288 自身の意志に従い、前へ進みーー未知を切り開き、未来へ挑むものと。 ゆた 他人の意志に委ね、目を閉じーー未知に背を向け、未来を託すものか はっせ 「初瀬いの。ホンマ言うと、あてはあんたを見捨てるべきやと判断したんよ」 その言葉に謝意はない。そんな資格はないと、毅然と巫女は告げる。 しようあく ダンピールセーレーン ひへい 「ほしたらあんた一人の犠牲で吸血種・海棲種を疲弊させノーリスクで掌握出来たわ」 んん、十分に承知しております」 そら いのが空という男を理解出来なかった理由がまさにそれだ。 何故自分は、助けられたのか。 巫女の意図を、初瀬いのは十二分に理解し、あそこで果てる覚悟だった。 だからこそわからない 空という男が、理解出来ない 「ーー確かにあのゲーム、勝った。けど必要のないゲームやったんよ」 あまりにくだらないゲーム。あまりにくだらない結末。 だが下手を打てば、東部連合もエルキアも大打撃を受け得るゲームだった。 イマニティ 最悪ーーープラムが企んだ通り人類種が取り返しのつかない損害を負う可能性もあった。 のぞ 「不要なリスクやった。あん人らが、それでもあのゲ 1 ムに臨んだんはな」 おそらく聞かされている以上の理由があったのだろうと思ういのに 鈴を転がすような巫女の笑い声が応えた。

221 第三章 - ー一学習 起こせたものーーっまりク惚れさせなくてもい、。 全てを得る ク全権利の獲得 % 二つの確定はとれたが、今更価値はない。 それよりーーと空が苛立たしげに言、つ。 おこしかた 「なんでク勝利条件クがないーーー伏せるとこが違うだろッ 先の女王が亡くなる前なら『全権利』を獲られても種の存亡に関わらない 勝利条件を伝え率先してクリアさせるはずーーーにもかかわらす記述がないのは : : 最悪の、可能性・ : : ・」 え ? 」 ひそう つぶや そう呟いた白に、プラムが悲愴な顔で説明を求める。 「 : : : 最初から : : : 誰も、条件 : : : 知らない : 「 : : : 女王自身すら、勝利条件を明確に設定してないゲ ] ムって可能性ーー・ーたとえば」 いため息をついて、空が絞り出すように、言った。 そして、深 5 「 : ・ : ・『私を喜ばせなさい。どうすれば喜ぶかは私も知らないけど』ーーとか、な」 プラムが白目を剥いて倒れた。正直、空だってそうしたい気分だった。 もしそうなら、誰も起こせなかった理由も、プラムが起こす条件を特定出来なかった理 由も、確実に惚れる魔法を正常に機能させても起こせなかった理由も、そして

。これが私が故郷を飛び出した理由でございます」 「おわかりですかマスタ 1 傷心アピールを忘れているのか、陽気に笑うアズリールと能面のようなジプリール。 「 : ・・ : おまえら、本の蒐集を生業とするなら、管理くらいしろよ : : : 」 「ん ? それは違うにや。うちらは『知識』の蒐集が目的であって『本』は別にどーでも いいにやー。記意しちゃえば捨てても良いとすら思うけど、未読の子が怒るからにや、・」 こ・れ・がツー 私が故郷を飛び出した理由でございます」 「おわかりですかマスター 今にも斬り掛かりそうな笑みで、ジプリールが再度言い含める。 なるほど、と内心空は理解した。大事なのは『知識』だけ , ーー : やはり失笑し、だがそれには触れす、問う。 クそれが意味することにク 「で、どうすればいい ありか 、いにや ? ジプちゃんみた 「ま 5 それぞれの本の在処を把握してる子に、集めさせればし く儿帳面な子もいるし、やろうと思えば全部集まるんじゃないかにや 5 」 「ふむ、じゃあそれ頼ーー」 「そんな気分じゃないにや」 傷心アピールを思い出したのか、布団を被り直してアズリールが一言う。 ジプちゃん 章 「可愛い妹のお気に入りのおもちゃがウロチョロするのは見逃すけど、世話までしてやる 第 義理はないにや。仲間にする価値もないし、ジプちゃんにも馬鹿呼ばわりされて、今すん ひど ごく落ち込んでるにや 5 、酷く傷ついてるにや 5 、だから何もやる気がないにや」 きちょうめん 0 のうめん

