なお中国における艦艇の分類では、ミサイル駆〕監 ( 導弾駆逐艦 ) は、単になにがしかのミサイ ルを搭載している駆逐艦をさしている。長中射程の対空ミサイルを搭載していなくても、対艦ミサ イルを搭載していればミサイル駆逐艦と呼ばれるため、海上自衛隊の護衛艦 DD や DE はすべてミ サイル駆〕醐監とミサイルフリゲイトになってしまうので注意が必要である。これはソ連の分類に当 てはめたからである。逆に日本はアメリカの艦種区分に準じているので、一般的にミサイル駆逐艦 というと、中長射程の対空ミサイルを搭載した艦隊防空能力を持った駆 ) 監を指す ( あきづき級は 短 SAM だからアウト ) 。それ以外の駆逐艦は、スカレーアンス級のように対潜ミサイルや巡航ミ サイルを搭載していても、駆逐艦に分類される。 クロタル系列搭載艦 クロタルミサイルは、 60 年代に南アフリカ向けに開発された矢巨離地対空ミサイル。アパルト ヘイト政策で国際的な非難を浴び ( 1960 年はアフリカの年と呼ばれた ) 、米英が表立って武器輸 出できないことから、フランスのトンプソン社がアメリカの援助を受けて開発したもの。元々は陸 軍向けだったが、海軍向けモデルも開発された。性能的にはシースパローに近いと言われている。 051 G / 051 G2 / 051 DT 型 細かい搭載年は資料により異なるが 80 年代末から 90 年代初めにかけて、 NATO コード Luda ( リューター ) 、旅大 ( りよだい ) 彗区逐艦の 5 隻が最初にクロタルシリーズを搭載している。 Cr 。 tale Naval を中国向けに改良したモデル HaiHongQi-7 (HHQ-7) 、海紅旗 ( かいこうき ) 7 型艦対空 ミサイルである。フランスのクロタル発射装置は中央に捜索・誘導レーダーを配し左右に 4 発のミ サイルを有するが、海紅旗の発射装置は 4 発を二段組みにした 8 発のミサイルだけを搭載している。 051D から改装した最初の 2 隻に CrotaIeNavaI が搭載されたといわれているが、写真に残ってい ないので第二次改装で HHQ-7 に変えられたのだろう。満載排水量が 4000 トンに満たない旧式艦 に追加するには大きかったと思われるので、誘導関係は艦のものを使うことで発射機をコンパクト にまとめたのだろう。 052 型 NATO コード Luhu ( リューフー ) 、旅滬 ( りよこ ) 型駆逐人民解放軍海軍カ哂側の技術を 満載して初めて建造した近代型駆〕監である。冷戦末期に計画されたため、西側の手がかなり入っ ているようで、現行の水上戦闘艦艇のモデルとなった。それがよくわかるのが 1 番艦哈爾浜 ( はる びん ) の主機で、アメリカのゼネラル・エレクトリック LM2500 が提供されている。もっとも天 安門事件で 2 番艦青島 ( ちんたお ) には売ってもらえず、ウクライナからガスタービンエンジンを 供給されている。以降中国艦のガスタービン主機は、ウクライナ製か中国でライセンス生産したも のを搭載している。中国にとって最も重要だったのは、クロタルと一緒に導入されたトムソン CFS の戦術情報処理システム TAVITAC で、これによって艦艇向けの近代的な戦闘システムを手に入れ ることができたのだ。
主力ミサイルはスタンダード SM -3 ということになる。だとすれば、調達予算はうなぎ登りに高く なることは間違いないだろうと思っていたら、案の定ミサイルの代金が入っていなかったと大騒ぎ になるのであった。 連邦政府の 2016 年度会計年度で SM-3 プロック IB が 1400 万ドル、プロック IIB に至っては 2000 万ドル以上するようなので、ミサイルを揃えるだけで防衛予算カ頓いてゆく。日本向けの上 乗せ価格をとなると、プロックⅡ B は一発 40 億円になるだろう ( 2400X1.5X110 ) 。軍事的に必 要な数を揃えようとするなら、これを北朝鮮が保有する弾道ミサイル x 2 + 予備弾 ( 中口に備える んだろ ? ) だけ揃えなければならないのだ。実際に何発になるのか知るよしもないが、調達するに は金額も時間も必要になるので、適当な数を導人して終わりになると思える。ということで実質的 な弾道防衛戦力として期待しないほうが幸せだろう。 ところがこの役に立ちそうにないこの陸上型ィージスの導入に、ロシアが豸盃反対しているのだ。 サイル防衛網がたいして強化されるわけでもないのになぜ ? と思っていたら、日本がトマホーク サイルを導入する可能生があるからというのカ鯉由だった。ィージス艦の場合は、交戦目標は敵 艦艇に限られているので、地上目標に対する攻撃はせいぜい艦砲射撃でお茶を濁すくらいなので、 護衛艦にはトマホークミサイルが導入される隙はない。ところが陸上型ィージスは新しい箱物なの で、どさくさに紛れて納入数されてしまうことを気にしているのだ。調達費用は、本体そのものが 当初予算よりはるかに上回るはずなので、上昇分の中に適当な要目を人れて購入代金をごまかせそ うだ。日本が密かに保有しようしているのか、アメリカが勝手に持ち込んで既成事実にするかは、 ロシアにとっては関係ない。もし陸上型ィージスのミサイルサイトにトマホークが入っていたら、 不沈空母「日本列島」にトマホークが搭載されることになるからだ。 極東ロシアの立場から言うと、日本に対して攻撃の意思を確認したからといって先制攻撃は不可 能である。