1 10 「 : : : ふむ、言葉は何語でもいいのか ? 」 「はい、ですが、実在しないもの、架空のもの、イメージがないものは具現化出来ません。 デタラメな言葉や現象を口にしても、ク無効回答 % となりますので、ご注意を だか、そのルール説明に。 そら 引っかかるものを覚えて空。 敗北条件に、 「ーー『継続不能』ってのは ? 」 「具象化しりとりでございますから : : : 」 薄く笑って、ジプリ 1 ル。 「ロにしたものが、『その場にあれば消え』、『無ければ出現する』ーーそういうル 1 ルで : も、つ、お分かりでございましよ、つ ? 」 しりとりを行、んばど、つなるか : : なるほど。 ゴリラと口にすればゴリラが現れるわけか。 予想していた通りとはいえ、なんとも面白そうなゲームだ。 おれ 「ちなみに、俺が『女』って言ったら ? 」 しいところに気がつく、という顔でジプリ 1 ルが答える。 プレイヤー 「私以外の女性ーーー妹様や、そちらのドラちゃんが消えますね」 「世界の女全員が消えるわけじゃないのか」
1 18 そら だがステフの心配をよそに、空はあっさり水品に手を乗せ、言った。 人間には感知出来ない、だが魔法を使える全ての種族の。 その源が、消滅する。 その一手に、再び驚くジプリール。 「これはまた いきなりですね」 フリューゲル 「覚えたての言葉だし、天翼種が心を読む魔法使えないって保証もないし ? 」 そう、ヘらへら笑って言う空の顔に、ステフの危惧するような色はない。 それは、そう、はじめから期待していなかった策を確認程度に行い。 予想通りの結果に、次の策にあっさり頭を切り換えた策士の、余裕の色。 「それとも、なに、不都合 ? 」 なおもへらへらと言う空に、ジプリール。 「いえ : : : 追加で精霊の補充をされないわけですので、多少身体能力に制限がついたり飛 べなくなったりしますが。しりとり戦では必要無いので : : : まあ、構いません だがジプリール、少し落ち着かない様子でそわそわと。 「強いて一言えば、そうですね : : : ちょっと落ち着かない感覚がございますね」 「ああ : : : ケータイの電波が立たなくなった時みたいな感覚かな」 その言葉に、ピコーンと音が鳴るように顔を上げて、ジプリール。 「ケータイってなんでございますかさきほどの薄い箱と関係がつ デンパとはっ
エルキア中央通りから、入り組んだ路地を抜けた先の図書館。 ほおば そらしろ その前の喫茶店で、本片手に、空と白はドーナッと、お茶を頬張っていた。 こころもと 「食糧不足でも工夫してやってるが : : : やつば備蓄はもう心許ないようだな」 中央通りから外れた広場に並んでいた出店で買ったドーナッと、店の紅茶。 だがその出店には本来の活気は感じられず。 やはり売り手達の表情に余裕はなかった。 それが今のエルキアの状況を物語っていると言えた。 データを見るに、空達の元の世界なら、暴動・略奪が起きている状況である。 だがそれよりーー 「どうだった白、そっちは」 ・ : 収穫、なし : : : 」 「 : : : ん。やつばり : 「やつばそうか。ったく、どうなってんだ。おかしいんじゃねえのこの国」 「ーーー・おか、しい、のはーーー」 「あなた方の神経ですわよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ !
