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検索対象: 銀の十字架(クロス)とドラキュリア 4
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1. 銀の十字架(クロス)とドラキュリア 4

く・つらん 確かに、今日は欠席者が一人いた。皆が自分だけの名前を書いたのなら、一つ空欄があ るはずなのだ。 それとも、二回書いたとか ? 」 「誰か、木田の分まで書いた : かくにん 「うむ、確かにおかしいな。よし、確認しろ ! 」 うなが ルシュラに促され、緋水は指先でなぞりながら、一つずつ名前を確認していく。 ちゅうばん そして確認の中盤、緋水の指が止まる。 ゆが ついでに、顔が歪む。 さらに、ルシュラと顔を見合わせる。 Ⅳ ちなみに、ルシュラの方も緋水同様、顔が歪んでいる。 ア 「どうしたの、何かあった ? 」 ュ ラ緋水の指先に目をやる玲奈。 A 」 指し示された名前を見て、顔が曇る。 架 字 十 ふわとうこ 不破透子 ぐうぜん 偶然か、意図的かーー何故か赤のボールペンで書かれたその名に、緋水とルシュラは冷 なぜ

2. 銀の十字架(クロス)とドラキュリア 4

126 なぞ そうまぶ 「 : : : というわけで、我が捜魔部は、この謎を追うことになった ! 」 きようだん 放課後、いつもの空き教室で、「部長」たるルシュラが、教壇で堂々と宣言した。 しかし、残る「部員」は彼女のテンションとは裏腹に、首を傾げて考え込むだけだ。 「いや、っていうかこれ、別にアタシら関係なくない ? テントだって、予備があるから えいきよう 別に体育祭には影響ないんでしょ ? 」 め 気だるげに芽依が一一一一口う。 「 : : : ど、つい、つこと ? 」 「こっちが訊きたい」 顔を見合わせる緋水と希璃華。 そして、そんな二人を怪訝な顔で見つめるルシュラと玲奈。 「 : : : さっきから、何を言っているのだコイツら ? 」 「さあ : 困惑の表情に彩られる四人。 始業時間になっても、その顔が晴れることはなかった。

3. 銀の十字架(クロス)とドラキュリア 4

、、ため 本命に試すのは、早急にすぎるか」 声にかすかな迷いが生まれる。 ちんもく しばしの沈黙の後、人の気配がした。 角を曲がってきたのは、家路につく高校生。 うつむ 制服姿の少女は、浮かない顔で俯いている。 かくにん あかくちびる その姿を確認し、闇の中で、真紅い唇が半円の笑みを作る。 「好機」 誰でもよかった。 まず、試したかった。 運命でもなければ、必然でもない。 ただ、彼女が通りかかっただけ。 きようい 彼女は街灯の傍に佇む脅威に気づかず、そのまま通り過ぎようとした。 きやしゃうで つか その華奢な腕を、白い手が掴む。 顔を強張らせて、振り向く。 っ その顔に、蓋の開いた小瓶が突きつけられる。 こわば ふた え

4. 銀の十字架(クロス)とドラキュリア 4

「結構血が出てたし、痛かったから、泣いた。で、身内を見上げた。そしたらさ、アイツ ・ : 舌なめずりしてた」 「よくあることでしよう。吸血鬼なら」 よく 吸血鬼にとって、血液は全ての思考、全ての欲に優先される。 たとえ幼い子供が傷を押さえて泣いていたとしても、そこに血があれば、ますそちらに 目力い ' く 本能的に、吸いたいと思う。 しゆくごう のが いかなる吸血鬼でも、その宿業からは逃れられない。 ア「 : : : だよな。吸血鬼なら、しゃーない。でもアイツ、俺に顔見られた瞬間、真っ青にな 7 った。息止めて、傷口見ないようにして、慌てて手当てしてくれた。あんだけ慌ててるの キ 防みたの、初めてだった」 靴「それが : : : 何か ? 」 ・ : 似てたな 5 って。俺の血を吸 + 「別こ : : : そんときの顔がさ、あの、ルシュラってのと : の 銀って、吸血鬼化したのわかったときの顔にさ , 一 ) ・つ力い 吸わずにいられないなら : : : 人間といるべき 「後海するぐらいなら、吸わなければいい。 ではない

5. 銀の十字架(クロス)とドラキュリア 4

るよ、つだ。 おだ 警戒ゼロの穏やかなものだ。 毛布をかぶっている寝顔は、いつもと変わりなく、 「フフフ、またしまりのない顔をして : : : 実は、こうして私に血を吸われるのを待ってい るのではないか ? 」 つぶや 起こさないよ、つにゆっくりのしかかり、舌なめずりをしながら呟く。 パッチリと緋水の目が開いた いつものように、真紅い唇を首筋に近づけたところで 「何だ、起きたのか。まあよい、じっとしていろー ア緋水は目をこすりながら、首を傾げる。 うすぐら ュカーテンは閉めたままのため、薄暗くてよく顔が見えないのかもしれないが、そもそも キ ラこの家には二人しかいない 靴「何を寝ばけている ? 自分の主人の顔を忘れたか卩」 字 + 「 : : : 主人 ? 何言ってんのフ の 私だ、とっとと目を覚ませー 銀「まだ寝ばけているのか ? えりもとっか シャツの襟元を掴み、ルシュラが緋水の頭を揺らす。 目をパチクリさせる緋水。

