中華ィージスに使われている 346 型レーダーの内部予想図 左 : 原型となった旧ソ連 SA-N-6 艦対空ミサイル誘導用レーダー 右 : その改良型になる HHQ -9A 艦対空ミサイル誘導用レーダー 3R41 ヴァルナ 346 型多目的レーダー 捜索追跡用 レーダー素子 追尾誘導用 レーダー素子 052D 型昆明級ミサイル駆逐艦 印葷ィージスのひみつ ちゅうか ィージス艦の経歴⑧ : 某国のイージス
ー車両は 1 台だからである。将来的に二面を同時作動させることは、複数の誘導レーダー搭載艦が あるので、改良が進めば実現可能だろう。 346A とか 346B で実現しているかもしれない。 さてアンテナの取り付け位置カ觝いために、十分なレーダー射界が確保されないことが問題にな らなかったのは、誘導用レーダーだったからだろう。確かに AN/SPY-I のように全天を捜索するレ ーダーなら、電波が届かない死角が存在するのは許されない。だが、対空ミサイルを誘導するイル ミネータなら、多少の死角が存在しても許容されるだろう。旧ソ〕監も 3R41 レーダーを高い位置 には取り付けてないし。 パクってばかりの中国ではあるが、 346 型は 3R41 レーダーそのままではない。最初のモデルは 直径 4m で八角形に〔 S バンドの〕レーダー素子を並べていて、その中央部分に直径 0.6m の℃ バンドの〕レーダー素子力哂己置されていたといわれている。おそらくこれが 3R41 レーダーの中身 なのだろう。二種類のレーダーが入っている ( デュアルバンド・レーダーになる ) のは珍しいと思 うが、最初の方で紹介した AN/SPG-51 射撃指揮レーダーも、パラボラ型であるがゲインの高さを 利用して、 C バンドで目標を捕捉・追尾し、 x バンドの連続波を照射してミサイルを誘導するレー ダーなのだ。元になった 3R41 がデュアルバンドでも不思議ではない。前者のアレイが捜索追跡用 ( 公称 S バンド ) で、後者のアレイが追尾誘導用 ( 公称 C バンド ) なのだが、周波数的に見ておそ らく前者が C バンドで後者が X バンドだと思えるのだが、たいした根拠はない。どこにあったかす ら忘れたが、 3R41 の誘導部が x バンドと書かれている資料があったので一応書いたまで。 346 型の開発チームはこのレイアウトでは誘導イ言号が弱いと判断し、直径 4m 前後の捜索追跡用 のレーダー素子を中央に配し、その上下にそれぞれ縦 0.2mx 横 4m の追尾誘導用のレーダー素子を 並べた。ベトリオットミサイルが捜索用レーダーの下に誘導のアレイを並べているのを参考にした のかもしれないが、誘導部のアレイ面積を 0.3m3 から 1.6m3 に増やすことができた。これが 052C 型に搭載されているレーダーアンテナの正体と推定される。どれだけベストコンディションを維持 できるか、どこまで電子妨害に耐えられるか、本当に艦の動揺を補正できるか、ちゃんと誘導した 所に HHQ-8 が飛んで行ってくれるか、不安な要素はいつばいあるが、中国海軍の期待を背負って がんばってもらおうか。余談だが、中国の設計陣が却下したことから考えると、 3R41 は 6 個の目 標と同時に交戦できると言ってるが、実際の所は 3 目標に 6 発のミサイルを誘導するのがせいぜい かも知れない。まあレーダー出力をものすごく上げることで、カ技で対処したのかもしれないが、 スペックはあくまで「最高」の状態を示すものにすぎないという事で。 最後に、何ゆえに中国がアクテイプ・フェイズド・アレイ・レーダーであることにこだわるのか 知らないが、 346 型はそのサイズと最大出力 ( 1 基 IMW) その他から考えて、構造的にパッシプ・ フェイズド・アレイ・レーダーと思われる。アクテイプ方式にも、パッシプ方式に近いものからい ろんな形式があるそうなので、呼称はどうでも良いとは思うのだが . 人海 ? 任海 ? 忍海 ? 055 型駆〕監、いや巡洋艦だという声もある、新たな中華ィージス艦 (NATO コード Renhai 、
