ファンタジイ - みる会図書館


検索対象: SFマガジン 1979年5月号
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1. SFマガジン 1979年5月号

立レヒ三ウ という非現実的な世界を媒介にしてしか物のみせる愛、憎悪、同情、嫌悪、歓た。冷えた大地から、巨体がゆっくり 語りえなかった少数者としての、倫理観喜、苦悩、優しさ、恐怖。これらはまると、嘘のように浮び上り、びようびよう と風の吹きすさぶ樹林を貫いて上昇し ・世界観をさすものだ。それは、たとえで万華鏡のように、章が変わり、物語が : ついで、ゆったりとして歓喜に ばウィリアム・モリスならむしろアナクすすむにつれ、そのたびにさまざまな色た。 口に近いような中世への指向となって現鮮かなフ = ーズを見せてくれる。かつみちた滑翔がはじまった。風と空間に任 われ、あるいは、 O ・・ルイスではキて、こうしたファンタジイで、これほどせきった飛翔、闇をさしての螺旋降下。 リスト教的寓意に傾斜して作品を損いかまでにいきいきとムキだしの感情を描いそれらは恐怖からも、また希望からも二 たものがあっただろうか。たいていは、人を解き放った。 : : : 凍てつくように白 ねないほどの力を持ち、そして、トール キンにおいては、まさに現実逃亡者の烙神となった作者の操り人形と化した作中い満月が彼らとともに滑空する。闇の世 印をおされかねないほどのテンションと人物の見せる愛や哀しみがすべてではな界の見張りをする星のけものが、驚異を なって働いているものだ。そして、それかったか。その点では、本書はまさに傑こめて精一杯に見開いた一つ眼。 = ルド もうろう こそが逆に作品を特徴づけ、それらを偉出した特色を持っているといえるだろ山の朦朧たる山影が後方に小さくなって いま靄にくるまって眠 大な地位へと高める原動力になったという。いいかえれば、これまでのモラルをいく。巨峰は、 り、夢を見ている。眼下の土地はもう一 えるものでもある。 中心とした頭で感じるファンタジイか そこで翻って本書を考えてみるに、そら、心で感じるファンタジイへの変化をつの星の世界 : これに酔えぬ人はしよせんファンタジ うした点が不思議なことにかけらも見ら予兆させるに足る重要な作品といえるか イとは無縁の人だろう。 ( 『妖女サイベ れないのである。これは、モラルやインもしれないのだ。 。、トリシア・マキ ルの呼び声』 / 著者日 もっとも、・ほくがこういったからとい モラル ( 不道徳な ) ではない。アモラル リップ / 訳者佐藤高子 / 文庫判 / ( 道徳とは無関係の ) とも呼ぶべき本なって・ヘつに気にされることもない。そう のだ。もちろん、・ほくはそれを非難してした点をとり去った表面上のストーリイ 40 / 早川書房 ) いるのではない。従来と変っていると言と、それを述べるマキリツ。フの描写力だ 高千穂遙 いたいのだ。そして、その変った点こそけでも、本書はまちがいなく一級品なの カ・ほくをこの文の書きだしの疑問にいだから。最後にそうした描写で特に印象 たらせたといってよい に残った部分を引用して終わることにし そして、そうしたものにかわってここよう。サイベルが、恋人のコーレンと竜 には、溢れんばかりの感情がおさめられの背中に乗って翔ぶところである。 ている。サイベルをはじめとして登場人 雄大な翼が星明りに黒々と拡がっ 「異世界の勇士」 中 島

