うな光速噴射にのみ適用されることを、 付表の中でちょっと注意していただきた光速以下の通常の場合には、数式は級数表 ことわりしておきたい。 いのは、③の一定推力のケースである。こ 示になる。積分が解析的にはできないから である。 さて、パラメータであるが、それは、 こで式を記しているのは、恒星船の推進シ 実用上は、いずれにせよコンビュ 1 タを ①一定速度航行↓速度。 ステムの噴射速度 3 が光速 '•に等しいとし 用いて計算するので、積分ができてもでき ②一定加速度航行↓加速度 た場合のみである。 ③一定推カ航行↓初期加速度飾 これは光子ロケット、 なくても大差ないのであるが、級数表示式 あるいは重力子、 である。 ニュ 1 トリノなど光速で運動するエネルギをここに記すのは大変なので、省略したの ( ただし加速度は地球からみたものでは 1 を噴射する推進システムに対してのみ適である。 用されることを意味している。 したがってこれからご説明するグラフのなく、恒星船の内部で認識される量である ) 以上で、準備はできたわけであるが、付 一定推力の部分は、光子推進システムのよ そうでない場合、すなわち噴射速度 2 が 恒星船の時間経過な〔年〕 0.99 地球の時問経過〔年〕 図 7 一定速度航行における時間系 ( タテ軸ョコ軸は何倍してもよい ) ( 可の = 恒星船の時間経過〔年〕 地球からの距離〔光年〕 図 8 一定速度航行における距離と時間の 関系 ( タテ軸ココ軸は何してもよい ) ー 07
を書いて投書が殺到しそのため妻子を守ターンとして ) 進んでいく。しかも、漠 ろうとして猟銃を買い込んだ、という実然とではあるが、小説がこれだけたくさ 生活のエビソードが示す如く、彼の生真ん書かれている現在では、それなりの約 ウ 面目さには不思議なパイアスがかかって束事のようなものがある。たいていはな いる。そしてこのィアスによって、彼んとなくだが必然性に従ってストーリイ のアンソロジーにもまた不思議な魅力がは展開し、御都合主義が出てくる場合 ( ヒ 漂うことになるだろう。 も、それなりの御都合主義の必然性とい レ うのはある。 左様、筒井のアンソロジーは読み急い 小説としての形をとったものが書かれ ではならない。それは、じわり、と面白 いのである。 ( 『実験小説名作選』 / 編だしたのは、近代にな「てからのことだ 割は大きいだろう。また、初期の作品に 者Ⅱ日本ペンクラ・フ / 選者Ⅱ筒井康隆 / ろうが、それにしても以来膨大な小説が 文庫判 / 416 頁 / 400 円 / 集英社 ) 書かれてきて、作者も読者も認めている関して、いわゆる一般小説誌が舞台とな 定型というものがそれとなくできてきた っていたことが母胎となっていたのでは のだ。 ないか、と考えられる。 横田順彌著 ところが、横田順彌の作品がふつうに そして、小説の定型を打ち破り、新た いわれる実験小説と異なるのはここから な小説の可能性を切り拓くべく、多くの 『対人力メレオン症』 実験小説も書かれてきたわけだが、横田先た。実験が目的ではなくおもしろさが 順彌の作品に関していえば、そうした実目的で書かれた作品が、事実非常におも 三井継験小説とは動機の点においてまったく異しろく、またおもしろさが認められれば なっているように思える。彼の場合に商業的にも成功するというわけで、実験 これはすでによく言われていることた は、作品の目的は定型を打ち破ることが的な要素の育ちにくい一般小説誌へと発 し、いまさら、という気がしないでもな第一義なのではなく、あくまでも読者を表の舞台が移っていったのた。 そうなると、いやおうなしに作品は前 いが、横田順彌の作品 ( ただし、いわゆおもしろがらせることが目的であるよう るハチャハチャと呼ばれる作品群のことに見うけられるからだ。しかし、結果と作と同じようなおもしろさを要求される だが ) はふつうの小説ではないようだ。 しては、小説の定型を破ることになってようになってくる。もちろん、一般の小 ふつう、小説といった場合、少なくと 説読の小説がマンネリばかりだ、などと 言おうとしているのではない。そうでは も作品の内部ではある程度の整合性を持こうした作品が生まれるについては、 ちつつ、話が起承転結といったあんばい という、定型への東縛が比較的少ななく、作家の側がプロの作家として、必 に ( そうでない場合も、その変則的なパ いと考えられているジャンルの果した役ずある一定の水準の維持を要求され、そ ' 0 円 2
