騎馬の女子を逃がして、空中に舞い上がる一夏。 あおせんこう しかし、それを蒼い閃光が遮った。 「空中戦ならお手の物、ですわ ) , 「フルー・ティアーズ』のレーザービットが四方から一斉に射撃する。 アームドア ムせつら 左腕部武装腕《雪羅》のシールドによって事なきをえる一夏だったが、逃げ場所はもう 上昇しかない。 「ここでー 上空から箒の攻撃、地上から簪の追撃。逃げ場はもうなかった。 「たっ、助けてくれ、シャル ! 」 動 大「ーー知らないつ」 秋ぶいっとそっぽを向かれた一夏は、次の瞬間爆発に呑まれた。 ろ 駆 話 第 の
106 「「「そのはちまき、置いてけえええええっ ! 」」」 一斉に一夏に向かう騎馬たち。 その攻撃から身を守ろうと手を伸ばすと、あろうことか女子の胸をわしづかみしてし まった。 「やあんつ。織斑くんのえっち☆」 あいかわきよか 出席番号一番、相川清香 ! と続ける。 いや、自己紹介は別にいらない。 「い、ち、かあああああ 5 っー だれ 胸の恨みは七代たたると、誰が言ったか、言わなかったか。 「しねええええええええー アイエスシェンロン 鈴は『甲龍』を高速展開し、その衝撃砲を放つ。 「どわああああっ ! 」 びやくしき 対して、一夏も白式を展開してシールドを張った。 「続けて、行くぞ ! 」 『シュヴァルツェア・レーゲン』の大口径リボルバーキヤノンが火を噴く。 「死ぬっ ! 死ぬっー しようげきほ - っ
それもまた、簪を刺激する材料だった。 「絶対に、負けない : 「やるな、簪 ! しかし、私とてー 攻撃の応酬がはじまる。 しかし、いきなりの大声アナウンスに戦場の全員がざわめいた。 いちか 「さて、ここで織斑一夏騎馬を投人です ! 彼のはちまきを獲ったら五〇〇点差し上げま 楯無だった。 ちなみに、例によってこのはちまきをとると電気が流れる仕組みのため、一夏は必死に 会ならざるを得ない た「またこんなんですか の 「乱入があった方がおもしろいじゃない。がんばれ 5 」 ろ 騎馬全員が一夏の方を向く。 駆 なにせ五〇〇点である。 話 第最下位のチームでさえトップに立てるという大チャンスに、十代女子が燃えないはずが 0 十 / . し すー
「なんでですか ! 」 「なんか、視線がいやらしい なんとなく、自分の体を守るように抱きしめる楯無。 そのポーズに、ますます一夏は焦った。 「別に変な目で見てませんよ ! 」 それはそれで腹が立っ楯無だったが、それはさておき実況の方に戻る。 ( あんまり意識しない方がいいわよね、自然体 : : : 自然体で : : : ) そう頭の中で繰り返しながら、各組代表騎馬の紹介をはじめる。 「さて、注目はやはり現役軍人のラウラちゃんですが、おーっとここでアクシデントです。 おりむら 会 織斑先生にナイフを取り上げられました」 動 た「いや、ナイフとかダメだろー の りん 秋「織斑先生は次に鈴ちゃんから青竜刀を取り上げました , ろ 「おい、鈴 ! 」 話「寵ちゃんは、あれは日本刀ですねー」 第「馬鹿か、おまえらは」 チャクラム 「シャルロットちゃんは円月輪を没収されています。 たてなし
しかし、慰めの視線でも送ろうとしたところで、一夏とのほほんさんの目が合った。 おりむ 5 。へへ 5 、活躍見てたー ? ピョンピョンと跳ねるたび、さりげなく大きな巨乳が重たげに揺れる。 それを直視してしまった一夏は、顔を真っ赤にして目線をそらした。 ぎゅむつー 「いたたたつ」 わきばら いきなり脇腹をつねられる。 やってきたのは、もちろん楯無だ。 動「さっさと実況と応援をしなさい、男の子ー た「わ、わかってますってば : 秋渡されたマイクを握りしめ、一夏は叫ぶ。 「があんばれええええええっ凵」 駆 女子の目の色が一斉に変わった。 第 一夏が見ているとなれば、接点も緩やかながら生まれることになるだろう。 おも そこに淡い期待を想わずにはいられないのが、十代乙女の桃色思考回路だった。
