地球 - みる会図書館


検索対象: SFマガジン 1977年3月号
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1. SFマガジン 1977年3月号

〇にはオリビアが待っている。だが、すでに遅れは生じたのだ。 擾乱が生じ、オリビアの艇は方向を失った。 私は席にもたれたまま眠を閉じた。スクリーンの輝点には催眠作オリビアは死んた。その死体を私はこの手で埋めた。それ以来、 私は地球へは帰っていないのだ。 用があった。 「オリビアのことで、きみには隠していたことがある」非現実的な 死んだはすのオリビアがヘルクレス一一〇の観測基地にいると聞声はいった。 いた時、私は、冗談というより、通信回路の混乱による聞き違いだ何でもいって下さい、という感しで、私は通話器に向った。 「オリビアは地上勤務を決意してから、分身といえるものを準備し と思った。オリビアは死んだ。私が確実に地球の土の下に埋葬した オーガニック・プレイ / クロ 始めたんだ。彼女の細胞から大脳を増殖させた有機脳 からだ。むしろ私は、指令そのものが相手を間違えているのではな いかと思った。銀河系の辺境で、減亡した種族の遺跡を掘りかえすーン脳とも呼ばれているがーーーを基地に残しておくことにしたの のが任務の下級調査員に、緊急の指令が入ること自体おかしいのだ。〈オリビア 2 号〉といって、実に優れた有機コンビュータだ」 だ。私は大声で名前を確認したのだった。 「なぜそんなものを作ったのです」 「確かにきみに対する指令だ」五万光年離れた地球の本部からの声「彼女のデータ解析力は優秀だった。黒点の変動周期などを把むの は、超空間通信特有のかすれた口調でいった。「ヘルクレス一一〇に、女性特有の素晴しい勘を働かせた。数理的な解析だけが万能で 番へ跳んでほしい。そこにオリビアがいる」 、彼女のデータを読み取る直感は貴重たった。〈オリビア 2 私は絶句した。通信機のパネルに向ったまま、地球から遙かに離号〉を作ることは観測基地の研究者全員の要求だったのだ」 れた異境にいることすら忘れていた。 「その〈オリビア 2 号〉」とかが、ヘルクレス一一〇番星の基地に オリビアーー太陽がほんのちょっとした気紛れで爆発現象を生じい るのですか」私は五万光年彼方の見知らぬ相手にいった。実際、 なければ、私の妻になっていたはずの女だ。彼女は太陽物理学の研私は指令を伝えてくる相手の顔を知らない。ひょっとしたら人間で はないかもしれない。 究者だった。あらゆる意味で聡明な女だった。そうでなけれ。は、十 万光年の空間を不定期に移動している私が持ち出した″結婚とい 「正確には、ヘルクレス一一〇番を回っている観測基地そのものが う古めかしい制度を素直に受け入れたはすがない。まして″地球の彼女なんだ」指令本部の声は同じ調子でつづける。「五年前に作ら 緑の丘″で結婚しようという、私の俗つぼい希望に真顔でうなすく れた無人観測基地だ。彼女は基地すべてを統轄している」 はすはなかった。オリビアは太陽表面観測基地の勤務をあとひと月寄妙な幻想が頭をかすめた。異星の太陽観測基地で、オリビアが で終える予定たった。太陽表面に大規模なフレアが突発的に生じたひとり、観測機器類に囲まれて働いている。金髪をかきあげ、少し のはその時だった。オリビアの乗った調査艇の制御系に故障が生首をかしげて、測定機から打ち出されるデータ用紙に見入る : : : そ じ、水星基地から電波で誘導していた。そこに電波パーストによるんなはずはないのだ。あるのはただの有機コンピ、 1 タだ。だが、

2. SFマガジン 1977年3月号

☆地球偵察しりーず③ 地球ノオ金ガ 変ワリツツすマス。 JCB ・ コレハ、ワガ貨幣これくしょんニモ ナイ新種ノ地球通貨デス 偵察員が持ち帰ったそれは、すぐ 分析部にまわされた。 塩化ビニール封脂。宇宙てはひと 昔前の素材てあった。が、従来の 紙幣や硬貨のように、金額が明一小 されていないといプ本部は直ちに 地球基地に調査を指令 : ・。折り 返し届いた第一次報告によればー かーどラ提示シさいんスルダケデ、 オ金ト同ジ役割ヲハタス。何種カ アルガ、かーどガイチバン 普及シティルト田 5 ワレル。 みなさまのお役に立っ 三和行

