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検索対象: SFマガジン 1980年2月号
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1. SFマガジン 1980年2月号

コンテスト受賞第一作一ニ〇枚ー 道端の溝の中で殺した 新連載科学冒険時代第一回宮崎一雨 《海外特別取材》 部年世界大会レポート 野田昌宏のセンス・オプ・ワンターランド⑩ 題名未定新コラ乙@ リータース・ストーリイ〈豊田有恒選・評〉 ◇連載◇銀河旅行と特殊相対論 章光世紀船は不滅である ・スキャナーポールの「」」は傑作だアー ・スターシッフ・ライフラリイ 連載スペース・スキャンタルⅣ ・キャラクター・ア・ラ・カルト ( ⑤ディクスンの〈ホーカ〉シリーズ ・サイエンス・トピック寒冷化か温暖化か ・レビュウ イメージのジャンク・ポックス② 世界 U)L-L 情報 ( 島田武 ) ハロー・ファングループ・ 第七回「ハヤカワ・コンテスト」応募規定 新連載コミック 銀の三角曰いのりのあさ 石原藤夫 4 安田均 スタジオぬえ 深井国 0 安田均 池見照ニ 鏡明 / 川又千秋 / 三井継 / 森下一仁 角田純男 ・てれほーと・ バックナンバーのお知らせ : 會津信吾 武田康廣 / 岡田斗司夫 / 澤村武伺 野田昌宏 9 萩尾望都 5 大原まり子 2 10 イラストレーション 金森達岩淵慶造 新井苑子角田純男 野中昇加藤直之 佐治嘉隆 高信太郎 宮武ー貴高倉ゆき 表紙 加藤直之 目次カット 宮武ー貴 扉・目次レイアウト安藤三香子 ノ ,

2. SFマガジン 1980年2月号

ll 日日日ⅡⅡⅢ日Ⅲ日Ⅲ日Ⅲ日ⅢⅢⅢⅢ日Ⅲ日日日ⅢⅡⅢⅢ : ⅢⅢ日ⅢいⅢ日Ⅲい日いⅢⅢⅢ日日日日日日い日ⅢⅡⅢⅱⅡ日Ⅲ日日ⅡⅡⅡ日日Ⅱ日ⅱ日日日日日ⅢⅢ日い 此怪しい島からは、絶えずトンカンと鉄を鍛へる槌の音余談になるが、この作品に登場する「八八艦隊」は当時現実 7 が響いてゐるが、そんな事は世界で誰も知ってゐる者はな に日本が計画していたもの。ところが大正十一年のワシントン 海軍軍縮条約でこの計画がオジャンになってしまい、かくて紙 此の怪しい不思議な島こそ、獅子ヶ島と称へて、熱血義上の活躍のみに終わった : ・ ・ : というわけ。 勇の志厚き、数百名の日本男児が潜かに立て籠ってゐるの 「日米未来戦」に続いて、宮崎は「次の世界大戦」 ( 大正十三 であった。 ( 原文より ) 年七月・大日本雄弁会 ) を上梓しているが、これはわりかしお もしろい。第一次世界大戦で世界中から袋叩きにされたドイツ これまでの戦況を静かに傍観していた獅子ヶ島の首領東浪が再び国力を回復。今度はさらに軍備を充実させて、世界にむ 雄。祖国の危機にこの時とばかりに立ち上がり、新鋭潜航艇隊かって宣戦布告する話だ。 の出動を命しる。隊長に任じられたのは、当年とって十六歳の まずドイツは国交断絶と同時にイギリスを攻撃。まだ完全に 少年英雄南郷卓爾だ。 通知の伝わっていない英国艦隊は、あっという間にやられてし 何も知らないアメリカの大西洋艦隊は、太平洋を一路日本へまう。怒り狂ったイギリス軍は大艦隊をくり出してドイツ艦隊 と進航していた。ある嵐の晩、南郷少年ひきいる潜航艇隊は、 にぶつけるが、逆に返り討ちにあってあえなくアウト。勢いに 猛然と敵に襲いかかる。もう日本には軽巡一隻あるまいとタカのったドイツ軍はイギリス本土に上陸し、ロンドンを包囲して をくくっていた大西洋艦隊は、この突然の襲撃で大混乱に落ちしまう。 入り、ほとんど何の反撃もできないまま全艦撃沈されてしまっ さらにドイツはオーストリアと同盟してベルギー、フランス を蹂躙し、ヨーロツ・ハ中に荒れ狂う。 かくて何が何だかわかならいうちにアメリカ軍は負けてしま これに対し、わが日本からは遣外艦隊が地中海に派遣される 勝利の旗はアメリカ以上に事情のわからない日本にひるが が、猛るドイツ艦隊の前にあっさり叩きつぶされてしまう。こ えった。日本勝利の真相は、獅子ヶ島の志士たちだけが知るのうしてヨーロツ・ハの制海権を握ったドイツは″東洋侵略艦隊″ みであった : を編制。第一次大戦の怨みを晴らすべく、日本に向かわせる。一 これが「日米未来戦」のあらすじ。もう全篇これ御都合主義対する日本の連合艦隊は、南シナ海で侵略艦隊をむかえうつ が、破竹の勢いで押し進む東洋侵略艦隊の前には手も足も出な のかたまりみたいな作品だが、やたら扇動的な文章と徹底的に アメリカを悪役にしたてたキワモノつ。ほさがうけて、単行本が 当時のちょっとしたベスト・セラーになるほどの人気を博し 逃げる日本艦隊を追う東洋侵略艦隊。あわや日本軍は全減か る。

