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検索対象: ノーゲーム・ノーライフ 6 (ゲーマー夫嫁は世界に挑んだそうです)
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1. ノーゲーム・ノーライフ 6 (ゲーマー夫嫁は世界に挑んだそうです)

206 ・第四章ーーー無傍 ち あんやくすで 世界各地に散る『幽霊』達の暗躍は既に一年近く続いていた。 がゲーム盤なが リクは今日も隠れ家の戦略図を眺め、シュヴィと机を挟みチェスを打っ : ドワーフこうく・つかんたい エルフ 予想通りに、森精種は妖精種を味方につけた。地精種の航空艦隊に対抗できる龍精種の ばんじゃく ドワーフ 契約数も増大し、地精種を共通の仮想敵とした『森精種同盟』は盤石となった。 くわ ファンタズマ ファンタズマ ドワーフ ギガント 一方地精種は関係良好な巨人種に加え、多数の幻想種を味方につけた。森精種がみ幻想種 ドワーフ かぜって 殺しを造ったと幽霊の伝が流れた結果、ガッチリ強固な『地精種同盟』がここに爆誕。 じんえい たいりくフリューゲルよう しかーし忘れちゃ困るは最強勢力、それはお隣大陸、天翼種を擁するアルトシュ陣営だ。 アルトシュ こぶし 互いに必殺兵器を隠し持っ二つの同盟、目下の最大脅威に対し後ろ手で拳を固め握手を れんごう こうちゃく アルトシュ 如わす『連合』には、さしもの最強神とて容易に手を出せす、戦況は膠着へと向か 0 た。 ワービースト ずいばく デモニア ねら 妖魔種は漁父の利を狙って移動、獣人種は『髄爆』を警戒し西の群島へ移住した。 マゲドン 世界は一触即発、最終戦争を警戒、互いに睨み合うしかなくなったのであるーーー・ツ凵 と、以上小利ロな強者共がせっせと組み上げてくれた盤面の現状であり。 こつけい ル 1 シア大陸は滑稽にも人間だけのクはじめてのおるすばんクと相成った次第にござい たが フェアリー ドラゴニア

2. ノーゲーム・ノーライフ 6 (ゲーマー夫嫁は世界に挑んだそうです)

222 「ーー・『解析体』一機でーーでございますかあ ? ) 隹 . りを表情に出さないでいられただろうか それだけを心配するシュヴィに、構わずジプリールは続ける。 クラスタ ェクスマキナ 「半径一〇〇内に機凱種の反応がないと確認してございます ) するとはて連結体で行 っ ェクスマキナなぜ 動する機凱種が何故単独でおられるか、興味が尽きのう ) 」ざいます ) それとーー」 そしてーー悪魔のような笑みで、ジプリールは続ける。 さるまね っ単独でしたら、お得意の『模倣対処』も出来す、レア度激高の、プレ ~ ノミアムな ネックをティク出来るチャンスだとジャッジしますが、いかかでございましよ、つ ? 学」 シュヴィは再度声に出さず思ったーーー最悪、と。 さら よりによって、全種族中最もデタラメな種族ーーーその中でも更に無軌道で最強の個体に 見つかるとは、まったくリクの言う通り確率論はくだらないと認めるしかない 初めて引いたカードか、よりにもよって『ジョーカー』とは。 むだ くび 「それではーーお首チョンパしますので、どうか動かないよう。抵抗は無駄でございます ェクスマキナ し、お互い手間もかからす済むかと ) 機凱種にはどうせ『死』の概念も無ーーー」 ことわ はい ? 聞き間違いでしようか」 とっさ 『死』ーーー・その言葉に、咄嗟にシュヴィはロを開いた。 たが プリューファ あ え

3. ノーゲーム・ノーライフ 6 (ゲーマー夫嫁は世界に挑んだそうです)

