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検索対象: 多摩湖さんと黄鶏くん
228件見つかりました。

1. 多摩湖さんと黄鶏くん

気恥ずかしさによって穴だらけにされた神経を埋める為、そんなノリを維持しながら三回戦 しつぶうどとう を始めた。しかしここからが疾風怒濤にエライこととなるのてあった。 むだ 「うわっ、勝った ! 」「オラオラオラ、耳をお貸し ! ー「無駄無駄無駄、わぎや ! ちょ耳の穴 は駄目、反則、ロープロープ ! ひょいひょいあ ! 」「うわ、反応が女の子つぼいよ黄鶏君。可 ふる こわ 愛い可愛い」「きゃい、うわなんか下半身震えてる ! 布い、なんか怖いタイムアウト ! ーやーじゃー ! 黄鶏君の耳をはむる ! ー「はまれる ! ちょっと、キスじゃないのか ! 噛ん くちびる きら てる噛をてる ! 」「時には相手の唇を噛むこともあるからその練習 ! 」「嫌ってないかそれ ! 」 そうじ 「いいから大人しく耳の穴をかつばじらせなー」「俺実は五年ぐらい耳掃除してなかった気がす る ! 」「つしゃー ! 」「なんてやる気になるんだー 「ういーん ! 」「舌が耳の穴てー ! 」 「四回戦はほっ。へ ! 」「おー、唇に一番近い ! 」「そうだろそうだろー、夢があるよねー」「へい つ、キスー ヘイへイ ! 」「まだババ抜きやってないじゃん ! 、「俺たちの愛にババ抜きなん か不要てすよ ! 」「ぶっちやけっちゃったー いやいやカードゲーム研究会だから私たち ! 」 みりよく キ「キス魔訓練所に改名しません ? 」「しません ! それも魅力的だなーとか私が思わない内に さー勝負 ! 、「俺のターン ! 」「続いて私のターン ! 」「カードを引くこと以外何も出来ない俺 既のターンー 「トラップカードも発動出来ない私のターン ! 」「不毛な宣頁俺のターンー 多 「いえー、黄鶏君からのキスだ」「勝っちゃった ! 多摩湖さん空気読をて負けてよ ! 」「私の ふつう しいじゃん。男の子にほっぺにキスされるの ほっ。 ~ がご不満 ? 」「逆てしょ普通 ! 」「えー きは ため

2. 多摩湖さんと黄鶏くん

そろ ェアコンの稼働音を真似るように、俺と多摩湖さんが揃って鳴く。嫌なデュエットてある。 俺や多摩湖さんは学校側にとって帰宅部所属の生徒てしかない。だから見回りて発見されな いように、戸を閉め切っているわけだが : : : 暑すぎる。体感温度ては四十度超えているだろう。 はっきよう せみ 窓は開けると蝉がうるさすぎて多摩湖さんが発狂するのて、閉めつばなし。 くる しかも今日の多摩湖さんは何をとち狂っているのか、夏服 ( なぜか学校の昔の制服を着てい る。たまに着てくるけどどうしてだろう ) の上からモコモコに様々な衣服を着こんて、首には ぼ、つし ふだん てぶくろ 薄手のマフラー、頭にはニット地の帽子を被り、手袋装備に加えて普段はかけていない眼鏡 の だまくら きぶく まて鼻の上に載せていた。着膨れしすぎて、抱き枕多摩湖さん ( 小売価格〕誰が売るか ! ) ふぜいかも といった風情を醸している。 も、つろ、つ 中身てある本人は熱によって朦朧とした頭と目を左右に転がすように振りながら、暴雨より ぬぐ た しの あせ 流れいく汗をハンカチ ( 本日四枚目 ) て拭って今も耐え忍んている。 さきほどみやくらく ーん、いやいや ういーん、ぶ - 一先程、脈絡なく『みーんみーん、いやいや似てない、ぶ 衣なんか変、ううむいーん、ううむいーん』と外から入ってくる蝉の鳴き声の真似を追求し始め んていたから、限界は近いだろう。 そうぐう か 湖羊毛を刈る人たちに遭遇しないことを祈るばかりのそのモコモコ具合について、初見時の感 がまん たず 多 想として『我慢大会の練習 ? 』と尋ねたが、多摩湖さんは不敵に笑うばかりだった。 かしわ 「黄鶏君」 うすで かどう かぶ