3. SFマガジン 1980年2月号

。川ⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢ月ⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅱⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅱⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢ日ⅢⅢⅢⅡⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢ・ 種は全減の他ない。果然 ! 熱血少年は有色人種の大連盟 : ・という時に突如として侵略艦隊の旗艦ベルリンが爆発、沈 を組織した。奇略縦横、大奮闘大苦戦一躍有色人種が世界 没してしまう。ドイツ軍の捕虜となって、ベルリンのポーイに を征服せんとする大熱血小説 ! されていた日本人とイギリス人の二少年が、火薬庫に火を放っ てわが身もろとも艦を爆破してしまったのだ。 旗艦を失った侵略艦隊は、近くの港を占領し、そこを仮の根という「世界征服」 ( 四月・大日本雄弁会 ) の二篇を発表。 軍事作家としての名声をさらに高めた。 ( それはともか 拠地としてひとまず小休止。いつ。ほう日本軍は、その間にほう く、この「世界征服」の広告文はじつに凄い。これを読んだだ ほうの体で逃げ帰る。 ッビーエンドを暗示しながら終わっけでなにやら体中の血が沸き立ってくるような気がする。まさ 物語はこうしてアン・ に″熱血小説″だなあ ) ている。ドイツ軍にコテンパンにやられてしまうかっての連合 さらに大正十五年には、宮崎の未来戦記の決定版ともいうべ 国の姿がなんとも哀れだが、そこのところが軍備を怠っている き「熱血小説日米大決戦」を『少年世界』誌に発表 ( 一月 ~ とこうなってしまうぞ・・ー・・ーという警告になっているわけだ。 ついで大正十四年には、ソヴィ = トの日本侵略の危機を説い昭和二年十二月 ) している。連載回数二十二回、二年間に渡る 長篇だ。 た「鳴呼国難来」 ( 『日本少年』連載 ) と ーに停泊していた米軍の一戦艦がい 物語は、。、 今や文明の仮面を被り口に平和を唱〈てゐる白人の横暴ある夜謎の爆沈をしてしまうところから始まる。 は絶頂に達した。この屈辱この圧制、残虐非道 ! 有色人アメリカ側はこれを日本のスパイのしわざと邪推して、無警 告で日本の練習艦を砲撃してしまう。 これで怒ったのはわが日本政府。とんだ濡れ衣を着せられた うえに、味方を傷つけられたのではもう黙ってはいられない。一 アメリカに向かって宣戦布告をするが早いか濳水艦で真珠湾を 奇襲。さらにフィリビンとグアム島をアメリカの手からプン捕 ナいつぼうアメリカ軍はこの報復に空母を派遣して東京と 横浜を空襲する。 そうこうするうちに、戦局は大きく発展してしまう。支那・ ソヴィエトの二国は日本と同盟を結び、イギリスはアメリカに 7 味方して、戦火はアジア全土に広がった。またシャム・インド 『世界征服』