11 一い一〔い一いい 地球の時問経過ー〔年〕 表 1 の式は国際単位系 ( メータ、秒、キロ グラム ) なので、的な銀河旅行にはち よっと不便である。 そこで、でおなじみの単位に直すこ ととし、時間の単位を″年距離の単位 を″光年″としよう。 また、加速度を、地球の重力と同じ″一 と仮定する。 こうすると付表 1 の各式は簡略化され て、 ( 若干の近似はあるが ) 付表 2 のよう ^ い ) -0 ) 1 よ 億億億億万万万万 -0- 0- 1 亠 0 0 「 1 -0- 1 亠 0 よ 地球からの距離—〔光年〕 になる。 れば、どういう値についてでも関係を読み 加速度がべつの値の場合の関係についてとることができる。 は、グラフの説明のところで述べる。 いずれにせよはっきりしているのは、吏 度が大きくなればなるほど、恒星船の時 ①一定速度航行のグラフ ( 図 7 、 8 ) 間経過がすくなくてすむようになることで 恒星船内の時間経過 % をもとにし、図 7 ある。 に地球の時間経過、図 8 に航行距離をしめ 地球からみたときの距離と時間は、速度 してある。 に時間をかけたものが距離ーーーというごく 一定速度の場合は比例的な直線のグラフあたりまえの関係で、相対論的なルートを だから、ヨコ軸とタテ軸を同時に何倍かす含む式は必要がない。 恒星船の時問経過れ〔年〕 図 9 一定加速度航行における時間関係。 加速度 0.5 0. lg 0 25 恒星船の時問経過れ〔年〕 図 10 一定加速度航行における距離と時間の関係。 ー 06
して、″銀河旅行″における時間の蹕覧を なぜだろうか ? 扱うので、ひとっモノはためし、時遅れ それをおはなしすることはまた、アイ ) , 8 の式をみちびいてみようー シュタインの相対論の理解にもつながるた となる。すなわち 図 3 をごらんいたたきたい。 ろう。 間遅れの式″とは、地球にいる人間が ・・ローレンツは一八五三年にオラ 宇宙船の中の時計を見た場合 ( あるいはそ ンダで生まれ、・終生ライデン大学の物理学 の逆 ) に、その時計と自分の時計とで、時 が得られる。 教授として、時代の先端をゆく学会活動を 間がどのようにちがうかーーーをあらわす式 」与 ( の学 これが時間遅れの式であり、 v-> ファン つづけた、アインシュタインといー である。 の間では″ウラシマ効果″と呼ばれている者である。 むろん、どちらの時計も、同し系に置い 式である。 とくいとしたのは電磁理論で、マックス てみればともに正しく、一致している同等 ( これとよく似た式にローレンツ短縮の式ウ = ルの創始した理論イ 本系をより完全なも なものとする。 というのがある。時間ではなくモノサシの のにし、さらにそこからすすんで原子が帯 このシチェイションは、要するに図 2 長さが双方の観測でどうかわるかをあらわ電粒子から構成されていることを推論し にある事象を、外部の別個に運動する物す式であり、長さを乙、とすると、、Ⅱ て、一九〇二年にノーベル物理学賞をうけ 体ではなく、恒星船の内部の時計であると ~ こー ( ミ 0 」・、、となる。時間遅れの式と したものである。 ローレンツはさらに、マイケルソン / , モ 形がそっくりで、関係は逆になっている ) だから、時計を恒星船の原点 ( 支Ⅱ 0 ) 式⑤から⑥への過程というのは、紙に書 1 ーリーによる光速不変の実験結果に刺激さ においたとすると、時間だがかわっても、 いてでもみていたたければおわかりと思うれ、とくいの電磁方程式をからませなが はに 0 ということになる。 