重力 - みる会図書館


検索対象: SFマガジン 1977年4月号
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1. SFマガジン 1977年4月号

) 成するさまを視覚化している ( これをふん温度調節は簡単だ。球面の熱伝導率を変られれば、この回転は、強大な磁気効果を 化させ、内部の星々からのエネルギーを好ひきおこす。これによって、太陽の核反応 ) わり多層式位相都市とよぶことにしよう ) 。 きなだけとらえて、保持しておけばいし どこまでも拡大をつづけるようにでぎてい 表面放射は大きいが、保温性はさらに大き 、る狂った文明にも似て、この毛糸玉は、い ~ ずれ他の恒星にまで、とどくことたろう。 いのだ。工業用の動力は、殻の内側の受光 装置から得られる。 太陽に近い内側の層から供給されるエネル ギーを用いて恒星間をつなぐチュー・フ都市この果てしなく大気のひろがる宇宙の中 、は、やがて銀河系全域にひろがっていく。 で、われわれは、桁はずれに大きな、リン ズ・ト玉ぞリス エーガグロ 、そうなったときのふんわり多層式位相都市グワールドなみかそれ以上の建造物を構築 は、あらゆる恒星を毛髪の中へくるみこんすることができる。重力を得るため、それ ′でしまったように見えることであろう。 を回転させることもできよう。核恒星系の 引力にひかれて、球の表面に接触するま メガ球面 で、その建造物は、いかなる既知の文明の 寿命の、何倍ものあいだ、浮かんでいるこ 3 ( 少なくとも数学的には、銀河系の中心部とだろう。 を中にすえた、非常に大きなダイソン球を メガスフィア上での生活は、楽しく、詩 ・建造することも可能である。その資材をま的なものであろう。宇宙にかかる平坦な大 チャリオット ) かなうには、おそらく惑星をあつめるだけ地から、実際に、白鳥の引く二輪馬車にの ) では足りないだろう。銀河系の肢状部にあ 0 て、近くの月へおもむき、そこで月の住 ′る恒星をいくつも解体しなければなるま人を見つけるといったチャンスもありそう 。しかし、そういうものが必要になって だ。空気のはいった壜をもち歩くことも、 ) くる頃には、それも可能なはずだ。 ナンセンスではなくなるだろう。 この場合、生命圏は、球の外側におく。 表面重力はごく小さいが、大気の密度傾斜最終段階は、ふたつの相反する生活様式 も無限小だ。ここでまた、人間が無重力に マクロ・ライフによる旅行型と、母星 適応できるものと仮定しよう。われわれを改造するほうをえらぶ定着型とーーーの結 、は、自由落下の状態で、直径数千万光年の合である。 リングワールドは、秒速七百七十マイル ( 球体の表面、そして数十光年の上空まで稀 薄にならない大気の中に住むのである。 で自転している。適当な電磁誘導面が与え スフィア レ J を た マ道 物径球 造地 プ プ 転 回 4

