可能性 - みる会図書館


検索対象: 多摩湖さんと黄鶏くん
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1. 多摩湖さんと黄鶏くん

勝利 ( 欲望 ) への感覚が見えてきた感じ。眼球がシュルシュルと回転している気がする。 ほどこ 例えばほっぺにキスは、多摩湖さんにして欲しい。首筋にキスは、俺が多摩湖さんに施して さと みたい。キスの矢印の方向に理想の形があるのだと唐った。 つまり勝敗をコントロールする方法が必要なわけだ。必勝法、もしくは必敗法。 そんなことか出来るのだろうかオオ ' 」ごてさえ、二人てのババ抜きは単純なのに。イカサマ、 マーキング ? ても ノ、ハが固定じゃないから、全てのカードに別々の印をつける必要がある ひま そんな暇も覚える脳みそも俺の手もとにはない。自作カードだから、別のトランプを用意してす つぶ り替えることも不可能だ。なんて可能性を潰しつつ、多摩湖さんからを引っこ抜く。ちなみ ひざ には『膝の裏』って書いてある。俺の心をピンポイントて突いてくるとはさすが多摩湖さん。 「あ、一個だけ言い忘れていたルールがあった」 カードを引っこ抜く手を途中て止めて、多摩湖さんが『うつかり』といった様相を表しつつ くちびる 抜つぶや 呟く。そのばっかり空いたロもとに俺の唇が重なるのは一体どれほど後になるのかな。 「はい ? 」 キ ん 「一回ババになったカードはもうノ ヾバになれないの。だから十一一回戦ね、これ」 多 「あ、黄鶏君があっさり抜かれる名もなき雑魚キャラの顔になった」 おどろ はにかみながら、多摩湖さんがカードを抜く。 3 の手が消えた。俺の雑魚驚き顔はまだ継続 けいぞく

2. 多摩湖さんと黄鶏くん

2 というか脱衣ポーカーぞは女性の方が武器多くないか。 事なものを失いかねない じゅくち さすがに一晩考えただけあって、このポーカーを熟知している。多摩湖さんのことだから ポーカーに備えて、下着も一「三枚は常備している可能性だってあるぐらいだ。 ふつうちが この脱衣ポーカーは普通と違う価値観てチップを賭けるゲームなのだろう。チップが皆同じ わた 規格というわけじゃない。眼鏡とスカートじゃあ相手に渡る意味が違う。 こうなってはこちらも、下着を脱ぎ捨てて机に : : : 難しいぞ、それは。 しゅうちしんじゃま とかく羞恥心が邪魔をしてしまうのた あきら どうする、ここは諦めてゲームを降りるか ? いや駄目だ、ここて退いても次のゲームてもう一度、下着を出されるに決まっているー 俺はここてこの試練を乗り越えるのだー 「俺は引かないぞ ! 」 じか 「勝ってその温もりを直に感じてやる ! 」 うやむや まんが 熱血漫画の宣言風に勢いて発言の問題部分を有耶無耶にしてみようと試みた かしわ 「黄鶏君が壊れがちー 無理てした。多摩湖さんどん引き。秘密を賭ける以前からエライ心理を暴露してしまった。 くっした はじかく 恥隠しに勢い良く右靴下を脱ぎ、チップとしてテーブル ~ 。「そしてカードを一一枚チェンジ ! 」 だめ こわ だつい たまこ みな

3. 多摩湖さんと黄鶏くん

「交換出来る回数は ? 」 「お互いに一回ずつ」 「なるほど」 そして互いの手札を場に出して : : : って、ちょっと待て。 「勝ち取った服はどうするつもりて ? 」 もちろん 「勿論着るのよ」 「え、あの、多摩湖さんの制服 : : : ぶっちやけ」下着も、と口にしかけたが俺は現実から逃避 かしわ した。「スカートも ? 「いえーい、黄鶏君美人」多摩湖さんの手の中てジョーカーが笑う。 じゃねえよ 俺↓多摩湖さんはいい。だが多摩湖さん↓俺の装着は頂けない。それは犯罪てす。 もくげき だつい その姿を教師に目撃されたら俺だけ停学を味わいかねない。脱衣ポーカーの件を口にすれば 一多摩湖さんも停学 : : : どころかいい加減自主退学に追いこまれそうだな、この人。 ふくろこうじ 衣 服を着てもャパイ、服を脱がされてもヤ、ハイ。袋小路のようなポーカーだ。しかも、勝ち もち 取った服を着こむということは、この準備室てユデダコか焼けた餅み ' たいになっている多摩 おちい 湖さんと、同状態に俺が陥る可能性もあるってことだ。 多 カードを混ぜ終えた多摩湖さんが、重ねたそれをズィッと俺の前へ差し出す。 「イカサマがないかチェックしていいわよ」 たが

