248 、つ、つ、つ、つ . ふ そら すがすが 清々しい笑みを浮かべる。 反論も許さす一気にまくし立てた空が 「はあスッキリしたあ : : : よし言いたいこと言って満足したしゲーム終了ねバイバイ ) 」 「ーーちょ、待ってーーツ ! 」 「待たな 5 い。不可能ゲーの無駄足ゲー楽しんで頂けたあ ? アホ乙 5 じゃ 5 ね 5 凵」 言うや、本当にゲームを終わらせたのか、ふっと消滅する空と白。 や そしてーーー聞こえ続けていた爆音も止み ライラの心中に、静かに別の音が響いた ■ー■ 「くつくつく、ここまでやれば確実にキレるだろ・ーー・これでいいんだよな白 ? 」 ・さすか : : : えくさぐっじよぶ」 満足げに頷く兄に、親指を立て頷く妹。 だが女王の間は良い見世物を楽しんだ海棲種の割れんばかりの拍手と。 うなす 0 セーレーン し
269 第四章再試行 ッ 「ーーま、待てーーそれは いのちご 恐怖に顔を白く染めて命乞いのような悲鳴をあげる空に。 だがプラムは血のような羽を広げ、妖しく輝く牙を剥き出し嗤う。 それじゃあマナーとして、と囁き。 「いただきまあすーー ) 」 そして、恐怖に染まった顔の空の首に牙を突き 立てようとして。止まる。 : : : ・ : ・ : え ? あんあれえ ? え、なんでですかあつに」 うんさんむしよう : せつかく高まったカリスマを雲散霧消、夜の王はーープラムに戻る。 : しば、 : ノ \ さい・ 「はあ ? いやいや、ここは多少オー ノーにやるべきとこだろ ? 」 先程までの恐怖の顔は、何処に置いてきたのか。 かんだん 一狼狽するプラムを前に二人は、ただヘラへラと歓談していた。 「何度でも繰り返すぞプラム。見事だ。そんな見事な策を組む奴がーー俺らが女王を起こ ダンピール すことに成功した場合の吸血種解放をどう企むかーーー計算してないわけないだろ ? 0
222 完全に隠蔽出来た理由まで・ーー全て説明がつく。 いんべい 最初から誰も知らないなら隠蔽も何もありはしないからだ。 するとク女王が何を求め眠りについたかクから探る必要がありーー振り出しに戻る。 「あーくそ、なんなんだあの女あッ ! 」 そら 焦りを多分に滲ませてそう叫んで、空が床に突っ伏した。 白もギブアップと空の膝上で寝息を立て始め、プラムはーー気絶していた。 『絶望』というタイトルで美術館に飾られそうなその光景に。 「 : : : では気分転換に、昔話でもどうでしよう」 とジプリ】ルが軽く指を鳴らすと、家の壁と天井がガラスのように透き通った。 床に転がった空の目に飛び込んできたのは夜景 いや、違う。 せいそうけん 自分達がいるのが成層圏ギリギリ 宇宙と惑星の境目。 ならばこれは宇宙だ。それに気付いた途端、鯨が鳴くような心地いい音が響いた ・ : 今のは : ファンタズマ 幻想種アヴァント・ヘイムの声でございます」 言われーー・アズリールとのゲ 1 ムの際に見た、巨大な鯨のような陸地を思い出す。 一ャっと - つむけい ・ : 自分が今その背中にいる事実が、荒唐無稽すぎて、気を抜くと忘れる。
: 」やよ十 0 「数千年探したものが『振り出しに戻れ』とは参るにや、永遠を生きるのも疲れるにや」 そうーーー自分で考える、それが彼らのーー答え。 自分で探して、ジプリールのように自分なりの答えを見つける。 それが出来る、そうわかっただけでーーー十分にや 習疲れた様子でこばすアズリールに、しかし。 ふと、ジプリ 1 ルが空に謝罪する声が聞こえた。 章 第 : マスター。勝手に命を賭け、挙句最後まで御力に頼って : : : 本当に申し訳ーー」 「あーそれなんだがな、ジプリール 即答。当然だった。 わす わかっていた、だが僅かに顔を曇らせたアズリールに空は 「でも、それでいいんじゃね ? そう、それこそ。 まるで雲一つ無い 「今のおまえは、いい顔してる。今のおまえは、俺は好きだぜー 空のような笑顔で、言った。
