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検索対象: 銀煌の騎士勲章(ライタークロイス) 1
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1. 銀煌の騎士勲章(ライタークロイス) 1

トの師は、自分のことをあまり話さない代わりにダントリオンのことをよく話した。 ハリアーク 『白鬼』は騎士登用試験を受けず、実力と実績によって騎士となった。そう語るときの師の目 ど・つけい は『白鬼』に対する尊敬と産憬に満ちあふれていた。 ひきよう 他の傭兵と同じように戦いの中に身を置き、その手を血に染め、生きるために卑法、卑劣と まね 呼ばれるよ、つな真似をしながらも 、バルトの師はひどく純粋な部分を捨てなかった。そんな師 は、特別な存在としてバルトの目に映った。 師に大剣を学び、師とともに傭兵稼業を続けながら、いっしかバルトもダントリオンに憧れ を抱くようになった。会ったことどころか、見たこともないのに、師の語るダントリオンの戦 いぶりは、バルトの脳裏に鮮やかな像を描いた , ーー忘れていたな : 意識して、忘れていた。そのはずだった。 ハリアーク 彼の師は、一度だけ騎士登用試験を受けた。自分は『白鬼』のように、実力と実績だけで騎 ハリアーク 士にはなれないからと言って。でも『白鬼』のように騎士になりたいからと言って。 まったくもって傭兵らしくない、純粋なところを持っ師だった。 章 勲 師は、合格できなかった。その翌年も試験を受けると言っていたが、試験日が来る前に傭兵 稼業で命を落とした。 煌 銀 バルトは去年、はじめて騎士登用試験を受けた。師に倣うように。 騎士登用試験を受けるには、出身がはっきりしている必要がある。孤児であるバルトの出身 0 なら

2. 銀煌の騎士勲章(ライタークロイス) 1

騎士登用試験概要 帝国暦三百七年度は、三百十四名を登用するものどする 志願者は、次の事項に該当していなければならない ・年齢が帝国暦て数えて十七歳以上、ニ十ニ歳以下 ・五体満足て、騎士どしての勤めに支障のある持病を持たないこど らよっかっ 一次試験 ( 一次試騒は各領の直轄都市て行われる ) ・帝国標準語の会話、読み書き ニ次試験 ( ニ次試験は帝都ラウルクて行われる ) ・資格者は一次試験を通過した者のみどする。詳細は別紙にて ・試験開始日の三十日前まてに、中央広場て登録をすませるこど ・登録には帝国銀貨五枚を必要どする ※書類に不備のある者、虚偽のある者は失格どする いしびト・つ

3. 銀煌の騎士勲章(ライタークロイス) 1

のだった。 バルトは動かない。槍を突きつけられているからという以上に、衝撃で動けなかった。胡乱 げな顔でカインを見上げている。と、後ろから軽く肩を叩かれた。 「卿の勝ちだ」 振り向くと、ファリアが微笑を浮かべて立っていた。 そのときだった。 「なんだ、まだいるじゃねえかよ。あいつも偉そうなこと言った割にたいしたことねえな」 ちょうしよう 嘲笑が響いた。まわりこんできた志願者たちが、横道から姿を現したのだ。 「それで、真剣も持たぬ卿らは、どうやってここを突破する気だ ? 」 ルーメン 白刃を光灯石に反射させ、不敵な笑みを浮かべて志願者たちを見据えるファリアだったが、 不意に、意外そうな表清に変わる。 「ドノックⅡアーミイか。卿は、不正によって騎士になったのか ファリアはアーミイと呼んだ男に、とりわけ強烈な敵意を帯びた視線を向けた。彼女がこの 騎士を知っているのは、騎士登用試験の運営に携わっていたからだ。不正に関わっていなけれ ば、この地下道に正規の騎士がいるはずはなかった。 Ⅳ うろん

