で 花 の 密 秘 学園から少し離れたところにある臨海公園前のカフェで、少女はひとりテープルに 会 茶 お くろかぎ 話 少女の名前はクロエ・クロニクル。『黒鍵』の専用操縦者にして、束に忠誠を誓う 四 第ものだ。 ここから離れなくては ) ( 任務は完了・ : かたな 「更識ーー刀奈」 それだけ伝えると、楯無さんは自分のべッドに飛び移っていった。 ( 本当の名前、か : : : ) それを教える意味を理解してない俺は、けれどすこし楯無さんのことがわかった気がし て、少し嬉しくなるのだった。 ◇ たばね

声をかけられて、少女はゆっくりと振り向く。 その両目は閉じられていた。 こたび 「お初にお目にかかります。私の名前はクロエ。クロエ・クロニクル。此度はこれにて退 場いたします」 そう告げると、少女の姿は影に沈んで消えていく。 「お、おい。待てよ ! 」 しかし、呼び止める声も空しく、少女は去ってしまった。 「どうしたらいいんだよ、これ : : : 」 まだ通信は繋がらない。 ち 仕方なく砂浜を歩いていると、波打ち際で一人の女性が立っていた。 た 2 黒髪の美しいその女性は、俺の 解 離 分 ◇ 第 「それにしても一夏のやっ、目を覚まさないわねえ」 つな むな

208 それから、まだ電脳世界から戻ってこない一夏を見つめた。 ( 無事であればいいのだが : : : ) ◇ 「やっとたどり着いたぞ」 森を抜けると、そこには真っ白な砂浜とどこまでも蒼い海原が広がっていた。 ( ここがシステムの中枢なのか ? ) どこかで見た光景の気もするし、初めて来る場所のようにも感じる。 懐かしいような、見慣れないような、不思議な感覚がした。 「あれは : 砂浜に一人の少女がぼつんと立っている。 銀色の長い髪をした少女。 : ないような : : : ) ( あれ ? なんだか見覚えのあるような : とりあえず近づいてみると、たしかに見覚えのある銀髪だった。 「ラウラ・ : : ・か ? 」 いちか あお

「とっとと解散しろ ! まったく : : : 」 こうして、かしましい夜は収束に向かった ◇ そこは深夜の学生寮廊下 「あっ」 織斑、と書かれたドアの前で、二つの影が鉢合わせする。 で 一人はツインテールが活発さを感じさせる平たい胸の少女。 花 の 一人は縦髪ロールが気品をあらわすモデル体型の少女。 密 「セシリっ 会 「鈴さっ 話お互いに声をあげそうになって、慌てて口を手で塞ぐ。 四 第それからコソコソと小声で言い合いをはじめた。 「何してんのよ、こんなところでつ と、思っていた。 ふさ

194 光と闇に満たされた電脳世界で、学園に攻撃を仕掛けている『敵』は心の中でつぶ ゃいた。 ージ』の効力が弱い : ( 篠ノ之箒に対しての『ワールド・ しかし、不完全というわけでもない。 『外世界からの切り離し』は完了している。 しかし、どうにも違和感がぬぐえない なぜか居心地の悪さを覚えながら、少女は電脳世界で目的地に到達した。 ( ここがシステム中枢 : : : ) 道も、上下左右すらない世界をふわふわと漂いながら、この世界の中心・ーー氷漬けの少 女像をやっと見つけた。 たばね ( これが : : : 束様の言っていた : : : ) つぶや 空中に漂う巨大な氷の塊を見上げながら、少女は呟いた。 くれざくら おりむらちふゅ 「織斑千冬専用機、『暮桜』のコア : : : 」 やみ 。なぜ :

ま 「ぐう : : : ぐう : 々 日 一夏が眠っている部屋には、もうわずかに朝日が差し込みはじめている。 奇そこに息を潜めて侵入する影があった。 ど れ 話 少女の名前はラウラ・ポーデヴィッヒ。 第寝込みを襲うのはこれが初めてではないが、なんと今日は黒猫着ぐるみパジャマでの初 チャレンジだ。 シャルロットが切りのいいところでそう言って、簪に手を差し出す。 「これからよろしくね こちらこそ : 「う、うん : 握手をしているふたりを眺めながら、他の四人もうんうんとうなずく。 こうして、抱えた問題は一個解決し、新たなライバルが一人あらわれ、そしてひとつの きすな 絆が増えたのだった。 ◇