256 「ーーーそ、つか。くく、そ、つかーーー」 何事か推知したように含み嗤う主の神意も、アズリールにはわからなかった。 ゆえ みこころおはか 主は多くを語らない。故に主の御心を推し量ることはできない おのれ いや、と彼女は己の傲慢を恥じた。 きわ しんえん そも深淵なる主、神の御心を、己如きが推し量ろうなど不敬の極みだ。 主は最強。主は頂点。最強の神、戦神アルトシューーー王の中の王。 最高ーー『戦』という概念の権現たる主に敵などない。最強たる故に最強なのだから。 ど・つも・つ だがアズリールは、主の笑う姿ーーーその獰猛に昂ぶる笑みを久しく見ていなかった。 けだるぎよくざ おわ ものう 何千、何万年、主はただ物憂げに、気怠く玉座に御座して頬杖をつくのみ はため ようす それが今や、傍目にもわかるほど上機嫌な様子である。 よ ようやっと、余を弑さんとするものが訪れるらしい 「近しいな こた いきの まゆね その言葉にアズリールは息を呑み、まさか、と眉根を寄せて応える。 おんみかな 「この地上に、御身に敵うものなどおりますまい」 主の憂鬱、その理由だけはアズリールも知っているーーー主は戦の神だ。 戦とは即ち、殺し合い。 けんま きそ 競い、争い、殺し殺され、その生と死を賭して、己の魂と存在を研磨する。 ゅううつ すなわ わら と たましい え ほおづえ

4. ノーゲーム・ノーライフ 6 (ゲーマー夫嫁は世界に挑んだそうです)

オールドデウス この世界のあらゆる知的生命体は、神霊種達に創られた。 唯一 : : : 人間を除いて。 だれ けもの 「誰にも創られず、誰にも望まれず、誰にも願われす。ただ己の意思で、獣から二足で立 ゆえ ち上がり、知性を手にするに至った唯一の種族である故にーー名も無き種族ーーー人間」 む 彼らだけが、不毛で無為でくだらない戦争を終わらせることに成功した。 どろじあい その結果が泥仕合だったとしてもーー彼らだけが。 それを、ただの獣と同列に語るか ? 断じて否だろう。 惚「だから僕が、君達に唯。一神として名を与えるー・ー人類種 : : ・・『疫一「と」 ひとり 一学習を重ね、耐性を得て、決して抵抗を止めず、最後の一人にな 0 ても諦めず。 たたかい 章 ついには星そのものの免疫機能とばかりに愚かな病を止めさせた者達。 五 ふさわ 第 進化という概念、無限の可能性をーーーその身に秘めた種族に、相応しい名前を。 そしてやおら、テトは笑って続けた。 オールドデウス ふたり それを思い返して、少年。ーー・たった二人が信じて生まれた神霊種は。 おさな やみ リクが幼いあの日、闇の奥に見た空想上の、最強のゲーマーそのものの。 ふてきふそん スーニアスター かざ 不敵で不遜で、そしてーーー負けす嫌いな笑みを浮かべて『星杯』を翳した。 0 おろ おのれ

5. ノーゲーム・ノーライフ 6 (ゲーマー夫嫁は世界に挑んだそうです)

240 『天撃』 うたがよち せいれいかいろう 疑う余地もない、天翼種が体内構造全てを精霊回廊接続神経に変質させて、精霊回廊の 源潮流からカを汲み上げて撃ち込むーー文字通り、天翼種の最大最強の一撃。 ェクスマキナ もほ・つ 機凱種にも『天撃』の模倣兵器はある。シュヴィも目撃するのは初めてではない。 うずま だがジプリールのそれはーーー渦巻いている力は。 データ上の、知識上の『天撃』とはーーあまりに桁が違い過ぎて。 くず シュヴィは悔しげに、悲しげに表情を崩した。 イレギュラー 『例外』ジプリールーー、・やはり、ど、つにもならな ようす その様子にジプリールが何を感じたのか シュヴィには知る由もないか ドクンツ と。それ自体が攻撃であるかのような精霊の胎動が生ずる。 なすべ 為す術なく地を転がるシュヴィの頭上、天高く。 りよ・つ・つで 光輪を複雑にーー巨大に描き、両腕を広げるジプリールが言、つ あたい 「あなたさまは、ここで、確実に排すべきク脅威ク 『敵』に値すると認めましよう」 ェクスマキナ 機凱種の兵器が使う濃縮精霊の比ではない。 大気から、星から、強制搾取された精霊がー、ー圧縮濃縮凝縮されていく。 ゅ 発光する精霊 ジプリールの両手に、揺らめく不定形な『槍』が出現する。 てんげき ころ フリューゲル えカ フ ユ やり

