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1. SFマガジン 1980年1月号

ったようである。 ・オプ・ダークネス』は来年出る予定。この ・ヒューゴー賞速報ー またクラーク , もネビュラ、ヒュ ゴーのダアンソロジイは大判のトレード・ 本年度ヒューゴー賞の受賞作が例年より早・フル・クラウンではなばなしく最後を節っ ックで出版され、かなり豪華なものになるよ く判明したのでお伝えすることにする。なおた。 うだ。ジョージ・・・マーティン、ロジ 残念ながら次点等は不明である。 このほど新設されたノンフィクション部門 ャー・ゼラズニイ、ペン・ポーヴァ、エドワ 〈ノヴェル部門〉 ーイ ( の粒がそろっていたために何が受賞 ード・プライアントなどが作品を寄せ、その 『楽園の泉』アーサー・ O ・クラーク ( 本誌するか興味のあるところだったが、名著とも一篇ごとにイラストが入る。アーティストは 連載中 ) つばらの評判であるニコルスの百科辞典がとアリシア・オースティン、マイケル・ウィー 〈ノヴェラ部門〉 ってしまった。 ランなど。 「わが内なる敵」 "Enemy 一 ne ・ : ハリ ハリー・・ロングイヤーは昨年はハイベ ースで作品を発表し、ついにキャンベル新人『プラッズ・ア・ロー ー』 "BIood's A 〈ノヴェレット部門〉 賞まで取ってしまった。まさに「期待のホー 「 er" ( エース・ブックス ) 「サンドキングズ」 "Sandkings" ジョージ。フ」といったところ。 何かエースの宣伝をしているようで申し訳 ・・・マーティン ハーラン・エリスン十 なしが、これは何と「 ・出版ニュース 九年ぶりの長篇 ( と表紙には書いてある ) 」 「十字と龍の道」 "The Way of Cross and 今回はニ、ースも夏枯れといった状態でめであり、しかもあの「少年と大」をベースに Dragon" ジョージ・・・マーティン ・ほしいものがない。そこで最近出た ( またはしている ( ! ) というからもうびつくり。お 出る予定の ) 本で目に付いたものをあげてみまけにイラストはかの有名なるリチャード・ 「百科辞典」ピータ コ ー・ニコルス編 ることにする。 ーベン、それに一九七五年に制作された 〈ドラマティック・プレゼンテーション部門〉 『パシリスク』 ( エース・ブックス ) 「少年と大」の映画のスチールが入っている 「エイリアン」 ( 映画 ) ファンタジイのオリジナル ( リプリントもという。 ( この映画は以前に本誌でも紹介さ 主な受賞作は以上の通り。次にノン・ヒ、含む ) アンソロジイである。イラスト入り。れたことがあるのを覚えておられる方もある ーゴーの受賞作をあげてみる。 顔ぶれは、ジョーン・ヴィンジ、・・ラだろう ) 〈ジョン・・キャンベル新人賞〉 フアティ、マイクル・ビショップ、エリザベ ハリー・・ロングイヤー ス ・リン、・・ル・グインなど。中でも『ヴィンセント・ディフェイトのハード 凄い ( ? ) のがビショッ・フの短篇の題名で、 ウェア・カタログ』 ( ワークマン ) レイ・・フラッドベリ 「ジョージア州、クズ・ ・ハレーの三島由起夫 ディフェイトと一 = ロえば本誌「アーチスト 文化協会」 ( ! ) ア・ラ・カルト」で紹介したのを覚えておら ノヴェルを除いては前回お知らせしたロー れる方もいるだろう。要するにこれは昨今流 カス賞と結果はまったく同じになってしまっ 『ドラゴンズ・オ・フ・ライト』 ( 同 ) 行中のイラスト・・フック。「。ハ ーロウの地球 た。したがってジョージ・・・マーティ これもオリジナル・アンソロジイだが、外生物ガイド」に続くものだろう。今度は ンはノヴ = レット部門でネビごフ、ローカ「龍」をテーマとした作品を集めている。編「メカ」のカタログである。ディフ = イ ス、ヒューゴーのトリ。フル・クラウン ( ! ) 者は今をときめく若手作家のホー。フ、オース トならではのメカの数々 : : : こういうのはこ を成しとげたわけである。またリー・ ン・スコット・カード。このアンソロジイはちらでも売れそうな気がする。 グイヤーも同様。この二人の人気は圧倒的だ二巻もので出す予定で、二巻目『ドラゴンズ ( 島田武 ) ー 5 7

