空母 - みる会図書館


検索対象: 中華イージスのひみつ
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1. 中華イージスのひみつ

ちんとテストをして搭載しているんだぞという宣伝写真だが、アンテナ基部の左右にとってつけた ようなパイプが接続しているところから見て、強制循環用の装置が必要なのだろうと思われる。 052C 型の円筒形Ⅵ爲は、オリジナルのような 8 連装回転式にならなかったのは、ミサイルを回 転させる機構のコピーの信頼性がなかったのだろう。採用されたのは 6 発を円筒に並べたⅥ爲だ った。これなら HQ-9 ミサイルの発身寸筒をそのままはめ込むだけなので装填も楽だからだ。 他の艦と同様に 2 隻で建造が終わると思われていたが、就役から 3 年後に北 } 餽監隊向けに 4 隻の 追加建造が始まった。改良型の見通しが立っていたのであわてる必要もなかったのだが、ウクライ ナから買った旧ソ連の元空母を引き取ってこっそりと復元していたフネが完成間近となったため、 急遽必要となる随伴艦用に造ったのだろう。 051C 型 ロシアから輸入した最新の S -300FM フォールト M ミサイルシステムをそのまま搭載したのが、 NATO コード Luzhou ( リューチョウ ) 、旅州 ( りよしゅう ) 型ミサイル駆〕監である。多機能レ ーダー 30N6E は後部艦橋構造物の上に位置し、通常時は横に倒した状態で、戦闘時には起こした 状態で回転させて使用する。このシステムの技術は 052C 型よりも新しいので、 052C 型後期建造 艦や 052D 型に反映していると思われる。 形式からわかるように、主機は蒸気タービンである。現時点で、最後に建造された蒸気タービン 艦である。なぜ 2000 年代になっても採用されたのかは謎だが、建造が中断していた 051B 型の 2 番艦の船体を利用したと言う話もある。よく言われるのが、引き取ってきた元空母からは蒸気ター ビン主機が撤去されていたので、空母用主機の練習として蒸気タービン艦を建造したという話だ。 052D 型 NATO コード Luyang 、旅洋Ⅲ型ミサイル駆逐艦である。新型レーダー ( 346A 型 ) になり、 表面が平らになったのが大きな変化である。これは冷却方式カ啌冷から水冷に変わったためらしい。 空冷方式には大きな欠点があり、冷却効率が低い問題もあるのだが、戦闘や事故でレドームが破損 すると、そのレーダーは過加熱してしまうため使用できなくなるという弱点を抱えることになって いたのだ。そのために艦橋内部で冷却が行えるように改良したらしい。単にレーダーを 30N6E の コピーに変えただけかもしれないが。 水冷化というと聞こえはいいが、メンテナンスが大変になるだろう。まず心配なのが液漏れ。液 漏れを起こしたラジェターのために、国道 1 号線で三度もオーバーヒートを起こしたクルマに乗っ た経験は忘れがたい。また油断すると水は濁ってくるので、ろ過させるなどの対策が必要となる。 対策、しているのだろうか ? SSM も運用できる汎用の新型Ⅵ爲が搭載されている。将来的には巡航ミサイルや対潜ミサイル が開発され、搭載されるのだろう。レーダーが大きくなったため、艦橋も若干大きくなったが、レ ーダーの装備位置は相変わらず低いままだった。装備イ立置が低くなるのは、搭載したシステムに比 べて艦が小さいため、重心の上昇をおさえるためのやむを得ない措置だった。これは船体の大きさ を深蜩から変えていないためで、それは中国力噺たなミサイル駆逐艦クラスの船体を一から設計す

