして、つかまっ長く続いた。 て袋叩きにあおうというところを、おれが助けてやったのよ」 その声は、トニーの頭に響いて、不思議な、不合理な感情を引き のヘ起こす。哀感を帯びているようで、不意に童心にかえるような喜び マリアと呼ばれた女は、彼の言葉に反応しなかった。・ヘッド りに腰かけ、両足をぶらぶらさせながら、おだやかな目をして前をが出現する。 向いている。 トニーは、彼女の声に唱和した。 「そうだ : 「変なやつだぜ。あまり英語がうまくないんだ。一日中ぽかんと昔 。そこまでは覚えた。その先だ : : : 」 のソウルやジャズを聞いている」 彼は、耳もとでささやくように歌うマリアの声を、必死に自分の ー 43