可能性 - みる会図書館


検索対象: 中華イージスのひみつ
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1. 中華イージスのひみつ

052C/052D 型はイージス艦と似ているのは見かけだけ、結局は世界の主流からは外れないレー ダーシステムである。当然だが世界最新でもない。世界のハイテク企業を国内に招いて、最新技術 の移転に躍起となっている国が、世界最先端のレーダーシステムを作れるわけはないだろう。日本 の新幹線やドイツの ICE を丸ごとパクった車両を、自国の技術だけで作ったと言い張る国なのだ。 日本はともかく、アメリカやヨーロッパ諸国に対しては独自技術と言いながら、こっそりライセン ス料を支払っている可能性もないとは言えないが。 何十年か先には、中国から世界最先端の技術が発信されるかもしれない。中国ン千年の歴史がそ の可能生を「否」と言いそうなのだが、可能性はゼロではない。だが我々は今の話をしている。し かも中華ィージスの開発時の話となると、 20 年近く前の話になる。 20 年前の中国の状況 ! 若い人 にはわからないだろうから、年配の人に聞くと良いだろう。改革開放が進んで、「中国らしい ? 中 国」の姿は消えつつはあっても、まだ「古い中国」は色濃く残っていた。現在における巨大な高速 鉄道網はほとんど計画だけであったし、都市における地下鉄もそれほど走ってはいなかった。そん な頃に、最新のレーダーシステムをどこかから拾ってきたのだろう。そのためにわざわざ対空ミサ イル搭載艦年表を作成したのだ。それをたどれば、ロシアに落ちていたという結論になる。 スラヴァ級ミサイル巡洋艦の設計にあたっては、 3R41 レーダーを 3 基固定装備すればという案 があった。実際には予算の関係で、 052B 型と同様 1 基しか搭載していないが。すでに述べたよう に 3R41 は同時に 6 目標と交戦できるフェイズド・アレイ・レーダーである。フェイズド・アレイ・ レーダーを 3 基固定装備している例を挙げておくと、ジェラルド・ R ・フォード級原子力航空母艦 がその代表となる。この空母は全天の捜索に AN/SPY-3 多機能フェイズド・アレイ・レーダーを 艦橋の 3 面に搭載しているが、それと同様な方法で 3R41 を搭載しようと計画があったのだ。 フェイズド・アレイ・レーダーは、位相をずらすことでレーダー波の出す向きを変えることがで きる。どこまでずらせるかというと、最大でレーダー面に垂直な線に対して左右 60 。 ( つまり入射 角 60 。 ) までなんとかなる。もっとも入射角が 60 。になると、 0 。と比べてアンテナが受ける電波量が 半分になるのでそれなりの対応が必要となるが、 3 基あれば各 120 。のレーダー射界を確保できて、 全周に対応できるからである。 スラヴァ級で実現できなかったとはいえ、実際に搭載することを検討していたのだから、詳細な 図面カされていたはずである。 051 型がソ連ではポツになった駆逐艦の図面を流用して建造した 可能性があるように、ソ連崩壊の混乱に乗じて、ロシアからポツになった 3 基固定装備の図面を手 に入れたか、建造中止か解体のどさくさ紛れて実物を手に入れたか、そのときの設計者を手に入れ ることができた可能性が高いのではないか。 052C 型が搭載している H / 凵 G -346 レーダーは、 3R41 レーダーを艦橋の 4 面に配置したレー ダーシステムと推定される。 4 面なら最大入射角は 45 。で済むため、隣のレーダーへのデータの受 け渡しはやりやすくなるため、イージスシステムや FCS -3 は 4 面配置をしている。ただこのシス テムでは 4 面設置されているが、導入された時期および誘導レーダーに過ぎない点から見て、同時 に作動するアンテナは一面のみ、データの受け渡しはない、というところだと考えられる。なぜな ら陸上部隊のシステムでは、対空ミサイル部隊単位で何両かのミサイル搭載車両に対応するレーダ - 14 -