2. SFマガジン 1977年4月号

と大きな建造物のことを語るわけだが、そを張るのである。あるいは船の中心に、肉の燃料として燃やすのである。この場合、 れらの設計は、より大きな規模で同じこと眼では見えないほど小さいが、質量は、そ旅程はぐっと短縮されるため、多世代宇宙 をくりかえすにすぎない。それが、地球そう、フォポスくらいもある量子・フラックホ船は不要となる。いちばん近い恒星まで四 ~ れ自体と同じくらい あるいはそれ以上 ールをすえて、そのまわりを建造物でとり年、銀河系の中心部まで二十一年、アンド ロメダ星雲まで二十八年ーーどれも、加速 の、安全性と、多様性と、喜びをもっ かこむ。しかしこれでは、どこかへいこう 〉た生活の場所を与えてくれるのである。 とすると、燃料消費量がおそろしくはねあ一とした場合の計算である。 ただし、このパサード・ラムジェット がってしまう。 重力 第三の方法は、重力波の発生だ。われわも、実現はむずかしい。まあ、重力発生 れの能力では、永久に手がとどかないで終と、双璧をなすものだろう。恒星間気体 が、こんなあやしげな制御にかかるほど充 、重力は、われわれの生活様式の基盤であわるかもしれない。しかし、人びとはやは たぶん無 り永久にそれをつくりたそうと努力しつづ分イオン化しているだろうか ? 一る。生命自体にとって、それが必要か否か にはかかわらず、われわれは、・ とんな建造けるだろう。できたとすれ、は、それは、と理だろう。しかし、やってみる価値はある ~ 物にも、できることなら重力を与えたいとてつもなく役に立つからた。百万で宇宙はすだ。 ともあれ、他の世界をめざすわれわれの ′思うだろう。 船を発進させながら、乗客はひとりとして 宇宙船内に重力を発生させる方法を、わその加速を感じないようにすることもでき第一歩は、『大宇宙』の船ーー巨大で、重 ( たしは四つしか知らない。 る。太陽表面に研究所をおくこともできる力を生するために回転し、数百の人口を擁 、その中でも、遠心力は、いちばんうまくし、木星へ植民することもできる。何でもし、数世代にわたって航行する・・ーーそうい うものである。 いきそうだ。ひとつだけ欠陥がある。コリ 可能になるのである。 ) オリの効果のせいで、われわれは、歩きか 四番目は、途中ずっと加速をつづけ、中 飛行都市 ( た、すわりかた、コーヒーのつぎかた、ポ 間地点で向きをかえて、あとの行程をずつ ールの投げかたなどを、一から学びなおさと減速しつづけるという方法である。これ ジェイムズ・・フリッシュは、その〈宇宙 ~ なければなるまい。しかしこの効果は、回はたいへんうまくいく。恒星間の距離をカ ーズで、重力発生の一変種を利 ) 転半径が長いほど、つまり建造物が大きく ーするには、無限の燃料供給を要するが都市〉シリ ド・ラムジ用した。 なるほど、減少する。リング形の宇宙都市 ありがたいことに、 モーターは、固 でなら、誰も気がっかないくらいのものだ ェットを使えば、それも可能なのだ。・ハサ彼の″スビンディジー ( ろう。 ード・ラムジェットは、電磁場によって、有の重力と推進力を発生させるのに、未知 〉第二の方法は、ほんものの質量を使うこ船の進路にある恒星間水素をすくいあつめの物理法則 ( 現在も未発見の ) を利用した とた。例えば、一立方フ ィートあたり五京 場の直径は一千マイルかそれ以上に達ものたった。ス。ヒンディジー効果は、大質 トンの密度をもっニ、ートロニウムで、床するーーそしてそれを圧縮し、核融合推進量のほうが効率よく働くため、その″船″ 4