2. SFマガジン 1979年5月号

立レヒッウ : こうした言葉をしゃべり、 の竜ミク・ パトリシア・マキリップ 知恵のある生きものを友に何一つ不自由 いや一つだけ、純白の翼をもっ 「妖女サイベルの呼び声」 鳥ライラレンを得ることにのみ生きがい を見出しているようなサイベルのもと 小宮山康宏へ、ある日エルドの王の息子を戦乱から さけて育ててほしいと訪ねてきた美貌の 本書はみごとなファンタジイである。騎士があった : まさしく、正統的ファンタジイとも呼 ただこれを読んで、・ほくには改めてファ ンタジイとは何か、現代ファンタジイとぶべき設定だ。格調高い文章、ファンタ は何なのかが気になりはじめたといってスティックな登場人物たち、そして物語強い筋運びにグイグイとおし流されてい もよい。だが、まず物語をながめてみよは、さけられぬ彼らの運命を暗示するかくような感触を抱く。だが、かって読ん のように、巻頭からドラマティックに展できた同じ系列 ( だと思っていた ) のウ エルドウォルドの国にそびえたっ開していこうとする。なるほど、これなイ リアム・モリスやロード・ダンセイ エルドの山。そこにひとり住む、代々のら安心だ。さすがに世界幻想文学大賞をニ、あるいは O ・・ルイス、トールキ 魔術師の忘れがたみ、サイベル。彼女の受けただけのことはある。あとは、これンなどのハイ・ファンタジイと比べる もっ妖しい呼び声の魔力は、ここエルドまで読んで経験したハイ・ファンタジイと、何か完全に異質なものがあるのた。 の地をも遠く離れ、さまざまな国に住むという名の美酒に酔いしれながら、このしばらく考えてみて気がついた。ここ 伝説の生きものたちをとりこにする。魔新銘柄〈マキリップ一九七四〉というには伝統的なファンタジイにみられるモ 術師を殺した七人の男たちを八つ裂きにのもなかなかいけるじゃないかと思いをラルが欠落しているのだと。・ほくは、モ めぐらせるのも悪くない もし、あラルをファンタジイに重要なひとつの要 したという誇り高い、青い眼の隼ター っ・よしのファンタジイ通きどり素と考えてきた。もちろん、ここでいう 〈南の砂漠〉に住み、いくたの狩人たちなたがい。 を誘いだしては失望だけを残したライオで、こういう予感を抱いたなら、たぶんモラルとは一般に連想される〈ーーーして ン、ギュールス。吟遊詩人のようにパラ・ほくのように途中で『オヤッ』という違はいけない〉式の説教臭のみがついてま わるようなものではなく、ファンタジイ ッドをうたい、あらゆる謎に回答を与え和感をもったにちがいない。 る赤い眼の猪サイリン。エルドの山の暗おもしろいことはおもしろい。女性特という架空世界に託して作者が主張した い洞穴に諸王の財宝をかくしもっ緑の翼有の一種饒舌な文体に乗せられると、カかったこと、強調すれば、ファンタジイ 4

3. SFマガジン 1979年5月号

SF MAGAZ I NE scnence speculation &fiction fantasy Tbe ″。れ g 立。ヮなア汽記枋ⅲ。 / the 。ルれ for ルん訪 4 ( 。記 kem なみに g 角″ァ 4 : Hologirl 6 ァ R 品件ー F Young ◎ 78 り Mercury VO し 20 、 0.5 MAY 1979 ファンタジイ & サイエンス・フィクション言志譬寺約

