284 どうしたの ? 緊急事態 ? 」 ・ : ただ、信じられない情報だったから : : : 」 「あ、違うのですよお : そしてその情報を、半信半疑に語る。 セーレーンダンピール 「ソラさん達があ、オーシェンドーー海棲種と吸血種をエルキア連邦に取り込んでえ」 に、フィールはそしてー、ー・と続ける。 擎ことだろ、つ力と問、つクラミー 「アヴァント・ヘイム『十八翼議会』もーーーエルキア連邦加盟を決議したのですよお なるほど、それなら驚くだろうとクラミーは笑う。 ワービースト セーレーンダンビール フリューゲル イマニティ これで獣人種に続き、海棲種、吸血種、ついに天翼種まで人類種に降ったわけだ。 そらしろ 恐ろしい速度で、あり得ないことをやってのけた空と白に戸惑うフィールに、 「 : : : 予想より少し速いわね。急いで荷物をまとめましよう」 これを知ってたのですかあ ? 」 、だかクラミーはを夭、つ 情報共有していないのかと、悲しげなフィールに りんきおうへん 「違うわよフィー。予想って言ったでしょ ? 彼らの戦略は『臨機応変』よ ただ全種族を併合するなら、遅かれ早かれそうなるだけの話だ。 「問題はーー速すぎるってこと」 : はい、なのですよお」 オ そう、速すぎるーー海棲種と吸血種程度なら、無視されただろう。 ・ヘイムまで併合すれば、話は変わる。 だが東部連合に続き、アヴァント 0
282 セーレーン 「はて、海棲種が海から出られるはずないのですが」 「あのプラムってャローも来てやがる、です」 ダンピール 「ああ : : : 吸血種の魔法でございますか : : : しかし早く水に入れなければ死にますよ ? 「ステフッ ! 早く水槽を ! あ、中庭に池があったなあれでもいいのかツ」 「何でもいいですけど外でやってくれませんもしくは仕事してくれませんのつ凵」 騒がしい執務室を眺め、ジプリールが一人、静かに思う。 セーレーンダンピール イマニティフリューゲルワービースト そこには人類種、天翼種、獣人種、そしてーー海棲種と吸血種までいる。 争う様子なく。 アズリールもー、ーアヴァント・ヘイムも、変わろ、つとしている。 世界が、何もかもが、ゆっくりと、だが確実に いや以前ですら、変われなかったーー何かへと。 『十の盟約』以後ーーー・・ 己の主二人を中心に 「マスター達の聖典が、本当に神話になる日 : : : そう遠くないようでございますね そらしろ うなず ジプリールは静かにそう頷き、聖典にーーー空と白の観察日記に書き加えた。 Ⅷ年 = Ⅷ月Ⅸ劇日ーーーマスター童貞受胎するーーと。
280 「でもまあ、娘つっても海棲種だから海から出られないだろ ? こっちから行くしかない んだが、 : 行くべきか悩んでてなーーーひょっとして、これが父性愛って奴かな」 ステフは奇跡を目の当たりにしていた。 童貞が父性愛に目覚めているらしい : 行く必要・ : ・ : ない : 「いや、でも自分の娘だぞ」 「正確には、マスターの髪からとった微量の魂を女王が合成して創った女王のコピーのよ うなものでございますが : : : まあ、それが海棲種のク繁殖ではございますが」 と、もやもやしてるところへ、いづなが現れる。 くわ セーレーン 口に大きな魚を いや、海棲種の少女を咥えて。 そら セーレーン ・ : 空、空あ、なんかちっせえ海棲種来やがってる、です」 セーレーン 開口一番、海棲種の少女が言った。 電流が走った。 「ああああああ我が娘よそーだよパパげばはあツー しろ 飛び出し抱き付こうとした空が、白のプローを受けて止まる。 セ 1 レーン セーレーン ライラ ライラ
オールドデウス 「ク彼クはかっての主、神霊種アルトシュの使徒でございました」 遠い目で、ジプリールが続ける。 「アルトシュは大戦末期、滅びた身ーーーですがク彼はそれに納得していないのです。ア ほ、つつつ・つ オールドデウス ルトシュを探し放浪し、神霊種の気配を感じると近づこうとします」 あか と、ジプリールは天上に浮かぶーーー・・朱い月を見つめていう オールドデウス ルナマナ 「朱い月には、序列十三位『月詠種』と、それを創った神霊種がいます」 元の世界のそれより大きいのか近いのか、何度も見た、巨大な朱い月。 イクシード あそこに【十六種族】がいるとは、さすがに想像もしなかったが。 