アズリール - みる会図書館


検索対象: ノーゲーム・ノーライフ 6 (ゲーマー夫嫁は世界に挑んだそうです)
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1. ノーゲーム・ノーライフ 6 (ゲーマー夫嫁は世界に挑んだそうです)

ま ぎよくざ つばさ ひざまず 玉座の間に戻ると、アズリ 1 ルは翼を畳み、光輪を落とし、ゆっくり跪いた どう ジプリー 「『番外個体』は如何した ? 」 いわお たくま 至高の座でくつろいでいるのは、巌のように逞しい筋肉を晒す男 フリューゲル オールドデウス 最強の神にして戦神、天翼種の創造主ーー神霊種アルトシュ。 きよく こわ はがね 自分達の倍はあろうかという巨躯。鋼のごとく剛い黒髭を垂らし、背に負った十八枚の つばさ するどぬ み 翼をさながら外套のように纏っている。彫りの深い顔立ちの、鋭く濡れた黄金の眼光に見 のうしび 下ろされると、アズリ 1 ルはそれだけで脳が痺れるのを感じる。 ふこうこっ だが、アズリールは知っている。畏怖と恍惚を抱かずにはいられないその偉容さえ。 おの ひとしずく わず 己が創造主の一片、大海の一滴、強大な力の僅かな現し身に過ぎない、 ェクスマキナ 「単独行動中の機凱種と交戦、『天撃』使用の損耗で修復術式中にございます、我が君」 祈るよ、つに恭しく報告するアズリーレ、、こ、、、、 ノオカ正直全く意味不明な話だった。 てつくず ちりあくた たかが這いずり回る鉄屑ーー群れれば多少目障りな塵芥に過ぎない。 きんき 惚手を出すのを禁忌としたのはアズリール自身だが、それは脅威と感じたからではない。 まね 単に主に賜った御力を低劣に模倣られるのが、甚だしく気に入らないだけだ。 フリューゲル 章 天翼種総員で掛かれば、あの鉄屑共に『対応』一つさせる間も与えす撃滅できる。 五 第 お」 A 」、し、つのこ 0 そんなスクラップ一つに全力ーー『天撃』を撃ち込んだジプリ 1 ルの真意も。 お ル がいと - っ うつ

2. ノーゲーム・ノーライフ 6 (ゲーマー夫嫁は世界に挑んだそうです)

256 「ーーーそ、つか。くく、そ、つかーーー」 何事か推知したように含み嗤う主の神意も、アズリールにはわからなかった。 ゆえ みこころおはか 主は多くを語らない。故に主の御心を推し量ることはできない おのれ いや、と彼女は己の傲慢を恥じた。 きわ しんえん そも深淵なる主、神の御心を、己如きが推し量ろうなど不敬の極みだ。 主は最強。主は頂点。最強の神、戦神アルトシューーー王の中の王。 最高ーー『戦』という概念の権現たる主に敵などない。最強たる故に最強なのだから。 ど・つも・つ だがアズリールは、主の笑う姿ーーーその獰猛に昂ぶる笑みを久しく見ていなかった。 けだるぎよくざ おわ ものう 何千、何万年、主はただ物憂げに、気怠く玉座に御座して頬杖をつくのみ はため ようす それが今や、傍目にもわかるほど上機嫌な様子である。 よ ようやっと、余を弑さんとするものが訪れるらしい 「近しいな こた いきの まゆね その言葉にアズリールは息を呑み、まさか、と眉根を寄せて応える。 おんみかな 「この地上に、御身に敵うものなどおりますまい」 主の憂鬱、その理由だけはアズリールも知っているーーー主は戦の神だ。 戦とは即ち、殺し合い。 けんま きそ 競い、争い、殺し殺され、その生と死を賭して、己の魂と存在を研磨する。 ゅううつ すなわ わら と たましい え ほおづえ

3. ノーゲーム・ノーライフ 6 (ゲーマー夫嫁は世界に挑んだそうです)

