二人 - みる会図書館


検索対象: 銀の十字架(クロス)とドラキュリア 4
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1. 銀の十字架(クロス)とドラキュリア 4

「 : : : 何でお前がいるフ 夜、ダイニングテープルで向かい合う二人。 ルシュラと芽依。 緋水とえるるが去り、授業が終わった後ーー芽依はそのままルシュラに同行し、家に上 かった。 特に会話もないまま、芽依は夕食の支度に移り、今テープルには、焼きあがったビーフ ステーキと付け合わせの温野菜、そしてサラダとコンソメスープが載せられている。 ちなみに、ちゃんと二人分だ。 「アタシだって、ヒー君もいないのに、好きで来てるわけじゃないわよ。言ってみれば、 かんし アンタの監視。アンタ、自分の立場自覚しなさいよね。人の血を吸って吸血鬼化させた以 上、アンタは人間で言うところの、犯罪者なワケ。留置所にぶち込まれるかわりに、これ 「 : : : ど、つする ? つぶや いに、芽依がルシュラを見つつ、無愛想に呟いた。 希璃華の尸 「とりあえず : : : アタシが引き受けるわ

2. 銀の十字架(クロス)とドラキュリア 4

104 : ヒー君 : : : どういうこと卩部屋で二人っきりってだけでもアレなのに、 「ちょっと : むなもと な 5 んで胸元はだけてんの : 芽依の目に敵意、いや、殺意が宿る。 ひとみひゅ むか それが頂点を迎えたとき、その瞳が比喩ではなく、本当にビームを放っことを、緋水は 知っている。 「まさか : : : 最初から、それが目的だったと ? 」 じゅ・つきにぎ カチャリ、とえるるの小さな手に重厚な銃器が握られる。 毎度毎度、どこから取り出すのかわからないが、その威力と精密さは身に染みていた。 ちが 「いや、落ち着けお前ら : : : 違う、これ違うって ! 」 「何が違、つのだ : 「ざっと、三十分は二人きり : : : まあ、一回戦ならイケるわよね ? 」 「羽乃さんは、何故寝入っているのでしよう : じりじりと距離を詰める三人。 後ずさる緋水。 きん - はく かくせい その緊迫した空気が覚醒を促したのか、目を擦りながら希璃華が起き上がる。 「う 5 ん、何・ の きより こす いりよく ひかり し

3. 銀の十字架(クロス)とドラキュリア 4

足音はあくまで一人のものだが、入ってきたのは二人。 とうこ きりか 希璃華と透子だ おおがみ : でしたかしら ? 」 「あれ、大神さん : 「あ、パシッてた人」 「誰がパシリよ ! 」 透子にツッコミを入れ、蘭月はえるるに向き直る。 「協力者ってのは、彼女達 ? 」 かくにん 「そうです。二人共、座って下さい。今後のことについて、もろもろ確認しましよう」 ただよ ア希璃華は頷いて席に着くが、例によって透子は周囲をふわふわ漂っている。 そうまぶ ュ えるるは特に注意せす、捜魔部プラス捜魔課の会議が始まった。 キ きょ・つはく かいさい 「現状、体育祭は予定通り開催の予定です。で : : : その後、脅迫状の類は ? レ」 えるるの質問に、希璃華は首を左右に振る。 架 字 + 「特に来ていないわ。テントの件があるから、先生方や、体育系の部活の生徒も、不審者 ひがい 銀には気を配ってる。今のところ、備品にも被害はないわ」 「あ、私も校内ぐるぐるして、色々見てるよ ? 」 「 : : : おかげで、透子さんの目撃例が増えて、困ってるけどね :

