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検索対象: 銀の十字架(クロス)とドラキュリア 2
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1. 銀の十字架(クロス)とドラキュリア 2

知の山田 ヴォルフォレカ 作品紹 - マ 目覚めたら、なせか魔界の四天王になっていた髙校一年生の 山田。元の世界に帰るためには、人抹殺計画を他の四天王 ( 人問だとバレすに ) と進めるしかない。さっそく人抹穀 寸画の会を進めるも、他の三人はやる気がなく・・・ 気付けば RPG ゲームをやっていたり、モンスターの恋愛相談 にのったりと、いつもグダグダで残念なことに ! ?

2. 銀の十字架(クロス)とドラキュリア 2

「無駄に思い出すんだよ : : : 鍋だと、な」 よくよ・つ 抑揚のない声で言い、緋水は立ち上がった。 ぞうすい 「 : : : そろそろ、締めの雑炊といくか」 材料を取りに、台所へ向かう緋水。 その背を見ながら、ルシュラは彼の自分と出会う前の食卓に思いを馳せた。 多分ーーー今と、そ、つ変わりはない。 二人きりでーー差し向かいで食べていた。 誰と ? 身内と。 そだてのおや 吸血鬼と。 それが、一人になった。 その孤独を最も痛感する料理は何だろう ? きっとそれは、二人以上で食べることが前提の料理。 たとえば : : : 鍋料理。 新たな一人が、自分が食卓に加わってもーー緋水の孤独は晴れないのか なんじゃくやっ ・ : 軟弱な奴だな」 だれ こどく し

3. 銀の十字架(クロス)とドラキュリア 2

た。吸血鬼ならいざ知らず、人間のあなたは大変だったでしよう」 「戻ったとき : : : あなたは一人だった。記録上は出国も一人でしたから、当然かもしれま おもむ せん。しかし、一人でそんな情勢の不安な国に赴くでしようか ? たとえ出国記録に残っ どうはん ていなくとも : : : 保護者同伴だったのでは ? 」 保護者ーーそう、大分年上の身内がいた。 母であり、姉であり、誰よりも近い身内が。 「なのにーーあなたは、一人で帰国した。そして帰国したとき、出国のときにはなかった Ⅱ 荷物を二つ持ち帰った」 ア 「 : : : やめろ」 ュ きょだい じゅうじか つるぎ ラ「一つは、巨大な十字架。おそらくは、今あなたの家にある、あの剣。も、つ一つはーー・」 と「やめろ " 】」 するど だま 字鋭い声に、えるるはロを噤んだ。いや、黙らされた。 銀そんなーー・そんな声だった。 「そのへんにしておけよ。ストーカーよばわりされたいか ? 「 : : : 失礼。余計なことを言いすぎました。とにかく、この街には何かがある。あなたの つぐ

4. 銀の十字架(クロス)とドラキュリア 2

気まずそうに、二人は目を伏せた。 本当に、何やってんだろう。 じよ、つきよう びみよう しばらく微妙な空気が流れたが、緋水がルシュラのもっ瓶に気づいたことで、状況は一 変した。 「返せよ : 緋水はルシュラへ歩み寄り、ひったくるようにして瓶を奪う。 ていこ - っ けんまく きよっ その剣幕に、さしものルシュラも虚を突かれ、抵抗できなかった。 「質問を質問で返さないでよ。訊いてるのはこっちょ ? 「そう言われてもな : 考え込む美少女一一人。 すん それを、怪諷な顔で見つめる部屋の主。 というか、えるるを地下に案内し、戻ってきた緋水。 「 : : : 人の部屋で何やってんの、お前ら ? 」 ふ

5. 銀の十字架(クロス)とドラキュリア 2

第一章魔物会議 にんか : っていうか、そもそもこんな部活、認可した覚えないけど ? 」 とつじよ いつものように、四人が「部室」で思い思いかっ怠府に過ごしていた矢先、突如部室を 訪れた彼女は、そう告げた。 しりめ むじひ キョトンとした表情の四人を尻目に、彼女はさらに無慈悲な言葉を紡ぐ。 わた せんきょ 「というわけで、さっさと明け渡してちょうだい。教室の不法占拠よ、これ ? 」 「何故だ何故我が部活が認可されていない ? まだ名前と何をするかが決まっていな いだけだぞ卩 「いや、その時点で、すでに部活はおろか、同好会ですらないから . 他の三人があえて一言わなかったことを、その少女はあっさり言ってしまった。 かみ ルシュラとはまた別種の威厳を放ち、ゆるやかなウェープのかかった髪をアップに束ね、 校則とファッションを両立させた見事な制服の着こなしのその少女は、校内の者ならば、 誰でも知っている。 生徒会副会長、羽乃希璃華。 おとず なぜ うのきりか

6. 銀の十字架(クロス)とドラキュリア 2

「 : : : 吸血鬼風情に、社会人の在り方を説かれたくありませんね。基本暗所にこもってい る、ひきこもりの元祖でしよ、つ ? 」 じよ、つ 「キャパ嬢からコンビニのバイトまで、夜型の仕事は一通り経験したらしいぞ。一時期、 ちょう 銀座の夜の蝶だったとか , その光景を想像したのか、えるるは言葉に詰まった。 かせ 証言どおりの美貌なら、さぞかし指名を稼いだことだろう。 コンビニのバイトにしても、防犯的にも、もってこいだ。たとえ強盗が銃を持ってきて Ⅱ も、確実に返り討ちにできる。 ア 「どんな吸血鬼ですか : ュ 本当に『真祖』卩あなたの同居人が聞いたら、目を剥き ラますよ」 げいごう 「吸血鬼といえど、生きてくためには資本主義に迎合しなきゃいけないそうだ。ムダに人 架 がんちく 字生経験も豊富だから、たまーに含蓄の深いことも言ってた。仕事に妥協がないことと、自 銀分の限界を知ることは、まったく別だとか」 とたん くさば かげ 「 : : : あなたが一言うと、途端に説得力がなくなりますね。草葉の陰で、身内とやらも嘆い ていますよ、きっと びぼ - っ ご・つとう