6. ノーゲーム・ノーライフ 6 (ゲーマー夫嫁は世界に挑んだそうです)

う その円環と続く交わりこそ、主を生み出した概念であり、その神髄である。 故に主は戦場に立ち、殺意を呼びかけるのだ。 はんぎやく 憎悪せよ、憤怒せよ、叛逆せよ、儚い命を賭し、知恵の限り、愚かに挑むがよい、と。 じゅうりん その全てをーー圧倒的な力で蹂躙してこその 『最強』であるが故に、と。 天下に武を布き、カと法を顕すもの。最強を定義するもの、それこそが主だ。 おうさっ 一方的な鏖殺をーー『戦』とは呼べまい。 けんたい 故にーー主は悠久の倦怠に沈むのだ。 「挑むものなき最強に : : : 如何なる意味があるのだ ? 」 まなざ みお と一転、主が笑みを消して冷徹な眼差しで下界を見下ろしたーーその時だった。 ケンプファ ヒーメアボクリフェン レーゼン 【ーー全『戦闘体』、『偽典・天撃』 【典開】 ファンタズマ 惚それは天空を泳ぐ幻想種アヴァント・ヘイムの、すぐ後方。 殺すなよ ? 】 「新ー照準・偏差補正・固定 章 【了解】 五 第 直後、一一一〇〇を超える『天撃』ーーー星の命運を左右する歴史的斉射が。 れんごう っ ~ アヴァント・ヘイムのク背後から 『連合』に撃ち込まれた。 し え てんげき はか′ おろ しんずい

7. ノーゲーム・ノーライフ 6 (ゲーマー夫嫁は世界に挑んだそうです)

280 わ つわもの 「待ち侘びたぞーー余の『敵』たらんとする兵よ」 ぎよくざ アルトシュが玉座から、立ち上がる。たったそれだけで 【アインツイヒより残存全機へ : : : これは当機の異常か ? 】 ェクスマキナ 機凱種としての観測装置、その全てがーーーアルトシュのク質量増大クを示していた。 否、それも正確ではない。光学的には間違いなく、眼前の男は立っただけだ。 まと 訂正。纏っているエネルギー量が増大ーー・再度訂正。エネルギ 1 ではない、明確に しょ・つ 存在情報そのものが増大している。存在しないものが生じるように。 そろ だが遂に玉座の間に揃った七〇一機、その全機が解答する。 ナイン 【否定】、と。全機が同じものを観測していた。 え あり得ない。あらゆる熱力学法則に反している。魔法とて、精霊を運用する以上はエネ ルギー交換の範囲内で物理法則をねじ曲げているに過ぎない。説明の付く話ではない。 すなわ だがーーー全機体のあらゆるセンサーはただ、同じ結論を出しているーーー即ち。 質量が増大しているーー天を、地を、世界を包む概念が形を帯び現れようとしている。 【ありえない なにが起きている : ・・ : ッ しんげき アルトシュは『神撃』使用直後、ーー平時の一二 % 未満の力になっているはずだ。 ア プリューファ 全『観測体』『解析体』は統一見解としてそう試算しているーー・なのに。 その思考を読むようにーーー・あるいは本当に機械の思考を読んでか、アルトシュが言う。 「ーーー最強とは最強故に最強。力の増減など何の意味がある ? よ

8. ノーゲーム・ノーライフ 6 (ゲーマー夫嫁は世界に挑んだそうです)