2. SFマガジン 1980年1月号

ることができるであろう。めでたし : めでたし : p-ä・ニーヴン・ 。ハーネル著 などという書き方をすると、すぐ素直 じゃない読者は、 ( あっ、こいつ、『悪 ュ『悪魔のハンマー』上・下 魔のハンマー』を、本当はけなしたいん だな ? ) と邪推するに違いない。が、そ 川又千秋れは少なくとも、五分の四は正しくな レ 本書『悪魔のハンマ 1 』は、まぎれも つまり筆者は、先に挙げた本書の素晴 ない第一級の成功作である。明らかすぎらしさを、心の中の八十パーセントの部 るほど、と言ってもいい。 分で、完全に納得しつつ、この作品を楽も、だ ) の部分に、やはり、どうにも。ヒ それを細かく検討していたら、キリがしんだからである。 ンとこない甘さを感じるからだ。むし ないので、以下、要点だけを列記しょ では、残りの二十パーセントとは何ろ、純粋な小説であれば、 ( 逆説的 に ) この甘さは許されると思う。だが、 まず、正確な科学知識に裏打ちされ僕は、『悪魔のハンマー』の頁を繰りある程度の大衆性、広汎な一般読者を想 た、堂々たる設定 : : : 生き生きと書き分ながら、かって読んたふたつの作品を思定するなら、″マントル対流によって、 けられた、さまざまの人間群像 : : : 緊密い浮かべていた。 列島が日本海溝に落ち込む〃というくら で、しかもスリリング、読者を決して飽びとつは小松左京の『日本沈没』であ いの切実さ、蓋然性の提出に頭をし・ほっ きさせない見事な小説展開 : : : 知的かつり、もうひとつは、ジョージ・・スチても良かったのではないか ? とわ 的確な文明観と、そこから導かれた現代ュワート の『大地は永遠に』 ( ハヤカワ そして、下巻 : : : 『大地は永遠に』 に対する鋭い洞察 : : : 充分に制御され、シリーズ 3182 ) だ。 も、やはり破滅後のアメリカで、混乱の 洗練された構成と文脈 : : : エンタティン そして、『悪魔のハンマー』上巻を前 なかから立ち上がろうとする人々の物語 メントと哲学の、上品で無理のない結合者と、下巻を後者と比べていた。 なのだが、こちらの方は、『悪魔の・ ・ : それら全ての巧妙なプレンド : そしてどう思ったかというと : ・ : 』とは違い、前時代の文明に固執する トセトラ、エトセトラ。 まずはじめの比較で、僕は『日本沈ことなく、ごく自然に、一歩後退した地 恐らく、本書に関するかぎり、担当の没』の方をとる。その理由は、彗星が地点から、別種の道へと歩み出す展開をと 編集者が惹句に苦労するということはあ球との衝突コースを進んでくる、とい っている。そして、そのために、神話形 りそうもない。彼は心の底から、思うが う、そもそもの仕掛けづくり ( それがど成期を思わせる象徴性と、一種不思議な ままの文句を駆使して、本書を賞め讃えれほどタイトに書き込まれていようと余韻をかもしだす。 悪魔の にツを 8

3. SFマガジン 1980年1月号

〇読者のつくるべー ) ン 0 , リ目タース・ストリイ 選・評 豊田有恒 まっさきに、お詫びしなければいけないのヒ、、 上へのような月は、決めるのに苦労する。そ参考作「見果てぬ夢」愛原政人 ( 三鷹市 ) は、先月号、原稿ができなかったこと。まっ こで、参考作として掲載する。 これはまた巧く書けているのだが、それだ たく、編集部と読者に、なんといって、お詫参考作「惚薬」 波多野伸幸 ( 広島市 ) けの感じで、刺戟がない。どこが悪いのかよく びしたらいいか判らない。取材先の下北半島 t-n & 作家になりたいと言うだけあって、 判らない。 このままで充分、通用するのだが、 で書きあげる予定でいたところ、風邪でダウまとまりは悪くない。そっなく書けていると なんとなく底が浅いような気もしてしまう。 ン。なんのために、下北くんだりまで行った評するべきだろう。これまでの作品の努力もこの水準の作品が、何本も書けるようなら、 のだろう ? こんなことなら、自宅のある下。フラスした意味で、掲載することにする。すごいものなのだが。かといって、苦手のニ ( 世田谷区下北沢 ) にいればよかった。 社のショート・ショート集にも、応募してみューウェー・フ調ではない。選者の好みの傾向。 今月の選評は、お詫びと愚痴と弁解から始るといし 。星さんが、どう評価するか判らな「任務完了」 谷口由美 ( 長野県 ) まってしまった。 いが、なるべく売込みの間ロは、広げておく スターシッ。フ・テーマというのも珍らし 清書を呼びかけたところ、きれいな原稿がほうがいい。他に、 co & 振興のため、ひと い。彼が生まれ育った場所が、宇宙船の中だ 増えた。それはそれで、ありがたいのだが、 つのプランがあるのだが、今は言えない。そったという設定を、途中まで伏せているあた 清書は自分の書いた原稿の再吟味のためであのうち発表する。 りも苦しい。それとは別にオチはあるのだ る。そのうえで不満がでたら、線で消して脇参考作「。フラス研究」 力いかにも説 , 得力不足。巧く書けていない へ書きなおしてもかまわない。小熊健之くん 広瀬あづみ ( 川崎市 ) からだ。少女漫画の原作と考えれば、悪 のように、貼りかえたりしなくてもよい。も インパクトは、こっちのほうが強烈だっくないアイデアなのだが。 っとも読みずらい秋葉すぐる君の字にも、もた。が、最初の夫婦の会話など、稚拙そのも「つまはじき」 宮村静男 ( 東京都 ) う慣れた。問題は、内容なのである。 ので、入選にはできそうもなかった。宿母地ロオチの & とは珍し、 しノ、刀・トタ 今月は、なんとしても判定がくだせない。 ( ホスト・ マザー ) というテーマは珍しい ハタ・タッチに書くには、文章が硬い。三十 最近は、レベルアツ。フしてきたので、入選作もっと巧ければ、はるかに恐い話に仕上がっ二歳という年齢なら、もっと軽妙にいけるの を出すようにしているのだが、ドングリの背ていたはずなのだが残念だ。 ではないだろうか ? この文体は、短篇むき ロ 8

