いる。もう一冊の方は凄いの一語につき ・。ハワーズだが、ルイスの方はもう少し明 2 ・自叙伝プーム到来か 2 る。アイザック・アシモフ著書二百冊を記 るい色調が多かった。 アメリカの界はその発展ぶりを反映念して刊行される「思い起こすままに」 ・日本の英訳進む ごだ。ダブルデイから出さ して、最近は / ン・フィクションの出版も "AsI Recall 盛んとなってきた。中でも特に目だってきれるこの自叙伝の予定語数はなんと六四万最近は日本のもいろいろな国へ訳さ たのが著名作家の自叙伝である。この皮切語 ( 約四五〇〇枚 ) 、出版社の方でも何冊れているが、今回小松左京氏のショート・ りとなったのは一九七六年にプライアン・ になるかわからず、とりあえす今年二月に ショート「兇暴なロ」が "The Savage オールディスとハリイ・ノ 、リスンの共編でその第一巻が出された。 Mouth" としてリー ・ハーディング編集 おそらく、今後このアシモフ版を量でしのオーストラリアのアンソロジイ「楽園の 出された「地獄の地図製作者たち」 "Hell ・ s Cartographers こ。 完全な自叙伝とは言い のぐものは出ないだろうが、自叙伝は他に部屋」 "Rooms of Paradise" に収録さ ト・ンルヴ . アー。、 難い・か、ロく ーグ、アも企画されているときく。注目したいとこれた。このアンソロジイは地元オーストラ ルフレッド・ベスター、デーモン・ナイろだ。 リアの作家六篇、他の海外作家六篇という ハリイ・ハリスン、プライアン・オー オリジナル・アンソロジイ。カラフルな表 ・エドマンド・クリスピン逝く ルディス、フレデリック・ポールと現代 紙にプライアン・オールディス、・ << ・ を代表する六人の作家が、自らとの著名なミステリ作家であったエドマンド ラフアティらと並んで Sakyo Komatsu ート・。フルース・ 人生における関わり方を述べて刊行される ・クリスビン ( 本名口く の活字が一きわ目を引く。 と同時に大きな話題を呼んだ。次いで翌七モントゴメリイ ) が昨年暮五十七歳で亡くそういえば、この欄での紹介が少し遅れ 七年には、デーモン・ナイトがの揺籃なっている。 てしまったが、すでに星新一氏の名作「お 期に結成され、・ポールや—・アシモフ彼はの分野では、イギリスで最初に でてこい」が昨年の & ()n 誌十一 ら著名プロを何人も誕生させた″フューチ有名なアンソロジイ・シリーズを編んだこ月号に "He-y, Come On Ou ・ t 三とし ュリアン協会″にからませた自叙伝「フュとで知られる。事実、一九五五年に出たて英訳されている。星氏の & 誌掲載 ーチュリアン」 "The Futurians" を刊「ベスト」は好評で、その後六六年まは「ポッコちゃん」以来これで二度目。左 行。これもファンダム史の貴重な一ページでに計六冊が刊行され、これは後のキングの写真の & 誌を見かけられたらお買 として高い評価を受けている。 ( 安田均 ) ズリイ・エイミスによるアンソロジー「スい逃しなく。 この二冊は自叙伝といっても他の要素をベクトラム」シリーズに大きな影響を与え いく分か含んでいるのだが、昨年から今年た。 にかけて今度は正真正銘の自叙伝が二冊出他に恐怖小説とジュヴナイル関係のアン た。一冊はフレデリック・ポールの「未来ソロジイが若干ある。 となった道ーーー一つのメモワール」 "The また、イギリスでは他に六〇年代初期に ゞ the Future Was—A Memoir ・ワールズ」誌や「サイエンス・ で、十代からこの世界で編集・作家・エー ファンタジイ」誌の表紙を華麗な抽象画で ジェント業とあらゆる方面に携ってきた彼飾ったプライアン・ルイスも亡くなってい の一九七〇年までを詳述したもの。特に出る。アメリカのイラストレーターで似 版界の記述に貴重なものがあると評されてた感じの人を探すならさしずめリチャード 世界 S F 情報 朝 00 下け o
