241 第四章・ -- ー再試行 「 : : : ま、まあ、事情を知れば気持ちは分からなくもないですわね : : : けど」 「 : : : や、やりすぎではないですかな : : : 事情を知っておりませんがー 事情は把握しているが、意図までは把握していないステフも同意だった。 「・ : : ・『十の盟約』を設定したテトさまを恨まない日はありませんでしたけどお : : : 」 つぶや そう、プラムが気絶寸前の青ざめた顔で呟く。 目の前に映し出されている光景はーーおそらく、いや間違いなく。 『十の盟約』前 『大戦』時代の、ささやかな一幕に過ぎないだろうと思えるが故に。 「ご先祖様達はこの中を生き残ったんですよねえ : : 心底尊敬しますう」 イマニティ 「 : : : というか、人類種はどうやって生き延びたんですのよ、コレを イマニテイワービースト 「これを前に人類種も獣人種もあるのですかな : : : 帰ったら歴史を勉強し直しますぞー スだが同じことを田 5 った。 白目を剥いて、三人が思い思いに 『十の盟約』を制定してくれて感謝します、唯一神様、と。 最初の一撃で海は蒸発。ライラはただ、乾いた地を這って進むしかなかった。 むしば 呼吸が出来ない。剥き出しになった海底に差し込む陽が体を蝕む。 痛みはない。だが気力は際限なく奪われていく。
33 ノーマルスタート 「クイーンはキングに負け、キングはエースに負け、エースはクイーンに負ける」 そう言って三枚を伏せ、テ 1 プルの上でシャッフルする。 「互いに一枚ずつ裏向きに引き、カードを見せ合い勝敗を決める。馬鹿にも解る ? 」 「ーーーふん、要求は ? いのちご 「それはそっちがすることじゃないのかしら ? むしろ、命乞いと呼ぶべきかしら」 いらだ あざけ 嘲るように貧乳が笑う。それにわすかな苛立ちを覚えつつ、フリツツは応じた。 ぼ・つきやく 「 : : : ではク貴様らが掴んだ密売に関する全ての情報の破棄と忘却を要求する」 「ええ、私はあなたのク自白ッとク証一一戸を要求するわ。洗いざらい。全て、ね」 あいまい もんごん その曖昧な文言に、フリツツは小さく眉を跳ね上げた。 目的はーーー密売に関わる全ての情報、そして中庭で行っているゲームへの不正告白か。 なるほど、この馬鹿で哀れな女どもも、馬鹿なりに己の利を考えてこの場に立っている らしい。それが最初から出遅れているとも知らずに : いいだろう。【盟約に誓って】 アッシェンテ 「ええ、【盟約に誓って】え : 札を取る。 あ 札を伏せたまま、フリツツはささやかな魔法を編む。 ( バルテルの補助をしていれば、魔法は使えないとでも思ったか ? ) つか わか
256 「このゲームーーーわたしに惚れす蹴飛ばせばクリアよ、馬鹿じゃないの ? 」 「『十の盟約』でそれが出来ねえんだよ馬鹿はてめえだこの脳みそ海綿体があッ ! 」 「あああああんッ学はいッ ! わたしが馬鹿ですスポンジですううッ凵」 そもそもの話、『十の盟約』を抜きにしても。 ジプリールや巫女でさえ逆らえなかったほどの、圧倒的な魅了。 おそらく過去に例がない絶対的な力を有していたライラにれないというのが ますもって不可能に近かったのだ。 セーレーンダンピール 海棲種と吸血種なら誰もがやりたくても、出来なかったこと。 つまりーーー一発こいつをドつくのがこいつが考えた攻略法だと、誰が思おう。 セーレーン : ご理解頂けまして ? いのさん。海棲種のあの盛り上がりよう」 : ええ、まあ : : : なんでしよ、つな、こ、つ・ : ・ : 」 そら 「ウフフ 5 ☆空ちゃん凄く楽しい見世物だったけど 5 ついでにアミラちゃんのかわりに その・・・もっと強くこづいてくれるかな 5 うん ! 頭が変形する位でおつけ 5 だよ☆」 「あ、わたしからもお願いします我が君ーーどうか殴って学殴って 5 学」 笑顔のまま だが殺意を漲らせ空を見上げるアミラと。 同じ要求を、だが期待に眼を輝かせて見上げるライラに。 「 : : : なあジプリールー・・ー愛ってなんだ ? 」 みなぎ
