ジョン - みる会図書館


検索対象: SFマガジン 1977年4月号
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1. SFマガジン 1977年4月号

ジョ / ・ト マス・トンプスンは、八歳と九カ月、裏庭に、古くねて、この木にの・ほり、背を幹にもたせ、あるいは枝の分かれ目に腰 じくれてはいるけれど、とても巨大なたわわに実のなるリンゴの木をかけた。日ごとに拡大していく混迷の自我世界からのがれて、 がはえている家に住んでいた。ジョン・トマスはしばしば逃げだしつも、八歳と九カ月の男の子にふさわしい夢を見、ものおもいにふ John Thomas ′ s Cube ジョン・トマスの立方体 ジョン・ライマート ある日ジョンは裏庭で 小さな立方体を見つけました 訳 = 谷口高夫画 = 石渡尚子 押しても引いてもたたいても それは宙に浮いていました ざク , れ・蓄い 8

2. SFマガジン 1977年4月号

た。行ってしまった」 たなどというんじゃないのか」 そういうことだった。町長は、この事態にほっと一息ついた。大この推察は、半分ばかり的を射ていたので、わかってしまったか 7 騒ぎのもととなった当の物体さえなくなれば、それのまきおこしたらには、すべてを白状したほうがよさそうだと、ジョン・トマスは 問題など、もうなんの意味もなくなってしまうにちがいない。町長考えた。 はそういう見解を発表し、いあわせる大多数の町民たちも、それに 「ほくのせいしゃない」と彼は言った。「ビリイ・ディクスンがと 同意した。こうたからこそ、彼はつねに町長に選出されるのであなりからはなしかけてくるし、手紙もまわしてきて、勉強なんかで る。 きなかったんた。今朝起きてから、学校に行かれないことにさえな やじうまたちは、平穏に散っていった。ただ、帰りの道すがら、 れば、なにも心配しなくていいんだと思った。たから、もし裏庭に 科学者と教会関係者のあいだでは、それそれの立場からの論争が繰だれにももちあげられない、ピカビカ光る小さな金属があれば、み りひろげられた。 んなが夢中になって、ぼくも学校をやすめるでしよう。そういうも ジョン・トマスは、夕飯の時間まで、この事件についてはもうなのがあるって想像して、行ってみたら本当にあったんた」 にも耳にしなかった。けれど、彼の知らないところで、両親二人の 翌朝両親は、ルーカリイ・ビルの著名な精神科医 h マニ , エル あいだで相談が交わされていたのだ。親というのはそうしたものだ クライン博士の診療所に、ジョン・トマスをつれていった。町の住 が、父親が遠回しに問題に触れた。 民の例にもれす、博士も例の事件を聞いており、それどころか昨夜 「ジョン・トマス。おまえが、もうあきたと言ったとたんに、あのは、大学の調査団員たちと議論をたたかわせまでしていた。けれど 物体が消えたとかあさんから聞いたが、それは本当なのかい」 博士は、自分の職務に忠実に、良心的な診察をすることが望みたっ 「物体つて ? 」ジョン・トマスは聞きかえした。 たから、ますトン。フスン夫妻に、事件の経過をくわしく問いただし 「わかっているたろう。裏庭に飛んできて、今朝大駁ぎした、あのた。それから、少年をていねいに診察しはしめた。ジョン・トマス 立方体のことた」 は、一時間近くにわたって、反射神経のテストを受け、とっ・せんの 八歳の男の子としてはありがちなことで、ジョン・トマスはも大音響にびつくりさせられ、積み木を組みあげ、色彩をえらび、紙 う、完全にわすれてしまっていた。「ああ、あれのこと の上の迷路を鉛筆でたどらされた。食べもののこと、学校がどれほ 「そうだ。あれのことだよ」父親が、つづけて言った。「あれが裏ど好きか、好きな遊び、覚えているかぎりの夢の内容などについ 庭にとっ・せん出てきたのには、おまえが関係あるにちがいない。最て、できるだけていねいにくわしく答えさせられた。やっとテスト 初にみつけたのがおまえだし、もうあきたと言ったとたんに消えうが終了すると、クライン博士よ、 をいかにもしかつめらしく、昨晩の せたのた。今朝、学校に行きたくないわけでもあったのかね。きの議論から得た意見を開陳したりした。 うの勉強時間にあそんでしまって、今日の授業の予習をしてなかっ ひとつのことたけをのそけば、ジョン・トマスは、同年代の正常