3. SFマガジン 1977年3月号

のなかでも、もっとも重要で、しかも知ら信衛星について。ご存じないと思います しクラークそれにもちろん、の祖とい うかゴッド・ファーザーのウエルズも。 れていない業績は、四十万人もの人員を組が、インドは私に衛星の完全な地上局を提 們小松そうなんです。それが日本では、フ織し、二千五百万ドルの支出を適宜におこ供してくれたんです。六人の技術者と一ト アンタジイはシリアスな小説から区別してなったことです。こんな離れ業は、何年かンの資材を、私の家の屋根にのせて。イン トの現状を改善するには、教育が重要な鍵 前までは不可能な、夢のようなことと思わ 考えられているんです。 届クラークそうですね。日本にはファンタれていました。のおこなっているとなるわけですが、そのために通信衛星が ド常こ役立つのです。 管理テクノロジーは、宇宙工学のなかでヨ冫 , ジイ文学やの伝統がないから。 小松アフガニスタンでは、日本から輸出 小松日本にもファンタジイや冒険小説のも、もっとも価値ある副産物です。今日の 伝統はあることはあるんですが、俗悪な通私の話題は、おそらくみなさんにはなじみした大量のトランジスタ・ラジオがその役 のないものでしようが、しかし重要である割を果しましたと言う話をききました。 い俗小説と考えられていました。 Ⅲクラークポツ。フ・アートというわけですことは間違いないでしよう。どんな管理形クラークしかし、テレビの場合には、視 態も、情報とその情報をコミュニケイトす覚がラジオよりもずっと大きな効果をもた 鼎小松そうです。子供と無学なもの専用る手段を必要とします。この十年におけるらします。特に無学な大衆が対象になった ・の。でも、が日本に定着してから、状スペース・テクノロジーは、この分野に革場合には。 命的なイン。ハクトを与えました。宇宙の探小松未来における人間性に、はどん 、、ー変ったように思われます。 凸早川さきほど、明日の講演について話し索が、地球を荒廃から救う時点に達したとな貢献ができるとお考えですか ? いうのは、もはや希望的観測ではありませクラークそうですね、作家の第一の眼目 旧ていただきましたが、もう少し詳しくおね んーー・このあとに、私の好きな言葉の引用は読者をたのしませ、感動させ、興味をお がいできませんか ? 卸クラークそうですね : : : それでは、講演がはいりますーー偉大な宇宙時代の技術者こさせることだと思います。しかし、それ クミンスタ が ()n 作家ということになると、社会に対 であり建築家である、 扉の原稿を少し読んでみましようか。 コラーは、地球という宇宙船についてこんしてさらに多くの価値があるのです。どう ( クラーク氏、原稿をひろげ、演説口調になる ) マネージング・ユニ・ いうことかといえば、つまり未来に対処す ″宇宙を管理する″といういささか誇なことをいっています。もっとも重要な点 川大妄想的なタイトルには少し説明を加えるは、それがまったくマ = = アルなしにできる用意を大衆にさせるのです。他のジャン ルには類をみないのが、この点なんです 凵必要があるでしよう。今度の会議のテーマあがった点たと。スペース・テク / ロジー は、国際的なマネージメントです。そしは、たんにそのマニ、アルを作るばかりでよ。アシモフの言葉を借りれ・は、だけ 沖て、私の四十年来のテーマは、宇宙の探査なく、地球という宇宙船の環境を保持するが未来を過去と異ったものと考えているフ イクションなんです。ほかのたいていの小 ための道具を与えてくれるのですーーーこの Ⅲというわけです。この宇宙の探査には、非 常なスケールのマネージメントが必要とさあとで、気象衛星や通信衛星の役割につい説の舞台は、現在か歴史的な過去です。そ 同れています。実際、のあげた業績て言及するつもりです。それとインドの通してだけが、状況や場所やテクノロジ

