240 : いづなさんを連れて行けないですわよねー 「これは : そら 「ええ。子供に見せるものでないと判断した空殿の倫理感、やはり高く評価しますぞ」 ・ : ・ : ? なにかおこってん、です いのの腹に顔を埋めたまま、映像を見られないいづなが、気になる様子で問う。 だが目の前に映し出される光景はーーーあえて説明するなら、とプラム。 いえ、正しく悪夢、ですよお : 「地獄 : りんりきてい そう、性的描写とは関係なく、問答無用で倫理規定に抵触する光景だった。 ジプリール てんげき ステフも話には聞いていた、天翼種の全力ーー『天撃』。 やり その光の槍の一擲は海を揮発させ、夢の中のオーシェンドを穴に変えた。 だがーーそれは夢の中、数秒で全てが元通りに復元される。 すぐさま幼児が粘土細工を崩すように、ジプリールは更に破壊を叩き込んだ。 むぞうさ 破壊と復一兀を繰り返す景色にジプリールが笑顔ーーーあるいは凶相で無造作に腕を払う。 そのたびに山脈が消し飛び、海溝が切り開かれ、海底が衝撃でめくれ上がる。 それだけでも十分悪夢だったのだが。 ま フリューゲル むじやき ジプリールには及ばすとも、偽物の天翼種達もまた無邪気に破壊を撒き散らしていた。 赤子の怪物達は、生理的嫌悪感と恐怖を引き連れ、夢の中の登場人物を貪り喰らう。 セーレーン たの しかも、それを心底愉しんで鑑賞している海棲種ー・ーーメチャクチャであった。 クレーター

「ク汝欲するなら殺して奪えばなえられんと同じ しろそら ・ : 壮絶な暴論に、半眼で応じる白と空。 「 : : : どこの、一言葉 : : : ? 」 「あ、マスタ 1 、天翼種の格言でございます。知らぬも無理はございません 「いやそういうことじゃねえんだわ ? 」 「喧嘩じゃなく ゲームをするにや。ただし」 と、空とジプリールの会話をよそに、アズリールがパチンと指を鳴らした。 「お探しのジプちゃんの知り合いクみんなと、直接ゲ】ムして頼めばいし。 あらが その場の全員が、強制的に空間転移させられる。ジプリールさえ抗えない強制力。 そして切り替わった景色には 』サイン会 & 握手会、と書かれた横断幕と。 フリューゲル せっせとセッティングを行っている無数の天翼種の姿が : ハメられた なんじ フリューゲル にやツー

貴重品や書物の類はエルキアの図書館に移動させたのか、生活感のない部屋だった。 睡眠を必要としない天翼種らしく、べッドの一つもなく、窓すらもない。 ひかげものそらしろ 本以外のコレクションが並ぶ密室は日陰者の空と白、プラムには存外心地よかった。 『あ、マスターそれらには触れないほうが。おそらく、いえ確実に死にます』 ずがいこっ と警告された、大戦時の戦利品や、大量の頭蓋骨さえ気にしなければ、だが 「 : : : おかしい : フリューゲル その部屋の中心には、盟約に誓った通り、百近い天翼種達が集めて来た書物。 ふか力い その本の山に埋もれながら、空は疲労の色濃く、不可解そうにこばす。 膝上の白もノ 1 トに何か書いては、不機嫌に斜線を引き、呻いていた。 : マスター、少し休まれては如何ですか ? 」 たしな しんちよく 進捗状況に苛立っ二人を、窘めるようにジプリールがこばす。 あさ ゲーム終了後、二人はそのまま大量に集められた本を漁って情報を探した。 せ マスタ 習観察日記を書いていてふと。空と白が最後に寝たのはーーー・プラムが来る前。 カ ノオカ空は聞こえないのか頭を掻く。 五日程前だと気づいて進言するジプリーレどゞ、 もんごん 章 「十九も『文言』があってーーーなんで起きる条件に差違がないんだ」 第 「まさかあ : : : 無駄骨、だったん、です : : : かあ : あざむじゅっしき かいこうファンタズマ ゲーム最後の邂逅。幻想種の力さえ取り込んでいたアズリールを、欺く術式。 っ ~ フリューゲル

