コンデンサ - みる会図書館


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1 .3 実験回路の評価 このコンデンサの容量が不十分だと、出力をまかないきれずに電圧が大きくドロップすることが考えられ ます。 今回は CL を、 0 ″ F , 10 ″ F 、 13 100 / IF 十 10 / 正、 14 と変化させ、系統切り替え時の電圧ドロップの 変化を確認しました ( 図 1.26 ) 。負荷電流は上限である 100mA としています。 CL = 0 / 正 ( コンデンサを接続しない状態 ) では、出力は大きくドロップし OV 近くになっています。 この状況では、系統切り替え時にターゲット回路がリセットしてしまいます。 CL = 10 ″ F では、系統切 り替え時のドロップ幅は 800mV 程度となりました。このドロップ幅が許容されるかは、ターゲット回路 の設計次第でしよう。更に 100 ″ F の電解コンデンサを追加して CL = 100 ″ F 十 10 ″ F とすると、ほとん どドロップは見られなくなりました。 VBUS → EDLC 0 呂 0 呂 EDLC → VBUS 」 0 Ⅱコ 0 」 0 一Ⅱコ 0 」 0 一 + 」 00 一Ⅱコ 0 図 1 .26 電源系統切り替え時の波形 ( 負荷電流 100mA ) * 13 セラミックコンデンサ EMKI()7BBJ106MA ( 太陽誘電 ) * 14 電解コンデンサ EKRG160ELL101MF07D ( 日本ケミコン ) 十セラミックコンデンサ EMK107BBJI()6MA ( 太陽誘電 ) 29

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第 1 章電気ニ重層キャパシタの使い方 2 。 / 。 / にアにアに 1 一 2 電 ) 2 ・ Rdt e ー 0 ・ Rdt 月 2 一方、電圧まで充電されたコンデンサ C に蓄えられたエネルギーは wc = - c レ 2 こで WR = Wc となることに注目してください。コンデンサに蓄えられたエネ となりますが、 ルギーと同等のエネルギーが、抵抗によって損失していることを示しています。したがって、定電圧 源でコンデンサを充電すると、抵抗によらず、効率は 50 % になることが分かります。 EDLC の内部抵抗 2 SW 図 1 .12 EDLC の定電流充電 次に、定電流源でコンデンサを充電するときの効率を求めます。定電流 / で時間 t だけ充電した とき、コンデンサ C に蓄えられるエネルギー , ' は、 1 Q2 / 2 卩 2 C 2C となります。一方、抵抗で消費されるエネルギーⅡ気は、 WR = / 2 t となります。 77 = Ⅱ気 / ルとおき、整理すると次のようになります。 気 / 2 カ 2C 2C 4 が小さいほど効率が良いことを示すので、充電時間 t を長くするほど効率が良くなることが分 かります。また、 C 同の 2 倍の時間で充電すると効率は 50 % になり、定電圧源で充電したとき 18

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1 .2 実験回路の製作 VIN x D x ( 1 ー D) fs x カ IRIPPLE VOUT は EDLC の充電によって上昇していくため、デューティサイクル D も変動します。 IRIPPLE = 2.5V ) では、ちょうど は D = 0.5 の時に最大になりますが、今回の仕様 ( VIN =5V , VOUT(max) ) は次のように計算できます。 EDLC が満充電の時に相当します。 D = 0.5 の時の / RIPPLE(max VIN x D x ( 1 ー D) 5 x 0.5 x ( 1 ー 0.5 ) = 2.08 ・ 10 600 ・ 103 x ん ) は充電電流の 20 % ~ 40 % を目安にすると良いと記述されています。 データシートには、 / RIPPLE(max この記述に従うと、インダクタンスカは 10.4 ″ H ~ 20.8 ″ H にすれば良いことになります。今回は間を ) = 0.139A となるため、 取って 15 /IH を選択しました。カ = 15 ″ H のとき / RIPPLE(max ) = 0.5 十 0.07 = 0.57 い ] ム , 、 a 、 ~ ICHG 十—IRIPPLE(max を満たすインダクタを選択すれば良いことになります。今回は TDK の閉磁路タイプのチップインダ クタ VLCF5020T ー 150MR90 ー 1 を選んでみました。 入力コンデンサの選定 データシートの「 8.2.2.2 lnput Capacitor 」では、充電電流が 3 ~ 4A の場合に、入力コンデンサとし て 20 ″ F のセラミックコンデンサを接続することを勧めています。今回は、 10 / 1F ( 16V 耐圧 ) のチッ プセラミックコンデンサ EMK107BBJ106MA ( 太陽誘電 ) を 2 パラにしています。 出力コンデンサの選定 データシート「 8.2.2.3 Output Capacitor 」には、フィードバックの安定性のために、インダクタカと 出力コンデンサ Cout の共振周波数を 12kHz ~ 17kHz にするように記述されています。 カ = 15 卩 H のインダクタを使用するので、 Cout は 5.84 ″ F ~ 11.7 ″ F の範囲となれば良いこととなり ます。今回の回路では、入力コンデンサと同じ EMK107BBJ106 A を 1 つ出力コンデンサとして使用 しています。 一般に、高誘電率系のセラミックコンデンサは、印可電圧によって静電容量が変化する特性 ()C バ イアス特性 ) を持っています。今回使用する EMK107BBJ106MA の DC バイアス特性は、図 1.10 、 7 の ようになります。 EDLC が満充電となる 2.5V を印可すると 7 / 正になってしまいますが、 Cout の下限 5.84 ″ F より大きいため、安定性には問題ありません。 RIPPLE(max) 15