4. SFマガジン 1977年3月号

オッド・ジョン オラフ・ステープルドン / 矢野徹訳 ッド・ジョンは、地球に超人類の世界 おそるべき神亠 うとしが卩巨匠の古典名作。 \ 3 6 0 T2 一を建設 庫狂した宇宙 レドリックッラウン / 稲葉明雄訳 ラ 突如奇妙な世界に転移したキースを待ち受計ていく べき事実とは ? 多元宇宙テーマの最高傑作 ! \ 340 ワ カ宇宙軍団 地球の長い午後 プライアン・・オールディス / 伊藤典夫訳 〈ヒューゴー賞受賞作〉自転を停止した地球をおおう植 物の世界 ! 英国界の第一人者の意欲長篇 \ 3 7 0 〈宇宙英雄ローダン・シリーズ①〉 0 ・ダールトン 時の牢獄 キャンベル匚 月は地獄だー タイム ・パトロール・アンダースン < ・ O ・クラーク 海底牧場 これぞスペース・オペラの醍醐味ー ジェイムス、教授シリーズ z ・・ンヨーンズ 野田昌安訳 野田昌宏訳〈ニ重太陽系死の呼び声 \ 23 。 いまこそわれら 〈放浪惑星骸骨の洞窟 が〈宇宙軍団〉の真価が問われるべき時だった \ 360 \ ワ朝【 00- 〈惑星ゾルの王女 双子惑星恐怖の遠心宇宙船 装幀・藤子不二雄 ◇近刊く仮題〉◇ 惑星ゾルの王女 近刊

5. SFマガジン 1977年3月号

し、彼らをも曳きずっていった。二人は、五〇フィ 1 トという、か 困難は、地球に戻ろうとするときに、はじまることだろう。 なりな余裕をもって、岩尾根を越えていた。それはまるで奇蹟のよ うに思えたが、目まいのするような安堵の一瞬から我に返ったハー 人類史上で、これほど異様な夜明けを迎えた者は、かっていなか ・ハーは、彼らを救ったものが単純な空気力学の問題にすぎないこと ったろう。彼らは疲れ、体がこわばり、寒さに震え、そして乾燥し に気がついた。風は山を越えるためには上昇しなければならないのた稀薄な空気は一息ごとに喉をひりひりさせたが、鋸の歯のような だ。と同時に、風は再び下降するはすだった。だが、それはもう問東の地平線に明け方の微かな兆しが拡がったとき、彼らはこうした 苦痛をすっかり忘れてしまった。星は、一つまた一つと、消えてい 題ではなかった。行く手の空には何もなかったのである。 った。夜明けの数分前、最後まで残ったのは、宇宙ステーションの 今や彼らは、切れた雲の下を静かに動いていた。速度は緩んでい ハワイの上空二万二〇〇〇マイルに静止したパ なかったが、風の怒号は俄かに消えていた。彼らは、風に乗って何中でも最も明るい シフィッ ク三号だった。そして、太陽が名もない峰々の上に昇り、 もない空間を流されていたのである。二人は、なお彼らを隔ててい る三〇フィートの空間を間にして、楽々と話しあうことさえできヒマラヤの一日が始まったのである。 それは、まるで月面の日の出を見ているかのようだった。はじめ 1 。ハーは呼びかけた。「大丈夫ですか」 「エルウイン博士」とハ は、高い山々だけが斜めに射す光を受け、それをとりかこむ谷は漆 「ケん、ジョージ」と、科学者は、落着きはらっていった。「これ黒の闇に沈んだままたった。だが、光の線は徐々に山肌を下ってゆ から、どうするかね ? 」 き、この厳しい禁しられた土地は、次第次第に新しい一日の中に姿 「上昇を止めなけりゃなりませんね。これより上ったら、呼吸できを現わしたのである。 フィルターがあっても なくなりますよ 今や、じっと目をこらせば、人間の営みの徴しを見ることも可 「そのとおりだ。平衡状態に戻ろう」 能だった。そこには、何本かの細い道、孤立した村落から立ち昇る 緊急回路を切ると、装置のけたたましい轟音は消えて、やっと聞煙、僧院の屋根から反射された日光のきらめきがあった。下界は目 ートの空中に奇蹟のよう こえる程度の唸りに変った。彼らは何分間か、ナイロン・ザイルを覚めつつあったが、頭上一万五〇〇〇フィ はさんで、一方が上になるかと思えば次にはもう一人が上るというに浮かんだ二人の見物人には、全く気づいていなかった。 ふうに、上り下りを繰返した後、何とか釣合い状態にもっていっ夜の間に風は何度も方向を変えたにちがいなかった。 た。やっと安定したとき、彼らは三〇〇〇フィートより少し低いと は、自分たちがどこにいるのか、まるで見当がっかなかった。たっ ころを漂流していた。レッヴィ 1 ・、 カ故障しないかぎり ( あれだけのた一つの目印さえ見つからないのだった。彼らは、ネ。 ( ールからチ 過負荷がかかったことで、それは大いにありうることだったが ) 、 べットにいたる長さ五〇〇マイルの細長い地域の、どこにいるとも 知れなかったのである。 二人はとりあえす危険を脱したわけたった。 ー 02

