シュラさんのこととか : : : 色々聞けるだろうし、あなたも : : : 興味あるでしょ ? 」 「そりゃあ、まあ : そっけっ 休日に女性の家へ行くーーーというのは中々即決できないものだが、そういう事情ならや ぶさかではない。 しやこうざい 「じゃあ : : : 決まりね。そうそう、遮光剤も作っておくから、取りにくるのも、込みで、 ね」 正当性を増すためか、さらに理由を追加する希璃華。 さすがに頼りすぎだ。 ありがたい話だが、 Ⅳ しいよ、にしいだろうし」 「いや、ホント ) ア 「大して手間じゃないわよ。狩夜さんから聞いたけど、ルシュラさん、体育祭に出る気 ュ ラ満々なんでしよう ? 必要じゃない と「そりゃあ、まあ : くわ 字「じゃあ、文句言わないの。土曜日の午後で、問題ないかしら。詳しい調整は、また後で」 の 「 : : : それじゃあ、土曜日、ね」 はにかむよ、つに一一一一口い、希璃華は去っていく。 たよ
ア「ヤバイ、買い物忘れてたな : 7 夜、自宅の冷蔵庫を前に、緋水は途方に暮れていた。 あした ラすでにタ食はルシュラと共に済ませたが、今冷蔵庫にある食材では、明日の弁当を賄え 架なし 字 十緋水としては学食や購買部の利用でまったく問題はないのだが、ここのところ、ルシュ こうれい 銀ラが弁当を食べたがり、二人分作るのが直例になっている。 : ちょっと買いに行くか」 「飲み物もキレかかってるしな : 「うむ、行ってこい みな タは、また私がまとめて皆さんに伝えます。人海戦術になるかもしれませんから、そのと きは協力してください そうして、その日は解散となった。 きかん 遅れること約一分、無人の教室に帰還した蘭月が、買ってきたジュースを床に叩きつけ たことは一言、つまでもない おく と ほ一 う まかな
「ただ : こく最近 : : : といっても、二、三十年は経ているでしようけど、吸血鬼の 「片方の柩は、 柩にしては、ずいぶんと新しい柩のようね。 こっとうひん 「吸血鬼の柩は、基本的に骨董品。まして、位の高いものであれば、なおのこと。年月を まりよく 経た分だけ、そこには魔力が宿り、中で眠るモノのランクを裏付ける。その新しい柩とい うのは、どちらのものでしたか ? 」 ピュアオブピュア 「《真正純血》の物ではなく、もう一人の物。そこにいる : : : お嬢さんのものかしらね ? 」 かくしんっ 穏やかな視線で、ウエレフィカが核心を突く。 Ⅳ ロぶりから、希璃華から全ての事情を聞いているわけではないようだが、とうにルシュ ア ラの正体は見抜いていたらしい ュ おく うなず ラ希璃華の配慮で、日陰に座るルシュラは、臆することなく頷く。 A 」 「 : : : そのとおりだ。で、私とあのファーガスとかいう者の柩、何故似ている ? 」 架 字「職人が一緒 : : : で済ませたいところだけれど、それは違うわね。二つの柩の制作時期の の 開きは、優に百年を超えるわ。同一人物の作製とは思えない。製造元や、制作方法が近し : とい、つことでしよ、つ。いえ、むしろ : い関係にあった : 「むしろ ? 」 ねむ なぜ
182 ごうまん あし 机に座って長い脚を組み、ルシュラは傲に告げる。 とも ひとみあか 瞳に真紅い光を灯らせた、完全な命令口調だが、元より緋水が従うなどとは思っていな 誰がやるかーーーそういつものようにツッコんで終わり。 ルシュラはそれを疑わない。 えるるを除く女性陣も、それを期待していた。 なのに。 うつ 緋水は虚ろな瞳でーーあっさりと跪いた。 あるじあお 高みに座るルシュラを、まさしく主を仰ぎ見るような形で見上げ、その足に向けて舌を 「や、やめろリ」 ルシュラは制止し、足をバタつかせる。その勢いで緋水の顔が蹴り上げられ、彼は無様 たお に後ろへ倒れた。 「イテテ : : : あれ、俺何やってた ? 」 正気に返った緋水は、鼻の辺りを撫でながら、目をパチクリさせる。 ルシュラが自分自身を抱き締めて、小刻みに震えていることに気づくが、さつばり理由 じん ふる
両手両足をジタバタさせ、頬を緋水の胸板に擦りつけるルシュラ。 かいむ なるほど、「真祖ーの気品は皆無だ。 とたん : お前、俺にくつつくと、途端に幼児化しないフ 「 : : : 知らぬ、お前、あんな女の一 = ロうこと、信じてるのか : ひとみなみだう 、つつすらとルシュラの瞳に涙が浮かぶ。 ′、しょ・つ 緋水は苦笑しながら、ルシュラの頭に手を置く。 「だ 5 から、マジで頭こんがらがってんだよ。仮にアレが本物で、生きてたとして、まず オし言って。そりや、『真祖』 は怒りが先。言えって話だろ。それに : : : お前に好きほー、、こ ) アにしちやパワーイマイチだし、威厳ないけど ? 」 ュ無言でポカボカ殴りつけるルシュラ。 キ ラ確かに、幼児化が進行している。 きおくそうしつ と 体はムチムチ、記憶喪失、そして心は駄々っ子だ。 架 字 十「わかったから、やめろって。別に、お前追い出したりしねーし」 の 「最悪、ここ出て一人暮らししなきゃな。とりあえす、アイツと : : : 話すよ。色々。だか い、ルシュラさん ? って、お、・ ら : むないたこす だだ