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第 1 章電気ニ重層キャパシタの使い方 0 コラム : 「電気二重層キャパシタ」 ? 「電気二重層コンデンサ」 ? 日本国内で「コンデンサ」と呼んでいる部品が、海外では「キャパシタ」 (capacitor) と呼ばれて いることは、皆さんのよく知るところだと思います。フィルム、セラミック、電解といった一般的な コンデンサが、国内でキャパシタと表記されることは稀ですが、 EDLC の場合は別で、国内におい ても「電気二重層キャパシタ」「電気二重層コンデンサ」の 2 通りの表記が使われています。メーカ によって表記が違うほか、 JIS 規格においても 2 通りの表記が存在しています。この表を眺めている と、ライバルメーカーとあえて異なる表記を選んでいるのでは・・・・・と思うのですが、気のせいでしよ うか。 キャパシタ JIS D 1401 日本ケミコン ルビコン トーキン 村田製作所 TDK RO H M コン・テ。ンサ ] I S C 516 0 ニチコン 工ノレナー パナソニック 京セラ 図 1 .6 各規格・各メーカーの表記 10

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1 .1 電気ニ重層キャパシタとは 電気的特性 電解コンデンサ EDLC リチウムイわ電池 エネルギー密度 [J/kg] 図 1 .2 蓄電デバイスのエネルギー密度と出力密度の関係 電解コンデンサ リチウムイオン電池 100 ~ 150 200 ~ 600 10 ~ 100 EDLC ~ 2000 ~ 2000 0.1 10 万回以上 -20 ~ 70 ℃ 極性・上限 エネルギー密度卩 /kg] 出力密度 [W/kg] 入力密度 [W/kg] 特性時定数 充放電回数 [ 回 ] 使用温度の例 電圧の制限 0.01 ~ 10 万回以上 -40 ~ 105 ℃ 極性・上限 500 ~ 1000 -20 ~ 50 ℃ ( 水点下で使用できないものが多い ) 極性・下限・上限 放電特性 ( 定電流負荷 ) 図 1.3 蓄電デバイスの比較 ( J 日の資料 [ 7 ] より引用・加工 ) EDLC の電気的特性を、同じ蓄電デバイスであるリチウムイオン電池および電解コンデンサと比較し ながら説明します。 ものすごく雑な説明をすると、 EDLC はリチウムイオン電池と電解コンデンサの中間の特性を持って いると言えます。図 1.2 は、 3 種のデバイスのエネルギー密度 ( 単位質量あたりの蓄電電力量 ) と出力密 度 ( 単位質量あたりの瞬間的に出力できる電力量 ) の関係を示したものです。リチウムイオン電池はエネ ルギー密度に、電解コンデンサは出力密度に特化したデバイスと言え、 EDLC はその間を埋める特性を 持っています。そこそこのエネルギーを瞬間的に充放電することが要求される自動車の回生プレーキシ ステムに、 EDLC が採用される理由はここにあります。 前項でもお伝えしましたが、 EDLC の充放電は化学反応を伴わないため、リチウムイオン電池と比べ て遙かに多くの回数を充放電することができます。また、使用温度範囲もリチウムイオン電池に比べて広 7

