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検索対象: ロウきゅーぶ! 11
66件見つかりました。

1. ロウきゅーぶ! 11

24 ) scene. 4 ひげき さすれば、この日最後に控えていた『悲劇』は回避ぞきたかもしれないのだから。 「ばばばーん ! 」 ひび 不意に、ユニフォームに着替えて戻ってきた時とほば同じかけ声が壇上から響いたのて、何 気なく顔を向けると、 なん、ごと ? そこにはあろうことか、学校指定の水着に身を包んだ七人の姿が ーティ会場にいきなり 会場内が、一瞬にして静寂に支配される。娘が、妹が、教え子が、パ 水着て戻ってきたときの正しいリアクションの取り方を把握している人物は、どうやらここに はひとりも居ないようてあった。 そり・やみ、 - フ・」。 : どうしたの ? 「み、みんな : ・ 最初に口を開いたのは少し意外にも葵だった。家族が含まれていないから動揺が少なくて済 んだのかもしれない。それは俺としても同じてはあるのだが、男てあるゆえ七人のスク水少女 を正視するのはどうしても抵抗があり、目の前の出来事を現実として受け止めるのに時間がか かってしまっている ゅうしよう 「ぬっふつふ、よくぞ訊いてくれましたあおいっち。今日、あたしたちは優勝しました ! 優 あおい かいひ

2. ロウきゅーぶ! 11

電撃文庫創刊に際して 文庫は、我が国にとどまらず、世界の書籍の流れ のなかで小さな巨人々としての地位を築いてきた。 古今東西の名著を、廉価で手に入りやすい形で提供 してきたからこそ、人は文庫を自分の師として、ま た青春の想い出として、語りついできたのである。 その源を、文化的にはドイツのレクラム文庫に求 めるにせよ、規模の上でイギリスのペンギンブック スに求めるにせよ、いま文庫は知識人の層の多様化 に従って、ますますその意義を大きくしていると言 ってよい。 文庫出版の意味するものは、激動の現代のみなら ず将来にわたって、大きくなることはあっても、小 さくなることはないだろう。 「電撃文庫」は、そのように多様化した対象に応え、 歴史に耐えうる作品を収録するのはもちろん、新し い世紀を迎えるにあたって、既成の枠をこえる新鮮 で強烈なアイ・オーブナーたりたい。 その特異さ故に、この存在は、かって文庫がはじ めて出版世界に登場したときと、同じ戸惑いを読書 人に与えるかもしれない。 しかし、く Changing Times,Changing publishing 〉 時代は変わって、出版も変わる。時を重ねるなかで、 精神の糧として、心の一隅を占めるものとして、次 なる文化の担い手の若者たちに確かな評価を得られ ーーに「電撃文庫」を出版する。 ると信じて 1993 年 6 月 10 日 角川歴彦

3. ロウきゅーぶ! 11

おも などと勝手に想いを募らせていると、 「ふふ、そんなに照れることはないじゃない。実際、トモのおかげてみんな助かったんだから。 ねが : それより、早く長谷川さんにお尋ねしてみたら ? あのお願い」 「あっ・ う、うん : : : 」 ほほえ のど 微笑む紗季に促されて智花がこくりと喉をならした。 えんりよ 「お願いごと ? 俺に出来ることなら何ても遠慮なく言ってみて」 なんだろう、もちろん不可能なことじゃなければ、是非叶えてあげたいところだけど。 「あ、あの、帰さん。実は、そのマフラーを作った毛糸が、まだ、けっこう残っていて」 「毛糸が ? 」 「は、はいつ。それて、その : : : 。本当に、昴さんが嫌てなかったらなんてすけど。わ、私も、 自分用にマフラーを作ってもよろしいてしようかっ ? そ、それと、同じ毛糸て : : : 」 きんちょうかん 緊張感たつぶりに告げられた頼み事に、ある意味ては拍子抜けした。自分が何か智花のた めにしてあげられるようなことなら、ちょうど良い因 5 返しになったんだけどな。 ともあれ。答えならば迷うまてもない 「もちろん。そんなの良いに決まってるじゃないか も、もしかしたら同じ日に同じマフラーを巻いてしま - フことかある 「ほ、本当てすかって 9 カ・ も、もちろんさんが着けて下さったら、ぞすけど : かな

