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検索対象: 銀の十字架(クロス)とドラキュリア 2
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1. 銀の十字架(クロス)とドラキュリア 2

「 : : : あれ ? 」 ひしょ - っ すでに飛翔の最高点を向かえ、地面に落下するク根クが視界に入ったとき、緋水のみな らずルシュラ達も首を傾げた。 伝承にある、人間と酷似した形だというマンドラゴラの根ーーしかし、どう見てもそれ は、人型ではなくて見慣れた野菜のもの。 つい先日の調理実習でも使い、そしていっ食卓にあがってもおかしくない、ポピュラー な赤い根菜。 ぼうぜん 四人が茫然と見守る中、ポトンとそれは地面に落ちた。 Ⅱ ア いち早くえるるが落下地点に向かい尸日 司題の品を摘み上げ、緋水達に見せる。 ュそれはどう見てもーー・ニンジンだった。 架「、んえええええええええええええええ」 十 の かた たた 銀目を丸くする緋水の肩を、笑いを堪えながら芽依が叩いた 「ちょっと何アレ : : : ニンジンヒー君ってば、ビビリすぎ " 】」 おび 「まったくだ ! あんなものに怯えおって : : : なさけないにもほどがある " かし こら しよくたく つま

2. 銀の十字架(クロス)とドラキュリア 2

深呼吸をし、ゆっくりと花に近づく。 かくにん くき かんしよく つか 茎の根元部分を掴み、その感触を確かめながら、周囲の様子を確認する。 ひとかげ 人気はなく、ルシュラ達以外の人影は見えない。 う やわ マンドラゴラの方は、埋められた土は柔らかく、力を入れて引き抜けば、おそらく特段 問題なくク根クは土から引っ張り出せる。 問題は : : : その後。 な 本物ならばーー哭く そしてその叫びを聞けばーー死、あるのみ。 : ってことはだ ! 」 勢いよくク根みを引き抜き、緋水はそのまま高々と天にそれを放る。 直後、全速力でルシュラ達の下へ駆ける。 かせ 全ては、少しでも。根【との距離を稼ぐため。 死の叫びの音量を極力抑え、その声から離れるため。 もくろみ 目論見は、功を奏した。 きょ 指での耳栓も生存に寄与したのか、音は聞こえず体も無事だ。 とたん ゆくえ 根クの行方が気になり、そちらを振り向く。 助かったーーーそう思った途端、ク 0 さ ほ . っ ふ

3. 銀の十字架(クロス)とドラキュリア 2

序章 「廃部の危機だ : てんがびぼう 典雅な美貌を悲痛に歪め、ルシュラⅡダーム・ドラキュリアは、居並ぶ部員達にそう告 時は放課後、場所は校舎の隅にある空き教室にして、部室。 数週間前、今黒板の前に立っルシュラを「部長」として創部された、部活。 めいしよう Ⅱ もっとも、創部以降、未だに活動内容も名称も決まっていない ア 特にお前リ」 : これも全て、お前達のやる気の無さが原因だ , ュ キ「え 5 、俺 まんが 名指しされ、ルシュラに背を向け、漫画を読んでいた紅城緋水がイヤそうに振り向く。 AJ : 何もしてないのに」 字「何で俺なんだよ : 私の提案も、ことごとく無視しおって : の「そもそも、何もしてないのが問題なのだー わんしよう 名称を親しみやすく『〇〇〇団』にしようとか、役職に応じて腕章を付けようとか、『い んたーはい』出場とか、『こくりつ』へ行くとか、『あついなっ、はじまる』とか、決勝で 、キノ , 」 0 ゆが すみ くじようひすい

4. 銀の十字架(クロス)とドラキュリア 2

せつな 刹那、魔眼の眼光が彼女の裸眼を貫く。 「答えろ : : : 貴様は魔女か ? : そう、かも」 がくぜん 愕然と顔を見合わせるルシュラと芽依。 とも あか 目に真紅い光を灯したまま、ルシュラはさらに続ける。 「ど、つい、つことだ : : はっきり一言え ! 何故、文集とやらに貴様の名があった貴様は 何者だオカルト研究会とは、何なのだ 2: 「調べ、てた : ・ : 七不思議とか、伝説 : : そのうち、魔女の話に行き着いて、で Ⅱ とちゅ、つ アも、のめりこみ、すぎて : : 私は、途中で、抜けて : : でも、残った子達は ュ キ 防「ねえ、何で先生、ちゃんと話してくれないの ? あなたのカ、効いてるフ ばんのう 靴「私の魔眼とて、万能ではない。本人が忘れたことや知らぬことはどうしようもないし、 字きおく + 記憶の底に沈んでいるものは、時間がかかる。さあ、続きを話せー ゆくえ 銀「残った子達は、よく、知らない : : 転校して、いなくなって : : 他にも、行・万 不明、とか : : 魔女 ? そうなったの : 本当の、魔女に : : : それとも、魔 女に殺され、て : つらぬ