「あの子、ものを組み立てるのが上手なのよ , 「いや、上手つてレベルじゃないんですが , 「姉妹そろって、整備課のエースね。おそろしいわ . そういえばそうだったと、思い出す。 うつほ はんね のほとけ 分解の虚。組立の本音。有名な布仏姉妹だったことを。 「でも弱点はあるのよ、何にでも 楯無が指さした先では、のほほんさんが射撃を行っていた。 ガンツ ! と、炸薬独特の破裂音で弾丸が飛び出す。 あさって しかし、構えだけは様になっているのに、弾丸は明後日の方向に飛んでいった。 「あれ 5 、おっかしいなあ 5 首をかしげて、弾丸を取りに戻る本音。 しかし、次も、その次も、その次の次も、すべて弾丸は外れ、結局最下位でのゴールと なった。 「そうだった : : : のほほんさんって、射撃 0 点なんだった : : : 」 なんと残念なことか。 さくやく
「だから、物珍しいだけですってば」 「 : : : そうかしら : : : 」 たず 小さな楯無のつぶやきを聞き逃した一夏は、訊ねようとしたところでスタートピストル の音に遮られた。 パアンっ ! 女子が一斉に走り出す。 「うわ、のほほんさん、遅っー 「まあまあ、見てなさい 最後にテープルにたどり着いたのほほんさんは、銃のパーツをことんことんと並び替え ている。 そうこうしている間に、他の女子はてきばきと銃を組み立てていく。 一夏がじれていると、次の瞬間なんとのほほんさんの銃ができあがっていた。 「じゃっじやじゃーん ) 」 ゆがみのない、完全な完成形。 あぜん それを誇らしげに両手でかざして、のほほんさんは他の女子が唖然とする中、二歩も三 歩もリードして走り出した。 「う、うそだろ。あののほほんさんが :
ら五メートルの鉄骨を歩きます ! 」 ちゃんと下にネットがあるから安心してね ) と、ウインクは忘れない。 ほふく 「そこを過ぎたら今度はポールで一気に落下、着地、そのあとは匍匐前進で網を抜けます。 もちろん、ライフルは両手で抱えたままね ! 」 なんだかもうツッコむのは野暮に思えてきた一夏は、そうなんですかとうなずくだけだ。 「そして最後はお待ちかね ! 実弾射撃です ! 弾は一発のみ ! 外したら、一度取りに 戻らないといけませんー これが学園だとばかりに、参加者はおおいに沸いた。 しかし、一夏としてはげんなりせざるを得ない。 会 「どこまでムチャクチャなんだ、この学園ー 動 た「ふふん、あきらめなさい」 楯無の扇子には『達観』の二文字が書かれている。 「やほー、おりむ 5 。みてみてー 駆 話簪組ののほほんさんが、手をひらひらと振っている。 第 一夏も手を振って応えると、第一走者全員が手を振り返してきた。 「あら、モテモテね」 アイエス
◇ 「さあさあ、続いての競技は軍事障害物走です ! 」 楯無の声が勢いよく響く。音割れしないあたり、かなりいいマイクを使っているんだろ 「あの、もう訊いてもしようがないですけど、『軍事』ってなんですか ? 」 「ミリタリーよ」 「はあ 「わかってないわね ? 」 「まあ」 釈然としない一夏にため息をひとっ落としてから、楯無はマイクを握り直す。 「いいでしよう、説明しましようー この軍事障害物走とは、まず最初に分解されたアサ ルトライフルを組み立てます ! 」 ずびし ! と、楯無が指さす先には、パ ーツ状態の銃が置かれたテープルがある。 「そして、組み立てたライフルを持って三メートルのはしごを登り、バランスをとりなが いちカ
爆風に背中を押されたラウラは、はずみでリポルバーキヤノンを発射する。 そう、箒に向けて。 「な、なにつ 直撃は免れたものの、おかげで《穿千》の射線がずれてしまった。 そして、行き着く先は 「ちょ、ちょっとちょっとちょっと ! その装置、高いのよに」 たてなし 楯無の声もむなしく、エネルギー弾の直撃を受けた競技装置はドカーン ! と派手な音 を立てて爆散した。 「あ、いや、これは、その : : : 」 会 会場全体の視線が箒に集中する。 動 大 もちろん、それは非難めいたものだった。 の 秋 「ふ、ふん ! やわな機械だっー しーんと静まりかえる会場。 話やっとのことで、楯無が口を開いた。 第「 : : : 箒組、マイナス二〇〇点」 ぎゃああ ! と、箒の悲鴫がこだました。