246 「つか、ぶっちやけて言うとおまえ趣味じゃねえから」 「しかも惚れさせろってルールで第一声が這いつくばれ、二言目がごめんなさいであげく 本心じゃなかったの ? ネットで見かけるテンプレ地雷女かよ実在したことが衝撃だ」 たたず : ライラが放心したよ、つに佇んでいた。 やせ我慢でも何でも無い、本心から自分の魅了が通用していないのだ。 エルフ 何故ーーー夢に細工された ? いや、森精種の魔法ですら干渉出来ない わからない、だが一つだけ確実なのは この男は、本当に、自分に、惚れない確信があって、ここへ来た。 かたわ うなず と、男が傍らの少女に何かの確認を求めーー少女が頷くと、 「あーやっと一一「ロえたあ。だってこれ長らく恋愛ゲームだと思われてたわけだから、たぶん はじめて言われるんだろ ? 爺さんを含めて今までの連中の鬱憤を晴らさせて貰うぞ ? 」 そしてーー大きく息を吸い込んで空が、一気にまくし立てた。 「 : : : うーわーないわ、さぶいば立ったぞゴメン無理ー もら
174 一切の感情を伴わない虚ろな声で、 「ーーー故に、汝ら、我らに、直に其れを提一小せよ」 そらしろ ついに固定した景色を前に告げるクそれクに。空も白も絶句した。 しょ・つど せいそうけん 血色に染まって割れた空、成層圏まで届く土煙。地平まで広がる焦土。 天が砕け、地が崩れ、海が干上がりーー死んでいた。 たたよ 周囲を漂うのは、砕かれて舞い上がった無数の岩ーー大地の成れの果てと。 おぼ フリューゲル ゲーム参加中の天翼種達、異形の空中艦隊と思しき禍々しい無数の戦艦 「 : : : なん、なんだよ、これ」 絶句から立ち直って問う空に、だが白も、プラムさえ応えられない。 フリューゲル トラウマもっ 天を舞う天翼種だけはーーー苦々しく顔を歪め、傷を以てその光景を知っていた。 ーーー六千年前ーーーすなわち、『大戦』末期。 フリューゲル アルトシュ 天翼種の創造主たる神霊種が全個体の『天撃』を東ね、己がカとして放った一撃。 しんげき 大陸を砕き、天空を砕き、星さえ砕かんと振り落としたカーーーすなわち『神撃』。 たそがれ その一撃が作り出した光景。世界の黄昏を背後に、アズリールは続ける。 「ーー嘗て、我々は戦い、そして敗れた」 その更に背後にーーー禍々しく巨大な陸が浮かび上がる。 か わか 「『最終番個体』ーーー彼奴が汝らの、如何な夢想に囚われたか、我らには理解らない」 うつ われわれ うめ うめ ゆが てんげき とら まカまカ 0
ジプリールを取り返す為にただ空達を罠にハメることしか考えていなかった。 ジプリールが空達を主と呼び従う理由に興味を示すこともなく。 「 : : : あなたは本当に変わりませんね、アズリール」 呼び捨てにされたアズリールはびくりと表情を動かし、平静を保った声音で言う。 かしす イマニティ 「うちゃ、アルトシュ様にすら突っかかってたジプちゃんが、人類種如きに傅くなんてあ たやす り得ないにや。盟約を使えば意志を封じるも人形にするも容易いにや。どーせあの二人に むりやり マグレで勝たれて、無理矢理従属させられてるだけにや ? 事実 とジプリ 1 ルの眼をまっすぐ見据え、 ジプちゃんは変わったにや」 み、、つい、つアスリ 1 ルに、 だがジプリールは冷笑で応えた。 「そうですね。確かに私は変われました : : : 変われないあなたと違ってー ーーー無駄な期待でしたか」 「私が挑まれ、そして敗けたことに何も思うところがない 試冷たくーー裏切られたような遠い笑みで、ジプリールは続けた。 「 : : : 私が亡き主にも、あなたにも突っかかったのはーーー見ていられなかったからです。 章 あなた方はーー頭が固すぎます。だから : : : 」 しゅんじゅん 一瞬の逡巡。言うべきか、それとも だがジプリールは意を決して、ロを開いた。 アルトシュ ため わな