4. SFマガジン 1980年1月号

ⅢⅢⅢⅡⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅡⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅡⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢ : ⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢ きアポロの怒りをうけ、以後その予言は かるように、ヨーロッパが盛り上っ てきているのは、まぎれもない事実なのあたるものの、凶事をつげるものとし である。 て、人々は耳を貸してはならぬものとさ れたーーーと、こう書けば、この物語の語 フ結論からいえば、一九七八年のアメリ ウカ界は従来にない異色の年だったとろうとしていることも明確になるだろ ーゴー各受賞う。 えようか。以下、ヒュ ン 一 ( 侯補 ) 作家の説明にうつる。 ショート・ストーリイ ジ 短篇部門受賞のキャロライン・ジャ ニス・チェリイは一九四二年生まれ。ジ ン ョン・ホ。フキンズ大学を卒業後、オクララ ホマで美術の教師をしていた。この人は ど五割を占めているのだ。また、マキャ最近増えつつある、いきなり長篇からデ チェリイの作品は。ヒュ ビューするタイプだ。一九七六年に、一ズ フリイやカ 1 ド、 アなファンタジイに近く、ディッシュや種ヒロイック・ファンタジイの『イヴレ ルの門』 "The Gate of lvrel" で登場。ャ エリスン、。フリーストにしたところで、 " サイ = ンス・フィクシ , ン。とはとて以後、・フ ' クスから現在までにすチ・物 も呼べない。この中で、はっきり伝統的でに十冊の長篇を出している。この年の なといえるのは、アンダースンのも候補作となった長篇は、恒星間戦争を人 のくらいである。 類と戦った傭兵種族の減亡と再興を謳う また、雑誌の盛り返しも大きく現われロマン。いささかアラ・フ民族的イメージ が漂いすぎる気がするのだが、そうした ており、長篇を除けばすべて雑誌に 載ったものばかり。オリジナル・アンソ エキゾチシズムも人気のあるところなのン だろう。長篇では受賞を逸したが、短篇イ ロジイからは一篇も入っていないという ではこの「カッサンドラ」で見事に賞をン 有様だ。 そして、外国の影響だが、ここに射とめた。 ( チェリイが書いた短篇は、 はイギリス作家として、プリーストの名これがわずか二作目である ) があがっているくらいだが、そもそもこ 題名の「カッサンドラ」は、ギリシャ のヒューゴー賞が授与される世界大神話の女予言者。アポロ神の寵をうけ、 トロヤの滅亡などを予言したが、あると 会がイギリスで行なわれたのを見てもわ 5 3