2. 中華イージスのひみつ

ルは同時に 1 目標しか誘導できないようなので、艦としての同時交戦可能な目標数は 2 になる。と いうことで 2X8 = 16 発しか搭載していないのだろう。 はたかぜ級は、 AN/SPG-51 が 2 基に対して Mk13 発射装置を搭載している。対空ミサイルを最 大 40 発搭載できるが、ハープーン対艦ミサイルを搭載できるので、 40-8 = 32 発とすれば、同時交 戦可能な目標数は 4 になる計算だ。アメリカの主力艦が搭載していたレーダーであるし、どのモデ ルからかは知らないがミサイルに対して中間誘導できる能力があるので、 AN/SPCr51 は同時に 2 目標と交戦できるのだろう。ーっの目標に対してふつう 2 発の対空ミサイルを指向するとされてい るので、 8X2 の 16 発という計算だったのかもしれない。 次に APAR ( アーパー ) 防空システムは Sma ル L 捜索レーダーで捉えた目標を、マスト上にある 4 面の X バンドレーダーで誘導を行う。各アンテナは 4 つに分割されており、それぞれに 2 発ずつ 誘導可能で、システム上 32 目標と同時交戦可能とされる。これは単に 1 目標に 2 発を指向させて 誘導できると言ってるだけのような気がするが、素直に読めばアンテナー面で 8 発のミサイルを同 時に誘導できる計算だ。このシステムは飽和攻撃を念頭に置いてないので ( 捜索レーダーが回転式 の L バンド 1 基のみ ) 、 1 面だけか同時に 2 面を誘導に使えば十分と考えているなら、同時交戦可 能な目標数は最大で 8 くらいではないだろうか。ならば搭載するミサイルも最大 64 発で良いこと になる。実質 4 ~ 6 目標ならミサイルは 32 ~ 48 発で良い。これは VLS が 32 セルで、 SM-2x24 発、 ESSMx32 発を搭載しているという話からの類推である。あきづき級も、誘導関係は APAR のタレス社の ICWI アルゴリズムを使っているので、同時交戦可能な目標数は同じく 8 くらいと考 えられる。それに合わせて ESSM を 16 セル分 64 発搭載しているのだろう。 フランスの EMPAR ( 工ンパル ) は、 C バンド 1 面で同時交戦可能な目標数カ撮大 24 。同じく イギリスの PAAMS ( パームス ) は、 S バンド 2 面で同時交戦可能な目標数カ撮大 12 とされる。 いずれも捜索レーダー用の周波数帯を使用しているが、これは使用するアスター対空ミサイルがア クテイプ・レーダー・ホーミング方式なので、目標の追尾と中間誘導だけで十分だからである。た だし、搭載している A50V は 48 セルなので、実質的な同時交戦可能な目標数は同じと考えられ るだろう。 ロシアのピョートル・ヴェルキイ原子力ミサイル巡洋艦 ( キーロフ級 ) は、 S-300F フォールト ミサイルシステムを採用し、 8 発内蔵の回転式弾倉の V を 6X2 基搭載している。後部の 6 基が S -300F フォールト (NATO コード : SA-N-6 ガーゴイル、 48 発 ) で、誘導は 3R41 ヴァルナ ( 同 トップ・ドーム ) レーダーが担当している。前部の 6 基は改良型の S -300 4 フォールト M (NATO コード : SA-N-20 ガーゴイル、 46 発 ) で、 4 番艦の本艦だけが搭載している。誘導は 30N6 ( 同 トウーム・ストーン ) レーダーが担当している。いずれも同時交戦可能な目標数は 6 で、フォー ルト M の数が少ないのは謎だが、一応目標数あたり 8 発が割り当てられていることがわかる。 これと同時に整備されたいわゆるソヴレメンヌイ級ミサイル駆逐艦は、 M -22 ウーラガンミサイ ルシステム (NATO コード : SA-N-7 ガドフライ ) を搭載している。 Mk13 発射装置 ( 各 24 発搭 載 ) とよく似た単装発射装置を艦の前後に搭載する。 1 目標ごとに個別誘導する MR-90 ( 同フロン

