2017 年 1 月 7 日放送 ロロ 日 , 円 音響効果 映像技術 編集 美術 ディレクター 制作統括 N H K スペシャル「ばっちゃん ディレクター・撮影・語り ~ 子どもたちが立ち直る居場所 伊東敏恵 入江領 矢島隆太 小関孝 土肥直隆 高石真美子 松島史明 外舘綾 濱田美紗子 伊集院要 堀川篤志 ハートネット T V 「おかえり 2013 年 10 月 9 日放送 ~ 非行に走る子どもたちの居場所 ~ 」 コ :r. 日 編 尸 1 集 音響効果 ディレクター プロデューサー 制作統括 ふるさと発スペシャル 入江領 小山道夫 水野暢子 外舘綾 塚田大 伊集院要 渡辺由裕 林敦史 「ばっちゃん引退 ~ 広島・基町名物保護司最後の日々 ~ 」 2011 年 1 月 14 日放送 音響効果 プロデューサー 制作統括 谷口文雄 樫山恭子 伊集院要 亀山暁 松永真一
取材のはじまり 年 3 月の初め、私は広島の街を、少しギラギラしながら歩いていた。 縁あってフリーのディレクターからにキャリア採用で入局し広島赴任となった私は、 初めての「ネタ探し」をしていた。まず担当することになったのはローカルニュースの 5 分 の特集枠。 フリーの頃、懇意にしていたプロデューサーから「広島に赴任するということは原爆で z スペシャルを作るということだ」と聞かされていたので、 5 分とはいえ、そのとっかか りとなる現場を探していた。 しかし、ディレクターには得意、不得意がある。私は資料を読み込み事実を積み上げてい くタイプの番組作りが苦手で、人間を描くのが得意だと感じていた。川年も昔の話を扱うに は致命的だったが、 ある作戦を練っていた。 「今の核兵器を巡る国際政治の駆け引きを、爆心地近くの小学校の子どもたちの人間模様で 描けないか」 強い者がいて、弱い者がいて、その中でさまざまな関係性ができあがるのは、人と人の関
第三章子どもに届く " 亠円 ~ とは 大人嫌い 8 2 「善 , 「悪」の階調 ( グラデーション ) 3 伝わる注意 4 相づちの妙如 5 贅沢な無駄を使い、心に描くように話す 6 感動なくして更生なし 7 感動の場面は撮れない 8 アッシへの向き合い方 9 少年たちから見た。ばっちゃん。 なぜ続けてこられたのか ? 伊集院要 ( ディレクター ) X ばっちゃん ( 中本忠子さん ) 対談 729
第二章子どもたちが生きている世界 8 福祉から漏れたグレ 1 ゾーンの知的障害者たち 2017 年 7 月現在、私はの中の「福祉班という部署に所属している。テレで 放送している「ハ ートネット」という福祉番組をベースにしている部署だ 身体障害、認知症、発達障害、貧困など、人近いディレクターが日々さまざまなテーマ で取材している。 犯罪と隣り合わせで生きていた子どもたちが、今見せる輝き。この違いに、陰と陽、どち らにも簡単に転がりかねない危うさを見るべきなのか、それとも子どもが本来持つまっすぐ な力を見るべきなのか、はたまた、環境のために多くの可能性が失われかねなかったク布 さりを見るべきなのか。いすれにしても、生まれた家庭によって人生のスタートラインにも 立てない社会など、豆腐を切れない包丁のように、社会としての最低限の機能さえも果たせ ていないのではないだろうか 9 一 5
