206 「一夏だな、お前はー 「箒、一夏は俺だよ , 「うるさい 消えろ ! 」 その鶴の一声でニセ者の一夏は消え失せ、場所も作り物の道場から、電脳世界の森へと 切り替わった。 「あ、あれ、箒 : : : お前、なんともないのか ? 執事服を着た一夏がきよとんとしている。 「な、なんともないとはなんだ ! 一夏、貴様 : : : わ、私の、む、胸をつ揉んでおいて ふと気がつくと、ワナワナと怒りが込み上げてきた。 「成敗してくれる ! 」 オープン を部分展開し、『空裂』を呼び出す。 「ま、待て待て待て ! それは日本刀よりもャパ 「逃げるな、このつ ! 」 私は逃げ惑う一夏を追いかけ回す。 なぜだろうか、そんな時間がとても楽しく思えた。 アイエス つる からわれ いつもいつもふしだらなことをして おわあつ
ガッシャアアアンツ凵 「だからお前は何やってるんだよー 窓ガラスを突き破り、やってきた特殊部隊装束の男が一夏さんに銃弾を浴びせる。 「一夏さんリ 『ワールド ・パージ、異物排除 : : : 異物、排除・・ 頭部を横から撃ち抜かれて、斜めになった首のまま、一夏さんはぶつぶっと訳の分から ない単語を繰り返す。 ぎよろん、と。その目が金色と黒色に変わった。 引「一夏 : : : さん ? た 界何かがおかしい。でも、何が : 体「セシリアから離れろおっー 解 離銃床で殴り飛ばされた一夏さんは、ふたたび全身に銃弾を受ける。 一夏さんが ) 第傷口から黒い粘液を出しながら、ドロドロに全身が溶けていく。 やがて最後にはすべて光の屑となって消えた。
204 むにゆ一つ。 「あ : 受け身を取ろうとしたのか、そいつは両手で私の両胸をわしづかみにしていた。 いや、これは、そのつー 「き、き、貴様・・ : : 」 いつもいつもいつも。 「ゆるさん、一夏 ! ・ : ・ : ? じゃあ、あそこにいるのは・ 「あれ、お前は : : : 一夏 いや、えっと : : : 」 いや、こいつは一夏だ ! 一夏に違いない ! しどろもどろになる男 「その面を取れー 「わああ、やめろっ ! やめろって、箒ー 私の名前を呼んだ ! やはり、こいつはー 一夏になぎ払われた男が、足をもつれさせて私の方に突っ込んでくる。
『ワ 1 ルド・ 「きゃあああああつ」 、痛い ! 痛い痛い痛い 頭が痛い ! 外からも内からも痛い ! 割れそう ! 死ぬ ! 死んじゃうー かぶ 激痛の中、あたしに覆い被さっていた学ランの一夏は、学園制服の一夏に殴り飛ば 引された。 界 ぎよろり、と。学ランの一夏、その目が白目は黒に、黒目は金色に変わる。 世 体「命令遂行。障害排除。 解 離 無機質な声。しかし、それは一夏の声で、けれど似ても似つかない響きをしていた。 分 どうなってんの ) 話 ( なに、なんなのこれ、なんなのこれえー 第「助けて、一夏あっ凵」 あたしは泣きながら叫んだ。 アイエス 違う。あれは、学園の制服だ。 ( え、でも、一夏は目の前にいて、それがあたしの理想で、あたしだけの『世界』でーーー ) ージ、異常発生。異物混入。排除開始』
196 竹刀を手一兀に引き寄せ、そのまま体ごとぶつかりに行く。 私は一夏を押しのける反動で後ろに飛び、カウンターをかわした。 「はあっ ! 」 すばやく、胴抜き一閃。私と一夏の体がすれ違う。 「 : ・・ : 参りました」 そう告げたのは、私だった。 胴が入る寸前、一夏の竹刀が私の面を打っていた。 素早い、迷いのない反応だった。 「「ありがとうございました ! 」」 礼をして、竹刀を収める。 それから場外に出て正座をしたのち、面を外す。 「ふうつ 負けはしたものの、心は晴れやかだ。 おも 私は満ち足りた想いで一夏を見つめると、不意に視線があった。 一夏が高校に通うための下宿先として篠ノ之神社に来たのはもう三ヶ月も前の話だ。 いっせん