す現代テロリズムの系譜と実態 ン ョ ク ン ワ カ ャ 伝記シリーズ / 好評発売中 ン / 杉辺利英訳予一〇〇〇 . 国際刑事警察機構が必死に 現在も第一線で活躍中の作家グレ アム・グリーンの最新作、未訳作 ~ 行方を追う最も危険な男、 品、選集未収録作品を加え、装い カルロスーーー現代の典型的 を新たに贈る全巻の個人全集ー・は 7 なテロ・グループを軸に国 際テロ組織の動向を探るー ^ 第ニ次世界大戦の陰の主役〉 暗号名イントレピッド ウィリアム・スティーヴンスンニ三〇〇 ^ ビルマ奪回作戦〉 ウインゲート空挺団 デリク・タラク一六〇〇 〈ルードルフ・ヘス〉 ヒトラーの代理人 1 内なる私瀬尾裕訳 ヴルフ・シュヴァルツヴェラ—> 一ニ〇〇 2 スタンプール特急北村太郎訳 追及叮〈ルチン・ポ ~ ンとナチの逃亡者〉 こは戦場だ丸谷才一訳 ラティスラス・ファラゴ各一三〇〇 4 英国が私をつくった野崎孝訳 〈ヘルマン・ゲーリング伝〉 第三帝国の演出者 ( 上・下 ) 5 拳銃売ります加島祥造訳 レナー ド・モズレー各一ニ〇〇 6 フ一フィトン・ロック丸谷才一訳 グリーン全集 ←毋月一点配本 ( 四六判上製本 ) ・全巻
しては送料・保険料として不足分 ( 前回を含む ) 三六ドル也をがある作家の作品であ 0 た。いいんだなア、これがもう : ・ 航空便でお送り願います : : : どうそ、よいクリスマスを : そう感じたのは私だけではないらしく、すでにこのメビウスの作 6 品集はべつに二冊も出ている。 まったくメリー ・クリスマスもいいところではないかー ひとつは "ARZACH" というシリーズで、台詞は一切ない。と さすがに先方も、″まことに goofy な話で″と恐縮はしているいって、話の筋はわかるか ? といえば、わかるような : : : わか ものの、よくもこんな手合の打ち上げたアポロ宇宙船がちゃんと月らぬような・ : いや、そもそもわかろうとしてはいけなくて、そ へ着いたもンだわい とあらためてアメリカ人を見直しているわの作品のムードにひたれるかひたれぬかを問うべきものに違いな けである。 要するに、プテロダクティルみたいな巨大な鳥にまたがって空を いや、そういえばたしかにそんな気がしていたのた。「おかしい飛ぶアルザ ' クという名のご ' ついおじさんが主人公 、。いつの世と なア、おれ、これアメリカで買 0 て送らせたんじゃなか 0 た「け = ・も、どこの惑星ともしれぬ場所が舞台なのだが、ドロドロした人間 ・ : 」とい 0 たことが昨秋何回もあり、書庫をカキまわしてみても見の汗臭さみたいなものが充満したなんとも奇怪な世界である。 当らないから、あらためて版元へ発注したものがたくさんある。だ からひょっとするとその goofy なアメリカ人共が送り忘れてる分 の本は、もう、すべてべつのルートから全部私の手許へ届いている ものばかりかもしれないのだ。 なンともバカな話があったものである。 伊藤典夫や鏡明がコロゲ回ってよろこぶさまが眼にうかぶ、くそ ッたれ奴 ! 〈ぬえ〉の高千穂遙大先生にでも知られたら " 結構な ものを頂戴して″とかいって根こそぎもっていかれるのがおちであ ろう : : : ああー さて、幸いなことに、 この〈ヘビー ・メタル〉は、 goofy なアメ リカ人が二カ月間ほッたらかしにしたうえで発送した分のなかに入 っていたわけで、その後も続々と版元から届いているが、このなか でとくに私の眼を奪ったのは、メビウス (Moebius) というサイン ARZACH 1 人