5. SFマガジン 1980年1月号

だから・ハロウズというのは、親しみのあ ね。これが文化的背景によるのか、遺伝に素晴しいことになるよ。 る、特別ないつぶうかわった、すばらしい よるのか知らないけれど、男はある種のば嫌いな作家はありますか。 かげたオモチャで遊ぶ傾向があるんた。 特に : : : 言えないな。そういう考え方作家なんた。ところが文章はうまくなかっ ( 笑 ) 女の人はそれを見て「・ハカね」と言はしないんだ。愛するのが流儀だ。ジョー た。おかしなものでね。文学という見方か うのさ。 シェークス。ヒらすると、うまくはなかった。それでも、 ーマン・メルヴィル、・ ()5 見事に夢を描いた。私を夢中にさせた。そ 0 ニューウェイヴについてお話しいア、聖書、 たたけますか。 れで充分しゃよ、 オしか。こう一一一口ってくれる人 ・ウエルズのような仕事をしようとしてい 話せないんだな。というのは、よく知る。嫌いな人なら、こちらから近づかない があれば充分なんた。「大胆に、愛してい らないんだ。時間がなくて読んでいられな から、名前をあげることもできない。仮にると云ってみろ」と。「そして立ち向かえ ノロウズ 。自分の小説やエッセイや戯曲を書くの好かない人の名をあげて、その人を君たちば、宇宙にひきよせられるーと。 に忙しくて時間がない。 が好きたったら悲しいたろう。 はそれを言ってくれた。天文学者のカール ・セイガンも同じことを言っていたよ。 特にお嫌いというわけでは : 0 お好きな作品は。 ハロウズが私を天文学に夢中に とんでもない。そんなばかなこと。 むすかしいね。数が多いから。界「・・ ろいろやればやるほど、先へ行ってからよ全体から影響を受けたからね。私が八歳とさせた」と。「宇宙に惚れさせた」とね。 ・・ウエルズが私にとっては二番目 か十歳のころは。 り成果が上がるんだ。 OZ お好きな作家は。 ライス・、、ノ 、ロウズならの人た。「来たるべき世界」を観たのが十 4 」たエドガ 五歳のときで、映画のおわりで、カベルと : ターザン、火星のジョン・カーター ジュール・ヴェルヌ ! 敬愛する人 た。二年前にフランス政府が私と妻を招待 : ・ああいう本で、たとえばジョン・カータもうひとりが、子供たちが月に出て行くの 「これつ してくれてね。ヴェルヌ生誕一五〇年を祝 ーなら「夏の芝生の上に出ておいで。赤いを見てる。そこでこう言うんた。 星″火星〃を見上げてごらん」と云ったわきりかしら、このあとどうなるの」する ったんだ。わが英雄の誕生を祝うために、 私が招待された。素晴しいことだよ。 けだ。「手をのばせば、君たちを連れて行と、「これすべてか、これきりか。墓場に 私がヴェルスの生誕を祝いたいのは、あってあげる」と。 入って、塵と虫とにまみれるか、それとも つまり、十二歳ぐらいのころ、そう云わ未来か、宇宙旅行か。どちらを選ぶね」 の人こそ、われわれが今しゃべっているこ とについて考えた人だからだ。われわれをれて、私はそのとおりにしたのさ。以来、と。十五歳た 0 た私は、映画館を出て「こ 変える機械、われわれにかわって夢見る機私は戻って来ていない。大昔に火星に行っれが ' ほくの未来だ」と思ったね。だから、 ロウズは たきりなのさ。 械。われわれさえ間違いを犯さなければ、 、にー・、ノョ 1 ー、

