恒星船 - みる会図書館


検索対象: SFマガジン 1982年1月号
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1. SFマガジン 1982年1月号

とここまで書いてきたところで、文明を継承しつつも、恒星船の内部以外 ものであろう。 ・・フレークがおわを知らすに一生をすごす : : : という、 9 とっ 2 、の北日にコ】ヒー それについて、私は、まず第一に″ヒ によく描かれている事態がじっさいに っていることに気がついた。 「 ( トリカ ~ なアブ 0 ーチが重要だ いくらさ・ほり屋の私でも、コーヒーだ到来しないともかぎらないだろう。 という意見をもっている 、ーし、刀平 / し だから、田波氏の。ハラドックスを解く たとえば、センス・オ・フ・ワンダーとけ飲んで退社するわけこよ、 いう用語が最近の論の中でさかんに 0 だのなんだのについての話はまことは、あの有名なる《惑星開発コンサ 使われているけれども、使っているた明日のコーヒー・・フレークということルタント社》の社歌『我が赴くは未知の 子々孫 ファンのかなりの人たちが、この用語をにして、本題に入ることにいたしましょ星』に謳われているように、 々の幸賭けて挑む ~ ″べき大問題でもあ 界が発明した専門語 ( あるいは りますのだい その周辺の芸術的感動をあらわす専門 さて、図 1 をごらんいただきたい。 語 ) であるように思っておられるのでは 。ハラドックスの再説明 ないたろうか・ これは、先月号の。ハラドックス説明図 : との危惧をいだくの をさらに拡張して詳細に描いたものであ つまり、を読むようになってから 田波正氏がこのコラムに対して提示さる。 は恒星船が出発する前の位置関係を はじめて聞いた用語なので、その範囲内れた相対論のパラドックスは、先月号で やその周辺だけで使われている用語だとご説明したとおりのものであるが、恒星示している。恒星船はまだ運動していな 勘違いしておられるのではないだろう船で生まれた人とそうでない地球で生まいから、地球にいる人が見ようと、恒星 れた人との間に生ずる″世界認識の差″船の中にいる人が眺めようと、まったく に関係しており、その意味で、数多い相同一にこの図のように観測されるはすで 私の場合は、齢が齢だから、『マ ガジン』の刊行などでを知るように対論のパラドックスのなかでも、とくにある。 まず、左端に太陽系があり、そこに、 なるずっと前から、昔の著名な科学者がに関係がふかい。 そこで、もう一度、それがどのような。ハックなど先駆的な人たちが乗る 科学の神髄を語るのに用いていたのを読 んで知っていた。 パラドックスであったかを図解的にご説恒星船《号》が出発の準備をしてい だから、かって伊藤典夫氏がの明し、それから、その解について、すこる。 ″芯″を表現するにふさわしい用語としし本腰をいれて検討し整理してみること《号》の目的地は太陽系から一〇〇 にしようと田う。 てセンス・オ・フ・ワンダーを日本に紹介 光年はなれた変光星″アルゴル″である されたとき、すこしの違和感もなく、こ 二一世紀以降になれば、われわれの子とする。 れに同感することができたのた。 孫が恒星船の中で誕生し、そして、地球アルゴルはベルセウス座のべータ星