3. 中華イージスのひみつ

ので、相変わらず短 SAM のままである。まあ英語の EvoIved とか Advanced とかいう仰々しい 形容詞がつくと画期的な改良が行われたと勘違いしてしまうが、マイナーチェンジされただけの「新 型」という場合が多かったりするので注意が必要である。だから外観が大幅に変わる分だけ、クル マのフルモデルチェンジの Fu Ⅱの方がマシに思えてくるだろう。 この対空ミサイルの搭載数というのは、実のところ対空ミサイルを誘導するレーダー ( 一般的に はイルミネータと言われる ) が個別目標に対して同時にミサイルを誘導できる数で決まると言われ ている。 アメリカのカリフォルニア級原子力ミサイル巡洋艦は、 Mk13 単装発射装置を前後に 2 基搭載し ている。この発射装置は、船体内弾庫に 40 発のミサイルを収容しているが、誘導装置である AN/SPCr51 は前後に 2 基ずっ搭載している。ほぼ同様のシステムを搭載するはたかぜ級ミサイル 護衛艦は、 Mk13 単装発射装置を前部に 1 基搭載し、艦橋構造物上に AN/SPG51 を 2 基搭載し ている。というように、発射装置 ( 搭載ミサイル数 ) に比例した誘導装置を搭載している。 Ⅵ爲ではセル数に比例するようで、タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦は、 CG-52 以降の VLS 搭 載艦は 128 セル分搭載し、ミサイル誘導用の AN / SPG -62 レーダーを 4 基搭載している。これに 対し、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦はⅥ爲を 96 セル分搭載し、ミサイル誘導用の AN/SPG-62 レーダーを 3 基搭載している。日本のこんごう級も原型のアーレイ・バーク級と同じ 配置である。このようにミサイルを誘導するレーダー数や性能に応じた数を搭載している。誘導用 のレーダーは互いに干渉しないように前後に背負式に搭載されているが、タイコンデロガ級のみ大 きな艦橋構造物の上に左右並べて搭載している。背負式にして高い位置に搭載することを嫌ってか、 反対舷への誘導ができないという不利を押して、むりやり 4 基搭載していることからもこの原則は 絶対的なものと思われる。 このように比例しているなら同時に個別目標に誘導できる数で、搭載ミサイル数も決まってくる ことになる。 V 搭載艦の場合なら、同時交戦可能な目標数の 8 倍前後というのが大まかな目安だ そうだ。 タイコンデロガ級の場合、スタンダードミサイルの数は、 128-6 ( 再装填装置分 ) -16 ( アスロッ クミサイル数 ) -10 ( トマホークミサイル数 ) = 96 発と考えると、誘導レーダー 1 基あたり 24 発に なる。このレーダーが同時交戦可能な目標数は 3 といわれているので、いささか数合わせの感もあ るが同時交戦可能な目標数 x8 発になる。これをアーレイ・バーク級に当てはめると、アスロック の数を半分の 8 発にすると 96-6-8-10 = 72 発になり、やはり誘導レーダー 1 基あたり 24 発になる。 VLS の場合は、任務によって搭載ミサイルの数をセル単位で柔軟に入れ替えることができるのも大 きな利点であるので、艦によって配分が異なると思うカ源則的にあてはまることがわかる。 むらさめ級は、主砲および短 SAM 用に FCS-2-31 を 2 基搭載している。艦の揺動を補正可能な フェイズド・アレイ・レーダーである。試作型から時分割可能で、砲とミサイルの同時誘導が可能 なので、 1 基の同時交戦可能な目標数は 2 以上あるはずだが、処理能力上の制限があるのかミサイ

4. 中華イージスのひみつ

レンハイ ) が進水して話題を呼んでいる。現代は何隻かの水上戦闘艦からなるグループ内で指揮を 担当する艦が巡洋艦、または巡洋艦相当のフネとされている。巡洋艦の新〕監は全くなく、そもそ も巡洋艦という艦種そのものが消えてしまいそうなご時世である 巡洋艦なんてもの造ろうと したら、そんな高い買い物をするなと、空軍と陸軍から猛反対が来て計画中止になるからだ。普通 の艦でさえ反対の声を減らすため、満載排水量ではなく基準排水量で予算を通している国があった り、満載排水量を意図的に少なく公表する国があったり、実際の排水量よりもワンランク下の艦種 ( 巡洋艦→駆逐艦→フリゲイト→コルヴェット ) で呼ぶ国があったりするのだ。まったく世知辛い 世の中である。 どっちだと問われれば、巡洋艦と言えば巡洋艦だし、駆逐艦と言えは駆逐艦というあいまいな答 えになってしまう。現時点では 055 型は 1 番艦の南昌 ( なんしよう、ナンチャン ) をはじめとし て 6 隻が健造されている。上海の江南造船で 3 隻、大連船舶重工で 3 隻ずつ建造されている ( さら にあと 1 隻ずつ計画 ) ということは、空母が瀧属される可能性が高い北海艦隊と餽監隊に 3 隻ず つ配属するつもりだろう。 3 隻いれば、常時 1 隻が可動状態になるので、空母が出動する必要がで きたときに即対応ができる。空母艦隊の防空が可能な駆 ) 監はたくさんあるが、いずれも蒸気ター ビン艦か CODOG 式のガスタービン艦で、 30 ノット以上の最高速力は期待できないし、艦の大き さの関係で燃料をあまり積めないため航巨離もおぼっかない。お散歩用の護衛艦でしかないのだ。 中国艦に足りなかった高速性能と航続距離を確保しようとすると、この大きさにせざるをえないの だろう。南沙諸島で空母と共に番を張るのだろう。航空母艦の単なる随伴艦として短いローテーシ ョンで艦隊に加わる他の駆逐艦やフリゲイトのまとめ役なら、委員長、いやいや巡洋艦と考えられ るだろう。 ちなみに NATO は、コルヴェット・フリゲイトのコードネームには "Janæ" 「江〇」を、駆逐 艦のコードネームには "Luæ”「旅〇」カ駛われている。 055 型には "Renæ" がイ吏われていると いうことは、駆逐艦ではないと言いたいのだろう。巡洋艦といいたいのか ? いや違うはずだ、 排オ奇か刀刀よク大きくて一でなければ第劜である / というのが言いたいために、今この項目を書いていたりする。相手にしてもらえないだろうなあと 思うが、 055 型は駆逐艦とここに宣言しておこう ( ミサイルフリゲイト時代の DLG はほとんどミ サイル巡洋艦 CG になったという戯言は無視する ) 。 あと変わったところで、資料によって Ren にあてられる漢字がコロコロ変わるのだ、 20 年以上 前の話だが、 hu には湖が最初あてられていたのが、いつのまにか滬が割り当てられていたという例 もあるので、何になるかは不明である。一応、日本語で書かれている資料では、本命は「人」で、 対抗は「任」になっている。ついでに書いておくと、大穴は「忍」である。中国のサイトを見ると、 軒並み「忍海級」と書いてあるからだ。中国が公式な NATO コードに対応する漢字を忍海だと押 し切ればそうなるだろうし、西側のコードにロ出し無用と言い切れれば人海になるのではないと思 うが、同じ読みの漢字がたくさんあることを今更ながら驚いている次第である。 055 型のメインレーダーの名称は H / 凵 G -346B なので、基本的な性能に変化はないだろうが、 艦橋にへばりついている四角い板は捜索追跡用のレーダーのみになり、マストにひつついている小 型のフェイズド・アレイ・レーダーとおぼしきモノが、追尾誘導用レーダーとして独立するのか ?