6. SFマガジン 1980年1月号

語は必修課目。これも、天国の幽口が減り、 のようである。よくできた短篇も、目下のというのがあるがたぶん読んではいまい。 「生中継」 秋山幸一 ( 新座市 ) 地獄の幽口が増えたため、協定ができて、地 界に不足がちな一分野である。 タイム・マシンテーマ。途中までの運びは獄の亡者のうち、徴罪の者は天国へ廻される 「巨像」「知らねえほうがいい」 堀越幸一 ( 東京都 ) 面白いのだが、オチがよく判らない。というという話。もっと面白くなるはずだ。 斎藤宗幸 ( 明石市 ) 「透明世代」 常連のなかでは、選者と感性の合わない人より、何通りにも解釈できる。ここは、はっ 二十一歳の青年が、こんなジェネレーショ きりさせたほうがいい。 の一人だが、今回は、アイデアストーリイ。 ン・ギャツ。フの話を書くのは、不思議な気が 小熊健之 ( 東京都 ) 「巨像」は、悪くない。ただ、戦争を思わせ「めいわくな声」 る用語、文化など、すべて抹殺された世界とその人の本音が聞こえるというテーマだかする。なんとなく嫌な気分になった。今の若 いもんは : : : というセリフは、古代エジプト いうアイデアには、星さんの「白い服の男」ら、これでもかこれでもかと、しつこく書き のパ。ヒルス文書にもあるはずだ。若い世代 という傑作があり、やはり気になった。このこんだほうが効果的。ということになると、 & にならない。本音と建前のギャグだけが、良い子良い子ばかりで、いてもいなくて 人の持っ文体のムードは捨てがたいのだが。 「野球というものは」堀川幸成 ( 東京都 ) で、相当に書きこめる。しめくくりは悪くなもいい存在感のない、別の人種になるという ーいくら巧く書けていても、中年 いのだが、短篇の結末であって、 & のオアイデアよ、 地球人と異星人の野球の試合。こういうア イデアは、もっと小出しのギャグが必要。三チにはならないようだ。もう一篇「ロポット向けの週刊誌の記事みたいだ。 本間にはさまれたアメー型の宇宙人が、人たちの冬」も、やはり短い。このアイデアで、 小松崎顕功 ( 茨城県 ) 「漂よう人々」 工芝に溶けこんで、タッチを逃がれセーフ。 四、五十枚、書けたらすごいものだ。人類が苦手な作品のコメントは、あとになってし 鳥型宇宙人が、ホームランポールをくわえた亡びた後、命令してくれるはずの次なる生物まう。よほど巧く書けていないと、たった八 ためアウト、。 いくらでも、ギャグがが進化してくるまで、ロポットたちが冬眠に枚でも、もたなくなってしまう。先月号の久 出そうなものである。 入るというアイデア。これは、壮大なものだ。久の山野浩一氏、たったあれだけのアイデア 「あのころ俺は : : : 」広瀬彰 ( 沼津市 ) 「戒め」「悪魔が見えるという男」 で、短篇一本かけてしまう、すごい才能なの 吉田一 ( 東京都 ) だ。惜しむらくは、才能があまりすぎて、努 選者との感性の接点を求めたのだろうか ? 大黒柱の父親が死に、秀才の兄が重態で、ダ首吊り自殺をすると、締められた首から魂カ家でない点だ。選者とは、正反対の作家だ メ男の自分の出番ーーーというような青春の軌が抜けでるまで、本人の意識も苦痛も、はつろう。山野氏の良い所を見習うべきだろう。 跡は、いわば、選者の公式見解。他の作品だきりしている。繩をほどかれたとき、はじめきみには、そういう感性がある。 菅原豊次 ( 石巻市 ) が、大医学部入試をめざす話があった。偶て魂が抜けでて、死ぬというオチも面白い 「光精子」 最後になったのは、困ったからである。も 然かもしれないが、他人に書かれても、あまもう一篇は、よく判らない。面白くなかった。 り共感は持たない。 高橋有紀 ( 入間市 ) うそろそろ、編集部へ直接、長いものを送って 「輝ける未来」 「ツキ」 中峰修一 ( 保谷市 ) 天国と地獄テーマというのも、よく来るアほしいと思ったからである。明らかにこの方 物語の運びが幼稚なので読むのに苦労したイデア。地獄がサラリーマン化したとか、亡にとっては、八枚が制約になりはじめてい が、ツキというものの性質をつきつめたアイ者が観光客化したとか、いろいろ、ひねりかる。このアイデアは、長篇の小出しのアイデ デアではある。アイデアだけ貰って、誰かが書たがあるのだが、落語「地獄八景」の面白さアとしてしか使えないような気がする。ファ くしかない。ハインラインに「大当たりの年」に匹敵する作品はない。を書くには、落 1 マ 1 『恋人たち』に似たアイデアがある。

