破壊工作 - みる会図書館


検索対象: SFマガジン 1980年11月臨時増刊号
77件見つかりました。

1. SFマガジン 1980年11月臨時増刊号

第五ダッカーカムは、分解銃のきらきら輝くエネルギー放射を浴ンヤス帝国のオヴァロンともグル = ルフィン島宇宙とも、無線で交 びて、溶けてしまった。装置は、その分子の構成要素にまで分解さ信することがまったくできなくなりました。この野郎めが : : : 」 れてしまったのた。 かれは泣きわめいた。かれは一生のうちに自分が泣きわめく破目 かれは笑みを浮かべ、あたりをじろしろ眺めまわしてから、銃をになることなど、よもやあるまいと思っていた。それなのに、その 自分の戦闘用服の開いた電磁錠の間から普通の乗組員用ュニフォ】 かれがいまや死の予感に苦しめられて泣きわめいていたのた。 ムの外ポケットの中につつこんだ。 もう一人の男がいつでも発射できるようになった銃をもって、 しゅうーっという音を聞いて、かれはぎくっとした。赤々と燃えれのそばにやってきた。 る原子工ネルギーの輝きが、かれのそ、はをさっとかすめたのたっ 「おまえなんか、射ち殺してやるからな : 「落ち着け、軍曹 ! 」大尉が叫んた。「気持ちを静めるんた。ォル エネルギー線は壁にふち当たり、壁の建材はすぐに液化してこんダート、 ペイチャー、きみたちはこのふとどきな破壊工作者を立た もりと小さな火山のように盛り上がり、かれの体の上一面に小さなせてやってくれ。防護服を脱がせて、武器を捜すんた」 灼熱した滴が降り注いた。もしもかれが装甲ヘルメットを締めず、 破壊工作者は四人の男たちの強力な手につかまれて、 ぐいと持ち 電磁ファスナーを締めていなか「たなら、かれは即座に死んでいた上げられるのを感した。それからかれはふたたび自分の足で床の上 だろう。灼熱した旋風がかれを脇に投げ飛ばした。 に立ったが、かれの目の前ではあいかわらす銃口が赤々と燃えてい かれは何かの予備部分につまずき、床に倒れて、そこに身動きも せす横たわった。 ヴェルソ・ホナドリ大尉は落ち着きを取りもどした。光線銃を発 「横になっていろ、両手は後ろに伸ばすんた。ちょっとでも動いた 射したまではよかったが、い まやかれは新たな情況に直面してい ら、きさまをガスの雲に変えてやるからな。横になっているんた、 た。かれは、自分の部下たちが動揺を抑えられそうにないことを感 わかったか ! 」 した。 自分の上に とはいっても、まだ二、 三メートルは離れていた そこでかれは、破壊工作者とダラシュ軍曹の銃の間に跳びこんた かれは大尉のゆがんた顔を認めた。 のだった。するとようやく、苦しげに息をしていた軍曹は、自分の かれの分解銃の銃ロは紫色に輝いていた。ちょっとでも発射ボタ銃を下におろした。 ンを押そうものなら : 「サー」と、かれが言った。 「なぜわたしにこの野郎を : 「こいつは五つあるダッカーカム装置をすべて、分解銃で破壊して 「それは、太陽系艦隊の軍法にもとづいてここには艦内裁判という しまいました、サー ! 」別の男の声が聞こえた。「こんな : : こんものがあるからた、 タラシュ。そのためなんた ! 正気を取りもど なことは、あってはならんことです、サ 1 いまやわれわれはノ ガしたまえ ! 何よりもます、きみは自分の銃を大切にしなければな 0

