150 六花は俺を見上げながらこくこく頷いて、感動でもしたように謎の拍手を送ってくれた。 俺には勝利の拍手に聞こえる。それくらい、それくらい嬉しく、内心で喝采。心の中でガッ ッポーズを決めていた。助かったー 「今回は申し訳ないけど、頂けないということで」 「仕方ない、勇太のバッグにつける」 4J さすがにそれは論破できそうになかった。引き合いに出した例えがまずかったかな : りあえず、勉強を促して忘れさせる作戦に移行しよう。 「わ、わかった。じゃ、まあ丹生谷対策もばっちりたし、勉強するか。昨日はその丹生谷さん のせいであんまり勉強出来てないしな」 と言ったときには、すでに俺のバッグにムファッサは装着されていた。仕事早いなあ、ほん と。なんか言われたら「あ、妹め ! 」とか言えばいい : 嘆息。 「よし ! じゃあ今日は因数分解だ ! やるぞ ! 「とりあえず、拒否 ! 」 「とりあえずって何た六花の勉強だろ」 「因数分解は : : : 明日やる。明日から本気出す
けど、お、おと、お父さん力とか上がるかなーって ? 」 言ってることが混沌としていた。微妙にツンデレっぽい台詞が好きっぽいみたいになってし まっているのがやばい。しかもお父さんカって。今の世に必要とされそうな能力かもしれない というか、ほんとに顔から火が出そうだ : けど、別に今から培っても仕方ないぜ : な歳になってもママゴトなんてしてるのばれちゃうなんて : 「大丈夫。内緒にしてる。今度一緒にする ? うーん、私は闇の堕天使役がいい , いや、そもそも一緒にママゴトは遠慮させて頂く ! 」 「ママゴトにそんな役は必要ない というか、それはすでにママゴトじゃなくてごっこ遊びだ。 家 花 「そう、残念。でも、勇太が夢葉をすごく可愛がっているのがよくわかった、 本当に残念そうな顔をする六花。本気でやりたかったのだろうか ? ム やりたかったのは闇の堕天使役かもしれないけど。 「ま、まあ、歳離れてるし、めんどうはけっこう俺が見てたりするからな。で、でも、可愛が 後ってるだけじゃないんだぞ ! 最近は言うこともあんまり聞いてくれないし、手が掛かって仕 放方ないくらいだ」 話 「でも、仲良し」 第 むう : 気恥ずかしくなって、肯定も否定も出来なくなってしまった。仲良しは、まあ否 定出来ないし、仲良くしていたいしな。
172 ・ : 究極、至高に続く新しい味覚を求めてるんだな。それなら仕方ない。 一石投じてこいと言 って送り出してやるよ。 いや、そうだ。案外グロテスクな食べ物の方がおいしかったりするし、意外や意外という結 末がこういうときは待っているもんだ。こんなこと考えてる時点でそれは死亡フラグな気もす るが。 「そうか、最強か、そう聞くとすげえおいしそうじゃないか。よし、食べようぜ ! 」 「先に勇太ローソク吹いていい」 そう言いながら、ケーキ ( ? ) にお誕生日用のカラフルなローソクを数本立て、マッチで 火を灯していた。 「いるかー ローソクはお誕生日の人が吹かなきや意味がないだろ」 「仕方ない」 六花はそう言って、ローソクに顔を近づける。 部屋はまだ太陽の光で明るいけど、ローソクに灯る小さな炎が二人だけの空間をより明るく してくれていた。その小さな灯火が冬のイルミネーションのようでとても綺麗だった。不覚に も、六花の季節外れなサンタクロース衣装が似合ってると思ってしまう。 綺麗な炎に顔を照らされながら、その揺れる炎に六花は息を吹きかける。 「今日で、十万と十六歳、