4. SFマガジン 1980年2月号

ずかにそこにある、ようにみえる。 ″十年以上 : : : もっとかもしれない〃 ″いらっしゃいませ″ 「きみ、何年生まれ ? 西暦で」 ウェイトレスが、声をかけてきた。そのひとは、恵子より、さら ″一九六一年″ にマネキン化がすすんでいる。もとが人類だとすれば。 わたしは、息をのんだ。では、つい最近、やってきたんじゃない 中央に、大きな楕円のテ 1 ・フルがあった。クラスのみんなは、そ か ! しかも彼女の服装や化粧は、 ( あれが現実だとすれば、もと れをかこんだ。 の ) 世界と、時代感覚がズレてない。それを説明して「なぜなの ? 」 ″ウェイトレスの子、わたしがここにきたときは、すでにいたのとたずねてみた。 よ。もとの世界に換算したら、まるで二十年もいたみたいだった″ ″本屋さんには雑誌がどんどん届くし、あたらしい情報はどんどん 恵子は、声をひくくした。 はいってくるの。物だって、そう。なにかがほしかったら、ただそ やや不細工な、そのお人形さんが、注文をとりにきた。 こから持ってくればいいの ″おれ、きよう、カネわすれてきちゃった〃 恵子の説明に、数人が″いいなあ″と叫んだ。″ カネなしで、な ″たてかえとくよ / んでも手にはいるんだったら、ずっとこここ、 したいよ″ 、え、代金はいらないの″ 「テレビもあるでしょ ? 」 恵子は、おちつきはらっている。 マサカズは、情報少年だからして。 ′アメリカン・コーヒーってある ? / ″ええ、たいてい無人なんだけど電気屋さんから、自分ではこんで ″あります″ くるの″ ″・ほく、それ″ 「それは、もといた世界からの、正確な情報かな ? セレクトされ てるんじゃないの ? 」 〕あたしも。 アメリカン六つ : ″わかんない。こわれたら、適当に道に捨てるの。 いつのまにか消 チョコレート・ ミルク・ティーなどえちゃう。ねえ、だって、専門のそうじ人なんていないのに、どこ を、みんなはたのんだ。 へいっても、ほこりなんかつもってないのよ。働く必要もないし、 「ふつう喫茶店にあるものは、たいがいそろってるのね。でも、おとても居心地がいいの。はじめは、もとの世界へもどりたいって気 かしくない ? アメリカンっていって通じるようになったのは、こ持ちもあったけど : こ十年くらいだって、ママがいってたもの。そして、恵子さんがこ ウェイトレスとマスターが、それそれ大きなトレイをはこんでき こへきたのは、ずいぶんまえでしょ ? 」 た。各自にいきわたると、マスターがあいさっした。 アミは、同意をもとめて、わたしたちをみまわしたこ ″みなさん、この街にようこそ。ほんとうによくいらっしゃいまし だえん いや八つだな ミックス・。ヒサ

5. SFマガジン 1980年2月号

ので、和をとるときは速度の″向きみを考 ギー″の概念に到達した。 も多いことであろう。 えてたしたりひいたりしてやらなくてはな さらにライ。フニツツは、物体を空中に投 も「とも、熱 = ネルギーと力学的エネル らない げあげるとス。ヒードがしだいにゆるんで空ギーとを同一種類の量として共通的に考え この点が、質量の保存則とはちょっとち中でいったん静止し、それから落下してく るこの画期的な科学思想は、推察だけであ がっている ( デカルトは速度の向きを考慮るが、静止した瞬間でもエネルギーが消失れば、ジ、ールの前にも何人かの人が述べ しなかったので、ニ、ートンにまけてしまするのではなく、 別の形でたくわえられてていたと言われている。 ったのである ) 。 いるのだ・ーーと考えた。 たとえば、ドイツの医師ュリウス・・ 式で書くと、 これはじつにすばらしい推理であり、 マイヤーなどもそのひとりで、定量的な実 ″位置のエネルギーんの発見につながって験はやらなかったが、その当時の多くの科 学者たちのデータをもとにして、熱を含め 力学的なエネルギーの保存則は、こうし てニネルギーが保存されることを主張して となる。 てライ。フニツツを祖として確立されたが、 エネルギーの保存則はこれでは完結しなか そして、現在科学史家によって指摘され 3 エネルギーの保存則 ているところによると、マイヤーらの発想 〃質量の保存則″や″運動量の保存則〃と なぜかというと、ヤカンのふたが蒸気で に大きな影響を与えたのは、詩聖ゲーテら はちがって、″エネルギーの保存則〃が万もちあげられたり、激しい運動にプレーキを総帥とするドイツ自然哲学派や、それと 人に認められるようになるには、長い曲折をかけるとそこに熱が発生したり、熱と運むすびついてゲーテを崇拝していたロマン した道のりをへなけれ・はならなかった。 動とが相互に関係する現象が存在したから主義者たちの″サイエンスへの反撥″であ な・せかというと、エネルギーというの である。 は、運動のエネルギーばかりでなく、熱工 この問題をもっとも深く考察し、実験し 四月号でも述べたけれど、ロマン主義者 ネルギーだのポテンシャルエネルギー ( 位 たのは、一九世紀のイギリスの科学者ジェ たちは、世界を個々の要素に分解してその 置のエネルギー ) だの、一見無関係なよう イムズ・ジ 1 ールであった。ジュールは洞運動をしらべたり、光線をスペクトルに分 にみえる姿に、その形を変えるからであ察に富んた実験をくりかえしたのち、熱も解して性質を論じたりする = = ートン流の る。 またエネルギーの一種であることを明確にやりかたを、「人間の知性や感情を無視し 力学系だけでの″エネルギーの保存則み し、力学的エネルギーと熱エネルギーとのた非芸術的な思想」として嫌悪した。 を最初に明確にしたのはドイツの哲学者総和が保存されることを発見したのであ デカルトなどの″時計じかけの宇宙″が る。 ・・ライゾニツツたと言われている。 ニュートンの成功によってますますエスカ ライ。フニツツは、運動に関するデカルト ジュールの名は現在もエネルギーの単位レートし、世界を大きな機械とみる見方が の説を批判しているうちに、″運動エネル として残されていることは、ご存じの読者ひろまったことへの反撥が、彼らを反ニュ