5. 中華イージスのひみつ

デザインも良く性能的にも十分な艦に仕上がっていることもあり、長期間にわたり建造されてい る。第 1 バッチが 4 隻、第 2 バッチが 12 隻建造され、少し間を置いて第 3 バッチが 10 隻、第 4 バッチが 4 隻 ( 増える可能性あり ) 建造されているが少しずつ改良が加わっていると思われる。第 3 バッチからゴールキーパーそっくりな CIWS ( 730 型 ) が 11 銃身の 1130 型に換装され、可変 深度 / 曳航式ソナーを搭載しているところから、 054A + 型と呼ばれている。 052B 型 深蜩は、 2010 年代に 054A 型に準じた兵装に近代化改装され、ミサイル駆逐艦に分類されるよ うになった。中国海軍の看板娘であり、艦内のスペースも十分あるので、思い切った改装を行った ようだ。 SA-N-6/20 系列搭載艦 ソ連が初期に開発した S -75 (NATO 名 : SA-2 ガイドライン ) をはじめとする第 1 世代の地対空 ミサイルを代替する新型システムが、 S -300 ( 同 : SA-IO グランカレ ) である。多目的レーダーを 使い複数目標と同時交戦が行え、迅速に展開かっ撤収が可能な完全移動型システムを採用し、保守 に優れる発射筒内蔵式のミサイルを使用する。この対空システムを艦載用に移植したのが S-300F フォールト (SA-N-6) である。 陸軍向けの輸出用 S -300 では、反射式レーダー・アレイを搭載する捜索用レーダー車両 ( 64N6E 、 NATO コード : ビッグバード ) と、透過型レーダー・アレイを搭載する誘導用レーダー車両 ( 30N6E1 、 同 : フラップリッド ) および、一発ごとにミサイルを収納した発射筒を 4 基搭載した車両ほかから 構成されている。このままフネに搭載することが灘しいのがわかっていためか、開発設計局とは違 うアルテア研究所に任せた。捜索と追跡はメインマスト上の MR -710 / 750 フレガート ( 同 : トッ プ・スティア / トップ・プレート ) 三次元レーダーに担当させ、追尾誘導を担当する 3R41 ヴァル ナ ( 同トップ・ドーム ) レーダーと組み合わせている。 3R41 はおつばいのような形をした半球状 のレドームを持っているため誤解されやすいが、フェイズド・アレイ方式の多機能レーダーで、 12 の目標を追尾してそのうちの 6 目標に対してミサイルを誘導できる優れモノである。 052C 型 ご存知最初の中華ィージス、 NATO コード Luyang 、旅洋Ⅱ型ミサイル駆逐艦である。巨大なレ ドームに隠されたレーダーは、さまざまな憶測を呼んだ。一番笑ったのが、中に入っているのは普 通のパラボラ式レーダーで、上下左右に振り回すスペースだという説だった。それを否定するため か、割と早い時期にフェイズド・アレイ・レーダーなのはホンモノで、アンテナが加熱するのを抑 えるためだという話が出回っていた。四隅に四角い穴が開いていて、右から左へか、左から右へか はわからないが、冷気を強制循環させてアンテナ表面を冷やしているそうなのだ。コレは HHQ-9 共々にこのアンテナを搭載し、性能言鵡を実施した言鵡艦畢昇 ( ひっしよう、ピシェン ) の写真か らも類推される。アメリカがイージスシステムをノートン・サウンドで言鵡したように、中国もき