3. SFマガジン 1977年4月号

星を蔽うほどの嵐をまきおこすから、修理・は、あと二枚のパイ皿に変わり、この三枚いだが生活圏となるのである。 もむすかしいことになろう。 これも面白いだろう。われわれは無重力 を正三角形にワイアでつないだ上でロケッ ト噴射を切り、他の惑星からも徹収をつづの中で、何でも好きなものを建造できるの だが、リングワールドの概念には、柔軟けながら、リングワールドの建造に着手すだ。建物は蝶の羽根のようもろくてもかま 《性がある。考えてみたまえ。 わない。ほうっておけば、それは太陽の微 るという寸法だ。 弱な引力で、内側の殻のほうへただよって ( 1 ) 一個の太陽をめぐるリングワールド いくが、太めの糸一本で、充分っなぎとめ は、ひとつにかぎらない。わずかに直径が ダイソン球、そのⅡ ておけるだろう。ただひとつ、問題があ 一ちが「て同一平面上にないたくさんのリン 、グワールド , ーー・あるいは半径が大幅にこと 前のところで、重力発生機の開発はむずる。人間は、長期間の無重力に耐えられる 。こプつ、つ . 、刀 ? ・ なり、まるで異質の種族が住んでいるさまかしいことを指摘しておいた。結局、つく ざまなリングワールド を、想像してほれないで終わるかもしれない。だが、ダイ ちょっとひと休み ソン球に重力発生機は、本当に必要なもの だろうか ? 他にも少なくともふたつの解 〈 ( 2 ) 太陽をゆすることで、季節がつくり 目まいを起こしていませんか ? 頭のな 、だせる。実際には、リングのほうがゆれる決策がある。 〉わけで、太陽はじっとしている。 ( これ ダイソン球を自転させてもよい。そうしかで、これらの建造物を把握することはむ は、一個の太陽にリングひとつの場合にしても、計画どおり、太陽の全エネルギーをずかしい。それこそ、あまりにもスケール が大きすぎるからだ。こういったものの建 か使えない ) うけとめることはできる。だが、大気は、 ( 3 ) 星系内の全惑星が、ぎりぎりの限界赤道の周辺にあつまり、あとの部分は真空造には、まだ誰も、手をつけることさえで まで植民されて、ついにリングワールド・、 になってしまう。全体を、映画フィルムのきす、実際には誰でも、数式上でとり扱え つくられるときには ( ねえきみ、そんなひ罐のようなかたちに、つくりなおしたほうるだけだといったら、少しは気が休まるか ′どい状態になるまでは、リングワールドな が、うまくいくかもしれない。 これだと構もしれない。球穀内の重力がゼロだという ことなら、大学の一年生でも証明できる。 〈んて要らないんだよ ! ) 臨時の建造物が必造的に強度も大きくなる。つまるところ、 応力の計算も容易だ ( その結果は通常、わ 、要になる。惑星くらいの大きさのパイ皿形これは、密閉されたリングワールドだ。 〉で、下面にロケット推進機を、凹みの中に あるいは、重力が得られないという事実れわれが手にできるいかなる物質も耐えら リング 生活圏をそなえた建造物が、惑星が解体さをうけいれて生活する手もあろう。哲学博れないほど大きくなってしまう ) 。 れるあいだ、その惑星の住民を収容する。 ワールドの構造計算は、端のない吊り橋と 士のダン・アルダーソンの提案たが、ふた 同じである。 、それは太陽のまわりを秒速七百七十マイル つの同心球殻をつくれば、ことは足りる。 、で、軌道維持のため外向きに噴射をつづけ内側の殻は透明、外側のは透明でも不透明 よろしい。それでは、話のつづきにかか導 ながら公転する。住民のいなくなった惑星でも好きなとおりでいい 。ふたつの殻のあるとしよう。