052C/052D 型はイージス艦と似ているのは見かけだけ、結局は世界の主流からは外れないレー ダーシステムである。当然だが世界最新でもない。世界のハイテク企業を国内に招いて、最新技術 の移転に躍起となっている国が、世界最先端のレーダーシステムを作れるわけはないだろう。日本 の新幹線やドイツの ICE を丸ごとパクった車両を、自国の技術だけで作ったと言い張る国なのだ。 日本はともかく、アメリカやヨーロッパ諸国に対しては独自技術と言いながら、こっそりライセン ス料を支払っている可能性もないとは言えないが。 何十年か先には、中国から世界最先端の技術が発信されるかもしれない。中国ン千年の歴史がそ の可能生を「否」と言いそうなのだが、可能性はゼロではない。だが我々は今の話をしている。し かも中華ィージスの開発時の話となると、 20 年近く前の話になる。 20 年前の中国の状況 ! 若い人 にはわからないだろうから、年配の人に聞くと良いだろう。改革開放が進んで、「中国らしい ? 中 国」の姿は消えつつはあっても、まだ「古い中国」は色濃く残っていた。現在における巨大な高速 鉄道網はほとんど計画だけであったし、都市における地下鉄もそれほど走ってはいなかった。そん な頃に、最新のレーダーシステムをどこかから拾ってきたのだろう。そのためにわざわざ対空ミサ イル搭載艦年表を作成したのだ。それをたどれば、ロシアに落ちていたという結論になる。 スラヴァ級ミサイル巡洋艦の設計にあたっては、 3R41 レーダーを 3 基固定装備すればという案 があった。実際には予算の関係で、 052B 型と同様 1 基しか搭載していないが。すでに述べたよう に 3R41 は同時に 6 目標と交戦できるフェイズド・アレイ・レーダーである。フェイズド・アレイ・ レーダーを 3 基固定装備している例を挙げておくと、ジェラルド・ R ・フォード級原子力航空母艦 がその代表となる。この空母は全天の捜索に AN/SPY-3 多機能フェイズド・アレイ・レーダーを 艦橋の 3 面に搭載しているが、それと同様な方法で 3R41 を搭載しようと計画があったのだ。 フェイズド・アレイ・レーダーは、位相をずらすことでレーダー波の出す向きを変えることがで きる。どこまでずらせるかというと、最大でレーダー面に垂直な線に対して左右 60 。 ( つまり入射 角 60 。 ) までなんとかなる。もっとも入射角が 60 。になると、 0 。と比べてアンテナが受ける電波量が 半分になるのでそれなりの対応が必要となるが、 3 基あれば各 120 。のレーダー射界を確保できて、 全周に対応できるからである。 スラヴァ級で実現できなかったとはいえ、実際に搭載することを検討していたのだから、詳細な 図面カされていたはずである。 051 型がソ連ではポツになった駆逐艦の図面を流用して建造した 可能性があるように、ソ連崩壊の混乱に乗じて、ロシアからポツになった 3 基固定装備の図面を手 に入れたか、建造中止か解体のどさくさ紛れて実物を手に入れたか、そのときの設計者を手に入れ ることができた可能性が高いのではないか。 052C 型が搭載している H / 凵 G -346 レーダーは、 3R41 レーダーを艦橋の 4 面に配置したレー ダーシステムと推定される。 4 面なら最大入射角は 45 。で済むため、隣のレーダーへのデータの受 け渡しはやりやすくなるため、イージスシステムや FCS -3 は 4 面配置をしている。ただこのシス テムでは 4 面設置されているが、導入された時期および誘導レーダーに過ぎない点から見て、同時 に作動するアンテナは一面のみ、データの受け渡しはない、というところだと考えられる。なぜな ら陸上部隊のシステムでは、対空ミサイル部隊単位で何両かのミサイル搭載車両に対応するレーダ - 14 -
