「だって ? 首を傾げる深夏に。俺は、笑顔でキッパリと告げる。 ク ッ 一「上半身がなきや、深夏のウェディングドレス姿、見られないもんな」 サ ア って、あれ ? 深夏 ? どした ? 「それさえ見られりや、俺一生童貞でも構わな 年 周 気付けば深夏がまた耳を真っ赤にして俯いてしまっている。 : : : 俺としてはずっと本能 かくご しゃべ 庫 に従って喋っていただけだから、また何か怒鳴られるのを覚悟していたんだが : 文 さすが ア ジ 気付けば、周囲の生徒会メンバーが俺をジト目で見つめている。ああ、流石に下ネタが タ ン過ぎたかな ? そっか、深夏もそれで照れちゃったか。ふむ : : : 反省だな。 ア フ 責任を感じた俺は、話題を次に移すことにした。えーと、まだ一年後の目標を語ってな い人はっと。 「あ、会長。会長は一年後、どうしていたいですか ? 」 「へ、私 ? あー、そうだねえ、私はねえ : 急に話題を振られた会長は、宙をほわんとだらしなく見つめ。そして、その夢見がちな かし
「空間どころか時間まで隔絶 ! そこまでですかー 目標を聞きたいとは言ったけど、 「そこまでだよ。とても一年で埋められる距離じゃない。 だれ 乃俺達はそこまでは求めてないんだよ真冬ちゃん。真冬ちゃんだって、誰かに一年後の目標 プたず 一訊ねた時に『新世界の神』とか言われたらちょっと不快だろう ? あこが 「真冬がべッ〇ーさんに憧れるのはそこまで駄目ですかっ ! 」 はんい 「駄目じゃないけど : : : ねえ ? せめてもうちょっと現実的な範囲がいいっていうかー ア 俺の言葉に、真冬ちゃんは少ししゅんとしながらも「分かりましたです , と応じる。 年 もっこう そうして、再びの黙考後。彼女はすぐに、新たな目標設定を告げてきた。 庫 文 ジ「じゃあ真冬、きやりーば〇ゅばみゆさん的なファッションリーダーに タ ン フ 『だから無理だって ! 』 「はうつ ! 皆さんの声のボリュームが上がりましたですー 俺は「やれやれ , といった様子で額に手をやる。 「真冬ちゃん ? だから言ってるだろう ? 人には、やれることと、やれないことがある んだ」 かくぜっ きより だめ
素まで加わるのだから、もう、たまったもんじゃありませんね ! 」 げんこう この会話を記録した原稿を担当さんに提出するの、凄え 「別の意味でね ! 俺やだよ ! ク 気まずいよー ッ 一「大丈夫です ! その気まずさから始まるものが、きっとありますよ ! プラスにしろ、 マイナスにしろ ! 」 「どっちに転んでも嫌なんですけど ! 」 うなだ ア あまりに絶望的な未来だった。俺が項垂れながら着席すると、会長が「こほん ! 」と強 年 せきばら 周 めに咳払いをして、真冬ちゃんのターンを強制的に終わらせる。 文そうして、生徒会全員が各々の好き勝手発言を一通り終えたところで : : : ようやく。本 ジ当にようやく、本日の議題について話し合う態勢が出来上がった。 タ ン 「はい。じゃあ、今度こそ、近未来の話をするよー ア っ みんな うなず フ 皆がこくんと頷く。それを受けて、知弦さんが具体的な内容を詰め始めた。 「ここで言う近未来っていうのは、一年 5 二年ぐらいのイメージでいいのよね、アカちゃ んっ・ いまごろ 「うん、そうだよ ! 来年の今頃にはなにしてるかなーとか、目標としてはどうしてたい のかなーってことを、話し合いたいと思ってたんだー おのおの