4. 多摩湖さんと黄鶏くん

210 「それはともかくー だん、と強く踏み込んてから人差し指を突きつけてくる。頬にざくっと指先がめりこんだ 「最近の君の行動はね、ちせーが足りん ! 」 「えーても知性って物事を正しく判断てきる能力のことらしいてすよ」 えら イい人が言っていたから多分合っているだろう。とても難しいことだとも言っていたが。 「ということて俺にとって正しいのて問題ないと思います ! 」 ま、もう負けないからいいんだけどね ! 」 「主観的に正しいことならみんな選んてるよ ! ゆかたびみよう 多摩湖さんが乱暴に座り直す。浴衣の微妙なはだけ具合を直してから、「がしゃー ! 」と中 たお 央の山札を手の側面て薙ぎ倒した。それから俺の手もとに残っていた札もむしり取ってかき集 めて、札を混ぜ始める。「鎖骨まわりだけ風がスースーするよー」と嘆いてるんだかなんだか はだ よく分からないことをばやきながら、桜色に肌が染まった多摩湖さんの目が横に泳ぐ。 俺は舌先に確実に残っている、多摩湖さんの『なにか』を強く、何度も呑みこんだ たた それから気合いを入れるために一度、自分の頬を叩く。 元からあってなかったようなルールの柵を跳び越して、ゲームの可能性は一気に広がった。 : ってなんか毎回、同じこと考えてないか ? ここからが本当のゲームの始まりだー とつじよ 「それは君がいつも、突如として変態な方向に走りだすから ! 」 ごもっともてある さこっ さくと ほお

5. 多摩湖さんと黄鶏くん

1 ) 4 : 色々と聞かなかったことにして流そ - フ。 あわ うん、俺の番だね。さっき思ったとおり、今回は正解が分かっている写真があるから慌てる必 要はない。一つの写真が明らかになればその前後はある程度の保証が生まれる。なんだかマイ じらい かいたく ンスイーハ ーをやっているみたいだ。地雷の場所が一つ分かればある程度はマスを開拓てきる。 長方形の運動場を駆けるナマコさんの写真を手に取る。取るだけてあり、机には向かわない。 あふ とげとり 窓の外から溢れてくる演劇部の刺々しい発声練習を小川のせせらぎのように聞きながら、じっ なが ろ、つか だれ くりと写真を眺めた。廊下からもハタハタと誰かが走る音がする。活気ある放課後だなあ。 ちまなこ 「うーん、これは分からない。 もっと血眼になって見ないとなー」 「なに白々しいこと言ってるの ! 運動会の写真が特定てきてるてしょ ! 」 とっぜん 「いやてもナマコさんは突然変異の三歳児とかいう引っかけの可能性もあるし」 「名前が突然変異になってるつつーの ! 」 もちろん だま いっと手ごと写真を引っ張られて、取り上げられそうになる。勿論、それを黙って受け入 れない。 「ナマコさん盗っちやダメー ! 」 「ナマコさん見てちやダメー ! 」 た しの むぐぐ、と手を引っ張りあいながら耐え忍んて、写真の中のナマコさんを愛てる。 しゅうちしんともな 羞恥心を伴いながら相手の過去を愛てるゲームは、まだこれからだ。 しらじら と か め