4. SFマガジン 1979年5月号

S F スキャナー たとえば、こんな人がいる メタⅡマックスを七つの断片に分け、数万の惑深く突っ込んで行けないのだ。 「一九五〇年、と出会い、それが彼の人生 星世界へと散らせたのだ。これを再び集めたと を変えた。 き、その表面が象徴する七つの 彼はクリーヴランド協会の創設者の一人 カタストロフィ面が、超情報シ であり、後には個人ファンジン〈サイエンス・ ステムを自壊へと導くという。 ファンタジイ・ビュレティン〉を出すようにな こうして、結品体の断片は、あ る。 るものは海底の鉱山都市、ある オハイオ州立大に入るが、一年半で中退。創 ものは砂漠の惑星へと散ってい 作のキャリアをつむため、ニューヨークへと赴 たカ、いまクンドウークの圧迫 に対抗する反乱軍がこの秘密を 創作のかたわら、さまざまな職業につく。橋 知り、必死にそれらを回収して のペンキ塗り、ポルノの売人、くず屋 : いた。中心となるのは美貌の女 そうして、最初に売れた作品はこう評され 性クレロン。彼女はいま、その この分野で書かれた最悪の一篇″ ( ジェ 断片の一つが眠っている惑星ア イムズ・・フリッシュ ) 。 ースへと降り立つ。だが、そこ 彼はまた非行少年の生態を知るため、・ハロン にはやはりクンドウーク一の切 と呼ばれる少年ギャング団の一員に加わり れ者情報長官ロアプティクスも 立ち寄っていたのだ。両者の争 ーラン もう言うまでもないだろう。これはハ いにまき込まれた、アースの若 ・エリスンが「エリスンの本」 "The Book of 者リンの前途には想像もできな EIlison" というェッセイ集の中で自己紹介を い冒険が待っていた。 している一節だが、とにかく、彼の個性が際だ という完全なスペース・ 0 っている楽しい本だ。何しろ、エリスン以外に オペラ。何となく読んでいる も、シルヴァー、、、 ーグやテッド・ホワイトらも と、一アイレーニイが自らをパロ 「エリスンについて」を寄せているのだが、復 ディ化しているようでもあり、 讐を恐れてか当りさわりがなく、それがますま そのあたりは熱心なファンには すエリスンを目立たせているのだ。 おもしろいのだろうが、はっき あと評論集では、「遙かな丘」 "The Hills り言って少々物足りなかったこ of Faraway" ( ダイアナ・ワゴナー ) という とは事実だ。こうした点は、結 ファンタジイのガイド・ブックが大カ作なのだ 局イラスト・ブックなどヴィジュアルなもののイラスト・ブックは他にもいろいろと出てい 7 2 一つの限界に帰すと思うのだがどうだろう。つるが、同工異曲なのでこのくらいにして、今度が、残念、もう紹介の余地がない。今回は写真 だけで勘弁してもらおう。 まり、瞬発的な衝撃力は強くても、どうしてもはその他の刊行物に少し触れてみる。 マ冢 AMAJOR WS ( に N ( E ドに第 ON OV 阯 DY SAMUELR. DELANY. 0 ド A GUIDE TO FANTASY 璽 : 00Y55EY TO THE STA DIANA WAGGONER SA い障 DE'LÄNiY--:• OWARD M CHA KIN LUSTRATOROF 、 STARWARS