2. SFマガジン 1980年11月臨時増刊号

ナル・カゾム大佐は、ショックを受けたというよりは、むしろあき らんよ。さあ、これでいいだろう ? 」 かれは大きな ダラシュはうなすいたたけたった。憎しみのまなざしが破壊工作れかえってしまったしなんたか途方にくれたように、 メイン・モニターのほうを見やった。ローダンがその様子に気づい 者の上に注がれた。 この時はじめて、ホナドリは自分の捕虜を近くからじっくりと眺 めることがでぎた。 「どうしたんだ ? めんどうなことでも起こったのかねフ 「どうやらそのようです、サー。多次元空間技師のエズムラルた尉 「なるほど、きみたったのかー ・エズムラル大尉、多次元 とかいう男が、五つあるダッカーカム装置を分解銃で破壊したもよ 空間技師にして、カヴァルディ博士の親衛隊の航法班の一員たな。 うです ) かれはパトロール部隊に逮捕されました」 こいつはおもしろ、 しいやはや。なんのためにきみはこの倉庫に忍 しオいなん アトランとペリー ・ローダンは、同時に行動に移った。かれらの びこんで、ダッカーカム装置を破壊したんだね ? のためだ ? 気でも狂ったのか ? 」 手は回路切り替えスイッチに触れ、ヴィジフォンによる通話回線が ホナドリ大尉は叫んだ。工ズムラルは、自分が死の恐怖に打ち負宇宙船中央管制室のスクリーンに切り替えられた。ホナドリの姿が したいにはっきりと見えてきた。 かされるよりも先に、死の恐怖を打ち負かしてしまった。 「わたしに質間する権利なんか、あなたにはありませんよ。それ「誰を逮捕したんたね ? 」ローダンが尋ねる。落ち着きはらったそ に、そんな口調で聞くなんて、まったく間題外だな」 の様子には、妙に人を安心させるものがある。「報告してくれたま ホナドリはもう一度、自分の気持ちを抑えなければならなかっ た。かれは振りかえり、すぐ近くのヴィジフォンのところに歩み寄 一乍は二 ホナドリ大尉は、報告をもう一度繰りかえした。破壊丁 ( り、赤い緊急呼び出し用スイッチを押した。 人の。ノ 、トロール隊員によって、倉庫に備えつけられているカメラの 「こちらホナドリ大尉、勤務中の。 ハトロール将校です。艦長を願い前に立たされた。 ます。大至急。緊急連絡。破壊工作者を一人逮捕しました。その男 ローダンはその男にほとんど見覚えがないくらいだった。それよ はダッカーカムを破壊し : りは、アトランのほうがよく知っていた。かれはぐっと前に身を り出した。 「エズムラルかー こいつは変わり者で、他の乗組員の誰ともまっ たくつきあいがなかったんた。それでつまり、この男がかけがいの 「なんだと ? きみは酔っ。はらってでもいるのかねっ・ 破壊工作者ないあのダッカーカム装置をぶちこわしたんたって ? わたしは : 《マルコ・ポーロ》のエアトルーザーにして第二副艦長であるトロ 「お話中ですがね」と、別の声がスビーカーから流れでてきた )

3. SFマガジン 1980年11月臨時増刊号

し、ホスプチャンは卩ーダンを疑わしげに見つめていた。 いアイデアでした」 「本題にはいってよろしいかな、ミスタ・ロガ ? わたしがここに 五十人議長団の気分は、 っそう良いほうに変わっていた。 やってきたのはほかでもない、地球の超人類の代表者たちと協約を「それゆえ、わたしは太陽系防衛軍の見解に賛同することはできま 結ぶためです。その協約は、ホモ・スペリオルの高い精神水準にふせん」と、ローダンははっきりと、そしてゆっくりとした口調で話 さわしいものですよ」 を進めた。「ホモ・スペリオルに属する男女が破壊工作をしている とは、わたしにはちょっと考えられません。そんなことをすれば、 ローダンがたいへん親切にアカデミーの中に招き人れられた時、 ロワ・ダントンは自分の耳が信じられない思いたった。簡単な食事けつぎよく助けを必要としている何十億もの人たちを飢え死にさせ てしまうにちがいないんですから。わたしの想像では、理性を保ち まで準備されていた。それから、話は本題にはいっこ ) 「親愛なる精神科学者の皆さん、わたしは皆さんの目的や理想を知持っている強盗団の首領たちが自分たちの悪業を皆さんのせいにし ようとしているのではないかと思われます」 っています」と、ローダンが話しはじめた。「もしもわれわれが、 思考も行動も明らかに獣のような野蛮な生物にこのように突然、不「まったくその想像のとおりた ! 」と、五十人議長団の一人が言葉 意に攻撃されているということがなければ、皆さんは歓迎されるべをはさんだ。 「われわれは攻撃的な科学技術に反対する者です、そ き存在であるし、また人類の飛躍的向上のためにも支援されるべきのとおりですよ。最初の混乱期にわれわれはたしかにいくつかの原 存在たと思います。わたしがいま言っているのは、宇宙船のいわゆ子力発電所や、防衛施設や、そのほかの精神の発達を妨げるような る″大群。を率いているいまだに正体のわからない生物のことで施設を破壊しましたよ。しかし、食料工場は破壊していません」 す。皆さんはきっと、ホスプチャンと = ズムラルの両氏から話を聞「それならわたしは、皆さんが困っている人たちを助けるつもりが いていると思いますが ? 」 ある、と考えていいわけですね ? 」 ロガがうなずいた。ローダンは電光石火のすばやさで考えをめぐ「そんなことは、もうとっくにやっている」と、ホス。フチャンがあ らした。一つ一つの言葉の重みを測るようにして話さねはならない いかわらす硬い態度で答えた。「人の話を全部鵜呑みにするのは、 のた。ホモ・スペリオルの代表者たちは、敏感たったから。 どうかと思いますがねー 「現在わたしに伝えられている情報によれば、地球の生活必需品産会談は六時間続いた。その後で、二百万人のホモ・スペリオルの ″侵略的な 業に対する破壊工作がいぜんとして行なわれています。他方、皆さ代表者たちは、白痴化放射線の原因がわかるまでは、 んは多くの白痴化した人間を助け、救援計画もたて、牛や馬のよう 科学技術の破壊をこれ以上行なわないということに同意した。 な家畜の飼育までやったということも聞きました。それに対して、 ローダンはこうして最初の成功をおさめたように見えた。皆は和 わたしは感謝したいと思います。原始化した人間たちに、かれらが気あいあいとした雰囲気のうちに別れた。ローダンの一行は自分た 3 また使いこなせるような道具や家畜を与えるというのは、すばらしちのグライダーにもどり、ローダンがグライダーを発進させた。