6. 多摩湖さんと黄鶏くん

8 かくにん ートの 3 、 7 、 9 。スペードの 2 ノ 置に投げられた手札を適当にかき集め、内容を確認する。 キング ダイヤの。ブタだが、フラッシュの影がちらっく手札。初回と一緒か そろ 一方、多摩湖さんは揃えた手札を一度見下ろし、その直後にそれを机に置いてしまう。 「多摩湖さん ? 「このままていい」 せりふ 「あ ? 」何処かて目にした台詞を多摩湖さんが男前に吐く 「私はこの手札のまま勝負するよ」 いや、あの、いいぞすけどね別に」 ふく 成りきっているというわけてもなく、勝算を含めての行動つぼいし。 ちが まずアレと違うのは、手札を一度確認しているということ。これによって、イカサマてはな ゅうしゅう めぐ く運の巡りによって本当に手札が優秀てある可能性をちらっかせている。 その動作から導かれる、『このままていい』発言を信用すべきか、疑うべきか 題に直面したようだ。 長いろうそくと短いろうそく、どちらか長く燃えるかを選ぶという 次いて多摩湖さんは、眼鏡に手を伸ばし、スッと取り外す。それを机に置きながら、 てぶくろ 「今回の私が賭けるのは秘密じゃないよ」帽子を脱ぐ。手袋を外す。マフラーを取る。モコモ まと くっしたそろ コの主成分てある服を脱ぐ。俺のカッターシャツも纏めて脱ぎ捨てる。靴下を揃えて置く。ス カートのホックを外してパサリと置く。そしてブラウスを「多摩湖さん、下着外してるから ! 」 の は いっしょ

7. 多摩湖さんと黄鶏くん

いやいや、案外未知の多摩湖さん性癖が花開くかも知れない。多摩湖さんが何かしらの行動 たび かいたく をする度に俺の癖は開拓されて、水平に広がっていくのだ。 「さあ、カードをお取りなさい ずずいと右手のカードを、俺の眼前に突きだしてくる。仕こんだ手品に付きあわせるように ぬ 不敵な態度。多摩湖さんお手製のカード、自作ルールのババ抜き : : : イカサマの可能性もある のカ ? いや、多摩湖さんはそういう人じゃないな。手先も不器用だし。 カードシャッフルの練習て一一週間分の放課後を費やした人なのだ。頑張り屋さんなのてある。 たた 「などと褒め称えつつ俺はカードをその手から引き抜いた」 「何を急にナレーターしてるの」 たった。いや引いたカードか。手元から捨て去るのが少し名残惜しいけど脇が消える。寂 り・よ、つ ふく 寥感を含みつつも、ホッと一息を吐く。勝負の時まてに必敗法を見つけたい。あるのかそん ノ なの。今の内に次善の策として、なんかの神様にてもお祈りしておいた方かいいかも知れない。 ス多摩湖に神様はいるのだろうかし 、るのてあれば、その神の加護を願う。 ん そこからはゲームか少し加速して、「ほりや」「ほほい」「ほいほい」「ほほーい」などと引 じゃないカー 湖き抜きあって、残るのは俺が一一枚、多摩湖さんが一枚となる。多摩湖さんがババ しゅ、つりよう 多 ドを俺から弓しオ 、 ' 」ら、その時点て一回戦は終了だ。 ほうふつ 8 俺の手元には 4 の足、の膝裏。多摩湖さんの足、多摩湖さんの膝裏。南半球を彷彿とさせ は せいへき なごりお がんば

8. 多摩湖さんと黄鶏くん

+ ノ ( / + / 中にカ・ら一 んだよなあ。初めて会ったときの多摩湖さんも、俺から見れば中学生み ' 」 きわ 年の差ても大きな変化があり得る。十歳と十一歳の区別をこの両目て見極めねば。 ふく がいとう 一見して十一歳に該当しない写真を省いて机に置き、正解の可能性を含む一一枚の写真を手も とに残す。一枚は多摩湖さん含む六人の子供が、野山を背景にして写っている。リュックサッ さっえい えがお クを背負っているから、遠足の記念撮影だろうか。ビースしている多摩湖さんは笑顔て、両 どなり 隣には同年代の女の子が立って同じく笑顔を浮かべている。これが、十二歳未満の多摩湖さん かあ。 俺と出会う前。俺の知らない多摩湖さん。遠くの土地て友達と楽しそうに並んている。 しっと 胸がモャッとする。嫉妬かな。仕方のないこととはいっても、もっと昔から多摩湖さんと知り こ、つかい あえていたらな、と思ってしまう。後海に近い感情が去来して、目の下の筋肉を震わせた。 もど 「ああ、多摩湖さんを赤ちゃんに戻したい」 とうとっ 「君はなに唐突にもの凄いお願い口にしてるの」 たま 「気にしないてください、人間だから偶にこういう気分になるんてす」 くつがえ 「怖いよその人 ! 私の人間観覆さないてくれるかな ! 湖 ・ : 失礼、つい鼻息 さても - フ一枚はと。 : これは、運動会か。運動会だな。運動会だー 摩 むな いっしようけんめい 多 も荒くなってしまった。い ゃね、小学生の多摩湖さんの体操着の一生懸命走ってるの胸もと せいちょうきざ 強調してるのほんの少しだけ膨らんてるの膨らみかけなの第一一次性徴の兆しなの。 べ あら こわ すご ふく ふる