2. 中華イージスのひみつ

レンハイ ) が進水して話題を呼んでいる。現代は何隻かの水上戦闘艦からなるグループ内で指揮を 担当する艦が巡洋艦、または巡洋艦相当のフネとされている。巡洋艦の新〕監は全くなく、そもそ も巡洋艦という艦種そのものが消えてしまいそうなご時世である 巡洋艦なんてもの造ろうと したら、そんな高い買い物をするなと、空軍と陸軍から猛反対が来て計画中止になるからだ。普通 の艦でさえ反対の声を減らすため、満載排水量ではなく基準排水量で予算を通している国があった り、満載排水量を意図的に少なく公表する国があったり、実際の排水量よりもワンランク下の艦種 ( 巡洋艦→駆逐艦→フリゲイト→コルヴェット ) で呼ぶ国があったりするのだ。まったく世知辛い 世の中である。 どっちだと問われれば、巡洋艦と言えば巡洋艦だし、駆逐艦と言えは駆逐艦というあいまいな答 えになってしまう。現時点では 055 型は 1 番艦の南昌 ( なんしよう、ナンチャン ) をはじめとし て 6 隻が健造されている。上海の江南造船で 3 隻、大連船舶重工で 3 隻ずつ建造されている ( さら にあと 1 隻ずつ計画 ) ということは、空母が瀧属される可能性が高い北海艦隊と餽監隊に 3 隻ず つ配属するつもりだろう。 3 隻いれば、常時 1 隻が可動状態になるので、空母が出動する必要がで きたときに即対応ができる。空母艦隊の防空が可能な駆 ) 監はたくさんあるが、いずれも蒸気ター ビン艦か CODOG 式のガスタービン艦で、 30 ノット以上の最高速力は期待できないし、艦の大き さの関係で燃料をあまり積めないため航巨離もおぼっかない。お散歩用の護衛艦でしかないのだ。 中国艦に足りなかった高速性能と航続距離を確保しようとすると、この大きさにせざるをえないの だろう。南沙諸島で空母と共に番を張るのだろう。航空母艦の単なる随伴艦として短いローテーシ ョンで艦隊に加わる他の駆逐艦やフリゲイトのまとめ役なら、委員長、いやいや巡洋艦と考えられ るだろう。 ちなみに NATO は、コルヴェット・フリゲイトのコードネームには "Janæ" 「江〇」を、駆逐 艦のコードネームには "Luæ”「旅〇」カ駛われている。 055 型には "Renæ" がイ吏われていると いうことは、駆逐艦ではないと言いたいのだろう。巡洋艦といいたいのか ? いや違うはずだ、 排オ奇か刀刀よク大きくて一でなければ第劜である / というのが言いたいために、今この項目を書いていたりする。相手にしてもらえないだろうなあと 思うが、 055 型は駆逐艦とここに宣言しておこう ( ミサイルフリゲイト時代の DLG はほとんどミ サイル巡洋艦 CG になったという戯言は無視する ) 。 あと変わったところで、資料によって Ren にあてられる漢字がコロコロ変わるのだ、 20 年以上 前の話だが、 hu には湖が最初あてられていたのが、いつのまにか滬が割り当てられていたという例 もあるので、何になるかは不明である。一応、日本語で書かれている資料では、本命は「人」で、 対抗は「任」になっている。ついでに書いておくと、大穴は「忍」である。中国のサイトを見ると、 軒並み「忍海級」と書いてあるからだ。中国が公式な NATO コードに対応する漢字を忍海だと押 し切ればそうなるだろうし、西側のコードにロ出し無用と言い切れれば人海になるのではないと思 うが、同じ読みの漢字がたくさんあることを今更ながら驚いている次第である。 055 型のメインレーダーの名称は H / 凵 G -346B なので、基本的な性能に変化はないだろうが、 艦橋にへばりついている四角い板は捜索追跡用のレーダーのみになり、マストにひつついている小 型のフェイズド・アレイ・レーダーとおぼしきモノが、追尾誘導用レーダーとして独立するのか ?