3. SFマガジン 1977年4月号

「ジョン・トマス。みんなの もちあげにかかったが、だめだった。 けるのたった。 九月三十日の朝七時半、ジョン・トマスはリンゴの木の下へと出おどろく顔が見たいというので、おまえが鉄の棒を埋めこんだんじ ゃないのか」 ていった。朝食を待ちさえしなかった。寝床から、ころがるように 「まさか , 息子は答えた。「そんなことはしない。本当たよ。最初 抜けたすと、着るものを着てとびだしたのた。と思うまもなく、か あさん、ちょっと見にきて、と叫びをあげた。けれど母親は、トー からこうなっていたんだ」 コンをいため、ジョンの父親にコーヒーをいれて 「シャベルで掘ってみたらどうかしら」夫人が賢明な提案を出し ストを焼き、べー と、とてもいそがしかった。はやくもどって顔をあらいなさい、ご はんにしないと学校に遅刻するわよと言うたけだった。 「そうしてみよう」トン。フスン氏はそのことばにしたがい、園芸用 の鋤をガレージからとってきて、立方体の下の地面へとななめにそ ジョン・トマスはいつも、とてもすなおな良い子なのだが、この 朝にかぎっては母親の言うことにしたがおうとはしなかった。「でれを突きさした。鋤はなんの障害物にも当たらず、やわらかく土の も、かあさん」と言うのである。「てんでおかしいんだよ。金属のなかにもぐった。 「おや」とトンプスン氏が言った。「埋めこまれているわけではな かたまりなんたけれど、とても重くてもちあがらない。おねがい、 見にきて」 そして鋤をにぎりしめると、その物体ごと土をすくおうとかかっ 「行ってやったらどうだ」ジョン・トマスの父親が言った。 たが、だめだった。つぎには、両手を鋤の柄のさきにかけてにぎり ジョン・トマスのいるリンゴの木の下へ、母親は出ていったが、 最初はなにも目にはいらなかった。けれど、息子に指さしておしえなおし、てこの力をつかってもちあけようとした。柄はかすかにた られ、なにもはえていない地面に、一インチ四方の完全な立方体がわんたが、金属のほうは、こゆるぎもしなのった。 あるのが見えた。 ンクリン編の「オムニバス・オヴ・サイエン 「きれいにみがきあげた鉄のようね」そう言うとト 「アトランティック・マンスリー」 一九四五ス・フィクション」というアンソロジイに収 ンプスン夫人は身をかがめ、それをつまみあげよう 年八月号に掲載された短篇。そんな時期に、録された。 これほどほの・ほのとユーモラスな目で人間を作者の経歴などはわからなかった。文学方 とした。しかし、おどろいたことには、それはびく みつめた作品を書いた人がいたというのは、面の大家のペンネ】ムではないかという説も ともうごこうとしなかった。「こんな奇妙なことっ て見たことない」光る表皮に指がすべると、そう言信じがたい思いがする。その後、文芸的香りあるが、どんなものだろうか。しらべたかぎ の高いであれば一般誌既発表のものの転りでは、関係の作品としてはこれひとっ っこ 0 載を辞さない八いう態度をとっていた「だけのようである。 このときまでには、トン。フスン氏みずからなにが ( 訳者 ) 」誌五一年八月号に載り、さらに翌年コ おこったのかと出てきており、やはりその立方体を 説 る 9

4. SFマガジン 1977年4月号

世界最高最大のミステリ・シリース 1. 既刊 1 1 78 点 i. 1 立卞 リチャート・スターク 悪宍ーカー / 殺人遊園地 ) ャ【 0 0- 0- ジーン・スタッフス ) ャ冖 / -0 0 わが愛しのローラ 近刊 靴に棲む老婆 。、ーヾック・スリラー 拳銃をもっビーナス い霊気 ジョン・スラデック / 風見潤訳 人間消失、空中浮遊、そして殺人ー丨ー不可能興味と論 理か見に独 ィされた注目の本格大作ー マ夜の狩人 ジョン・マイルス / 小菅正夫訳 ひとリ田个〕町ノーフルを訪れこルースに、次々と不可 解な・件か襲いかかるー 傑作サスペンス五七〇円 ロ 好評発売中 エラリイ・クイーン ン・メイヤー ギャビン・ライアル

