「じゃ、ゲームをしよう」 ん、あ、はあ ? そら 戸惑い。だが警戒心むき出しで、空の言葉を聞くステファニー 「なに、難しく考えることはない。ただのジャンケンだ。知ってるか ? ジャンケン それは : ・ : まあ、知ってますわよ 「ジャンケン 「うん、この世界にもあってよかった。じゃあそれで勝負。ただしーーー」 と、指を立てて。 一一一口い含めるよ、つに、ゆっくりと、空はこ、つ一言、つ。 ししカ ? 俺はパ 1 しか出さない 「普通のジャンケンじゃあない 「俺がパー以外を出したら『俺の負け』 : : : だか、パ 1 以外の手を出しておまえに勝った パー以外を出してあいこにな ら、お前も負けだからこの場合『引き分け』ーーーもちろん、 ったら『俺の負け』だ」 パー以外を出したら負け ? おれ
1 1 1 第二章ーー挑戦者 「それだけのためとはなんだ。重要なことだろうが」 「そのために、使用人たちがどれだけ無駄に薪を燃やしてるかわかってるんですの ? しかも沸騰している湯船には当然、入れない 湯気を起こすのに無意味な水を使わされているわけだが : 「それ言ったら、こんな大浴場を一人で使ってたおまえの無駄はどうなる」 、つ . 、つ . さすが元王族の血筋というべきか。 ステフは、空の想像を上回る金持ちだった。 彼女が保有する何処かローマつほい建築様式の屋敷は、日本しか知らない兄妹には 『城』と言わても納得する大きさで、たった今使っているステフ個人の浴場も、十人は使 えそうな広さだった。 同じく、ローマつほい装飾のその浴場を、『全年齢』にすべく沸騰させた浴場は。 負け込んで滅びかけている人類の家とは思えない豪華さだった。 だだ 「まあ、スマン。妹は風呂嫌いでなーーー『十一歳の裸は十八禁でもアウト』って駄々こね て俺に洗わせないし、中々風呂に入らないんだよ。ギリギリ健全ならオッケーと昨日自分 で言ったのを、利用しない手はないと思ってな」 おれ
269 あとがき しっそバトルク出来ないファンタジ 1 世界 ! とい、つ思いっきと。 「じゃ、 僕が寝てる時間と仕事してる時間以外、全てを捧げてる「ゲ 1 ムーを組み合わせー 『国境線すらゲ 1 ムで決まる世界ーーー国盗りギャンプル ! 』 という逆転の発想と、趣味全開で作ってみたものだったりします。 ま 5 、残念ながらその企画は実現しなかったのですが。 いっか形にしたいなあと思い、プロットと設定書を残していたわけです。 と、そこへ来て厄介な体調不良により、漫画を休筆せざるを得なくなり。 1 暇ジングだったしゲ 1 ・ム・持 - ち - 込・み禁止・だ・・つ・・た・し、これはも、つーーーー 病院でス 1 神は言っている : : : ここで休筆するさためではない、と。 あきら ん、古くないでしよ。まだ行けるって諦めんなよ。 の そ、そういうわけで、病床に伏せてる間にプロットを、小説用に大幅に変えて。 今こうして形にーーーあ、そ、ついえば担当さんが 「あとがきで買うか決める人いるからアピっとけとか言ってたつけ。 じゃあ こんな感じでど、つでしよ、つかっー ささ ちばん
190 もはや、負けはない。 「ポーン 3 番隊 ! 今こそ好機ーーー敵ビショップを討ち取れ ! 」 そら 確信し、詰みにかかるだけとなり叫ぶ空の指示に、忠実に従いコマは動き。 だが、ビショップの手前で ポーンが黒く染まる。 なつ」」」 きようがく 観衆が驚愕の声を上げる。それはもう、見慣れた光景だった。 だが、ここへ来て初めてーーー・その光景に空が加わった。 にらせてしまう空の顔色に。 その現象を明確な『想定外』だとクラミー : と、薄く暗い笑みで、クラミーが言う。 「洗脳ーー面白い表現を使うわね。洗脳だったら当然出来るわよね、こういうことも」 攻撃しようとしていたコマが、再び強制的に黒く染まる。 『強制洗脳』 それは、こちらの攻撃の一切が封じられることを意味する。
そのプログラムに妹は、二十連勝して興味が失せて久しい ャル気がわかないのもわかる。が 』に負けは認められない。せめて相手の実力がわかるまで、起きててくれ : : : うう、つ : : : わカった」 そうして、チェスを打ち始める空。 一手、二手と積み重ねて行く兄の対戦を、興味なさそうに。 しや、眠そ、つに。八口を曲日ぐよ、つに、 かくん、かくんと眺めている白。 なーー五手、十手と重ねたところで。 五分の四閉じられていた白の目は開かれ、画面を凝視していた。 : え ? あれ、こいつ」 と、空が違和感を覚えると同時、白が立ち上がり、言う。 す 一切の反論なく、素直に椅子を明け渡す兄。 それは、妹が兄の手に負えないと判断したということ。 つまり、世界最高のチェスプレイヤーが相手するに足ると判断したということ。 入れ替わった妹が、手番を重ねて行く。 しろ