手足をぶんぶんと振り回し、槍を左右に操ってみせる。筋肉は自 である。ハリイデールはのったりと上体を起こした。 次在に伸縮し、躍動した。身を切るような寒さにもかかわらず、にし 伸ばした足のすぐ脇に立っゲルズリの顔が目に映った。 に、その貧弱なからだと、両手いつばいに抱えこんだ革の衣服が視んだ汗がハリイデールの肌を光らせた。 野にはいってきた。 「ときに : 「できたのか : そんな美獣のさまを見ながら、ふっとゲルズリは言った。 ハリイデールは、訊いた。 「なんだ ? 」 「いまさっき、火の中から取り出したのだ」ゲルズリは、立ち上が びたりとハリイデールの動きが止まった。笑みも同時に消えた。 ったハリイデールに、服を渡した。「ゲルズリ会心の出来だ。すぐ呼吸はまったく乱れていない。 に着てみるがいい」 「あんたを四人の男が訪ねてきたそうだな 「そうしよう」 「正確に言えば、俺のところへ来たのではない。俺についてきた男 黒小人は洞穴の外にでた。 妾を訪ねてきたのだ」 外はもう夜たった。しかし、北の地の夏は白夜なので、一晩中陽 ハリイデールは肩をすくめた。 は沈まない。夜は闇ではなく、薄明の世界であった。 「そいつらが、何かまずいことでもしたのか ? 」 「どうかな : 「いや : : : 」黒小人は首を左右に振った。「そうではない。 着換えを終えたハリイデールが、姿を現した。ゲルズリは手にしうではないが : : : 死んでいるんだ」 たいまっ た松明で、それを照らした。 「ふ : : : む : : : 」ゲルズリの表情にいかにも満足気な笑みが浮かん ハリイデールの紅潮していた顔から、血の気が失せた。 だ。「われながら、見事なものを造ったぞーーー」 「どこでだー どこで死んでいた ? 」 腹を護る幅広のベルトが腰をがっちり固め、急所も厚い革で覆わ「わ、わしも見たわけではないが : : : 」鋭い語気に圧倒されなが れている。それに薄いしなやかな革で仕上げをしたのが、下帯た。 ら、ゲルズリは言った。「谷の東のはずれたそうだ。森の手前のと 左肩には肩あてがはめられ、それはベルトと革紐で結ばれてい ころた」 る。そして、腕には革の手甲。足にも臑あてがある。臑あては革紐「東のはすれだと : ハリイデールは唸った。。「俺にくつつい でサンダルと一体になっていた。単純たが、頑丈で機能的な服だってきたやさ男はどうした ? 」 「そ、そこまでは知らん : : : 」ゲルズリは、必死で両手を振り回し 「これなら着てて、うっとうしいということはなかろう : : : 」 た。「四人の戦士の恰好をしたやつが死んでいると聞いただけだ」 ハリイデ , ールは珍しく相好を崩した。「気に入った」 「行ってくる」ハリイデールはいきなり駆けだした。「何か、いや おか そ
北村君は煙草を両手でいじるばかりで、すぐに答えようとはしなる。 佐久間氏はゆっくりと口を開いた。 「実は : : : そのウ : 「いや、北村さん、あなたは今夜はここに泊まっていただかねばな 「〈クサゴンが現れて以来二カ月、やつらが何を食料としているのらないのです。あなたが〈クサゴンを飼 0 ていたことが第三者に洩 か、皆目、見当がっかないんですよね。是非、教えてもらいたい」れることを、私どもは大変におそれているわけでして : : : というの 佐久間氏は北村君の顔を覗きこんた。 も、あなたの飼っていたヘクサゴンは、我が国の、いや全世界の運 「あのオ : : : おれの : ・ションべンを : : : 」 命にかかわる重要な資料、というよりは捕虜として、慎重に取り扱 「え、何です ? 」 わなければならんのです。万一、あいつがここに居ることが外部に 「おれの小便をなめさせてたんです」 知れると、必要な研究活動にも支障をきたすということは十分に考 佐久間氏は大きく天を仰いだ。 えられますし、それに何よりも、峠にいる仲間のヘクサゴンどもが 「あ、あなたの尿を : このことを知ったら、どんな行動に出るか、分かったもんじゃあり 「そうです。おれも最初はあいつが何を食うのか分らなかったんません。