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第 1 章電気ニ重層キャパシタの使い方 出力コンバータの設計 EDLC はコンデンサのため、放電によって大きく電圧が低下します。 EDLC に蓄えられたエネルギー を最後まで搾り取るためには、より低い電圧まで動作し続ける出力コンバータが必要となります。 今回採用した TPS61200 (Texas lnstruments) は、 0.3V まで動作する昇圧コンバータなので、 EDLC の出力コンバータにびったりです。 インダクタの選択 データシートで推奨されている 2.2 ″ H に従います。インダクタのピーク電流ん ( , …、 ) は、データシー トの式 4 を用いて計算します。 ( ここで、 VIN : 入力電圧、 VOUT : 出力電圧、 IOUT : 出力電流、 fs : ス イッチング周波数 * 6 、カ : インダクタンス ) VOUT ・ IOUT VIN ・ (VOUT ー VIN) IL(max) 2 ・ VOUT ・ fs ・カ 0.8 ・ VIN 出力コンバータの場合、第 1 項 ( 定常電流の項 ) と第 2 項 ( リプル電流の項 ) が、異なる VIN の値で最 大となるため、式全体の最大値は簡単には求まりません。求める方法はいくつか考えられますが、今回は それぞれの項の最大値を単に足し合わせてん ( …、 ) の最大値としました。 ( よって、実際の最大値より大 きな値となります ) それぞれの項の最大値を計算すると、 1.375A ( VIN = 0.3V ) , 0.15A ( VIN = 1.65V ) となるので、 IL(max) の最大値は 1.525A とします。以上より、定格電流が 1.525A 以上のインダクタが 必要となります。今回は、充電回路のインダクタと同じパッケージの VLCF5020T ー 2R2N2R6 ー 3 (TDK) を採用しました。 入力・出力コンデンサの選択 データシートより、入力コンデンサ CIN は 4.7 ″ F 以上、出力コンデンサ COUT は下の式から 11 ″ F 以上が求められています。この要求を満たすために、 10 ″ F のセラミックコンデンサ ( 充電回路と同じ EMK107BBJ106MA) を、入力には 1 つ、出力には 2 つ接続しました。 VOUT = 0.5 x = 180kQ を選択し、 VOUT = 3.28V に設定しています。 COUT ~ 5 x ん = 11 ・ 10 出力電圧の設定 出力電圧 VOUT は、 LDO 周辺の設計 201 = IMQ , 202 月 201 , 202 を用い、次の式で設定します。 月 201 USB に電源が供給されている状態では、 VBUS から直接ターゲット回路へ電源を供給するため、 VBUS の 5V から 3.3V へ降圧する必要があります。 VBUS の供給電流に余裕があるので、 こでは LDO ( リ ニアレギュレータ ) を使用することにします。 20

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第 1 章電気ニ重層キャパシタの使い方 1 .1 電気ニ重層キャパシタとは 電気二重層キャパシタ (EDLC : EIectric DoubIe Layer Capacitor) は、電気二重層という物理現象 を応用することで、静電容量を大幅に増加させたコンデンサです。ウルトラキャパシタやスーパーキャパ シタと呼ばれることもあります。 一般的な電解コンデンサの容量は 1 ″ F ~ 数 mF と言ったところですが、 EDLC では IFæ数千 F とい う桁違いの容量を手に入れることが可能です。 EDLC の仕組み 電気ニ重層 活性炭電極 電解液① 0 ①〇〇①〇 ①①〇①① 〇」① 〇④ 電解液 活性炭電極 図 1 . 1 EDLC のモデル図 図 1.1 は EDLC の構造を模式的に示したものです。電極間に電圧を印加すると、電界によって電解液 中のイオンが界面に移動し、電極内の電荷と極めて短い距離を隔てて整列します。この配列を電気二重 層 * 1 と呼びます。電気分解を起こさない範囲内の電圧であれば、電荷は電気二重層を突き破らないため、 コンデンサとして利用することができます。この動作は化学反応を伴わないため、二次電池と比較して長 寿命となります。 更に、電極に多孔質の活性炭を使用することで表面積を大きくし、大きな静電容量を実現しています。 * 1 実際には界面の一層だけでなく、その外側に、もう一層電気双極子の層ができるため、電気二重層という名前のようです。 詳しくは、参考文献国をご覧ください。 6