3. 多摩湖さんと黄鶏くん

「じゃあ俺はどの胸を見て生きればいいんてすか ! 」 「見なくていいつつーの ! 他に見るものあるてしようが ! 」 きようさく 「ないのかよ ! 今まてどんだけ視野狭窄に生きてたの ! 」 わき 「脇 ? 」 「漢字一文字以外の場所を探そう ! 」 むな 「胸もと」 ゼれ 「誰が国語辞典の真似なんかしろと言ったの ! 」 ばつばっ などと口論というか意図不明な争 : 、 しカ勃発しながらも、多摩湖さんが四枚目の写真を置く それは俺が保育所の遠足て山に登った五歳の写真なのだが当たったとかそんなことは比較的ど うてもよくて ( 半ズボンてはある ) 、この後も、実質一一枚目あたりからほとんど変わっていない としなら 歳並べの様子が続くのてあった。「多摩湖さんの赤ちゃん、生後一年 ! 」「それだと私が子持 ちみたいじゃん ! 」「ほっかほかの多摩湖さん ! 」「一応それても君なりに修正してくれたん なが んだよね ! 」「はい次多摩湖さん ! あんまりジロジロその連中を眺めないように ! 」「過去を ひざこぞう この半ズボンて膝小僧丸出しの黄鶏君は四歳と見た」 全否定かよ黄鶏君 ! 私のターン ! 多 この不 「またかよ ! 半ズボンしかねえじゃねえか ! 」「選んて持ってきたのは黄鶏君だよー にわとり うわめづか たま おび 安そうな怯えた上目遣いが堪りませんなあ ! ー「高いところ苦手なんてすよ鶏だから ! 」「私 べ まね ひかく 0

4. 多摩湖さんと黄鶏くん

223 「たまこい ・ : 絵札二枚来オ ' 」、けど今度は③が偏ってる ! 」「ほうら ! 」「地球のみんなに命令、舐め だきよ、つ ろ ! 」「腰を舐めるなら俺も妥協しますが ! 」「事態が悪化することを妥協とは言わない ! 」 もら かっくう 「それじゃ、俺の番 ! 行かせて貰いますよ ! ジャアアアアアンプ ! 」「滑空してるだけ、落 ちている。 ' 」けー 「・ : : ・てもないみたいてすよ、ほら腰。腰の札、ちゃあんとあるんてすよね。 うそ 手札の中に「ヒー 嘘おそんなの作ったつけ ! 」「多摩湖さんの腰を揉む ! 来たよこ あくま しんこ、つ れ ! 」「悪魔の組み合わせが成立したー ! 」「神も仏もあったもんだ 信仰心も捨てたもん じゃないな ! 」「この世に神はいたか死んだかどっちー ! 」「 ういーん、かカかー」「なんか来 せま どうなが メカつぼいのが迫ってきたー ! 」「腰発見、腰発見 ! 」「胴長じゃないんだからパッ と見れば分かるてしょー うひー、なにその指使い ! 」「ぐー ! 」「人の腰を ようこっ A っ′ A フ久、 1 ー ジャガイモ扱いしない、 ーくーにーされてるー ! 」「腰、腰骨 ! 多摩湖さんの腰 さこっ 「ど、どこに興奮する要素があるの、それ ! さつばり分からないー 「鎖骨と来て次 と は腰骨 ! 今日は骨祭 りだうつほい ! 」「君の領域に踏みこんだら私はきっと溶けるー ほお らちょっと一人て行って ! 、「頬て揉んてもい いてすか ! 」「は ? ってそれ頬ずりじゃんー だいじようぶ ろこっ 腰に頬ずりするのやめー ! 」「大丈夫、黄鶏君の愛情表現だよ ! 」「愛情以外のものも露骨に おうしゅう 表現されてるから信用ならなーい はいも - フ終わり、おーわーりー ・」「本当にこの応酬だけ て終わったー いや終わろうとしているー ! 」「もー もう終われー 「まだ多摩 からだ かしょ むえん 湖さんの身体て揉んていない箇所が十カ所以上あるのにー 「明らかに揉むことと無縁の箇所 あっか かたよ