そうでなければ今日、フィールがやってのけたことの数々は説明がっかないからだ。 いたわ 蒼白になって震える老人を労るよ、つに膝をつき、クラミーが続けた。 しようへきつむ 「大丈夫ですよ。障壁を紡ぐ力は残ってないようですがーーー・勝機は十二分にあります。私 へキサ・キャスター の手札を全て読み切り一撃も受けす完封し、六重術者を削りきれば良いだけです」 なゆた 那由他の彼方の勝機を語って、クラミ 1 は笑う。 「失敗しても平気ですよ。ちょっぴり痛くてーーー、つつかり死んじゃうだけです」 そう、それがまさにー・ー自分がやってのけたことだと。 劣等種ごときに出来て、まさか出来ないとでも言わないだろう だから、だからもうやめてくれ凵」 「み、みみ、認めるツ ! 我輩の負けだー 「ーーはい、では私達の勝ちですね。お疲れ様でした、バルテル卿」 かんせい に、フィ 1 ルが歓声を上げ抱き着く。 惨めな老人を尻目に席を立っクラミー オラクル・カード イマニティ エルフ このゲームで人類種が森精種に勝ったのきっと初なのですよおに」 「凄いのですよお凵 : こんなポケジジイじや自にならないわ。最近相手した連中で一番の雑魚だわ」 タ 以膨れるクラミ 1 の頭を慰めるように撫でながら、「さてえ」とフィールが振り返る。 マ 地面に倒れたバルテルと、立ち尽くすフリツツを視線で嬲る。 ノ 「それではあバルテル卿お ? 『盟約に誓った』通りいわたし達に関する全てを忘れてえ」 そして、ーークラミ 1 が笑顔で続けた。 てふだ わがはい 。な

思わず腹を抱えて笑いたくなる中、二人は文字に手を伸ばす。 ジプリ 1 ルもやるよ、つになったじゃねえか ! 」 : ジプリール、大義で : : : ある : : : ) 」 戯ける空と白が、最後の六文字に触れる。 「 : : : あ、あの、ど、つい、つこと、なんですう ? 」 フリューゲル 唯一、理解できずに問うプラムに、天翼種が笑って応えた。 「お忘れですか虫けら。あたし達ーー」 フリューゲル 「天翼種であり、アズリール姉様の指揮下にある以前に」 「空さまと白さまのファン、ですよ ? 」 そう、笑顔で・ー・ー・さらりとプラムをこき下ろす言葉を背に。 空と白は、一一人苦笑して再度ーーー羽を打って加速した。 習切断されたアヴァント・ヘイムへーー・その中にいるであろう、アズリールの元へ。 ■・■ 第 「 : : : わかった子もいるようですが : おど : これでも私だけが特別だと ? 」

260 あれが、唯一神側の持ち駒なら。 各種族のコマも、それぞれ役割があるのだろうか。 そら 他の『種のコマ』を見たことはないが、空達が見せた『人類種のコマ』は、 「 : : : キング、でしたわよね : : : 」 キング。それはチェスにおいて ク最弱のコマ〃だ。 重要度は最大、だがキングの特曲は、ポーンにも劣るのは常識 「いくらなんでも、考えすぎですわね : : : はあ、仕事仕事」 同時刻 エルキア王城中庭。 すなわ 東部連合の建築技術によってようやく完成した空と白の城ーー・・即ち小さな木造の家。 空達の注文どおり畳を敷かれた部屋に、乱雑に散らされた無数のゲームと本。 その中、狭いスペ 1 スに布団を敷いて静かに寝息を立てる兄妹に。 音も気配もなく、歩み寄る影があった。 だがその影に 「ーーよ、プラム。こんな時間に何の用かな ? 」 「・ : ・ : すいみん、ば 1 が、 しろ イマニティ

100 「ジプリ 1 ル : : : おまえ俺らに死ねと申す : : : ? 」 ・ジプリール : : : 信じ : : : てた、の、に : ぶるぶると生まれたてのガゼルばりに震え続ける兄妹に、ジプリールは、 「ご安心をーーーどうせマスター達が負けることなどあり得ません故ーーそれに」 言って、アズリールに視線を向ける。 たた アズリールが手を叩いて、 「この人数でしりとりはやれないからーーー『鬼ごっこ』にや」 ジプリール、も、つ一度聞くぞーーー俺らに死ねと申す ? 」 「 : : : ぶるぶるぶるぶる」 フリューゲル 天翼種を相手に鬼 ) 」っこだと ? 空を飛べて、空間転移自在の奴らから逃げ切れる場所があるとすれば。 えんきよく それはもう婉曲に『あの世へ逝け』と言われているに等しい だがその思考を、アズリールが断ち切る。 「でもただの鬼ごっこじゃっまらないにやーーーどうせなら フリューゲル 「天翼種らしく 『一言葉遊び』とまいりましよう」 言って、ジプリールが手をかざす。