186 : 、つるさい」 いっしょ 「何のために一緒にいるんだか。大体、少しは考えなかったワケ ? ヒー君の体質とやら えいごうきゅうけつき も、未来永劫吸血鬼化を無効化できるとは、限らないでしょ ? 今回のことがなくても、 いっか限界が来たかもしれない。今回はまだ、なりかけで済んだけど、気づかなかったら、 もど アンタ そのまま完全に吸血鬼のお仲間になって、戻れなかったかも。あ、でもアンタ的には、そ : それが目的だったんじゃないのつ・ の方かいいっていうカ : じっと、芽依がルシュラを見つめる。 いくど そうーー今まで、幾度となく口にしていた言葉。 私のモノにしてやるーーーそう言っていた。 そして今、緋水はルシュラの所有物になってしまった。 ルシュラがその気になれば、遠く離れた緋水の感覚を共有することもできる。 念じて呼び出すこともできる。 なのに、ルシュラはしない できないのではなく、しない 「イヤ、だ : ケフ
むなもとの 緋水の両手が、おそるおそる : : : ルシュラの胸元に伸びる。 ちぶさ ポョン、と張りのある乳房に緋水の手が触れる。 だいたん やわ そのまま大胆に : : : 指を柔らかな肉に喰い込ませる。 「なっ・ 一気にルシュラの顔が真っ赤に染まる。 が、緋水は気づかず、息を呑んだまま、じっとルシュラの胸を見つめている。 かんしよく よっきゅうふまん 「り、リアルな感触 : : : え、ここまで再現 ? 俺は相当欲求不満だったのか : しんちょう 嶼重にルシュラの胸を揉みしだきつつ、自身の深層心理に思いを馳せる緋水。 おもむ 何だかんだで手を離そうとはせず、次の段階に赴こうとしている。 「こ、これはその : : : アレですかね、もう : : : 好きにしちゃっていい感じ卩」 いいかげん、手を離せ " 「 : : : なワケあるかー わめ ルシュラは大声で喚き、緋水の両手を胸から引き離す。 幸い、すぐに手は離れたものの、その拍子にシャツのボタンが弾け飛び、プルンと白い 柔肉の全てを曝け出した。 おお 下着をつけていないため、胸を覆うものは何もない。 あらわになった乳房を、緋水は目を丸くしてじっと見つめている。 さら も の ひょうし
8 とも ルシュラの瞳に、理性の光が灯る。 : きっと、両方だろ、つ。 緋水の言葉のおかげか、血のおかげか : 彼の存在全てが、かろうじてルシュラの精神を繋ぎとめる。 とじよう 「アレだな、まだまだ発展途上だけど。正直、どうやったら玉子焼きがあんな物体になっ ーグが生焼けなのか、わかんないけど 「、つる、さい・ ・ : 黙れ : 震える声でルシュラが一言う。体が崩れないように、死に緋水の背に小さな手でしがみ うめ 呻き声一つあげず、その苦痛を全て受け止める。 ただ、走り疲れ、倒れた少女を抱き留めたーー周囲からそう見えるように。 学校中の視線が、二人に集中する。 いっしゅん ささや 一瞬にも満たないわずかな時間の中、緋水はルシュラの耳元で囁く。 「弁当、うまかった つか くず つな
262 : あの女には、馬鹿にされるし、手は切るし、朝早いし 「く、苦労したのだぞ : 「わーかった、わーかった。少しは俺の苦労がわかったか ? 」 : ど、っせ、ど、っせ、ミラルカの方が : 「、つるさい・ 「死んだ奴より、お前の方が大事だ。 その言葉で、ルシュラの体からカが抜けた。 なみだた 目に、涙が齠まる。 いつだって、殺し文句はシンプルな言葉。 きゅうけつき 吸血鬼と人間でも : : : 変わるわけがない。 ルシュラの手から零れ落ちるバトン。 それが地面に落ちる前に、緋水が受け止める。 「わり、コイツ頼みますー ルシュラをそっと自分から引き剥がし、蘭月に預ける。 何か言いたげなルシュラをあえて見ずに、緋水は首筋を撫でる。 すでに血は止まった。 が、ついさっきまで吸血鬼化が進んでいた体だけに、血液の量は元々乏しい たの ばか
く・つらん 確かに、今日は欠席者が一人いた。皆が自分だけの名前を書いたのなら、一つ空欄があ るはずなのだ。 それとも、二回書いたとか ? 」 「誰か、木田の分まで書いた : かくにん 「うむ、確かにおかしいな。よし、確認しろ ! 」 うなが ルシュラに促され、緋水は指先でなぞりながら、一つずつ名前を確認していく。 ちゅうばん そして確認の中盤、緋水の指が止まる。 ゆが ついでに、顔が歪む。 さらに、ルシュラと顔を見合わせる。 Ⅳ ちなみに、ルシュラの方も緋水同様、顔が歪んでいる。 ア 「どうしたの、何かあった ? 」 ュ ラ緋水の指先に目をやる玲奈。 A 」 指し示された名前を見て、顔が曇る。 架 字 十 ふわとうこ 不破透子 ぐうぜん 偶然か、意図的かーー何故か赤のボールペンで書かれたその名に、緋水とルシュラは冷 なぜ