4. 銀煌の騎士勲章(ライタークロイス) 1

か -03-23 J 「導藝庫 川口士の本 星図詠のリーナ 1 ~ 3 桐野くんには彼女がいない ? ウチ この家に勇者様もしくは救世主さまは いらっしゃいませんか ? ! 1 ~ 4 ジス 千の魔剣と盾の乙女 1 ~ 1 3 ライタークロイス 銀煌の騎士勲章 1 ライタークロイス 銀煌の騎士勲章 2 旧 BN978-4-7580-4593-3 C0193 \ 638E 定価ー + 税 発行ー迅社 ー導藝庫 膩Ⅷ間Ⅷ II Ⅲ 川口士→アシオ 川口士 ( かわぐち・つかさ ) このお話は 2 0 0 7 年に富士見書房さんから出版した拙著「ライ タークロイス」に加筆修正しつつ、「ドラゴンマガジン」に掲載し た短編を載せたものです。さて復刊にあたって、当然僕も担当氏 も久しぶりに本編に目を通していたわけですが。 担当氏「あれ、こんなにひどかったつけ」 僕「作者を目の前にしてなんたる暴言を ! ・・あれ、こんなんだ ったつけ」 慌てて、これはダメだろというところもたくさん加筆修正しました。 現在の「千の魔剣と盾の乙女」 ( ー迅社文庫 ) や「魔弾の王と戦 姫」 ( M F 文庫 J ) シリーズにつながる根っこ ( 世界観が同じという わけではないです ) のようなものはたしかにあるんですが・・・・・・。と もあれ楽しんでいただけたら何よりです。 イラスト ( あしお ) 猫とファミレスとコンビニをこよなく愛する、最近漫画描いてない 漫画家。 1 0 年ぶりに住所が変わり、新居隣のコンビニでほほ毎 日ソフトクリームを買っているらしい。 9 7 8 4 7 5 8 0 4 5 9 5 5 1 9 2 01 9 5 0 0 6 5 8 4 聖獣を召喚して国を守る騎士になれ ! 田舎育ちの槍使いの少年カインは国を守る騎士にならんと登用試験を 受けるため帝都へやってきた。しかし到着早々、帝都の喧騒に呑まれたカインは、 有り金せんぶスラれてしまう。さらに、帝都滞在中に厄介になる予定だった屋敷は、 主人たちが失踪し借金のカタに差し押さえられていた。 行き場がなく屋敷に一人残っていたメイドのイングリドとともに酒場の イ 住み込み仕事を見つけたカインは、二人で一緒に働く事にしたのだが、 騎士登用試験はもう目前に 。カインは憧れの騎士になれるのか、 そしてカインが帝都で出会った強気な金髪の美少女剣士ルーフアの正体は 『千の魔剣と盾の乙女』の川口士初期の代表作、 加筆のうえ装いも新たに復活。 アシオ Presented by Tsukasa Kawaguchi lllustration = AsiO 一迅社文庫 Presented by Tsukasa Kawaguchi lllustration = Asio

5. 銀煌の騎士勲章(ライタークロイス) 1

たちは教えられていないと私は考えている」 「なぜだい ? 」 「知っていたら、あの土地を手離さないか、あるいは通路を埋め立てるぐらいのことはするは せんじん ずだ。ルメリウスも、戦神の丘の地下を走る通路を放置はしなかっただろう」 なるほどとカインはうなずく。それから一つの考えが浮かんだ。 「君は、もしかしてバラムさんを無理に追いだしたのか ? ハラム家の地下の通路を確保するために。 「バラムとは話しあったぞ。最初は、不正者と関わりがあるのかと疑ったのだがな。調べてみ て、そうでないことがわかった。そこで事情を話して、登用試験が終わるまで屋敷を空けても らうよう頼んだのだ」 たんぽ 「それがどうして担保やら抵当やらの話にまで発展するんだ ? 」 じじよ 「無人という状況をつくりたかった。ただの遠出や旅ではあの侍女が屋敷に残ったままになる からな。だから、誰もいない状態にすることで反応を見たかった」 「それで、反応はあったのかい ? , ぶっちょうづら ファリアは足を止め、仏頂面になって振り返る。 「なかった。あの屋敷を毎日のように見ていたのはあの侍女だけ。屋敷を買おうと言ってきた 手合いも、古くからの知りあいに留まる」 「でも、それならイングリドにはどうして何も :

6. 銀煌の騎士勲章(ライタークロイス) 1

ルーファことファリアが、偶然にもそれを聞いてしまったのは、皇宮でだった。 「騎士登用試験に関する書類は、本来兄上と、兄上が選んだ運営担当の騎士たち以外には所有 を禁じられているのだ。持ち運びや手渡しにおいても。私でさえ見せてもらえなかった」 「それを持っていた人がいたのか。関係者以外で」 言ってから、言葉遣いをあらためるべきなのかな、と一瞬だけカインは思ったが、急に直す のもおかしい気がしたし、ファリアは気にしていなさそうなのでこのままで進めることにした。 「ああ。それで、そいつを問い詰めた。拷問まがいのことまでしたが、おかげでだいたいのこ とがわかった」 拷問、という単語にカインは顔をしかめたが、ファリアはいたって平然としている。 勲「不正というのは、どんな内容なんだ ? 騎「その前に答えてくれ。手伝うかどうか」 銀「手伝う内容にもよるさ。君はいったいどうやって不正者たちを捕まえようというんだ」 「現場を取りおさえる」 金色の髪の娘はたいしたことでもないというふうに言葉を続けた。 「頼む。不正者どもを捕まえるのに、手を貸してほしい」