4. SFマガジン 1977年4月号

ればならないものである。空気、水、土、 マクロ・ライフ ′第一段階巨大な太陽光線反射鏡を建造すそれに各種の生物などた。これで閉鎖した る。重力ゼロの状態でつくるとすれば、 生態環境をつくりあげることも可能だろ ここでちょっと、 ハインライン『大宇 エコー衛星のような気球に何かを吹きつう。コールとコックスは、太陽鏡をその一 一けて硬化させ、ふたつに切 0 て内面を銀端にとり 0 け、太陽光線を軸方向にそ 0 宙』の船に話をもどそう。なぜわれわれ は、これをどこかへ着陸させようというの 色に塗ればよい。蝶の羽根のようにもろて、前後に反射させることを提案してい いが膨大なひろがりが得られる。 る。核融合動力が、もし完成していれば、 もし『大宇宙』の船が、目的の恒星に達 、第二段階小惑星を一箇えらぶ。理想をい あるいはそれを使うほうがいいかもしれな するまで存続できるなら、その存続期間は えば、直径一マイル長さ二マイルくらい の、細長いニッケルー鉄の一塊がよい。 当然、重力を得るために、全体を回転さおそらく無限であろう。船内に住んでいる ′第三段階長軸にそって孔をあける。 世代めの社会についても、同じことがい せる。 第四段階その孔に水タンクをつめる。両 このような内外あべこべの世界に住むえる。なぜ、彼らの子孫が、地球に類似の 端に栓をし、太陽鏡を使って熔接する。 と、いろいろ奇妙なことが起こる。全世界原始的な世界で、一生を送らなければなら ) 第五段階この小惑星を、軸のまわりにゆの風景が、頭上にかかっている。空にあるないのか ? もっとましな生きかたがある つくりと回転させる。そうしながら、全のは、農場、家屋、等々。星を見に宇宙へというのに。 ではいっそ、『大宇宙』の船を、彼らの 体に、太陽鏡で収集した光線をあてる。 出たいと思えば、地階のほうへおりていか 宇宙としてしまおう。彼らは新しい星系の 、徐々にこの浮かぶ山のような鉄塊は熱せなければならない。 られ、表面全体が熔けはじめる。ついで重力と天候は、どのようにでも選ぶこと小惑星から資源を採集し、必要ならそれで その熱は、内側へも浸透し、ついにこのができる。天候は、とくに簡単た。小惑星船を大きくし、また新たに船をつくること ′物体全体が熔融する。 の赤道部にそってふくらみをもたせ、そこもできる。人口制限法もゆるめられよう。 宇宙 ~ 第六段階最後に、軸部が熔解点に達すに環形の中央湖をつくる。両極の部分を太気が向いたら、星をかえるのもいい。 ) る。この時点で、水タンクが爆発する。陽からさえぎれば、そこではいつも雨が降空間そのものヘ植民し、惑星を単なる中継 もしあらゆる作業が正しく行なわれてい 重力ステーションにしてしまうのだ。 り、水は中央湖へ流れこんでいく。 大宇宙に目を向けようー ~ れば、その爆圧で、小惑星は、直径約十を、ある程度以上小さく押さえておけば、 この概念は、″マクロ。ライフ″とよば マイル、高さ約二十マイルの鉄の風船と適当な翼をつけて腕の筋力で飛行すること なる。 もできるし、軸へ近づくほど飛びやすくなれる。マクロ・ライフは、巨大で、動力を る。 ( もちろんあまり近づきすぎると、鑞備え、拡張ないし再生産の能力をもった自 ~ これで中空世界は、もう居住者を迎えるがとけて、翼はばらばらにな 0 てしまう足的環境である。前にのべた内外あべこべ の小惑星殻に推進装置をつければ、それは 【ばかりだ。ほかにも二、三、運びこまなけが : : : )