5. SFマガジン 1979年5月号

SF スキャナー 毎月毎月、″仕事にいるから″と称して買い ブック ) 、 「ロポット」ジェシア・ラインカル こむために、どんどんと増えていく洋書の山。 ,. 「、をト編 ( ノン・フィクション ) それでも実際に出版される三分の一ほどが収集 何だ全然小説のほうが思いだせないじゃない できたらオンの字で、そのギャップは年ととも か ! 必死になって、ようやく絞りだしたの に開いていくばかり。昔、伊藤典夫さんの言っ が、テリイ・カーの「年刊ファンタジイ傑作 選」。これだって、正確に言えばじゃない。 ていた " 完全主義者となることは、とうに諦め一 た。が千金の重みとな「て響いてくるのだけれ . ら ! 、 , 」本当にもうどうなっているんだろう ど、そんなことばかり言っていてはこの襲い来 もっとも、冷静になって本棚をゴソゴソさが る出版物の濁流に呑みこまれていくばかり せば、あるある、なじみ深い小型の新刊ペーパ だ。というわけで、相も変らず向うの書店から← - ー・、ハックがそろそろと出てきた。でも、駄目だ 送られてくる新刊・古本とりまぜてのカタログ ' まを : 1 なあ。どうして、こいつらがま「先に思い浮ば の小ちゃな活字に精いつばい眼を通しているの なかったのだろう。 だが、そのうちに妙なことに気がついた。最近 そのうち、二、三日すると情報紙「ロー 喜んで買っているのは、小説よりも、 カス」が届き、それを読んでみてはじめて謎の 一部がとけたような気がした。関連記事が二つ について書かれた本や小説外の単行本の方 ( 、ト第鑄 , ド = 、。 ~ 驟 , じゃないのか ? 評論書やノンフィクション、 , を、「あって、一つは恒例の「前年の推薦作」。要す イラスト・ブックに画集ばかりがやけに眼につ るに、その名の通りのものを、長篇、短篇集、 くじゃよ、 4 アンソロジイ、などカテゴリイ別にわけて載せ だれでも、時としてわれにかえりドキッとす「・ 1 ' てあるのだが、今年の記事で眼についたのは、 ることがあるだろう。ぼくの場合もこのときな 長篇の不作と参考書 ( 画集・評論集など小説外 3 どがそれで、あわててここ一、二カ月何を買っ ~ のもの ) の大豊作である。エデイターのチャー たか思い出そうとした。ところが、頭から出て ・プラウンもこの点に気づき、「一九七八 くるのは、前述の小説外の作品ばかりなのであ ~ 一 年の長篇部門はおっそろしくひどい」、「 ( 参考 る , 書類は ) 信じられないほど出版された」と「メ 思いつくままあげてみると : ・「エンサ ントしている。もう一つの記事は、やはりこの イクロペディア」ロく ート・ホールドストック 」、 . ~ 参考書類に関したもので「アート・ブックの大 編、「を語る」ポール・ウォーカー編 ( イ 人気」。筆者は自ら愉快なカーツーンでヒュー ンタビュウ集 ) 、「イカルスの飛翔」ロジャー ゴー賞にも常連のウィリアム・ロツッラー。彼 ・ディーン他 ( 画集 ) 、「エンパイア」サミュエ 。が要領よく、こうした前年の画集の収穫を述べ ル・ディレーニイ / ハワード・ チェイキン ( イ ているのだが、一つおもしろいことに気づいた ラスト・ブック ) 、「ファンタジイ・ブック」 のは、こうした一種のプームの仕掛人 ( といっ フランツ・ロッテンシュタイナー ( イラスト・ たら大ゲサか ) にかの有名な・ハランタイン夫妻 4