ー十 ' の盟・約 唯一神の座を手にした神ゞテトが作ったこの世界の絶対法則 イクシード 知性ある【十六種族】に対し一切の戦争を禁じた盟約ーー即ち。 ー【一つ】この世界におけるあらゆる殺傷、一一戦争、略奪を禁ずる ・ノーマルスタート ー【一一つ】争いは全てゲームによる勝敗で解決するものとする ・第一章ーーー試行 ー【三つ】ゲ 1 ムには、相互が対等と判断したものを賭けて行われる ー【四つ 1 ッ三 ~ に反しない限り、ゲーム内容「、、賭けるものは一切を間わない 7 」・第二章ーーー失敗 ー【五つ】ゲーム内容は。挑まれたほうが決定権を有する ・第三章ーー学習 ー六つ】 " 盟約に誓って。行われた賭たは、絶対遵守される / ' ー【七つ】集団におる争いは「全権代理者をたてるものとする ・第四章ーー・再試行 ー【八つ】ゲーム中の不正発覚は、、。敗北と見なす ・ネパーエンディング ー【 0 一以上をも 0 て神の名と絶対不変のルールとする 【十】みなななかよくプレイしましよう リバイス アクト エラー リ・アクト
ーー良かろう」 「ハッ、待ちきれんということかね ? ん 5 ? そ、つ言って、バルテルが再度指を鳴らした。 ちゅう 直後、複雑な魔法陣が宙に広がり、カードの東が浮かび上がる。 「ゲームは『オラクル・カード』ーー説明は不要だね ? オラクル・カード。 エルフ てふた 二十二枚の手札を使い、魔法を駆使して戦う、森精種では一般的でシンプルな遊戯だ。 主に決闘の代わりとして用いられる危険なゲームでもある。 魔法の腕で劣るフィールには不利な勝負だ。 『十の盟約』に従うなら、挑まれたフィールにゲ 1 ムの選択権があるのだが 「ではあ、お互いが賭けるものを明確にするのですよお 5 」 フィールは眉一つ動かさす、注意深く、視線を逸らさず応じる。 ぜったいじゅんしゅ 二人は交互に『十の盟約』に基づいた絶対遵守の要求を確認する。 しょ・つ力い 「では我輩は君の身柄ーーそして生涯にわたる全面的な服従を要求する、 タ ぼうきやく 以「わたし達はあ、わたし達に関する忘却と、無条件かっ無制限の協力を要求するのですよお マ 当然の要求だ。 ていそう ノ バルテルはフィールを手に入れれば、ニルヴァレン家の全てと貞操までも手に入れる。 しんたい 一方、フィールは脅迫材料を破棄させ、逆にバルテルの身代を搾り尽くす要求だ。
きびす 手を振り、踵を返して : : : 全身を縛る重力を感じて歩く。 イマニティ 妹に心配され、人類種に心配されて、慰められ、自害まで封じられた。 これ以上は、甘えすぎだろうと、苦笑する。 いノら何で , も 、、こや。うちも『出来る』に賭けるにや。その結果が出るまでーーージプちゃ んが信じてくれたうちの可能性、期待してみるにや。だからもう少し待って欲しいにや」 ■・■ : にい、キス : : : させた」 「ちょっと待って、された、だろどうみても 「お一言葉ですがマスター『十の盟約』により権利侵害は出来ません。よってアズリール先 輩がマスターに口付け出来たのはマスタ 1 が無意識にでも許可したからに他なりません」 きょひ 「待て待て待てあんな美人を無意識下ですら拒否したら俺男としてマズイだろ逆に ! 」 女なら : : : 誰でも、いい : 学 「まるで、いの様でございますね」 「ちょっと待ていや今のはどう考えても俺のが被害者だろ ! なあオイー つぶや 第 そんな背後の喧噪に口元をほころばせて、歩き去るアズリ 1 ルが呟く。 「 : : : ところでジプにゃん」