デザインも良く性能的にも十分な艦に仕上がっていることもあり、長期間にわたり建造されてい る。第 1 バッチが 4 隻、第 2 バッチが 12 隻建造され、少し間を置いて第 3 バッチが 10 隻、第 4 バッチが 4 隻 ( 増える可能性あり ) 建造されているが少しずつ改良が加わっていると思われる。第 3 バッチからゴールキーパーそっくりな CIWS ( 730 型 ) が 11 銃身の 1130 型に換装され、可変 深度 / 曳航式ソナーを搭載しているところから、 054A + 型と呼ばれている。 052B 型 深蜩は、 2010 年代に 054A 型に準じた兵装に近代化改装され、ミサイル駆逐艦に分類されるよ うになった。中国海軍の看板娘であり、艦内のスペースも十分あるので、思い切った改装を行った ようだ。 SA-N-6/20 系列搭載艦 ソ連が初期に開発した S -75 (NATO 名 : SA-2 ガイドライン ) をはじめとする第 1 世代の地対空 ミサイルを代替する新型システムが、 S -300 ( 同 : SA-IO グランカレ ) である。多目的レーダーを 使い複数目標と同時交戦が行え、迅速に展開かっ撤収が可能な完全移動型システムを採用し、保守 に優れる発射筒内蔵式のミサイルを使用する。この対空システムを艦載用に移植したのが S-300F フォールト (SA-N-6) である。 陸軍向けの輸出用 S -300 では、反射式レーダー・アレイを搭載する捜索用レーダー車両 ( 64N6E 、 NATO コード : ビッグバード ) と、透過型レーダー・アレイを搭載する誘導用レーダー車両 ( 30N6E1 、 同 : フラップリッド ) および、一発ごとにミサイルを収納した発射筒を 4 基搭載した車両ほかから 構成されている。このままフネに搭載することが灘しいのがわかっていためか、開発設計局とは違 うアルテア研究所に任せた。捜索と追跡はメインマスト上の MR -710 / 750 フレガート ( 同 : トッ プ・スティア / トップ・プレート ) 三次元レーダーに担当させ、追尾誘導を担当する 3R41 ヴァル ナ ( 同トップ・ドーム ) レーダーと組み合わせている。 3R41 はおつばいのような形をした半球状 のレドームを持っているため誤解されやすいが、フェイズド・アレイ方式の多機能レーダーで、 12 の目標を追尾してそのうちの 6 目標に対してミサイルを誘導できる優れモノである。 052C 型 ご存知最初の中華ィージス、 NATO コード Luyang 、旅洋Ⅱ型ミサイル駆逐艦である。巨大なレ ドームに隠されたレーダーは、さまざまな憶測を呼んだ。一番笑ったのが、中に入っているのは普 通のパラボラ式レーダーで、上下左右に振り回すスペースだという説だった。それを否定するため か、割と早い時期にフェイズド・アレイ・レーダーなのはホンモノで、アンテナが加熱するのを抑 えるためだという話が出回っていた。四隅に四角い穴が開いていて、右から左へか、左から右へか はわからないが、冷気を強制循環させてアンテナ表面を冷やしているそうなのだ。コレは HHQ-9 共々にこのアンテナを搭載し、性能言鵡を実施した言鵡艦畢昇 ( ひっしよう、ピシェン ) の写真か らも類推される。アメリカがイージスシステムをノートン・サウンドで言鵡したように、中国もき
のみが、 AN/SPY-3 として採用され、ズムウォルトは X バンドレーダーのみを搭載して就役してい る。 これはさまざまな憶測を呼ぶことになり、 VSR は海軍が要求した到 ) 巨離に満たなかったから不 採用になったといわれ、ロッキード・マーチンの面目は丸つぶれとなった。 VSR の搭載予定箇所は そのまま残されているので、新たに開発されるレーダーが完成するのを待っているのではないかと いわれている。だが、それはとても不可解な話だ。 32 隻建造予定が 3 隻だけになったクラスなの で、いらん子だからと言われたらそれまでだが、建造中止になったらどうしようと心配していたが 無事就役した、アメリカ海軍で最も排水量の大きい水上戦闘艦なのだ。設計は何度も白紙になって いるので、検討は十分されているはずなのに。しかも導入が中止された理由の一つが、海軍は L バ ンドのレーダーを要求していたという話だったが、搭載が予定されている新型レーダーは、やはり S バンドの AMDR (AirandMissileDefenseRadar) だったりする。