4. 銀の十字架(クロス)とドラキュリア 4

216 止めるのは簡単だ。 吸血鬼化が進行しているとはいえ、所詮えるるの敵ではない。 止める手段はいくらでもある。 りよ、つしょ・つ しぶ なのに えるるは、渋い顔で了承した。 「好きになさい。ただし : : : 学校では、私の傍から離れないように」 そして : : : 二人は、連れ立って家を出た。 ぎせいしゃ 吸血鬼の犠牲者とダンピール、似て非なる存在は、その後共に遅刻しかけ、直射日光を 浴びたゆえの気だるい表情で、何とか教室に滑り込む。 そ すでに登校していたルシュラは、重い表情でそれを見つめ。ーー目を逸らした。 となり 緋水が隣に来て、 「 : : : おはよ、つ」 と挨しても、何も返さない。 か 結局、放課後まで二人が会話を交わすことは、なかった。 あ つ しよせん

5. 銀の十字架(クロス)とドラキュリア 4

中止にしてほしい。もう、観に来る身内もいねーし、な」 ひとみ いっしゅん 一瞬、緋水の瞳が遠くなる。 そう、そもそも体育祭などのイベントで頑張る性質ではないが、今となっては頑張る意 味もない。観る相手もいないのに。 ひとかわむ 「お前が委員長の暗黒面ってんなら、まあそれでいいよ。人間、一皮剥きやそんなもんだ みんな ろ ? ただ、尖りすぎると大変だから、皆良心だの道徳だの、理性だので縛ってる。お前 も、正直辛いだろ ? とっとと戻れよ。本体と、足して二で割るくらいが、多分ちょうど Ⅳ アししー 7 「わかったようなこと言わないで ! 」 キ 防「わかんねーよ。だから、二人で話し合えよ。本人同士だろ ? どこまでも緋水は変わらない。 架 字 + 玲奈相手なのだから、当然だ。 まもの 銀魔物に分類されてもおかしくない相手にこの態度、もう一人の玲奈は、思わす苦笑した。 おもしろ 「面白いのね、あなたー 「たまに言われる」 とが つら がんば

6. 銀の十字架(クロス)とドラキュリア 4

246 今の緋水には、ミラルカを看取った記憶がない。だか、何も言っていないことだけはわ かる。 ひざ 怪我をして、膝をすりむいて、ミラルカが吸血鬼の本性を垣間見せたときーーあの後、 気にしてない、そんな簡単な一言が一言えなかった。 ずっとずっと、一一一一口えなかった。 死ぬまで、一一一一口えなかったのだろう。 「だから、今でもお前は悲しんでるのかな ? 」 もう一人の自分に向けて、緋水は切なげに問う。 れいな 玲奈と同じだ。 自分が不甲斐ないから、眼前のドッペルゲンガーに、重いものを背負わせている。 や、二人でも抱えきれない , 「お前も : ・・ : だろ ? この気持ちは、一一人分 : : : い もう一人の緋水が一言う。 目に宿る深い悲しみ。 こんな気持ち、このまま忘れた方がいい けれど。 もど 「戻ってこいよ、そろそろ。マジ死にそうだし、忘れたままってのは、どーもキツイ」 ふが みと ほんしようかいまみ かか

7. 銀の十字架(クロス)とドラキュリア 4

もしんねーけど : : とにかく、愛してたよ。マジで」 よ、つやく言えた。 ミラルカのいない世界で。 言っても意味がなくても、ようやく。 もう一人の緋水は、悲しげに笑い、それを受け止める。 「言ってて、恥ずかしくないか ? 」 だま 「うるさい、黙れ。恥ずかしいと思ったら、お前も恥ずかしいんだよ」 「俺が戻ったら、きっともっと辛いぞフ 「わかってる。けど : : : 思い出せないのは辛い。ミラルカだけじゃなくて : : : ルシュラの 、」レ」 1 も 「俺が、ミラルカがいなくなった後もやっていけてんの、地味にアイツのおかげじゃねフ もう一人の緋水は答えない。 びしよう 答えぬまま、微笑して前に進み出た。 - ) ・つさく 交錯し、重なる、二人の緋水。 制服姿の緋水が、本体たる緋水に触れた瞬間ーー彼らは一つに戻った。 しゅんかん