3. 中華イージスのひみつ

ることが困難だったためだろう。アーレイ・バーク級並の高さに設置させるには、新しい器が必要 になってくる。残念ながら中国が用意できる船体がこれしかなかったからなのだ。 055 型 中国が手に人れた新しい器が本級である。従来の駆〕監では装備品が増えたにもかかわらず、小 型化が進まない事から手狭になり、これ以上の性能向上は困難だった。そのため一気に船体を拡大 することで対処したのだろう。満載排水量は 13000 トンを超えるもよう ( あきづき級の倍の大き さになる ) 。おかげでレーダーもたくさん詰めるようになり、 VLS も一気に 112 セルに増えた。 搭載する多機能レーダーは 346B 型といわれているが、詳しい内容は不明。 オールガスタービン艦 (COGAG) になったので最高速力は 30 ノット以上、燃料もたくさん詰 めるようで航続距離は 18 ノットで 5000 カイリになった。何しろそれまでが 15 ノットで 4500 カイリしかなく、たかなみ級の 18 ノットで 6000 カイリと比べると、実質半分しかなかったから だ。良いことづくめだが、国産 ? 空母といい、建造費もそうだが、維持できるのか心配だ。 中華ィージスのひみつ 当たり前の話を何度書くのか、とお叱りのことばが飛んで来ようと何度も書く。ィージスシステ ムを搭載している軍艦だけがイージス艦であり、いかに似たような防空システムを搭載していよう とそれはイージス艦とはいえない。ある程度、軍事的な知識を有している人間 ( 「軍オタ」無用 ) ならば、 APAR を搭載しているザクセン級ミサイル駆逐艦を見てもイージス艦とは言わないだろう。 あまりにも外観が異なるから。そうなのだ、 〃 ( 月形のでつかいレータがイついている - かィージスたン という本シリーズで言い始めたセリフは、今やイージス艦のわかりやすい見分け方として採用され るに至っている。 APAR 艦はそのようなものはないからだ。後部艦橋構造物に捜索用のでつかい回 転式のレーダーを搭載し、マストの四面に lm 四方の ( それなりにデカいが… ) 追尾誘導用のレー ダーが搭載されているので、イージス艦のような巨大な艦橋構造物ではないからである。 052C 型が中華「イージス」と名付けられるのも、アーレイ・バーク級のように艦橋の 4 方向に ( 八角形ではないが ) 四角い巨大なレドームカ漲り付いているためなのだ。逆にあきづき級ゃあさ ひ級護衛艦の場合、タイコンデロガ級やアーレイ・バーク級のレーダーとよく似たレイアウトであ るにもかかわらず、コンパクトにまとめられた C バンドの多機能レーダーは八角形ではあるがあま りでかくないので、イージス艦みたいと言われるかは彳少である。 『イージス艦の経歴シリーズ』では、 FCS-3 搭載艦を和製ィージス艦として扱っているが、それ はイージスシステムと同様のコンセプトで作られているからである。ミサイルの搭載数とレーダー の説明のところで解説させてもらったが、大型の 4 面あるフェイズド・アレイ・レーダーで目標を 常時捜索し、その目標のデータをイルミネータに渡して誘導させる、この方式を採用しているのは ィージス以外では FCS -3 だけなのだ。ある意味、世界の主流から飛び抜けているというか、外れて いる方式だというのを理解していだだいた上で、中華ィージスの話を進めていこう。