5. SFマガジン 1977年4月号

ートレイは、立方体をもうひとっポケットからとりは、人間のつくったものさしで原理的な神秘をはかることはできな そう一一一一口うとハ だし、宙に浮いているものと、びったりと合わせた。どう見てもそいのだということをあらわすためにおくられてきたのであり、その のふたつはそっくりで、ただ、あとのがすこしばかり大きいだけだばあい、人間のものさしということばには、高等数学というような ハートレイは数歩さがり、たしかにそれがはなれないことを無形のものまでふくんでいる。 観客全員に見とどけさせたーーー吸着力がどれほどのものか、自分の もう昼を過ぎており、ジョン・トマスはとっぜん、自分が空腹だ 出した立方体のほうを、はげしくたたいてみせたほどだった。 ( ンセン立方体以外に」と彼は言った。「こんなにびったりくつつということに気がついた。とにかく、今までの議論では、ほとんど ジョン・トマスの知らないことばかりが話されている。ここですこ くものはありません、 ートレイの解答は、関係者全員に異議なく受けいれられた。そし、あそこですこしと、知っていることばだってましってはいた う書くことができるのはうれしい。けれど、問題の物体に名前をつが、それたけなのた。自分のみつけたものにみんなが興奮して興味 ートレイを寄せ、直接的にも間接的にも、それほどの注目を自分が浴びてい け、またその性質を公開実験してくれたことについてはハ は感謝されたが、ものに名前をつけたからといってそのものを所有ると思うのはいい気分たった。しかし、もうそれにはあきてしまっ たし、それより、昼食を口にしたいのだった。 したことにはならないというのが、科学者たちの考えだった。ヨハ ンセン立方体のすべてが、宙に浮かんだり、受ける力をすべてはね 母親につれられて家のなかにはいると、ビーナツ・ ( ターとゼリー ミルクを一杯入れてもらった。「裏庭のあのヘ かえしたりするわけではない。その指摘には、ハ ートレイも同意しのサンドイッチに、 よ、つこ。 んな金属に、みんながあつまってきていて、うれしい ? 」 ないわけこよ、 「いやなことだわ。今日の仕事はまだ しいえ」と母親が答えた。 こんなふうに、その金属立方体は、量質ともに完全な自然物であ「、 ることが明らかにされた。そうであるからには、一見いかにも不自なにも手をつけていないし、ああいうおしゃべりを聞いていると、 然なその性質も、合理的唯物論的な説明がつけられるはすである。頭がくらくらしてしまう。だれが正しくてだれがまちがっているの か知らないけれど、とにかく、あそこでとうさんが話題の中心から 必要なのはただ、科学的方法を忍耐づよく応用し、真実を明らかに 出ようとしないことだけはわかる。そんなこと、会社の上司の人だ していくことだけなのだ。 ってよろこびはしないでしように。あんな物体なんて、来たところ ートレイ氏がそう一一 = ロ しかし、それには教会側から異論が出た。ハ にどこにでも、もどってしまえばいいわ」 うのなら、それがヨハンセン立方体だということは受けいれるし、 「・ほくも、もうあきた それがヨ ( ンセン立方体の特性をしめすということを否定はしな「そうたね」とジョン・トマスは言った。 。けれどそれがすべてではない。基本的なところに矛盾をふくんよ」 でいることをお示しになるのが神の意志なのだ。かがやくこの物体ちょうどそのとき、みんなの叫び声が庭から聞こえた。「消え ロ 3

6. SFマガジン 1977年4月号

ポール・アンタースン 6 失われた地球の剣士 船戸牧子訳 高く、低く、笛の音は流れる死と破壊と生命の旋律をのせて、強く、弱く : 艦長ホネーリオ・ 丿スン 9 ーフフレーヤー 高橋泰邦訳 ジョン・ライマート 8 ジョン・トマスの立方体 谷口高夫訳 ▽空想科学レポート△ ラリイ・ニーウン o•-) 巨大な世界 小隅黎訳 3 ◇新連載◇私を L-L に狂わせた画描きたち エド・カーティア ( そのこ 日下実男 2 星座の歳時記連載 9 おおくま座と星雲の世界 日本こてん古血 ( 第回続・明治人の描いた「百年後の日本」横田順彌 大宇宙活劇紙芝居〔第ニ話〕可哀相宇宙の創造者④ スタジオぬえ グランドマーク 巨大宇宙船と八面宇宙の謎が明かされた時、真の闘いが開始された・ : スキャナー新人をふたり 風見潤 でてくたあ 〈日本〉石川喬司 ^ 海外〉設水研 2 世界情報・ 1 35 て れ と 野田昌宏 4 1 56 イラスト 中島靖伉 金森達 岩淵慶造 畑農照雄 猶喜八 中村銀子 佐治嘉隆 加藤直之 石度尚子 島洋義晴 0 0 表紙 A ・ソコロフ 目次カット 佐治嘉隆 目次レイアウト安藤三香子