260 『神撃』 おそ 、こやツ」 「お、恐れながら我が君、あの玩具どもはきっとそれが狙し ( ェクスマキナ れんこう 連合との交戦で『神撃』を撃たせ、模倣・再現するのが機凱種の目的。 かれ そう訴えるアズリールに主は、主にのみ許される傲漫を告げた。 「それがどうした」 ど・つも - っ そうぼうみす いなづま 獰猛な金色の双眸に見据えられ、アズリールは稲妻に打たれたように立ちつくした。 かみ 主は最強の王であり、自分達はその下僕。 きょ・つしゃ 主は絶対。主は最強。強者とは即ち主であり、弱者とは即ちーーー主以外の凡て。 こざか 弱者が小賢しく策を弄すなれば。強者が、王が、神が、主が。するべきは何か おのれは 丿ールは叫んだ。 それを一瞬とて忘れた己を恥じて、アズ 1 てんげき 「全天翼種ーーー『天撃』用意・ーーその全てをアルトシュ様に託すにやツー ちゅうちょ ェクスマキナ 数瞬前のアズリールと同じ、機凱種の模倣を危惧する者が躊躇する中 え そうてん 主は語らない。だがその獰猛な笑みに装填された神意を、アズリ 1 ルは代弁する。 はざま むそう この天地の狭間において無双 ! ならッ凵弱者の弄する小賢しい愚策を 「主は最強 まど 前にして何を恐れ、何を迷い、何を惑うにやッ凵」 そろ フリューゲル つばさたぎ アズリールの言葉に反応して、天翼種達が揃って翼を滾らせる。 フリューゲル しんげき 0 すなわ ゆる じゃくしゃ ねら っ こざか

4. ノーゲーム・ノーライフ 6 (ゲーマー夫嫁は世界に挑んだそうです)

278 それが何を意味するか・ーー続いた通信音で肯定された。 ツアイへン シュラボクリフェン 『設計体』から残存機へ 『偽典・天移』設計完了、同期する』 ぎよくざ とびら、つ 同時にアズリールの背後ーーアルトシュの玉座へ続く扉を撃ち抜く閃光が奔り、 『目標地点視認。全機共有ーー敵無力化を済ませたものからーーー転移せよ』 「しま レーゼン シュラボクリフェン 『偽典・天移』ッ ! 』 ェクスマキナ アズリールが失敗を悔いる間もなく、そう告げた機凱種が、視界から消失した。 おぼっか もはや飛ぶことはおろか、歩くことすら覚東ないアズリールは、それでも。 這うように、撃ち抜かれた扉 : : : 主の下へ向かうーー ぎよくざ 果たして、目的地に転移したアインツイヒを迎えたのは、巨躯の男だった。 ネ認は初めてーーー正確には、視認してデータ共有が間に合った機体が過去にいない。 故に照合は不能。だが照合せずともわかる。圧倒的な存在感で玉座に座るそれが とうも・つ ご - つまん ふそん そうぼ・つ この状況でーー不遜に、傲慢に、当然に、頬杖つく獰猛な金色の双眸のそれが。 オールドデウス 最強、戦神、そして目標ーー『神霊種アルトシュ』だと告げている。 ゆえ ほおづえ っ きよく ぬせんこう

5. ノーゲーム・ノーライフ 6 (ゲーマー夫嫁は世界に挑んだそうです)

かざ ェクスマキナ せま 迫り来る機凱種の群れーー前方の空間に手を翳して、 うちら 「天翼種の攻撃が『天撃』だけーー馬鹿の一つ覚えとでも思ってるのかにゃあツ」 瞬間、前方の空間が爆ぜた。 天翼種の『空間転移』を応用した・ーー空間への作用。 ゅ 強制的に穴を開けられた空間、その揺り戻しが前方へねじれ奔り、全てを砕く。 てつくず 空間が捻れ、歪み、その影響圏にある全てを鉄屑の破片に変える。 : だが、それが限界だった。 その攻撃に何十体巻き込めたのか : . 、アアツ . : はあ : とびら あず シプリールと同じく。 玉座へ続く扉に背を預け、アズリールもまた、。 一」ども いきあら 力を使い果たし、子供のようになった姿で、息を荒らげる。 だれ それでも。この先には誰も通さぬと前方を睨むアズリールの耳に、だが。 絶望的な声が飛び込んだ。 ペフェール プリューファ 「ーー『解析体』から『指揮体』へ : : : 天翼種の『空間転移』原理ーー解析完了」 ツツツ おのれあやま 章 血の気が引くとはこのことか。アズリールは己の過ちに遅まきながら気付く。 五 もほ・つ ェクスマキナ 第 機凱種は、受けなーーク攻撃を解析し模倣する装置を造り出す。 7. 自己作用故に、今日まで解析されなかった『空間転移』をーーー攻撃に使った。 フリューゲル てんげき カ フリューゲル かいせき