5. 銀の十字架(クロス)とドラキュリア 2

「でも : 「紅城さんの一一一一口うとおりです。仮に彼女一人を魔眼で虜にしたところで、生徒会や教職員 全体が動いている以上、相手は不特定多数。しかも、魔眼の効力は長続きしない。同じこ との繰り返しですよ ? 下手すれば、あなたの正体もバレかねない」 っ えるるもまた、現実を突きつけてルシュラの暴走を止める。 こぶし ルシュラは言い返すこともできず、ただ拳を固く握っていた。 「 : : : というわけで、用がないならさっさと : 「あ、ちょっと待ってセンパ 5 イ」 とど 話を終わらそうとした希璃華を、芽依が押し留めた。 「事情はわかりましたけど、だからって、出ていけってのはあんまりでしよお ? そりや 学校に認められてない、非公式な部活だの同好会だのはアレですけど、私達のは、ぶっち やけ部長を気取ってたちょっとイタイ子がやってた部活ごっこで、実質ダべってただけだ しフ 「お前 : : : 細かい意味はわからぬが、思いっきり私の悪口を言っているであろう : し はんにや め ルシュラが背後で般若の形相で歯を噛み締めているが、芽依は気にせず続ける。 だれ めいわく 「 : : : 逆に一一一一口うと、アタシ達のやってることは、誰にも迷惑かけてないってこと。校則に くじよう こぎ

6. 銀の十字架(クロス)とドラキュリア 2

: 吸血鬼の一味か ? 「貴様達も : がくぜん 愕然と二人は顔を見合わせた。 猫がロにしたのは、間違いなく人の言葉。 年齢はしやがれた老婆のようでもあり、少女のようでもあって判然としないが、女性の 言葉であることは間違いない 「吸血鬼の一味ならばーー去れ。さもなくば : 「さもなくば ? せいじゅう けんせい えるるはゆっくりと距離を詰め、猫を牽制する。場合によっては、愛用の聖銃、アルゲ ましよ、つ だんがん ントウムの発砲も辞さない。基本は吸血鬼用の銀の弾丸を打ち出す品だが、魔性のモノに は、ほば等しく効果を発揮する。 「死ぬ」 はつぼ - っ

7. 銀の十字架(クロス)とドラキュリア 2

「俺達の班をめて、調理の進行を確訟してたし、味見とか言って、少しずつ食べてた。 そのときに、何かしたーーのかもな」 そして何より、彼女はかって存在した、オカルト研究会の一員。 きおく あの奥付にあった名は、緋水とえるるの記憶に焼きついている。 「そちらは、休み明けに調べます。今は、とにかく資料を検証します」 「わかった。で : : : 何か手伝えることは ? 」 ありません、もしくは、邪魔だから帰ってください、という答えを予想したが、えるる きょぜっ は拒絶のかわりに、空になったコーヒーカップを差し出す。 「 : : : おかわりを びしよう いったん 緋水は微笑して答え、一旦地下室から離れた。

8. 銀の十字架(クロス)とドラキュリア 2

152 緋水は目を凝らして彼女達を見つめる。 聞こえないはずだった。 みみせん ルシュラは自らの指で耳栓を。 つな 芽依は携帯電話にイヤホンを繋ぎ、通話中。 かんしよう えるるはデジタルオーディオプレイヤーで、音楽を鑑賞中だ。 「全員完全防備じゃねーか " 】っーか、俺にイヤホン貸してくれよ " 当然、悲痛な叫びにも返答はない。 それどころか、見慣れないアドレスからのメールで、 「早く抜いてください」 せ と急かされた。文面からして、おそらくえるるだろう。 だから、せめてイヤホン貸してくれつつーの ! 音楽聴けるのケ 「初メールがこれか " ータイしかないけど、イヤホンないんだよ " かんはっ : という熱い叫びをメールで返信すると、間髪いれずにさらなる返信が来た。

9. 銀の十字架(クロス)とドラキュリア 2

かく 元より、正体を隠す気はさほどない。 準備はしてきた。 かくご 「覚五ロよ ) 、 かっての部室ーーーそして私が奪った部屋の戸を開け、吸血鬼ーールシュラ日ダ 1 ム・ド ラキュリアが踏み込んだ。 その仲間、巣道芽依がそれに続く。 「あなたがーーー魔女 ? 」 びしょ - っ 芽依の言葉に、私は微笑した。 Ⅱ ア「そうよ、そしてあなた達は吸血鬼とその仲間」 しもべ こうかい ュ 「私の下僕にした行いは、きっちり後悔してもらうぞ、羽乃希璃華」 キ 防「そうね : : : 終わらせましよう、吸血鬼」 ほほえ そう、私は微笑んだ。 架 字 十 の 「副会長が魔女」 緋水の言葉に、車内でえるるが目を剥いた うの

10. 銀の十字架(クロス)とドラキュリア 2

「そのフ 「た、ただ : 「ただ ? 」 きより 緋水が距離を詰める。 ちょうしきん いつもの朝と同じ距離ーーーすなわち、いっ血が吸われてもおかしくない、超至近距離。 といき 吐息まで触れ合、つカ丿、、 。 : レノュラの表情を読み取るため、緋水は離れようとしない。 : 、つ、、つるさし いちいち逆らうな ! お前は私の下僕なんだから、とにかく そば 私の傍にいればいいのだ " 「はあアアアア、何それ 2 緋水が首を傾げたところで、ルシュラは正気に返った。 顔を真っ赤に染め、おそるおそる緋水とーー居並ぶ二人の少女に目をやる。 彼女達は何とも言えない、 どこか遠い表情でルシュラを見つめていた。 女同士だからこそわかる感情。 ささやかなる共感と配慮。 わかりやすく言、つと ふ はいりよ