。これが私が故郷を飛び出した理由でございます」 「おわかりですかマスタ 1 傷心アピールを忘れているのか、陽気に笑うアズリールと能面のようなジプリール。 「 : ・・ : おまえら、本の蒐集を生業とするなら、管理くらいしろよ : : : 」 「ん ? それは違うにや。うちらは『知識』の蒐集が目的であって『本』は別にどーでも いいにやー。記意しちゃえば捨てても良いとすら思うけど、未読の子が怒るからにや、・」 こ・れ・がツー 私が故郷を飛び出した理由でございます」 「おわかりですかマスター 今にも斬り掛かりそうな笑みで、ジプリールが再度言い含める。 なるほど、と内心空は理解した。大事なのは『知識』だけ , ーー : やはり失笑し、だがそれには触れす、問う。 クそれが意味することにク 「で、どうすればいい ありか 、いにや ? ジプちゃんみた 「ま 5 それぞれの本の在処を把握してる子に、集めさせればし く儿帳面な子もいるし、やろうと思えば全部集まるんじゃないかにや 5 」 「ふむ、じゃあそれ頼ーー」 「そんな気分じゃないにや」 傷心アピールを思い出したのか、布団を被り直してアズリールが一言う。 ジプちゃん 章 「可愛い妹のお気に入りのおもちゃがウロチョロするのは見逃すけど、世話までしてやる 第 義理はないにや。仲間にする価値もないし、ジプちゃんにも馬鹿呼ばわりされて、今すん ひど ごく落ち込んでるにや 5 、酷く傷ついてるにや 5 、だから何もやる気がないにや」 きちょうめん 0 のうめん
91 第一章試行 つぶや 珍しく焦燥を感じた時の癖ーーー爪を噛みながら呟く空に、白が応じる。 「ーーあてが外れた以上、アドリプで仕掛けるぞ。フォローを頼む 「なあアズリ 意を決して声をかけた空は、だが一瞬、固まった。 東部連合の景色なり、知識なりを具現したのだろうか。 つまり空と白自身だがー・ーのよ、つに、コタッらしき机に 空の知る日本のヒキコモリ テレビ 潜り込み、頭から布団を被って砂嵐しか映らない映写機を眺め 使えない子に、何か用かにや ? 「・ : : ・なにかにや : : : ? 何と無駄な力、ーーその場だけ暗闇に包み、アズリールは全力傷心アピール中だった。 一鼻につくほどのくさい演技にい 0 そ感心しつつ、空が引きっ 0 た顔で言う。 「ーーーあー、えっと、海棲種の、眠りこけてる女王は知ってるよな」 めつばう とぎばなし 「にやは : : : ポケたお伽噺に感化されて一代で自分を含めた二種族を滅亡寸前まで追い詰 めてる、貝類も呆れて閉ロするアホの子かにや 5 、誰でも知ってるにや 5 しようそう あき か
129 第二章ーー失敗 「 : : : 随分リスキーなことを平然と引き受けたな」 「え、だってこうしてる限り空さまの首をベろペろし放題 : : : にゆふふう 5 美味美味」 「うつあー、今すぐこのマフラー取りたくなってきたわあー 衝動的に、後先考えすこのマフラーを投げ捨てるか思案すると同時 五分経過ーーーそう知らせる白の声に、眼を細める。 つまり後発の天翼種達が、空達を捕まえるべくスタートする時間だ。 「ーーーよしプラム、俺らの命預けるんだから、途中でバテるなよ ? 」 いちれんたくしよう 「大丈夫ですう、途中でバテたら一蓮托生で一緒に死ぬだけですう ! 」 行くぞッ ! 」 「そういう覚はいらねえツー そう告げるや、空と白は、同時に大きく翼を打ちーーー一気に高度を落とした。 「ひいいややあああッ ! 」 空達の首に巻かれる、プラムすら声を張り上げる程の、急加速。 さいげん 落下速度に翼の力を加えて、際限なく加速して風が打ちつけ 地面ーーーアヴァント・ヘイムの背に衝突する直前で、水平飛行に切り替える。 ( 落下利用の加速で追手を引き離して、距離を稼ぐーー・ですかねえ ) そう声に出さず思案するプラムは、だが、と内心続ける。 フリューゲル