7. SFマガジン 1980年1月号

「惚薬を売ってあげる事」 一週間後、俺は公園に行った。だが、いっ もとは違う。今日はデートなのだ。 「惚薬 ? 」 俺は、再び驚いた。〈そんな目付きになっ べンチに坐り、彼女と楽しく過ごした。 ていたのか。いつも、アベックばかりを見て「さよう。私の造った惚薬で、あなたは恋人 まさに″目はロほどにものを作れる」 「君、何かべット飼ってる ? 」 いたからな : ・ を言う″わけだ〉 黒マントの男が、声を低くした。まるで、 俺が尋ねた。彼女には、白い小大が似合う と思ったからだ。 「羨望と嫉妬の眼指しで、アベック達をキョ他人に聞かれる事を恐れるかの様に。 「ええ。″カエル″と″ヘビ % それに、″ナ ロキョロ見回す。これを、恋人をほしがる為「つまり、この惚薬を女性に振り掛ければい メクジ〃」 と言わなくて、なんとする」 。そうすれば、あなたの様な人にでも、た ちまち恋人はできる」 黒マントの男は言った。 「は、はあー。お恥ずかしいしだいです」 俺は驚いた。〈えらく変わったペットだ 黒マントの男は、小さなビンを取り出した。 俺は、恐縮した。自分の醜い心を見せてし「でも、本当に効くのですか」 な〉 まったから。 俺は、この薬に効果があるならば、全財産「どうして、そんなもの」 を投げ売ってもいいと思った。とにかく、恋 「なに、そんなに自分を卑下しなくてもい 人がほしいのだ。 。誰だって、そういうものだ」 「それが : : : 昔は″リス″を飼っていたの。 俺は、ほっとした。と同時に、疑問が湧い 「それは保証する。ほれ、あそこのアベックでも、一週間前に捨てたわ。なんだか、醜い た。〈誰だ、こいっ ? 初めて見る顏だが : ・達を見てごらん。皆、この薬のおかげだ」 ものの方が可愛く思えてきて : : : 」 。しかも、どうして俺に話しかけたのだ。 黒マントの男が指差した方向には、四組の 全く判らん〉 ア・ヘックがいた。どれも皆、プ男が相手だ。ーーー応募規定 「あなた、一体誰ですか」 「本当ですか。嘘じゃないでしようね」 日応募資格一切制限なし。ただし、作 俺は、恐る恐る尋ねた。 「本当だ。私は科学者だからな。詐欺師と違 品は商業誌に未発表の創作に限りま 「や、これは失敬した。まだ、自己紹介してう」 す。 ■枚数四百字詰原稿用紙八枚。必ずタ なかったな」 「そうですか ! それでは一つ : テ書きのこと。鉛筆書きは不可。 黒マントの男は笑った。 俺は、″黒マント から惚薬を買った。 日原稿に住所・電話番号・氏名・年齢・ 「私は科学者。あなたの様な方に、恋人を作〈嘘でもいし 使ってみるだけの価値はあ 職業を明記し、封筒に「リーダーズ ってあげる : : : 」 る〉と思ったからだ。 ストーリイ応募」と朱筆の上、郵 又々、俺は驚いた。 その帰り道、一人の女性に惚薬を振り掛け 送のこと ( 宛先は奥付参照 ) 。ペン 「恋人を作るウ ? そんな馬鹿な」 ネームの場合も本名を併記してくだ た。そして、彼女に言った。 さい。なお、応募原稿は一切返却し 俺は笑った。だが″黒マントは真剣だ。 「あのー。よろしかったら今度、僕と会って ません。 「いや、本当だ。恋人を作ってあげる。しかもらえないでしようか」 国賞品金一封 くら私でも、 し、無から作る訳ではない。い 俺は、彼女の返事に期待した。そして : ・ 掲載作品の版権および隣接権は早川書 それは無理だ。私がやれるのは : : : 」 満たされたのだ。彼女は、承諾してくれた ! 房に帰属いたします。 「あなたがやれるのは ? 」

8. SFマガジン 1980年1月号

私の一生を完全に変えてしま 0 たんた。こで会「たんたけど、まだアイディアにあもあの船で一緒に宇宙へ行きたいよ ( 笑 ) ふれかえっているんだ。 ( インラインはそ誰でもそうだろ ( 笑 ) の二人に恋いこがれてしまったのさ。 クラ もう少しお友達のことをきかせて下さ の前の週にスリランカでアーサー 0 ~ ェイ・フラム・メリッ 、。私はジョーゼフ・マグナイニの絵が大好 クと会ってきたばかりだった。 読んだのは、「 Burn, witch, Burn 」と ( インラインからいつも受け取る印ときなんですが、最近は一緒のお仕事は : ・ : あと四、五冊かな。私に対しては大変 いうのは、アイディアがイマジネーションまた、するよ。彼はここの部屋にも、 な影響があった。愛らしくて、ファンタス とぶつかったときのイン。 ( クトだ。だからるよ。そこの汕絵も、海の景色もジョ ティックなものだ。一九歳のとき、メリッ ハインラインは、しよっちゅうこっちをふマグナイニのだし、君たちのうしろにも : ーヨークに行ったときの トに会った。ニュ : このすばらしい家の絵が : りかえって「こんなアイディアはどうた」 ットはウィリアム・ランドル 今でも一緒に仕事をなさいますか。 とやる。 ースト氏の下で週刊誌を発行してい うん。二人でいろいろのことをやって て。彼のオフィスに入っていって、サインクラークはどう思いますか。 いる。新しい本が七冊 天才た。科学者であり をもらったよ。たから : : : あと四、五冊書すばらしい いているけど、私には多大な影響のあった 作家でもある。私は科学者ではないけやつ。はり、お気に人りのイラストレー ターですか。 人たね。 れど、クラークはとびぬけた人た。両分野 信しられな うん。すばらしい男たよ。 0 ~ ハインラインはっ・・ で優秀なんたから。とても真似はできない 、。すばらしくて、愛すべき男さ。 いつね。世界の歴史を変えた人なんだよ。とい 私の先生だ。同しころ、下町へ て、カフ = テリアに行っていたんだ。十七うのは、通信衛星は今でも地球のまわりをフラゼッタとは仕をしたことは 歳の時た。 ( インラインもグループのまわ「ているけど、あれはクラークの発明知「てはいるよ。作品もすばらしいと 。自分じゃあまりそのことを思う。彼はいくつか、私のペ なんたからね ひとりで、フォレスト・ *¯•・アッカーマン 言わないけど、あれはクラークの発明た版の表紙を書いてくれた。カートウーン・ や他の人達もいた。ハインラインは三十一 コレクションだ。その他は知らないけど、 だったけど、十いくつかの私を受け人れてよ。 尊敬してる。将来、一緒に仕をしてみた くれた。大目に見てくれた。すばらしい先「未知との遭遇」と「スター 生たった。アイディアにあふれていた。そズ」では、どちらがお好きですか。 れが大事な点たと教えてくれた。私は一度「未知との遭遇」の方が好きだね。あなたご自身のことで、これから長篇 を書かれる予定は 「スター ・ウォーズ」は面白いけど「未知 としてそれを忘れたことがない。 去年また ( インラインと O<<'-Ä、との遭遇」は哲学だ。わくわくするし、私た「た今も、長篇の探偵小説にかカ っ 4