5. SFマガジン 1977年4月号

問題のこの物体は、はじめひじような速度で宇宙空間を自由落下 ます。トンプスンの裏庭に、この金属物体があらわれたわけです が、これが、いつ、どこからやってきたものか説明できる者は一人していたが、地球の引力圏にはいると、引きつけられて方向を変え た。そして地球をとりまく大気圏を通過するさいに、摩擦のためひ もおりません。物体はここにとどまり、宙に浮いています。いった いこれはどこから来たのか。なぜ落ちてしまわないのか。ほかにもじような高温に熱せられ、その結果として内部の分子運動がゆがめ られて、重力を中和する力を内部構造中につくりあけてしまったの 似たようなものはあるのか。いっ消えさるのか」 「よろしければ、町長さん、質問はひとつずつにしていたたけませです。 んか」大学総長が言った。「まず、知られているかぎりの事実をあ結果は御覧のとおり。現在、この物体は、完全な平衡状態にあっ つめ、それから秩序たった調査をはじめるということにしたい。さて静止している。遠心力と内部の反重力とが、重力に対してまった て、トンプスンさん、この立方体について、知っているかぎりのこく均衡しているのです。わたしの主張を証明するには、この物体を ちょっともちあげてみればよい。それを刺激にして完全な均衡を打 とをおはなしいただけますか」 そこで、ジョン・トマスの父親は、今朝がたのできごとを独演でちゃぶりさえすれば、これは、やってきた宇宙のかなたへと飛びか ものがたったが、とちゅう鋤で物体に打ちかかったくだりだけは省えります。だが、そのまえに、わたしの説になにか疑問のあるかた はおられますか」 略した。命ももたぬ物体に、我をわすれていかりくるったなどと いならぶ多数の科学者たちは、ロをひらこうとしなかった。た は、人に知られたいことでなかったからである。 、、、、ノョン・トマスが一一一口った。 トン。フスン氏の話が終わると、大学総長があとをひきとった。 「飛んでいったりはしないと思うよ」 「ひとつの仮説を立ててみましたが、眼前の奇妙な謎の説明が、こ れによってすべてつくと思います。天文学関係の同僚が証言してく「おやおや、だが坊や、なぜそんなふうに思うのかね」 れるでしようが、昨晩流星雨が降りました。そのとき、この物体「たって、とうさんが鋤でなぐりつけたとき、びくともうごかなか ったもの」 は、はるか宇宙のかなたから、現在あるこの場所に、このとおりの かたちで飛んできたというわけです。 総長は、人の上に立つ人だったから、まるでなんの異議も出なか 落下もしなければ飛びさりもしないのはな・せか。御承知のとおったかのように態度を急変させた。「なるほど、と彼は言った。「こ 、地球上のすべての物体には、二つの力がはたらいています。反の子の言うことで、わたしの主張がたしかに裏づけられます。未知 対の向きに、ことなった大きさのカです。ひとつは、地球の自転かの現象を研究するばあい、確固とした事実の集積を抜きにして類推 らくる遠心力で、これはものをほうりあげようとする。もうひとつをはじめてしまうのは、たとえそれがどれほど合理的に見えようと の、大きなほうの力が重力で、こちらは地球の中心にむかって、すも、意味のないことです。物理学、化学の同僚諸氏におまかせしま刀 しよう。科学的な観点から徹底的に観察してもらい、それから、協 べてのものを引きつけています。

6. SFマガジン 1977年4月号

内部の余裕だけは必要だ。結局は、太陽のらえなければならない。重力発生機はどうを高めることだけだ。例えば、材質を泡状 輻射を、すっかりとじこめてしまうことにしても必要だ。一様な球殻内部では、重力にしてもいい。 あまり熱の保ちがよすぎる なる。外部の、他の恒星からみると、このはゼロである。そこへ、正味の太陽引力が ようなら、外側に放熱用のひれをつければ ようになった星系は、遠赤外域で膨大なエ働くから、あらゆるものが徐々に、上へ向よい ダイソン球内での生活が、必すしも楽し ネルギーを放射している巨大な球体とうつかって引きよせられていくことになる。 いものではないことは、特記しておきた ることたろう。 ではどうするか。球殻全面にわたって、 。星が見られないのた。そこはつねに真 何人かの作家がダイソン球と呼んで重力発生機をばらまき、空気や住民や建物 きたのは、これとは別のものだ。それは恒を、下へ引きつけておくのた。ここで″下″昼なのである。坑道や地下室を掘ることも できない。さらに、もし重力発生機のひと 星を中心においた。ヒンポン玉のような、中というのは、外側、星々の方向を指す。 地域ごとの気温は、殻の熱保持特性を変っが故障でもしたら、それによってひきお 空の球穀である。少なくとも数字の上で えることで、自由に調整できる。実際のとこされる大災害は、地球の最後も顔色ない は、太陽系内の物質を残らす使えば、この ほどのものとなるであろう。 ような穀をつくることが可能である。木星ころ、もっと広い面積を得るため、もしく は、つねに中央にかかっている太陽がもう しかしそれでも、ダイソン球が必要な事 ) の質量は、二掛ける十の三十乗グラムで、 〈太陽を除いた全太陽系の質量の大部分を占少し小さく見えるように、殻はも「と大き態になり、その建設が可能にな 0 たとした くしたほうがいいのかもしれない。そうしら、おそらくわれわれは建設にかかるにち ( めている。大規模な元素変換が可能なら、 、刀 . しュ / し この木星を、半径九千三百万マイル、厚さたところで、必要になるのは、殻の絶縁性 ートの球殻に変えること 十ないし二十フィ さて、ダイソンの仮定 ( 人口の増加、エ ができる。もし元素変換ができなくても、 む ネルギー需要の増大 ) は、人類のと否とを 、もっと薄い殻ならっくることができる。無 みとわす、あらゆる工業社会に適用できる。 用の気体は捨ててしまうとしても、太陽系 内には、少なくとも地球質量の十倍をこえ っ天文学者が住民のいる星系をさがす場合、 ' 洋 , をもし観測の対象を見える星たけにかぎ「た る構築材料があるのた。 太とすれば、大きな見落しをしていることに ダイソン球の内側の表面積は、地球のそ なる。銀河系内でももっとも進んだ文明の れの約十億倍である。に出てくる銀河 文明の中にも、十億の世界を含むほどのも。、のノお、 ( 」ン大部分は、地球軌道ほどの大きさの球殻 ソ が、太陽型恒星と同じくらいの〒ネルギー のはほとんどない。あなたが不死でさえあ を、ただし遠赤外域ーー波長十ミクロンか れば、これほど大きな土地を、手のとどく そこらーーーで放射している、そういうもの 5 ほど近くに持っことができるわけである。 かもしれない : 、当然その内側の表面には、生活圏をしつ