6. SFマガジン 1977年3月号

二月から六月まで、このかに座に上星がいる。 もなく大きな水槽があったとすれば : : : 土星は、 もっとも明るいのは、二月一〇日頃で、〇等星水面からちょうど三分の一ほど、頭を出した恰好 だから、一等星の二倍半の光輝をもつわけだ。ほで、。フカリ浮いてしまうということなのだ。 だがスビカの正体は、美しい乙女のような、なとんど日没とともに東の空から上がり、観測の好太陽系のどこを探したって、こんなに軽くて、 よなよとしたものではない。私たちの太陽の三倍機である。 ヘンテコな星はない。 いったい、土星というの 近い直径と、一〇〇〇倍の輝きをもち、表面温度三月には〇・二等、四月には〇・四等、五月には、中味がどうなっているのであろうか。 は太陽の三倍をこえる二万度という、烈火の如きは〇・五等とーー次第に暗くなり、七月に、しし最近の研究では、土星には、はっきりした固体 巨星なのである。 座に居をすえるころは〇・七等級となる。 の表面がない、ということが判っている。地球や あの真珠を思わせる白銀色も、しよせんは、太この上星は、い うまでもなく、木星に次ぐ太陽火星のように、岩石でできた表面があれば、たと 陽をはるかに上まわる高温度のせいなのだ。それ系第二の巨大惑星である。 えばレーダー波は、反射されて返ってくるはず だけ、星の内部の核反応が激しいということでも 径六万四〇〇キロで、重さは地球の九五倍あだ。 ある。 る。が、体積となると、さ ところが上星の場合は、 らに大きく、地球の七六〇 さつばり反射波が返ってこ″ 春はまた、かに座によって象徴される。 倍にも達する。 ないのである。その他いろ しし座のとなりにあり、黄道一二星座の中の一 このように、重さの いろと調べた結果、 つである。事実、かに座デルタ星は、まさに黄道に、体積が大きいというこ 「上星の正体は、ほとんど とは、この星が、平均して 上に位置している。 が水素でできており、これ この近くで、ガンマ、デルタ、イータ、シータ軽い物質からできていると 信に〈リウムや水のような軽 しうこと・た。 の四星にかこまれる四四ーープレセペ星団は、 い物質が加わったものだろ 春の宵の見ものだ。 実際に、上星の比重は、 。フレセべというのは、「かいば桶」という意味〇・六九しかないのであ A 」いうこ A 」になった。水 - ″ 環 だがこの上下にあるガンマ、デルタの二星を、二る。 と素といえば、この世の中 匹のロ・ハに見立てている。 地球の五・五に比べて、 星で、一番軽い元素だ。土星 紀元前四〇〇〇年の頃から知られている星の集けた違いに小さいばかりで 土の主な部分が、これで構 りで、かのプレアデスやヒアデスと同じような散なく、水の比重一に比べて されているとすれば、なる 開星団の一・つである。 も、なお三割も小さい ほど比重が〇・六九という 私たちからの距離五一一〇光年であり、およそ一 こ、れは、・と - つい、つことか ような、きわめて小さなも 〇〇個の星々が、ヴェールに包まれた宝石のようというと、もし土星をポン のにもなりうるわけであ る。 に、・ほんやりとした光芒を放っている。 と放りこめるほどの、途方 いただきに輝く ( 野尻抱影氏による ) 7