このやりとりを見ると、ズ ムウォルトには大型の捜索レーダーを導入する気が米海軍にはないと思えてくるのだ。 おそらくズムウォルト級は、 S バンドレーダーなど必要としないフネなのだろう。決して防空艦 ではなく、沿岸域を中心とした作戦の火力拠点となる艦として建造されているという結論に落ち着 くのだ。元来が武器を大量に搭載したアーセナルシップから始まった艦だったので、最初のコンセ プトから考えても納得がいく。早い話、このフネは巨大な LCS なのだ。アメリカに刃向かうような 連中にははっきりとわかるように大砲やミサイルを見せた方がいいと書いてきたが、このフネの武 器は「見せ」武器ではなく、刃向かう連中が知らぬ間にたたき込む武器達なのだ。 確かに威力の大きい主砲の口径 ( 127 ミリではなく 155 ミリ ) と搭載数 ( 2 基 ) に比べ、 VLS の搭載数が減らされている ( 96 セルから 80 セル ) のは気になっていた。スタンダードミサイルは 搭載せず、 1 セルに 4 発を収納できる ESSM のみなら、必要な対空ミサイルの本数を確保できる。 しかも ESSM だけなら x バンドレーダーだけで十分である。このことからズムウォルト級は、し ばらくは ( あるは永久に ) S バンドレーダーは搭載しないだろうと思われる。今のアメリカでは、 大規模な沿岸域の作戦を、 2 つ以上の或で同時展開することは考えられないので、常時 1 隻が作 戦可能状態であればよいから 3 隻なのだ。そう考えるとズムウォルト級が 3 隻に減らされているの には、ちゃんとした理由があることが理解できる。 ということで VSR が搭載されなかったのは、ロッキード・マーチンの VSR の性能が悪かったの ではなく、艦の任務上必要とされなかったら搭載されなかったと信じたい。何しろ現時点での有力 候補は、①のロッキード・マーチン案だからである。万一 VSR が導入をキャンセルされるに足る 理由があった場合、失敗作を押しつけられるということになるからそれは困る。まあ失敗作の烙印 を押されることを回避するためもあってか、さらに改良を加えた SSR にしますと言っている。事実 上名称を変えただけだと思うが、本当に VSR を改良したものになるなら、さらに開発に時間がか かり、その開発費カ直段に上乗せされるという悪夢が待っているような気もする。ハズレでないこ とを期待するとともに、ぜひ夢見は良いことを願いたいものだ。 このレーダーは AMDR の名前の通り BMD (Ballistic Missile Defense, 弾道ミサ アーレイ・バーク級はフライトⅢからは S バンドの捜索用レーダーにレイセオンの AN / SPY -6 を搭載する。
このようなスペックを見ていると、 20 年ほど前の中国海軍の状況からは隔世の感がある。まあ 驚異的な経済成長で今やアメリカと並ぶ超大国であるから、空母はもちろん、この程度の軍艦を 10 隻以上保有するのに何の不思議もないのだが。 まずスペックを見ていて気になるのは、 SAM を誘導する x バンドレーダーがないという点であ る。捜索レーダーは S バンドで、ベトリオットミサイルからパクった誘導レーダーが C バンドを使 用しているとされている。垂直方向は水平面から垂直面まで 90 。、水平面は左右 60 。の射界があり、 艦の動揺に対しては士 20 。まで補正が可能になっているが、レーダーのレイアウトから考えて天頂方 向から 15 。の範囲は覆域ではないことがわかる。これを補足するのが平面レーダーの下にある竿状 の装置という話らしいが、今回はパス。 その理由として艦対空ミサイルである HHQ-9 (HaiHongQi-9) 、海紅旗 ( かいこうき、ハイホ ンチー ) 9 型はアクテイプ・レーダー・ホーミング方式のミサイルだからと説明しているものもあ る。しかし、これは誘導用の X バンドレーダーが見当たらないことから推測されただけだろう。 の方式は誘導システムそのものをミサイル本体に組み込む必要があり、非常にコストがかかりかっ システムがスペースを取り過ぎるため、現在でもアスター対空ミサイルとスタンダード SM -6 ミサ イルくらいしかない。