9. SFマガジン 1980年1月号

円 ll ⅢⅢ川Ⅲい lll Ⅲいい ll 川い山Ⅲ円山川川ⅢⅢ川ⅢリⅢ ll いⅢ山川川ⅲ川い山川川ⅱⅢい川ⅢⅢいⅢ山ⅢいⅢ川い山川い山ⅢⅢⅢⅢいⅢⅢⅢⅲ川円Ⅲ卩卩ⅢⅢ甲ⅲい甲いⅢ叩Ⅲに ありませんが、日本の誇るハード作家、石原 Ⅳ 藤夫氏の「オロモルフ号シリーズ」も、今回が連 原載聞 7 編集後記 石満 2 作の最終回です。数学的なイマジネーションのあ ア ードにまった ほ評 マガジンが、定価は従来どおりですが、頁なまぐさい組織の動きなど、ハ 好Ⅷ 数が少しふえました。 く興味のない方にも充分に堪能いただけるものと 国他ど ( もちろん、そのぶん内容の充実もはかるつもり思います。こちらは、石原氏に科学工ッセイなど です。今月号は中島梓氏によるプラッドベリ・イを追加していただき、ユニークな本ができる予定 深 ードはマイナーなジャンル ンタビ「一ウ。中島氏は今月、小説と二本立ての大です。いまや、ハ 学・ 科 O 活躍です。来月号は世界大会の写真や記事がではありません。いままで食わず嫌いだった方 号 ( 今 ) 掲載されるほか、一と月遅れになりましたが、萩も、・せひお読みになってください。 告月 連の ・石原氏の連載のおかげで、何やら科学に、とり 尾望都氏による連載コミックの開始です。 新宏 ところで今月は恒例のヒューゴー る昌 ・ネビラ賞わけ最近ではマイ「一ンに強くなってきたような気号年枚有 よ田Ⅲ 特集です。もっとも、恒例とはいいながら昨年、がしていた矢先、決定的な自信を得る機会があり 十月号に特集されていたのが一と月遅れというこました。所は加藤直之氏のお宅。最近購入された 吾「 とで、楽しみにされていたファンの方には今年はマイコン相手にチェスの試合を挑んだところ、連 ン 第 ⑩津劃 ( 中止なのでは、と御心配をおかけしてしまったよ戦連勝。儂はマイコンに強い ! しかし、その道 」會対Ⅷ 新 うです。しかしマガジンからこの特集が消えの権威に言わせれば、容量の小さなマイコンに勝 の 一ポ銀 > 殊 ( ることは、まずありません ( ヒューゴ 1 賞やネ・ヒ っても自慢にもならないとのこと。そういえば、 タ > レたク究特 ス ュラ賞が中止となったら話は別です ) 。また、昔あのマイコン、要領悪かったもんなあ。 スス会銹ッ研と は日本にニュースの到着するのが遅い、などの理「東キャナル市民の会」の合宿にまざって、秩父 ン丿 > 訳 = コ (f) 旅 「 ' 篇翻ア = 載育載都典河 由もあって、だいたい十月号ということになっては小鹿野に行きました。宿は秩父事件の本拠地た ま晃外ド外 連望古「 いましたが、次回はもっと早める予定です。まだる寿旅館。かって政府攻撃の気勢を上げたこの宿 原短海オ海界連瀬新尾進「 < 大 < 掘 < シ < 世く光 < 萩新夫Ⅷ に、今またファンの狂宴はめぐり来る。そこ 決定ではありませんが、たぶん来年の三月号にな にいかなる因縁があるのか卩よくは分らないも ると思います。御期待ください。 好評をいただいていた「楽園の泉」は、今月号のの、名残りの夏を楽しんできました。 ( 池 ) をもって最終回となりました。クラーク自身、こ・今月号から普通号が増頁になりました。これに ーマガジン一九八〇年十一月号 ( 第一一十一巻 れを最後に小説から手をひくといっている作品でともない「てればーと」欄も新たになり一頁ふえ 十一号 ) 昭和五五年十一月一日印刷発行発行所 すが、お楽しみいたたけたでしようか。この作品ました。今まで泣く泣く掲載を断念せざるを得な 東京都千代田区神田多町一一の一一郵川早川書房 は、間もなく海外ノヴェルズから刊行されるかった多くのお便りや情報を、これによって少し 東京 ( 二五四 ) 一五五一 ( 代 ) 発行人早 でも多く掲載することができるようになりまし 予定です。 た。これからもたくさんのお便り待「てます。 ( 田 ) 川清編集人今岡清印刷所誠友印刷株式会社 「楽園の泉」に歩調を合わせた、というわけでは 「道端の溝の中で殺した」 梶尾真治 ゴードン・エクランド