7. SFマガジン 1977年4月号

い。が、アメリカのスカイラ・フでは、誰も着想はこうだ。現在の物理学で到達でき る恒星間宇宙船の速度には限界がある。は 0 死ななかった。 だが惜しいことに、これらには、欠けてるか遠くの恒星へ送りこまれる宇宙船は、 いるものがある。重力、永久性などだ。わ少なくともはじめのうちは、片道旅行であ れわれが手にいれたいのは、この地球よりろう。その宇宙船は、完璧な生態圏環境を もすぐれた居住環境である。上に住むにしそなえていなければならない。充分な食糧 ろ、中に住むにしろ、より安全で、より動や酸素を、タンクにつめていくわけにはい ぎやすく、より広いものだ。でなければ、 かないからだ。また、その旅行を終えるに 誰が移住などするだろうか ? は、何世代もかかるから、乗りこむ人びと どんな惑星よりも大きな建造物は、ちゃんと自活できるひとつの社会を形 について、いかに多くの空想が展成していなければならない。 開できるかは、現在のわれわれ当然ながら、ここで語られるのは、おそ が、まだそのどれも、建造に着手ろしく大きな船である。遺伝子の偏向をふ すらできない事実を考えあわせてせぐためには、少なくとも数百の人口を擁 イ / 区みると、まことに奇妙なことに感している必要があるからた。重力の代わり じられる。その空想のひとつであは、遠心力がっとめる。この方法には、こ 居 るダイソン球ーーー太陽をとりかれからも大いにお世話になろう。船を、軸 ムト こむ球殻ーーーも、大きさの基準でのまわりに回転させ、重力を必要とするも リエは、中程度のものにしかすぎなのはぜんぶ、船殻にそった外縁部におくの である。菜園、体育室、等々だ。燃料や、 素融 が、まず小さいものから手をつ誘導装置類など、重力を必要としないもの 水 けることにしよう。 は、軸にそってならべる。もし、船のエン ジンが、その同じ軸にそって推力を加える 単にあなたが、一生をひとつの惑星の上 ようになっている場合は、それらの機構の 多世代宇宙船 ′ですごしてきたからという理由で、誰もが 多くには、基礎を設ける必要がある。船が ~ そうするとはかぎらない。惑星に替わりう ハインラインの初期の作品加速中は、船尾側の隔璧が床となるからで ) るものは、すでにある。アポロ宇宙船は、 、すばらしい記録を残した。宇宙空間での死『大宇宙』は、この問題を扱う作家の大部ある。 者はゼロだったのだ。ソビエトの宇宙ステ分が、これまで何度となくお手本にしてき『大宇宙』に描かれた船は、宇宙での生活 たものである。 を論じるための基本例だ。これから、一もっ 1 ションでは、死者が出ているかもしれな 標準型 ラム収集装置 構 星 こ營なイ . 第妥