ミサイル本体は S300 ミサイルシステムとそっくりで、おそらくはセミアク テイプ・レーダー・ホーミング方式のミサイルと思われるので、 X バンドレーダーがどこにあるか はあとで探しにいくことにしたい。 このミサイルの発射方式はセル内から圧縮空気を使って「射出発射」する方式である。 Cold Launch ( コールド発射 ) 方式である。 Mk41VLS のようにミサイルを「点火発射」する方式は、 Hot Launch ( ホット発射 ) 方式と呼ばれる。ホット発射方式と違い、点火に失敗したミサイルを 弾庫内で不発弾としてかかえないですむのがコールド発射の利点である。ただし射出後にミサイル が点火しないと、電信柱カ啌から降って来る事態になるため、直上には打ち上げないようになって いる。 052C 型では前部 V は 6 発をまとめた円筒形のセルがそれぞれ外側を向いているので、そ のまま舷外に落ちるようになっているようだ。ところが 052D 型では前部Ⅵ爲は 8X4 セルで四角 いレイアウトになっているため、全体に VLS の上面が前方に傾斜している。この方式ではうまく VLS の上には落ちないよう考慮しているが、すぐ前には新型の主砲カ置しており、失敗するとせ っかくの主砲が残念な結果にならないか心配である。 ミサイルの搭載数とレーダー 一般的に「ミサイル」を冠する駆〕監やフリゲイトが搭載する対空ミサイルの数は、通常の ( 汎 用・対潜 ) 駆逐艦やフリゲイトが搭載する対空ミサイルよりも多い。たとえばはたかぜ級ミサイル 護衛艦は、ミサイルを最大 40 発搭載できる Mk13 発射装置を搭載しているのに対し、むらさめ級 護衛艦は 16 発しか搭載していない。加えてミサイルの性能差も大きく、はたかぜ級は中射程のス タンダード SM-IMR を搭載するのに対し、むらさめ級は短 SAM という名称が示すとおり短射程 のシースパローを搭載している。シースパローは現在改良型の ESSM に換装されているが、導入当 時に期待された画期的な射程延伸はセールストークに過ぎず、せいぜい 1 ~ 2 割伸びたにすぎない
ので、相変わらず短 SAM のままである。まあ英語の EvoIved とか Advanced とかいう仰々しい 形容詞がつくと画期的な改良が行われたと勘違いしてしまうが、マイナーチェンジされただけの「新 型」という場合が多かったりするので注意が必要である。だから外観が大幅に変わる分だけ、クル マのフルモデルチェンジの Fu Ⅱの方がマシに思えてくるだろう。 この対空ミサイルの搭載数というのは、実のところ対空ミサイルを誘導するレーダー ( 一般的に はイルミネータと言われる ) が個別目標に対して同時にミサイルを誘導できる数で決まると言われ ている。 アメリカのカリフォルニア級原子力ミサイル巡洋艦は、 Mk13 単装発射装置を前後に 2 基搭載し ている。この発射装置は、船体内弾庫に 40 発のミサイルを収容しているが、誘導装置である AN/SPCr51 は前後に 2 基ずっ搭載している。ほぼ同様のシステムを搭載するはたかぜ級ミサイル 護衛艦は、 Mk13 単装発射装置を前部に 1 基搭載し、艦橋構造物上に AN/SPG51 を 2 基搭載し ている。というように、発射装置 ( 搭載ミサイル数 ) に比例した誘導装置を搭載している。 Ⅵ爲ではセル数に比例するようで、タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦は、 CG-52 以降の VLS 搭 載艦は 128 セル分搭載し、ミサイル誘導用の AN / SPG -62 レーダーを 4 基搭載している。これに 対し、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦はⅥ爲を 96 セル分搭載し、ミサイル誘導用の AN/SPG-62 レーダーを 3 基搭載している。日本のこんごう級も原型のアーレイ・バーク級と同じ 配置である。このようにミサイルを誘導するレーダー数や性能に応じた数を搭載している。