2. SFマガジン 1982年1月号

・製基 ~ ) な和曇中 《 NF 号》む = 0 《 SF 号》む = 0 100 光年 100 光年 太陽系 ア丿レゴ丿レ 太陽系 引光年 いで、きわめて短時間の間に亜光速に達 で、名前の意味は″怪物″と し、その後は一定のス。ヒードで図の右方 うことである。 さて、この″アルゴル″にもの目的地に向けて航行をつづけるものと る知的生命が文明をきずいておする。そしてその巡航スビードは、両船 あ とも〇・九五 0 ( すなわち光速の九五パ 刻でり、その中にもやはりパ ーセント ) であると仮定する。 るックと同じような熱烈宇宙旅行 よ このスビ 1 ドはどういう大きさであっ のファンがいて、人類の《 n r...A 年光剛へ ラドックスの本質は変わらない 晄界号》と同じ能力をも 0 た恒星船ても、パ 識《号》を建造し、《のだが、光速の九五パーセントにしてお レ 常号》と同じ方角に出航する準備くと、相対論効果としてでてくるロ 1 レ らをととのえているとする。 ンツ短縮や時間の遅れがだいたい三割ぐ ロ 侖その目的地はやはり一〇〇光らいになるので、図解がしやすいのであ 1 = 一口 で 相年先 ( つまり太陽系からは二〇る。 中 ということで、二隻の恒星船が出航し 〇光年先 ) にある。その星の名 の 船 た直後の位置関係を図 1 ⑤に示した。 こまえは、仮に >< 星としておこう。 百一 むろん、地球にいるわれわれが眺めた このような状態が、図 1 の⑧ 後スに描かれた空間配置である。そ場合には、出発直後の状態というのは、 発 へつだんな図 1 と変わるはずはない。目的の星ま ッしてこの配置には、。 光年出 ラんの不思議もない。物理的にもで光速で飛んでも一〇〇年かかるのだか 光 0 .0 天文学的にも常識的にもなんのら、いくら亜光速であっても、直後だっ の たらほとんどもとの場所から動いていな 船無理もない。 いはずだからである。 恒つまり、可能な状態であり、 つまり、 @と同じ位置関係に見えるは 隻ありうるケースである。 すである。しかし さて、このごく平凡な状態か これが恒星船の内部の展望室から観測 1 ら、二隻の恒星船《号》と 《 zæ号》が同時に出航したとした場合の位置関係となると、まったく しよう。 ちがってくる。 こよっ アインシュタインの特殊相対論 ~ 推進システムは高度なもの 62 光年 も 9

3. SFマガジン 1982年1月号

ⅵ ) 間翦デ発な。旧ド豊嚀斗中 だがしかし、図 1 ④↓⑤の。 ( ラドック②相対論の定義にあ「た測定をした場めにやろうというのだ。ステッ。フ・・ ( イ 合に時間と空間がどのようになるの ・ステッ。フで一歩一歩着実に進むべきで スにただたんに答えるだけでは、 ある。したがって、 ド道″としては、建設的な態度とは という問題とが含まれている。 1 《 ()0 号》がただたんにアルゴルへ いえないであろう。たたの科学解説とあ ①については一昨年から昨年にかけて 等速飛行するだけ。 まり変わらなくなってしまう。 といういちばん単純な問題から出発し したが「て私としては、これをいい機の連載でほ・ほ解決したので、これからは 会として、先に述べたように、恒星船内フンドシーー・じゃなか「た三枚しかないて、つぎにそれが加速度をもったり減速 度をもったりする場合も扱い、さらに で生まれて地球文明を進展させてくれる 《号》との奇妙な関係にはいり、そ 子孫パ〉クの連中が船内で生む 0 ー 00 ・ " : ・ジ してさいごに、 赤ん坊って気もちわるいなあ : : : ) のた z 《号》と《 Z 号》がともに加 めに、恒星船内から観測される宇宙の時 速して等速航行して減速して目的地 空関係について、てってい的に図式化し に達する。 てみたいと思う。 という、もっとも一般的な問題にまで 従来の相対論の解説書のほとんどは、 発展させることにしよう。 囚「地球に座している人が恒星船を眺 そして、このが、図 1 ④↓⑤のパラ めたときの時空関係を述べた」もの 。こっこ 0 ドックスに対する最終的な、そして定量 的な解答となることでありましよう。 これに対して私はこの十数年をかけて ( こういう法をとることにしたた ( むろんを書きたいがためですが ) 、 め、他の読者の貴重なお便りへの解答が ⑧「恒星船の・フリッジにたむろするア 研 また少し遅れることになりますが、どう ストロノートたちがその舷窓から何 かお許し下さい ) を眺め、何を測定するか」について ハンツをしめ直して、⑧②の問題をビビ の 考察してきた。 ッドに解きあかしていこうーーーというわ 原 この⑧の視点のなかには、先月号にもけなのである。 ( ううむ、われながらう = 日したとおり、 っとりするほど悲壮な決意たなあ : : : ) で、そういう決意を固めたとなると、 3 ①星界やすれちがう物体がどのように 見えるのだろうか ? あせりは禁物である。 という問題と、 なにしろ二一世紀以降の子孫たちのた ート一 6 ュ 7 5 工そ しつこい風邪が流行っています。・ほく も抗生物質でなりやり抑えて原稿を書い 9 ています。皆さんも気をつけてくださ 9