が、まったく簡単な、冗談ではなくて、中 ら、つぎつぎに新しい理論を発表した。 このことから式①の左辺は 0 となり、し 学生ていどの式にすぎない。 そのなかでも有名なものは″ローレンツ たがって しかし、その結果はきわめて重要であ短 。縮″で、運動する物体はさきほどの乙と る。とにかく「時間が変わる」のだ。 の関係式によって短縮するのだと主張し .c Ⅱ鬯、 ~ 1 ー ( ドヾ、 02 という割合いによって : が得られる。 また運動する電子は光速で質量が無限大 これを式の①に代人すると、 となり、そのため超光速は存在しえないと 特殊相対論における真の基本式①と は、アインシュタインがみちびいたにもか も考えた。 かわらず、″ローレンツ変換″というよう こもっとも肉薄した ローレンツが相対論冫 に、ローレンツという学者の名が冠せられのは″ローレンツ変換式″の発見である。 ローレンツはマックスウエルの電磁方程 C ー
るかもしれない。 ような、年輩者の特権というものが成立し えない。 まあこれが世間 そこで、必然的に、年輩者といえども精 一般の話なのであ るが、の場合神状態だけは若々しくならざるをえないの である。 星 ) にはこのあたりの 私の場合でも、というものの存在を しょ事情はだいぶちが 示文っている。 知ったのは一九六三年ごろのことであり、 人の歴史が浅いからそのときすでに年齢は三〇歳になってい 准宇ナた てル 日本において TJ だから、を読みはじめるのと書きは っ しめるのとファン活動をはじめるのと よン関係の書籍がボ にカ ッポッと店頭に並的科学解説をはしめるのとインデックスを 作りはじめるのと、すべてがまったく同時 「びはじめたのは、 だったのである。 一九六五年ぐらい であろう。 そういうわけで、″過去の経験″という 図 そのすこし前か面では、現在二〇代の読者とほとんど変わ ら、本誌もあった らない。だから、「昔はこうたった。オレ し、シリ はこの眼でちゃんと見たよ、 、ー . し、刀学 / し もあったが、一般と言ってごまかすわけこま、 ても、「過去を知っている」点については の人が書店をぶらついて気づくほどではな うつかりそんなことを言うと、「いや、 年輩者にかなわない。 かった。 小学校のときテレビで見たけどそれはこう いくら本で読んで勉強していても、「い だから、一九六五年ごろに小学生で でしたよ : : : 」などと逆襲されてしまった やそれはちがう。オレはこの眼でちゃんと にとりつかれた人と、そのころすでに三 りする。 見た , と言われると、眉つばたなあーーーと〇、四〇、あるいは五〇になっていた したがって、ことに関するかぎり、 思ってはみても、かえす言葉がなくなって ファンと、その″生活んへのスタート 私の精神状態というのは、強制的に若く保 しまうのた。 はまったく同時たということができるので たれている。 そういう経験はこれまで何度かしてきたある。 もともと幼稚な人間が強制的に若くおさ し、これからもするだろう。また、そのう このような、年齢によらないスタートの えられるものだから、ますます幼稚にな ち私のほうが年輩者の立場にたつようにな同一性というものがあるので、他の社会のり、その幼稚さが以外の他の社会生活 M E RA K 0 u 8 HE PHEKDAR 6 ~ 3 0 ~ 3 っ 0 3 S 3 Ⅵココ E R E Z ・ CAMES VENACTI To ト oöアー A [ ー OT H A L c 0 R / 門 IZAR . THUBAN A L KAI 0 . B ー 2 3 十 6 7 8 9 ー 0 は島ー 5 P u し 5 E E ( H 0 D E LAY T ー M E ー & E cs. Du らド ー 00 0 0 0 YA 5 A ↓ 0 凵 RSA MAJOR 門を RA み 0 D リ 6 ” E こ 0 0