ちか 私のイッセーは、あの言葉を誓ってくれた男性なのだから。 「この世界のイッセーとアーシアは深く結ばれていいと思う。いえ、そうであるべき。 ク けど、元の世界のイッセーは私の最愛のヒト プ何があっても私と共に突き進むと決めた彼こそが私の知っているイッセー 「私は必ずあの世界に戻ってみせる。あのヒトのいるところが、あのヒトの存在する世界 サ こそが、私の生きる場所だもの。それは永遠に変わらないー ア『戻れるのに何千、何万年もかかるかもしれなくても、貴女はそれをなし得られるのか ? 周一年にも満たない付き合いしかない男にそこまで賭けられるとでも ? 』 ええ、何千、何万年かかっても私は必ずあそこに戻るわ。私とイッセーが共に過ご 文 マした時間は一年に満たないものだとしても、私は永遠を賭けられる。彼のことが大好きだ タ もの。私はあの世界でそれだけの恋をしたわ ! 」 ン ふきげん フ 私の宣言を受けて、男は語気を少しだけ不機嫌なものにさせていた。 ど - つよう いらだ 思い通りに心を動揺させられない姿に苛立ちを覚えたのだろう。 この男の思い通りになってやるものか。 じよう け、みげ - 『 : : : なんとも健気なお嬢さまだ。永遠に等しい時間を生きる悪魔ーーーしかも純血の姫君 しようがい が、たかが半年ほどの付き合いしかない男のために生涯を賭けるとは : : : 』 118 ひめぎみ
「すげえタチ悪いなお前 ! 最早ただの破壊神じゃねえかよー 「そんなあたしにれてくれた男がいるんだ。そいつのためにも、あたしは頑張るよー へんかん ク 「そこに惚れたわけじゃないですけど 2: 愛の力を妙な方向に変換するのやめてくれ プ 「あー、ったく、 分かったよ。分かった分かった。戦うとか壊すとか無しの方向で、来年 の予想すりゃあいいんだろ」 ア 「ああ。つつうか最初からそうしてくれるかな : 年 ためいきっ 周 額を押さえて溜息を吐く。まったく、どうしてこいつはこ、つ : うで とっぜん 文深夏はしばらく腕を組んでうんうん唸ると、突然パッと見たことないほどの笑顔を見せ うつむ ア ジ : しかしそ、つかと思えば、すぐに顔を真っ赤にしてもじもじと俯いてしまった。 タ ン 「 ? どうした、深夏 ? 」 ア フ しや、ど、つしたってい、つカ : : なんつうか : : : 近未来の、戦闘とか絡まない 幸せな展望思いついたけど、一年後はまだちょっと無理つつうか : いや別に厳密に一年後の話じゃなくてもいいけど ? とにかく言ってみるだけ言っ てみろよ じよ、つ 彼女の反応の意味が分からずキョトンとする俺。他の生徒会メンバーも俺同様、全く状 もはや こわ えがお から
アレだろ ? 「まあ、俺もエロゲにハマッてる身だから言ってることは分かるけど : ごらく 自分見失うほどのめり込むことも多い娯楽だからこそ、自制心による線引きは必要つつう ッ 十・いたい すえお : 据置き機と携帯機とソーシャルゲームと脳内 一「ですです。その点、今の真冬は精々が : ゲームとドラマ O Q リスニングの五面マルチタスクをこなす程度で済んでますからね ! 」 ておく じゅうぶん 「うん、充分もう手遅れだね ! 現状維持してたらいっか死にかねないよそれ ! 」 もうそう すいみん ア 「失敬な ! 睡眠は毎日七時間以上とってますよ ! 夢の中でもゲ 1 ムや妄想はして 年 5 ますが , みよう 「妙に健康的なのが余計に厄介だ ! 」 とが ジせめてインドア趣味が高じて体に変調でも来してくれていれば、こちらも強く咎められ じだんた ンるのに。俺が悔しくて地団駄を踏んでいると、ふと、真冬ちゃんが今までとは少し違った ア やわ フ様子で、柔らかく笑った。 「でも、こんなにも楽しい今の学園生活を : : : 一年後、転校先でも『維持出来てる』って それは、やはり真冬にとって、とても素晴らしいことなのだと、思 胸を張れるなら : いますですよ」 くや やっかい きた 0