5. 多摩湖さんと黄鶏くん

ふつう ちが このゲームは普通のこいこいと違って、次の相手の番て命令が成立する確率は非常に高い そろ 特定の絵札を揃える必要もないからだ。だからこ いこいはあまりしない方が勝ちやすいとは : まあいいか。ついさっき言ったが、俺は多摩湖さんに命令されても負けを感じない しようぶ 「んふふ、ゲーム続行て私の番と。軽く菖蒲の札ても取っちゃおうかな」 にわとり まえかが 同じ絵の札を重ねる。前屈みになった 多摩湖さんが鼻歌演奏中の鶏と菖蒲の描かれた札に、 むな しゅんかんゆかた かく すき とっさ のぞ ぜんけい 瞬間、浴衣の奥に隠れた胸もとが隙だらけになるのてはと俺も咄嗟に前傾姿勢を取って覗こ あら さこっ うとする。けど露わとなったのは鎖骨まてだった。俺はこれても健全力ップルの片割れなのて、 くや だきよう はだ , 」こて悔しがらない、鎖骨て妥協する。鎖骨と肌の間に舌這わせてみたいなあ。 めく 「捲って、あ、残念」 山から捲られた札の中ては、舞い散る桜の下、学生服を礼儀正しく着た鶏が直立不動してい いっしゅんかんき やっと鶏がマトモな出番を与えられた、と 一瞬歓喜しかけたが人間のように背筋を伸ばし うで て立っ鶏は予想以上にキモかった。しかも普通に腕生えてるし。ちょっとムキムキてグレート チキンに似ていた。 多摩湖さん、筋肉質な俺が好みなのか ? いや存在しねーけど、そんなの。 「ても取った札と、こう組み合わせれば : : はい、出来たー ! 」 もろて はず 多摩湖さんが諸手を上げて、弾んだ声て完成を報告してくる。 「あれ、こい こいはフ・」 「するかそんなもん ! なははー、勝ち勝ちー あた れいぎ の

6. 多摩湖さんと黄鶏くん

2 ごろ じゃぐち 多摩湖さんは目を洗濯機のように回し、汗を締まりきらない蛇ロのように垂れ流しながらも、 せんぶう ロと舌を扇風機のように回転させる。 だつい しんぼく 「つまり親睦会的な効果を狙っての脱衣なのよ」 はだか 「いわゆる、裸の付きあいってやってすね ! 俺は身を机に乗りだして何を言っているのだ。 「そ - フそ , フー わははは、と意気投合した笑い声をあげて盛り上がる。 こうかい お互いに、自分の発言に対して五秒後ぐらいに後海が押し寄せた くっした 無言のままゲームの参加料として差しだしたチップは左足の靴下。多摩湖さんは右ソックス。 はだしかか 多摩湖さんは右の裸足を掲げてその指先を俺に見せつけながら、ご不満を述べてくる。 かしわ 「黄鶏君せこい」 「多摩湖さんもだよ」 にわとり 「卵が先か、鶏が先か : : : 」 ふんいき てつがく 哲学的なことを述べた雰囲気を出してごまかしにかかってきた。今の言葉は多摩湖さんが日 おそ 頃からよく口にしていて、恐らく自分と俺の名字について面白がっているだけだろう。 手札を見る。 ジャック ートの 5 。手役なし、プタだ。 俺に配られたカードはダイヤの 8 、、 2 、スペードの 6 にハ そろ ねら ダイヤを一一枚揃えてフラッシュても狙いたいところだけど、そう上手くいくかな。 たが せんたく ねら あせし おもしろ た ひ

7. 多摩湖さんと黄鶏くん

1 ) 4 : 色々と聞かなかったことにして流そ - フ。 あわ うん、俺の番だね。さっき思ったとおり、今回は正解が分かっている写真があるから慌てる必 要はない。一つの写真が明らかになればその前後はある程度の保証が生まれる。なんだかマイ じらい かいたく ンスイーハ ーをやっているみたいだ。地雷の場所が一つ分かればある程度はマスを開拓てきる。 長方形の運動場を駆けるナマコさんの写真を手に取る。取るだけてあり、机には向かわない。 あふ とげとり 窓の外から溢れてくる演劇部の刺々しい発声練習を小川のせせらぎのように聞きながら、じっ なが ろ、つか だれ くりと写真を眺めた。廊下からもハタハタと誰かが走る音がする。活気ある放課後だなあ。 ちまなこ 「うーん、これは分からない。 もっと血眼になって見ないとなー」 「なに白々しいこと言ってるの ! 運動会の写真が特定てきてるてしょ ! 」 とっぜん 「いやてもナマコさんは突然変異の三歳児とかいう引っかけの可能性もあるし」 「名前が突然変異になってるつつーの ! 」 もちろん だま いっと手ごと写真を引っ張られて、取り上げられそうになる。勿論、それを黙って受け入 れない。 「ナマコさん盗っちやダメー ! 」 「ナマコさん見てちやダメー ! 」 た しの むぐぐ、と手を引っ張りあいながら耐え忍んて、写真の中のナマコさんを愛てる。 しゅうちしんともな 羞恥心を伴いながら相手の過去を愛てるゲームは、まだこれからだ。 しらじら と か め