4. SFマガジン 1980年11月臨時増刊号

アトランは自分の肩掛けをはすし、自分の友人をまるで値踏みでの大型転移機を五回か六回使「てほかの惑星に送りこんでしまう もするかのようにじろじろと見つめた。 さ。そこでかれらは農耕や牧畜に従事して、自分たちの精神的な教 9 っム 「きみはわたしが知るかぎりでは、最高に厚顔無恥な嘘つきだよ。 義を守っていけま、 : しい。もっともかれらのめんどうは見てやらなけ たいしたもんた。あの馬鹿げた哲学の講釈は、ま「たく傑作た 0 たればならないたろう、そうでないとかれらは生活能力がないから数 ね、しかしまあ、あのおかげで会談をうまく始めることができたの年のうちに死に絶えてしまうたろうから。これは全般的な指示とし かもしれないんだからな」 て理解しておいてくれ、デイトン ! 」 「虎穴に人らすんば、虎児を得すと言うじゃな、 宇宙艦の環状胴体部の上部でロを開けている発着用 ( ッチの扉の ところにグライダーがたどりつくよりも先に、コズムが警報を発信 アトランが笑った。ダントンはいまだに汗を拭っている。アダムしてきた。かれの姿が、小さなスクリーンに映したされた。 スはおもしろそうにくすくす笑っている。 「〃インペリウム日アルファ〃の大気圏監視部隊から情報がはいり デイトンは腹を立てているように見えた。 ました、サー。およそ四千のフル・メカニック・モデルからなる増 「心配なことでもあるのかね、ガルブレイス ? 」 強されたロポットの二個師団が、西からテラニア・シティに向かっ 「もちろんですよ、サー ト・コントロールによって。フログラ ホモ・スペリオルが食料工場を破壊して進行中のもようです。リモー 、ングしようとしたのですが、うまくいきませんでした。ロポット たことがないたなんていうのは、真赤な嘘です。わたしは三カ月前 に十八人からなる部隊をつかまえたばかりですよ、もっとも後でまたちは、いわゆる″緊急出撃装置。によって操縦されています。そ た釈放してやりましたがね。強盗のやくざ連中に罪をきせてしまうの装置の名前は″ヘクターⅢ″といって、以前われわれが緊急出動 のは、危険なように思いましたが」 のために用いていた半球形の巨大な機械です」 ローダンはまったく動しなかった。。 「それはたいそう賢明な考えたったよ ! 賢い人間は、自分のこと テイトンが悪態をついた。グ ライダーは格納庫の中に着陸した。 を賢いと思っているほかの者たちをいつまでも、自分はとくに賢い のだと思いこませておくのた。いったい、 どうしたらいいと一一一口うん 「われわれは中央管制室に行くよ、コズム。ヘクター型の高性能ロ ガルプレイスっ・・ ホモ・スペリオルはたぶん、約東を守るた ットなら、わたしも知っている。あれはたしか、。フラズマの付属 ろうよ。破壊工作はたぶんやめるたろう」 部品を装備されていたね ? 」 「たぶんです「て ? でも、もしもやめなか「たら ? その時はど「そのとおりです、サー。そのため、 " ( クターⅢ。まで気が狂 0 うします ? 」 たようになって、遊んでいるのです。この巨大な装置は、行進して 「その時はこの二百万のあまりに利ロな連中のいる場所を特別な個いる戦闘用ロポットの群れの上空をたたよ「ています。ロポットど 体走査機で探知して、連中を広汎な群衆の中から引張りだし、艦隊もは、自分の行く手をさえぎるものには何にでも発砲し、破壊して