7. SFマガジン 1977年3月号

三十年まえに発見されたが、地球からとおいのと、地下資源などら大丈夫だろう。 : たいしてないために、わすれられた状態にある、という。 ノックがあった。 住民はおくびようで保守的、三十年まえの一大事におどろいて、 「サ・フが、ヒトデにかまれたらしいですよ」 その迷信的性格をさ・らにつよめたとおもわれる。 。ヒートがはいってくる。 彼女はキャビンへもどった。 「あれは、毒性があるのよ。あの水槽のうえには、金網がはってあ 赤ん坊はひとりであそんでいる。抱きあげて、ロのなかをしらべ ったはすなのに」 ようとすると、おそろしい悲鳴をあげた。 いよいよだ、と彼女は覚悟する。 「なにをするんだ ! 」 「それが、きようかえってみたら、破られてたらしい。彼は、これ すぐにナオシがとんできた。 は悪の赤ん坊の呪いだといっている」 「べつに、そんな : : : 」 。ヒートもやや白い顔をしている。 「船長、おれはもう、あなたを信用しないよ」 「彼はこわがってるよ」 彼は蒼白になっている。 「いま、いくわ」 「大さわぎするほどのこともないでしよ」 ジュンコは、下の層へおりていった。 彼女はわめいた。うたがいが、一挙にふきたしてくる。 サプは、包帯をして、べッドに横たわっている。 「じゃ、キ・ハネズミをもちたしたのは、たれた」 「ぐあいはどうなの ? 」 「もちだした ? 」 「薬がないんです」 しまった、それをしらべるんだった。 彼はよわよわしくいった。 「そうだ。カギは、台所にあった。そこにはおれが寝てたんだ。犯「まさか。予備の薬品類はどうしたの ? 」 彼女は、わけがわからなくなった。 人は、網を注意ぶかくやぶって、もとどおりにしといたんた」 彼の彼はふるえている。これは芝居だろうか。 「なくなっているんです」 「もっともうたがわしくないのは、あなたよ。だからーーーそんな細おちついた声にもどって、ピートが報告した。 「どうして・ : : ・」 工は、だれにでもできるわ」 「いいよ。おれは、ここにのこる」 「これは呪いだ。船長、魔法というものを信じますか」 トリックよ。あなたとい 彼女はこたえられない。 これはたれかの 「あの子に牙なんかない。 「むかしの伝説にすぎない、 とおもってますか」 う可能性もあるわ」 ヒートの声は、しだいに熱つにくなってくる。 あまり大声をたさないように気をつける。ドアがしまっているか 4