2 引第四章ーーー再試行 だからこそーーー永遠に満たされない きれい だって誰でもないこのわたしこそが、一番綺麗で、一番価値のある宝物。 この世のどんなに素晴らしいものだって、どうせわたしには及ばない。 でも、もし、ここには無くて、わたしが欲しいものがあるとするなら ? それはーー・愛だ ! 真実の愛ー きずな 美しくも素晴らしき、不変の絆 ! 神々さえも欲しがる至高の宝ー じゅんけっ 誰にも侵されない純潔の魂ーーわたしはこの夢の都で『彼』を待つ。 わたしの持っていないものを捧げてくれる永遠の恋人。 かつぼ - っ わたしの心の渇望を満たしてくれる王子様。 : はて、どれほど前だったか ? そんな『彼』を待って、眠りについたのは : ど、つでもいっか」 時間なんて、『彼』が迎えにきてくれないのなら何の意味もない 心が満たされなければ、わたしの一生はずっと空つほのまま 【盟約に誓って】 ふと声が響いて、わたしの意識が鮮明になっていく。 ささ
1 10 「 : : : 家族、大事に : : : する : : : 当、然」 そらしろ ジプリールと、空と白。三人だけがわかる言葉を交わし ジプリール以外の、全員が手を掲げそう叫ぶと同時。 空と白はトンツと、壁の穴から中空へと飛び出した。 あらが 瞬間、重力が二人を捕らえる。人の身で抗うことなど出来ない力。 顔を殴りつける風とともに、ゆっくりとーーー徐々に加速しながら落ちていく。 その先にあるものは見えない。だが何であろうと例外はない 死だ。 はて、と空が苦笑する。 そこに不思議と恐怖も不安もないのは つぶや 呟いた妹に視線を向けると、はためくマフラーの片端ーーー一枚の翼が開かれる。 妹の視線から、自分の背中にも同じものがあることを確認し、 ああーーー不安も恐怖もあろうはずがない、と笑う。 つな 繋いだ手を強く握って、二人一対の翼を羽撃かせて。 比翼の鳥が力強く 重力を断ち切った。 アッシェンテ 【盟約に誓って】
ファンタズマ 「 : : : 幻想種アヴァント・ヘイムは、独立した一つの世界ってジプリールが言ったろ 空は、ここを訪れた時の説明を思い出しながら、 「景色を変えたってことは世界を書き換えたってことだが、独立してるなら外界をここま アヴァント・ヘイム内 で書き換えられるとは思えん。つまりーーー自分の世界を変えたってことだ。だがするとア ヴァント ・ヘイムのク上にいなきやおかしいのに眼前にいるー、ーっまり、幻だ」 その確認。実体であれば『十の盟約』で、危害は加えられない。 「・ : ・ : さて : : : プラム : 何がそこまで楽しいのか、プラムには全くわからない顔で。 心底ワクワクしたような顔で、白が、そして空が言う。 「大規模なステージ変更、目の前に我こそ最終兵器でございな要塞。ラスポスつほい奴の 長え演説。ーーそしてゲーム終了の『一時間』まであと 「 : : : 九分四四秒」 習「これが意味することが何か ! 解答をどうぞッ ! 」 空と白の元の世界の知識がないプラムには酷な質問。 章 だが・ーー迫り来るものを眼にして。 第 『正解』を口にした。 顔を絶望に染めて偶然にもプラムは
・第三章ーー学習 ・ : 失敗しましたわ ) なぜ 何故、予想しなかったのかーー約東通り魚料理を振る舞うべく食材の買い出しに、 なを連れて城下へ下りたステフは、己の迂闊さに歯噛みしていた。 恐怖、憎悪の眼、悪意の陰ローーー隣を歩くいづなに、それらが雨のように注いでいる。 ワービースト いづながー、ー獣人種の感覚が、それに気付かないはずはない。 ( いざ。連邦。と言っても、そう簡単に異種族を受け入れられませんわよね、けど : : : ) 頭ではわかっている。 確かにいづなーー獣人種は、このエルキアにとって侵略者であり、征服者だった。 けれど、それは『十の盟約』があっての事だ。 イマニティ 人類種の窮境も苦難も、全ては単純にゲームで負けたからだ。 習相互同意に基づいたその結果を憎むなら、それは、逆恨みというものでは 「 : : : ステ公は、なんでいづなを嫌わねえん、です ? 章 第 : いづなは大陸を奪ったほー、です。憎まれんのあたりめえ、です。けど、いづなの ぐお せえでステ公のじーじ、愚王言われた、です。なんで嫌わねえん、です ? 」 ワービースト リバイス