6. 中華イージスのひみつ

まあ想像図は適当なものが多すぎるし、進水した状態では実際の艤装された状態がわからないので、 憶測合戦は就役してからにしよう。 ( 補遺 ) 陸上型ィージスについて なんでこんなもんを買おうとするのよ ? ( ページ数確イ呆のため書いてみた ) 北朝鮮とアメリカの首脳会談が実現して、危機は存在するものの解決に向けて動き出している時 に、何を声高に北朝鮮の弾道ミサイルに対抗する軍事施設 ( 陸上型ィージス ) を新設するかという 反対の声がある。政治的に言えば日本はほぼ埒外に置かれているから、交渉決裂に備え対応手段を いくつも用意するのは当然であるという賛成の声もある。まあどっちの意見もイマイチなのだが、 本当に解決してしまったら、完璧に無用の長物になることだけは忘れないでいただきたい。これに 使う予算をプールしておいて、解決した際に北朝鮮にばらまかれるカネ ( 無心されるにきまってい る ) の一部にあてた方がマシな気もするのだが。 陸上型ィージスというのは、 Aegis Ashore という、イージス艦が搭載しているイージス武器シ ステムだけを抜き出して、地上に設置する = 逃げることが不可能なミサイル防衛基地のことである。 地上固定型レーダーということは、ピンポイントで電子妨害が可能になるし、ピンポイントで攻撃 が可能になる。こっちから見られるということは、向こうからも見られるっていうことを意味する。 日本は専守防衛ということばに酔える国なので先制攻撃を許してしまうだろうから、真っ先に無力 化されそうだけど。この脆弱なレーダーサイトを守るために、陸自の移動式対空ミサイル隊を多数 配備し、空自と海自に制空をお願いする茶番が待っていないことをただ祈るばかりである。 ここは敵の攻撃を察知すると、自動的に防衛システムがアラートを発し、レーダー周辺の芝生が 持ち上がり、その下から無数の地対空ミサイルが顔を覗かせる。道路が地下に沈んだかと思えば、 実はそこがエレベーターになっていて、そこから対空ミサイルを搭載した WOL 戦闘機が現れ、道 路を滑走路に矢巨離発進して要撃に向かう…くらいはしてもらいたい。どうせ税金を投入するなら ば。冗談で流すなと叱られそうだが、無傷で守り切る必要のある施設なのだから、それ相応の = 多 重の防衛手段が必要なのは明白だ。施設は 12 人で充分と言っているが、この重要機密施設を敵兵 の侵入から守るために、どれだけの人員を配備しなければならないのか。しかも対テロ戦の精鋭達 でなければ案山子にしかならないだろうし、冗談を言えるうちが花に思えてくる。 陸上型ィージスの売り文句に 1000km 先が見える長距離レーダーというのがあるが、見えれば それでよいものではない。大事な性能ーーーーーどれだけの精度で見えるのか ? ステルス対策の航空機 やミサイルが言嬲リできる距離は ? 水平線上の目標のレーダー到 ) 巨離は ? という議論がない ( もっと大事なものがあると思うが素人には伺いしれないのでパス ) 。あと、見えた「目標」をど う処理するかの話が出てこない。当然ミサイルで撃ち落とすのだろうが、イージス武器システムで 動いているはずなので、使えるのは実質的にスタンダードミサイルだけだ。通常の防空任務は艦対 空ミサイルであるスタンダード SM-2 ということになるが、弾道ミサイル防衛用に購入するので、 - 17 -