4. 中華イージスのひみつ

主力ミサイルはスタンダード SM -3 ということになる。だとすれば、調達予算はうなぎ登りに高く なることは間違いないだろうと思っていたら、案の定ミサイルの代金が入っていなかったと大騒ぎ になるのであった。 連邦政府の 2016 年度会計年度で SM-3 プロック IB が 1400 万ドル、プロック IIB に至っては 2000 万ドル以上するようなので、ミサイルを揃えるだけで防衛予算カ頓いてゆく。日本向けの上 乗せ価格をとなると、プロックⅡ B は一発 40 億円になるだろう ( 2400X1.5X110 ) 。軍事的に必 要な数を揃えようとするなら、これを北朝鮮が保有する弾道ミサイル x 2 + 予備弾 ( 中口に備える んだろ ? ) だけ揃えなければならないのだ。実際に何発になるのか知るよしもないが、調達するに は金額も時間も必要になるので、適当な数を導人して終わりになると思える。ということで実質的 な弾道防衛戦力として期待しないほうが幸せだろう。 ところがこの役に立ちそうにないこの陸上型ィージスの導入に、ロシアが豸盃反対しているのだ。 サイル防衛網がたいして強化されるわけでもないのになぜ ? と思っていたら、日本がトマホーク サイルを導入する可能生があるからというのカ鯉由だった。ィージス艦の場合は、交戦目標は敵 艦艇に限られているので、地上目標に対する攻撃はせいぜい艦砲射撃でお茶を濁すくらいなので、 護衛艦にはトマホークミサイルが導入される隙はない。ところが陸上型ィージスは新しい箱物なの で、どさくさに紛れて納入数されてしまうことを気にしているのだ。調達費用は、本体そのものが 当初予算よりはるかに上回るはずなので、上昇分の中に適当な要目を人れて購入代金をごまかせそ うだ。日本が密かに保有しようしているのか、アメリカが勝手に持ち込んで既成事実にするかは、 ロシアにとっては関係ない。もし陸上型ィージスのミサイルサイトにトマホークが入っていたら、 不沈空母「日本列島」にトマホークが搭載されることになるからだ。 極東ロシアの立場から言うと、日本に対して攻撃の意思を確認したからといって先制攻撃は不可 能である。大陸沿岸に迫ってきた日本艦に対してミサイルをぶっ放すことはできても、日本本土に 対するミサイル攻撃はおいそれとはできない。まあ日本はトマホークに余分のカネを使いたくない だろうから、実際に導入される可能性はほとんどないと思えるが、妙な憶測を生むようなものをわ ざわざ買うのはやめた方が無難なのだが。 だが、買うと決めている以上、さらなる問題が立ちふさがる。それはどちらのレーダーを搭載す るかという大きな問題だ。えっ ? ィージスシステムでしよ、レーダーって一種類じゃないの ? とい われそうだが、いまやイージスシステム向けのレーダーは、 SPY-I 以外に存在するのだ。これとい うのも、新型艦であるズムウォルト級ミサイル駆逐艦とその代替となるアーレイ・バーク級ミサイ ル駆逐艦フライトⅢ向けに新型レーダーが開発されているからある。で、陸上型ィージスの候補 となるのは、いずれも S バンドレーダー搭載の次の 2 っとなる。 ①ロッキード・マーチンの SSR (solid state Radar) 案 ②レイセオンの AN / SPY -6 案 前者は、おそらくズムウォルト級に搭載予定だった AN/SPY-4 として搭載予定だった VSR (Volume search Radar) そのものか、それの改良型と思われる。ズムウォルト級は S バンドの VSR で広域捜索を行い、 X バンドの MFR (Multi Function Radar) で水上捜索とミサイル誘導を 分担する予定だった。ところが前者の VSR はキャンセルされ、なぜかレイセオンカ鯛発した後者

5. 中華イージスのひみつ

宙斯盾 ? 神楯 ? ィージス艦とは、イージスシステムを搭載した軍艦の略称である。日本では数十年前から横文字 の用語は、対応する訳語を当てることはせず、用語の発音に合わせてカタカナ表記することが一般 的になっている。もともと外国人の名前はカタカナ表記だったので、それに合わせたのだろう。本 来ならば対応する日本語を当てるのが正しいのだろうが、学術用語の日本語化が推し進められた江 戸後期から明治初期と比べ、流入する語彙数が圧倒的に多かったので、用語そのものが定着してい ない段階ではそのまま横文字で、用語が定着してからはカタカナ表記で乗り切ることにしたのだろ う。漢字による訳語表記にこだわる人がいなくなっただけかも知れないが。 中国語圏ではどう表記されるかというと二通りあり、「イージス」ということばは中国本土では 「宙斯盾」、台湾では「神楯」と一般的に表記されている。訳語になぜ違いがあるのかというと、 読み ( 表音 ) と意味 ( 表意 ) の二通りのあて方が存在するからである。①中国語の発音に近い漢字 をあてる。例をあげると、空母ジョージ・ワシントンはワシントンの読みから隼盛頓 ( ふうあしえ んとうんと発音するらしい ) と表記される。それに対して②単語の意味にそった漢字をあてる。例 としては、単監ドレッドノートは「恐れ知らず」という意味を持つ无畏 ( う一うえいと発音するら しい ) と表記される。 それというのも中国語で使用する文字は原則として漢字 only のためである。中国残留孤児だっ た方のお孫さんの話を昔聞いたことがある。曰く、中国では当たり前の話であるが教科書には漢字 しか書かれていない。教科書を読めるようになるには、まず漢字を読めてかっその意味を理解しな いといけないのだ。小学 1 年生でいきなり表意文字の漢字のオンパレードというわけで、よみやす い表音文字から始まる日本と比べて、やけにハードルが高いなあと驚いたことを思い出した次第で ある。話がそれて申し訳ない、ということで①発音をあてた表記が宙斯盾で、②ギリシャ神話の主 神ゼウスが娘に与えた楯の意から来た表記が神楯となるのである。 中華ィージスとは 中華ィージスというは、フェイズド・アレイ・レーダーを搭載した中国の 052C 型ミサイル駆逐 艦 ( 蘭州級ミサイル駆逐艦 ) につけたあだ名「中華神盾」で、それを日本語になおしたものが中華 ィージスである。ィージス艦の経歴⑥「イージス艦とは」でも述べているように、イージスシステ ムを搭載した艦がイージス艦であり、似たようなシステムを搭載していても、イージスシステムで なければイージス艦とは呼べないから、中華ィージスは、イージス艦ではない。 当たり前の話であるが、中国は気にしない。これはイージスシステムを真似たわけではなく、自 分たちが自力で開発したモノだからと、いつものように主張しているので、自分からはこれをイー ジス艦とは言わない。では誰が言っているのかというと、神盾という字からわかるように台湾人が 「本土の人間がイージス艦をまねたフネを造って」と、揶揄する意味で言い出したと思われる。 中華ィージスと言いたくなる気がわかるくらい、艦橋の四辺に貼り付けられた平面レーダーはデ 力い。縦 4.5mx 横 4m くらいあるのだ。しかも意味不明な円筒に近いレドームがかぶせてあるのだ