形だけなら協力する義務もなく、興味のあることにだけ関与すればいし おすみつき ましてそれがアルトシュのためと全翼代理の御墨付ならーーー拒否する理由がない なぜ : その頭の回転があって何故ーーーそうため息つくジプリールに、 「ただし」 とーー、アズリールは一転、顔を引き締め、 あの子ら 「うちを含めた天翼種全員がエルキアをーーーその可能性を信じるに値すると自分達で判断 わかってるにや ? 」 するまでク新たな主クとは認めさせられない それは皆気付くことです。これからも布教活動は続けますのでご心配なく」 「はい。 かんさつにつき ( しいだけと断じる 聖典をかざし、ファンをーー信者を増やせよ、 そんなジプリールに、苦笑一つ、アズリールは向き直って、 「 : : : それまで、あの二人をジプにゃん一人に、任せていいかにや」 ひど あの二人は未知の塊だ。今ならそれが、酷く魅力的に映る理由がわかる。 だが同時にーー、危なっかしすぎる。結論を出す前に死なれては困ると苦笑して、 習「全翼代理じゃなく、ただの友人としてーーーー頼めるかにや ? たかいつも通りの微笑のまま、ジプリールは、 しょぞん 章 「もとよりマスター達はこの身に代えても護る所存ですのでーーーお断りします」 第 そ、か : : にやはは : : : 」 暗に友人ではないとーー当然だ。これだけのことをしたのだ。今更、友人面 フリューゲル

55 ノーマルスタト 「クラミーが寝ないなら、わたしも寝ない、クラミーが頑張るなら、わたしも頑張るので すよ。わたしが疲れてると思うならあーーー・それはクラミーも同じなのですよお ? のぞ そう言ってフィ 1 ルはクラミ 1 の目元を覗き込んだ。 ささや ー・ー藤でも隠しきれない深いクマを撫で、子供を諭す母のように囁く。 「クラミー、わたしの疲れを心配してくれるならあ、今日こそはちゃんと寝るって、約東 して欲しいのです : : : このままじやク二人共ッ倒れるのですよお : : ごめん。心配かけて 「むう、違うのですよお」 ほお ぶうとわざとらしく頬を膨らませて。 「こ、つい、つ時は他に一言、つことがあると思、つのですよお ? 」 そ、つね。ありがとう、フィー」 じゅっしきあ うなず 笑って頷いてフィールがクラミーの手を取り再度術式を編むーーその最中。 エルヴン・ガルドの切り崩しを任せた理由 一「それとお、たぶんソラさんがわたし達にい かたひじ って、そんな肩肘張るような理由じゃないと思うのですよお : : : 違いますう ? 」 えが 言って二人、あの男の顔ーー・だらしない顔を思い描き、ロを揃える。 二人は苦笑して、再度、大空高く跳ね上がった。 そろ 「「政治だ利権だ、大国崩すのはめんどくせえからおまえらに任せるわ」」

144 ジプリ 1 ルは眩しそうにそれを見つめるーーーだか 退屈そうに眺めるアズリールはやはり、その意味をまだ理解していなかった。 その姿に、ジプリールは静かに告げた。 「先輩、どうして私が《共有法》に反対したか、その理由がわかっていますか ? 」 きちょうめん : ジプちゃんが儿帳面で、他人に触られるのが嫌だからにや ? 」 「違います。私はーーー同じ本を繰り返し読むのが 好きなんです , 初耳だった。アズリールが不思議そうな顔をする。 「 : : : なんでにや ? 記億すればもう不要にや」 「ええ、そう一言うとわかってたので、言わなかったのです : : : 」 ため息をついて、ジプリ】ルが意を決した様子で、一一一一口う。 「一度読んだ本も、もっと多くを知ってから読むと新たな発見があるんです」 「それを、読みたい時に読めないのが、嫌だったんですーーーわかりませんか」 「 : : : なにを、にや」 「ーーー記憶すると、そこで終わりますー 目を伏せ、言い含めるように告げるジプリールに アズリールは、やはりわからないとい、つ顔をする。