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99 scene. 2 おいて」 「恐ろしくなんてないもん : 「置いておいて。そーゅーサキさん。あなたはどーなのてすかな ? 「私 ? 何の話 ? 」 「毛糸の話さ。サキは、余らせてないの ? すばるんと同じ手袋、サキはつくらなくていーの 「なっ ひるがえ と、今度は一転。ぶくーとむくれる智花の前て、真帆がくるりと身を翻して紗季にニャニヤ とあごを突き出す。なにやら、新たな火種に発展しそうな予感だ。 おく はせがわ 「わ、私は余らせてないもの。長谷川さんに贈った分て、もう同じ色の毛糸は残ってないわ 「ほんとにー ? もっ ' 」いよいなー」 「ほんとだし、良いの。私は、そういうのは」 「あーあ、なんてこんなに素直じゃないのかな、サキは」 「 : : : なによそのそ呆れ顔。あんたに偉そうに言われたくないんだけど」 「さ、紗季ちゃん、あんまり怒らないて」 たんじようかい おにーちゃんの誕生会て、けんかはダメだよ ? 」 のんきぼうかん などと呑気に傍観していられなくなるほど、紗季と真帆の間て冷たい火花が飛び交う。あ、 あきがお

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216 はタイフを異にするようだ。 あいり もしかしたら、そんなお三方に囲まれていたからこそ愛莉の控えめな性格が形成されたのか な。だとしても、根っこの部分ては四人ともすごく仲が良さそうて、見ているだけて温かな気 持ちになる。 ばんり 改めて、万里と愛莉の間のわだかまりが解けて良かったなと思うばかりだった。 すばる : あ、そうだわ。ねえ昴君、 「そうよ。同じ高校て、同じ学年。万里と君みたいに もし良かったら。将来ウチのジムて働きにいらっしゃいよ。インストラクターになってもらえ たら、とっても人気がてそう」 かあ かしいけ しみじみ香椎家を見つめていると、お母さんから思わぬ勧誘を賜ってしまった。ジムのイン からだ ストラクターか。今のところ何のスキルもないけど、身体を使った仕事というのは悪くない気 もする。 「ありがとうございます、まだ将来のことはあまり考えられてないてすけど、そんなふうに言 うれ って頂けて嬉しいてす」 はせがわ え、えへへ、そうなったら、嬉しいな」 「長谷川さんが、私のおうちて : 「おう、良いんじゃね ? 気が向いたらいっても来いよ」 おも 愛莉と万里からも良い返事を頂き、ますます満更てもないなという想いが膨らむ。いや、も ちろんあくまて選択肢の一つとしてだけど。 まーごら たまわ

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) ) scene. 1 ひろう ばけを披露せずに済んだ。 「さ、最近あげてなかったけど、四年に一回くら、よ、、 ( ーし ( 力もって」 「オリンビックと同じなら、有り難みが増すな。ありがとう、開けてみても ? 」 ど、い」 - フぞご・目・田にフ・ つん、とそっぽを向き、素っ気なく許可してくれる葵。もしかして、気に入ってもらえるか 自信が無くて極力感情を表に出さないよう振る舞ってるのかな。だとしたら、ちょっとばかり かいまみ 意外てかわいらしい一面を垣間見ているのかもしれない などと失礼なことを考えつつ、包装紙を開く。 : こ、これは ! 」 そして、中に手を忍ばせた瞬間、天界の雲のような柔らかな感触が俺の指先をやさしく包 み込んだ。 まぶ かくしん ある種の確信とともに、その『雲』を擱み、外界に引っ張り出すと、眩しい太陽の下てひと きわ輝くのは、真っ白て大振りな布地。 「その : : : ほら。タオルなら、 いくらあっても困らないてしょ ? 」 そう、タオル。葵のプレゼントは、白いスポーツタオルだった。 あふ しかし、俺には分かる。この逸品、そんじよそこらに溢れた並のブッてはない。 「困らないどころか、ずっと同じタオルたけイいたくなって困るかもしれないよ。 かがや しゅんかん がた つか ロり