・ゲーマー MFX• ・ノーゲーム・ノーライフ 5 榎宮祐 ゲーマー兄妹は強くてニューゲームがお嫌いなようです Z 0 < Z 0 むー MFR* 旧 BN978-4-0 牟 066080-6 C0193 \ 580E 榎宮祐の本 か -12-05 【著者】 ノ - ゲ - ム・ノ - ライフ 1 ゲ - マ - がファンタジ - 世界を西するそうです イラスト : 榎宮祐 ] ノ - ゲ - ム・ノ - ライフ 2 ゲ - マ - カっ国に目をつけたようです ノ - ゲ - ム・ノ - ライフ 3 ゲ - マ - の片勲が消えたようですが・・・・・・ ? ノ - ゲ - ム・ノ - ライフ 4 ケ - マ - は川職ゲ - ムから出しました [ イラスト : 榎宮祐 ] ノ - ゲ - ム・ノ - ライフ 5 ゲ - マ - は強くて : ュ - ゲ - ムが、なようです [ イラスト : 榎宮祐 ] 9 7 8 4 0 4 0 6 6 0 8 0 6 定価・本体 580 円 ( 税別 ) 発行・株式会社 KADOKAWA Ⅵメテンアファクトリー 1 9 2 0 1 9 5 0 0 5 8 0 6 ノーゲーム・ノーライフ 5 ゲ - マ - 兄妹は強くて : ュ - ゲ - ムがお嫌いなようです ゲームで全てが決まる世界【ディスポード】ー一人類種の王となった地球出身の最強 ゲーマー兄妹・空と白は、吸血種と海棲種の「リアル恋愛ゲーム」をかい潜り、真の 攻略法を暴くべく向かうは天翼種の故郷、空中都市『アヴァント・ヘイム」 ! だが序列第六位、狂瀾怒濤の " 神殺しの種族 " が一筋縄で行くはずもなく 空と海を制し、比翼のゲーマーは三種族一挙制覇へその手を届かせるか ! ? 「俺 TUEEE でゲームして一回負けたらクソゲ認定 ? " 俺 YOEEE" からやり直せ ! 」 大人気異世界ファンタジー、嘘と騙りと陰謀の入り乱れる大連戦の第 5 弾 ! ! [ イラスト : 榎宮祐 ] 「きれか何かわかる叺は心の友も [ イラスト : 榎宮祐 ] かみや・ゆう 榎宮です。なんとアニメ化決定です ! やったね〇えちゃん締切増えるよ ! 悟り開かなくてもニルヴァーナが見えそうです。 【イラストレーター】 榎宮祐 かみや・ゆう 榎宮です。なんとアニメ製作中です ! 監督とニ人「死んでからが本番ですよね ) 」と 笑顔あふれる職場で今日も絵を描いてます。 580 I<ADOKAWA カバーイラスト / 榎宮祐装丁 / 柊椋 0. S. W DESIGNING)

200 それは 『可能性』だったのだろうーーー不可能を、可能足らしめる性質。 あた 強者故に。けして失敗せぬ故に。けして負けぬ故にー・ーー理解能わぬもの。 なのに おび : ただ怯えてたのにや」 「敗者に身をやっした時点で完全じゃなかったのに : きっ ジプリールだけが、 敗北を喫する前からそれを察しつつあっただけで。 フリューゲル 敗北した時点で、天翼種も、アヴァント ・ヘイムも皆不完全性を手にしていた。 なのにーー・そこでぐすっていては愛想を尽かされるのも当然だ。 フリューゲル 天翼種がーー・アズリール達が、知識を集めることしか出来なかったのを。 ジプリールだけは自由に、好奇心のままに、知識を作り、得た知識を残そうとした。 す . ・つけい 圧倒的強者でありながらなお、更に高みを目指しーーー『未知』に崇敬さえ抱いたのだ。 それが、意味することは、一つしかない : くつだらない、理解っちゃえばなんてくだらない話にや 「にやは、にやははは : それはつまり。 顔を伏せて、もはや笑うしかない 「もう、おわかり頂けましたね ? 」 「 : : : うん、わかったにやー・ー何も理解ることなんかないってことにや」 これが笑わすにいられようか 六千年探した答えがー・ー『答えなどない』と来た

1 16 手をついた本棚からばろばろと本が落ちた。 ひそう 未読と既読の本が混ざるーー悲愴に泣き崩れようかと思ったその時 風が吹き抜けた。 そう認識するのが精一杯な、ステフには反応さえ不可能な速度。 扉から隅まで、瞬間移動したいづなのロにはーーー一冊の本が咥えられていた。 : ? なんだこれ、です ? 」 こっちが聞きたいですわよ。なんですのいったい 眼を丸くするステフを余所に、訝しげな顔でいづなが本のにおいを嗅いでいた。 「魚のにおい 、です・ : : ? 違え、です・ : : ・あ」 そして、ばいっとつまらなそうに本を捨てて言う。 「海棲種のにおい、です。食えねえじゃねえか、です」 とも 瞬間、ステフの朦朧とした思考に灯が点った。 いづなはさっき、本を読む順について 、いいにおいがした順と答えた。 そらしろ どうして空と白が読んだと特定した いや、それ以上に。 なぜじ セーレーン 「な、何故お祖父様の本から海棲種の匂いがするんですの」 セーレーン いぶか くわ