誘導用 のレーダーは互いに干渉しないように前後に背負式に搭載されているが、タイコンデロガ級のみ大 きな艦橋構造物の上に左右並べて搭載している。背負式にして高い位置に搭載することを嫌ってか、 反対舷への誘導ができないという不利を押して、むりやり 4 基搭載していることからもこの原則は 絶対的なものと思われる。 このように比例しているなら同時に個別目標に誘導できる数で、搭載ミサイル数も決まってくる ことになる。 V 搭載艦の場合なら、同時交戦可能な目標数の 8 倍前後というのが大まかな目安だ そうだ。 タイコンデロガ級の場合、スタンダードミサイルの数は、 128-6 ( 再装填装置分 ) -16 ( アスロッ クミサイル数 ) -10 ( トマホークミサイル数 ) = 96 発と考えると、誘導レーダー 1 基あたり 24 発に なる。このレーダーが同時交戦可能な目標数は 3 といわれているので、いささか数合わせの感もあ るが同時交戦可能な目標数 x8 発になる。これをアーレイ・バーク級に当てはめると、アスロック の数を半分の 8 発にすると 96-6-8-10 = 72 発になり、やはり誘導レーダー 1 基あたり 24 発になる。 VLS の場合は、任務によって搭載ミサイルの数をセル単位で柔軟に入れ替えることができるのも大 きな利点であるので、艦によって配分が異なると思うカ源則的にあてはまることがわかる。 むらさめ級は、主砲および短 SAM 用に FCS-2-31 を 2 基搭載している。艦の揺動を補正可能な フェイズド・アレイ・レーダーである。試作型から時分割可能で、砲とミサイルの同時誘導が可能 なので、 1 基の同時交戦可能な目標数は 2 以上あるはずだが、処理能力上の制限があるのかミサイ
ることが困難だったためだろう。アーレイ・バーク級並の高さに設置させるには、新しい器が必要 になってくる。残念ながら中国が用意できる船体がこれしかなかったからなのだ。 055 型 中国が手に人れた新しい器が本級である。従来の駆〕監では装備品が増えたにもかかわらず、小 型化が進まない事から手狭になり、これ以上の性能向上は困難だった。そのため一気に船体を拡大 することで対処したのだろう。満載排水量は 13000 トンを超えるもよう ( あきづき級の倍の大き さになる ) 。おかげでレーダーもたくさん詰めるようになり、 VLS も一気に 112 セルに増えた。 搭載する多機能レーダーは 346B 型といわれているが、詳しい内容は不明。 オールガスタービン艦 (COGAG) になったので最高速力は 30 ノット以上、燃料もたくさん詰 めるようで航続距離は 18 ノットで 5000 カイリになった。何しろそれまでが 15 ノットで 4500 カイリしかなく、たかなみ級の 18 ノットで 6000 カイリと比べると、実質半分しかなかったから だ。良いことづくめだが、国産 ? 空母といい、建造費もそうだが、維持できるのか心配だ。 中華ィージスのひみつ 当たり前の話を何度書くのか、とお叱りのことばが飛んで来ようと何度も書く。ィージスシステ ムを搭載している軍艦だけがイージス艦であり、いかに似たような防空システムを搭載していよう とそれはイージス艦とはいえない。ある程度、軍事的な知識を有している人間 ( 「軍オタ」無用 ) ならば、 APAR を搭載しているザクセン級ミサイル駆逐艦を見てもイージス艦とは言わないだろう。 あまりにも外観が異なるから。そうなのだ、 〃 ( 月形のでつかいレータがイついている - かィージスたン という本シリーズで言い始めたセリフは、今やイージス艦のわかりやすい見分け方として採用され るに至っている。 APAR 艦はそのようなものはないからだ。後部艦橋構造物に捜索用のでつかい回 転式のレーダーを搭載し、マストの四面に lm 四方の ( それなりにデカいが… ) 追尾誘導用のレー ダーが搭載されているので、イージス艦のような巨大な艦橋構造物ではないからである。 052C 型が中華「イージス」と名付けられるのも、アーレイ・バーク級のように艦橋の 4 方向に ( 八角形ではないが ) 四角い巨大なレドームカ漲り付いているためなのだ。