六花はとても断言的に言う。 嬉しいと一言えば嬉しいことなのかもしれないが、こいつは黒歴史にしかならない。六花も後 で絶対悶え死にするはずた。 しかし六花は、続けてこんなことも言う。 「勇太が私のコードを指定して 「ハードル高っ , いや、この俺のメルアドはなんというか適当で : それこそ本当に中二の頃になんとなくカッコイイなと思った英単語を並べただけの黒歴史メ ルアド。今、この場ですぐにでも変更したいくらいだ。 「仕方ない。勇太と同じものにする 始「俺を悶え殺す気なの」 秘黒歴史を量産しないでくれ ! お揃いアドレスもどこか黒歴史臭がするぞ ! タ 強 「む。問題発生。すでに使われているとエラーが出た」 勉 後 「もう試してた卩 課 放 「キャリアが別々なら成功したはず。仕方がない、 話 「初めて同じキャリアで良かったと思えたよ : : : 」 第 家族割りとか友達割りとかよりよっぽど得した気分だ。やつばり早いところメルアド変えな いといけないな。あ、そうすれば六花たけ使うことになるし、黒歴史からの脱却じゃないか。
学校を出て、ミッションの内容を六花に伝えながら、俺の家へと向かった。 ミッションの内容はーー妹、夢葉の眼帯を取り除くこと、である。一日二日で飽きるだろう 一向に飽きる気配がなく、今も何 と思っていたのだが、さすが俺の妹と言えるかも知れない の変わりも無い黒い目を、未だに封印しているのだった。 あの日、夢葉が眼帯を付け始めた理由を、親には六花が伝授したという部分を俺に変換して 伝えたのだが、ご近所から心配されるのでそろそろ止めさせなさいと、昨日ついに警告されて しまったのたった。 夢葉は楽しそうにその設定で遊んでいるので俺としては、まあいいか程度だったけど、やっ ばり眼帯は、基本怪我をした時に使うものなので色々心配されるようだ。うん、それが当たり 前だよな。 呼夢葉はそのことに関しては頑なに俺の言うことを聞いてくれず「リッカと宇宙人倒す ! 」の 。一点張り。なので仕方なく六花にどうにか眼帯だけは外してもらえないかとお願いしたのだっ 「仕方ない。そういう理由であれば封印をせずに覚醒する方法を伝授する 話 と、六花が仰ってるのでなんとかなることに期待する。 第 帰宅すれば、家に居たのは夢葉だけたった。
160 聞けば、六花の行動が気に人らないということで親がこのアパートをあてがって別居を強制 させているということだった。 「なんか、ひどくないか : そう尋ねても、六花は何処吹く風と言った感じで、特に答えようとはしなかった。 いかが 俺は気になって仕方なかったのだが、さすがに家族間の問題に土足で踏み人るのは如何なも のかと思う。 六花もそんな俺の内心を汲み取ったのか、 「私は一人がけっこう好き。今の生活も特に不自由はない」 と、また、ポツリとそう一言う。 本日はかなりエスパー的だ 「でも、飯とか、まあ、こんな事、来ていきなり話す話題でもないけれどお金とか、どうして るんだよ ? 」 「仕送り。そのお金で色々食べてる」 仕送り : : : ね。そこまでして親は一緒に暮らしたくないものなのか ? それは親になってみ なければわからない心情であるのかもしれないけど、仕送りしてまで別居させるなんて俺には やつばり納得がいかなかった。 そんな俺の表情を見てなのか六花は、