202 ( しするとあら不思議、カーテンの後ろ、壁のプロックの一つが不自然にせりあ 「はいよ、、 : と、これが重いんだよな、この前は白と二人して必死に がるじやございませんかっー シプリ 1 ル頼む 整備不良だろ。・ 押してやっと開いたが、 卸意に」 「あ、はい、イ . そう言われ、ジプリールが軽く力を入れると。 「すると、まあ、お約東通り ゴゴゴゴゴゴ、と。 「本棚が動いて 5 」 動き終わった本棚の向こうに かぎ 「鍵つきの扉のご登場。これ、あそこの鍵だろ ? 」 ステフから貰った鍵を手で遊ばせながら、気楽に。 そう、あまりに気楽に。 あまりにも、あっさりと。 先王が、必死で考えただろう仕掛けを
認めかたい事実に、疑いながらも叫ぶ空に。 「あ、あの : : : コレでも国内最高のアカデミー主席卒業してますわよ、何ですのツⅡ」 「いやだってーーー自分の姿ちょっと顧みてみようぜ ステファニー・ドーラ。 かってのエルキア国王の孫にあたる、由緒正しい少女が今。 首輪と、大のような耳と尻尾をつけて。 首輪から繋がったリードを白に握られ、歩いていた。 都心の、大通りを。 「頭よけりやこんなことになってないだろツ 「こんなことにした当人がなに言ってるんですのツ」 そう、今朝方、空にプラック・ジャックでポロクソに負けたステフは。 べ 並『じゃ、今日一日、おまえ大な』 という、超適当な要求に従わされていた。 かつぼ 章 エルキアの中央通りを、そんな様で闊歩していれば当然といえるが だれ まなざ 第 道行く誰もが目を留め、奇異なモノを見る眼差しを向けていた。 なお、先ほどの屋敷でも、ずっとこの格好だったことを補足せねばなるまい つな しろ
25 オープニング まさに城だ。火にさえ気をつければ、日本家屋より優れた建築なんぞーー」 と、そこまで一言って、何か思いついたよ、つに。 窓辺に置かれたソーラーチャージャーが充電していた、タブを取り出す空。 「あ、やつばそうだ。日本建築の専門書も入ってた」 「よし、城内に『家』を作ろうー 全く話について行けないステフを置き去りに、空が白熱して続ける。 「どうだ白、夢のマイホ 1 ム ! 名案だと思わんか」 「ふふ、気にしてることは、手に取るよ 5 おにわかるぞマイリトルシスター だが兄ちゃんがそんなことも察せないと思うのかね、とばかりに。 ズビシと、窓の外をーーー・城の中庭を指差す空。 ちゅうぼう 「あそこならメイド達のいる外郭からも近く、給仕の問題はない。城の方の厨房からも近 いし、今まで通り引きこもれる ! 緑も適度にあり風通しもいいのに、人通りは少ない コレ以上の神立地があろうかっー っ ! そして城壁のお陰で朝日がクささないみ 得意げにそう語る空に、低く手を上げて白。 しろ
手 135 第二章 酸素がなくなった大気で、『空気』といえばどうなるか ? 答えが、この状況だ。 空気に含まれる酸素だけを残し、全ての気体が消滅。 すると起こるのは八十 % もの、意識を奪うような猛烈な減圧ー・ーーそして。 単体で取り込めば『猛毒』でしかない酸素に満ちた空間である。 呼吸すれば一瞬で空達も死ぬ空間 おもむろに空が、白とロづけする。 ーー循環呼吸。 体内までは干渉出来ないしりとりのルールを利用するなら。 体内に残った空気を、二人で循環させればいい。 急激な減圧に全身が破裂しそうになり眩む意識を、しかし。 辛うじてつなぎ止めてーー短時間なら、しりとりを続行出来る。 起こっている現象、空の行動。 その一切がわからないジプリール。 だが、それでも、なお 無駄なのだ。 しろ
164 かんべき 「ふふふ、今回は完璧ですわよ ? 砂糖とバターを取り戻した自分に死角なしつ、と意気込んでステフ。 そら それが空に褒めて貰いたい一心、とは思わないよう、図書館奥の部屋に向かう。 と、両手が塞がって扉が開けられない。 「なんか、デジャヴがありますわねこの光景」 だれ デジャヴ通りなら、扉をあけたら誰もいないオチなのだが : 果たしてそこは、幸いにもデジャヴ通りの光景ではなかった。 、か , わ、り瀁 4 「では ジプリール君」 これ以上ないほどシリアスな顔で、ジプリールを問いただしている男。 おれ 「俺に征服される獣耳少女達の国ーー・ク東部連合ツについて、聞かせて貰おうか ? 」 イマニティ : 人類種の命運が託されていると信じたくない男がそこにいた。 「かしこまりました、東部連合は、複雑な事情を抱える国でございます」 ワービースト 東部連合ーーー位階序列十四位『獣人種』の国。 ワービースト 獣人種と一言で言っても、その身体的特徴の差異から、無数の部族が存在し。 そのため長年、内戦と不可侵を繰り返していた、統一性のない小国の島々だったが。 ふさ もら : と田 5 、
264 「 : : : ソラ ? 名前、ですわよね、誰ですの ? 」 ああ。 願わ / ば。 これが、たちの悪い夢でありますように。 眼を覚ましたら、いつも通り隣で兄が寝ていて。 『おはよう』と言ってくれるように。 ただ、それだけを願いながら。 目の前が暗くなる感覚に身をゆだね。 。・・・ー白は、意識を手放した。 しろ 【続】
263 フェイクエンド 可能性 1 〕なんらかの力が兄のク存在みをこの世から消したか。 可能性 2 〕自分が、ついにク狂ったクか ク今正気に戻ったか 可能性 3 〕あるいははじめから狂っていて だが、その可能性のどれが正解であろうと。 白にとって、目の前が暗くなって行くのを堪えるに値する答えではない 震える声で、絞るように、ロを開く。 予想される、だがけして聞きたくない故に。 ここまで、ロにせずにいた名前を。 最後の希望を込めてーーーステフに、問う。 そら たが、かくして返された答えは。 予想通りの。 けして聞きたくなかった、答えだった。 : どこ :