8. SFマガジン 1977年3月号

議れドドい卩卩ド鱸ー、 ! ドいれけれれ計 う新丘 ( 器を使 0 て石油を探していた。それは、先め、絶対に救助隊を出さないことを命令した。 ポーラー・ボアラー発進。射ち出されたボアラ 端から高エネルギーのレーザーを発射し、地中を ーは海中を進み、海底に着くとレーザーで岩石を 溶かしながら進む地底タンクだ。地質学研究員の チャック・ウ = イド ( スチー・フ・キーツ ) は、他溶かしながら地中を進み始めた。計器でボアラー ・ボアラの進路を追う地上員達。やがてボアラーは彼らの の乗組員と共に北極海の海底をポーラー , ・に乗って探査中、突然それが原因不明の急上昇測定範囲外に出てしまった。 しばらく地中を進んでいたボアラーは突然水中 をするという異常事態に陥った。やがてボアラー は火口湖に浮上、そこで彼等が目撃したのは、有に飛び出した。水の中を浮上して行くボアラー 史前に絶減した筈の恐竜の姿だ 0 た。恐竜は彼等やがてボアラーが浮上したのは、周囲を原始林に を襲い、チャックだけが生命からがら逃げ帰った囲まれた火口湖。一面に濃い霧が立ちこめ、彼方 の湖面にはプレシオザウルスが姿を見せ、上空に のだった。 この報告を受けたステンは、早速テレビ局では翼屯が舞っている。そして遠くには氷の絶壁 記者会見を行った。その席で彼は、人類史上最大が : の ( ンティング、恐屯狩りに出かけることを発表マステン一行は、湖岸に上陸。その直後、 した。この席にはマステンを追い続けている女性ケラトプスが彼らを襲った。ここは恐竜たちの通 り道らしい。彼らはそこにキャンプを張ることに ハンクス ( ジョン・ 新聞記者フランキー アーク ) も来ていた。彼女は、動物愛護の立場かした。 マステンたちは川本博士をキャンプに残して らマステンの計画に反対だった。マステンはカメ 以前、情報でも紹介された円谷。フ。 ( 日ラおよびテー。フレ 0 ーダによる科学的調査を中心探査に出かけた。そこで彼らは差し渡し二フィー トはあろうかという恐竜の足跡を発見した。鋭く 本 ) 、ランキン / ・ハス・。フロ ( アメリカ ) 合作のにし、狩りの為の弾丸は二発しか持って行かない 字型にくい込んだ三つの爪跡。間違いなく、恐 『 The Last Dinosaur 』 ( 最後の恐竜 ) がやっとことを約東した。 完成した。九月初旬の撮人から足かけ四カ月、普ポーラー・ボアラーの乗組員は五人、「ステン竜の王テラノザウルスのものだ。一行は足跡を追 レ 段週一本の映画を作っている円谷。フロとしてとチャック、それにボアラーの発 明者でもある川本博士 ( 中村哲 ) 、 は、異例の長い製作期間だ。 マステンの従者、黒人のプンタ まず、ストーリーから紹介しよう。 サー・ラッドレー ) 、後の 猛獣狩りの記録フィルムが映写されている。 一人は記者の代表が選ばれること 主人公マステン・スラスト ( リチャード・ ン ) は、大石油会社の社長であると同時に世界でにな「ていた。フランキーは敢然 ( " ~ ~ 〉【 も有数なハゾターの一人で、地上のあらゆる動物と立候補した。 北極海のプリザードの中に浮ぶ を狩り尽していた。彼は今しも、自家用のジャン ポジ = 〉トで日本〈向う途中、愛人と共に記録フポーラー・ボアラーの基地、「お ふくろ 1 号」にヘリコプターが着 イルムを見ながら憶い出にひたっていた。 やがて、ジェットは羽田に着陸、マステンは愛陸した。チ = ックとマステン、 人と別れると、彼の会社の極東エ場〈と向 0 た。本博士とプンク、少し遅れてフラ ンキ 1 ーがやって来る。彼らはポー ここには大研究所が併設されており、そこで、一 ラー・ボアラーに乗り込んだ。マ つの興味ある報告を聞くためであった。 ステンは無駄な人命を失わないた マステンの会社では、ポーラー・ボアラーとい フォーカス 大空翠 "The Last Dinosaur ットの表紙です。