オールドデウス 「朱い月が見えると神霊種の気配にアヴァント・ヘイムは高度を上げる。ですが 複雑な、少し悲しげな笑みを浮かべ、ジプリール。 「アヴァント・ヘイムでは、届かないのです」 「 : : : 届かない ? 」 「アヴァント・ヘイムは、空を飛んでいるのではなく、星を巡るーー人類種には見えない ですから」 習精霊の流れを泳いでいるのでございます。それがなくなる宇宙は泳げない ジプリールにつられて視線を上げた空が、言葉をーーー失った。 章 天の川を、自分の目で見たことはなかった。 第 だがネット上で見た画像に勝るとも劣らない、星の川が虚空に浮かぶ中。 つ」 赤い月を遮るように、光が流れた。 っ ~ 0 イマニティ
162 いらた 理解出来ない自分に苛立っ様子のアズリールに、ほっりとジプリールがこばす。 「先輩。私の戦果を覚えてますか」 かわい ・ : 全部、覚えてるにや。可愛い妹の手柄は、全部」 俯き、遠くをーーーここではない場所をーーー過去を見る目で笑う。 ドラゴニア ギガント 「巨人種合同討伐十九体、単独討伐一体。龍精種合同討伐三体、単独討伐一体ーー」 ドラゴニア ちんざ 都市外れの巨木の下に鎮座する龍精種の首は他ならぬジプリールの戦果だ ドラゴニア 単独で龍精種を討伐出来たのは、後にも先にもジプリール一人。 ずがいこっ あの頭蓋骨は、それを祝ったアズリールが配置ーー飾り付けたもの。そして ファンタズマ 「幻想種合同討伐三体ーーー単独討伐一体、にや ファンタズマ 同じく、幻想種を単独討伐したのもジプリールただ一人のみ。 過去を思い返して笑うアズリールのーーーその笑顔には、曇りも演技もない せいかん 「最後に造られた個体、たった二百四十五回の戦果、そして生還 : ・ : 遠く懐かしい、美しかった頃のー・ー未来があった頃の話を。 偽りなき笑顔で語るアズリールに、伏し目かちにジプリールが、、つ。 じゅっしき 「 : : : では、私が、修復術式を要する規模の損傷を負った回数は、覚えてますか , 「百十六回、にや」 即答する。 なっ とうばっ ・ : 忘れるはすないにや」
163 でそ・実上 はれ・に位 が待 とそ わ そプ か ら な 最何味・九を龍どんは い 取ん来も んリ に ・の独 み・そ能位 ヒ単 や せ・れを種勝・直 ン独 た・で与を ト討 な え相な・動 ん な の す・かれに て単手・め 造独でなかん響わ な、、 る・て や つなちリ れれ勝 いに ン ルれだは プ ち つ心、 ジて や いだ なは ん い出 るが やせ は の来 すル あ かは の 子 達 を 見 た や 第二章ーー失敗 だ・ 三否・ 。て・ ん 天 ら・こ種 , れ が し・後な ・も で・わら ら け ば は 、そ本 。性上 ら て は い っ で と は そ 、本は 来 て だ ゃズれ ル ・行首る を . . い・が振怖と し いなだ し、 ン ち 、正は ⅱノし や そ も そ も 、れ アそが私を の き 。決込かと 期 を 切 ら 裏後故す・倍 いだか た 、か り ル歯 何 、が意・十体 力、 恐だ伐何なを伐て討・死 が・そ種巨ギそ ・の族人の 、る・も単種多が に故ぜ、し幻伐・て 種トほ 、精ど 回でそ単・も 数討し独・瀕 ン種斈よ 志るを強こわ返た想多に・帰 プ リ 噛 る り ら討プ さ 、れは 殀ぜめ とて し たジ 声プま リ 1 が その・て 、れた配 イ本 っ ン プ リ ル に し、 ら れ た
円 2 「ぎゃああああごめんなさいごめんなさい殺さないでくたさああい アズリールが伏し目がちに掴んだ手の先から、絶叫が響き渡った。 そらしろ 掴んだはずの空と白ーーだが、手の中で叫ぶのはーーあの、なんだ、えっと。 : あれ ? 名前きいたつけかにや ? ダンピール 名も知れぬ吸血種の少女だった。 一瞬、遅れて理解する。 ク幻惑魔法み ダンビール 吸血種の幻惑魔法ーーー本気を出せば森精種も、天翼種も撹乱出来る種族の魔法。 あざむ オールドデウス 強力な魂をーー血をーー取り込んだ直後であれば、あるいは神霊種すら欺けるーーー ? だがそれでは空と白、二人の羽はーーー加速した空と白は、何処に そう高速で思考するアズリールーー・その横を。 恐ろしい速度で通り抜ける気配に、まるで時間が、止まった。 全てがスローモーションのように、アズリ 1 ルの目には映った。 プラムをーー・マフラーをーー・翼を失った人の身で。 人の身には過ぎた速度で。 振り返りざま撃ち出された空の拳が、アズリールの肩に突き刺さるー つか フリューゲルかくらん