7. SFマガジン 1977年4月号

鋤を地面から引きぬくと、立方体の下の土がゆるんで穴になっくざな新聞記者である。皮肉なわりにはそれに確信があるわけでは た。ジョン・トマスはかがんで、のそきこんだ。「見て、とうさなく、やくざかもしれないが悪事をはたらく度胸もないという類の 7 ん。地面からはなれて浮かんでいる」 人間である。社会のなかでの彼の地位を考えあわせれば、それも当 「まさか。そんなばかな」しかし父親ものぞきこみ、そしてふたた然のことではあるが、そのうえ、懐疑的な点でもひと一倍という男 び鋤をとりあげた。立方体のまわりをすこし掘りひろげると、下のだった。みちみち二度も三度も寄り道しては大急ぎでひっかけ、や っと現場にたどりついたときには、もうつかれきってしまい、アル 土もすぐに直接掘りとれるようになった。重さのことだけでもかな りおどろかされたが、こんどは、それどころではなかった。 コールのにおいをまきちらしていた。トン。フスン一家ばかりでな 隣り近所のほとんどが出てきて、彼の到着を待ちかねていた。 下側の土をどけてみると、その物体は、かるく二インチ、宙に浮く、 問題の穴は、ジョン・トマスの父親と似たような思いをいだいた いていた。こんな現象は、トンプスン一家の知るかぎりの物理法則 に反したことである。見ていると、その法則違反の物体の裏側か人々の手によって掘りひろげられており、今や直径四フィ ートにもおよぶ大きさになっていた。記者が穴をのそく ら、土くれがすこしはげ落ちた。重力の法則も、とにかくその土にさ二フィ と、金属の立方体はその中央に浮かんでいる。かぶさるようにその たいしてははたらいているのたといわんばかりだった。 「もうすこし深く掘らなければいけないのじゃないかしら」夫人が上に、リンゴの木の枝が張りだしていた。ものしり顔で、記者は言 ナ「これをみつけた坊やっていうのはどこにいる ? 」 言い、夫はとにかく理由を知ろうと、物体の下をさらに六インチばっこ。 「・ほくです」ジョン・トマスが答えた。 かり掘りさげた。なにもおこらなかった。 「大魔術ってわけだ」記者はそう言うと、帽子をぬぎ、立方体の上 トンプスン氏は今や、最後の手段に思いいたった。「さがってい なさい , 妻子に命じると、「こいつに、ものごとの法則というものをはらった。帽子は空を切った。笑いとばすつもりでやってきて狐 につままれてしまう専門家たちの、第一弾がこの新聞記者になっ をおしえてやる」。目よりも高く鋤を振りあげると、慎重にねらい をさため、渾身の力をこめて、物体めがけて打ちおろした。途方もた。 ない大音響がこだました。鋤ははねかえって宙にとび、にぎりしめ た両手からもぎとられそうなほどだった。しかし、物体は、時間と ニ = ースはまたたくまに知れわたったが、はやばやと駆けつけた 空間の内に占有すみその位置から徴動もせす、しずかに光りつづけ名士たちのなかに、町長がいた。大学の調査団の先頭にたってきた ているのだった。 のである。総長以下、物理および化学の主任教授、冶金学の大家で 五分後に、町内最大の日刊紙社会部長は、興奮するトンプスン氏ある助教授、天文学の教授、それに、理科学系のあらゆる分野にわ から事件の通報を受けたが、当然のことながらかなり懐疑的に受けたる信頼すべき助手たちまでをふくんた、大調査団たった。 とめた。けれどいちおう、記者のひとりを見に寄こした。皮肉でや「諸君」と、町長があいさっした。「じつに信じがたい状況であり