6. SFマガジン 1980年2月号

だから、このような損失が少なく、燃料 で定義しておく。 のエネルギ , ーの多くの部分が宇宙船の運動 すると、第一のタイ・フの推進法の場合に のエネルギーに移るような推進システムー は、効率りは宇宙船の速度がガスの噴射速 ーが、「良い推進システム」だということ度と同ていどのときにもっとも良くなり、 まったくべつの話だが、この連載の図や ができる。 約六〇パーセントである。 グラフを描くとき、ぐらいのシャー。フを この問題をくわしく論じるスペ , ースはも 第二のタイ ' フと第三のタイブ、つまり恒使って書いては消し書いては消している。 はや残されていないので、結果だけを簡単星間ラムジ = ットやレーザ推進の場合に 黒いふつうの芯なら。フラスチック消ゴム に記しておこう。 は、宇宙船のスビード が速くなればなるほ でよく消えるからいいが、赤や青だとそう 燃料から宇宙船に移されるエネルギーのど効率は向上し、一〇〇。 ( ーセントに近づ ーいかない。また細い芯はとても折れやす 効率りを、 このことはレーザ推進では明白に言うこ 色つきで黒と同様に丈夫で消せるシャー とができる。恒星間ラムジェットでは考え ' フの芯というのは、・ とこかに売っていない 方がちょっと徴妙なので、エネルギーの定のだろうか : 義に注意しなければならない。 ュな し さいごに、「光世紀の世界』を構築して ーし みた途中で、私が考えた光世紀船のコンセ プトを表にしておこう。 セ従来、宇宙空間に出たら宇宙船がうける ン 空気抵抗はゼロだ との考えで船体のデ る 抵 のザインがなされていたが、じっさいはとて し る す 関 れ紀もそうはならない。 け世スビードが光速に近づくと星間物質によ な光 質な換ら向い ってたいへんな抗力が予想されるのだ。 物ら転な方な 表 間な向ば 一打らし したがって表の①にあるような課題が宇 星は方ノ 進な美 宙船設計に課せられることになるだろう。 他の三つの項目について、言いたいこと はたくさんあるのだが、もう与えられた枚 数を超過してしまっている。 べつの機会に議論することにいたしまし ◇ ー 07