6. 中華イージスのひみつ

052C/052D 型はイージス艦と似ているのは見かけだけ、結局は世界の主流からは外れないレー ダーシステムである。当然だが世界最新でもない。世界のハイテク企業を国内に招いて、最新技術 の移転に躍起となっている国が、世界最先端のレーダーシステムを作れるわけはないだろう。日本 の新幹線やドイツの ICE を丸ごとパクった車両を、自国の技術だけで作ったと言い張る国なのだ。 日本はともかく、アメリカやヨーロッパ諸国に対しては独自技術と言いながら、こっそりライセン ス料を支払っている可能性もないとは言えないが。 何十年か先には、中国から世界最先端の技術が発信されるかもしれない。中国ン千年の歴史がそ の可能生を「否」と言いそうなのだが、可能性はゼロではない。だが我々は今の話をしている。し かも中華ィージスの開発時の話となると、 20 年近く前の話になる。 20 年前の中国の状況 ! 若い人 にはわからないだろうから、年配の人に聞くと良いだろう。改革開放が進んで、「中国らしい ? 中 国」の姿は消えつつはあっても、まだ「古い中国」は色濃く残っていた。現在における巨大な高速 鉄道網はほとんど計画だけであったし、都市における地下鉄もそれほど走ってはいなかった。そん な頃に、最新のレーダーシステムをどこかから拾ってきたのだろう。そのためにわざわざ対空ミサ イル搭載艦年表を作成したのだ。それをたどれば、ロシアに落ちていたという結論になる。 スラヴァ級ミサイル巡洋艦の設計にあたっては、 3R41 レーダーを 3 基固定装備すればという案 があった。実際には予算の関係で、 052B 型と同様 1 基しか搭載していないが。すでに述べたよう に 3R41 は同時に 6 目標と交戦できるフェイズド・アレイ・レーダーである。フェイズド・アレイ・ レーダーを 3 基固定装備している例を挙げておくと、ジェラルド・ R ・フォード級原子力航空母艦 がその代表となる。この空母は全天の捜索に AN/SPY-3 多機能フェイズド・アレイ・レーダーを 艦橋の 3 面に搭載しているが、それと同様な方法で 3R41 を搭載しようと計画があったのだ。 フェイズド・アレイ・レーダーは、位相をずらすことでレーダー波の出す向きを変えることがで きる。どこまでずらせるかというと、最大でレーダー面に垂直な線に対して左右 60 。 ( つまり入射 角 60 。 ) までなんとかなる。もっとも入射角が 60 。になると、 0 。と比べてアンテナが受ける電波量が 半分になるのでそれなりの対応が必要となるが、 3 基あれば各 120 。のレーダー射界を確保できて、 全周に対応できるからである。 スラヴァ級で実現できなかったとはいえ、実際に搭載することを検討していたのだから、詳細な 図面カされていたはずである。 051 型がソ連ではポツになった駆逐艦の図面を流用して建造した 可能性があるように、ソ連崩壊の混乱に乗じて、ロシアからポツになった 3 基固定装備の図面を手 に入れたか、建造中止か解体のどさくさ紛れて実物を手に入れたか、そのときの設計者を手に入れ ることができた可能性が高いのではないか。 052C 型が搭載している H / 凵 G -346 レーダーは、 3R41 レーダーを艦橋の 4 面に配置したレー ダーシステムと推定される。 4 面なら最大入射角は 45 。で済むため、隣のレーダーへのデータの受 け渡しはやりやすくなるため、イージスシステムや FCS -3 は 4 面配置をしている。ただこのシス テムでは 4 面設置されているが、導入された時期および誘導レーダーに過ぎない点から見て、同時 に作動するアンテナは一面のみ、データの受け渡しはない、というところだと考えられる。なぜな ら陸上部隊のシステムでは、対空ミサイル部隊単位で何両かのミサイル搭載車両に対応するレーダ - 14 -