6. SFマガジン 1979年5月号

立レヒッウ これは物語がまず持っていなければな 前回につづいて日本産ヒロイック・フ アンタジイを読んだ。 らない、最大の条件だと思う。高千穂遙 「異世界の勇士」これは面白い。同じ作の物語は、「美獣」であれ「クラッシャ 者のハ イデール・シリーズほどは、何ージョウ」であれ、「ダーテイベア」で というかていねいな仕上げでないが、そあれ、とにかく唖然とするほどノドの通 の粗さまでが、かくあらねばならぬ、とりがいいが、その中でもこの「異世界の いうように見えてくるのが、高千穂遙の勇士」くらい調子のいい本は、例によっ すごいところだ。 てヒロイック・ファンタジイとスペース 「剣と魔法の物語」とオビに銘うってあ・オペラ、つまりはロあたりのいい本ば「ト。【。 ~ 影を、′要を ~ い . 第」【い第既′′、第・ るが、きわめて正確な意味では、これはかり読み狂っている小生も過去五カ月間 そのとおりのものではないと思う。それではじめてだった。 かないか知らんが ) である。ジョウとタ ー、リューン は「美獣シリーズ」にはあてはまるが、 しかし一つだけ文句がある。どうしてロスとアルフィンとリッキ この「異世界の勇士」は、武部本一郎がさ x x >< ( 未読の読者のために伏せる ) をとダルカンとトプルと・ハグシ、という具 しえをかいているにもかかわらずーーーあ殺してしまったのだ。これだけのキャラ合いに、チーム。フレイになってしまう。 るいはむしろそれゆえにーーーし ( 、ち・よん近クタ 1 設定をすれば遙君なら全十冊のシこれは彼が「スタジオぬえ」の社長で本 いのはハワードではなくて、、ハロウズだ。 リーズにだってできる。すべきだ、しな人もチームの中にいる人物だから、とい 別に誰に似ていようと、何に分類されくてはいけない。高千穂遙と半村良は長うのもあろうがそれとたぶん、これが本 ようと、そんなことかまわないじゃないければ長いほどいい。だのに、後半はし質的に高千穂遙がス・ヘース・オペラ作家 か、というものだが、しかし高千穂遙の よって、おまけに x x x を殺してしまつであるということの証明ではあるまい このおおらかなデタラメさかげん、ご都た。生き返らせて、これを四つめのシリか。 合主義、荒つぼさ、調子のよさ、をみて 1 ズにすべきである。 ヒロイック・ファンタジイにはチーム いると、まるでタイコを叩いているみた ーナしコナンも・フラク、もゾンガーも本 しかし、思ったが、高千穂さんというよよ、。 いに際限なく気分がよくなってきて、や人はおそらく根っからのオルガナイザー質的に孤独な戦士である。そこには上下 れやれ工っー もっとやれッ なのでしようね。「美獣」をのそいて関係はあってもチームワ 1 クはない。唯 ぞ、日本の・・・ハロウズ ! な 1 んは、クラッシャージョウも「異世界の勇一の例外といえるのがフアファード & グ て、わめきたくなるんだ、つまり、酔っ士」も「ダ 1 テイベア」も、すべてはチレイ・マウザーか、だがあれも、とりた ばらっちまうのである。 1 ム・スト 1 リイ ( そんなコト・ハがあるててチームプレイが印象に残る、という