6. ノーゲーム・ノーライフ 6 (ゲーマー夫嫁は世界に挑んだそうです)

258 とつじよ せんこう ひめい 突女ーーー空を、地を焼いた閃光に、アズリールが悲鳴を上げる。 だれ てんげき 「なななんにゃあああに今、誰が『天撃』を撃ったにや」 「ふ、不明ですっ ! アヴァント・ヘイム内からは何の反応もーー」 ま ぎよくざ っ フリューゲル ・つお - っさお - っ 玉座の間に詰めていた天翼種達が混乱し、右往左往する。 ある者は探知魔法を展開し、ある者は空間転移し外空へと飛び出していく。 そんな中、アズリールはふと、ジプリールの言葉を思い出した。 単独で行動し、奇妙な動きをし、ジプリールに『天撃』まで撃たせた ェクスマキナ さるまね 「ー・・・ー機凱種 : : : 猿真似が特技の廃材・ : : ・」 この行動が何をもたらすか。こちらからの先制攻撃と見なされーー全面衝突だ。 まね てつくす 「にやは 5 、ナメた真似してくれるにゃあ、鉄屑 : : : ッ え やつばや 状況を把握したアズリールは凶相の笑みを浮かべ、矢継ぎ早に指示を飛ばす。 ドワーフ よくたい 「ラフィールちゃん、地精種の『髄爆』を撃てそうな艦船、九翼隊で一個残らず迎にや。 サラキ 1 ルちゃんは十から十八翼まで全部連れて森精種を最速でーー」 / \ ははキ十ッ 「クーーーノく

7. ノーゲーム・ノーライフ 6 (ゲーマー夫嫁は世界に挑んだそうです)

254 ・第五章ーーー夢惚 ジプちゃんってば心配性にや 5 ) 「にやは 5 フリューゲル そう笑って天翼種の長姉ーーー第一番個体・アズリールは跳ねるように飛ぶ。 かわい : んでもッ ! そこがまた可愛いのにゃああ 5 ッ学 「ジプちゃんすぐムキになるにや 5 さら ちっちゃいジプちゃんもまた更に可愛いにゃああ : : : はあ : : : 修復術式が疎ましいにや」 ことさらひいき アズリ 1 ルは番外個体ーー、・現在末妹であるジプリールを殊更贔屓にしていた。 ドラゴニア 行動が読めず、無軌道で、自由奔放なジプリールは、単独で出て行っては、龍精種をす かいもくけんと・つ と・つばっ ら討伐して戻る。その突飛さの目的も理由も、皆目見当がっかない。 だが、それも主に与えられたク不完全性ク故、なお特別に愛おしく思えた。 もっとも、当のジプリールには心底煩わしく思われているのだが。 てんげき 『天撃』。 天翼種が持っ膨大な力、その全てをたった一撃に乗せ放っ ほお それを使い、子供の姿で帰ったジプリールを、アズリールは一週間頬すりし続けた。 うしな 遂にキレたジプリールが修復術式ーーー喪ったカの回復を申し出て、現在は機能停止中だ。 しょ・つじき しいとアズリールは田 5 ったのだが 正直、自然回復ーーー十年待っても、 フリューゲル こども

8. ノーゲーム・ノーライフ 6 (ゲーマー夫嫁は世界に挑んだそうです)