逆にあきづき級ゃあさ ひ級護衛艦の場合、タイコンデロガ級やアーレイ・バーク級のレーダーとよく似たレイアウトであ るにもかかわらず、コンパクトにまとめられた C バンドの多機能レーダーは八角形ではあるがあま りでかくないので、イージス艦みたいと言われるかは彳少である。 『イージス艦の経歴シリーズ』では、 FCS-3 搭載艦を和製ィージス艦として扱っているが、それ はイージスシステムと同様のコンセプトで作られているからである。ミサイルの搭載数とレーダー の説明のところで解説させてもらったが、大型の 4 面あるフェイズド・アレイ・レーダーで目標を 常時捜索し、その目標のデータをイルミネータに渡して誘導させる、この方式を採用しているのは ィージス以外では FCS -3 だけなのだ。ある意味、世界の主流から飛び抜けているというか、外れて いる方式だというのを理解していだだいた上で、中華ィージスの話を進めていこう。
ルは同時に 1 目標しか誘導できないようなので、艦としての同時交戦可能な目標数は 2 になる。と いうことで 2X8 = 16 発しか搭載していないのだろう。 はたかぜ級は、 AN/SPG-51 が 2 基に対して Mk13 発射装置を搭載している。対空ミサイルを最 大 40 発搭載できるが、ハープーン対艦ミサイルを搭載できるので、 40-8 = 32 発とすれば、同時交 戦可能な目標数は 4 になる計算だ。アメリカの主力艦が搭載していたレーダーであるし、どのモデ ルからかは知らないがミサイルに対して中間誘導できる能力があるので、 AN/SPCr51 は同時に 2 目標と交戦できるのだろう。ーっの目標に対してふつう 2 発の対空ミサイルを指向するとされてい るので、 8X2 の 16 発という計算だったのかもしれない。 次に APAR ( アーパー ) 防空システムは Sma ル L 捜索レーダーで捉えた目標を、マスト上にある 4 面の X バンドレーダーで誘導を行う。各アンテナは 4 つに分割されており、それぞれに 2 発ずつ 誘導可能で、システム上 32 目標と同時交戦可能とされる。これは単に 1 目標に 2 発を指向させて 誘導できると言ってるだけのような気がするが、素直に読めばアンテナー面で 8 発のミサイルを同 時に誘導できる計算だ。このシステムは飽和攻撃を念頭に置いてないので ( 捜索レーダーが回転式 の L バンド 1 基のみ ) 、 1 面だけか同時に 2 面を誘導に使えば十分と考えているなら、同時交戦可 能な目標数は最大で 8 くらいではないだろうか。ならば搭載するミサイルも最大 64 発で良いこと になる。実質 4 ~ 6 目標ならミサイルは 32 ~ 48 発で良い。これは VLS が 32 セルで、 SM-2x24 発、 ESSMx32 発を搭載しているという話からの類推である。あきづき級も、誘導関係は APAR のタレス社の ICWI アルゴリズムを使っているので、同時交戦可能な目標数は同じく 8 くらいと考 えられる。それに合わせて ESSM を 16 セル分 64 発搭載しているのだろう。 フランスの EMPAR ( 工ンパル ) は、 C バンド 1 面で同時交戦可能な目標数カ撮大 24 。同じく イギリスの PAAMS ( パームス ) は、 S バンド 2 面で同時交戦可能な目標数カ撮大 12 とされる。 いずれも捜索レーダー用の周波数帯を使用しているが、これは使用するアスター対空ミサイルがア クテイプ・レーダー・ホーミング方式なので、目標の追尾と中間誘導だけで十分だからである。た だし、搭載している A50V は 48 セルなので、実質的な同時交戦可能な目標数は同じと考えられ るだろう。 ロシアのピョートル・ヴェルキイ原子力ミサイル巡洋艦 ( キーロフ級 ) は、 S-300F フォールト ミサイルシステムを採用し、 8 発内蔵の回転式弾倉の V を 6X2 基搭載している。後部の 6 基が S -300F フォールト (NATO コード : SA-N-6 ガーゴイル、 48 発 ) で、誘導は 3R41 ヴァルナ ( 同 トップ・ドーム ) レーダーが担当している。