三日の時が流れる。 不眠不休で、無数のゲームを繰り返した形跡が散らばる広間の中央に。 床に突っ伏す兄妹の姿があった。 : しい加減 : : : 負けを認めろよ にい、こそ : ・・ : もう、あきらめる」 二戦連続勝利を条件にはじまった無数のゲ 1 ムは。 と、つと、つ。ーー 500 戦 158 勝 158 敗 184 分を数える。 不幸だったのはこの場にいるものはおろか、二人の『元の世界』にすら。 こまでなった『 都市伝説 ( 』ーーーその中の二人の戦績を知るものがいなかったこと。 二人の共有名義である『 』とは別に。 ゲーム好きの兄妹としては、至極当たり前に。二人は二人で対戦していた。 その戦績は 章 っ 0 一 0 ワ貿〔 / -4 4 戦 11 〔 / 0080 勝 1 1 〔 / 0080 敗一 118 。 6 一 584 八刀 四 第 、に、一度として勝ち越しも、負け越しもない ・ : 今日まで互し
「あー。ちと田舎から出て来たとこでな、都会の事情に詳しくないんだわ。 奇しくもやっているゲームは、中と同じ : ・ : ・『ポ 1 カー』。 ただし、こっちはビンのキャップを使って。 いぶか 青年の言葉に、訝しげに中年の男性が答える。 イマニティ 「人類種に残されてる領土で田舎って : : : そりやもう世捨人じゃねえのか」 「はは、そうだな。で、こりや何の騒ぎ ? 」 適当にはぐらかすように言う青年に、ヒゲの男は言う。 「今、エルキアでは『次期国王選出』の大ギャンプル大会が行われてんだよ」 酒場の中の様子を眺めながら、フードの少女が更に問う。 「 : : : 次期国王・ : 選出 ? 「おうよ。前国王崩御の際の遺言でな」 『次期国王は余の血縁からでなくク人類最強のギャンプラークに戴冠させよ』 なおもヒゲの男、ビンのキャップを上乗せしながらいう。 イマニティ 「国盗りギャンプルで人類種は負けが込んで、いまやこのエルキア、しかもその首都を残 すだけだからな なりふり構わなくもなるさあなあ 「ふーん、『国盗りギャンプル』ねえ : : : 面白そうなことやってんな、こっち」 たいかん
わたくし そう言われて、ほいほい私がチョキを出すとでも思ってるのかしら。 提示した条件を見ればーーーあちらの意図は明らかですわ。 あいこを狙っての勝負ーーコレしかないですわ。 この男は、宿が欲しいだけーーーそしてイカサマも本当はわかってない。 こんなところが真相じゃないかしら。 彳かパー以外、負けというなら、私が出す手の勝率は グー〕 2 勝 1 敗。チョキ〕 2 勝 1 分。 ハー〕 1 勝 2 分ーーとなる。 ーしか出さないと宣言し。 私が素直にチョキを出したらグーを出して。 『はい予定通り 5 バカ正直乙』とでも笑う腹づもりなんでしよう。 かといってパ 1 を出せばーーー負けることはないけど。 つぼ ほば確実に引き分けられて結局相手の思う壺。 この男、私が絶対グーは出さないと思ってる 唯一、負歩る可能性がある手だからっー 、カにしてーーーっー 章 グ 1 でもチョキでも、私の勝率は『 2 〕 1 』ですのよ。 第 狙い通り 引き分けになんてさせてやらないですわっー と、空を射ぬくように睨むステファニー ねら
やっ だれ 「次期国王に立候補する奴は、人類種なら誰でもよく、名乗り上げてどんな方法でもいい、 ゲームで勝負し、負ければ資格剥奪、最後まで勝ち残った奴が国王って寸法だ」 なるほど、単純なルールだ。わかりやすくて結構だ。 いぶか だが、フ 1 ドの青年が訝しげに言う。 「 : : : ずいぶん適当だな。いいのかそれで」 「『十の盟約』に従い、相互が対等と判断すれば賭けるもの、勝負方法は問わない と、何で、どのタイミングで戦うかまで込みで、国盗りギャンプルだからな」 いや、別にそのことを言ってるんじゃないんだがな」 つぶや のぞ そう、意味深に呟くフードの青年が再び酒場の中を覗き込む。 その青年に、少女が呟く。 「 : : : 負け込むの、当然」 「ああ、全く同感だわー お互いに言い合う一一人、青年がポケットから四角いものを取り出し。 酒場の中に向け、ナニかを操作すると 、パシャツ、と。立日が鳴った。 と、中年男性がにやりと笑う。 「で、兄ちゃん ? 他人の勝負気にしてる場合なのか ? 」 言って、さっと札をオープンする、男。 「フルハウス。悪いな」 はくだっ イマニティ カ 二一口
ナイト 「よくぞ堪えた、よくぞ持ち堪えた、誇り高き騎士よ ! それでこそ民の剣よっー こたび 此度の戦場での活躍に報いる褒美、我 が、今しばしその剣を休め、休養を取るが良いー が名に懸けて与えることを誓おうぞ ! 」 するとナイトが ただのコマが 空に いや : ・ : ・『王』に向き直り。 一礼するようにしてーーふつ、と盤面上から消え、テープルの隅へ移動する。 チェスではありえなし 、、『相打ち』とい、つ現象に。 あざわら こた 絶句するしかないクラミーを、嘲笑うように、空は応える。 「くくく、バカめ。本物の戦争を再現するチェスだあ ? シヴィでも大戦略でも負けたこ とのないこの俺を相手に、その下位互換であるこんなゲームで勝てるとでも思ったか ? 」 そう これはチェスではない。 ストラテジーゲームだ。 者 融士気の維持を行う魔法ーーーなるほど、中々有利な魔法だ。 だがそんなもの、社会制度や世界遺産によるステータス補正程度の価値しかない 章 そしてーーーそれらの弱点もまた、こちらは熟知している。 第 即ち、その補正効果に頼るプレイスタイルになること 相手のプレイスタイルさえ見えれば おれ こた