クラツツ - みる会図書館


検索対象: 英雄都市のバカども 2 (女神と漢たちの祭り)
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1. 英雄都市のバカども 2 (女神と漢たちの祭り)

・第ニ話『職業〕女体さすり』 「結局、人生ってのは堅実こそ一番の近道なんだ。地味でやる気が起きないかもしれない。 ィージーコミカル : ク一フツツ、も、そ、つ けれど、それをやり通すことで楽で愉快な生活を人は手にできる。 は思わないか ? 」 あんびてい 客が増えつつある宵のロの安美亭、そのカウンター席に着くなり、モルトは爽やかに、 はほえ そして優しげな微笑みでそんなことを口にする。 くちびる あき 呆れのため息を吐きかけたクラツツの柔らかな唇に、モルトは己の人差し指をそっと当 て、ウイスキーをストレートで注文した。一八年もののシングルモルト。安美亭でもかな じようだん り上等な部類のそれは、モルトのオーダーでは冗談にしか受け取られないだろう。 たず けれど唇を押さえられていたクラツツは、モルトの指を払いつつ「本気 ? 。と尋ねた。 モルトの気配から何かを察したらしい ーメイドだと、モルトは思、つ。 実に察しのいいノ おも 「ああ、本気だ。俺がクラツツ : : : 君を想うぐらいに」 やさ けんじっ やわ おのれ

2. 英雄都市のバカども 2 (女神と漢たちの祭り)

186 ほうきゅう 「構いませんよ。俸給ははずんでくれるんでしよう ? 」 かせ 「はははは、うまく稼いでくれたらな」 サシャはニッコリと笑ってモルトの肩を叩くと、屋台の裏へと回っていく。 看板を見れば、髪飾りの店らしい たんせい サシャの中性的で端正な顔に加え、彼の長い金髪との相性はいいだろう。 サシャはこれで祭り期間の仕事を手にしたも同然だ。 まぎ はらだ チッ、と舌打ちだけを場に残し、モルトは腹立ち紛れに酒を求めて歩き出した。 いっ - ばい あんびてい 金も仕事もないが、安美亭でクラツツをうまいこと言いくるめて一杯出させるか、はた しようばん また、飲んだくれに「祭りだー「めでたい」と浮かれてご相伴に預かるかしよう、そう思 ったわけなのだが : とびらくぐ : と、それは同時だった。 人混みをかき分け、モルトは笑顔で安美亭の扉を潜った : 「はい、ダ 5 メ—C> 」 いきなり舌を出したクラツツに迎えられた。 「 : : : 何だよ、クラツツ。何がそんなにダメなんだ ? 」 酒場が本領を発揮するには早い時間といえども、時期が時期だけに安美亭はいつも以上 にぎ に賑わっていた。 0 むか あいしよう

3. 英雄都市のバカども 2 (女神と漢たちの祭り)

と飲むからこそ味わい深くなるのかもしれない。そんな気すらしてくるから不思議である。 じちょう ジュクセンはグラスからロを離すと、どこか自嘲するよ、つにしてモルトからクラツツへ と視線を移す。 「お嬢さん、私は一つ謝らなければいけない。 : 君がやけに若いなと、内心少し侮って チョイスに、、、 し味わいだ。探しても文句が見つけられない 「そんなものは探さず、良い所だけを探していただければ。 : ありがと、つございます」 ジュクセンがあのにこやかな笑みをクラツツに向け、クラツツは平静とした中に嬉しさ を滲ませながら一礼する。 もど せきばら モルトは軽く咳払いをして、ジュクセンの意識を引き戻した。 「それで ? お宅は、その、何をしているんだ ? ど「その話の前に、 一ついいかな ? 何か奢ってくれないか」 カ もた おい、話が : とモルトはロにしかけるが、ジュクセンの擡げた手の平が止める。 の 市「ジンクスだ。言ったろ、運を分けて貰う。だから、君から何かを貰いたい。安いもので 英しい。同じ程度のものを私から君へ奢り返そう。そうすることで君と私の運は程良くステ アされる」 まゆげ くちびるしめ わかるだろ、そう一言うようにジュクセンは眉毛とグラスを擡げてみせ、唇を湿らせる。 もら おご あなど

4. 英雄都市のバカども 2 (女神と漢たちの祭り)