8. 多摩湖さんと黄鶏くん

しよ、つじよ、つ うか、目眩に近い症状を引き起こす。うう、想像だけぞこれなのに、現実だったら俺はどう へんばう 人に変貌していたかも。 なってしまうんだろう。ェイリアンに改造手術されるように、」 「さあ、キ、キスの時間よ」 しようどう うりうり、と足の先ぞ俺を押してくる。俺はダルマのように転かりたい 衝動に立ち向かっ て、むしろ前へ出る。ダルマは後ろに転がるばかりが芸じゃないのだ、キスの練習台にもなる。 「てもあ、足って足の何処てすか」 かしわ 「え ? ええっと、そ、それは黄鶏君のセンスによるよね」 少々動転気味に丸投げされた。さてはキスババ抜きという発想だけて満足して。その後につ ちが いてはあまり考えてこなかったに違いない。留年経験豊富な多摩湖さんはそういう人てある 「じゃあ、こう、現地て考えるツス ! 」 えさざら ということてさし当たっては四つん這いになって大が餌皿に顔を突っこむように、多摩湖さ とおの からだかが んの足の甲に顔を近寄せる。グッと身体を屈めて、それだけて意識が遠退きそうだった。ぼう きれい あわ っと、世界全体が淡い。ああ、多摩湖さんの足は目映い。世界ってこんなに綺麗だったのか 「ジーツと見られてると、なんか、ドキドキするよ」 のど 「あ、多摩湖さんも ? 俺も、心臓が喉を食い破りそうなほどバクバク」 「ほ、ほふう 1 」 「ふふえー」 めまい まばゅ

9. 多摩湖さんと黄鶏くん

とけっ そして更に下半身を布て隠しているところがまた、こう、「吐血しそうだよネ ! 」「えー ちじよ ぞもあからさますぎるのて「ビッチつぼい 「多摩湖さん、ち、ちじ」痴女と言いかけた。 多摩湖さんの羞恥顔がクシャッとなった。「し、仕方ないの ! ゲームだから ! 」 きんちょ、つえいきよ、つ まぶた ゲーム万歳。瞼が重くなって視界が上部を暗雲に覆われそうになっている。緊張の影響だ がわ だからすかさず四つんいとなって、多摩湖さんの陶器めいたお腹に顔を寄せる。服の内側 とど のこが に留まっていた多摩湖さんの甘い残り香がふわっと鼻先に入りこんてきた。 「エキサイト」「な、何の感想 ? 」「多摩湖さんの造形美に、「あんまり見ないの ! 」 多摩湖さんの足と布団がもぞもぞ動く。俺はその上をぬーっと通過して、顔を突きだす。多 とら 摩湖さんのお腹の細部まてが眼球に映り、その動きの一つ一つが捉えられる。呼吸によって静 かす かに上下するお腹なんて、間近て初めて見る。その呼吸に合わせて、俺の息も掠れて震えた。 「は、早くしてよお。このポーズ、すつごい恥ずかしいんだから」 「写真に撮っていいてすか ? 」 だめ キ「駄目に決まっとるわー ! 」 ん 「おはようからお休みまて手放さない自信があるのに」 第「ダメダメ、とにかく駄目なの ! さ、さあ早く ! 」 多 、と上半身を反らして薄い肉付きのお腹を突きだしてくる。鼻先がへその近くと擦れそ とうたっ あたい 事実に、地 うになった。というか、へそも注目に値する。多摩さんのへそ。到達したという さら うす おお と、つき こす

10. 多摩湖さんと黄鶏くん

160 だけど口にしなければ伝わらないものがあるという結論を出して、多摩湖さんに言う。 「俺はさ、さっきから昔の自分にヤキモチ焼いてるんだ」 : うん ? 」 まぶたくちびる 写真から顔を上げて、多摩湖さんが目を丸くする。瞼と唇の動きが止まった。 ほか よだれた 「だって多摩湖さんが他の男にぐへへと涎垂らしてるからー かしわ しゆくじよ 「ほ、他の男って、これ黄鶏君だよ ! あとぐへへとか笑ってないからー 私は淑女てすよー 「いや笑ってたよ ! と、とにかく俺の前て他の男を褒めるのは、こう、減点 ! 多摩湖さん 減点 ! 」「にやにおう ! 」 まど いきり立った多摩湖さんが席を立って、わなわなと唇を震わせる。目は逃げ惑うように落ち ほお 着かなくて、頬も真っ赤。そして俺の鼻先に人差し指の先端を突きつけてきた。 「じゃ、じゃあ私も言うけどねえー 今の私の煎て昔の私の胸をジロジロ見るとか不実だと思 います ! 」「じゃあ今のを見ます ! 」「おう存分に見つめるがいい さ ? 」「つしゃ ! 」 ぎようし あちょっと待ってという多摩湖さんの制止も無視して凝視。血走って食い入るように、多 のぞ 摩湖さんの豊胸に視線を投射。こっそり覗かないのは気持ちがいいてすなあー 「やつばダメ ! そーいうのは私たちにはちょっと早いのー 「そうてすか、それならちょっと昔に戻ってロリ多摩湖さんのお胸を」 「その路線から離れるように はな ふる たまこ