6. 銀の十字架(クロス)とドラキュリア 4

158 「だから : : : きっと、どっちの私も惹かれた」 「はあ ? 」 「私が生まれたのは、トラウマだけじゃなく、きっとあなたのせい。私の隣で、いつもド ラキュリアさんと楽しそうにしている、あなたのせい。すっとばけて、中々本当のことを 言ってくれない、 気づいても目を背ける、あなたのせい 気がつくと、玲奈が近くにいた。 すんぶんたが ドッペルゲンガーの名にふさわしく、寸分違わず玲奈と同じ顔。 いや、玲奈そのもの。彼女自身。 くちびる 唇が、緋水に近づく 反射的に、緋水は顔を引いた ゆが 悲しげに、少女の顔が歪む。 「本当のあなたは、どんな人 ? 」 しげきしゅ・つ 刺激臭が、鼻を突く。 緋水は初めて、玲奈の手に、小瓶が握られていることに気づいた。 びこう のぼ しんにゆう 栓は開けられ、立ち昇る気体は鼻孔から体内に侵入した。 せん

7. 銀の十字架(クロス)とドラキュリア 4

ゅうれい 「幽並だアアアアアアアアアアアアアアツツツツツツツツツツツツツツツツ】」 : その直後、教室の各所から悲鳴が上がり、蜘蛛の子を散らすように、生徒たちが教 室から出ていく。 そっとう 残ったのは、緋水と、卒倒して彼に抱き留められた玲奈。 あき そして、呆れ顔のルシュラだけ。 つぶ 苦虫を噛み潰したような顔で、ルシュラは見知った地縛霊に声をかける。 「 : : : 何をやっているのだ、お前 Ⅳ 「来ちゃった D ー ア ュ ラ「彼女かツツツツツツツツリ」 A 」 いっかルシュラにもしたツッコミをかます緋水。 架 せいど - っ 字 これが後々まで語られる清堂高校七不思議、「透子さん」の最も有名な目撃例となるが、 十 銀それはまた後の話である。 にがむしか だ くも もくげき

8. 銀の十字架(クロス)とドラキュリア 4

「見るなアアアアアアアアアアアアアアアアアアア ルシュラは緋水の目を覆うのではなく、抱きつくことで胸を隠す。 が、ある意味逆効果、生々しい感触は、確実に緋水に伝わる。 「あ、これはこれで : : : え、何、俺誘われてんの」 だま 「うるさい、黙れ " 】もういい、さっさと血を吸って出ていく 大きく口を開けるルシュラ。 きら そこに煌めく白い牙に、緋水の顔が歪む。 「それ : : : お前、まさか吸血鬼か 「今さら何を言っている卩いいから、黙れ ! 」 せんたんはだ 唇が首筋に近づき、牙の先端が肌に喰い込む。 おび 緋水の顔に、今まで見たことのないような、怯えの表情が浮かぶ。 「お、おいやめろ : : : 何すんだよ卩」 「黙れ " 】 そのまま剛力で緋水を押さえつけ、ルシュラは緋水の首筋に、牙を突き立てた。 ご・つりき さそ ゆが

9. 銀の十字架(クロス)とドラキュリア 4

なるかは、あなたも知っているでしよう卩」 しゆくご・つ のが それは、、ゝ し力なる吸血鬼も逃れられない、血の宿業。 すすけもの 血への渇きが頂点に達すると、理性を失い、ただ血を啜る獣となる。 ほころ やるせない顔で、緋水はルシュラの方を見てーーロ元を綻ばせた。 の わた トンを渡そうと、手を伸ばしている。 前の走者が、バ それを : : : ルシュラは受け取った。 おばっかない手つきで、でも、確実に。 ア「 : : : 練習の成果、出てるじゃねーか ? みようかんがい ュ 「妙な感慨は、捨てなさい」 キ とが かたわ えるるが厳しく咎める。傍らの芽依の顔も厳しい 架だが、緋水は彼女達に構わす、自らと同じく、走りを終えて地面に体育座り中のクラス 字 十メイトに亠尸をかける。 の 「わりー、アンカー俺やるわ。まだ決ま 0 てないだろ ?

10. 銀の十字架(クロス)とドラキュリア 4

202 「かも、な。けど、ミラルカには別に何されたわけでもねーし : : : マジで気にしてねーん だよ。気にしてねーんだけど : : : それ、一度もアイツに言ってなかったなって。別に、そ のことを後々どーこ ー言い合、つこと、なかったんだけど 緋水の顔が遠い日の身内を思う。 手当てしてもらった後も、一言えなかった。 きようふ 身内の見せる吸血鬼の一面に , ーー恐怖していたのだろうか。 それから後も、すっと、ずっと、ずっとずっと一一一口えなかった。 では、記億にない自分は ? この一年間の自分は ? それを言えたのか ? 「つーか : : : 俺の身内、何してるか知らない ? 」 えるるは答えない つらぬ かく 無表情を貫いて、うまく隠そうにも、顔が言、つことを聞いてくれない。 びみよう 「今日、学校行く前にさ、一応家の中見たんだ。アイツの部屋も。何か微妙に変わってる し、書き置きとかもない。家空けるときは、ちゃんと残してたのにさ。そもそも、ケータ