今のところ、やつらは大人しくしていますが、強力な攻撃 で、色んな物をあてがってみたんだけど、どれも気に入らないで、方法を持っていて、仲間を奪いかえしに来ることは当然ある得るこ 途方に暮れてたんだ。そしたら、ある晩、おれが小便に行った時、とですからね」 プア。フアがこっそり尾いてきて、あの腕を伸ばして、ストローで吸「すると、おれは今夜、帰れないの ? 」 うみたいに : : : 」 今度は北村君が驚く番だった。 「へえ、こいつは驚いた」 「ええ。この処置はあなたを守る意味もあるのです。関係者たちに 「たから、それから後は、だいたい一日に一回、便所に連れていっ は、あなたが急な用で旅行に出かけたという通知がいくようになっ たんだ」 ています。おかあさまも、もう別の場所に保護している筈です」 北村君にはまた事情がよくのみこめなかった。 佐久間氏はメモをたんねんに取った。 北村君は自分の発言が佐久間氏を驚かせたので、ちょっと気分を「まいったなあ : : : じゃ、明日もここに居ることになるんですか 良くした。 「おれ、腹減ったんだけど、まだ帰っちゃいけないのかな ? 」 「そうです。明日たけでなく、当分ここから出られない覚悟で居て 佐久間氏はペンを動かす手をとめて、一瞬何か言い淀んでる風だもらわねばなりません」 「いやね、おれ、実は配達をちょっと明日に残してあるんたけど : ・ 上階の廊下を車輪付ペッドが運ばれてゆく音がかすかに響いてく 96
「母さん、・ほくにはね、《天帝》が・ほくたちを《故郷》からわざと 族》は、それそれ異なる空の部分を目ざすよう割りあてられる。 《渡航日》に、われわれは他の全《支族》に別れをーーおそらくは外へ押しだして、中身のなくなった卵の殻みたいに、それを押し潰 永遠の別れを告げるのた。新世界に《同胞》の子孫を残すのは、たすつもりでいるような気がするんだ。もう二度と這い戻れないよう だ一隻の船かもしれん。新しい《故郷》が見つかる前に、全員に にね。思えば《平和》以来、・ほくたちの翼にはろくすつば羽も生え ていない 《御召し》がくるかもしれん」 これは、・ほくたちを飛ばせるための試練だと思う。この 卵は居心地がよすぎたんだ」彼はちょっと笑ってシェルの身体を離 「それなら」デヴィッドが言った。「どうしてここにとどまって、 し、てのひらで頬の涙をぬぐってやった。「今の卵理論から結構な 《故郷》と共に《御召し》を迎えないんです ? 」 「《天帝》が行けとのたまわれたからだ。われわれには、機械に後オムレツができるんじゃないかな。しかしね、・ほくたちがこれまで 《創造》 について学んだことが、本当に新しいことだと思えます 戻りするたけの時間が与えられている。《天帝》は、われわれのた めに、星への関門をいつばいに開いておられるのだ。贈り物を受けか」 とって、それでできるかぎりのことをしなくてはならん。子供たち「そうね . 息子が自分とまったく同じ考えなのを知って、わたしは 、え、はっ すっかり嬉しくなり、心の中を探りながら言った。 に残された歳月を、一年でも奪う権利はわれわれにはない」 デヴィッドにその話を聞かされたシェルは、握りしめたこぶしをきり言えるわ、新しいこととは思えないって」 胸に押しあて、狂おしげに叫んた。「そんなことできないー 「じゃあ、仮に、たった今《御座》に召されて、《わが創造》につ お、デヴィッド ! できないわ ! どこへもー・ーーどこへもーーー行く いて何を知っているか ? ″と説かれたら、こう言えるだけじゃない あてなしに《故郷》を離れるなんて、できない ! 」そして彼にしがですか、″《先祖》がーーわたしの直系の″《先祖》が , ーーっまりー デヴィッド みつき、涙でデヴィッドの肩をぬらした。 ーわたしの父が知っていることしか存じません は両手を広げて、無知をさらけだした。「おお、母さん ! ぼくた 「しなけりゃならないことならできるさ」デヴィッドは言った。 「《同胞》全員がこの悲しみを分かちあっているんだ。