咬ま - みる会図書館


検索対象: 銀の十字架(クロス)とドラキュリア
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1. 銀の十字架(クロス)とドラキュリア

「では、緋水、 「な、何だよフ どぎまぎしている緋水に構わず、ルシュラは顔を近づける。 それこそ唇が触れ合いそうなほど、近く しかし : : : 彼女の唇は、緋水の唇ではなく、首筋に向かう。 ロづけ : : : っていうか咬みつきは、唇ではなく首筋へ。 いきなり何すんだ、病み上がりに卩 「イデデデデッツツツツ がまん 元々私の血だずっと我漫していたのだ " 【 「よいではないか、少しぐらいー たお ア舌なめずりをしながら、押し倒してくるルシュラ。 らんらん ュ爛々と目を光らせる彼女は、もう誰にも止められない キ : あ、イテ、せめてもっとやさしく : ラ「ちょっ、ヤメ : 架「、つるさい、おとなしくしろ ! 」 こんがん ていこう 字 + 抵抗空しくあっさり組み伏せられ、緋水の懇願と血液は、儚く散った。 の ・ : 美味 D 」 銀「、つむ : ・ : あ、吸血『鬼』か : 「 : : : 鬼かお前は : なみだ こうこっしたつづみ 恍惚と舌鼓を打っルシュラのぬくもりを感じながら、緋水は涙交じりにばやく。 はかな

2. 銀の十字架(クロス)とドラキュリア

214 思わずえるるは身を震わせた。 そうーーー信用すべきではないのだ。 吸血鬼に咬まれた人間は、信用してはいけない。 何故ならば 「吸血鬼に咬まれた人間は、咬んだ相手ーーすなわち主人に忠誠心を抱くようになる。保 しししんちゅう 護する側にと 0 ては、いわば獅子身中の 0 て奴だ。だからこそ、お前は委員長をあれだ こうそく け厳重に拘束した。だったらわかるよなフ」そう簡単に、咬まれた奴の言葉を信じちゃい ふつう けない。主人のことは、普通なら庇う。名指しで正体なんて言ったりしない。言ったとし だれ たなら : : : それこそ、主人に言われて、誰かに罪を着せようとでもしたとか、な」 その場にいる機動隊員にも、ざわめきが広まっていた。皆、吸血鬼に関するある程度の してき 知識は有している。だからこそ、緋水の指摘が的を射ていることも理解できた。 部下の視線を背に受けながら、えるるはあくまで冷静に応対を続ける。 「確かに、あなたの意見には一理あります。しかし、咬まれた者の忠誠心は、その人間の 精神力と、吸血鬼化の進行の度合いで個人差が激しい。今回の場合・ そむ 「ほば吸血鬼化寸前のうえ、吸われたのはか弱い女子高生。どう考えても、主の意向に背 ふる あるじ

3. 銀の十字架(クロス)とドラキュリア

196 も ? なりかけには、咬んだ相手を吸血鬼化させる力はまだないぞ ? 」 こうりよ 言った瞬間、銃身で額が小突かれた。吸血鬼との格闘戦も考慮しているのか、銃身はか いちげき がんじよう なり頑丈で、えるるの一撃も重い 「何すんだよ」 むく 「当然の報いです。あなた、彼女が正気に戻った後、人の血を吸ったことを思い出したら、 どれだけ傷つくと思ってるんですか 「吸血鬼に咬まれるということは、単に吸血鬼化が進むことを意味しているんじゃありま おか せん。人間の尊厳が冒されるということです。中途半端な知識で、不用意に首を突っ込む のはおやめなさい " しみに近い怒りを曝け出した後、えるるはあらためて眠る玲奈を指差す。 吸血鬼の特性その⑥ーー吸血鬼に咬まれた者は、その吸血鬼化の進行に応じて、主人た る吸血鬼に忠誠心を抱き、吸血鬼に近い存在になっていく。 玲奈に対する拘束は、彼女の保護だけでなく、彼女を危険視しているからでもある。 「私がここにあなたを連れてきたのは、このあわれな彼女の姿を見せつけてあげるためで ほんしよう す。どんなお題目を唱えようが、これが吸血鬼の本性。血を吸って人を傷つける。あなた さら かくとう