ふち って、そんなそんな興奮しまくりだなんて : : : ははつ、何をバカな」 ひど ペちっと、クラツツはモルトの包帯が巻かれている額を指で弾いた。酷く痛い 「ところで、クラツツ。俺は何故頭に包帯を巻いて病院のべッドで寝ていたんだ ? 怪我 ひろう の具合や体に残る疲労からするに割と強敵と戦ったような気がするんだが : : : 俺は一体ど んな化け物と : : : というか、今いつだ ? 祭りってどうなって : 「お祭り ? 終わったよ ? ここ最近じや一番盛り上がってた 「何だよクッソー、俺が寝ている間にやつばり終わっちまったのか。 ・ : で、俺は何と戦 ったんだ ? 」 クラツツが再びどこぞを指差したので、そちらを見やれば : : : わずかに開いた窓、その 縁にカナヅチが置かれていた。 だれ ぼ / 、さっ あと まるで誰かを撲殺したかのように、乾いてこびりついた黒ずんだ血の跡のあるそれは、 いっぴん モルトの目からすると一目で鍛冶職人が一流の大工職人に向けた逸品だと知れた。しつか にぎ りとした重量がありながらも握る手によく馴染む、そんなハイクラスの品だろう。 ろてんしよう リキュールの祭りの露天商ではこういった高品質な品も売られているが、これはその中 でもなかなかの部類である。 「そうそう、夢の中でこんなカナヅチでリツツにさ。あいつ、もう、人混みかき分けるん なぜ かわ

5. 英雄都市のバカども 2 (女神と漢たちの祭り)

188 まえがみ 右目を隠すように前髪を垂らし、いつもならばバレッタでまとめてアップにしている彼 女の金髪は、今日は祭りに合わせてか、造花の花飾りで纏められ、服もまたコルセット・ ゆかた ベストではなく : : : 浴衣だった。 はや いつの頃からか、祭り期間に着るものとして、若い女性の間で流行っている服装である。 暖かい地域ではないリキュールとはいえ、この時期はさすがに夜でも暑く、その間を央 はだざわ : これがいい。実に 適に過ごすために浴衣は肌触りの良い生地で作られているわけだが : なおさら 、 ) 0 しかも働く女性となれば尚更だ。 だいごみ 浴衣の醍醐味はうなじだと人は熱弁するが、モルトは断然腰回りだった。より具体的に 一一一一口うのなら、かがんだ時の尻である。 たな かわ モルトの視界の中で、クラツツがカウンターの下にある棚から乾き物のつまみを出そう よだれ としているわけだが : : : それには涎が出そうだった。 かがんだ際に浴衣の生地がピッチリと張られ、現れるヒップライン。そこに浮き出る下 着のライン。それは細身でありながら出るところは順当に張り出している健康的に育った みりよく 一七歳の少女、クラツツの魅力の表れでもある。 せんじよう それは、何とも一一一一口えないほどに扇情的で、裸のクラツツを見る者に容易に想像させる。 本人がそれらの視線を理解せずに受け止めているのもまた、そそるものがある。 ころ はだか こしまわ

6. 英雄都市のバカども 2 (女神と漢たちの祭り)

352 ツツは頷いた。 「川はダメ、賭場や夜のお店もダメ、大浴場はうるさくて拒否、博物館も獅子が荒ぶりす : どうすりやいいんだよ ぎてて嫌だ、と : モルトとリツツが額を突き合わせるようにして頭を抱えると、腰に手を当てたクラツツ がため息を一つ。 「館長の : : : その、知識欲だっけ ? しばらく質疑応答したら収まるんじゃないの ? 「どうかな。目を血走らせて半裸でデカい銅イ担いだ上で、クソ重そうな変な球体抱えて あ なぞ 突っ走って来るような知識欲だぜ ? そのうちに人類誕生の謎とか、魂の在り方とは、み たいな質問に至るだけで永遠に終わらねえよ、アレ」 めがみたず なにそれ ? と、クラツツは店の隅で、再び桶に顔を突っ込んでいる女神に尋ねた。 みやげ おそ 恐らくこの地のものではなく、どこかで作られたものが土産品か何か 「銅像は知らない。 かんちが で持ち込まれたのだろう。それを街の歴史ある品と勘違いしているのだと思う」 : ありそう、そういうの。それじゃ球体の方は ? 」 「、つわー ほうだん 「あれは昔の : : : そう、かなり昔の砲弾だったように田 5 う。何らかの凄まじいパワーで敵 しょ・つ・げ・き ばくはっ じんじようへき 陣や城壁などに撃ち込み、その衝撃を得て爆発を起こす : : : というようなものだ」 しゅんかん 女神の言葉が放たれた瞬間、モルト、リツツ、クラツツの三人は一斉に頭痛がするよう いや おけ きょひ いっせい すさ てき