たから、こちはすっかり忘れちまっている ! おまけに、たったこれだけで満 シ足しきっていたんだ ! 」 の苦しみを、ほかのみんなにとってさらに重くしてはならない。 エル、子供たちは・ほくらから勇気を学ぶんだよ。りつばな手本を示 「でも、それにしたって」シェルが泣き叫んだ。「これじゃあんま すんだ」彼は押しつけられた彼女の頭を、あやすように揺すった。 ーーー荒療治すぎる、残酷すぎるわ ! 」 彼女のほっれ髪をなでつけてやりながら、その途方にくれた眼で、 「ひなは初めはふるえるものた」デヴィッドは彼女の冷たい手を握 じっとわたしを見つめた。 りしめた。「羽毛を生やすんたよ、シェル ! 」 「母さんーー」デヴィッドはきりたしたーーー普段はエヴァⅱリーだ やがて計画は、作業が開始できる段階にはいった。サンダル・シ ったのに。 お 2
カ十年後、。 ( イキング 1 号が着陸し、 いう説が有力だった。 ; 、 に近づけるという計画。一九六〇年、セイガン二十六歳の時の 地表のパノラマ写真を送り、徴生物の生存についても悲観的な 提案というからさすがた。 火山活動やクレーターも認められている金星にちなみ、ひと結果を出している。 火星の的扱いについては、火星人の変遷や運河の実態ま つぐらいは「高見山」と命名すべきだろう。 で、とても書ききれない。最近ではぶ厚い「火星地図」まで出 一度帰るともう宇宙へは出たくな版されているから、の舞台としては地球の極地並みとな 地球 , ーーはやつばりいい。 くなるので、通 り、宇宙探検ものとしては扱えないようだ。意外なことに、 気体水謝 又千秋氏が好んで火星を舞台に取り上げている。 新型の火星人は、ヨコジ、ンがイキング着陸に際して発表 火星ーー水星した「火星には砂人間がいて、眼が二つ、手が二本ある」説あ のクレーターよ たりが最後となるのではなかろうか。 りも驚かされた のは火星のクレ木星ーー太陽からここまで離れると相当冷たい世界、厚いア ーター発見時だンモニアの大気の底にメタンの海があり、くらげみたいな生物 造 構ろう。一九六五が泳いでいるーーというのが古典的木星。一九七三、四年の。 ( 部年、マリナー 4 イオニア川号、Ⅱ号のデータ以来、木星像はきわめてダイナミ 内 号から送られてックなものになった。木星の大部分は水素でできていて、表面 星きた火星表面のは液体水素、内部は金属水素で中心部は三万度。内部からの 木写真はそれこそ熱エネルギーの方が太陽から得るエネルギーよりも数倍大き 月面そっくりの 。質量がこの百倍くらいあると内部で核融合反応を起こし、 クレーターだら第二の太陽となる可能性があるという。つまり木星はミニ太陽 けだったのだ。 と解釈できる。十三個の衛星を従えているが、そのうち四個 このため、火星 ( ガリレオによって発見された四大衛星 ) の配列は、主星から 人がいたずらしの平均距離の比が太陽系の惑星に似ているという。いわばミニ て月面写真を送太陽系。木星が太陽系の模型だとすると、太陽系にも ( 後で書 ってきたのだとくが ) またまだ惑星が発見されるかもしれない。 、、〈ンを洋 - : の頂亠 アンモニ アの結品 水にア ンモニウ 液体の分をい .3 水満 子水素 液体分子水素大気層 10N △の△のん金△の△の△の
キルティ / グ 彼女にどうしたら説明できるだろう。夜目ざめ、汗をかき、シー 刺しぬいをした彼の肌の上で軽く戯れるなめらかな水滴のむ ツをクシャクシャにし、支離滅裂にロばしる : : : たが、それは悪夢れ ではない。正確にいえばちがうのだ。 火ぶくれのできるような光が輝きながら彼を貫き、骨をビン あいだ 何か別のもの。何か間にあるものだ。 ビンと共鳴させる 「その事は忘れて。ビリジがなだめるように言った。レジンリは、 彼女の更に近くに寄り添い、甘い麝香の香を嗅いた。乾いたパリ。、 渦巻き リの髪の匂、 し。いったって彼はそれを愛していた。 吸い寄せる。