4. SFマガジン 1982年1月号

″ローレン となると、す 1 」いことがおこるい てみちびかれているように、 ののちあらためて光速の九五・ハーセ それが図 1 ⑤である。 ッ短縮″という現象があり、定義にした ントという飛行が、妙な位置を原点 がったきちんとした測りかたをした場 この⑤の配置をにらんでいたたけれ ということを として開始された 合、その恒星船のス。ヒ 1 ードに応じて、 意味している。 ば、ひとつひとつご説明する必要もない 、 1 ー ( ( c ソという割合いで距離が″短と思うが、常識的にはとても考えられな ⑤右のことは″ローレンツ短縮″だけ 縮〃するはずだからだ。 いような奇々怪々なる現象が、二つも三 では説明できない。なぜなら、《 したがって、もし»--äパックの乗っつも現われていることをお認めいただけ 号》の人にとってはアルゴルや ている《号》の展望室から測定したるだろう。 星との距離の瞬間的跳躍は″ローレ とすると、目的地の恒星アルゴルは約三 ①《号》から一〇〇光年はなれて ンツ短縮″のためだと言えるかもし 一光年の位置に近づき、さらに《 Zß4 いたアルゴルが一瞬のうちに六九光 れないが、《 Z 号》の人にとって 号》の目的地である星は、六二光年の 年跳躍して太陽系に近づき、二〇〇 のこれらの現象は、自分の位置を基 位置になっていなければならない。 光年はなれていた X 星はさらに一三 準とした″短縮″ではなく、母星か 相対論を信ずるかぎり、それ以外のこ 八光年も跳躍して太陽系の近くに来 らの瞬間的離脱や目的の恒星の無限 とは考えられない。 てしまった。 速度での側面通過を意味しているか らである。 ②《 Z 号》とアルゴルとの距離は① ( イⅡ 0.95C のとき、 1 ー ( ミ c ) 」北 0.31 ) とは逆に、ゼロだったものが一瞬の ック船《、号》との距離について うちに六九光年も離れてしまった。 これはまさに、相対論からの常識世界 は、右とはまったくちがって、の状態 ③《 Zgæ号》と X 星との関係はもっとへの挑戦である。 とかわらず、いぜんとして一〇〇光年の 極端なもので、直前まで一〇〇光年 むろん、われわれはこの挑戦をうけ、撃 距離を保っているはずである。 前方にあったものが、出発の直後に退する力をもっている。わが『研究 な・せなら、《号》と同時に《 極真流 は三八光年も後方に移動してしまっ室』はそれほど軟弱ではない。 号》も同一のス。ヒードで巡航を開始して た。つまり、近づくどころか通りす道宗家である本コラムはこの程度のパラ いるので、両者の相対的なスビードは ぎてしまった。 ドックスで微動だにするものではない。 ″ゼロであり、そのため、《号》 ④出発の直前までは、恒星船の中の人 だがしかし : と《 Z 号》との間には″ローレンツ短 も地球上の人とまったく同一のの 縮″は生じないからだ。 状態を観測していたのたから、以上 子々孫々の幸賭けて : このこともまた、相対論を信ずるかぎ の①②③はすべて超光速どころか り、うたがいようのない事実である。 ″無限速度″が一瞬の間に生じ、そ

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) 石原博士の cnu- 研究室⑩イ 恒星船で生まれた人のために・・その 2 石原藤夫 すョ叫巡 ) コーヒー・プレーク午後一時 このコラムって、とてもノンビリして いるのだ。 昼食がおわってさてこれから仕事たー ーと原稿用紙に向かったとたんに、コー ヒー・・フレークがはじまってしまうの 日本の新聞にも大きく報道された。 ちの中からーー千人に一人でも、 少年は身動きできなかったのたが、地 アニメ用ロポットのデザインだけで 上にいる母親とは、穴がつながってい なく、人命救助用の現実のロポット技術 て、さいごまで話をすることができた。 にとりくみ、世界の人たちに感謝される この少年が死ぬまぎわに地上の母親にような人物が出てきてほしいものだ。 なかって叫んだっていうのが、 ( 日本のロポット技術はーーー基本発明を 「母さん、マジンガ ノーに頼んで助けにき除けばーーー今でも世界のトツ。フを走って てもらって : : : 」 いるけれども : : : ) という言葉だったそうた。 日本のテレビ・アニメがさかんに輸出私は″ロポット″の語源はチェコ語の され、世界中の子どもたちを夢中にさせ労働を意味する ROBOTA であり、そ 何カ月か前、イタリアで少年が深い井ているという話はよく聞くけれども、これに強制 ( 奴隷 ) 労働というニュアンス 戸に落ちこみ、どうしても助けることが ういうニュースに接すると復雜な気持ちがあるところからチャベックが発想を得 できなかった になってしまう。 という痛ましい事故が と ( チェコ文学者の栗栖継氏の解 あった。 現在アニメ論議にふけっている若者た説などから ) 考えていたのだが、やはり イラストレーション宀呂、 , リに いー叺ツを 4 0 ′