4. 銀の十字架(クロス)とドラキュリア

まさか今時あんなーー典型的というか、古風というか : : : 吸血鬼らしい吸血鬼に遭うと は、田 5 っていなかった。 もう一一度と遭わないだろうしーー・・遭いたくもなかったのに。 吸血鬼なんて、二度と関わりたくないのに。 ズキ、と軽く胸がうずき、緋水は胸の中央を軽く撫でる。 そこには、胸を縦に二分する一線が引かれていた。彼の白くなめらかな肌には似つかわ きずあとふ しくない傷痕に触れ、緋水は顔を歪める。 「よりによって、俺の血を吸うとはね : かわ 少し、気の毒に田 5 った。あのがつつきようからして、ずいぶん渇いていたようだが、相 手が悪かった。 常人ならば、咬まれれば吸血鬼化もするし、目が合えば魔眼も効く。というか、そもそ きようふ も吸血鬼の存在そのものに恐怖するだろう。 が、緋水に限っては別だ。 吸血鬼に関する知識と実際に出会った経験ーーーそして、何よりこの体質だ。 吸血鬼に咬まれても吸血鬼化せず、さらに特殊能力の無効化 この体質のおかげで、 吸血鬼に対する恐布はまったくない。 かか ゆが きゅうけつき はだ

5. 銀の十字架(クロス)とドラキュリア

198 のような人間でも、多少は理解できたでしよう」 緋水は反論せず、べッドの脇のサイドテープルに視線を向ける。 テープルの上には、玲奈の私物とおばしき品が置かれている。 「これ : : : 委員長のかな ? 」 かがや 緋水が手にしたのは、高貴に輝く口ザリオだった。かなりの高級品で、単なるファッシ ちが ョンとは違う、確固たる聖性を感じさせる品だ。 けいけん 「 : : : そうです。家族そろって敬虔なクリスチャンのようですよ。中学もミッション系で、 休日はきちんと教会に顔を出しているとか。ご両親も、教会関連の用事で家を空けている もど ようです。お戻りになる前に、かたをつげなくてはなりません」 「信心深い家庭なのに、神のご加護がないな」 ひがいまぬか 「そのロザリオを首にかけていれば、被害は免れていたかもしれませんね。しかし、吸血 鬼に咬まれるというのは、そういうことです。敬虔な聖女だろうが、罪深い悪女だろうが、 まものお 咬まれれば人外の魔物に堕ちる。人が知る中で、最も平等で最悪の病です」 「なるほど」 緋水はムニッとえるるのほっぺたを摘む。地味に指先には力がこもっていた。 「 : : : 何するんです ? 」 わき つま

6. 銀の十字架(クロス)とドラキュリア

276 この後、緋水は退院するまで毎日押し倒されたことは、言うまでもない もど 数日後、退院した緋水は学校生活に戻った。 れいな 玲奈の容態も問題ないらしく、緋水より先に登校を再開したそうだ。 きおく 咬まれていたときの記億は曖昧だそうだが、玲奈は何かしら思うところがあるらしく、 登校直後に、 「 : : : ありがと、つ」 と恥ずかしそうに言ってきた。何故か授業中も視線を感じるし、よく話しかけてくる。 かたまり とりあえずは日常に戻った と言いたいカ、非日常の塊のよ、つなルシュラが、放課後 に笑顔でとんでもないことを言ってきた。 「 : : : 部活を作った ? 名案だろう 「うむ ! 私が入れる部活がなければ、作ればい 「うんゴメン、得意満面だけど、それ、今は一周回ってむしろ王道的な発想だから だま いいから来い ! 」 「うるさい、黙れ。 ムリャリつれていかれた先は、かって芽依に押し倒されたあの空き教室だった。 何かもう、この時点でやな予感がする。

7. 銀の十字架(クロス)とドラキュリア

めいわく ゆえん 下する。夜の王と称される所以の特性だが、特に夜型ではない緋水には迷惑このうえない 「何故咬まれたのに平気なのだ卩咬まれた以上、お前は私の下僕、命令を聞け ! 」 「ヤ 5 ダ」 と、緋水はにべなく言った。 「馬鹿な : : : 私の命を聞かぬだと卩血を吸ったのに、何故だ卩」 じよ・つきょ・つ きようてんどうち 確かに吸血鬼にとっては驚天動地、ありえない状況だろう。 相手が聖人だろうが極悪人だろうが、いかなる人間であれ、吸血鬼に咬まれた者は、吸 血鬼化が進行する。 ひとたび あるじ そして一度咬まれた者は、「主」である咬んだ吸血鬼の支配を受け、服従する : : : はず ア あっか 7 なのだが、緋水は平然とルシュラをぞんざいに扱う わざ ラ「何者だ貴様卩一体、いかなる技を使った 2: 「技でも術でもなーい。ただの体質だよ、た・い ・し・つー 架 いくど 字幾度となく繰り返されたやりとりに飽き飽きし、緋水は気だるげに返す。 銀「そんな馬鹿な話があるか ! 大体、私は吸血鬼だぞ卩その私と、夜に出会ったのだ ぞその、もっとこう : : ないのか 「そりゃあビックリはしてるよ。こんなふうこ、、、 。し力にも吸血鬼ですって格好の吸血鬼に