7. 英雄都市のバカども 2 (女神と漢たちの祭り)

クラツツ、 XXXXXX XXXXXXXXXXXXXXX'itæ: であるげ

8. 英雄都市のバカども 2 (女神と漢たちの祭り)

132 と・つとっ 続いていたのだが : : : それは、唐突に終わった。 サシャが持っていたあの球体の魔導具が彼の手から転がり落ちたのだ。 ゆか そして、床に落ちたそれは激しく振動し、カラカラと音を立てて床を転がっていく。 「 : : : なあ、クラツツ、店の下って : : : 何がある ? モルトの問いかけに、クラツツは不思議そうな顔をして首を傾げる。 「地下室は一応あるけど、その辺りにはないわよ ? 下水道が通ってて造れなかったって 叔父さんから聞いたけど」 「モルト、準備はやめだ」 「ああ、手つ取り早く終わらせようぜ。 リキュールの特色の一つに、辺境の地でありながら上下水道がある、ということが挙げ ふつう られる。普通は大国の首都でもなかなかないようなものが、古よりこの街には当たり前の よ、つにあり続けていた。 きわ ふくざっかいき だが、その歴史故か、地下の構造は極めて複雑怪奇なことになっており、特に下水に至 ゆえ ・ : 地下へ潜ろう」

9. 英雄都市のバカども 2 (女神と漢たちの祭り)

292 クラツツが冷や汗を流しつつ、窓の外を見やれば : : : もうリツツの姿はどこにもない。 「 : : : ん ? おいっ ! お前、何しているここは病院だぞ怪我人増やして何しょ うってんだ」 どとう 女医が戻って来るなり怒濤の勢いでまくし立てて来たので、クラツツはたまらず呻いた。 「 : : : だってえ : はるいにしえ 「つまり、こういうことか。自分は女神なる存在であり、遥か古よりこの地に住まう生命 と共存し、特に人と深く交流をしてきたものの、ある時を境にばったりとそれがなくなっ さび て、割と寂しく思っていたところだった : 「うむ。そうだ。どれだけの時間であったかは、もう、はっきりとはしないのだが。 とたん 人は勝手なものだ。たまに会いに来るかと思えば、途端に来なくなるのだな」 にお 病衣のまま、すまし顔でエビにして無毛な女神ーーエビーザは匂いを嗅いでからハープ しぶ ティーを口にする。苦手だったのか、少し渋い顔をしてカップを戻した。 おだ 一方、穏やかではないのが、彼女を囲むリキュールの政治を執り行う一三人の議員を始 4 あせ

10. 英雄都市のバカども 2 (女神と漢たちの祭り)

282 : っていう、夢を見たんだ」 病院のべッド脇の椅子に座りながら、リンゴの皮を剥いてくれているクラツツに、モル トは夢の中での壮大な物語を語った。 クラツツがため息と共にそっとどこかを指差す。 となり モルトの目がその指を追うと、それはカーテンで区切られた隣のべッド。 トルシュ・オマロン ダンジョン かく 何を意味しているのか、この街、この山、そしてこの地下神殿の意味とそこに隠さ すべ れた真実に気付き : : : そうになったが、 地上に出た後、全て忘れた。 かぶ 頭にパンツを被ったモルトを先頭として、英雄なる漢達四人が全身をぬめぬめさせなが ら全裸の女性を担いで地下より現れたことで、漢祭りはここ数年で一番の謎の盛り上がり カナヅチきようれったた を見せると共に、モルトの頭にリツツが放った鈍器が強烈に叩きつけられたせいである。 じしょ・つ そうして自称ェビの女神とモルトはそのままリキュール総合病院へと急ぎ担ぎ込まれる ことになるのだった。 無論、全裸で。 2 わき そうだい す む なぞ