8. SFマガジン 1977年4月号

發さん。お手紙ありがとう。 たがいさまですがね ( なんのことかわからなかったせる。ロジャー ークスンという金髪の若者がい 御推察のとおり、今回のスキャナーには四苦八ら、十一月号を見てくたさい ) 。 ちばん現場に近かった。現場の六層下でゴルフをや 苦しています。前回の末尾に「次回はハ ード T'J に ジョン・ヴァーレイはいま二十八歳。年間最優秀っているところだったのである。ロジャーは。 ( ター ついて考える」と書いたのが手枷足枷。書くんじや新人に与えられるジョン・・キャンベル賞を、 を持ったまま、アンと共に現場に向かう。その車中、 なかったなあというのがホンネ。ここ数年、僕がやム・リーミ イとあらそって、おしくものがしました彼はアンをデートにさそった。事件がかたづいた ろうとしてきたのは、読者のみなさんに僕の考えが、とにかく期待の新人ですよ。 ら、いっしょにタ食をとろうと言いだしたのだ。し 方、観といったものを知ってもらおうというこ〈ギャラクシイ〉の七六年十月号にのった = B 品 a ( e ・かし、とアンは思う。事件は本当にかたづくのだろ とでした。つまり、このコラムで紹介する本を僕が lle ・・というのは、こんなお話 うか。もしかたづかなかったら、ニ・ユ ー・ドレスデ おもしろいつまらないと評価する、そのパックポー 「わたしは爆弾である。いまから四時間五分十七秒ン市はこつばみじん。そして、月に住む人々には隠 ンを知ってほしかったわけです。それがどうしたわ後に爆発する。わたしの爆発能力はトリニトロトルれる場所がないのである。 けか、僕自身の好みの原点を探るほうへと向かってエン五万英国トン分に相等する」 現場についたロジャーは一眼で、爆弾がサイボー しまいました。そして、センス・オヴ・ワンダーや場所は月の地下につくられたニュ ー・ドレスデングであることを見ぬいた。車の中枢部には、人間の ら。 ( ロデイやらミステリやらをながめてきたわ市。その地下第四十七層、レイストラッセと呼ばれ脳が入っているのた。車のまわりには線がひいてあ けで、その一環としてハ ードを考えてみようとる地区。爆弾は直径一メートル、長さ二メートルほって、そこから一歩でも中に入ったら、ただちに爆 いうことだったのですが、やれやれ、実はこの年どの横だおしになった円筒状で、四つの車輪がっ発すると、警告がある。 の間に原点みたいなものが見えてきてしまったのでき、円筒の上では四つのテレビ・カメラが九十度ずロジャーは、すぐ下の階から x 線を放射するよう すよ ( ワア、どうしよう ) 。それは、本当は原点じつをうけもって外界を走査している。道路清掃車ににと命じた。それで機構に狂いがでればめつけも ゃなく、単なる比喩にすぎないかもしれない。かり似ていたものだから、そこに来るまで誰も気づかなの。でなくても、車の構造がわかるだろうと思った に原点だとしても、ひとっしかないものだともかぎかった。その爆弾車はバガッテルという花屋兼プレのた。それと同時に、コン。ヒ、ーターを使って、爆 らないわけで、そんなアヤフヤなものをスキャナーゼント屋の前でとまると、 発を予告された時間に何か意味がないか調べさせ に書いていいものだろうかと思いなやみ、苦吟して「わたしは爆弾である。あと四時間四分三十七秒でる。やがて、この日その時間に生まれた ( ンスとい いるわけなのです。 爆発する」 う男が浮かんだ。彼はある事故が原囚で、人間は機 たいいち、今度紹介したいのはジョン・ヴァーレ報告を受けたのは、アンⅡルイーズ・ ( とい械の一部品であると信じるようになり、みずからも イという新人なのですが、実はその件でも困っていう都市警察署長 ( 名前からわかるとおり、女性、そいちばん美しい機愀ーー原爆になったのである。爆 ます。この新人、去年十一月号のスキャナーで安田れも美人なのだ ) 。彼女はすぐにコン。ヒ = ーターに弾は、自分が ( ンスであることを認めた。 均氏に油揚げをさらわれてしまったのです。ま、お命じて、体霰で月に来ている爆弾処理専門家を捜さ ロジャーはその日が彼の誕生日だと知ると、あき 0 0 % 見 2