『一夏・・ : : 、今の、危ない : 「う : 、思わずな。すまん」 かんざし 簪に通信回線で注意される。 ともすれば正体がばれるところだったので、俺は素直に謝った。 『気をつけて。たぶん、箒の一夏が : : : 一番強い : : : 』 「 ? なんでだ ? 」 とうへんばく 『 : : : 。唐変木』 ぶつつと回線が切れた。 それと同時に、ニセ一夏が道場にやってきた。 引「言っておくが、一夏は師範代である私と同等の実力者だ。貴様のような道場破りに負け 界るはずがない 体 ( こりやまた、えらい強く思いこんでるな : : : ) 解 離「そうだろう、一夏 ? 」 話 ニセ者に、ばあっと笑顔を花咲かせる箒。その表情に : : : それを俺のニセ者に向けてい いらだ 第ることに、ちょっと苛立ちが沸き起こった。 「もちろんさ、箒」
ふにゆふにゆ。 柔らかい膨らみの感触が手に当たっている。 ふにゆふにゆふにゆ。 「ちょっ、ちょっと、やめつ : : : んんっー あ。死んだ。 「一夏ああああああ、貴様ああああああっ ! 」 ほ・つき 箒が、 た 「一夏さん、何をなさっていますのに」 ま セシリアが、 日「一夏のエッチ ! 信じられないよ ! 」 妙 シャルが、 奇 ど れ 「ーーー一夏、死に方用意せよ , 話 ラウラが、 第 一斉に襲ってきた ! どうする
198 ろ、つか ? ・ 「今日は道場は休みだ」 「あー、えっと : ・・ : 道場破りだ ! 」 「なに ? 」 「ここに俺 : : : じゃない、織斑一夏がいると聞いている。ぜひ手合わせ願いたい ! 」 私の一夏に挑むとは、なかなかの度胸だ。しかし : 「勝負は見えているな」 ほ・つき 「やってみないとわからないさ、箒」 ん ? どうして私の名前を知っている : : : ? 「と、とにかく、織斑一夏との対戦を希望する ! 」 「ふん。そこまで言うなら呼んでこよう」 私は誇らしげな顔でそう言うと、一夏を呼びに神社の境内へと向かった。 ◇ おりむらいちか
教会で育った僕を雇ってくれた先代の当主は昨年なくなり、今年はもうご主人様ーー一 夏が当主の座に就いている。 その一夏が、当主の座に就くなり宣言したのが『メイドのシャルロットを妻として迎え る』だった。 一週間後、結婚式で僕と一夏は結ばれる。 「ま、まだ、その : : : メイドですし」 「ふうん ? じゃあ、ご主人様の命令には絶対なんだ ? 」 「は、はい、もちろん 「そうか」 引そう一言うと、いきなりご主人様ーーー一夏は、僕のスカートを捲った。 た 界「きゃあああっ の 「今日もエッチな下着つけてるんだな、シャルロットは 解 ここ、これは、だって、ご主人様がつ、つけなさいって : 分 話白いレースで縁取られたシースルーのエッチな下着。 第 つけている理由は、ご主人様に命令されたからってだけじゃなくて : : : 一夏が、その、 よとぎ いっ夜伽に誘ってきてもいいようにと思って
俺はなんとか声を絞り出す。 「おお、一夏 ! 気がついたかー 「ちょっとあんた、大丈夫なの 「一夏さん ! お気を確かにー 「だ、大丈夫、一夏 ? 「水分補給はいるか ? 栄養補給が先か 、つ、つ一つ、つ・・ 「うるさい それだけ言って、へなへなとべッドから滑り落ちる。 「ええい、お前ら ! 看病の邪魔だ ! 出て行け ! 」 「はあ箒が出て行きなさいよ ! 」 「お二人とも静かにして ! 」 「ちょっと、一夏をベッドに戻すの手伝ってよ ! 」 「嫁の看病は私が責任を持って執り行う ! 」 けんそう また喧騒が大きくなっていく。