7. 中華イージスのひみつ

主力ミサイルはスタンダード SM -3 ということになる。だとすれば、調達予算はうなぎ登りに高く なることは間違いないだろうと思っていたら、案の定ミサイルの代金が入っていなかったと大騒ぎ になるのであった。 連邦政府の 2016 年度会計年度で SM-3 プロック IB が 1400 万ドル、プロック IIB に至っては 2000 万ドル以上するようなので、ミサイルを揃えるだけで防衛予算カ頓いてゆく。日本向けの上 乗せ価格をとなると、プロックⅡ B は一発 40 億円になるだろう ( 2400X1.5X110 ) 。軍事的に必 要な数を揃えようとするなら、これを北朝鮮が保有する弾道ミサイル x 2 + 予備弾 ( 中口に備える んだろ ? ) だけ揃えなければならないのだ。実際に何発になるのか知るよしもないが、調達するに は金額も時間も必要になるので、適当な数を導人して終わりになると思える。ということで実質的 な弾道防衛戦力として期待しないほうが幸せだろう。 ところがこの役に立ちそうにないこの陸上型ィージスの導入に、ロシアが豸盃反対しているのだ。 サイル防衛網がたいして強化されるわけでもないのになぜ ? と思っていたら、日本がトマホーク サイルを導入する可能生があるからというのカ鯉由だった。ィージス艦の場合は、交戦目標は敵 艦艇に限られているので、地上目標に対する攻撃はせいぜい艦砲射撃でお茶を濁すくらいなので、 護衛艦にはトマホークミサイルが導入される隙はない。ところが陸上型ィージスは新しい箱物なの で、どさくさに紛れて納入数されてしまうことを気にしているのだ。調達費用は、本体そのものが 当初予算よりはるかに上回るはずなので、上昇分の中に適当な要目を人れて購入代金をごまかせそ うだ。日本が密かに保有しようしているのか、アメリカが勝手に持ち込んで既成事実にするかは、 ロシアにとっては関係ない。もし陸上型ィージスのミサイルサイトにトマホークが入っていたら、 不沈空母「日本列島」にトマホークが搭載されることになるからだ。 極東ロシアの立場から言うと、日本に対して攻撃の意思を確認したからといって先制攻撃は不可 能である。大陸沿岸に迫ってきた日本艦に対してミサイルをぶっ放すことはできても、日本本土に 対するミサイル攻撃はおいそれとはできない。まあ日本はトマホークに余分のカネを使いたくない だろうから、実際に導入される可能性はほとんどないと思えるが、妙な憶測を生むようなものをわ ざわざ買うのはやめた方が無難なのだが。 だが、買うと決めている以上、さらなる問題が立ちふさがる。それはどちらのレーダーを搭載す るかという大きな問題だ。えっ ? ィージスシステムでしよ、レーダーって一種類じゃないの ? とい われそうだが、いまやイージスシステム向けのレーダーは、 SPY-I 以外に存在するのだ。これとい うのも、新型艦であるズムウォルト級ミサイル駆逐艦とその代替となるアーレイ・バーク級ミサイ ル駆逐艦フライトⅢ向けに新型レーダーが開発されているからある。で、陸上型ィージスの候補 となるのは、いずれも S バンドレーダー搭載の次の 2 っとなる。 ①ロッキード・マーチンの SSR (solid state Radar) 案 ②レイセオンの AN / SPY -6 案 前者は、おそらくズムウォルト級に搭載予定だった AN/SPY-4 として搭載予定だった VSR (Volume search Radar) そのものか、それの改良型と思われる。ズムウォルト級は S バンドの VSR で広域捜索を行い、 X バンドの MFR (Multi Function Radar) で水上捜索とミサイル誘導を 分担する予定だった。ところが前者の VSR はキャンセルされ、なぜかレイセオンカ鯛発した後者