7. 銀煌の騎士勲章(ライタークロイス) 1

43 銀煌の騎士勲章 1 騎士登用試験ニ次試験概要 戦車競争 ・ニ人一組て行う。志願者は速やかに協力者ど戦車に搭乗し、開始の合図を待っこど ・ルメリウス門を出発地点どする。帝都ラウルク北部を横断し「防壁」に到達するこど ・「防壁」に達する前に、戦車を破壊された者は失格どする 防壁 ・扉の先には騎士が待っておリ、志願者に課題を与える ・合格者にはルメリウス鉄貨が贈られる。志願者はこれを所有していなければならない ・その後「スルム河」に到達するこど なお「防壁」を抜けてからは志願者各位、単独ての行動どなる スルム河 せんじん ・スルム河を渡河して「戦神の丘」北に到達するこど ・渡河の方法は志願者の任意どする ・「防壁」は五百の扉を持っ臨時の壁てある。任意の扉をくぐるこど

8. 銀煌の騎士勲章(ライタークロイス) 1

レイクの指摘に、カインは視線の先を見て納得した。槍の覆いを外したまま走っていたのだ。 かっぽ 剣を抜き放って闊歩しているに等しい まず・いと思った。このままではウルバを捕ま、えるより生兀に、・目八刀が捕まってしま、つ。かといっ いらだ て、手放せるものではない。どうする、とうろたえ、苛立ちから足踏みをする。 「パルスさん ? 」 かご 聞き慣れた声がした。見ると、仕事の途中なのだろう、大きな籠を抱え、首をほんの少しだ けかしげてイングリドが立っている。いつもの黒い長袖と足元までのスカートに、白いエプロ ン姿で。 「騎士登用試験は : : : ? 」 彼女の疑問はもっともだったが、カインはそれどころではなかった。大股でイングリドに歩 み寄り、おもいきり頭を下げた。 「頼む。それを貸してくれないか」 少しの間のあと、槍の穂先をエプロンで包んで疾走するカインと、他人の振りはできなかっ 1 たので、せめて一歩遅れて駆けるレイクの姿があった。それはそれで目立つものではあったの 勲だが。 の 煌 銀 スルム河には、区画に合わせて船着場が点在している。二人は近いところから下流に向けて

9. 銀煌の騎士勲章(ライタークロイス) 1

220 微笑んだ。もしかしたらとカインは漠然と思った。本当は、彼女はけっこう笑う娘なのでは ないだろうか。状況が状況だったので、無表情を通してきたのかもしれない 「じゃあ行ってくるよ 宿を出る。しかし、カインがこれから向かうところは騎士登用試験の行われるルメリウス門 ではない。中央広場だった。 早朝だろうと多くの人でにぎわう中央広場も、今日ばかりは人通りが少ない。皆、ルメリウ ス門にいるのだった。カインが着いたときには、ファリアはすでに待っていた。 「昨日はしつかり眠れたか ? 」 「うん。おかげで万全だ」 幸いにも、緊張して眠れない、 とい、つことはなかった。あるいは、昨夜、イングリドが持っ てきてくれた薬草茶のためかもしれない。 「では ( 打くとしよ、つか がいせんもん 「凱旋門を通っていくのかい ? 「違う。バラムの屋敷だ」 意外な答えに、カインはきよとんとする。これから地下通路に潜りこんで、不正者を待ち受 けるのではないのか。 「卿は、皇帝アルティクスを知っているか ? 歩きながらの唐突な質問に、カインはいや、と短く否定の意を表す。カインが知っているの

10. 銀煌の騎士勲章(ライタークロイス) 1

204 その言葉に、カインは少し考え、それからいやな予感を抱きつつ尋ねた。 「登用試験を、放棄しろっていうことか ? 」 「そうなるーー席を立つまえに訊いてくれ」 カインが腰を浮かせたのを見て、ルーフアは冷静に続けた。 「成功すれば、卿を騎士にする。ファリアⅡアステルの名にかけて誓おう」 短剣の鞘に視線が向いた。カインは汗をかいているわけでもないのに額を手で拭う。 なんとか立ち直れたと思えば、これだ。椅子に座り直して、尋ねた。 「レイクやオルガーさんにはこの話はしたのか ? 」 「卿がはじめてだ。それと、オルガーには別のことを頼んであってな。とにかく、ます卿の返 答を訊きたい , 「レイクにも訊くつもりなんだろう。彼と相談してから返答するのでは駄目なのかい 「卿の意志を訊きたいのだ」 ファリアはカインを睨みつけた。 「そこまでして、どうして僕を誘うんだ ? 」 「今日に至るまで志願者たちを見てまわり、性格と能力を考慮した結果だ。卿は情に厚い。槍 にも長ける。この間は少し不安に思ったのだが、持ち直したようだしな」 「僕はそんなたいしたものじゃない」 カインは内心で迷っていた。 そう答えはしたが、 さや