5. SFマガジン 1980年11月臨時増刊号

ール部が近づいてきたのだ。 て、あの時このご仁によって故障させられたのだー アトランは破壊工作者と開いているハッチをつくづくと眺めた。 ホナドリはちょっとは泰然とした態度を取ろうと努力していた。 それからかれも、自分の光線銃をポケットにもどした。 ローダンの苦笑いはかれに、遠征隊長の心の状態を充分に伝えてい かれはローダンの目を見つめた。 「テラナーなんて、誰一人として信用できないわけだな ? しかし ローダンは前のほうを見つめていた。かれはつぎつぎと部屋には どうも不可解なのは、この二人の人間がどうやって末端管理部にも いってきた科学者たちにも気づかなかった。かれにとって問題たっ ぐりこめたのかということだ。どうしてまた、かれらの精神状態が たのは、《マルコ・ポーロ》の数人のセクション責任者たちだけだ チェックされなかったんたろう ? ったのだ。その中には、ジオフリー・ われわれは《マルコ・ポーロ》 アベル・ヴァ ーリンガー教 の発進の前に何十回もテストを行なったじゃないか」 授、カヴァルディエ学博士、数理論理学部門のチーフであるエリソ ローダンは突然脱力感に襲われ、打ちのめされたように感じた。 ク・ビーヒンガー教授などがいた そして、坐る場所を捜した。かなり先のほうの配電テーブルの前 「さて、こういうことだ。ありとあらゆる危険の中をかいくぐり、 いくつかの折りたたみ式椅子が見つかった。 一隻の。フロトタイプ宇宙船で百万光年も離れた島宇宙を目指して飛 「エズムラルとホス。フチャンがその時から宇宙船の帰路をしやますんでいった者たちがいる、と。それも、人類を恐るべき危険から守 ろうとするためだ。ところがそれから、故郷の地球に帰ろうとした る意図を持っていたなんてことが、どうしてわかるね ? 」 アトランは無愛想に目配せをして、ローダンに話をやめさせた。時に、とっ・せん二人の狂人が現われて機械を破壊し、その機械なし かれは上に滑って登っていく危険防止隔壁にはほとんど注意を払わではこの厖大な距離を越えていくことができなくなってしまったわ なかった。開いた隔壁のところからホナドリ大尉がまっ先に跳びこけだ。わたしは夢でも見ているのかな ? 」 んできた。ローダンとアトランの姿に気づいて、かれは自分の銃を ローダンはあたりを見渡した。誰も答えようとはしない。ヴァ 下に向けた。 リンガーは相当に長いこと、転移走査機のハッチの前に立ってい ローダンはかれに口をきかせなかった。 隣では小さなゾラック・シールド 「この破壊工作者をもう一人のといっしょに中央管制室へ連れてい 反応器ががたがたと騒々しい音 りき・ : ってくれ。いや、どうか質問はしないでくれたまえ。質問をされてを立てている。これは転送カ場のエネルギー供給のための機械た。 も、わたしには答えられないだろう。いまの時点でわたしがはっきこれは、コズムがスイッチを切らなかった数少ない原子力機械の一 つだった。 りと言えるのは、われわれが三四三八年の七月二日になぜ銀河系に 向かって飛びたてなかったのか、ということたけたよ。。フラリツツ 《マルコ・ポーロ》は光速航行をしながら、島宇宙と島宇宙の間の 転移走査機はあの惑星ファース ト・ラヴで故障したわけではなくまったく何もない空間を自由落下していった。 6