8. SFマガジン 1977年4月号

カ 重は無視することにしよう。注目して 大宇宙マカロニ いたたきたいのは、この円盤の両面 平円盤 直 垂ともに居住が可能たということであ る。 。、ツト・ガンケレよ、リング . ワー . ルド , こ 〈ダインン球より大きな、 面 このままだと、太陽はつねに地平類似の建造物を設計した。長さ六億マイル 、ものがあるだろうか ? そう、直 線に半分かかっているので、これをで、太さはそれほどでもない 〉アルダーソン式一一重ダイ 上下に動かすようにしよう。 ( この径一マイルかそこらの、中空のマカロニを ′ソン球の設計者ダン・ア ルダーソンは、ここで ン場合は、動くのは太陽のほうだ ) こ一本、頭に浮かべてほしい。それを、太陽 ディスプ . ソれでこの世界は、つねに明けがたかを中心に、ぐるりと輪にしてつなぐ。 アルダーソン円盤をご披 一夕暮れか夜ということになる。 パットは、これを位相都市とよんでい 、露する。その形式は録音 ダ この平円盤世界は、ゴシックものる。彼の指摘によると、この物体は、図の レ ~ 盤と同しで、中心の小孔 や剣と魔法小説に、すばらしい舞台ようにーー遠心力で重力を得るためーー・自 の中に太陽が位置してい ア を提供してくれるたろう。大気は正転させることができる。ひずみ効果の起こ ~ る。半径は火星から木星 常たし、ほんものの怪物もいる。考る心配はない。長さ六億マイル、直径一マ 、の軌道くらい。厚み・は、 えてみたまえ。われわれが住めるのイルでは、チューブの曲率など無視できる は、円盤上の「太陽から適当な距離のた。この内側の面に生活圏を設置し、中 ′重力は、・ とこでも表面 にある一部分たけなのた。もっと暑心軸にそって太陽光チューブをのばし、 - に垂直た ( ふたたび初歩 い地域や寒い地域に住む異星人と、面にその動力源として光電池をおけばい の物理 ) が、辺縁、部で 、は、ごっよ、 円盤を共有するわけだから、建造ののである。ここまでのところ、この世界 。しかない。技 リング 。水星人は、惑星よりもいくらか大きいが、 費用も割り勘にすればいし ) 師たちの悩みの種は、こ や金星人は太陽に近いほう、火星人ワールドにくらべるとまた小さい。 の辺縁効果である。そこ だが、ひとつの輪たけで満足してしまっ は外縁のほう、他の星系からきた異 ~ で、内側の孔のまわり この輪は、たがいに 星人たちも、それそれ自分に合ったてはいけないのだ 1 高さ千マイルの壁を 〉つく「て、大気が太陽の 場所で生活する。数万年もたつうち接触しないかぎり、ぐるぐると、何巻きで には、変異と適応が生して、人口稀薄も、太陽のまわりを巻いていくことができ ( ほうへ流れていくのを防 るのである 。。、ツトは、果てしなく連続す 一ムな辺境にも移り住むものが出るだうう。 ( ぐことにしよう。久「側の縁に 回ここで、文明が崩壊すると、話はいくらでる回転チュー・フの輪が、恒星を中心とし は、べつに何の問題もない。 いて、くつつきあったおそろし【い量のスパゲ、 こいつの質量は、たいへんなものだ。太もおそましく興味ふかいものにな 9 て ッティのように、大まかに中空の、球体を形 陽よりも、はるかに重い。構造強度の間題 ディスグ 8 4