7. SFマガジン 1980年2月号

″十二時間ーー・とすると、夜中になっちゃうか。いま午前十一時だ から″悩みも苦しみもないの、ここには。でも、幸・不幸なんて、 から″ いまのわたしには、わかんない。はしめのころは、いろいろあった ″二時間でいいよオ。あたし、こわいから″ みたいな気もするけど。わすれちゃった″ こ、しようぶ 、ことかもしれないよ , ″恵子さんは十年以上いるみたいだよ。一日くらい、たし 「それはいし マサカズが感想をもらした。恵子が感情を喪失している、とゆー " え、」。〈ダトがあれば。と恵子は答えた。 " あたし、ぐずぐ 状態について。 すしてるうちに、半年めぐらいに、なくしちゃったの。もとの世界 ″おれ、もっと、なんか喰いたし″ へ帰りたいひとは、それを持って、駅へいくんです。この世界へや ″巨食症め″ ってきて、またいなくなったひとは、みんな電車に乗ったの。場所 ″外、でる ? ″ は、ここからそんなに遠くありません″ ″おもしろいこと、あるかな ? ″ ″二十四時間後に、その駅の。フラット・ホームへ集合、ってのは おもしろければなんでもい 「ねえ、ほかの場所も、踏破しない ? ってのが、最近のわたしの行動指針なんだ」 「もはや、それが定着して、世界観になっちゃってるかもね。オン″賛成″ しいんじゃない ? ″ ロだわア」 ″こわいのよ、あたし″ アミがわらってる。それでいいのよ、とゆー顔で。 ″ペンダントなくさなきや、平気たよ″ 半数は、立ちあがりかけた。 「しかし、ここで、おれたちの時計が均一な速さでうごくのかな ? ″どうする ? / 地域によって、時のながれがちがったりして。さかの・ほったりし ″さっきみた、劇場みたいなとこへ、いきたいわ″ て」 ″おれ、なにか喰えれば、それでいいんだ″ マサカズの疑問は、黙殺された。かんがえはじめたらキリがない ″住むとこって、どうなってんのかな″ し、それでなくても、不安なのだから。 、よ。あぶないよ″ ′ここ動かないほう力しし レジから紙とポールペンをもってきた恵子は、簡単な地図をかい 意見のちがいで、六つのグルー。フにわかれた。 ″おい、時計をあわせておこう・せ。ないやつは、持ってるひとか ″この街は、こんなふうに四角で、突然とぎれてるの。まわりは、 ら、はなれないほうがいいそ″ 気持ちのいい草原になってるの。ところどころに、大きな木もある 3 ″そうだな、正確に二十四時間後、ここでおちあう、ってのは ? ″ わ。遠くにも、街があるみたい。高いとこにの・ほると、ビルがみえ

8. SFマガジン 1980年2月号

いれ ' 80 年 墫界 SF 大翁 OREASCO 「 ' 80 年世界 SF 大会レポート」 ( 210 頁 ) よ , 「スペー 1 9 ーの出演者たち。 コスチューム・ショ 9 9 」のマヤと「スターウォーズ」のポー / 、・フェい

9. SFマガジン 1980年2月号

「そこへ、すてきな青年があらわれて」 た。ここは、すばらしい街です。とにかく、ゆっくりと、楽しんで わたしは、きまじめな顔と声をつくった。非常に同情してるふう 6 見物してください。ここに住むことを、おすすめします。あっちの に。わらいを ( おさえつけるんじゃなくて ) 消しさるなんて、カン 世界には、いつでも、もどれますから″ マスターは立ち去った。カウンターのなかへではなく、その横のタンよ。いつも、やってるもん。 ″そう、そうなの。そうだったの″ 小さなドアから外へ。ウェイトレスもいっしょに。 ″あれは、ウソよ″ 恵子の身の上ばなし。 ていかん 「恋のおわりはメランコリ 恵子は、しずかに告げた。彼女には、ふかい諦観があるようだ。 へんにアッケラカンとしている。 だが、決して暗くはない。 今度は、・でいくの。 ″わたしは、帰れなくなっちゃったの。で、しかたないから : : : も″失恋ともいえるけど、向こうの親が大反対して、無理にひきさか との世界では、してたんだけど。うちは母子家庭で、おかあされて″ んが病気で大学いけなくて。それで、ちいさな町工場で事務やって 「わア、様式美だなあ ! 」とマサカズ。「こーゅーのがいいんだ たけど、そうはいっても雑用ばかりで″ れこんじゃうん よ。おれ、紋切り型って、たまんなく好きなの。い 「オオオオ」 マサカズが、演技で泣いた。アミがわらいながら、彼の頭をかる ″で、あたし、夜の街を、ひとりとぼと・ほと、あるいてたんです″ 「なんでもちやかすのは、あんたのわるいくせよ」 「暗い心をいだいて」 「だって、大昔の少女小説みたいじゃないか。 ( 声をひそめて ) こ わたしは、沈痛なおももちで、ナレーションした。しかし、恵子 のひと、自分の親を、さんづけで呼んだよ。ここにいると、精神年には、この種の冗談は通しない。自分につごうよく解釈すべく、脳 齢が発達しないんだな」 のシステムが変化したのか。でもねえ、このタイ。フ、俗世間に、九 「いや、いや」 ーセントくらいはいるのよ。コワイことに。 わたしは、身をそりかえらせた。「もとの世界でも、そ 1 ゅーひ ″ええ、さびしくてたよりなくて。すると、占いのおばさんが、い っ、 いますよ。三十すぎの男や女でも」 たのね″ 恵子は平然としている。音声として感覚器官に到達しても、意味「そこできみ、ペンダントもらったんでしょ ? 」 ″つい。みんなそうなの。この街へくるひとは″ を形成しないのだろうか。気にさわる、とかそーゅー神経が、なく なってしまったのか。 「あなた、しあわせ ? 」 ″妹もいて、生活のすべてが、わたしの肩にかかってたんです。毎アミが、やさしくたずねた。恵子はうなずいた。それから、否定 日、こんなくらしいやだ、とおもってた〃 ともうけとれるしぐさを、あいまいにやった。しばらくかんがえて