ファンタジア文庫 25 周年アニバーサリブック 52 本 当 そ の 通 り だ と 田 ま す は たんたん 一それだけ呟き、しかしあとは互いに何か一言、つこともなく、淡々と別れる生徒会。 一人残された生徒会室にて雑務に取りかかる俺の頭の中には : : : 会長の今日の名言が、 何度もリピートする。 「長いものには巻かれるべきなのよ , ・ : 頼れる会長さん ? 』 たが
「えーと、じゃあ、知弦さんの一年後の目標とか、どんな感じなんスかね ? 「私 ? そ、つねえ : 乃顎に手をやり思考を開始する知弦さん。 プ 「私とアカちゃんの場合、大学生になってるわけだから生活自体が変わってると思うの , もちろん 「そうですね。俺は勿論、深夏と真冬ちゃんも転校するとはいえ、基本は今まで通り高校 ノ 生続ですからね。そこそこ予想や目標も立てやすいですけど、二人の場合は : ・・ : 」 か けだる ためいき ア 俺の言葉に、知弦さんが「そうなのよと机の下で足を組み替えつつ気怠そうに溜息を 年 5 漏らす。 かんきよう 文「生活環境が激変しているであろう以上、そこに目標っていうのもね : : : 」 ジ「そうッスね。ああ、じゃあ、二人は『予想』でいいんじゃないですか ? とりあえす、 タ ン知弦さんは一年後の今、なにしていそうなのかだけでも聞かせて下さいよ フ 「そうね : : : 」 いんうつ っふや 知弦さんはそこで少し考えると、数秒後、極めて陰鬱げな表情で呟いた。 こ・つや 「アカちゃんと二人、モヒカンヘッドをなびかせながら荒野をバイクで爆走しつつ、小規 おそ りやくだっ 模な集落を襲っては略奪を繰り返しているんじゃないかしらね きわ ばくそう
あたい 「なるほど、ユーのようなネクロマンサーは万死に値すると」 ューも超好きですけどっー 「だから言ってないですけどっ , キャラには飢えまくりだつつうの ! ュー最高 ! 」 「つまりネクロマンサー万歳とー 「ああっ ! 」 「ゾンビ大好きと」 「ああっー 「じゃあ私の未来予想、実現するために二人で一年、頑張りましようね、キー君 , 「ああっー ちか あれ ? なんで俺、いつの間にか近未来のゾンビ大発生を誓ってるんだ ? そんなテロ 思想な人間だったつけ、俺。あ、あれえ ? なっとく 存今一つ納得がいかないが、知弦さんが「私のターンは終わったわーと言わんばかりに椅 ついきゅう の子へ深く座り直したため、仕方無く俺も追及をやめることにした。 会 俺は深夏へと話を振る。 「深夏の一年後は 「ナメッ〇星で戦ってる」 ばんざい ちょ - っ ばんし がんば この生徒会のせいで無ロ
じよ・つきょ・つ 「ごめんツッコミ間違ったわ。そこ具体的じゃなくていいから、真冬ちゃん自身の状况に ついての予想なんかをだね : : : 」 ク 「指の関節を痛めて通院しているかもしれません」 一「ゲーム控えろよ ! そしてそれが予想出来ていながら、なぜ無理をした ! 」 「そこにボタンがあるからです」 「どこの高〇名人気取りだよ ! そうじゃなくて、もっとこう : : : せめてゲームに関係無 年い予想は出来ないかな ! 身の回りの変化とか ! 」 周 「いよいよお姉ちゃんが口をきいてくれなくなります 『だからゲームやめろや ! 』 ほほえ ア ジ 今度は深夏と二人で同時にツッコんだ。しかし真冬ちゃんはフッとニヒルに微笑む。 タ ン「真冬は : : : 姉がツ、泣くまで、ボタン押すのをやめないッ , フ 「だからなんの決意だっ、なんの ! つつうかなんで一年後の真冬ちゃんはそんな末期の 様相を呈しているんだよっ ! 」 「転校先で全く友達出来なかった世界線を想定しているからです ! 」 「なんでそんな悲しい世界線思い描くのさっきは自分のことを『新しい友達の皆さん と楽しく過ごして』って予想してたじゃないかよ , えが