第一章いろんな“はじまり” 類を見ないほどの多さだという。中本さんを指名する子どもも多く、担当になった保護司も 「その少年は中本さんの家に通っている子なので私が引き受けていいのやら ? ーと、どこも かしこも「中本さん」に行き着いてしまうそうだ。そんな子どもたちの多くが中本さんを莫 い、立ち直って行くのだという。 最初、井山さんの勢いに押され、戸惑いはしたものの、この嬉しそうな語り口を聞いてい るうちに「中本さんの取り組みは本物なのだな」と私も自然に腹をくくっていた。 ドキュメンタリーにおいて、ディレクターの仕事の 7 割は、本物の現場を見つけることだ うそ と思っている。本物の現場は、無理をしないから嘘つほくならない。 3 はじめて出会った少年 中本さんの連絡先を手に入れ電話をしたのだが、実ににしい人で繋がりにくかった。西に 東に北へ南へ、子どもが捕まったと聞けば警察に行き、お腹が空いたと連絡があれば料理を
また、本来、「放送」という一過性のメディアだけで終わるところを、一度せき止め、こ 、つして違う形で中本さんの活動の意義を紹介する機会を与えてくださった扶桑社の高橋香澄 さんに改めて感謝いたします。 最後に、本書ですでに紹介しているが、私の 8 年間の取材の中で、いちばん好きな中本さ んの言葉で締めとしたい。 「子どもの顔を見よったらね、せんにやおれんようになる。今日のこの子らの顔でも見てご らんよ。来た時にはお腹を空かした顔よ、帰る時には生き生きしちよるじやろ。 違うでしよ。食前と食後いうたら。あれを見ると、せんにやいけんと思うよ ( 笑 ) 。 で、かわいいじやろ。そう思わん ? 携わった人間だけが、かわいいかわいい一一一一口うけど、 人から見たら、何こげな子が、かわいいじやろかという人がおるかもわからんけど、そやけ どあどけないじゃん。じやけん、食べたあとの顔見てよ。ものすごく、和やかじやろ」 2 017 年川月 Z ディレクター伊集院要 幻 4
今から 455 年ほど前、私の隣の席のディレクターが、風俗で働かざるを得なくなってし まった知的障害の女性たちを取材していた。 その番組によると、全国に万人いるといわれる知的障害者のうち、何らかの福祉 サービスに繋がっているのはわずか 4 分の 1 あまりの万人で、一見わかりづらい軽度知的 障害者の多くは、適切な支援もなく見過ごされているという。 時に住む場所さえ失われる中、生きていくためのギリギリの選択として、性産業に身を置 いたり、男性宅を転々としたりする女性たちも多いとのこと。障害ゆえにお金を騙し取られ たり、暴力の被害に遭うことも多いという。 まさに社会のセーフティーネットにひっかかりにくい「グレーゾーンーの中に生きている。 中本さんの家に通う子どもたちの中にも、知的障害と診断されていたり、検査こそ受けて いないが疑われる子どもも少なからず存在した。そのうちの 1 人、中学生の頃から中本さん の家に通っていたアキラは、会話で使う単語が少なく、状況を理解することが苦手そうだっ だま 0
多くの人にかけてもらった。 中本さんに「本を書いてほしいーという話はたくさんあったそうだが、当の中本さんは「ウ チは大したことは何もしちよらん ! と自分のやっていることを語りたがらない性オ 周囲が手を焼く非行少年たちを魔法のように立ち直らせてきた中本さんだが「ご飯を食べ れば悪さをしない と括ってしまう。ミスタープロ野球こと長嶋茂雄さんが「ぐぐっときて、 グッと溜めて、スパーンと打つ」とバッティングのコツを語るのと似ている気がする。どう やら天才は「子どもが立ち直る 7 つの方法」といった便利な本は書いてくれないらしい。「あ んたが書きなさいー と指名された私が、子どもの置かれた現状や非行に走る背景、子ども にとっての居場所とは何かを、取材時に垣間見た中本さんの言葉や行動、子どもたちがやっ との思いで発した言葉を参考にしながら、私なりの視点で書いていきたい。 ※プライバシーの保護などの理由で、登場人物の名前を変えている場合があります。 Z ディレクター伊集院要 5