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おくゆかしい原し 三省堂ストーリーコンテスト入選作 ポリフォニック・イリュージョン ◇連載◇ス。ヘース・クラフト・ショッ。フ⑤ スペースシャトル初期計画 科学冒険時代第十三回昭和十年代後半の☆ばあと・わん 石原博士の研究室⑩恒星船で生まれた人のために・その 2 野田昌宏のセンス・オプ・ワンターランド@ 安田均のアメリカ情報② サイ・ファイ・セット⑧ ) ディスコの帝王ミーコ ( 上 ) リータース・ストーリイ ☆ O<F<OOZC-D ・レポート 女田均 難波弘之叫 0 ′ 神林長平 白鳥麗 英国フェアリー・アートへの招待 ・スターシッフ・ライフラリイ最終回 スタジオぬえ ・フェアリー・アナトミイ最終回中世の野人たち 荒俣宏 R ・サイエンス・トピック化学の復権 池見照一「 ・ 0 ・ (-ng-æレビュウ 伊沢昭 / 大宮信光 / 高橋良平 / 中島梓 DIMENSION 0 目月象一祐 世界情報 ( 島田武 ) ・ : 芻今月のブックガイド ( 星敬 ) : てればーと・ バックナンバーのお知らせ 第八回「ハヤカワ・コンテスト」応募規定・ 特別企画 【◇連載コミック◇ 銀の三角第三部 ショート・ショート・コーナー い 0 ホん」はみ、、丁ル 咼井・ニ = ロ 5 飛浩隆 江藤巌 4 會津信五ロ朝 石原藤夫 野田昌宏而 ピーター・ニコルズ編 黒丸尚訳 萩尾望都 5 218 イラストレーション 岩淵慶造畑農照雄 新井苑子加藤直之 佐治嘉隆野中昇 横山宏南陽子 表紙 加藤直之 目次カット 宮武ー貴 扉・目次レイアウト安藤三香子

