感じ - みる会図書館


検索対象: ロウきゅーぶ! 11
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1. ロウきゅーぶ! 11

20 ) scene. 4 か 「ふふ、いちばん良い場面て決められたじゃない。たくさん練習した甲斐があったわね」 「ううん、たまたま最後が私だっただけ て、頑張ったのはみんな同じだよ」 しようさん がいせん 凱旋してきた五人の輪の中心て、称賛に包まれる智花。 「おかえり、みんな ! おっかれさま、最高のゲームだったよ ! 」 みんなてがんばって、おにーちゃんが作戦を考えてくれたから、またかげたちに勝 てた」 ちょうし はせがわ 。ても、長谷川さん 「前半は、調子なら良いはずなのになんとなく変な感じがしていて : かアド、ハイスをしてくたさってから、少しずつ追い付くことがてきましたつ。本当にありがと - フございますー・」 えがお ねぎら 五人がべンチに腰を下ろすのを待って俺も労いを伝えると、全員が笑顔をはじけさせながら うなず 頷き、ひなたちゃんと愛莉の言葉を皮切りに。へこりと頭を下げてくれた きよう 「いや、今日も俺の仕事なんてほんのちょっぴりあるかないかぞ、あくまてみんなが頑張って おどろ くれたからこそ勝てたんだ。 : 智花。最後のスクープショット、すごかった。本気て驚いた よ。あれからずっと、練習していたの ? 」 「は、はいつ。教えて頂いたときはやつばり難しくて、あまりお手間をかけてご迷惑になった すばる らいけないなって思ったんてすけど : : その。私も帰さんと同じシュートを打てるようになれ うれ たら、嬉しくて。休み時間とか、お昼休みに少しずつ。ご、ごめんなさい あいり

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させすぎていて、いちいち言動に耳を傾けていると他の声が聞こえなくなってしまうのて意図 的にミュートを貫いている たた 触らぬシスコンに祟り無し。 マホに、マホに取られた : つばき 「ご、ごめんね椿」 次 ! 次は絶対決めよー その前にま 「んーん、げつたんじゃなくてボクのミス。あーもう、 た一本、バッチリ止めよ ! 」 そんなことはさておき。会話の節々から感じるけど、やつばり五年生たちもそれぞれがたい えんりよ ぶ仲良くなった感じがする。呼び方が変わっていたり、話す内容に良い意味ぞ遠慮がなくなっ きずな ていたり 辛いトレーニングを共に乗り越えてきたからこそ、絆が深まるのもきっと早かった そんな節々からも、直感的にまだまだ一筋縄てはいかないだろうなと背筋が伸びる 「ねーサキ、そろそろあたし ! こんどはあたしに攻めさせてー ! 」 : ても、まあ良いわ。 「も - フ、たからそんな大っぴらにアピールしたらバレバレじゃないの。 ほら、任せたわよ」 「さんきゅ , リクエストに半ば呆れつつ、ちゃんとボールを渡してやる紗季。なんだかんだ言って真帆に あき ひとすじなわ ほか

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22 7 scene. 4 「トモ、外ちょうごい ねがさき 「お願い紗季っ ! 」 ともか 智花がインサイドにディフェンスを引き付けてからキックアウトしたポールを紗季がミドル けいしん きれい すずりだに レンジから放ち、綺麗な連携て硯谷から得点を奪う慧心女バス。 まさみ ふふつ、今のは雅美さんさながら、という感じだったな。やつばり、どこかて紗季も同じ商 ひそ してやったり、と ヾレ、いを胸に替めているのかもしれない。 店街の看板娘に良い意味てのライノノ。 う風に、このプレーを決められた喜びを顔全体に宿している。 開幕した決勝戦。硯谷は平均的に高いレベルて安定した良いチームだったが、個々の選手の 真帆たちが初めて俺を迎えてくれたとき、メイド服を着てたのって、そうか 間接的に、風雅さんプロデュースだったのか : 思わぬ情報に微妙な脱力感を味わってしまったが、いかんいかん、これから強敵との勝負が からだ 待ち構えているのだ。みんなが身体を温めている間に、集中力をもう一度高めて万全の状態て 挑まないと。 て、試合終わってからあらためてきちんとご挨拶させて頂こう : 0