6. SFマガジン 1980年11月臨時増刊号

ペリー・ロータン 弸円ロオクル星の虜囚〈 t-o I.L 川〉 ロ 3 アトランの危機〈 (-OLL 粥〉 ロ⑩消えた生命の星〈〉 オクル星の虜囚。ー・ークラーク・ダールトン グッキーの出番 シリコ第五衛星での幕間劇ー・プラント プラント 一一つの顔をもった男ーーー・クルト・ アトランの危機 消えた生命の星 円ロ貌 ) パアロル教団の秘密〈 LL 〉 秘密使命モルク〈 LL 〉 ロ 3 アトランティス最後の日 ^ t-n LL 〉円ロ〇 バアロル教団の秘密 エラートの帰還ーーークラーク・ダールトン 半空間に死はひそみてーーー・・クルト・ クルト・フラント 不死の代償 秘密使命モルクーー - ・・ウィリアム・フすルソ・ アトランティス最後の日・・シェール 弸円ロ⑩惑星サオス包囲作戦〈弸〉 ロアウリケルからの使節〉嫺円ロ 0 ) 闇に君む敵〈〉 惑星サオス包囲作戦 ・フォルソ 闇に潜む敵 《チグリス》のミス・ジャンフ—z ・プラント ・・シェール クラーク・ダール , 「ン 二重太陽下の決闘 アウリゲルからの使節ーーークルト・ 燃える太陽 円ロ 3 惑星アッゴラの奇病〈弸〉 弸円ロ⑩虚無への探索〈〉 ロ①三人の裏切り者〈〉 クラーク・ダールトン 盗まれた艦隊 三人の裏切り者 虚無への探索ーーーークラーク・ダールトン ウィリアム・フォルソ ・・シェール 惑星アッゴラの奇病 謎のアンティ 円ロ⑩危うし惑星トラムプ ! 〈〉円ロ⑩破滅への種子〈弸〉 ロ⑩赤い宇宙の対決〈 U)I-L 〉 ウィリアム・フォルソ・ クル -z- ・プ一フン、ト ・・シェール 破滅への種子 赤い宇宙の対決 権力の代償 ・・シェール 惑星メカニカ ドルーフォンの陽の下で—O ・ダールトン 危、つし惑星トラムフ ! ークルト・フラント トカ、ケたちの遺産〈 C-OLL 弸〉 円ロ⑩超種族アコン ^ LL 盟〉 ロ⑩還らぬトーラ〈 LL 襯〉 ウィリアム・フォルソ・ クラーク・ダールト - ン トカゲたちの遺産ークラーク・ダールトン 人類の友 永遠の囚人 ・・シェール クルト・フラント 超種族アコン 大提督の死 還らぬトーラ ロ⑩核地獄グレイ・ビースト〈 (f)LL 〉円ロテスト宇宙艦事故発生 ! 〉弸円ロ < 。 1 の破壊工作者〈 t-DLL 〉 1 の破壊工作者ーー・・クルト・プラント 核地獄グレイ・ビーストークルト・ テスト宇宙艦事故発生 ! ークラーク・ダールトン クレー「・ ウィリアム・フォルソ 心理決闘 第三課、介入す ドルーフの本拠にて 円ロ帝国の騎士〉 擬装の銀河ゲーム〈〉 円ロ⑩プラズマの怪物〈〉 ロ⑩ ・・シェール クラーク・ダール -z- ン クル , ・プ一フン , に 帝国の騎士 プラズマの怪物 祖先の宇宙船 グリーンホーン・・ーーウィリアム・フォルツ 影たちの攻撃ーーー・ークラーク・ダールトン 擬装の銀河ゲーム 超空間からの殺人鬼〈 LL 〉 円ロ幽霊艦隊現わる〈州〉 ロ⑩アルコンの兵士狩り〈 LL 〉 島宇宙のあいだで ハロー、トプシド、応答せよ—z ・プラント 幽霊艦隊現わるー・ークラーク・ダールトン ・ダールトン 超空間からの殺人鬼 ・フォルソ アルコンの兵十狩リ パッサの偽神 ロ⑩権力への鍵〈〉 円ロ 3 警戒ー・銀河中枢星域〈〉輒円 ナー、トル【戦闘当ーークラーク・ダールトン 警戒 ! 銀河中枢星域ー・・シェール ・・シェール 権力への鍵 死の砂漠 ロ⑩ドルーフ艦隊襲来ー・〈 LL 〉 ロエルドラド計画発動 ! 〈 (-OL-L 〉円 クルト・プラント —の冬眠者・ーーウィリアム・フォルソ エルドラド計画発動 ・・シェール アンティを追ってーウィリアム・フォルソ ドルーフ艦隊襲来ー 訳者日松谷健ニ 協 9