7. 銀の十字架(クロス)とドラキュリア 2

230 か けいかい しず 警戒する二人に、ロープの内側に左手を沈め、ク魔女クは新たな瓶を持ち出した。 先ほどよりやや大きめで手に余る大きさ。中に収められた液体は、血に酷似した赤いも のだった。 その瓶を、ク魔女クは二人の足元に向けて放る。 よ そくざ 即座に避けたことで、瓶は足には当たらず、ただ地面に落ちて割れた。 とうてき のぼしゅうき しかし立ち昇る臭気に、二人はク魔女クの目的が投擲によるダメージではなく、これを 嗅がせるためだと気づいた。 おとぎばなし 御伽噺で語られる、トカゲやカエルの干物を大鍋で煮詰めた魔女の薬 , ーーそれをそのま ま具現化したような、毒々しい香りが周囲に満ちる。 ゆが おお 緋水は顔を歪め、口元を手で覆う。 あくしゅう 目もくらむ悪臭だがーーそれだけだ。 何とかなる。 、、こが、ルシュラはダメージを受けた。 むなもと かたひざ 胸元を押さえ、片膝を突く。 「何だ、これは : : すごく、気持ち、悪い : ひものおおなべ

8. 銀の十字架(クロス)とドラキュリア 2

緋水が部屋の奥を指差す。 人一人を通すスペースを残して、ほば壁一面を覆う、大きな本棚。 ほば容量ギリギリまで本が詰め込まれているが、どれも背表紙が古ほけて変色しており、 破損している物も多い。 へいか 「これは : : : 閉架ですね。基本的に貸し出し不可、許可を取って持ち出すか、図書室内で えつらん の閲覧のみが許された本 : : 確かに、古かったり稀少な本が多いですが、ここに何 「違う違う、大事なのはこの裏」 ア緋水は本棚の後ろに回り込む。壁と接していないこの本棚の裏には、狭く暗いスペース ュが存在している。 「ここは、入るの初めてか ? 」 靴「ええ : : : でも、ほとんど物置き場ですね」 + えるるの言葉どおり、そこは整理がされていない、雑多な物置き場だった。埃が積もり、 のたんさくそうじ 銀探索も掃除も一苦労な場所だ。 「前に、委員長が何か先生から、ここにある古い資料を授業に使うってことで、お使いに 行かされてさ。一人じや大変だから、俺も手伝ったんだよ。で、そのときこのスペースの おお ほんだな せま ほ一」り・

9. 銀の十字架(クロス)とドラキュリア 2

種族の架け橋になろうとでも ? ごくあくにん 。正直、極悪人とかだったら吸血鬼に血を吸われて殺されて 「俺はそんな聖人じゃなーい かわ も、なーんとも思わないし、吸血鬼が血に渇いて滅びかけてても、特に何とも思わない」 どくが 「ウソがヘタクソですね。仮に、目の前で救いようのない極悪人が吸血鬼の毒牙にかかろ うとしていたら、あなたは救おうとするでしよう。目の前で渇いている吸血鬼がいたら、 あなたは自分の首筋を差し出すでしよう。あなたはそういう人です : ほめられてんの、ソレ ? 」 「けなしているんです。もっと現実を見なさい」 会話を切り上げ、えるるはべンチから立ち上がった。 かのじよ もう体は回復し、行動に支障もない。そもそも、もう日は落ちかけ、ダンピールのバイ オリズムが活性化する時間帯なのだ。 「ご迷惑をかけました。もう丈たです かんし 「じゃあ、そろそろ教えてくれ。何で校内に残った ? 俺とルシュラの監視が目的なら、 とど 俺達が下校するなら、お前が学校に留まる理由はない。むしろ、出てくはずだろ ? それ こそ、俺らをストーキングするかもしれない。なのに、今日も : : : 昨日も、その前も、お いっしょ 前は校内にいた。部活の終わりは一緒なのに、下駄箱で顔を合わせないのは、何でかな ?

10. 銀の十字架(クロス)とドラキュリア 2

「だからって、何ゆえ俺の隣り ? 」 いいでしょー 別に ! 気安く近寄らないで ! 」 顔を赤らめた希璃華に、ルシュラと芽依は何かを直感した。 コイツ、まさか かば そういえば、緋水に命がけで庇われた。 「この部屋は : : : 使っていいわよ。私から、先生に話しておくわ , 「はあ、どうも。しかし、結局魔術に手え出そうとした奴は、どんな奴 ? 」 「 : : : はっきりは、わからない。そもそも、一人なのか、数人なのか : : : 文集も何人に読 Ⅱ アまれたかはわからないし : : : 文集自体も、まだ校内に何冊かあるかもしれない。な、何な ュら : ・・ : あなたも、手伝、つ ? その、危険、だし : ・ : 生徒会としても、その : ラ何故か上から目線で言われたが、緋水は気にしたふうもなく言う。 靴「はあ、まあ、ヒマだし」 宀子そうまか + 「捜魔課の活動とも重なりますしね。この学校、まだいわくつきのようですし。部活も、 の なぞ 銀非公認でいいですから、いっそク捜魔部ク。 こして、さっさと残された謎を追いましよう」 平然と方針を決めるえるる。 ルシュラは地団駄を踏み、緋水を指差す。 じだんだ