7. SFマガジン 1979年5月号

( 毎リ 1 回・ 1 日発行 ) 第却な第 5 アメリカ・フーンタジイ & SF 誌特約 く新連載り 田中光ニ く短期集中連載開始 ! 〉 栗本薫 く海外秀作〉 ロバ -:- ト・ F ・ヤング R ・ A ・ラフアティ D ・ G ・コンプトン く特別読物〉 矢野 . 徹の翻訳言維ツ ! 第当 ~ 山田正紀 を龍 + 望都、

8. SFマガジン 1979年5月号

0 ー OR A LA CARTE ウォルハイ乙は S F の歴史 そのもののような 工テイターだ。 1 4 安田均 アメリカに編集者はいろいろといるが、このダムといわれる世代に属す。 するが、よく注意すれば、後の世代の中心とな ドナルド・ << ・ウォルハイムほど長い間、第一 ファンとしては、彼はいわゆる大会の創る作家が実にここから多く巣立っているこ 線のエデイターとして界にかかわってきた始者といってもよく、後に世界大会が一九とがわかる。フィリップ・・ディック、サミ 人はいないだろう。あの、ジョン・・キャン三九年に開催されたときも、いわゆるュエル・・ディレーニイ、アーシュラ・・ ( ビッグ・ネ 1 ムド・ファン ) として大きな影ル・グイン、ト ベル・ジュニアでさえ、一九七一年には亡くな ーマス・・ディッシュ、 ってしまったし、グロフ・コンクリン、オーガ響を与えた。 ラン・エリスン、プライアン・・オールディ スト・ダーレスといった昔から活躍してきた人編集者生活に入ったのは、四〇年代のはじス、彼らはみんな初期の作品をこのエース・ダ たちもみんな鬼籍に入ってしまった。ひとり、め、いわゆるパルプ雑誌からだが、これは短命プル・ブックで出版しているのだ。もちろん、 こ終っている。 ウ . オレ、 ノノイムだけが ( と言ってよいだろう ) か冫 これは当時・ハランタイン・ブックスなどが完成 くしやくとしているばかりか、七二年以降はア第二次大戦後は = イヴォン社に入社。この頃された作家しか出さなかったこともあり、まだ どうなるかわからない新人作家は、いきおいや や評価の低いエースあたりでしか出してもらえ なかったからなのだが、そうした新人を見つけ てきて激励し、巧くのばしたのはやはりウォル ハイムの功績といってもよいだろう。 こうして、彼は一九七二年エースも退社し て、いよいよ自らの頭文字をかぶせたプ ックスを設立する。もちろん出版は専門 だ。当初からエース時代と同じく冒険ファンタ ジイを中心路線とした同叢書は、やがて安定し た基盤を勝ち得、現在ではペー 三大出版社の一角を占めている。 さすがに新人の発掘という点ではエース時代 より衰えたとはいえ、最近も O ・・チェリ イ、タニス ・リーと、いまプームの女性冒険フ アンタジイの先鞭をつけた新人を送り出せたの は、やはり彼の慧眼のたまものというべきだろ メリカ最大の出版社の一つ、・フックから彼の本格的な編集活動がはじまる。何とい スの責任者としてますますその活動範囲は拡がってもここで成し遂けた業績は、ファンタジイ彼はこの他にも、一九四三年ほ・ほ世界最初の っている。 ・リプリント誌「エイヴォン・ファンタジイ・ (-n;-v アンソロジイの編集、一九六五年以来の最 ・リイやフレリーダー」だろう。 彼に比べると、レスター・デル 長の″年刊傑作選″の編者、非英米圏 デリック・ポールなどは貫禄の点でまだまだと この成功を足がかりに、彼は一九五一一年エー の積極的な翻訳紹介など、その業績は数えあけ いった気がするのは、・ほくだけだろうか。 ス・ブックスに移動。いわゆるエース・ダブル るときりがない。 ・ブックを中心として、の新人発掘に精力ときに評論などで「はの上に作られ ドナルド・・ウオレ、 ノ , イムは一九一四年ニ的にあたることとなる。 る」などという迷 ( 名 ? ) 言を吐くが、とにか ューヨークの生まれ。一九三〇年代初期からの エース・ダブルは一見したところ、ほとんどく、彼もある意味での″ミスター ;.æ″である 熱心なファンで、いわゆるファース ト・ファンが通俗的な宇宙冒険ものとして軽んじられたり ことには間違いないだろう。