たが″収穫は無″かったんだろ ? 」 計機にやそんな事も見分けられねえのか ? 」 「言えるんだ」 「見分けられたのさ」 黒人はそうに白い歯をだして笑「た。 と黒人は笑おうともせず即答した【 「そんならどうして・生残った仲間の分をもっていって、死んだ奴「というのは寝ていて分け前を持逃げされ、タデウスに取返しても のを屍骸に残したんだ ? 金は屍体からは離れた所にキチンと鞄にらいながらフン捕まって召上げられちまったもひとりの間抜野郎て ムショ 取分けて置いてあったんだョ。タデウス , ーー逃げた野郎さーーが置のは実はおれだからさーーおれが刑務所がえりなことぐらい、お前 だってよく承知じゃねえか」 いていったんた。 だがナ、軍のつきとめたのはせいぜいその辺りまでの上っ面で、 ひょう ◇ 実さいはもっと複雑だったんだ】つまり、この三人の悪兵ども カその次ぎには、 は、たしかに軍の金塊を横領して逃走かった。・、、 こんどは中のひとりが他のふたりの分を横領して逃げたんた。怒っ 宇宙最僻の地、冥王星外ケルベルスのただ一つの設営ドームは、 た二人は といっても持逃げにさきに気付いたタデウスがすぐ追極冷世界とたたかう人類科学の研究と模索の出城だった。 掛け、もひとりは話のとおり寝ていて後から気がついたんた。タデ そのドームの、地球だったら少し大きな大学ほどしかない構内を ウスがどう追付いたか、メッセリーーー持逃げ野郎だが がどう出訪問者は教わったとおり歩き、言われたとおりの区劃番号の人工芝 みち たかは、双方ともいなくなった人間で分らねえ。がとにかく射合い の径を辿って、その先の建物の扉をたたいた。 があってメッセリがやられた。タデウスは猫ばば野郎の分を押収「お入り」と言われて入った何かの研究室らしい部屋には、真中の し、もひとりの分は一目で分るように傍らへ取のけて残していった卓上一ばいに並んだ実験器具を、手近のものだけ整理しようとして んだ。でなければメッセリに追討をかけて奴の分を屍体から離して いる初老の男がいた。 残し、あらためてもう一人の分は勘定して盗んでいった、という事「今日は ウ / さんですか ? 」 になって理由がない。 と訪客は丁寧に言ったが、男はかるく額いたきり、振向きもせす がどっちにしてもタデウスがメッセリを討ち、二人分もってった「用は何だネ ? 」 事には変りがないし、やつはそれきり行方を晦ましてどこかでのう と無愛想に応じた。「私はまア時と場合にもよるが、仕事を中断 のうと暮してやがることも間違いない」 されたくないんだ」 「ふウんーーー」 「その時と場合にいま、よってるんです」 「だがどうして と客は、その若い年頃と顔付にも似ず、ひどく嗄れた、太い、し 新聞記者は一おう承服させられたふうに唸った。 お前はそう見てきたように言えるんだ。憶測やら推察はいろいろ出かし押殺した低い声で言った。「ウノさん : : : ウノさんですネ ? 」 さいはて 4
《大連邦民政局は、目下幾つかの有効なる対策を講じている。その 《生命とは何か。その精神史的な意味》 効果はすでにあらわれつつある。市民は安心して居住区にもどるよ 2 《存在はいかに肯定されるか》 居住区の回廊の壁に、私設のシンポジウムの開催を告げるビラうに》 輸送車のスビーカーがさけびはじめた。 が、所せましと乱雑に貼られ、人に呼びかけていた。ビラの上にビ ラが貼られ、あとから貼る者はすでに貼ってあったビラを引き剥回廊のあちこちに保安部員が、熱線銃をかかえて警備についた。 回廊や走路は閉鎖され、小型ヘリコ。フターが舞いはじめた。 ぎ、破り棄てた。同じ目的の会合やシンポジウムが幾十となく企て られ、開かれた。その中の何分の一かは、計画だけであり広告だけ だといわれた。 医療部の輸送車が数十台、居住区の回廊に入ってきた。 「いいかね、わしを大連邦総統にすれば、そんな騒ぎは立ちどころ 白い作業衣に身を包んだ防疫班は、回廊に散ると、背負っている に取り鎮めてみせる。大連邦内には、今、奇妙な病気が大流行してタンクから殺菌液の霧を噴射させた。霧は照明を翳らせ、壁に露を いることは事実だ。だが、実際には、それは大連邦の経済がゆきづ結んだ。 