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「それもまた、しかり。だが、そんな低い可能性はあとまわしにし そうだろ ? 」 よう。じゃあ、例として、先週起きたおかしなことについて、考え 2 「パターンをみつけるのに、いい機会だと思うわ」 てみよう。論より証拠の日誌を取ってくる」 この場合の、・フル 1 ノーは、不愉快というよりも正しい 「やめてもらいたいなあ」・フル ーノーが機械室に行ってしまうと、 「いや、ごめんだね」クロービスは勢いよく立ちあがり、飲みもの クロービスが言った。「時間のなだだ」 カ置いてあるテー・フルの方に行った。「やあ、リア」トレイに令た 「時間だけはたつぶりあるわ」 い料理をのせて、背の高い、やせたプロンドの女性が入ってきた。 や 二杯、飲ってくれよ。ゾレ ノーノーとミリが、いやに哲学的になっ 「おれにはなんだってたっぷりあるさ」クロービスはミリの太腿に ちゃってね。・ハターンを探すんだとさ。どう思う ? おれとしてはさわりながら言った。「ちょっといっしょに来てくれよ」 ね、もうじゅうぶんやってる、と思ってるんだ。く / ターン探しは、 「あとで」 基地の仕事だよ」 「リアはプルーノーに頼まれたら、いつもいっしょに行くぜ」 「ぼくらにもできるさ」ブレ / ーノーは言った。「そうだろ、リア 「ええ、そうよ」とリアが言った。「でも、それはあたしのやりか こ 0 ミリは今、そうしたくないの。彼女がその気になるまで、お待 「もちろんよ」リアは深味のある声で答えた。 ミリには、その声ちなさいな」 は、どんなことばや行動よりも、強い意志と個性を表わしているよ「待つのはきらいだ」 うに思える。 「待った方がいい結果になるわよ」 「そりやよかった。クロービス、お望みなら、きみは知らん顔して「持ってきたそ」威勢よく・フレ ノーノーがもどってきた。「さてと : てかまわんよ。まず、・ほくらが見聞きしたことが、幻影である必要 ″月曜日、一瞬のうちに当ステーションは、濃い褐色のべっとり という事実から始めよう。幻影かもしれないが 2 , した物質の中に閉じこめられる。テストの結果、この物質は不浸透 「少なくとも、あれはわたしたちにだけ見えるんじゃなくて、他の性で、しかも無限に厚いことが判明。スタッフによる働きかけに反 人たちにも見えてる幻影だわ。他のステーションでも起きていると 応なし。三時間十一分後、消失″。おもしろいのは、この無限に厚 いう、基地の報告でわかっているようにね」 いというところだな。あれは幻影だったにちがいない。でなけれ 「そのとおりだ、ミリ。とにかく、幻影であるにしろ、そうでないに ば、同時に他のステーションでもなにか起きていただろうから。も しろ、なんらかの知性がなんらかの目的をもって送ってきてるんだ」ちろん、恒星や惑星まで含めて。とすると、全感覚的な、または限 「それはわからないわ」 ミリは反対意見を述べた。「自然現象かも局的な幻影だ。異議は ? 」 しれないし、なんらかの知的活動の副産物であっても、わたしたち 「つづけて」 に送ってきているわけではないのかもしれない」 「″火曜日。当ステーションと同程度の大きさの金属物体が、秒速

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「もしかすると、任務交替のチャンスを、おれたち自身でふちこわ 毎日なにかしら、おかしなことが起こった。それは午前中に起こ ることもあり、男二人が計器の読みとりや観測にあたり女二人が家してるのかもしれん」 事にいそしんでいる最中に、大きな顔が現われたりした。また小さ「基地は解任のことなんか、ひとことも言ったことないそ」 「そりやそうだ。人員を配置すべきステーションが五十万もあれ な顔や色のついた炎の場合のように、おかしなことは午後にも起こ り、・フルーノーの機械の管理、保全や、クロービスの基地への送ば、ここみたいに順調にいっているステーションをとりあげるまで 信、リアの菜園手入れ、 リの執筆の時間などを乱した。それでもには、ずいぶんと時間がかかるだろうさ。きみとおれは完璧なコン ビだし、きみにはリアが、おれにはミリがいる。みんな仲良くやっ 夕方は平穏なことが多く、夜はほとんど起きなかった。 通常の時間表記は、宇宙ステーションに半永久的に閉しこめられている。深刻な対立はまったくない。ゆえに、解任の理由はゼロ、 ている人間にとっては、なんの意味もないと、四人とも承知してい というわけだ」 る。このスチールの球体が静止している宇宙空間は、きわめて空漠アルコープにテープルのしたくをしながら、ミリはこの会話を聞 としており、いちばん近い星の光が届くのさえ、数百年かかるの いていた。そして、・フルーノーがリアのかわりにミリをほしがって だ。とはいえ、基地で考案された服務規定により、四人は何カ月も いるのが、でなければリアと二股をかけようとしているのが、な・せ 見ていない地球の規準どおりに一日二十四時間制を採るよう、勧告クロービスにはわからないのだろうと思った。もしかすると、クロ を受けていた。この取り決めは好都合だった。勤務、休憩、睡眠ービスはそれを知っており、・フルーノーをいたぶっているのかもし が、ごく自然の周期におちついた。くる年もくる年も、まったく同れない。そうだとすると、・フルーノ 1 が明かるい性格ではないだけ じ日課のくり返しが、この先いっ終わるとも知れずにつづいていく に、ばかなまねだと言える。あの太いくびと青ざめた丸まっちい顔 しい感じはなさそうで、 だけだ。それはストレスを生む。 では、。フルー / ーは抱かれていてもあまり、 その点を、ブルーノーはクロービスに力説した。午前中に、比較その点でも、クロービスとは正反対だ。クロービスのほうは背丈 こそ大差ないが、その細身の強靱な肉体とやわらかな肌は、抱かれ 的近い恒星を調査分析する、スペクトル分析器の故障を直したあと ブルーノーほど頭が切れないところは のことだ。二人はラウンジの中央観測窓に腰をすえ、正午のカクテていてもいつも気持がいし あるけれど、逆に言えば、・フルーノーが考えることの多くは陰気な ルを飲みながら、女性二人を待っていた。 ミリは飲みものをつぐと、男たちの方に行った。 「ストレスに関しちゃ、おれたちはじゅうぶん持ちこたえたと言えものだ。 ・フルーノー , 刀し 、くつかけんかをでっちあげて服務報告を摠造で る」クロービスはブルーノーに言った。「たぶん、じゅうぶんすぎ それは無理だとクロ るぐらいた」 きないのが残念だといった意味のことをいい、 ミリはクロービスにキス ービスが言下に同意したところだった。 ーノ 1 は太った体をまっすぐに起こした。「どういう意味だ し、傍にすわった。 ・イ・クル 8