9. SFマガジン 1979年5月号

世界 S 、下情報 ント ニス・リ 1 「白い魔女の探索」 "Quest of 2 ・ネビュラ賞ノミネート発表ほか 「死への穏やかな革命」 "A Quiet Re ・ the 「三 te Witch"' マイケル・ムアコ 毎年プロ野球の開幕が近づいてくると、 volution for Death" ジャック・ダンツク「グロリアナ」 "Gloriana" 、スティ 「カッサンドラ」 "Cassandra" O ・ 賞の世界もにぎやかになってくる。例 1 ヴン・ドナルドスン「コヴナント年代 ・チェリイ 年この種の賞の先陣となるのがアメリカ 記」 "Chronicles of Thomas Covenant 作家協会のえらぶネビュラ賞。受賞が決 the UnbeIiever" など。なかなかカ作揃 まるのは四月二十一日とまだ先だが、候補ごらんのように、〈ノヴェル〉以外はど 作ははやばやと発表されている。 のカテゴリイも候補作わずか二 ~ 三篇とな ・「デューン」映画化ニュース っているが、これは予備投票が極端に分散 フランク・ したためだという。アメリカの界でも 〈ノヴェル部門〉 ハートの現代クラシ 作品の多様化が目立っということだろう 「ドリームスネーク」 "Dreamsnake" ック「デ、ーン / 砂の惑星」が、「キング ・カ ヴォンダ・マッキンタイア コング」などの製作で名高い、ディーノ・ 「異星の人びと」 "Strangers" ガ 1 ド マッキンタイアの長篇は昔ネビュラ賞をデ・ラウレンティスの手で映画化されるこ ナー・ドゾア 獲得して本誌に訳載された「霧と草と砂ととなった。 「衰えゆく太陽【ケスリス」 "The Fa ・と」のノヴェライズである。また、ヴィダ ラウレンティス側の発表によると、この ded Sun 】 Kesrith" O ・・チェリイ 1 ルの作品も一部が訳されている。チェリ映画、「ジョーズ」に次ぐ史上第一一位の規 「カルキ」 "Kalki" ゴア・ヴィダールイの長篇は新たな冒険ファンタジイ三部作模の小説 / 映画タイ・アップ作品になると 「かくれた声」 "Blind Voices ・・トム・ の第一部。一方、 リ】ミイの方はこの惜しのこと。すでに作者ハ ハートの手には映 まれて逝った作家の遺作である。どうやら画化権料として百万ドル以上が支払われて 〈ノヴェラ部門〉 〈ノヴェル部門〉も新しい世代の作家たちおり、ハー ートはこの映画の脚本に現在 「残像」 "The Persistence of Vision ・・に占有されてきたようだ。 とりかかっているといわれる。 ・ンヨン・ヴァーリイ 〈ノヴェラ〉はおそらく邦訳もされたヴァ 「デューン」映画化の話はすでに数年前に 「アメリカ七夜」 "Seven American ーリイがとるだろう。〈ノヴェレット〉も一度あったのだが、諸々の難点から現実 Nights" ジーン・ウルフ 〈ショート・ストーリイ〉は混戦。逆にい に製作されるまでには到らなかった。その 〈ノヴェレット部門〉 えば図抜けた作品がなく、ちょっとさびしため、今回にかけるハ ハートの意欲はな 「ロウソクの輝き、一角獣の眼」 "A い気もする。 みなみならぬものがあるらしく、シリーズ GIow of CandIes. A Unicorn ・ s Eye" 第四作「デューン」第四部の執筆を一時中 O ・・グラント 他に、英国ファンタジイ賞のノミネート 断してまで、映画の方を先行させているよ 「きみの知らない悪魔」 "DeviI イ ou も発表されている。これは別名〈オーガスうだ。監督は現段階ではまだ決まっていな Don't Know" ディーン・イング ト・ダーレス賞〉で、昨年は長篇部門で。ヒ いらしいが、いずれにせよ、あのラウレン 「ミカルの歌う鳥」 "Mikal's Song- アズ・アンソニイが受賞している。リスト ティスのことだから、かなりの大物をすえ bird" オ 1 スン・スコット・カード が長くなるので長篇部門で目立ったところることだろう。今後のニュースが注目され 〈ショート・ ストーリイ部門〉 る。 をあげると、リチャード・カウバー「コー 「ストーン」 "Stone" エド・プライアレイへの道」 "The Road to Corlay" タ ( 安田均 )

10. SFマガジン 1979年5月号

ス」を監督している。 「まぬけ」 "The Half Wit" は、まの抜けた ギャングの一味を改心させる話だそうだが、なぜ これがファンタジイなのだろう。とにかく、アメ里 リカの資料に載っているのだ。 船「危険な手」 "The Hand of Peril' ・は、線底 が壁を透明にする。 「大使館に勤務して」 "ln the DipIomatic Ser- vice" は、電気応用革命的対航空機砲の話。 「パトリア」 "Patria" は、アメリカが日本とメ キシコの同盟軍の攻撃を受ける。この作品は全十 五話の連続活劇で、原作は ( ート系の新聞に連載 された新聞小説。 「潜水艦の秘密」 "The Secret of the Sub- marine" は、海水から酸素を作る方法を開発し、 無限に潜水が続けられるようになった潜水艦の話 で、これも全十五話の連続活劇だ。 「海底六万里」 "20, 000 Leagues under the Sea" は、ヴェルヌの「海底 2 万リーグ」と「神 秘島」から脚色した作品で、上映時間一〇六分の 大作。以前フィルムセンターで上映された時に見 た版では、巻頭に水中撮影を担当したカメラマン の紹介がついていた。 「ローラ」 "LoIa" は、別名「 ithout a SouI' ともいい、医者の娘が、生命を復活させる機械を 発明した父親の手によって生き返らせられる。 O ・ディビスの戯曲が原作だ。 一方イギリスでは、「悪魔との取引き」 "A 家 讐 Deal with the Devil" という作品で年老いたの 化学者が悪魔に魂を売った代りに若さと、少女をみ 叺得る。 また「逆もまた同じ」 "Vice Versa" は、尊 ィーを