10. SFマガジン 1980年1月号

だが、そこではわが『光作一己」 ター・ニコルズの『百科事典』の第二 、一 1 糸ソタログ』のとのできない性質のものたからた。 の定義にしたがうとしよう。 第四〇番にリストされている″グル , ームプ ふつうの一般むけの解説書では、数式を 9 するとこのは、『ハ ード宇宙伝奇 / 一ノ″が舞台となっており、そっかわすに必死になって相対論の意味を説 』とか『ハ ド宇宙秘話』とかいうの舞台設定はきわめて 〃である。 明しようとしているが、それで核心の部分 言葉によってくくれるのではあるまいか ? ホールドマンという人のは、あたか が説明できている解説書というのを、私は またべつの観点からは『ハ ード用語』 も、過去の多くのによって踏みかため く幸にして読んたことがない。 に分類されるであろう。 られた固い地面を再度掘りおこしているよ この連載では、このことを考えて、前三 うなものたといえるだろう。 このを推奨する人たちは、そういう 回は結果だけをイラストによって報告する 宇宙秘話的な楽しみかたを心得ておられる つまり、踏みかためた土間を掘っている という形をとった。 のたろうし、またシリアスな立脚点から批 ようなものだ。掘る土間ってほんとに堅い つまり、相対論の意味については、数式 判される方も、そういう娯楽本位の ( ード からなあ : ・ を必要とするので、説明することをあきら の読みかたもあることは、認められる ( あまりにひとりよがりな文章がつづいた め、恒星船から何がどう見えるか であろう。 ので、忍耐づよい読者もさすがに元気を失 うその結果のみをしめすことにしたのであ る。 ( ただしそれたけに、ホーガンのその後のわれたことであろう。はやく次の節にうつ 作品には、逆に期待をもちたいと思う ) ることにしたい。節と節の間には、この連 ところが今月は、表題からもおわかりい 載の場合、節タイトルを挾んで二本の線が たたけるように、銀河旅行における四次元 じつをいうと、クライン・ユ ベルシュ ウラシ ひいてある。これが間じきりになっている の問題、とくに " 時間の遅れ タイン氏の諸作について論じるつもりたっ ので、急に話題が変わってもたいしようぶ マ効果ーーーの説明であるためハタと困っ たのである。 なのた。シキリって便利たなあーーとシキ てしまったのだ。 先月号でそれを書くつもりが、ページ数 リに感心したりして : : : ) 星空や図形の変形ならば、図示すること の都合であとにまわすことにした。で、今 ができるカ 、、、、″時間″というやつは、絵に 回書くつもりで、その枕として海外のハ 中学ていどの数式なので 描くことがじつになずかしい。しかもシュ ドをとりあげようとしたところが、そ ールにではなくリアルに描かなければなら がまんしてくたさい の上にさらに枕がいくつも重なってしま ( それでもアレルギーの出る方は「さて、 どうにもならなくなった。 いくら宮武さんでも、これはちょっとむ よいよ銀河旅行だリ」の節までとんで下さい ) 今月もまた見送ることにしよう。 りたろう。 蛇足ながら、あちらの、 / ード TJ 作家と 今月は数式でせまる。 結局、時間の問題を図にするには、グラ ・ホールドマンという人も クラフというのは なぜかというと、もともと相対論の物理フしか方法がない。で、・ おもしろい。『マインドブリッジ』を読ん的意味というのは、数式ぬきに理解するこ要するに数値であらわした数式なのであ