8. 中華イージスのひみつ

明星艦」と呼んでいるように、自信作と考えていたようで世界各地に派遣されており、東京の晴海 に来たのがコレ。 AERA 誌上で叩かれて、無用な怒りを買ったのは有名な話。クロタルでは拠点防 御 point Defense しかできないことがわかっていたためか、後述する区域防御 Area Defense 能力 を持つ現代級の購入が決定したため、 2 番艦は建造が中止されたといわれている。本艦の主機は蒸 気タービン艦だが、蒸気タービン搭載弱監は 051 シリーズ、ガスタービン搭載弱監は 052 シ リーズとして建造している。 054 型 NATO コード Jiangkai ( チャンカイ ) 、江凱 ( こうがい ) I 型フリゲイト。主力水上戦闘艦では 最後のクロタル 053H3 型では艦型に対して重武装だったため、 4000 トンまで船体を拡大して、 ステルス性能や航洋生を向上させているとともにスマートなシルエットになった。と思われていた が、艦型を大型化したのは次に述べる SA-N-7/12 系列の対空ミサイルを搭載するためだったよう で、結局積み過ぎ問題は継続することになる。大型化した新たなフリゲイト用の船体を新造するこ とになるので、 054A 型の習作として建造されたようで、建造は 2 隻で終わっている。 そのスマートな艦型がフランスのラファイエット級フリゲイトと似てるではないかという指摘が ある。中国艦らしからぬ垢抜けたデザインと、ラファイエット級と同じディーゼル主機を搭載して いるからだ。またパクリかよ ! という声が聞こえそうだが、ただパクってもばっと見だけで、まと もなフネができるわけではないことはわかっているので、艦全体の設計に協力してもらった可能性 が高いと思われる。 SA-N-7/12 系列搭載艦 後に第 4 次中東戦争においてアラブ禪営で大活躍する 2K12 クープ (NATO 名 : SA-6 ゲインフ ル ) 低・中高度ミサイルシステムの後継として開発されたのが、 9K37 プーク (NATO 名 : SA-II ガドフライ ) である。前者が同時に 1 目標しか誘導できなかったのに対し、同時に 6 目標まで対処 できるようになったのが大きな特徴である。 これの艦胡仮が 3K90 ウーラガン (NATO 名 :SA-N-7 ガドフライ ) である。ミサイル本体 9M38 は、形も性能もアメリカのスタンダード SM - IMR とよく似ているが一回り以上大きい。また Mk13 単装発射装置によく似た、 24 発収納可能な 3S90 発射装置を使用している。 956E 型 / 956EM 型 冷戦時代にこの対空ミサイルを搭載したのはソヴレメンヌイ級ミサイル駆逐艦であった。本級は 発射装置を前後に 2 基搭載し、射撃指揮用の 3R90 レーダー (NATO 名 : フロントドーム ) を 6 基搭載した。ソ連崩壊により建造中だった軍艦は、建造がストップされ船台上で野ざらしになる。 その後猛烈なインフレに襲われ、多くの艦が放棄され、旧ソ連海軍は急速に縮小していった。軍関 係者は自分たちの技術を切り売りすることで、命脈を保つことを余儀なくされたのだった。 この流れに乗って、中国は建造が中断されていた同級の 18 番艦 19 番艦の 2 隻 ( 956E ) を完成後

9. 中華イージスのひみつ

に買い取り、 2000 年に中国艦として就役した。後に、対艦ミサイル・対空ミサイル・砲を新型に 変えた 2 隻 ( 956EM ) を新たに発注し建造している。おそらくこちらは、他のミサイルシステムを購 入する際に、抱き合わせで買わされたものと思われる。中国海軍は、 TAVITAC の導入により近代 的な戦闘システムを手に入れたものの、艦隊防空能力は欠けたままだった。西側から援助の延長で 手に入れようとしたが無理とわかり、ロシアから手に入れる道を選んだのだろう。 ' こに至り中国 はついにミサイル駆逐艦を手に人れたのだった。ソヴレメンヌイ級の艦名は、このサイズの水上戦 闘艦にならい形容詞を冠している。ネームシップが「現代の」という意味を持っことから、中国で は現代級と呼ばれている。 052B 型 051B 型にソヴレメンヌイ級の戦闘システムをまるごと移植したのが、 NATO コード Luyang( リ ューヤン ) 、旅洋 ( りよよう ) I 型ミサイル驪監である。 051B の船体を元に、艦隊防空システム に対応できるように設計を見直したモデルのようで 2 隻のみ建造されている。武装はかなり異なる ものの、コードネームである Luyang が共通なのは、中華ィージスである C/D 型と船体部分が共 通しているためだが、 I 型もⅡ型も大して変わんねえだろうと言いたいだけかも。 搭載している輸出向けのシューチリ・ミサイルシステムは、現代級の最初の 2 隻と同時に購入し たのだろう。 TAVITAC の中国版である z -4 型の武器システムに、 SS-N-12 のシステムを統合し た新しい z -5 を搭載している。この武器システムの開発が、中華ィージスと呼ばれる 052C 型の 開発を大きく助けているはずだ。なお発射装置を前後に 2 基搭載しているが、射撃指揮用の 3R90 レーダーは 4 基しか搭載していない。ケチったのか、艦橋構造物のスペースが足りなかったのか、 残りをリバースエンジニアリングに回したのかはわからない。 054A 型 6600 トンと言われる 052B 型の戦闘システムを、 054 型フリゲイトに詰め込んだフネが、 NATO コード Jiangkai 、江凱Ⅱ型ミサイルフリゲイトである。中ロ共同開発か一方的なパクリか は不明だが、 SS-N-12 用輸出向けモデルを HHQ-16 として搭載している。 Mk41VLS そっくりな 8 セル一組のⅥ爲を 4 基、計 32 セル搭載している。誘導用レーダーは MR -90 で、 052B 同様 4 基 搭載している。スタンダード SM ー IMR よりも大型のミサイルを 32 発も搭載したため、かなりの重 武装艦になっている。 054 型よりも船体は若干拡大し喫水も深く取っているので、排水量は公表値 よりもかなり増えているだろう。 スタンダードミサイルでは、元々発射レールに装填してから発射していた流れから、 Mk41 では セルに納められた段階で装填したと考え、セル内でロケットモーターに点火を行うホット発射方式 を採用している。 HHQ-16 もレール式から VLS の流れからホット発射と思われたが、オリジナル のシューチリ 1 ミサイルと同様にコールド発射方式の可能性が大きい。コールド発射方式はガスで セルから打ち出し、その直後に点火して方式である。セルのモジュールごとに発射炎の処理を行う のは面倒であるし、船体内で点火に失敗するだけならともかく、異常燃焼を起こしてしまうと艦に 大きな損傷が出てしまうことを避けるために採用されている方式である。