7. SFマガジン 1980年11月臨時増刊号

イシ、トヴァーンは眉をよせて黒い大扉をにらみつけた。その向忘れ、魅せられて、この乱暴者どもの容赦ない仕打ちを見つめてい こうで、いったいどのようなおそるべき秘密がかくれひそんでいるた。わずか数日とはいえゾルーディアの無気力と頽廃にふれてうん のか、この冥府宮をおそ「た破局と阿鼻叫喫の惨劇など、まるでかざりしていた心に、その荒くれた、陽気で残忍な無法者たちの姿は かわり知らぬかのように、それはしーんと静まってしまっている。何やら云い知れぬ強烈であくどい魅力をもってうつったのである。 まったく、イヤらしいところだ」 「おう ! 」 イシ、トヴァーンは、何がなしその不吉な静寂に気負されるの 「あくそ、あくそ ! 皆、うしろへ下がっていろ」 を、強いて払いのけるようにつぶやいた。 1 、第ー 「破城槌をもって来たぜ、首領」 くりかえし同じところを叩きつける破城槌のほこさきに、さしも 盗賊たちがワッと道をあけた。どこからさがし出したものか、巨固い扉の守りも破られようとしていた。 大な破城槌をかついで来た連中が、さっそくそれを扉の正面にすえ亀裂はいまや四方に走り、槌は打ちあたるたびに扉の中へめりこ つけた。 むようになり 巨大な槌が勢いよく、右の扉を叩きつけはじめるやいなや、すさ そして、さいごのすさまじい耳を破る轟音と共に、右死宮と本殿 まじい大音響が建物じゅうにひびきわたる。二度、三度それがふるとをへだてる扉はゆっくりと内側へくずれおちていったー われると、石の破片がとびちり、さしも頑丈な扉に、ビシッと白い いまやぼっかりと黒い穴があいていた。物凄い石の粉の埃が少し 亀裂が走る。 づつおさまっていったとき、盗賊・ーーそしてグイン たちは、鼻 をつく、 「そーれ ! もう一押しだー っーんとした刺激臭と没薬の入りましった、何やら吐き気 盗賊たちは蛮行には馴れていた。奇声をあげながら扉の前にむらを催させる悪臭をかいだ。 「あいたそ」 がり、槌をふるう仲間に向ってかけ声をかける。 「やつつけろ、ドロステ」 イシュトヴァーンがわめく。 「やっちまえ、ルカス」 「踏みこめ。ゾルーディアの宝物蔵たそ」 「その調子だ。いいそ」 そして彼自身は、部下たちを先にゆかせるためにあとへさがった ガーン、ガーン、ガーンーー・・すさまじい破壊の音がひびきわた が、グインがそのようすをみて思わすニャリとしたのをみると、 、冥府宮の静寂を破る。盗賊どもには、死の都への冒をおそれたずらを見つか 0 た子どものように顔をゆがめて = ャリと笑い、舌 るような殊勝さの持ちあわせなど、なかった。 を出してみせると、つづいて剣を手にしたまま扉の穴へふみこん 「なんともはや、物すさましい連中だな」 だ。グインがつづく。つづいて入ろうとするマリウスを、うしろ手 グインはロの中で呟く。マリウスはイシトヴァーンへの嫌悪も におしとどめようとしたが、マリウスが、行かばこその決意を顔に