まり、経営が極端に悪化したことに対するカモフラージ = だ。これ殺菌液の霧は、空気の送気ダクトにも多量に送り込まれた。市の は悪質なすりかえた。わしはその大連邦中央を一気に改変し、今のすみすみまで毛細管のように走る送気ダクトは、殺菌液のひどく刺 この恐怖の実態をみなの前にあきらかにしてやるんだ。それ以外激的な匂いを運び続けた。 この大連邦の生き残る方策はない」 地球上では、三百年も前に、完全に有害・ハクテリアはすべて絶減 させていた。それはおよそ百年間にもわたる複雑でたいへん面倒な 管理部員の制服を着た男が、声を渇らしてさけんでいた。 匱作業たったが、人類はそれを成しとげた。今では十平方メートルご 真紅の閃光灯がひらめき、保安部の輸送車が止った。白い制月 の保安局員がばらばらと飛び出してきた。説教していた男は、群衆とに一セットを備えつけられたパクテリア感知装置が、既知の有用 に混って逃げ走った。二、三回、短かい銃声がこだました。それが ハクテリア以外のパクテリアを検知した場合は、ただちに徹底的な 合図ででもあるかのようにぎは鎮まった。 壊減作戦がおこなわれることになっていた。システムは高性能で敏 何十人もの男や女が手錠をかけられ、珠数繋ぎにされて引き出さ感たった。地球上で繁殖しているバクテリア群を考える時、それを れてきた。 壊減させるのに百年しかかからなかったというのは、信じ難いほど 「勘弁してくれ。やめてくれ、やめてくれ。本気で言っていたんし驚異的なス。ヒ 1 ードだった。 ゃない。人に聞いたことを言ったたけだ」 だから今、サイボーグの組織に壊死を起させるような、いかなる さっきまで顔を輝やかせ、声を渇らして熱弁をふるっていた男種類の。ハクテリアをも発見できなかったというのは、極めて当然の ことたった。 は、両腕をつかまれてするする引きすられていった。 シティ
は、スターホルム人に″負の情報″ ( 地元の用語ではユーモア、フ した。この小さな演技者の姿は消えて、その代りに見えるものは、 アンタジイ、神話 ) という不可解な概念の存在を教えたのだった。 古代の煉瓦積みの間をあちこちへ躍りまわる炎と蒸気の柱たけだっ た。他の子供たちは、大してうまくもないこの芸当を、わざと無視スターホルム人は、この初体験の事象に取組みながら、時々絶望 的な気分で「我々には人類は最後まで理解できないだろう」と思う していた。 しかし、スターホルム人にとっては、これは興味深いパラドックのだった。彼は時として、自分があまりの挫折感に不随意の変身を この人々は、自分たちがいま開始して、大きな危険をひきおこすのではないかと怖れたものだっ スを提起するものだった。いったい、 持っている力で寒気を撃退することもできるというのに ( 現に彼らた。だが、今では、見るべき前進がおこっていた。自分が初めて冗 の従兄弟たちが火星でやっていることだ ) 、なぜ内側の惑星へ撤退談をとばし、子供たちが一人残らず笑ったときの満足感は、今でも してしまったのか ? この疑問に対して、未だに得心のゆく答は受よく覚えていた。 けとっていなかった。 .. ~ 彼ま、自分がいちばん意志疎通しやすいアリ 子供たちを相手にするというのは、これまたアリストートルから ストートルの謎めいた返事を、また考えてみた。 教わ 0 た手がかりだ「た。「 " 子供は大人の父。 ( 」い百まで 「何事にも時期があるんですよ」と、この惑星頭脳は返事したものう古い格言があるんですよ。″父″という生物学的概念は、我々双 である。「自然と闘うべき時期もあれば、それに従うべき時期もあ方にとって同じように異質のものですが、この単語はこの文脈の中 ります。真の知恵とは、正しい選択をすることにあるんです。長いで二重の意味を持っているのですーーこ 冬が終れば、人間は、蘇った地球に戻ってきますよ」 というわけで、彼は、子供たちがやがては変身してゆく大人につ というわけで、過去何世紀かの間に、地球の全人口は赤道に林立 いての理解を与えてくれることを願いながら、ここにこうしている する塔から流れだし、金星の若い大洋や、水星の温帯地方の肥沃なのだった。