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フレーたった フつはー、すごいの決められちゃったな。さすかミミミミ まの、てきそ , フっ・・ 「ひ、ひなちゃん。かっこよかったねえ。い 「おー。ちょっと、むずかしいかも。今度、れんしゅうしてみよう」 ふしぎ 俺が心にダメージを受けてしまっている中、試合をしている当の子どもたちは不思議な ようす ほどに消沈した様子かなく、まだまだ元気いつばいだった。あんまり凄さか伝わっていない ? いや、それはあり得ぬ話。もう長らくバスケに触れ続けているあの子たちなら、今のがどれほ むちゃくちゃ ど無茶苦茶なプレーなのかなんて語るまぞもなく肌て感じられるはず。 それても精神的支柱を失った気配が少しもないのは、つまるところ。 「ふふ。残り三十秒を切って、同点。これはもう、ラストのワンプレーて決めてもらうしかな いわね。頼んだわよ、トモ」 っ むだ 「・・・・・・・・・・・・うん。ここまてみんなと積み重ねてきた点数、無駄にしたくないカら。私も全部出 し切る」 かくしん ともか 智花が。エースが。ミミちゃんと同じ高みに立てる存在だと、確信しているから。 いっしゅん せんれつ そうか、そうたよな。もちろん、俺だって同じ気持ちだ。一瞬、あまりにも鮮烈なフレーに いしき すなわ 意識を持って行かれかけたけど、それ即ち智花とミミちゃんに力の差がある、という認識にな おれ すご

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口に いつまでも、 同じ場所にはいられない。 たとえ、傷つけあったり、 大きな困難に出会おうと、 もう一歩、 = 前に進もう。 もっともっと、 互いの距離を縮めるために。 勇気を振り絞って「 次のステップへ ノ・当い 蒼山サグらリ イラストすていんくる

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20 ) scene. 4 か 「ふふ、いちばん良い場面て決められたじゃない。たくさん練習した甲斐があったわね」 「ううん、たまたま最後が私だっただけ て、頑張ったのはみんな同じだよ」 しようさん がいせん 凱旋してきた五人の輪の中心て、称賛に包まれる智花。 「おかえり、みんな ! おっかれさま、最高のゲームだったよ ! 」 みんなてがんばって、おにーちゃんが作戦を考えてくれたから、またかげたちに勝 てた」 ちょうし はせがわ 。ても、長谷川さん 「前半は、調子なら良いはずなのになんとなく変な感じがしていて : かアド、ハイスをしてくたさってから、少しずつ追い付くことがてきましたつ。本当にありがと - フございますー・」 えがお ねぎら 五人がべンチに腰を下ろすのを待って俺も労いを伝えると、全員が笑顔をはじけさせながら うなず 頷き、ひなたちゃんと愛莉の言葉を皮切りに。へこりと頭を下げてくれた きよう 「いや、今日も俺の仕事なんてほんのちょっぴりあるかないかぞ、あくまてみんなが頑張って おどろ くれたからこそ勝てたんだ。 : 智花。最後のスクープショット、すごかった。本気て驚いた よ。あれからずっと、練習していたの ? 」 「は、はいつ。教えて頂いたときはやつばり難しくて、あまりお手間をかけてご迷惑になった すばる らいけないなって思ったんてすけど : : その。私も帰さんと同じシュートを打てるようになれ うれ たら、嬉しくて。休み時間とか、お昼休みに少しずつ。ご、ごめんなさい あいり

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133 scene. 3 の高いわたしにしか、出来ないことがみつかった。だから、綾ちゃんもきっと大丈夫だよ。心 配しなくて、大丈夫」 慈愛の籠もった面持ちのまま、愛莉は髪を撫てていた手を今度は綾さんの正面に差し出す。 「あ、愛莉さん : : : 」 てのひら みちび 導かれるように、綾さんはその掌を両手ぞぎゅっと握りしめた。 うれ 「私、愛莉さんとお話が出来て : : : その、なんていうかすごく、嬉しいてす。とっても、と っても」 「え ~ ~ 、わたしもだよ。もしよかったら、わたしもまた、綾ちゃんとお話したいな」 きずな ふたり 言葉を交わしてからまだ数分と経ってないのに、寄り添う一一人の間には既に強い絆のような ものが芽生えつつあるような気がした。きっと同じ特徴、過去と現在て同じ悩みを共有する者 同士、一目て引かれ合う部分があったのてはないか。 っちか まあ こうはい そして、力強く後輩にエールを送る愛莉の姿を目の当たりにした俺もまた、今まて培った絆 つら まぶた かがや の輝きに、感動て瞼を細めずにはいられなかった。ああ、何度も辛い思いをさせたり、時には つけてしまうこともあったけれど。 かて それを愛莉自身が成長の糧としてくれたことに、ずうずうしくも喜びを覚えてしまう。 「愛莉 : : : 。愛莉にとって、バスケが大切なものになって、私もすごく嬉しい」 ともか 「え ~ へ、なんだか偉そうなこと言っちゃって、恥すかしいな。ても、智花ちゃん。智花ちゃ おれ