259 第五章夢惚 こうしようひび その声、その哄笑が響くと同時、全ての天翼種が静まり返った。 きさま 「、ハハッ ! そうかク貴様か余を弑するのは。存外早かったなあハハハツー おそ ふる アヴァント・ヘイムを震わせ笑い続ける主に、アズリールは恐る恐る一言う。 ェクスマキナ 「お、恐れながら、機凱種ごときに主を滅ばせるわけーー」 だがやはりいつものように、主はーーー多くを語らない。 神の洞察か、あるいは戦神の権能か、まるで いや事実全てを把握したように。 ェクスマキナ クなんのことだク ? 」 「機凱種 ? たった一言でアズリールの思考を断ち切り、主は笑った。 かなた ある 或いは知っていたように、待ち焦がれたものを歓迎するようにーーー彼方を見やる。 「なるほど最強たる余に相対するは最弱たるは道理ーーーなあク猿ク ? 」 かいな はつむ そうーー言の葉を紡ぎ、主がその右の腕を掲げた。 それだけ ただそれだけでアヴァント・ヘイムは震え、空間が、時間が軋んだ。 ひめい フリューゲル その場に居並ぶ天翼種達の間から、小さく悲鳴のような声が上がる。 主が、告げた。 構えよ」 一「総員 アズリールの指示を全て取り消すその一言が意味するのは、ただ一つ。 戦の神、最強の神、あらゆる王の中の王たる、主のーーー全ての力。 こよはな フリューゲル その一片たる全天翼種の『天撃』までて東ね放つ、無類無双万神必倒の一撃。 っ よ た ほろ す フリューゲル

9. ノーゲーム・ノーライフ 6 (ゲーマー夫嫁は世界に挑んだそうです)

■・■ スクラップ 「ーーなめ、るにやーー廃材がああアッ凵」 ぎよくざ じんど アルトシュの玉座の間へと続く通路に陣取り、アズリールが叫ぶ。 あか 残り少ない力を振り絞って放っ無数の光刃が紅い空を白ませ、いくつかが敵影を捉え。 ェクスマキナ 碧い光を放って爆散する複数の機凱種を、辛うじて視認する。 ーーー最大威力のーー『神撃』。 惚その発射直後だ。ほば全ての天翼種が力を失い、身動きも出来ない者までいた。 それを狙ったように いや、事実狙ったのだろうタイミングで。 おおっ 章 空を覆い尽くすような、機械の軍勢が押し寄せた。 五 ドラゴニア アランレイヴ せま 第 龍精種の【王】が一つ、『焉龍』を四分の一のカで屠った、その全軍が迫る。 わず 僅かなりとも力を残している末期個体や、アズリールなど一部の天翼種。 A 」、つ、カ こう思って欲しい。心無き道具が勝手に暴走した : そうして、命無き物を騙る者達は、今度は声にして、叫ぶ。 「全機体、武装使用権限、限定解除ーーー ! 」 レーゼン エンダーボクリフェン ・『偽典・焉龍哮』 あお ねら ま フリューゲル かろ ほふ フリューゲル と。 とら

10. ノーゲーム・ノーライフ 6 (ゲーマー夫嫁は世界に挑んだそうです)

276 そしてアヴァント・ヘイムの攻撃だけで、それらを迎え撃っていたがーーー限界がある。 ェクスマキナ 対空砲火は着実に機凱種を撃破していっている。 だが、損害など気にもしていないのか、機械の軍勢はまっすぐに突撃してくる。 ファークライ おそ 恐らくジプリールも言っていた、アランレイヴの『崩哮』を模倣した武装だろう。 フリューゲル わす いっせいそうしゃ それらの一斉掃射がー、ー戦える力を残している僅かな天翼種も順に消し飛ばしていく。 すなわ 動けずにいる者ーー即ち障害にならないと判断した者には、見向きもせす。 それどころか、何のつもりか くわ れんごうかんたい ェクスマキナ 機凱種は、これを好機と攻め込もうとする連合艦隊に対してさえ、攻撃を加えていた。 明らかに、殺す気はなく。ただ艦隊の戦闘力だけを奪っていく。 『抵抗するな。可能な限り殺したくない』 ひざ そう語るように、機械の群れが膝をつくアズリールの脇を通り抜けようとする。 ちりあくた : にゃあ塵芥あ 「 : : : ふざーーーけてる、のかにや : その向かう先はわかっている。 ぎよくざま まっすぐーー・アルトシュ様のおわす玉座の間だ。 すなお 「素直、に、主を殺されろーーとでも一言うのかにやこのスクラップはあッ ! 」 はたん そう叫んだアズリ 1 ルの光輪が、不規則に歪み破綻する。 ゆが わき もほ・つ