10. 中華イージスのひみつ

なお哈爾浜が就役した時点では、 Luhu には旅湖という漢字が当てられていた。 053H3 型 旧ソ連から提供されたフリゲイトの延長線上に建造されたのが、 053H / HI 型フリゲイトである。 NATO コード Jianghu ( チャンフー ) 、江滬 ( こうこ ) I / II / Ⅳ / V 型に分類されるが、このシリー ズから船体設計を大幅に変更し、平甲板型から中央船楼型に改められたのが 053H2 型である。艦 型に止まらず、内部も西側の設計を大幅に取り人れており、 1984 年に一番艦が起工されているが、 中国海軍にとって第 2 次大戦型舟廷から大きく脱皮した最初の近代化された艦と呼んで良いだろう。 にもかかわらず NATO コードは Jianghu のままで、江滬Ⅲ型と分類されている。西側にとっては、 取るに足らない改良に見えたのだろう。なお Luhu 同様に、江湖という漢字が当てられていた時期 がある。 江滬型の就役で水上打撃力は向上したが、対空能力はほぼ皆無であった。中央船楼型は変わらな いが船体幅を拡大して、艦対空ミサイルとヘリコプターを搭載できるようにすることで大幅な性能 向上を図ったのが、 NATO コード Jiangwei ( チャンウェイ ) 、江衛 ( こうえい ) I 型フリゲイトと 呼ばれている 053H2G 型である。矢朝寸程ながら自国製の HHQ-61 対空ミサイルは大いに注目を集 めた。 60 年代から開発を行っていたが、実質的に開発が進むのは 70 年代後半から、標的機を使っ た実射言鵡僉を経て制式化するのは 88 年という長きにわたる開発だった。ミサイル本体はシースパ ローのコピーで、ろ獲した実物を参考にして開発が進められたという。ミサイルは丸みを帯びた円 筒形の発身寸筒に納められているが、これは翼を折りたためなかった初期の SS-N-2 のようにレール に乗せていたためである。発射装置は 6 連装で、誘導は x バンドの 342 型レーダーを使っていた。 スペックは初期のシースパロー並であったが、信頼性の問題もあっただろうし、同時交戦可能な目 標数も 1 だったため、クロタルの導入が決定したこともあり、建造は 4 隻に止められ、中途半端な 性能をもてあましたのか、すべて海警他に転出している。 なにげに中国のフリゲイト艦の歴史を長々と語ってしまったが、ようやく 053H3 型の登場であ る。 053H2 の対空ミサイルをクロタルに変更したのが、江衛Ⅱ型フリゲイトである。ぶっちやけ ていえば、 052 型駆逐艦の兵装を 2400 トンの船体に詰め込んだフリゲイトということになる。も ちろん、戦術情報処理システム TAVITAC シリーズも導入されている。主機はオールディーゼルと いうように、適当にスペックを削っているのだカみ過ぎの観があり、 I 型に比べても排水量は 150 トン増になっている。 I 型にクロタルを積むということも検討されただろうが、単にミサイルを換 装するだけではなく、関係するレーダーや機材の更新、艦内電路の変更など、大幅な改造が必要と なり、コストがかかりすぎるから放置されたのだろう。Ⅱ型も 10 隻カ鍵造されたが、最初の 2 艦 はすでに海外に売却されている。 051B 型 NATO コード Luhai ( リューハイ ) 、旅海 ( りよかい ) 犁駆逐舟訖西側から取り入れた技術を吸 収して、中国が頑張って自力で建造したと思われる。深蜩 ( しんせん ) のみカ鍵造された。「外交