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前に踏み込み、照れてたじろぐ愛莉の手首を両手て握る綾さん。はは、試合が終わって、一 気に攻守逆転してしまった感じだな。 きよう だいしゅうかく すばる 「くん、ありがとう。負けたのは悔しかったけど、今日の試合、ウチらにとっても大収穫 になるかもね」 おれ 「俺は何もしてませんよ。 : : : ても確かに、大きなターニングボイントだったかもしれないて すね」 ちょうく すずりだにじよがくえん みやこおおじ 愛莉に準ずるほどの長驅を誇る硯谷女学園の五年生、都大路綾さんか おもしろ 図らずも、眠れる獅子を起こしてしまったかもしれないな。面白い、望むところだ。 愛莉にとっても、高さだけぞは圧倒てきない強敵の存在は、必ず大きな価値となる。この出 会い、互いの将来に大きな意味をもたらしそうだ。 や みゆ そのためにも是非、未有ちゃんたちも含めた硯谷フルメンバーとの再戦を、望んて止まない わけなのだが : なぐさ あおい 「あ、葵ちゃーん ! 負けちゃったよー慰めてー ! 」 じようだん まなかせんばい かんきやくせき 観客席て決勝戦を見守ってくれていた葵を見つけ、冗談めかして手を振る麻奈佳先輩。 かくにん まさみ たけなか あれから五年生チームは昼食会のあと早々に解散し、雅美さんと竹中姉妹は最終結果も確認 せずに帰ってしまったらしい 2 チーム合流という淡い夢が実現する見通しはあまり明るくないが、まあ、あとはなるように 0 たし

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フレーたった フつはー、すごいの決められちゃったな。さすかミミミミ まの、てきそ , フっ・・ 「ひ、ひなちゃん。かっこよかったねえ。い 「おー。ちょっと、むずかしいかも。今度、れんしゅうしてみよう」 ふしぎ 俺が心にダメージを受けてしまっている中、試合をしている当の子どもたちは不思議な ようす ほどに消沈した様子かなく、まだまだ元気いつばいだった。あんまり凄さか伝わっていない ? いや、それはあり得ぬ話。もう長らくバスケに触れ続けているあの子たちなら、今のがどれほ むちゃくちゃ ど無茶苦茶なプレーなのかなんて語るまぞもなく肌て感じられるはず。 それても精神的支柱を失った気配が少しもないのは、つまるところ。 「ふふ。残り三十秒を切って、同点。これはもう、ラストのワンプレーて決めてもらうしかな いわね。頼んだわよ、トモ」 っ むだ 「・・・・・・・・・・・・うん。ここまてみんなと積み重ねてきた点数、無駄にしたくないカら。私も全部出 し切る」 かくしん ともか 智花が。エースが。ミミちゃんと同じ高みに立てる存在だと、確信しているから。 いっしゅん せんれつ そうか、そうたよな。もちろん、俺だって同じ気持ちだ。一瞬、あまりにも鮮烈なフレーに いしき すなわ 意識を持って行かれかけたけど、それ即ち智花とミミちゃんに力の差がある、という認識にな おれ すご

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133 scene. 3 の高いわたしにしか、出来ないことがみつかった。だから、綾ちゃんもきっと大丈夫だよ。心 配しなくて、大丈夫」 慈愛の籠もった面持ちのまま、愛莉は髪を撫てていた手を今度は綾さんの正面に差し出す。 「あ、愛莉さん : : : 」 てのひら みちび 導かれるように、綾さんはその掌を両手ぞぎゅっと握りしめた。 うれ 「私、愛莉さんとお話が出来て : : : その、なんていうかすごく、嬉しいてす。とっても、と っても」 「え ~ ~ 、わたしもだよ。もしよかったら、わたしもまた、綾ちゃんとお話したいな」 きずな ふたり 言葉を交わしてからまだ数分と経ってないのに、寄り添う一一人の間には既に強い絆のような ものが芽生えつつあるような気がした。きっと同じ特徴、過去と現在て同じ悩みを共有する者 同士、一目て引かれ合う部分があったのてはないか。 っちか まあ こうはい そして、力強く後輩にエールを送る愛莉の姿を目の当たりにした俺もまた、今まて培った絆 つら まぶた かがや の輝きに、感動て瞼を細めずにはいられなかった。ああ、何度も辛い思いをさせたり、時には つけてしまうこともあったけれど。 かて それを愛莉自身が成長の糧としてくれたことに、ずうずうしくも喜びを覚えてしまう。 「愛莉 : : : 。愛莉にとって、バスケが大切なものになって、私もすごく嬉しい」 ともか 「え ~ へ、なんだか偉そうなこと言っちゃって、恥すかしいな。ても、智花ちゃん。智花ちゃ おれ

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132 あのつ : 「は、はいっ ! ほんとに、そんな感じて : 私、体操が好きて、ずっと頑 張っていたんてすけど、背が大きくなってきたらどの種目も全然うまくてきなくなって : それて、このままじや足手まといになっちゃうから、バスケに挑戦してみることに決めたんて すけど : : こっちても足手まといて、どんどん、自信がなくなって : : : 」 あや めじり 綾さんは話せば話すほど声のトーンを落とし、とうとう目尻に涙が浮かんてきてしまう。き まじめ すずりだにじよがくえん っと、すごく真面目な心の持ち主なのだろうな。だからこそ、スポーツ強豪校の硯谷女学園 て必死に居場所を模索し、それがなかなか定まらなくて、不安に押しつぶされてしまいそうな のだろう あいり そんな内面を全て理解し包み込むように、そっと綾さんの頭を撫てる愛莉 「えへへ、 いっしょだね。わたしも、バスケを始めたころはすごいへたっぴて、足手まといて。 今てもまだまだせんせん追いつけてないなって思うことかしよっちゅうなんだけど : 「愛莉さんも : てすか : 髪に触れられた綾さんは、神妙な面持ちて愛莉を見つめる。幽かに安堵の色も感じられる気 がするのは、もしかしたら愛莉の方かいくらか目線の位置が高いからだろうか。これだけ高身 けいけん 長な綾さんだから、相手を見上げる形て同年代の子と言葉を交わすのは、久しぶりの経験に違 「うん。 : : : ぞも。バスケのコートの中ては、背の高さが、何度もわたしを助けてくれた。背 すべ めせん かす な たいそう