9. SFマガジン 1977年4月号

T2 ジョン・・キャレベル北 / 矢野。徹訳 救援の望みも絶たれたまま月面に残された探検隊の苦闘 を、現代の父が迫真の筆致で描いた名作 ! \ 60 ワ カ時の牢 タイム・ アーサー・ 0 ・クラーク / 高橋泰邦訳 食科問題に悩む球攵府のとった対策は、栄養豊富な鯨 か描く海洋白眉。 Y350 増殖ごた , 海底牧場 月 ( 地・こ ポール・アンダースン / 架町・稲葉訳 多発する凶悪な時間犯罪に勇敢にたちむかうタイム・ トロール隊員の活躍 ! 時間テーマの傑作 3 3 0 一トク・ダールトン / 松谷健一一訳 ^ 宇宙英雄ローダ、・シリース⑩〉姿なき敵の世界に次 兀接触面を見つけたローダンは新装置を開発ー ◇近刊く仮題〉◇ 〈宇宙英雄ローダン・シリーズ 3 〉 ダールトン & マール 時空大脱出 ! O ・・シマック 小鬼の居留地 cz ・ < ・ハインライン 宇宙の戦士 アンドロイドは CL ・・ディック 電気羊の夢を見るか ? 大宇宙に展開する冒険とロマン 銀河辺境シリーズ < ・ CO ・チャンドラー 野Ⅲ昌宏訳 〈掣銀河辺境への道 ) ャワ」 9 : 0- 〈エル・ドラドの生賢 〈〉連絡宇宙艦発進せよー 〈惑星スパルタの反乱 〈豐奴象狩りの惑星 〈異次元のエデン 〈傷ついた栄光 遙かなる旅人 星間連絡艇《スター・クーリエ 近刊〈仮題〉

10. SFマガジン 1977年4月号

抜いたばかりだ。今すぐにでもトレーニングに入らなきゃなら ーヴェイ弁護士の事務所。 ん。全然調子が狂っちまってるんた。 声ご面会です、先生。 弁護士そうでしようとも。ところで私にお役に立てることが何 弁護士どなたた ? 声初めての方です。ジョンズさんとおっしゃいます。 ジョンズつまりこういうことだ。おれは独身だが、兄貴は結婚し ていた。おたがいに相手に保険をかけていた。おれが死ねば彼が 弁護士よろしい、お通ししなさい。 受取人で、兄貴がいかれた場合は、おれと彼の妻、つまり未亡人 ジョンズが入ってくる。 が折半で受け取ることになっていた、分るだろ ? 弁護士ええ、よく分ります。 弁護士ようこそ。どうそおかけ下さい ジョンズところが、今になって保険会社がぐずぐずいいだしたん ジョンズどうも。実はやっかいな問題を抱え込んじまったんだ が、あんたに引き受けてもらえんかと思ってね。おれの頭じゃ扱た。ごまかそうって肚なんだ。 弁護士保険金の支払いを拒否しているのですか ? いかねるし、第一そんな時間もない。 ジョンズ拒否してるってわけじゃないんだが、なんだかんだごた 弁護士ごもっとも。私がこうしてここに坐っているのも、そのた くを並べてやがるんだ。一部しか払いたがらん。 めです。お顔を拝見したことがあるような気がしますが、前にど 弁護士一部しか払いたがらない ? しかし生命保険なんでしょ こかでお会いしたことがありますか ? ジョンズたぶん、テレビでおれを見たことがあるんだろ。レーサ ジョンズだが、そういうことになるんたそうだ。 《ジョン・エンド・ジョンズ》チ弁護士それで、彼らのいいぶんは ? 弁護士なるほど、どうりでー : どうやら兄貴は完全に死んだってこ ジョンズ要領を得んのだ : ハンドル兄弟》が能書きでしたなー ーム。《命を張る兄弟ーー とにはならんらしいんだ。 どうしてそれにすぐ気がっかなかったんだろうー ジョンズもっとも、もうチームは組んじゃいないがね ( 袖の喪章弁護士完全に死んだことにはならない ? ということは、生きて いるという意味ですか ? をみせる ) 。 弁護士兄さんは亡くなったのですか ? それはお気の毒に。お悔ジョンズそんなことあるはずないだろ。仏様なんだ・せ。 弁護士葬式もたしたんですね ? み申し上げます。 ジョンズあそこじゃ、とくに葬式らしい葬式もやれなかったが、 ジョンズしかたがないさ、だが、レースはつづけなきゃならん。 やったことはたしかだ。おれが病院に入ってて動けなかったん 腕はたしかな男たったが、あの事故た。おれもまたおととい糸を 5 5