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1 .2 実験回路の製作 と同じ効率になることが読み取れます。 こで注目している、コンデンサの静電容量 C 田一と内部抵 抗 R[QI の積 CR 同は、コンデンサの充放電の性能を表す特有の時定数で、 QF 値や特性時定数と 呼ばれることがあります。 EDLC の特性時定数は 0. ls ~ 5s と小さく、多くの場合で 2C 同より長 い時間をかけて充電することになります。したがって ( 極端に短い時間で充電しない限り ) 定電流で 充電した方が、定電圧による充電より効率が高くなることになります。 こで、実際の EDLC の特性時定数を見てみましよう。 22F の EDLC JUMT1226MHD ( ニチ コン ) の内部抵抗は 0.13 Q なので、特性時定数は 2.86 同となります。この EDLC を 5.72 秒で充 電したときに効率が 50 % になりますが、この時間で 2.5V まで充電するためには、 9.5A という大電 流で充電しなければなりません。今回の実験回路の 0.5A で充電すると、充電に 110 秒かかります が、このときの効率は 95 % になります。 19

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1 .2 実験回路の製作 充電時間・電源供給時間の見積もり こで表 1.1 の仕様における、 EDLC の充電時間とターゲット回路への電源供給時間を見積もりして …」Ⅵに充電された C 旧のコンデンサを塚謌Ⅵまで放電したときに放出されるエネルギー まず、充電時間の見積もりですが、次の式を用いて計算します。 おきましよう。 t=0 での電荷は 0 ( すなわちレ ( 0 ) = 0 ) 、 デンサの電圧は次のようになります。 idt 十レ ( 0 ) t = 0 から定電流ん HGI 川で充電すると、カ秒後のコン ICHG lcHGdt 十 0 したがって…」Ⅵまで充電するまでに必要な時間 tCHG は次式で表されます。 CVmax tCHG ICHG 表 1 .2 EDLC の充電時間の見積もり = 2.5V として tCHG を計算すると表 1.2 のようになりました。 10 22 100 tCHG S 50 110 500 ターゲット回路への電源供給時間の見積もりは、次に示すコンデンサの電圧と静電工ネルギーの関係式 を使用します。 ル = ー C レ 2 ル団 は次のようになります。 ル = —CVmax 2 1 2 2 —CVmm -C(Vmax 2 2 出力コンバータの効率を 7 い出力電圧を VotJT[VL 出力電流ん U 引とすると、出力供給時間 tSUPPLY は次のように求められます。 13

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参考文献 第 1 章 国日刊工業新聞社 , 1999 岡村廸夫電気二重層キャパシタと蓄電システム 囘日本ケミコン 電気二重層キャパシタの技術と応用 http://www. chemi-con ・ co ・ jp/catalog/pdf/dl-je/ dl- sepa-j e/dl- summary-j e- 170401. pdf 日本ケミコン 技術 Topics 電気二重層キャパシタの『基礎知識』 http://www. chemi-con ・ co ・ jp/tech-topics/ top-ed1c-OI . html 川村田製作所 , 2017 電気二重層キャパシタテクニカルノート http://www.murata. com/-/media/webrenewal/ pr0ducts/capacitor/edIc/techguide/e1ectrica1/c2mIcxs-053-j . ashx?la=ja-jp 同 TDK TDK Magazine エレクトロニクス入門コンデンサ編 No. 8 「電気二重層キャパシタ (EDLC) 」 http://www.tdk. co . jp/techmag/e1ectronics-primer/v018. htm [ 司ルビコン 電気二重層キャパシタ DMA/DMB シリーズ http://www.rubycon ・ co ・ jp/catalog/j_pdfs/ edlc/j —DMA—DMB . pdf 国 JEITA, 2008 RCA-2370C 電気二重層コンデンサ (EDLC) の安全アプリケーションガイド 同 Texas lnstruments, 2015 bq24640 Data Sheet http : //www.tij ・ co ・ jp/jp/1it/ds/sym1ink/bq24640. pdf 囘太陽誘電 EMK107BBJ106MA スペックシート は 0 ] ニチコン 電気二重層コンデンサ JUM シリーズ http://www.nichicon ・ co ・ jp/products/pdf/jum. pdf は月 Texas lnstruments, 2007 TPS61200 TPS61201 TPS61202 データシート http://www.tij ・ co ・ jp/jp/lit/ds/symlink/ tPS61200. pdf は Texas lnstruments, 2002 TPS2112 TPS2113 Data Sheet http://www.tij ・ co ・ jp/jp/1it/ds/sym1ink/tps2113. pdf は引 Texas lnstruments, 2002 SIMPLE SWITCHER PCB レイアウト・ガイドライン http://www.ti. com/jp/1it/an/jaja277/ j aj a277 . pdf 87