てけぼりくらって、そうなの顔から、なんなの顔にお変わりなさっているじゃないか ここは話題の変更が必要たな。 「あ、そうだ、先生、授業はどうしたんですか ? まだ授業中ですよね ? 」 「あ、うんう、心配でねう。テスト配り終わってから、簡単に解説だけして、各自答え合わせ をしておくようにつて自習にしてきたんだよう」 ナナちゃんは、我に返ったように表情を元に戻し答えてくれた。 これで話題チェンジは完璧だな。そう思ったのは、一瞬でしかなかった。 「六花」 「まだ言うの しつけー こんなにしつこいやつもそういないだろ。俺がなんなの顔になっちゃってる よ ! 治りそうにないよ ! 完璧に根負けした俺は仕方なく、 「六花・ : と、呟く ロワ・ 「もういし 、よ、それ ! 」 ポケの基本、てんどん。なんでこいっポケてんのよ。 「アハ、、、 ゃーやーなんだか面白いね、君達う いいコンビだよう」
そんな子に誰もアタックしないなんてことはないのだ。それに今に限らず、昔からという可能 性だってあるわけだ。中学の頃のことはほとんど知らないわけだし、いてもおかしくはないん じゃないか。ああ、そうなんだ。そうか。いたんだ。彼氏。ああ、そっか。一色、わかった。 なるほどな、これが早くも失恋ってやっか。すごい判りやすい。失恋して気付く恋なんて、世 界で俺が始めてじゃないか ? 俺、今後六花とどう接すればいいんだ ? わかんないぞ。 たぶん、俺は酷くみつともない程落ち込んだ声で、 「なあ一色ーーー」 「嘘だ 「これって俺、失恋したんだなー 頬をむぎゅっとつねった。勿論、勿論一色のをた ! 「い、痛いじゃないか。ああ、おれ、そばは噛み切らない派なのに噛んじゃったじゃないか、 どうするんだ ! 」 「その嘘つきの舌まで噛み千切ってしまえ ! 」 「ふむ、まあ、これでわかっただろ ? 好きだってことが。ちなみに巫部さんには本当にいる ぞ、彼氏」 「まじか卩」 「本当だ。いや、俺もショックを隠しきれない。まあ、仕方ないよな。相手は年上だってさ。
235 第 8 話遠足 ! 「ねえ ? そういうの、そろそろ終わりにしたら ? 」 「 : ・ : ・お父さんが : : : 」 「お父さん ? 」 「 : : : 丹生谷、俺からも謝るよ。ちょっと六花もバスの疲れが出てて一人になりたかったんだ んそうだ。俺が連れ回したせいもあるんだ。悪い。皆も心配と迷惑を掛けてごめん」 ーししカわからずといったようだ 皆に向けて深く頭を下げる。皆もその行為にどう反応すれま、、、 「君はちょっと黙っててよ。私は小鳥遊さんに言ってるんだよ」 : 六花は頭を下げた俺をずっと見ながら黙っていた。 でも、黙っていただけじゃなかったみたいだ 六花は一度深呼吸してから、大声で叫ぶ。 「ーーー全責任が私。もう二度とそんなことはしない。皆に迷惑を掛けない。約東する とても、とても六花らしい謝罪の仕方だと思った。 広場は、また沈黙する。 その沈黙を壊すかのように、一人の女子が声をあげた。巫部さんだった。
まじで能力 ? 」 「違う。立ち聞きした」 「能力のかけらもねえじゃねーかっー 何故今日に限って能力だと言い張らないのかさつばりわからないけど、助かったわけだし、 どっちでもいしカ 「封印した秘奥義をこんなにも早く使うとは、私もまだまだ」 悔しそうに、独り言のように、六花はそうポツリと言う。 ん ? ああ、なるほど。六花なりに制約とかがあるのか ? 丹生谷の、触れられたくない弱みに付け込んだわけだし、六花も最終手段だったってことだ になるのかな。なんだか、とても喜ばしかった。 ろうか。俺のために、 「いや、うん、仕方なしってことで。だって、俺も死の呪文をかけられまくったわけだしさ。 中六花も、ホント、能力みたいだった ! ありがとうな 話 それでも。その言葉が嬉しかったんだろう。顔をほころばせ上機嫌にこう言うのだった。 中「勇太は経験値五を手に入れた。光のモノの弱点、もりさまを発見した ! 話 の世界か、ここは。 第 まあ、でも、本当に丹生谷には注意しないといけなくなった。もちろん、俺の生命的な意味 でだけど。