9. SFマガジン 1977年3月号

質疑応答〈松本清張「するとあなたの場と同じようなものでできた惑星がほかにも数れるのを覚悟の上 で書いた。そのう 合は、とどこが違うの ? の場合は多くあるでしよう。しかし、生命の誕生とい ストーリ ーがあるよね」筒井康隆「今のう歴史的なできごとを持ったことのある惑星ち作品が江戸川乱 はものすごく多様化してきたんで、ストーリ は、ほかにはないだろうと、わたしは思うの歩さんの編集によ ーはほとんどないようなもいつばい出てです」小尾信彌「生命というのは、十の四十る『宝石』に転載 きてるんです」松本「このごろまったく不勉乗回というような、ばく大な回数の物質選択され、作家を業と 強で、・ほくはそんなこと言う資格はないんだ によって誕生したと、野田さんはおっしやるするようになっ けどね。ひと昔前は、火星人が来たり、宇宙けれども、地球上で起こったことが、地球とた。もし円盤の会 人みたいなのが出現して、地球の人類をかき非常によく似た状況のもとで、なぜ起こり得がなく『怪奇製造 まわすという話だったね。いまはどうなんでないのか。物理学の原則に照らして、そこの人』にめぐりあう すか」筒井「いまおっしやったような話は、 ところが、まず、納得できません」〉Ⅱ『産報ことがなかった の中の一割にも満たんというか、とにかデラックス的の謎・宇宙と星』 ( 産報・ 15 ら、私の今日はど うなっていたかわ くものすごく多様化してしまったために、ど 0 0 円 ) から。 いるからない〉 ( 星新 う言っていいかわからないんですわ」松本可能性〈怪物ネッシーはいった、 一 ) Ⅱ城昌幸『のすたるじあ』 ( 牧神社・ 1 「じゃあ、だいたい大きく分類してどんなふのか、いないのか。つきつめて考えていく 。ズうに多様化してるの」筒井「つまり : : : 」〉日と、もはや科学の領域を超えて、一種の賭け 500 円 ) の解説から。 みっせ・むさし〈光瀬龍の『秘伝・宮本 『カッパまがしん』新春特大号から。 のような問題になってしまう。ただし、「れ 4 距離〈出発点は、素朴な疑問だ「た。日能性がある」という考え方が、完全に打ち砕武蔵』に描かれた武蔵像は、剣の求道者でも なく、また剣を処世の技術としてその練達に 本にはアメリカと比べて、なぜ宇宙かれるまで、科学の対象としては残されてい 空間や遠い未来を扱った小説がすくないのると思う。そして、ネッシーの正体がはっきはげむといったタイ。フでもなく、あるいは天 。カ : アメリカを今日あらしめた原動りするまで、「いる」と考えるべきではなか才的な腕をもった野人でもない。そういった 力は、自分たちこそ未来を切りひらく主人公ろうか。なぜならば、「いる」という考え方これまでの武蔵像とはま 0 たく別の角度から 光をあてているといえる。それは複雑に人り ・マであり、ほかのどの民族でもないというは、可能性を無限にとらえた姿勢だからであ たちの天真爛漫な自負ではなか 0 たろうる〉日小畠郁生『幻の古代生物の謎』 ( 産組んだ " 政治。の動きと、それにしばられた 時代の流れの中で、わずかに兵法に夢をもと か。もしそうたとすれば、歴史上一度も進歩報・ 550 円 ) から。 めながらも、それを真に生かす場所をついに の先頭に立ったことのない・ほくら日本民族に 出会い〈城さんの作品をまとめた『怪奇 見出せずに、変転している人間の一人であ は、アメリカの一つの魅力はちょっと理製造人』という本のあることを知り、それを り、歴史のひろがりの中での一点景とでもい 解できそうにないものとなる〉 ( 伊藤典夫 ) 読みたくてならなくなった。発行所の宝石社 った存在なのだ。 : ・そういった一兵法者の 『本の本』 1 月号《特集・》から。 に電話をしたが、絶版で在庫はないという。 像を、作者ははるか離れた場所から照し出そ 人類孤児説〈野田春彦「宇宙というとこしかし、あきらめきれない。しようがない。 うとしており、そこに作者の他の作品と ろは、物質も少なく、時間もたりないのです。荒井さんのところへ行って円盤の新情報でも も共通する発想が感じとれるのだ〉 ( 尾崎秀 だから、そう簡単に生物が誕生することはあ聞いて、気ばらしをするか。そして、話しな 樹 ) Ⅱ光瀬龍『秘伝・宮本武蔵・下』 ( 読売 りません」木村繁「ふつうは、地球と同じよがらふと貸本の棚をみると、そこに『怪奇製新聞社・ 900 円 ) の解説から。 うな条件があれば、地球と同じことが起こつ造人』があるではないか。その時のことは、 単行本リスト ( 肥月 ) 高斎正『ホン て生命が誕生するだろうと考えます。 : : : ときのうのことのように、あざやかに思い出せダがレースに復帰する時』 ( 徳間書店・ 65 ようがない。そのう ころが、野田先生は、そんなことはありえなる。ふしぎとしか、しし 0 円 ) 田中光二『失なわれたものの伝説』 ( 同 いと、おっしやる」山崎正一「要するに、地ち、円盤の会員のなかから同人誌を出そ・同 ) 筒井康隆編『第日本ベスト集成』 石 球の場合は非常に特殊な場合だということでうとの動きが起り、私もそれに参加し、作品 ( 同・ 7 0 0 円 ) 野田昌宏『レモン月夜の宇 すね」野田「歴史的にみて、生命の誕生といを持ちこむことになった。最初の一作を除き、宙船』 ( ( ャカワ文庫・ 330 円 ) 荒巻義幻 う、ふしぎなことが起こったという意味で、 いずれも短い作品であった。あきらかに城さ雄『空白のムー大陸』 ( 祥伝社・ 630 円 ) きわめて特殊といえます。物質的には、地球んの影響を受けている。城さんの亜流と評さ平井和正『人狼白書』 ( 同・ 630 円 ) S F て・てくたあ 日本セクンヨン 担当 . 石川喬司