7. 中華イージスのひみつ

このようなスペックを見ていると、 20 年ほど前の中国海軍の状況からは隔世の感がある。まあ 驚異的な経済成長で今やアメリカと並ぶ超大国であるから、空母はもちろん、この程度の軍艦を 10 隻以上保有するのに何の不思議もないのだが。 まずスペックを見ていて気になるのは、 SAM を誘導する x バンドレーダーがないという点であ る。捜索レーダーは S バンドで、ベトリオットミサイルからパクった誘導レーダーが C バンドを使 用しているとされている。垂直方向は水平面から垂直面まで 90 。、水平面は左右 60 。の射界があり、 艦の動揺に対しては士 20 。まで補正が可能になっているが、レーダーのレイアウトから考えて天頂方 向から 15 。の範囲は覆域ではないことがわかる。これを補足するのが平面レーダーの下にある竿状 の装置という話らしいが、今回はパス。 その理由として艦対空ミサイルである HHQ-9 (HaiHongQi-9) 、海紅旗 ( かいこうき、ハイホ ンチー ) 9 型はアクテイプ・レーダー・ホーミング方式のミサイルだからと説明しているものもあ る。しかし、これは誘導用の X バンドレーダーが見当たらないことから推測されただけだろう。 の方式は誘導システムそのものをミサイル本体に組み込む必要があり、非常にコストがかかりかっ システムがスペースを取り過ぎるため、現在でもアスター対空ミサイルとスタンダード SM -6 ミサ イルくらいしかない。ミサイル本体は S300 ミサイルシステムとそっくりで、おそらくはセミアク テイプ・レーダー・ホーミング方式のミサイルと思われるので、 X バンドレーダーがどこにあるか はあとで探しにいくことにしたい。 このミサイルの発射方式はセル内から圧縮空気を使って「射出発射」する方式である。 Cold Launch ( コールド発射 ) 方式である。 Mk41VLS のようにミサイルを「点火発射」する方式は、 Hot Launch ( ホット発射 ) 方式と呼ばれる。ホット発射方式と違い、点火に失敗したミサイルを 弾庫内で不発弾としてかかえないですむのがコールド発射の利点である。ただし射出後にミサイル が点火しないと、電信柱カ啌から降って来る事態になるため、直上には打ち上げないようになって いる。 052C 型では前部 V は 6 発をまとめた円筒形のセルがそれぞれ外側を向いているので、そ のまま舷外に落ちるようになっているようだ。ところが 052D 型では前部Ⅵ爲は 8X4 セルで四角 いレイアウトになっているため、全体に VLS の上面が前方に傾斜している。この方式ではうまく VLS の上には落ちないよう考慮しているが、すぐ前には新型の主砲カ置しており、失敗するとせ っかくの主砲が残念な結果にならないか心配である。 ミサイルの搭載数とレーダー 一般的に「ミサイル」を冠する駆〕監やフリゲイトが搭載する対空ミサイルの数は、通常の ( 汎 用・対潜 ) 駆逐艦やフリゲイトが搭載する対空ミサイルよりも多い。たとえばはたかぜ級ミサイル 護衛艦は、ミサイルを最大 40 発搭載できる Mk13 発射装置を搭載しているのに対し、むらさめ級 護衛艦は 16 発しか搭載していない。加えてミサイルの性能差も大きく、はたかぜ級は中射程のス タンダード SM-IMR を搭載するのに対し、むらさめ級は短 SAM という名称が示すとおり短射程 のシースパローを搭載している。シースパローは現在改良型の ESSM に換装されているが、導入当 時に期待された画期的な射程延伸はセールストークに過ぎず、せいぜい 1 ~ 2 割伸びたにすぎない