アインツイヒに続き、一機、また一機と転移し増えていく機凱種の群れを前に なの 「ーー許す。名告るがよい」 こと ゅ 言の葉一つで空間を揺らし、全観測装置を変動させて、アルトシュが問う。 「【拒否】道具は名告らない」 アインツイヒの解答を、アルトシュは「戯け」と、時間を軋ませて笑った。 き よ 「腕の名を訊いて何とする。余の『敵』の名を問うておるのだ」 アインツイヒは答えない 元より答えるわけにもいかない 沈黙し、ただ戦況を把握し、そして戦闘可能な機体の到着を待つ。 シュラボクリフェン 残存戦力ーーー八七二機ーー『偽典・天移』を共有出来た機体はそのうち七〇一機。 クラスタ つまり全機到着でも最大戦力は七〇一機ーー本来の『連結体』一一つに満たない。 フリューゲル ファンタズマびき 疲弊した天翼種と、幻想種一匹にここまで削られるとは、ーーアインツイヒは苦笑する。 シュピーラー 『意志者』の指摘通り、数学が未完成過ぎる道具、と機械が認めるのも皮肉な話だ。 むごん 惚そ、つ思考して無一言を続けるアインツイヒに、だがアルトシュは、 「うむ然りーーーそれで善し」 え 章 むしろ、笑みを深めた。 五 さ とどろ 第 「三千世界に轟く最強と相対するは、世界の何もが顧みぬ最弱 , - ・ーー然もありなん , くず そして、頬杖を崩し っ 4 どうぐ ゆる よ たわ かえり ェクスマキナ

9. ノーゲーム・ノーライフ 6 (ゲーマー夫嫁は世界に挑んだそうです)

260 『神撃』 おそ 、こやツ」 「お、恐れながら我が君、あの玩具どもはきっとそれが狙し ( ェクスマキナ れんこう 連合との交戦で『神撃』を撃たせ、模倣・再現するのが機凱種の目的。 かれ そう訴えるアズリールに主は、主にのみ許される傲漫を告げた。 「それがどうした」 ど・つも - っ そうぼうみす いなづま 獰猛な金色の双眸に見据えられ、アズリールは稲妻に打たれたように立ちつくした。 かみ 主は最強の王であり、自分達はその下僕。 きょ・つしゃ 主は絶対。主は最強。強者とは即ち主であり、弱者とは即ちーーー主以外の凡て。 こざか 弱者が小賢しく策を弄すなれば。強者が、王が、神が、主が。するべきは何か おのれは 丿ールは叫んだ。 それを一瞬とて忘れた己を恥じて、アズ 1 てんげき 「全天翼種ーーー『天撃』用意・ーーその全てをアルトシュ様に託すにやツー ちゅうちょ ェクスマキナ 数瞬前のアズリールと同じ、機凱種の模倣を危惧する者が躊躇する中 え そうてん 主は語らない。だがその獰猛な笑みに装填された神意を、アズリ 1 ルは代弁する。 はざま むそう この天地の狭間において無双 ! ならッ凵弱者の弄する小賢しい愚策を 「主は最強 まど 前にして何を恐れ、何を迷い、何を惑うにやッ凵」 そろ フリューゲル つばさたぎ アズリールの言葉に反応して、天翼種達が揃って翼を滾らせる。 フリューゲル しんげき 0 すなわ ゆる じゃくしゃ ねら っ こざか

10. ノーゲーム・ノーライフ 6 (ゲーマー夫嫁は世界に挑んだそうです)

284 オールドデウス ひび まさしく神ーー最強の神霊種らしい絶対的な響きで、 ほどこころわ た あそび 『これが敗北ーー成る程。心沸き立っ楽しい戦であったわ』 聞こえるだろ、つ、と確信するよ、つに、告げる。 きさま われ 『名もなき最弱よーー誇るがよい。貴様は正しく、最強のみ敵彡たリ得た』 そして。 かなた あか リクは夜のような片眼に彼方ーー紅い空を塗りつぶす白光を映した。 おも 感慨なく想うーーアインツイヒの言葉通りの光景。 すなわオールドデウス しんずい 即ち神霊種アルトシュの神髄の剥離に成功したという『合図』だ。 そ、つい、つ、一」とに・ : なっている。 わか 本当は解っているー - ーだが、解らないとしておかなければならない事実に。 ふ スティル・マータ ゅび リクはただ頭を振って独り 『真典・星殺し』の引き金に、指をかける。 ェクスマキナ 機凱種が一体も戻って来ない : ・ : その意味にも気付かすーー否。 気付かないフリを続けて。 おそ さっ 恐らくは、アルトシュさえもそれを察したからこそ。 一言もク討たれたクと、言わなかったのだろうから 「 : : : なんとか、もってくれた、な : : : 」 かぎ 今にも壊れそうな心の『鍵』を確認して。 こわ な ひと っ え