9. SFマガジン 1977年4月号

( は大きくならざるをえない。物語がおもに棄するのは容易である。切り放し 描いているのは、ニューヨークの中心部にさえすれば、それは宇宙へ落ちて いってしまう。 あたるマノ 、ハッタン島で、それが現在の場 所から根こそぎもちあげられ、そのまま星 ( 6 ) 使用されるのは、低推力、 星へと向かうのである。物語のうちの二篇高効率の推進法、おそらくは、イ - には、スビディジーを装備した惑星そのオ・ケ ' トだろう。都市の中 = 一 心軸上には、何もおく必要はな ものが登場する。こういうものの着陸は、 い。コース修正などのためには、 へ飛行都市よりもずっとむずかしいだろう。 小型艇で軸線の位置までいって観一 しかし、じつのところ、飛行都市の建設測すればすむ。あるいは、細いひ ′には、ス。ヒンディジーも重力発生も要らな ものような塔の先端に、ブリッジ をおいてもよい。円周が十マイル ~ いのだ。 , インラインの『大宇宙』だから、ブリッジを軸の位置にお 実際それは、、 市 くには、高さ一マイル半の塔が必 の船と似たような形態をとる必然性すらな 行 い。必要なのは、外殻だけなのだ。この船要だ。が、構造上の応力は、軸に 近づくにつれて、なくなってしまう。 を現実化する方法は、つぎのとおり。 リング・シティ この環状都市の住み心越はどうだろう ? ( 1 ) ロサンゼルスの一廓から、例えば長 ならない。 さ十マイル、幅一マイルを切りとる。 ・フリッジ以外は、どこでも重力一だ。・フた このことは、この小論全体 ( 2 ) それを輪にし、建物や街路が内側にリッジを拡張して、学校にするのがいいから一を通じていえることである。環境の制 向くようにする。 もしれない。物理を教えるのは、無重力状 御が完全になればなるほど、管理の手 っ ぬかりは危険を招く。 ( 3 ) ガラス、あるいはもっと強靱なもの態のほうが、やりやすいだろう。 その他の点では、多世代宇宙船と、まっ で、屋根をつくる。 内 たく同じである。ハインラインが描いたよ 内側と外側 ( 4 ) それを宇宙へはこぶ。 ( 実際には、 うに、住民が使命を忘れてしまうなどとい ( それと同じものを宇宙で建造することにな うことは、ありそうにない。市内のどこへ次に大きく一歩ふみだして、中空小惑星 ろう ) エンジン、空気や水の再 いっても空がみえる。それに、動きのないの話にうつろう。以下の設計は、ダンドリ ( 5 ) ロケット・ ッジ・・コールとドナルド・ ・コック 、循環システム、それに貯蔵庫などを、地恒星は、太陽と、目標の星だけである。 住みかたは、地球上と同じことだが、たスの共著に成る科学的思考の書『宇宙の 一階、すなわち路面よりも外側に装備する。 燃料タンクもだ。からになったタンクを投た環境問題には、特に注意を払わなければ島々』から得たものである。 イオンロケット・ モーター 司令塔 4

10. SFマガジン 1977年4月号

かたまりが、寸前、方向をかえた。コクピッ んだ ! あれは・ ト・ウインドウの半分が白熱して輝き、強烈 ドルフが絶句した な振動がダイダロスを襲った。麗香が悲鳴を 「重力兵器の一種です大丈夫、わたしに任 あげる せておきなさい」 問一髪のところで光線はそれ、ダイダロス マッケンが明減反応しているコンソールに とりつけられた新装置をみながらいった。どの後方に消え去っていった。ダイダロスを揺 うやら、マッケンとシンタニは、あの巨大宇すった激しい振動は、光線がわすかにかすっ 宙船から攻撃のあることを予想して万全の処たためにおきたのである 「やられたかと、思ったぜ」 置をしておいたようである 蟒ハンジローが冷や汗をぬぐった マッケンの手がすはやくコンソールの上を ーと、ダ「改造は完璧です安心して下さい」 走った。新装置を操作したのだ ダイダロスは巨大宇宙船にむかった イダロスにむかって一直線に進んできた光の 0 ノイ多・