8. 銀の十字架(クロス)とドラキュリア 4

塀に背を預けてよりかかっていた女性が、鼻を鳴らす。 う そば くろかみ ショートの似合う黒髪の女性は、すぐ傍の街灯の光に、スレンダーな肢体を浮か び上がらせていた。 黒のレディーススーツからは、キャリアウ 1 マンという印象が強いが、体の線からにじ きたぬ み出るイメージは華奢なモデルーーあるいは、鍛え抜かれたアスリートに近い 「しばらくね、お二人さんフ おおがみらんげつ 大神蘭月ーーーそれが彼女の名。 しようしんしようめいけいじ えるると共に警視庁の捜魔課に所属する、正真正銘の刑事。 Ⅳ が、緋水とルシュラは特に相手にせず、そのまま横をすり抜けていく。 ア : って、ちょっと待ちなさいよ ! 何故スルー ュ ラ声すらかけてもらえず、蘭月の顔が歪む。 としかし、二人は顔を見合わせ、この招かれざる客に首を傾げる。 おこ 字「おい、何か怒ってるぞ : : : お前の客か ? 吸血鬼つほくはないが、何だよ、敵とかそん きおく 銀なん ? さりげに、お前の失われた記億に関連してね ? 」 しいから、ほっとくのだー 「知らぬぞ、あんな奴 ! ルシュラに引っ張られ、そのまま家のドアに向かう緋水。 きやしゃ やっ そうまか なぜ ゆが かし したい

9. 銀の十字架(クロス)とドラキュリア 4

、つ い目でどこかを見つめる少年が、自分のことをどう思っているのかーーーそれが知りたかっ たから。 もちろん、仮に彼のドッペルゲンガーが生まれたところで、それが自分にとって都合の しい存在とは限らない。 たよ 不確かな現象に頼っても、生まれるのは不確かな成果だけで、けして自分のプラスには ならない もう一人の自分なら、常に他者を思いやる本体様なら、けしてこんなことはしないだろ だから、私がしてやった。 「君は、少々破滅的にすぎるな。よほど、本体がよくできた人間のようだ」 「ほめているの、それフ ようえん 妖艶な声に、玲奈は気だるげに答える。 かわ 優等生の口調というより、夜の街にたむろする、渇いた水商売の女に近い すいじゃく 「君はいずれ消える。しかし、本体に戻らなければ、君の本体も遠からず衰弱する。ドッ ベルゲンガーとは、そういうものだ。もう一人の自分が明確な自我を持てば、二人の自分 やみ よくせい が消、 んる。さりとて、本体に戻れば、君はまた深い闇の底に沈む。抑制の効く本当の君は、 0 はめつ

10. 銀の十字架(クロス)とドラキュリア 4

108 ドッペルゲンガー 第三章二存在 「何で、こんなに朝早く学校に行かねばならぬのだ 2: いったん 「うるさい、原因の一端はお前にもあんの , ねむ ひすい 早朝、眠い目を擦りながら、緋水とルシュラは登校していた。 ほど まだ始業時間には程遠いが、今日はかなり早めに家を出て、学校に着いた。 きりか 理由は、希璃華の手伝いだ。 彼女の部屋での一件の後、緋水は謝罪のメールを送ったのだが : : : 返信はない。 そむ 直接謝ろうと生徒会室を訪れても、希璃華はプイツと顔を背けて、目を合わせようとし そもそも、押し倒してきたのそっちじゃん : : : と本音を言ったら、顔を真っ赤にして平 手打ちを喰らい、事態はさらに悪化した。 どうも、あのアロマキャンドルに理性を剥ぎ取られたことを、かなり気にしているらし 案外、正確な効果は知らないで、本当に二人きりで : : : お茶でも飲みたかっただけなの たお おとず