大陸沿岸に迫ってきた日本艦に対してミサイルをぶっ放すことはできても、日本本土に 対するミサイル攻撃はおいそれとはできない。まあ日本はトマホークに余分のカネを使いたくない だろうから、実際に導入される可能性はほとんどないと思えるが、妙な憶測を生むようなものをわ ざわざ買うのはやめた方が無難なのだが。 だが、買うと決めている以上、さらなる問題が立ちふさがる。それはどちらのレーダーを搭載す るかという大きな問題だ。えっ ? ィージスシステムでしよ、レーダーって一種類じゃないの ? とい われそうだが、いまやイージスシステム向けのレーダーは、 SPY-I 以外に存在するのだ。これとい うのも、新型艦であるズムウォルト級ミサイル駆逐艦とその代替となるアーレイ・バーク級ミサイ ル駆逐艦フライトⅢ向けに新型レーダーが開発されているからある。で、陸上型ィージスの候補 となるのは、いずれも S バンドレーダー搭載の次の 2 っとなる。 ①ロッキード・マーチンの SSR (solid state Radar) 案 ②レイセオンの AN / SPY -6 案 前者は、おそらくズムウォルト級に搭載予定だった AN/SPY-4 として搭載予定だった VSR (Volume search Radar) そのものか、それの改良型と思われる。ズムウォルト級は S バンドの VSR で広域捜索を行い、 X バンドの MFR (Multi Function Radar) で水上捜索とミサイル誘導を 分担する予定だった。ところが前者の VSR はキャンセルされ、なぜかレイセオンカ鯛発した後者
レンハイ ) が進水して話題を呼んでいる。現代は何隻かの水上戦闘艦からなるグループ内で指揮を 担当する艦が巡洋艦、または巡洋艦相当のフネとされている。巡洋艦の新〕監は全くなく、そもそ も巡洋艦という艦種そのものが消えてしまいそうなご時世である 巡洋艦なんてもの造ろうと したら、そんな高い買い物をするなと、空軍と陸軍から猛反対が来て計画中止になるからだ。普通 の艦でさえ反対の声を減らすため、満載排水量ではなく基準排水量で予算を通している国があった り、満載排水量を意図的に少なく公表する国があったり、実際の排水量よりもワンランク下の艦種 ( 巡洋艦→駆逐艦→フリゲイト→コルヴェット ) で呼ぶ国があったりするのだ。まったく世知辛い 世の中である。 どっちだと問われれば、巡洋艦と言えば巡洋艦だし、駆逐艦と言えは駆逐艦というあいまいな答 えになってしまう。現時点では 055 型は 1 番艦の南昌 ( なんしよう、ナンチャン ) をはじめとし て 6 隻が健造されている。上海の江南造船で 3 隻、大連船舶重工で 3 隻ずつ建造されている ( さら にあと 1 隻ずつ計画 ) ということは、空母が瀧属される可能性が高い北海艦隊と餽監隊に 3 隻ず つ配属するつもりだろう。 3 隻いれば、常時 1 隻が可動状態になるので、空母が出動する必要がで きたときに即対応ができる。空母艦隊の防空が可能な駆 ) 監はたくさんあるが、いずれも蒸気ター ビン艦か CODOG 式のガスタービン艦で、 30 ノット以上の最高速力は期待できないし、艦の大き さの関係で燃料をあまり積めないため航巨離もおぼっかない。お散歩用の護衛艦でしかないのだ。 中国艦に足りなかった高速性能と航続距離を確保しようとすると、この大きさにせざるをえないの だろう。南沙諸島で空母と共に番を張るのだろう。航空母艦の単なる随伴艦として短いローテーシ ョンで艦隊に加わる他の駆逐艦やフリゲイトのまとめ役なら、委員長、いやいや巡洋艦と考えられ るだろう。 ちなみに NATO は、コルヴェット・フリゲイトのコードネームには "Janæ" 「江〇」を、駆逐 艦のコードネームには "Luæ”「旅〇」カ駛われている。 055 型には "Renæ" がイ吏われていると いうことは、駆逐艦ではないと言いたいのだろう。巡洋艦といいたいのか ? いや違うはずだ、 排オ奇か刀刀よク大きくて一でなければ第劜である / というのが言いたいために、今この項目を書いていたりする。相手にしてもらえないだろうなあと 思うが、 055 型は駆逐艦とここに宣言しておこう ( ミサイルフリゲイト時代の DLG はほとんどミ サイル巡洋艦 CG になったという戯言は無視する ) 。 あと変わったところで、資料によって Ren にあてられる漢字がコロコロ変わるのだ、 20 年以上 前の話だが、 hu には湖が最初あてられていたのが、いつのまにか滬が割り当てられていたという例 もあるので、何になるかは不明である。一応、日本語で書かれている資料では、本命は「人」で、 対抗は「任」になっている。ついでに書いておくと、大穴は「忍」である。中国のサイトを見ると、 軒並み「忍海級」と書いてあるからだ。中国が公式な NATO コードに対応する漢字を忍海だと押 し切ればそうなるだろうし、西側のコードにロ出し無用と言い切れれば人海になるのではないと思 うが、同じ読みの漢字がたくさんあることを今更ながら驚いている次第である。 055 型のメインレーダーの名称は H / 凵 G -346B なので、基本的な性能に変化はないだろうが、 艦橋にへばりついている四角い板は捜索追跡用のレーダーのみになり、マストにひつついている小 型のフェイズド・アレイ・レーダーとおぼしきモノが、追尾誘導用レーダーとして独立するのか ?