9. 多摩湖さんと黄鶏くん

と内心て叫びながら一一枚のカードを中央 スペードの 6 と、 ノートの 5 を弾き出し、ドロ の山より引く。とんがれ、とんがれ ! ってそりやブラックジャックだったか ? と雑念に気 ジャック せんせんきようきよう ートの。 を取られながら手に取ったカードを戦々恐々、確かめる。ダイヤのに : ぎそう 出来た役はのワンべアだった。色が同じ赤なのて、どうにかこのハートをダイヤに偽装出 さと むだ ちえねっ 来ないものかと知恵熱気味の頭を振り絞って手札と睨めつこしたが、時間の無駄と吾った。 すいさっ ホーカーらしく。 ここは多摩湖さんの心理の流れを推察するべきだ、。、 今の多摩湖さんの表情からそれを読み取っても『あついよー』ぐらいしか出てきそうにない のて、ここまての行動から考えてみよう。 ひとがらこうりよ まず人柄を考慮して、自分の下着が俺の方へ流れるのを甘んじて受け入れる多摩湖さんじゃ ないだろう : : ・多分。今はこの熱気の所為ぞ脳みそのネジ具合が心配なのは唯一の気がかりだ 司か、それはさておき。 よほど カ つまり多摩湖さんが下着を賭けるということは、手札が余程良かったか、それとも俺をゲー こうかん ムから降ろさせる作戦のどちらかだ。そして多摩湖さんは手札を一一枚交換した。初期の手札て 残したのは三枚だから、その時占ぞスリーカードは成立していた可能性がある。 となり みよう さ 湖 だが、カードをチェンジする際の捨て方が妙だった。多摩湖さんはカードを中央と、その隣 そろ くせ マージャンしか 多 から一枚捨てている。人間は麻雀然りトランプゲーム然り、手札や手牌を綺麗に揃える癖が ある。多摩湖さんの最初の手札てスリーカードが成立しているなら、右か左を始めとして真ん にら ーしきれい てま、 ゆいいっ

10. 多摩湖さんと黄鶏くん

決意と共に、暑さてだるがっていた瞼を引き締める。カッと、目を見開いてみた。 はだしんりやく 一方、ずっと恥じらいに肌を侵略されていた多摩湖さんもそれが爆発したように、諸手を上 てんじようあお げて天井を仰ぎ見る。 「かい、かんー 「は ? 海岸 ? 「うふふふふ : : : やっと、ざわ、ざわと聞こえてきたのよお ああ、そっちの開眼、「いや、あの : : : それ、熱て頭が : レ ノ . うで 力強い言葉、そして多摩湖さんのヘろへろと舞い降りた右腕。それって宣言する言葉として むかう 、つ・ま 正しかったかな、タイミング合ってるのかなと様々な疑問が渦巻きつつも、俺はそれを迎え撃 つように、五枚の手札を机に広げる。カードのスーツ、そして数字に目を見張った。 一俺はとのツーベア、対する多摩湖さんは、「げつ」 3 のスリーカードだった。 かしわ 「ふつふつふ。一一連敗だねえ、黄鶏君。キミが運のない子だとは思ってなかったなあ」 いや多摩湖さんに会えたから : ん 湖「ん ? なに ? 「別に、何てもないッス しず らくたん 俺は可能な限り、落胆を押さえこまずに心に開け放してみる。思いの外、気分が沈みかけて また し ま ぼくはっ もろて