10. SFマガジン 1980年2月号

ルのみ」 盗むこと自体、ためこむことそのものがたのしいんだから、あーゅ 「赤ちょうちんふう。中年男ふたりが、 肩たたきあづてた。『な、 ー変態は。マ = アとかフ = チって、自分ひとりでからまわりして 7 おれの気持ち、わかるだろ ? な ? おれたちは、・ とこへいこうとる」 親友なんだから。な ? そうだろ』って。抱きあって泣きだすんじ わたしは鶏のカラあげをつまんだ。 ゃない ? 」 「そーゅーことは、ひとまずおいてさー 「デスコ ( とロミはわざといった ) 問題、全部そろってるひとば アミは、片手でテー・フルのはしをつかんだ。 つか。—エリアのひともいたわよ」 「この街、わたし、好きよ。働いたり動いたりするの、苦痛なの。 最後のは、イナカモン、 0 てことね。貧乏人も地方のひとも ( も寝たきり老人生活が理想、「てなくらいだもん。怠惰の一語につき との世界での ) カネのあるなしや、出身地には、関係ない。もんたるなあ。だけど、ワカ ' テルひとが、高田さんひとりじゃあね。そ ・よしのりなんて、それこそ貧乏人顔してるでしょ ? あれだけレれに、「、マが心配してるわ。わたしが安心してどぎつくしてられる ド売れたのに。メガ 0 ・ポリス生まれテクノ・ポリス育ちとゆのも、彼女がいてくれるからなんだ」 1 東京人に、—エリアのひと、わりといるのよ。 、ひたいにしわをよせた。 結局、ホテルのラウンジにおちついた。すいてて、気持ちいい。 「もどりたいわよ、もちろん。事件をおこしたり、五角関係の火っ 最近の ( もとの世界の ) ホテル「て、品がおちてきたから、よけけ役にな 0 て、そのあと知らん顔するのが得意で、そーゅーときだ け元気になるんだ」 「なんで、こっちの世界につれてこられたのかな ? 曲馬団に売り わたしがいいかけると「そう、あなた、ワルイことかんがえたり とばされるのかな ? 」 からくち やたつりするときが、いちばんかわいくて生き生きしてる。ロミも マサカズは、辛口の白ワインをのんだ。 おなじだけど、スケールがちがう」 「そいで、そのワインが酢にかわる。綱わたりさせるために。わ直接の友達はアミなんだ。ひ 0 としたら、とおも 0 た。年下の つ、キロいこと、 いってしまった ! 」 アミに、わたしはかわいがられてるんじゃないだろーかフ 。ミは、カ = サラダをぎようぎよくたべている。どのよーな事態「とにかく、あした、定刻に駅〈いこう」 になろうと、ダイエットをわすれない。 マサカズがまとめた。 「なんだかわけのわかんないモノの発想なんて、推理できないわ」 それから いつものバカさわぎがはじまった。この四人は、そ アミは、カマンべールを口におしこんだ。 ろいもそろって、忘我の境地にいけない、 とゆーヒジョ ーに不幸な 「手段が目的にな 0 てるのかも。つまりさ、下着ドロポーみたい タイプなの、。自分たちのわざとらしい演技をおもしろがるんだか に。そーしたいから、する。下着あつめて売る男は、、 、ないもの。 ら、かわいくないわね。