8. 銀の十字架(クロス)とドラキュリア

吸血鬼のロづけとは違う、妖艷で甘い唇が緋水の首に触れた。 : な、何すんだよ 2: 「消毒よ、ショードク。吸血鬼に咬まれるよりは、ずっとイイでしょ ? 「そりや、まあ : かんしよく てんしようあお 首筋に残る柔らかい感触を思い返し、緋水も満更ではない様子で天井を仰ぐ。 当然、ルシュラの怒りは一気に頂点に達した。 「お前、何をしている卩そんな女と : 恥を知れ " 】」 : 目くじらたてなくても 「いや、まあキスマークつけられたわけでもなし・ ア ュ「お前は、そんな簡単に首筋を許すような男だったのか : 誰でもいいのか卩」 キ ラ「やめてくんない ? そもそも何 人を『誰とでも寝る女』的に一一一一口うのやめてくんない卩 血を吸うのヘタクソだし」 靴で義理立てしなきゃいけない ? いらだ りふじん うつぶん 字 + 理不尽な糾弾に苛立ち、緋水もまた溜まっていた鬱憤をぶつける。 の 銀そこへ、さらに芽依が火に油を注いでいく。 「え、何、あの娘血を吸うのヘタなわけ ? あれ、吸血鬼に血を吸われるのって、確か性 的な快楽伴うんじゃなかったかしら ? 特に異性が相手の場合」 やわ よ・つえん まんざら

9. 銀の十字架(クロス)とドラキュリア

ののし 「けどさ、救われた俺以外の人間は、み 5 んなその吸血鬼を罵ったんだよ。化け物とか、 ほろ 滅びて当然とか、そんなふうに。石投げた奴もいたつけな。なあ、正しいのはどっちだ ? 」 一言えるわけがなかった。訊いてほしくなんてなかった。 ざんこく 緋水はなおも残酷な問いかけを続ける。 「俺はどうすればいし 人間だから、ソィッらと同じように、俺を育てた吸血鬼に唾で も吐きかければいいのか ? そもそも人間なら、まず一言礼を言うべきじゃないのか ? 相手が吸血鬼だろうが、化け物だろうが : ・「ありがとう』ってさ」 のぞ ひとみ ア顔を覗き込んでくる緋水に、えるるは顔を背けた。いや、彼の瞳から遷げた。 まぎわ からだ ュ「アイツは死の間際、俺をこんな体質にした。そうしなきや、俺が死んでたからな。おか ラげで俺は : : : 吸血鬼に咬まれても吸血鬼にならなくなった。じゃあ : : : 俺は何なんだ ? 」 字 + 「人間は、吸血鬼に咬まれたら吸血鬼になる。逆に一一一一口えば、咬まれても吸血鬼にならない の まもの 銀のは、人間じゃない。じゃあ俺は何だ ? 人間か ? 魔物か ? それとも、人間でも魔物 でもなしイし : ヒナ物か ? 」 なおも緋水は、えるるをまっすぐ見つめて問いかける。 やっ アイツ つば

10. 銀の十字架(クロス)とドラキュリア

156 「そういうもんかな ? すぐわかりそうな気がするけど かけら 「あなたのような知性の欠片もない人間にはわからないでしようが、吸血鬼は人間社会へ の順応が非常に高い。あなたでも、奴らが日光に弱いことぐらいは知っているでしようが、 やから しやこうざい ひふ 今の時代は、それすら特殊な遮光剤を皮膚に塗り込むことでカバーする輩もいる」 はだ 「だが、その手の薬剤も完全じゃない。肌のテカりで使用がわかるものが多いし、見た目 うむ わかん に避和感がない高級品でも、触れば使用の有無はますわかる。それに遮光剤の効果はせい ぜいもって一日、塗るのを忘れればアウトだから過信はできない。調達も手間だし、日光 ひか こくふくしよせん の克服は所詮夢だな。日中の外出は控えるか、日傘を差した方が無難」 くわ 「 : : : 詳しいですね , さと えるるの目の色が変わったことで、緋水は失言を悟った。 かんぐ むだ この手の知識だけは無駄に豊富だが、変に勘繰られるのは避けるべきだ。 「ちょっと小耳に択んだだけだよ。けど検査なら、採血程度で充分だろ ? 何だよ、あの べッタベタな古典的なやり方ー かくにん 「それが一番効果的だからです。採血自体は、あくまであなたの健康状態の確認です。吸 血鬼に咬まれた人間は血液の量が減少し、各成分の割合も多少変化が出る」 いちもくりようぜん 「いや、だから、俺と吸血鬼の血を比べれば、一目瞭然じゃないの ? 」 さわ やっ ひがさ じゅうぶん