10. SFマガジン 1977年3月号

うさぎに似た生物が、一団となって彼らをむかえた。 のは、ナオシひとりである。すぐさま同意した彼に、彼女は「あん ビンクいろの大型で、半円型にならんでいる。からだをゆすり、 たのそういうすなおなとこがすきよ」と抱きついてきた。彼は以前 前肢を背中にまわし、なにやらしまりのないうすらわらいをうかべ から、やめたいとおもっていたのだ。 ていた。 ビートは、ニュ 1 ワールズ、コスモ・ラインで見習いをやってし 「やあ」とビートがあいさっした。「きみたち、知的生命体を代表た。サ・フはスペ 1 ス・ポートのレストランで、じゃがいもをゆでて しているの ? 」 彼はそのうちの一匹を、けとばすまねをしてみた。うさぎもどき ピートは、家が金持ちで、働く必要のない男なのだ。わがままな はひととびし、すこしはなれたところから、やはりにやにやわらい のに陰性で、親戚の評判もわるかったのだ、と彼は自分でいってい かける。 た。家にいづらくなったからだ、とも。 「失礼よ。皇帝かもしれないのに。不敬罪で断首ってことになるわ サプは彼の辞職をきくと、なんとなく動揺して「あたしもやめち よ」 ゃうわ」ということになった。ちょっといい男がいなくなると、彼 ( 男をすきな男 ) のサ・フが、うすいろのサングラスの奥から、からはすぐに動播するのだ。 かう。彼らは室内用の作業服で、船をおりたのだ。 彼らは地球の金持ちやひま人のために、めすらしい動物をあつめ 「断種 ? 」 るという、たぶんに山師的な商売を計画した。スクラツ。フ同様の貨 いつも性的なことばかりかんがえているジ = ンコが、おもわずロ物船をビートの伯母の遺産で買いとり、「さよならをもう一度」号 をすべらせた。これでも船長なのだ。 がかんがえたもので、彼は自分のことを と名づけた。これは。ヒート ナオシはだまって、腰のホルスタ 1 のぐあいをなおしている。 皮肉屋だとおもいたがる傾向がある。そして、これは彼自身はみと めたがらないことであるが、酒乱の傾向もあるようだ。 あたらしい惑星を発見するのは、そうめずらしいことではない。 、よ彼らは地球での生活にあきあぎしていた。街をホロホロしている 地球政府はそのたびごとに、学術調査団を派遣するわけこよ、 いのだ。いくつかの企業が、月や火星やその他め・ほしい惑星二、三と、一時間に一回以上は職務質問をうけるのである。 とのあいだに、定期航路をひらいている。 好ましからぬ事実があると、〈マザー〉に登録されるのだ、とジ ュンコはいった。それは各省でつかわれているコン。ヒューターの、 ジュンコは、スターダスト・スペース・サ 1 ヴィスに勤務してい さらに中枢とでもいうものだ。健康保健証や各種運転免許証をもち た。性的不品行をそれとなく注意されて、怒り狂ってやめたのだ。 で寝ているときに彼女あるかなくてもいいようになったのは、国民ひとりひとりに統一番 ナオシはそのときの同僚で、ある朝アパート に踏みこまれ「あんたもいっしょにやめなさい」と脅迫された。彼号がつけられ、警察や病院が問いあわせればすぐにわかるしくみに 6 なったからだ。 女はっきあっていた男全員にそういったのだが、いいなりになった