前部の 6 基は改良型の S -300 4 フォールト M (NATO コード : SA-N-20 ガーゴイル、 46 発 ) で、 4 番艦の本艦だけが搭載している。誘導は 30N6 ( 同 トウーム・ストーン ) レーダーが担当している。いずれも同時交戦可能な目標数は 6 で、フォー ルト M の数が少ないのは謎だが、一応目標数あたり 8 発が割り当てられていることがわかる。 これと同時に整備されたいわゆるソヴレメンヌイ級ミサイル駆逐艦は、 M -22 ウーラガンミサイ ルシステム (NATO コード : SA-N-7 ガドフライ ) を搭載している。 Mk13 発射装置 ( 各 24 発搭 載 ) とよく似た単装発射装置を艦の前後に搭載する。 1 目標ごとに個別誘導する MR-90 ( 同フロン
から、イージス艦よりも目立つのだ。 052C 型ミサイル駆逐艦が搭載するこのレーダーは H / 凵 G -346 、または 346 型と呼ばれ、 NATO コード名はドラゴンアイである。垂直面に対して 15 。 傾けた状態で固定され、艦首方向から右回りに 45 。・ 135 。・ 225 。・ 315 。の方向にアンテナ平面が向 いている。 4 つのレーダーは完全に 90 。間隔で配置されている。写真が公表されたときに、アーレ イ・バーク級ミサイル駆〕監の AN / SPY - ID アンテナと比べて、取り付け位置カ觝いことからこれ で十分な捜索が行えるのかという疑問が起こっていた。特に煙突のある後方のレーダー射界が確イ呆 されていないがそれでいいのか ? という声もあった。まあ、中国がどれほど不具合のある兵器を造 ろうが、こちらの知ったことではないのだが、改良型の 346A 型を搭載した後継の 052D 型ミサイ ル駆逐艦でもそのレイアウトは変化がなかったので、それで問題ないのだろう。とりあえず、中華 ィージスのスペックを示しておこう。ただし、資料によって数値はマチマチで、あくまでもこんな ところかなあ ? と言うくらいでとどめておくのが吉である。基本は 052C 型を示し、 052D 型で変 更のある項目は ( ) 内に表記している。 満耕ヨ冰量 全長 全幅 吃水 機関 主機 最高速カ 航続距離 乗員 兵装 射撃指揮装置 ソナー 電子戦 7 , 000 トン ( 7 , 500 トン ) 155.5m 17.2m ( 18m ) 6 . lm ( 6.5m ) CODOG 方式 2 軸推進 MTU 20V956 TB92 ディーゼルエンジン 2 基 DA80 ガスタービンエンジン 2 基 ( QC -280 スタービンエンジン 2 基 ) 最大 29 ノット 4 , 500 海里 [ 15 ノット巡航時 ] 280 人 Y 」 -62 SSM 4 連装発身寸機 2 基 ( 発身寸機なし VLS に搭載 ) HHQ-9A SAM 用 VLS 6X8 基 (HHQ-9B? SAM 用 VLS 64 セル ) ( H / 円 -12 30mmClWS 1 基 [ 艦橋前 ] HQ-IO 近接対空ミサイル 1 基 [ 後音財冓造物上 ] ) H / 円 -12 30mmCIWS 2 基 H / 円 -871 OOmm 単装速射砲 1 基 ( H / 円 -38130mm 単装速身寸砲 1 基 ) 7424 型三連装短魚雷発射管 2 基 H/ZB 」 -1 戦術情報処理システム 3 A 型主砲用レーダー 1 基 MR -331 SSM 用 1 基 347G 型 CIWS 用 2 基 H / 凵 G346 型固定型多機能レーダー 4 基 517H -1 型長距高財叟索用レーダー 1 基 364 型低空警戒 / 対水上レーダー 1 基 H/S 」 D-9 型ハルソナー 1 基 (VDS/TASS ソナー 1 式 ) ( H / 凵 G346A 型 4 基 ) N -6 型電子戦システム ( H / z -726 型電子戦システム ) H / Z -726-4 型 18 連装デコイ発身寸機 4 基 Ka-28C / z-9 対潜ヘリコプター 1 機 (Ka-28C 対潜ヘリコプター 1 機 )