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お好み焼きても試してみたいくらいだわ」 ゃんばるのおすすめ ! 」 「えっとね、昆布と、あとトビウォたつぶりー すごく良いお味だねつ」 「トビウォ ? トビウオの出汁って、私は初めてかも : きゅうしゅう 「えへへ、アゴだしって言って、九州てよく使われるんだって」 あら ともか 紗季がその出来映えに感嘆を露わにし、智花も上品な風味の秘密に驚いている。 のうこう 「本当に、やわらかて濃厚なお味。うふふ、すばるくんは幸せ者ね」 えんりよ 母さんは足りなくなったら悪いからと最初は遠慮していたが、是非食べて欲しいと逆に頼み 込まれ、晴れて感動を共有てきている。 「本当に、本当に幸せだよ。こんなに美味しくて手のかかったプレゼントをもらえるなんて。 あいり ありがとうひなたちゃん、愛莉、真帆 「おー。どういたしまして」 「えへへ、気に入って頂けて、ほっとしました」 「あたし、もううどんの作り方はカンベキマスターしたから、また食べたくなったらいっても 三人にしつかりお礼を伝え、温かな気持ちを共有する俺たちだったのだが、どうしたのか真 りようほお 帆がいきなり大きな声と共に立ち上がり、両頬を押さえて目を見開く。 「と、ど一フかしたの ? 」 かあ こんぶ

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2 ) 8 まあ実際のところ、雅美さんは意外と約束等を反故には出来ない性格みたいなのて、その発 言は本音てありながら、照れ隠してもありつつという感じのような気がするけど。 とにもかくにも、十一月に入ってから練習に参加してくれる子どもの数がどっと増え、練習 あがた メニ、、ユーも組みやすくなって俺としては有り難い限りだった。まだ、正式に加入を表明してく れたわけてはないけれど、今後のことを思えば三人の存在は非常に大きな希望だ ふたり これて、加えてあともう一一人。・ : ・ : あの双子の姿も在ったのなら、理想的な展開だったんだ けどな。 きよう 「よーし、今日の練習はここまて ! 」 おも せんな 詮無き想いを断ち切り、ミニゲームの終了を告げる。 きよう 「ふはー 今日も、 しし力いたせ ! 」 「えへへ 。けっこう寒くなってきたし、風邪引かないようにしないとね」 子どもたちは今のところモチベーションを凅らすことなく練習に取り組んてくれているけど、 時間が経過して ( 、くにしたがって、大きな目標がこの先何もないという 事実は、、ボディブロ のようにじわじわと精神面を圧迫してくるだろう。 なんとか事態を打開して、全国大会の予選へと駒を進めさせてあげたいところなのだが : 「おす」 たけなか 「お、竹中。いらっしゃい」 まさみ おれ こま

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116 は異存ないようだ。それだけ、自分たちの勝利を疑ってないのだろう。 けいけ・ん 前回の対決ては、はっきりチームとしての経験の差を感じさせられたはずだ。それてもなお むぼうたまもの 自信満々なのは、無謀の賜か、努力の後押しか きっと、後者だ。そこは疑 , フべくも虹 ~ いたからこそ、俺もまたこの再戦を待ちわびていた 「私も同じよ」 双子に続き、雅美さんが一歩前に出て紗季に訊き返す。 「もちろん受けて立つわ。反対者は : : いないわよね。て、どんな条件を出すつもり ? 」 : しばらくの間はアシスタントとして、こっちの 「ふふ、そうね。じゃあ私たちが勝ったら : 練習にも顔を出してもらおうかしら これが、俺たちの用意した条件。 しっそ軍門に降ってもらおうかという案も、もちろんあった。そうすればチームは十人とな り、晴れて公式大会にも出場てきる。 、基本方針てある『来る者は拒まないが、無理な勧 というラインは、あくまて崩さないことにしたのだ。 誘はしない』 きずな メンバーが増えるときは、強制てはなくお互いが望む形て。それは、五人の絆て始まった大 切な場所に対するある種の忠義のようなものなのだと思う。 うそ さりとて、共に戦う仲間を求めていないと言えば嘘になる。この一年の集大成として、出来 まさみ おれ