吸い寄せていく・ : 彼女は眉をしかめて彼を見上げた。その視線は、まるで彼の表情その瞬間がすぎさり、レジンリはまばたきをした。眼の中にビリ を読みとろうとするように、唇から眼へと厳しく注がれ、再び眼か ッとした刺激感がある。日がたつにつれ、その吸引力は強くなり、 ら唇へと降りた。「それを思い出すことは、あなたのトラブルにな光り輝くイメージは鋭くなってぎた。これこそヴァンレオが感じた るたけよ。あなたに、それを言ってもらったのは、悪かったわ。でことにちがいない。彼は確信した。いまやそれは日中でさえ襲いか も、 かって来る。くり返し、くり返し、時とともに変わる木目のような いいことーーー」彼女は彼の手を自分に重ねたーー「あなたは、 模様 : 二度とあそこへ戻ってはいけない。そうなると : : : 」 何かが彼女の向うで彼の注意を引いた。濃くなってくる霧たっ彼は手をのばして、ビリジを抱擁した。 「だけど、行かなくちゃならない」彼はきしむような囁き声をたて こ。「ヴァンレオが今日言ってきた。彼が : : : おれは行くつもり たちまち彼は、足下に大きく口を開けたすべてを呑みつくす深淵ナ を感した。彼を吸い込んでしまう。彼を呼ぶ。そこへ だ。戻るそ」 濃く赤い泡が風化したみかげ石の塔に打ち寄せられていくー 彼の耳に彼女の瞬間息をのむ声が聞こえ、腕の中の身体がこわば るのがわかった。 楕円形の太陽が、銀色の歪んだ星の上を音もなく回転するー しかし、彼の注意は赤つ。ほい霧によってそがれた。それは周囲の 世界を半分覆っており、なおもおしよせてくる。 淡い光 そこには何か不吉なものと、何かさし招くものとが混在してい ありあまる房のようなもの。ねばねば。彼を包み込む繊細な た。それが近くの木々を呑み込んでいく様を眺める。距離をはかり 銅のマトリックス。暖かい ながら、じっとそれをみつめる。その不気味なものは、もうすぐそ かっちりと組み合わさった多面体のつやつやとした輝き。上ばまで迫っていた。しかし、彼はそれでいいのだと確信していた。 へ上へと積み重なり 7
「触手は正確にき 0 ちりと穴をふさいだんだ。中〈入るときに。す「むつかしいな。おれは = ・ : こ きまは全然なか「た」彼は続けた。「佐助は = = = あそこだろう。中「わかるわ。わかるわよ、でも、あなたはそれをず 0 と向うに遠ざ けて、そんなことが起ったのを忘れてしまえるわ。それが最良の方 レジンリは呆然とその場に凍りついた。波がまわりで渦をまき、法よ」 彼は足をすべらせた。海水が彼をあおむけに転した。・ほんやりと、 「うん。たぶんな」 彼はぬるぬるとした岩の上に再び立っと、よろめきながらガムシャ 「わたしを信じて。あなたは、これが起ってから、変ったわ。わた ラに荒涼たる岸へと、人間的な世界へと進みはじめた。海は彼にい しにはわかる」 つまでも休むことなく打ちつけていた。 「わかるって何が ? 」 「あなたのこと。違ってるの。わたしたちの間に壁を感じるのよ」 「そうかな」彼はゆっくりと言った。 彼女は手を彼の腕におき、いつもの見なれた動作で近寄った。彼 ビリジは寒気にも無頓着にじ 0 とすわりつづけた。「ああ、神様は立 0 たまま、赤 0 ぽい靄が下方の岩のく 0 きりとした線を呑みつ なんてこと」彼女は言った。 くすのを眺めていた。 「それで全部だ」彼はつぶやいた。峡谷へと視線を投げる。ゼータ 「その壁を溶かしてしまいたい。あなたは貢献したわ。そして、支 ・レティキ = リはもう傾いた光線を何層にもな「た赤つぼい霧に浴払いを受けた。あのひどい人たちにも、もうドロンゲーダがわかっ びせるだけだった。飛びリスが移ろいゆく影の間を飛びかっている。 ているでしようーーー」 「その人は狂「てるわ」ビリジはあ 0 さりと言「た。「そのレオは彼はいびつな耳ざわりな笑い声をたてた。「おれたちは、決して 気狂いよ」 ドロンゲーダを把えることはできない。