恋愛感情の定義を感じたものに設定する、プラムの魔法で認識が変わらない。 それが意味することは 「なあ白、ど、つい、つことだ ? その場で気づかないらしい空に、だが白もそっほを向く。 「さ、さあ、ボク、ちゃ 5 んと約東通り魔法使いましたよお、あ、汗をお ) 「 : : : む、む、つ、まあ、仕方ない、か ? 」 そういって手を出した空に、プラムがいただきまーすと飛びついた。 魔法は本当に実行されたらしい。今嘘をつく理由もない。だが変化がない : これは、なんだ。俺は魔法を使ってさえ恋愛出来んという、世界の意思か ? つぶや げつそりと呟く空に、だが白は応えない 「あはあん学これですこれえ ! ああんやつばり美味しいいい何でですかねえっ学 自分の手の甲を舐めながら大騒ぎする変態を見下ろし、空は白目で問い、 「 : : : なあ白 : : : 愛ってなんだ」 行 章 そっほを向いてーー・僅かに頬を赤く染めた白が、呟いた。 四 第

205 第三章ーー一学習 沈黙、そしてため息が応える。 それが、空の言葉を何より雄弁に肯定していた。 《答》があり、天翼種達がそれに到達出来るなら、自分が預かっている自害権を解放して ももうみんな死のうとはしないだろう。たとえ答えがなくとも、ジプリールをはじめみん なが死なない理由を見つけることが出来れば自害はすまい その時点で、誰にも自害させないために生きていたアズリールの役目は終わる。 : 空ちゃん、踏み込みすぎってよく人に怒られなかったにや ? 」 「ああすげー怒られた。けどこの世界、誰も死なせないって決めてんだ。だからーー・」 ハンっと、立日が響いた 「俺らとゲームをしようぜ」 たた 手を叩いて、笑顔で空が言った。 「また一からニューゲ 1 ムってのも辛いだろ ? 」 だから、そう、ゲームをしよう。 「だったら話は簡単だ。要するにゲ 1 ムを変えればいい」 きっと、楽しい楽しいゲ 1 ムだ。 「この世界ーーーもっともっと面白くしてやるよ」 永遠に、退屈させないゲームだ。 フリューゲル

286 「予測し、予想し、準備を整えて、挑みーー、そして失敗するのよ 「 : : : 失敗、するのですか ? 「ええ、失敗した理由を検証、対策、準備して挑みーーまた失敗」 「これを、ー - ー無限回繰り返せば、出来ないことはこの世にないわー 「 : : : 凄まじい暴論なのですよお : : : 」 絶句を通り越し感銘すら覚えるフィ 1 ルに、苦笑してクラミ 1 も頷く。 「ええ、まさに暴論ーーーでも私、この暴論案外気に入ってるのよ」 出来ないことなど、ない じかん 出来ないのは、まだ出来ていないだけー・ー・あとは、寿命との勝負。 じゃくしゃ だがその勝負さえ世代を超えて託すことが出来るのがーー人類種。 そら 「私もーー空も。超人でもなければ天才でもない。でも、そうある必要はないのよ 「そうあろうとすることが重要なの . ともしび 「私達の無限回の失敗が、続く人の足下を照らすーーー暗闇を歩く灯火になる」 彼にとってはー・ー白の。自分にとっては、フィーの。先王の果てない敗北も。 すさ しろ うなず

・第四章ーーー再試行 「 : : : という、わけ : 「た、確かにお祖父様の考察と矛盾しませんけど : : : え、それでいいんですの ? 」 ああ 「やはり私の仮説は正しかったのでございますね。鳴呼、愛とはなんと奥深い 「 : : : ボク達 : : : そんな理由で滅びかけたんですかあ : : : 泣きますよお : 「ウフフ☆も 5 プラムちゃんチャンスだよ☆アミラちゃん張り切っちゃう学 ・ : 空、空あ、いづな、さつばりわかんねえぞ、です」 「ごめんないづな、俺『』の足引っ張る役立たす十八歳童貞ゴミニートだからさつば りなんだ。でもいづなはお利口さんだ、そのうちきっとわかる。ゴミ捨て場行って来る」 「空捨てられん、です ? ならいづなが拾っていいのか、です ? 」 行 試「・ : : ・だめ : : : にいは、しろの。それより・・ : にい、準備、して」 「じ、準備 ? じ、邪魔以外、な、何か出来ること、あ、あるんでせう、か : : : 」 四 第 : このゲーム : : : クリアは、しろ、むり・ : : ・出来るの : 「さあ行くぞ白ッ凵白に出来ないというなら俺が出来なきや誰にも出来ぬッ凵」 さま リアクト