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〈スカイラ・フ〉ゃなんかのモックアツ。フ類 0 のあいだをウロついていると、ほんとに、 私はシビれてしまうのだ : 。それはまさ 2 に、生まれてはじめて『渇きの海』を読ん たときの、ポーンステルの絵を眼にしたと ス チ きのあの、戦慄的な感動に勝るとも劣らぬ ものなのだ : ・ た告 れ報 そしてですよ、これを御覧なさいよ。 わ査 な調 よく読んでごらん、 行る そう、これは、一九四五年の夏につくら ょに 0 れた、ドイツから移送される予定の号 に発 軍開 ロケット関係者の名簿なのだ。 意の結品なのである : ・ 米器 いくら古くとも、これは〈ジョンソン宇 後の 宙センタ】〉ができる十年以上も昔の文 それは、・・。ハウルの描く宇宙船、 ポーンステルの描く月世界は大いに結構な書。もなかったわけで、のちに米 01 全なセ〉トにしてべ「に保存するのであ キチガイの・ハカ 陸軍から移管された書類を、ワシントン本 る。そして、私のような奇特な人に回してものである。これは今だってそう思う。 オフィスでコピーして貰 しかし、やつばり本物の味を知ってしま局のヒストリー・ くれたり、その他、二次、三次の活用に供 うと、どうにも、その・ : なンだよ。キったものた。 しているのだ。私にとっては神様である。 戦慄しない ? キミは ? しかも、神様はこの人だけではない。 そんな資料が私を囲む段ボールの中につ 私がはしめて Z < を訪れた頃、〈ジ 何度も書いたことだが、〈パイオニア 2 物 ョンソン宇宙センター〉の広報にいた氏号〉の送ってきた土星の画、あの輪、大きまっているのだ。早く、ちゃンと整理した は、その後、〈シネトロン〉という宇宙開なカッシニのみそをはさんだ、ほンとに薄くもなるではないか : 第】発関係のフィルム会社にいて、この人も古ウいあの輪を思い出してごらんよ。有史以それからこれは、アメリカ陸軍航空軍に いマニュアル類を送ってくれる。そして、来、一体、土星の想像画が何万枚描かれてよる、ウエルナー・フォン・ゾラウンのナ この人も送料以外、お金を受けとってくれきたか知らないが、あンなひょわな輪を想チ陸軍・液体ロケットに関する調書であ な ない。たたひとこと、 ″いい本を作ってく像した画家は、私の知る限りは一人もいなる。 れ : その結論で彼はこう述べている。 いってみれば、いま、私をとり囲むダン ″ウエル・プランド・デベロプメント・オ ハンツヴィルの、〈マ】シャル宇宙セン にポールの山は、そんなの人々の好ター〉のあちこちにゴロゴロしている、 ヴ・ザ・アート・オヴ・ロケツツは、科学 25 引 3000. ー 006 、 0 ー 0 0 0 、ハト・ 2