8. SFマガジン 1980年11月臨時増刊号

なってしまっていたのた。 ェクターの損傷が、その時たまたまダッカー・ポジトロニクスによ ローダンが閉廷を宣言した。疲れ果てて、かれは自分の船室にお って組まれていた新しい。フログラミングを妨害してしまったのでし よう。たしかにそんなことはこれまでありえなかったのですが、そもむいた。そこではアトランがすでにかれを待ちかまえていた。 れどころかホス。フチャン君はごていねいにさらに。フースター機関ま このアルコン人は、自分の友人にコーヒーを一杯差したしたし でこわすことができたのです。調整ミスとはいっても、要するにそ「さあ、気分はどうたね ? の言葉の意味からしても損傷をうけたということではありません。 「水の中から引っぱりあげられた猫みたいな気分だよ」 われわれは新たな調整とちょっとした修理を五時間くらいのうちに 「なるほどー : ところで、そもそもきみは、コロムⅡハンが二十 終えてしまうでしよう」 五条にもとづいて死刑を要求していることはわかっているのかね ホス。フチャンがへなへなとくすれ落ちた。かれは子供のように泣 ? 」 していた。アイスパート が考えこんだような様子でかれを見つめ 「もちろんだ。おかげで胃が痛くなったほどたよ」 ローダンが判決を一「ロい渡した。 た。ひき続き、ペリ 「いやはや、なんとも」と、 O の提督が冷やかした。「きみの 「太陽系帝国立法議会の名において、またそれによって代表されるような立場にある執政官ならば、自分の貴重な命のみならす、八千 人類の名においてーー - ーさらにこの人類は超弩級戦艦《マルコ・ポー 人もの忠実な奴隸たちの命をもおびやかした二人の破壊工作者くら 以下の裁決が ロ》の艦内裁判によって代表されているわけだが てれに執政官ならばい い死刑にして満足を感しるはすたがなあ ! 「 下される。 まごろはもう、自分が地球に帰ってからどうやったら二百万人のホ 艦内法廷は被告両人の行動方式や言辞にかんがみ、艦隊法およびモ・スペリオルの代表者たちをただちに撲減できるか、考えこんで す いるたろうね。心理キャンペーンを準備しなければならないー 軍法による最終的判決を下すことを断念せざるをえない。 工ズムラル大尉およびテルゾ・ホスプチャン大尉の両名はテラの戦べての通常人の胸の内に、新人類に対する底知れぬ憎しみをたきっ 艦内において犯罪行為を行なった人物とみなされるだけでなく、人けるといいたろう。そもそも、そんなことはたいした間題ではない 類の存続を危くさせた破壊工作者とみなされねばならない。そのた だろうからね。いったいなぜきみは、そういうことをしようとは考 め艦内法廷は、この二人の将校を拘留し、地球に帰った後に最終的えないんたね ? 」 ローダ . ンはコーヒ ・カッゾを脇に置いた。かれの目は疲労の色 判決を得るために太陽系最高裁判所に身柄を引きわたすものとす を示していた。もはや輝きはなかった。 る」 ホモ・スペリオルの二人の代表者は、もう完全にへなへなとくず「いますぐに話題を変えるか、さもなければ三秒のうちにこのわた れ落ちてしまった。かれらは医務ロポットによってたたちに、艦内しの個室から消えてくれ、 クリニックにかつぎこまれた。二人の男たちは、神経が虚脱状態に アトランは自分の光線銃ベルトをはすして無頓着に隅に投げた

9. SFマガジン 1980年11月臨時増刊号

絶縁導管フィールドで終わっていた。この伝達機は転移走査機の出ふたたび科学者ーーーっまり、ホス。フチャン のほうに視線をもど 力を受けいれて、それを六次元エンジンの放射器に導くものだ。 した。 半球形のホールの中では、中心の支えとなっているカ場パイルの 「ぼくを呼ぶのが遅かったら、もうちょっとで手遅れになるところ 内側に球形の。フラリツツ転移走査機がぶらさがっていた。 でしたよ」と、グッキーが確認するように言った。「どんな人間た 外装材は、操縦の切り替えの間に暗赤色に変色していた。ローダ って普通の方法ではこの部屋にこんなに早くたどり着くことはでき ンがそこに着いた時、灼熱していた転移走査機はすでに冷えていた ないでしようね」 のた。 「そのとおりだ ! 」 背の高い、いまにもこわれてしまいそうな男が、いつでも発射で「こんなにも信しがたいことが起こったっていうのに、 一「ロうべごこ きるようになった銃を持って、開いた ( ッチの前に立っていた。ことはそれで全部なんですか ? 」 の破壊工作者が自分の意図を実行に移す前に、ローダンは銃を発射 ローダンは自分の光線銃を腰のポケットにもどした。じゃまにな した。 る戦闘服のチャックをかれがさらに広く開けた時、グッキーはかれ テルゾ・ホス。フチャン大尉にショック光線がもののみごとに命中の手の震えに気づいた。 した。かれは最後の筋肉の力を振りしぼって指を曲げようと試みた 小さなネズ、 ーくーはおかしくもないのに笑いだした。 が、その時もう一度麻痺光線がかれに命中した。 「さすがのローダンも、神経にこたえたようですね ? ・ほくなん かれの体は硬直した。ガラスのようになっていく目でかれは、自 か、麻酔にでもかけられたような気分ですよ。なにしろ、あの男は 分のほんの数メートル前にだしぬけに現われた男を認めた。その男転移走査機めがけて光線銃を発射しようとしたんですからね。もし 1 ー . ソ、ーノこ の隣には、人間ではない生き物が立っていた。 冫いたとしたら、 いったいどん もわれわれがまだダッカ ホス。フチャンは、体がひどく麻痺した人間にとって典型的な動作なことが起きたでしよう ? 」 で、重々しく床に崩れ落ちた。 ローダンは汗まみれの額を拭った。 ローダンはあいかわらす同じ場所に立っていた。グッキーだけ「なんにも起こらんだろうよ、ちび、まったくね ! われわれは通 が、二、三歩ちょこちょこと前のほうに歩いていった。 常の宇宙空間に逆もどりしただけのことだろう。もっともわたしと 「気をつけろ ! あまりエネルギー支柱のそばに近寄りすぎるなしては光線銃によって減茶苦茶に破壊された転移走査機とともに逆 よ , と、ローダンが警告した。しかしその声には、興奮した様子はもどりするよりは、完全無傷な転移走査機とともに逆もどりしたほ まったく認められなかった。 、つがはるかにしし 、と思うがね」 ネズ、、 ーは青況をのみこもうとしていた。かれはまず最アフロ・テラナーであるラス・ツ・ハイがアトランとともに到着し 初に麻庫した科学者をながめ、それからハッチのほうに目をやり、 た。放射線隔壁の向こう側から騒がしい音が聞こえてきた。パ 4