あの神経回線で手に入れた 「ああ : : : 」レジンリは答えた。そして、体を。ヒンと伸したまま前のも、おれたちが望んだものの鏡にすぎん。現におれたちであるも へ傾け、立ち上った。赤味を帯びた雲の渦が峡谷の顔をなであげ、 のの鏡なんだ。おれたちには、全く異質なものは感じとれないん 彼らの方へも迫ってきた。彼は指をさした。「あれは思ったより速だ」 く来そうた」そして咳こむ。「中へ入ったほうがいいな」 ビリジはうなずいて立ち上 0 た。足でそのもつれた草を一掃きし「ヴァンレオが数学を見出したのは、やつがそれを求めていたから てから彼に向く。 だ。おれも、はじめはそうだった。しかしーー」 「さあ、もうわたしに喋ってしまったからには」彼女の優しい声。 彼はロをつぐんだ。急におこった微風に身体が震えたのである。 「それを心から追い出してしまえるわね」 拳を強く握りしめる。強く、強く。 とら
に半分身体が出て、泡たっ海の上に宙吊りになっている自分がわか「ーー畜生、運が良かったぜ。おれがあんたにまた会えるとは考え ても見なかった。だけど、ほんとに凄い。見てこいよ」 「何を ? おれは。ーー」 「おれはいまやっとわかったんだ。おれには、やつらがここで何を しているのかわかる。コミュニケーションだけじゃない。もちろん まるで虹彩のようなその筋肉は彼の腰を柔かく包んでいた。まだそれも、その一部なんだが。やつらはーー」 「ペチャクチャ喋るのをやめろ。何があったんた ? 」 息が切れるので彼はそこで止って休んでいた。 眼を細めて上空の恵み深い太陽を仰ぐ。周囲はひどく明るい世界「おれは中へ入った」ヴァンレオは息を吸ってから言った。「い で、その中に静かな動きがあった。潮流が数メートル下方で渦巻いや、入ろうとしたんだ。おれたちはそのとき、べつのドロンゲーダ ている。ふとドロンゲーダの茶色い腹部がゆっくりと移動しているが顔を見せ、この浅瀬へ進んでくるのを知らなかった」 「おれも見た。しかし、そうだとはーーー」 のに気がついた。首をめぐらすと 「おれは、それが見えるまえに、第二の小穴へと登っていた。ケー ドロンゲーダが二つにわかれていた。 ・フルのことに忙しかったんだ、な ? あんたはうまく跡をたどって いや、ちがう。ちがうんだ いた。それで、おれもーーー」 その胴体は別のドロンゲーダが接近してきたことによるものだっ た。と同時に、またもう一つ無音の動作が彼の眼にまった。下「ちょっと離れろ。こっちへ」彼らの上方で巨大な体驅が動いてい 方、ヴァンレオが暗くなりゆく海の中でもがきながら手を振ってい 「いや、まあ来てみろ。おれの推測はまちがっていない。この浅瀬 るのだ。青白い霧が海を包んでいる。 レジンリは骨を折りながら前に出て、小穴の狭い縁から身を乗りはやつらにとって天然のシェルターになってるんだ。海で何か敵に 見つかったら、大きな魚とかそんなものだがーーーそいつらもこの浅 出した。彼はそれを握ると、海へと向ってかなり身をのりだした。 腕をのばし、まっ逆さまに墜落。大洋にしぶきがあがる。彼はスラ瀬までは追ってこれない。だから、やつらはここへきて番ったり、 ンスをとりながら、つかれた足で不器用に歩きたした。 、ユニケートしたりするんた。連中がもし海で誰にも話せないの だとしたら、恐しいほど淋しいにちがいない。だから、ここへやっ ヴァンレオががっちりとした手をのばした。そして、彼のヘルメ ットの後ろをいじくった。レジンリは最初眉をしかめ困惑していたてきてそうするんだ。おれはーーー」 が、やがて緊急連絡ケー・フルをさわられているのに気づいた。レジ レジンリは相手を観察し、この男が自らの洞察に興奮し真っ赤に ンリは自分のケー・フルをス。フールからほどき、それをヴァンレオのなっているのを知った。ほんとに馬鹿なやつだ。本気でこの獣を愛 スキンスーツの肩のソケットにさし込んだ。 し、面倒を見て、こいつらとその数学に自分の一生を賭けてやがる。