ちょっときつめに一言うと、鈴はかあっと頬を赤らめた。 そしてお互いに沈默。 ちふゅねえ 俺は千冬姉の下着を洗い慣れてはいるものの、女子のーーーもとい、鈴の、履いているま まの下着に触るなんて初めての経験だ。 どくどくと心臓が高鳴っているのがわかる。 ( 相手は鈴なんだ。相手は鈴なんだ。相手は鈴なんだ ) アイエス 鈴は : : —学園の仲間で、俺のセカンド幼なじみで 『でも、それだけ ? 』 ち だれかの声が聞こえた。・ーー、・気がした。 た 界 聞いたことのない少女の声。 世 の 頭の左後ろで、響いたような感覚。 体 解 離「鈴」 話「ひや、ひやいっ 第「お、終わったから , 「う、うん : : : 」 ほお

224 一度も口を付けてない、冷え切ったカフェオレを置き去りにして立ち上がろうとした時 だった。 「相席させてもらおうか」 ぎくり、と。冷静沈着を信条とする少女の心臓が飛び跳ねた。 両目は閉じていても、その声が何者なのかはデータで知っている。 おりむら ちふゅ 「織斑 : : : 千冬 : 「まあ座れ。そら、お前の分のコーヒーだ。プラックで構わないな ? 逃げられない。 本能的にそう感じたクロエは、恐怖心を抱きながら椅子に座った。 震える手を隠して、コーヒーを受け取る。 「さて、結論から言おうか。・ーー束に言っておけ、余計なことはするな。と 殺すしかない。 そう思った瞬間だった。 「ーーーやめておけ。やめておけよ。お前の戦闘能力で私を殺すことは不可能だ。例え を使ったとしてもな」 アイエス

まるでそれは、友達とじゃれ合う、どこにでもいる少女の顔だったからだ。 「それにしても、このとやらは、本当に使い物になりますの ? 「それは私も気になったな」 セシリア、箒が答えを求めて千冬に視線を向ける。 「まあ、の数に限りがある以上、救助活動などでは大きなシェアを獲得するだろうな」 性能差で言えば、例え QOcol 〇〇〇機でも一機に及ばないだろう。ということは、 伏せておく。 一応、これは建前上では『との戦闘を考慮していない』というものなのだ。 ( やれやれ。そんなものをこの学園に送りつけてくるなどとは、思い切ったものだ ) それに、それを受け入れた学園長の思惑もいまいち分からない。 しかし、今は考えないでおく。 な 『その瞬間』まで、千冬は考えない。 奇 ど れ もちろん、備えはしておくが 第そんなことを考えていると黙り込んでしまったようで、を脱いだ全員がじーっと 次の指示を待って視線を送っていた。

いまいち質問の意図がわからない ぎこちなく笑みを返す簪が首をひねっていると、箒とセシリアがテ 1 プルを同時に叩い て立ち上がった。 一夏と、だなっー 「だ、だっ、だからだなっ 「つつつつつ、付き合ってますの いきなりのとんでもない質問に、簪はばちくりと瞬きをして一呼吸。その後でポッと真っ 赤になった。 「わ、私と一夏は : : : そういうのじゃ : ま 「『一夏』あ ? 」 々 日 鈴がいぶかしげに聞き返す。 な 奇 ( 何よ、こいつ。どういうつもりよ。いきなり呼び捨てとか馴れ馴れしいんじゃないの ? ど れ ま、まあ、そのことはい ) : って、あれ ? あたしもそうだっけ ? ・ しわ。うん ) 話 一瞬で沸点に達してから、一瞬で常温まで下がる。 第そしてまた、五人の視線が一斉に簪に突き刺さり、少女はしおしおと小さくしぼんでいく。 「そ、それは : : : その : : : ごによごによ : : : 。希望がないわけじゃ、ないけど : まばた たた