10. SFマガジン 1980年11月臨時増刊号

「わたしの時代ならば、こんな連中は犯行の十分後には ( ッチからることも、無線連絡ができない以上ますありえません。現在われわ 外に放りたされているだろうね。もちろん、宇宙服なんかなしでた れは光速で通常空間を進んでいます。銀河系までは、少なくともま 7 だ二千四百万光年はあるでしようが、もちろんこれはわれわれの宇 「厳しい判決を下してやってくたさい、提督 ! 」 宙船の航続距離をはるかに上まわっています。これだけの距離を越 「それだから、わたしは裁判官にならせてもらえなかったんた。八 えられるのは、六次元推進機関しかないでしようね」 千人もの乗組員を乗せた宇宙船を危険に陥れたような妨害分子は、 「オヴァロンの艦隊の前進部隊と、ハイバー通信によってコンタク 当然死刑にすべきだね。い・ すれにせよこれが、老アルコン帝国提督トをとることはできないかな ? 」 ヴァー の意見だよ」 ノガーは曖昧に唇をゆがめた。 ヴァーリンガー教授が、裁判官のデスクの前に進みでた。ローダ 「不可能です、サー そのために必要な送信エネルギーは、われ ンがかれに話しかけた。この時はかれも、千年前に殺された自分のわれの手持ちのほとんど二十倍にもなりますから」 娘のかっての夫に対して親しげな口調で話すことはつつしんだ。 「われわれのチャンスは、教授 ? 」 「さて、手短かに話すようお願いする。教授の文書による説明は、 「光線銃によって破壊されなかった唯一の転移走査機の内部の転移 判決が下る前にもう一度その全文にわたって読みあげられるたろ調整器をうまく修理しないかぎり、われわれのチャンスはほとんど う。生じた損傷はどのようなものかな ? ゼロ同然です。われわれはがんばっています。もしもホス。フチャン ヴァーリンガーは自分の髪をなでつけた。 大尉が手伝ってくれれば、非常に助かるんですが。どのような形 「五つのダッカーカム装置が破壊されてしまっては、もはやオヴァ で、どのような操作データとともに操縦ミスが生じたのかを正確に ロンと無線連絡をとることは不可能です。そんなことは誰の目にも 知っているのは、かれ一人たけですから」 明らかでしよう。測定の結果明らかになったのは、 いまいる所がグ ローダンはあらためて破壊工作者たちのほうを見やった。 ルエルフィン島宇宙からおよそ千二百万光年離れているということ 「ホスプチャン大尉、きみは正確なデータを申し立てて、宇宙船の です。《マルコ・ポーロ》の最大航続距離は、その四つのウルトラ 物理学者チームを助けるつもりはあるかね ? 」 コン。フⅡリニアコンヴァーターを作動させた場合、千二百万光年に ホス。フチャンはほほえんたたけたった。そのほかには何も言おう なります。過去にコンヴァーターを作動させて何度も長距離飛行を としない。 やってきたため、目下とりつけられているコンヴァーターは焼けっ 「われわれはどうやら、自分で自分を助けなければならないようた いていて、その効率もおよそ五十。 ( ーセントほど落ちています。しね、教授。どうそ、先を続けてくれたまえ ! 」 たがって、リニア飛行で Z 0 四五九四島宇宙にたどり着く可能性「いままで言ったようなことは、またたいしたことじゃありませ はもはやありません。ガンヤス帝国のオヴァロンによって救助されん。はるかに重大な問題は、どのくらいの時間が実際に過ぎたのか