273 第四章再試行 セーレーン 女王が目を覚まし滅亡は避けられたが、今まで通り海棲種と共生は続き、酷使される。 セーレーン ダンピール そして海棲種が空達に協力するなら共生関係にある吸血種原則方針に逆らえない。 ものの見事に、こっちの策を利用されて、取り込まれたわけだ。 それもーー誰もが確かに、損はしない形で。 「、つ、つ、つ . ・『完全勝利』しといて引き分けってえ、皮肉ですかあ ? 」 鮮やかに自分の策を逆手に取った空達を、ふて腐れた様子でプラムが睨む。 セーレーン 「言っておきますけどお海棲種にいつまでも飼われてるの、納得しませんからねえ ? 」 だから これだけは言わせて貰う、と。 ダンビール 「ーーーあまり、吸血種をナメないでくださいよお ? 」 見るもの全てを震え上がらせる夜の王の眼が、空と白を捉える そろ だがそんな視線をそよ風のように受け流し、二人は揃って親指を立てた。 「おう、ナメてかかって勝てるわけないだろ。またゲームしようぜ。待ってるぞ」 「 : : : 楽し、かったよ : : : プラム、くん」 ただ凄腕のゲーマーを称える笑顔で、応じる。 もう、考えるのをやめ再度床に突っ伏した。 一暖簾に腕押しな様子に、プラムは 「 : : : ところでえ、これで勝負は終わりですよねえ ? 頼みがあるんですけどお」 プラムが、極めて真剣な顔で空の目を見つめ、そして のれん すごうで
268 まるでーーーそう、ごちそ、つに舌なめずりするように、プラムが笑みを歪める。 そら その豹変に、身の危険を感じて空が身構える。 なるほど読まれ、バレていた。だがーーー、まだ足りないとプラムは笑みを歪め嗤う。 「女王が賭けたのは『自分の全て』ですよお ? まだ気付かないんですかあ ? 」 なツ」 ほおひ っ その言葉に = ーー空が頬を引き攣らせ、後ずさる。 ようやく気付いたかと、薄い笑みを深めてプラムが続ける。 ・『権利』だけじゃなく『義務』も皆さんに移ってるんですよお」 ッ ま、待て : : : それは む とっさ 理解した空が、咄嗟に白を庇うように、目を剥いて叫んだ。 海棲種の全権代理の『全て』を手にした以上ーー権利だけではない。 ダンピール ッ 義務ーーすなわち吸血種に血を与える義務を負うことになり プラムーーー鋭く、妖しいまでの瞳の美しい少年。 ドラキュラ 幸薄そうな顔は何処へやら、今はーーーまさしく吸血鬼の名に恥じぬ。 ダンビール 『王』ーーー・吸血種最後の男性、全権代理者らしい邪悪な笑みで、牙を覗かせる。 「ですからあ、どう転んでも吸血種は得しかない わかりましたかあ ? 劣等種」 セーレーン ライラ しろかま ボク・ ゆが のぞ わら
あば 主二人は言うまでもなく、東部連合のゲームを暴いた先王、森精種と組んだクラミー。 彼らが示した可能性は畏怖さえ抱く程、既に身に染みていた。 ゆた 彼らは時に狂気に、死にさえ身を委ねーーーそれでも次へと繋げる種族だ。 「果てなく学習を続ける種族ーーーそんな脅威を何故気に留めなかったのかにや 5 」 か 如何に脆弱でも、永遠を重ねれば必す不可避の脅威に必ず至ることを意味する。 そんな種族の本質に気付いていたら、大戦時、自分はどうしただろうか。 まっさっ 考えるまでもない ク危険過ぎる % 即座に抹殺したはずだ。 イマニティ 「 : : : なのに人類種の記録はーーー一切ないにや。なんでかにや ? 」 イマニティ そう、大戦時の人類種の記録は一切遺されていないーー不自然な程に。 「にやははは 5 ま 1 ふと思っただけにや。ひょっとして、っちら しろ そ、つして、アズリールは空と白に視線を送り、 「まんまとル 1 シア大陸から戦線を外されたんじゃないかにや 5 と 習そ、つ、いかにも彼らがやりそ、つなことと、 学 ェクスマキナ ふか力い 「アルトシュ様を討った機凱種の大戦末期の動向は不可解だったし、もしーー」 章 そう 目だけは笑わすに笑い、結論づけた。 第 「人類種が誘導していたとしたら もしーーー大戦終結の引き金となったアルトシュの死が、