彼らは時によって真実を語った。だが、彼らが悪戯つば 平原へと、太陽の方角へ拡がっていったのだった。あと五百年してい気分になって ( これも理解しにくい概念だった ) 、負の情報を提 太陽が回復したときには、異郷生活者たちはまた戻ってくるたろ供するときでも、今のスターホルム人にはその徴候が読みとれるよ う。水星は極地を残して放棄されよう。だが金星は、恒久的な第一一うになっていた。 の故郷になることだろう。太陽の冷却は、人類にこの地獄の惑星を それでも、子供も大人も、アリストートルでさえも、真実を知ら 手なづけようとする動機と機会を与えたのである。 ないという場合があった。全くのファンタジイと厳密な歴史的事実 こうした事柄は、重要なこととはいえ、スターホルム人としてはとの間には、中間のあらゆる段階を含む連続的なスペクトルがある これに間接的な関心しかなかった。彼の興味は、人類の文化や社会らしかった。一方の端には、コロン・フスとか、レオナルドとか、ア レーニンとか、ニュートンとか、ワシントン 5 のもっと捉えがたい側面に向いていた。どんな種属も独得のものでインシュタインとか、 あり、独自の意外性、独自の個性を持っている。この種属の場合とかいった、しばしば声や映像そのものが保存されている人物がい
賞金 入選第一席 入選第一一席 入選第三席 を第七回「ハヤカワ・ ræコンテスト」 明日のを創る新人を求めます。 小るって御応募ください ーー応募規定ーー ・未発表の小説にかぎる。 小松左京氏 ・枚数四百字詰原稿用紙四十枚以上、百枚まで。 ( 必ず三枚程度の梗概をつけること ) 眉村卓氏 0 締切昭和五十五年十一月二十九日。 ( 当日消印有効 ) ・発表本誌昭和五十六年七月号誌上にて。 石原藤夫氏 ・宛先〒川東京都千代田区神田多町一一亠一 早川書房第七回「ハヤカワ・コンテスト」募集係 ・原稿は縦書とし、鉛筆は不可。必ず右側の二カ所を紐て綴 伊藤典夫氏 じ、住所、氏名 ( 本名 ) 、年齢、職業、電話番号を明記する ・該当作のない場合、佳作を何篇か選ぶこともある。当該作 品には、応分の賞金を呈する。 一一〇万円・当選作の著作権および上演、上映権等、ならびにこの作品 から生する一切の権利は早川書房に帰属する。 一〇万円 ・原稿は、たとえ返送料が添えてあっても一切返却しない。 五万円 ・募集要項および選定結果などについての問合せには一切応 しない。 選考委員
恒星船内で二五年がすぎると、その航程 ②一定加速度航行のグラフ ( 図 9 、 ) も、同じ式から簡単にグラフを描くことが はじつに三〇〇億光年にも達し、たぶん宇 できる。 恒星船の時間経過 % と地球の時間経過 宙の直径を上まわるのである。 の関係を図示したのが図 9 である。 一の加速をつづける銀河旅行のこのメ 加速度が一の Z 分の一だとすると、付 加速度一の場合には恒星船の時間が一一 リットは、光子宇宙船の発明者、先月号で 〇年をこえると、地球との差は一千万倍を表 2 の式で % とーあるいはをともに Z で 述べたオイゲン・ゼンガーが一九五〇年代 割った式が正しい式となるのである。 こえ、宇宙の年齢に近づくことがわかる。 〇・五、〇・一の曲線はこうして求に指摘したものであり、欧米の一九五〇年 つまり、人間の一生の間に宇宙の一生が 代のには、その影響 ( つまり図川のグ められている。 過ぎるわけである。 ラフの影響 ) をうけたものが多いと考えら 距離についても同じようにして作図する 加速度一の曲線は付表 2 の式で描いた ことができる。図川がそれである。 ものであるが、加速度がべつの値であって 2 地球の時問経過右〔年〕 1 恒星船の時問経過な〔年〕 図 11 一定推カ航行における時間関係 ( 重 力の加速度によって正規化されている ) 地球からの距離 / 〔光年〕 0 恒星船の時問経過〔年〕 図 12 一定推カ航行における距離と時間の関係 ( 市力の加速度によって正規化されている ) 99