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た。つつしんでおわびいたします。 ⑩③田載 さて、二月号は恒例の創刊記念特大号。今回は スルコ 夢」部明 ~ 7 編集後記 工 ひさしぶりの海外作品特集です。浅倉久志、伊藤 生日第 三 = - 一 - 三 - - 三 : 一 - - 三 : - 一 = こ典夫の両氏による厳選された英米作品および ;-u 室代Ⅷ ・フヾ野の」 ・ロッテンシュタイナー選による東欧 T) 作品 究時 ースペース・シャトルの第二回目が、射ち上げに 息角 き研険 Ⅲ成功しました。大成功というには、いろいろトラと、海外ファンのみならず、ファンなら ア 安三ゅ冒 ロ万 がの倉学 ・フルに見舞われはしたようですが、ともかく二回だれでも楽しんでいただけるものと思います。ま 大 ら銀高の科 ( 目の成功です。一回目に比べると、マスコミの扱た、二月号から新鋭作家のインタビウ・シリー 我「十仁士「 念ルネ 「之一博」 いもだいぶ小さくなっています。そういえば、現ズが始まります。第一弾は森下一仁氏。インタビ 年 ャ 明直下原。フ ュアーは、レビュウ等で本誌に登場いただい ⅶ在の新幹線が計画中のときは〃夢の超特急と呼 フ 藤森石ッⅧ ばれ、かなりマスコミにも取り上げられていましている高橋良平氏です。御期待ください。 ( 今 ) ョ 鏡〉回」シ ( = た。しかし、いまでは事故でも起らぬかぎり、絶住日常にひそなを発見したのは、恒例の社 ( 予 イ 1 版 内旅行でのこと。なんと、圧倒的な数の若くて可Ⅷ号 ジ第別ト 対にニュースにはなりません。スペース・シャト タ〉特フ聞 ルも、そうして日常の風景の中に組み入れられて愛らしい女性たちと延々深夜までトランゾを楽し次号 ンウラⅢ アユイク聞 いくのでしよう。 なという、入社以来初めての経験をしたのです。 死に物狂いになって未踏の荒野を開拓していく入社した頃の恐いお姉様方も次々とお片づきにな タラスⅢ ン 静と、そこはやがて荒野ではなくなってしまう り、忙しさにとり紛れている間に、社内ではかく マ⑦尾スイベ ⅵそんな感覚が、新幹線にも、スペース・シャトルのごとき大変貌が生じていたのです。わっ ! と 8 シイル見」萩ラ家ラス の今後にも感じられます。スペース・シャトル り乱しそう。 小生が年をとっただけのこと 〉アンビャ水ダ〉イ作・「 ク色鋭。フ」聞 集・マズシ〉 は、まさに荒野の失われる寸前、といったところだ、というのは気のせいにちがいありません。 枚レッ 2 新ッ 0 特ク一。 シ 0 ' なのかもしれません。 先日、・ポール氏の来日を機会に、矢野徹氏 小社より刊行された野田昌宏氏の「と対談していただいたのですが、小生などには、 国宇宙船野郎たち」は、いまだ開拓者魂を失ってい氏の編集者としての面が強く感じられ、非常な親 海イプ・オカ連本連新新ス宏 アポゲくく 「昌 刈ない宇宙船野郎たちのそうした熱気が、ひしひし近感を覚えたものです。言葉の障璧も物かは、氏 と伝わってきます。しかし、それも開拓者魂への大きな手の感触が印象的でした。なお、この対 いの、野田氏の愛情があってこそ、ではあるでしょ談は来年三月号に掲載の予定です。 ( 池 ) 岫う。「 Z<<T< / 宇宙船野郎たち」はノン・フィ■一九八一年もだいぶおし迫り、あわただしい季、「ガジン一九八一一年一月号 ( 第二十一一一巻一 クションですが、について考えようとすると節となりました。本誌も一九八二年一月号という 号 ) 昭和五七年一月一日印刷発行発行所東京 回き、非常に貴重な本であると思います。 わけです。さて、「てれ。ほーと」欄もこのところ都千代田区神田多町二の二郵川早川書房 十一月号の編集後記に火星の土地の話を書きままた活気が出てきたみたいで、編集部に寄せられ 東京 ( 二五四 ) 一五五一 ( 代 ) 発行人早 いしたが、そのさい「日本宇宙旅行協会」と書くとるお便りも増え、目を通す楽しみも増えました。 川清編集人今岡清印刷所誠友印刷株式会社 " ころを「近代宇宙旅行協会」と書いてしまいましもっともっとお便りお寄せ下さい ( 田 )